JP2011256318A - ポリイミド電着塗料及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミド電着塗料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期保存しても変質しない優れた保存安定性を有し、使用時には、膜性状の均一性が極めて高い電着被膜を高い電着速度で形成することができるポリイミド電着塗料の提供。
【解決手段】分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドの粒子が分散したサスペンジョン型ポリイミド電着塗料であって、前記ブロック共重合ポリイミドの粒子の平均粒径(D1)が0.05〜5μmであり、粒度分布が(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの範囲に55%(個数基準)以上の粒子が含まれるように分布していることを特徴とする、サスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
【選択図】なし

Description

本発明はサスペンジョン型ポリイミド電着塗料及びその製造方法に関し、特に長期保存しても分離等が生じない優れた保存安定性を有し、使用時には、高い電着速度で膜性状の均一性が極めて高い電着被膜を形成することができるサスペンジョン型ポリイミド電着塗料及びその製造方法に関する。
従来、ポリイミドの電着による塗装方法はポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を溶解した有機極性溶媒に、貧溶媒及び水を添加した水分散系電着液を用いて電着した後、電着膜を240〜260℃に加熱してポリイミド膜とする方法が知られている(特許文献1〜3)。ポリアミック酸の電着用水分散液は、ポリアミド酸が容易に分解するために保存安定性が悪く、更には電着した塗膜は、イミド化するために高温処理をする必要がある。また、特許文献4のようにポリアミック酸を直接イミド化させたポリイミドにカルボン酸を導入させることにより電着可能にする方法がある。しかしながら、電着膜の剥がれや割れの生じにくさについては必ずしも満足することができない。また、溶剤可溶のポリイミドと親水性ポリマーを同一粒子内に含む電着塗料組成物が特許文献5に記載されており、ジアミン成分としてジアミノオルガノシロキサンを用いることも記載されているが、やはり被電着膜の剥がれや割れの生じにくさについては満足することができない。さらに、特許文献6には、ポリイミドシリコーン系樹脂組成物が記載されているが、これは電着組成物ではなく、また、ポリアミック酸を用いているので、上記した不安定さの問題及び高温処理を必要とする問題がある。そこで、このような先行技術の問題点を解消し、優れた耐熱性を有するとともに、被電着物上に剥がれや割れが生じにくい信頼性の高い、高絶縁性電着膜を形成できる電着塗料として、本願の出願人は、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを主成分とする塗料を提案した(特許文献7)。しかしながら、かかる電着塗料は数種類の溶剤の混合系からなるため、溶剤の配合比率の若干の変動によって電着性が大きく変化し、温度や蒸気量等の使用環境面での制約が大きいため、電着塗料としての安定性に欠け、また、形成される電着被膜の膜性状が均一になりにくいという欠点があり、これらの欠点を解消できる電着塗料として、本願の出願人は上記のブロック共重合ポリイミドが固形粒子として分散したサスペンジョン型塗料をさらに開発した(特許文献8)。しかし、かかるサスペンジョン型塗料は、被膜の成長過程での電気伝導度が高く、低電流の電着条件でも、膜性状の均一性の高い電着被膜を形成できるものとなったが、塗料は保存によって分離や変質を生じやすく、量産化を想定した場合の保存安定性が十分でないという問題点があり、また、析出するポリイミドの固形粒子には粒径のバラツキが見られ、シャープな粒度分布のポリイミド粒子が分散したサスペンジョン型塗料を製造することは困難であった。
特開昭49−52252号公報 特開昭52−32943号公報 特開昭63−111199号公報 特開平9−104839号公報 特開2000−178481号公報 特開2003−213129号公報 特開2005−162954号公報 国際公開第2008/139990号パンフレット 国際公開第99/19771号パンフレット 米国特許第5,502,143号公報
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、長期保存しても変質しにくい優れた保存安定性を有し、使用時には、高い電着速度で膜性状の均一性が極めて高い電着被膜を形成することができるポリイミド電着塗料及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採る。
(1)分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドの粒子が分散したサスペンジョン型ポリイミド電着塗料であって、
レーザードップラー法(動的・電気泳動光散乱法)により測定される前記ブロック共重合ポリイミドの粒子の平均粒径が0.05〜5μmであり、かつ、平均粒径をD1(μm)としたき、(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲に入る粒径の粒子が全体の55%(個数基準)以上となる粒度分布を有することを特徴とする、サスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
(2)ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の一つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含むものである、請求項1記載のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
(3)分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、上記(1)又は(2)記載のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
Figure 2011256318
(式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は1個ないし3個のアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)
(4)ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、芳香族ジアミノカルボン酸を含む、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
(5)ブロック共重合ポリイミドのアニオン性基が、カルボン酸基若しくはその塩、及び/又は、スルホン酸基若しくはその塩である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
(6)ブロック共重合ポリイミドの全ジアミン成分中、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンの割合が5〜90モル%、前記芳香族ジアミノカルボン酸の割合が10〜70モル%(ただし、両者の合計は100モル%以下であり、第3のジアミン成分を含んでいてもよい)である、上記(3)〜(5)のいずれかに記載のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の電着塗料による電着被膜を絶縁層として有する絶縁性部材。
(8)分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドの粒子が分散したサスペンジョン型ポリイミド電着塗料の製造方法であって、
分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドが水溶性極性溶媒に溶解した、当該ブロック共重合ポリイミドの濃度が15〜25重量%であるポリイミド溶液に、前記ブロック共重合ポリイミドに対する貧溶媒と塩基性化合物を配合して前記ブロック共重合ポリイミドの中和処理をした後、室温で、当該ポリイミド溶液の1日当たりの電気伝導度の変化量が0.1mS/m以下となるまで当該溶液を放置する工程と、
かかる放置後のポリイミド溶液に前記ブロック共重合ポリイミドが析出し得る液量よりも少ない量の水を攪拌下に投入する第1希釈工程と、
該第1希釈工程の後に、さらに攪拌下に水を投入して、前記ブロック共重合ポリイミドを析出させる第2希釈工程とを含み、
第1及び第2希釈工程での攪拌手段として、薄膜旋回型攪拌機を使用することを特徴とする、サスペンジョン型ポリイミド電着塗料の製造方法。
(9)第2の希釈工程において、水を少なくとも2回以上に分けて投入することを特徴とすることを特徴とする、上記(8)記載の方法。
(10)貧溶媒の配合量がポリイミド溶液中のポリイミドに対して50〜300重量%であり、塩基性化合物の配合量がポリイミドの中和率が70〜130%となる量であり、水の総投入量が塗料の固形分濃度が1〜12重量%となる量である、上記(8)又は(9)記載の方法。
(11)水溶性極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(γBL)、アニソール、テトラメチル尿素、及びスルホランから選ばれる1種又は2種以上からなる、上記(8)〜(10)のいずれかに記載の方法。
(12)ブロック共重合ポリイミドの貧溶媒がアルコキシ置換脂肪族アルコールである、上記(8)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13)塩基性化合物が塩基性含窒素化合物である、上記(8)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14)塩基性含窒素化合物が含窒素複素環式化合物である上記(13)記載の方法。
(15)ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の一つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含むものである、上記(8)〜(14)のいずれかに記載の方法。
(16)分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、上記(15)記載の方法。
Figure 2011256318
(式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は1個ないし3個のアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)
(17)ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、芳香族ジアミノカルボン酸を含む、上記(8)〜(16)のいずれかに記載の方法。
(18)ブロック共重合ポリイミドのアニオン性基が、カルボン酸基若しくはその塩、及び/又は、スルホン酸基若しくはその塩である、上記(8)〜(17)のいずれかに記載の方法。
(19)ブロック共重合ポリイミドの全ジアミン成分中、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンの割合が5〜90モル%、芳香族ジアミノカルボン酸の割合が10〜70モル%(ただし、両者の合計は100モル%以下であり、第3のジアミン成分を含んでいてもよい)である、上記(8)〜(17)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、保存安定性に優れ、しかも、使用時には、高い電着速度で、膜性状の均一性が極めて高く、被電着物の表面に対する密着性に優れたポリイミド電着被膜を形成できる、サスペンジョン型ポリイミド電着塗料を得ることができる。
したがって、本発明の電着塗料を使用することで、高い絶縁性(特に耐電圧性)と耐熱性を兼ね備えた絶縁被膜を有する絶縁部材(部品)を高い歩留りで製造することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して説明する。
本発明の電着塗料は、分子骨格(すなわちポリイミドの主鎖)中にシロキサン結合(-Si-O-)を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドの粒子が分散したサスペンジョン型ポリイミド電着塗料である。
ここで、「ブロック共重合ポリイミド」とは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを加熱してイミドオリゴマーを生成させ(第1段階反応)、次いでこれに前記のテトラカルボン酸二無水物と同一若しくは異なるテトラカルボン酸二無水物又は/及び前記のジアミンとは異なるジアミンを加えて反応(第2段階反応)することによって、アミック酸間で起る交換反応に起因するランダム共重合化を防止して得られる、共重合ポリイミドのことを意味する。
かかるポリイミドの主鎖中にシロキサン結合を含有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドにおいて、主鎖中のシロキサン結合はテトラカルボン酸二無水物成分由来のシロキサン結合であっても、ジアミン成分由来のシロキサン結合であってもよいが、好ましくはジアミン成分由来のシロキサン結合であり、通常、ジアミン成分の少なくとも一部に、分子骨格中にシロキサン結合(-Si-O-)を有するジアミン化合物(以下、「シロキサン結合含有ジアミン」と呼ぶことがある。)を用いて得られたブロック共重合ポリイミドが使用される。
本発明において、シロキサン結合含有ジアミンとしては、テトラカルボン酸二無水物との間でイミド化し得るものであれば特に制限なく使用できるが、例えば、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び一般式(I):
Figure 2011256318
(式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は1〜3個のアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)で表される化合物が挙げられる。当該一般式(I)で表される化合物は、式中nが1又は2の単一化合物、及びポリシロキサンジアミンを含む。
式(I)中の4つのRのそれぞれにおいて、アルキル基、シクロアルキル基の炭素数は1〜6が好ましく、1〜2がより好ましい。また、1〜3個のアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されたフェニル基における、1〜3個のアルキル基若しくはアルコキシ基は、それが2又は3個の場合、互いに同一であっても異なってもよい。また、アルキル基、アルコキシ基は、それぞれ、炭素数が1〜6が好ましく、1〜2がより好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、式中の4つのRがアルキル基(特にメチル基)又はフェニル基であるのが好ましく、また、式中l及びmが2〜3、nが5〜15にあるポリシロキサンジアミンが好ましい。
なお、ポリシロキサンジアミンの好ましい例としては、ビス(γ−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(式(I)中、l及びmが3、4つのRがメチル基のもの。)、ビス(γ−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン(式(I)中、l及びmが3、4つのRがフェニル基のもの。)が挙げられる。
本発明において、シロキサン結合含有ジアミンはいずれか一種の化合物を単独で使用しても、2種以上を併用して使用してもよい。なお、かかるシロキサン結合含有ジアミンは、市販品を使用してもよく、信越化学工業社、東レ・ダウコーニング社、チッソ社から販売されているものをそのまま使用できる。具体的には、信越化学工業社製のKF−8010(ビス(γ−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン:アミノ基当量約450)、X−22−161A(ビス(γ−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン:アミノ基当量約840)等が挙げられ、これらは特に好ましいものである。
本発明において、アニオン性基とは、電着組成物の溶媒(後述)中でアニオンになる基であり、好ましくはカルボキシル基若しくはその塩、及び/又は、スルホン酸基若しくはその塩である。アニオン性基は、シロキサン含有ジアミンやテトラカルボン酸二無水物成分が有していてもよいが、アニオン性基を有するジアミンをジアミン成分の1つとして用いることが好ましい。ポリイミドの耐熱性、被電着物との密着性、重合度向上のために、このようなアニオン性基含有ジアミンは、芳香族ジアミンであることが好ましい。すなわち、芳香族ジアミノカルボン酸及び/又は芳香族ジアミノスルホン酸が好ましい。芳香族ジアミノカルボン酸としては、例えば、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノフェニル酢酸、2,5−ジアミノテレフタル酸、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジアミノパラトルイル酸、3,5−ジアミノ−2−ナフタレンカルボン酸、1,4−ジアミノ−2−ナフタレンカルボン酸等が挙げられ、芳香族ジアミノスルホン酸としては、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、4,4’−ジアミノ−2,2’−スチルベンジスルホン酸、o−トリジンジスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、3,5−ジアミノ安息香酸が特に好ましい。このようなアニオン性基含有芳香族ジアミンは、単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。なお、シロキサン結合含有ジアミンがアニオン性基を有している場合には、ジアミン成分は、シロキサン結合含有ジアミンのみであってもかまわない。
ジアミン成分として、上記したシロキサン結合含有ジアミン及びジアミノカルボン酸に加え、さらに他のジアミンが含まれていてもよい。このようなジアミンとしては、ポリイミドの耐熱性、被電着物への密着性、重合度向上のため通常は芳香族ジアミンが用いられる。このような芳香族ジアミンの例として、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−メチルピリジン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−1,3-ジイソプロピルベンゼンを挙げることができ、中でも、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンがより好ましい。
全ジアミン成分中、前記シロキサン結合含有ジアミンの割合は5〜90モル%が好ましく、より好ましくは15〜50モル%である。シロキサン結合含有ジアミン単位が5モル%未満の場合、ポリイミドの電着塗膜は伸び率が劣り、十分な可とう性が得られにくくなって、剥がれや割れを生じ易くなるため、好ましくない。また、前記芳香族ジアミノカルボン酸又はその塩の割合が10〜70モル%であることが好ましい(ただし、シロキサン結合含有ジアミンと芳香族ジアミノカルボン酸又はその塩の合計は100モル%以下であり、また、上記の通り第3のジアミン成分を含んでいてもよい)。
一方、ポリイミド中のテトラカルボン酸二無水物成分としては、ポリイミドの耐熱性、ポリシロキサンジアミンの相溶性の点から芳香族テトラカルボン酸二無水物が通常使用され、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらの中でもポリイミドの耐熱性、被電着物への密着性、ポリシロキサンジアミンの相溶性、重合速度の観点から3,3',4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物が特に好ましいものとして挙げられる。これら例示のテトラカルボン酸二無水物は、何れか一種の化合物を単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明における、分子骨格(すなわちポリイミドの主鎖)中にシロキサン結合(-Si-O-)を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドは、公知の方法を適用して製造することができる。すなわち、公知のブロック共重合ポリイミドの製造方法(例えば、特許文献9、10に記載の方法)に沿って行うことがきる。
重合反応には水溶性極性溶媒が用いられ、具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(γBL)、アニソール、テトラメチル尿素、及びスルホランから選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、なかでも、NMPが好ましい。かかる水溶性極性溶媒中に、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを、ほぼ等モル(好ましくはモル比で1:0.95〜1.05)加え、触媒存在下で加熱して脱水イミド化反応することにより直接ポリイミド溶液を製造する。触媒は、ラクトンと塩基又はクロトン酸と塩基から成る2成分系の複合触媒である。ラクトンとしてはγ−バレロラクトンが好ましく、塩基としてはピリジン又はN−メチルモルホリンが好ましい。ラクトン又はクロトン酸と塩基の混合比(ラクトン又はクロトン酸:塩基)は、1:1〜5(モル当量)、好ましくは、1:1〜2である。水が存在すると、酸−塩基の複塩として、触媒作用を示し、イミド化が完了し、水が反応系外に出る(好ましくは、トルエンの存在下で重縮合反応を行い、生成する水はトルエンと共に反応系外に除かれる)と触媒作用を失う。この触媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対し通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.02〜0.1モルである。上記イミド化反応に供するテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの混合比(テトラカルボン酸二無水物:ジアミン)は、上記の通りモル比で1:1.05〜0.95程度が好ましい。また、反応開始時における反応混合物全体中の酸二無水物の濃度は4〜16重量%程度が好ましく、ラクトン又はクロトン酸の濃度は0.2〜0.6重量%程度が好ましく、塩基の濃度は0.3〜0.9重量%程度が好ましく、トルエンの濃度は6〜15重量%程度が好ましい。反応温度は、150℃〜220℃が好ましい。また、反応時間は特に限定されず、製造しようとするポリイミドの分子量等により異なるが、通常180〜900分間程度である。また、反応は撹拌下で行うことが好ましい。
水溶性極性溶媒中、上記2成分系の酸触媒の存在下で酸二無水物とジアミンと加熱してイミドオリゴマーを生成させ、次いでこれに酸二無水物又は/及びジアミンを加えて第2段階反応することによりポリイミドを生成することができる。この方法によりアミック酸間で起こる交換反応に起因するランダム共重合化を防止することができる。その結果、ブロック共重合ポリイミドが製造できる。このときの固形分濃度は10〜40重量%が好ましく、より好ましくは20〜30重量%である。
ブロック共重合ポリイミドは固有対数粘度(25℃)が20重量%NMP溶液時で5000〜50000mPasであるものが好ましく、5000〜15000mPasがより好ましい。
また、重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算で20,000〜150,000が好ましく、特に45,000〜90,000が好ましい。当該ポリイミドの重量平均分子量が20,000未満の場合、電着塗膜の耐熱性が低下する傾向となり、また塗膜表面が荒れて、審美性および耐電圧特性が低下しやすい傾向となる。また、重量平均分子量が150,000より大きくなると、ポリイミド樹脂が水に対して撥水性を帯びやすくなる。
また、数平均分子量(Mn)については、ポリスチレン換算で10,000〜70,000が好ましく、より好ましくは20,000〜40,000である。数平均分子量が10,000未満の場合、電着効率が低下する恐れがあり、また、耐熱性、耐電圧性が低下する恐れもある。
上記分子量はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定される、ポリスチレン換算の分子量であり、GPC装置として東ソー社製HLC−8220を、カラムにSCkgel Super−H−RCを使用して、測定した値である。
本発明において、「サスペンジョン型塗料」とは、レーザードップラー法(動的・電気泳動光散乱法)により塗料中の分散粒子の粒径・粒度分布を測定したときに、ブロック共重合ポリイミドが粒径が0.05μm以上の析出粒子(固形粒子)として観測されるサスペンジョンを形成していることを意味する。したがって、上記ブロック共重合ポリイミドを含んでいても、上記ブロック共重合ポリイミドが粒径0.05μm以上の析出粒子(固形粒子)として観察されない塗料は、本発明でいう「サスペンジョン型塗料」には含まれない。なお、本出願人が以前に提案した電着塗料組成物(特許文献7)は、均一溶液(溶液の分散系)であり、本発明でいう「サスペンジョン型塗料」には含まれない。
本発明のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料(以下、単に「サスペンジョン型電着塗料」ともいう。)において、ブロック共重合ポリイミドの析出粒子の平均粒径は0.05〜5μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.5〜3μmがとりわけ好ましい。析出粒子の平均粒径が0.05μm未満であると、電着効率が低下する傾向となり、5μmを超えると、被膜の均一性の低下やピンホールが生じるおそれがある。
また、本発明のサスペンジョン型電着塗料は、特にブロック共重合ポリイミドの析出粒子の粒径のばらつきが極めて小さいという特徴を有する。すなわち、ブロック共重合ポリイミドの析出粒子の平均粒径をD1としたき、(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲に入る粒径の粒子が全体の55%(個数基準)以上(好ましくは60%(個数基準)以上、より好ましくは70%(個数基準)以上、とりわけ好ましくは80%(個数基準)以上)となる、シャープな粒度分布を有する。
なお、本発明のサスペンジョン型電着塗料におけるブロック共重合ポリイミドの析出粒子の粒径はレーザードップラー法(動的・電気泳動光散乱法)によって測定され、粒径は球体相当径として測定される。また、平均粒径は個数平均径である。レーザードップラー法(動的・電気泳動光散乱法)による粒径測定装置としては、電子株式会社ELSZ-2(ゼータ電位・粒径測定装置)等を使用することができる。
本発明のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料は、上述のような微細粒径でかつ粒径のばらつきが極めて小さいブロック共重合ポリイミドの析出粒子が分散したサスペンジョンであることから、高い電着速度で、膜性状の均一性が極めて高く、機械的特性(強度等)、物理的特性(耐電圧性、耐熱性等)のバラツキが極めて小さい電着被膜を形成することができる。このため、本発明のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料を用いることで、極めて高い絶縁性(特に耐電圧性)と耐熱性を兼ね備えた絶縁被膜を有する絶縁部材(部品)を高歩留りに製造することができる。
本発明のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料は以下の方法によって製造することができる。
先ず、前述の重合反応を経て得られた、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを含む溶液(以下、単に「ポリイミド溶液」ともいう。)を加熱する。ここでの加熱温度は通常100〜180℃程度、好ましくは120〜160℃程度である。加熱温度が100℃未満では、ブロック共重合ポリイミドが溶解せず、180℃を超えると、ポリイミドが加水分解を起こし、分子量が低下する傾向となる。
次に、必要に応じてポリイミド溶液に水溶性極性溶媒を加えて希釈した後、ブロック共重合ポリイミドに対する貧溶媒と、塩基性化合物を混合して、ブロック共重合ポリイミドの中和を行う。なお、貧溶媒と塩基性化合物を添加する前のブロック共重合ポリイミド溶液は通常ブロック共重合ポリイミドの濃度が15〜25重量%程度であり、電気伝導度は3〜6mS/m程度である。
塩基性化合物としては、ブロック共重合ポリイミドが有するアニオン性基を中和し得るものであれば特に制限なく使用できるが、塩基性含窒素化合物が好ましく、例えば、N,N−ジメチルアミノエタノール、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−ジメチルベンジルアミン、アンモニア等の第1級アミン;第2級アミン;第3級アミン等が挙げられる。また、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール等の含窒素五員複素環化合物やピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等の含窒素六員複素環化合物等の含窒素複素環式化合物が挙げられる。なお、脂肪族アミンは臭気が強いものが多いので、低臭気である点から含窒素複素環式化合物が好ましい。また、塗料の毒性を考慮した場合、含窒素複素環式化合物の中でも毒性が低いピペリジン、モルホリンが好ましい。当該塩基性化合物の使用量はポリイミド中の酸性基が水溶液中に安定に溶解または分散する程度であり、通常、理論上の中和率が70〜130%程度となる量である。
また、ブロック共重合ポリイミドの貧溶媒としては、例えば、フェニル基、フルフリル基若しくはナフチル基を有するアルコール又はケトン類が挙げられ、具体的には、アセトフェノン、ベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、フェノキシ−2−エタノール、シンナミルアルコール、フルフリルアルコール、ナフチルカルビノール等が挙げられる。また、脂肪族アルコール系溶媒を使用することができ、脂肪族アルコール系溶媒は毒性が低い点で好ましく、エーテル基を有する脂肪族アルコール系溶媒が特に好ましい。脂肪族アルコール系溶媒としては、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール類、プロピレングリコール類が挙げられる。エチレングリコール類、プロピレングリコール類の具体例としては、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これら貧溶媒は1種又は2種以上を使用することができる。かかる貧溶媒の配合量は、後述の希釈工程においてポリイミドを微細粒子に析出させる観点から決定され、ポリイミド溶液の固形分に対して、50〜300重量%が好ましく、より好ましくは100〜200重量%である。
塩基性化合物と、貧溶媒の配合順序は特に限定されず、塩基性化合物、貧溶媒の順序でも、貧溶媒、塩基性化合物の順序でも、同時に投入してもよいが、溶液の均一化の観点から、塩基性化合物を添加後、貧溶媒を投入する順序が好ましい。また、塩基性化合物及び貧溶媒の配合は、通常、攪拌下に行なわれ、この際の攪拌は一般的な各種タイプの攪拌装置にて行うことができる。例えば、タービン型攪拌機、コロイドミル、ホモミキサー、ホモジナイザー、ディスパー攪拌機、可動式の攪拌装置を備えたラインミキサー、非可動式のライン式の混合機(スタティックミキサー、商品名、株式会社ノリタケ製)、高圧ホモジナイザー、自転・公転式ミキサー等が挙げられる。また、より均一な混合(分散)状態を形成するために薄膜旋回型攪拌機(円筒状の攪拌槽内に回転軸が同心に設けられ、攪拌槽より僅かに小径の回転羽根が該回転軸に取付けられ、回転羽根の高速回転により被処理液を攪拌槽の内面に薄膜円筒状に拡げながら攪拌するタイプの攪拌機)等を用いてもよい。
次に、このようにして中和処理されたブロック共重合ポリイミドの溶液を、室温下に当該溶液の1日当たりの電気伝導度の変化量が0.1mS/m以下となるまで放置する。すなわち、中和処理されたブロック共重合ポリイミドの溶液を室温下に放置すると、配合成分間の相溶性が向上して、溶液の電気伝導度が低下していくが、溶液の均一性が増すにつれて1日当たりの電気伝導度の低下量が減少し、1日当たりの電気伝導度の変化量が0.1mS/m以下になるまで放置すると、後述の水投入による希釈工程において、ブロック共重合ポリイミドを微細で粒径のばらつきが小さい固形粒子として析出させることができ、厚みの均一性の高い電着被膜が得られる塗料となる。中和処理されたブロック共重合ポリイミドの溶液の1日当たりの電気伝導度の低下量が0.1mS/m以下になる前に、後述の水投入による希釈工程を行った場合は、ブロック共重合ポリイミドを、前述の平均粒径を有し、かつ、シャープな粒度分布を有する固形粒子として析出させることが困難となる。このため、前述の平均粒径を有していても、粒径のバラツキが大きいため、得られる電着被膜は厚みのバラツキが大きいものとなってしまう。ここで、室温下に放置とは、温度が20〜25℃、湿度が30〜80%RHの環境下に中和処理されたブロック共重合ポリイミドの溶液を置くことであり、1日当たりの電気伝導度の低下量が0.1mS/m以下となるまで放置したブロック共重合ポリイミドの溶液の電気伝導度は概ね1.7〜2.7mS/m程度となる。なお、溶液の電気伝導度の測定方法は特に限定されず、例えば、交流2電極法を用いた一般的な測定装置にて行うことができる。
次に、上記の1日当たりの電気伝導度の低下量が0.1mS/m以下となるまで放置したブロック共重合ポリイミドの溶液に対して、攪拌下に水を投入して、ブロック共重合ポリイミドを析出させて、サスペンジョン型塗料を調製する。この際の水の総投入量は最終的な塗料の固形分濃度が1〜12重量%となる量である。
水の投入は、ブロック共重合ポリイミドが析出し得る量よりも少ない量の水を攪拌下に投入する第1希釈工程と、該第1希釈工程の後に、さらに攪拌下に水を投入して、ブロック共重合ポリイミドを析出させる第2希釈工程とに分けて行う。なお、ブロック共重合ポリイミドが析出し得る水の量は予め予備実験を数回行うことによって知ることができる。
第1希釈工程と第2希釈工程に分けるのは、ブロック共重合ポリイミドが析出する直前の溶液をより均一性の高い分散状態にしてから、ブロック共重合ポリイミドの析出を生じさせるためである。ブロック共重合ポリイミドが析出する直前の溶液をより均一性の高い分散状態にしてから、ブロック共重合ポリイミドの析出を生じさせることで、ブロック共重合ポリイミドを十分に小さい粒径の固形粒子として析出させることができ、また、析出したブロック共重合ポリイミドの固形粒子を含む分散液の分散安定性が向上する。最終的な塗料の固形分濃度に見合った量の水を一括投入した場合は、ブロック共重合ポリイミドが析出しなかったり、析出するブロック共重合ポリイミド粒子の粒径が大きくなり、粒径のばらつきも大きくなってしまう。また、最終的に得られる電着塗料の保存安定性も低下してしまう。また、最終的な塗料の固形分濃度に見合った量の水を連続的に投入しても、均一性の高い分散状態を保ちながらポリイミドを析出することができないため、析出するブロック共重合ポリイミド粒子の粒径が大きくなり、粒径のばらつきも大きくなってしまう。
また、第2の希釈工程では、水を少なくとも2回以上の複数回に分けて投入することが好ましい。これは、水を複数回に分けて少量ずつ投入することで、水の均一な分散状態を保ちながらポリイミドを析出させることができ、その結果、ブロック共重合ポリイミドをより微細な粒子に析出させることができるためである。このように、水を少なくとも2回以上に分けて投入することにより、ブロック共重合ポリイミドが、前述の平均粒径が0.05〜5μm(好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.5〜3μm)の範囲内にあり、かつ、平均粒径をD1(μm)としたき、(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲に入る粒径の粒子が全体の55%(個数基準)以上(好ましくは70%(個数基準)以上、より好ましくは80%(個数基準)以上)となる関係を満たす、シャープな粒度分布の粒子として析出したサスペンジョンを確実に得ることができる。
水の1回の投入量と攪拌装置の攪拌能力によっても異なるが、水の投入期間(すなわち、一度水を投入してから、次の水を投入する迄の間隔)は、概ね0.25時間以上空けるのが好ましく、0.5時間以上が好ましい。水の投入期間を十分に空けることでより均一な分散状態を形成することができる。なお、必要以上に水の投入期間を長くすると、分散状態の向上効果が頭打ちとなり、効率の低下が顕著になるため、水の投入期間は2時間以下であるのが好ましい。また、攪拌機による分散能力を一定に管理できることから、複数回に分けて投入する各投入時の水の投入量は大きく変化させないのが好ましく、複数回の投入間における最大投入量が最小投入量の5倍以下であるのが好ましく、複数回の投入間での各投入量を略同量とするのがより好ましい。
なお、第1の希釈工程においても、水のより均一な分散状態を形成するために、水を複数回に分けて少量ずつ投入するのが好ましく、複数回に分けて投入する際は、各投入時の水の投入量は略等しくするのが好ましい。
第1及び第2希釈工程における攪拌は、少量添加の水を短時間で十分に分散させる能力のある攪拌機で行うのが好ましく、薄膜旋回型攪拌機(円筒状の攪拌槽内に回転軸が同心に設けられ、攪拌槽より僅かに小径の回転羽根が該回転軸に取付けられ、回転羽根の高速回転により被処理液を攪拌槽の内面に薄膜円筒状に拡げながら攪拌するタイプの攪拌機)が使用される。
ここで、薄膜旋回型攪拌機とは、インラインの容器内に容器と同形のタービンを内蔵し、タービンが高速回転することによって容器方向への遠心力が発生して容器内の溶液が容器内壁に固定され、容器とタービンの間で遠心力と高速回転によるずり応力とで液相と固相が分散される攪拌装置である。本発明におけるブロック共重合ポリイミドの溶液(ポリイミドワニス)への水の分散においては、ポリイミドワニスが水と接触することでポリイミドが析出する。そのとき、ずりせん断応力が十分でないとポリイミド粒子と水が分離して沈殿を生じる傾向となる。また遠心力が十分でなければ溶液は容器下部にたまり、水とポリイミドの接触によって、ポリイミドが塊状に固化してしまう。よって、薄膜旋回型攪拌機を使用した本発明のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料の作製では、ブロック共重合ポリイミドの溶液(ポリイミドワニス)を容器内壁に固定することができるだけの遠心力と容器内径とを計算により求めて攪拌を行なう。また、遠心力及びずり応力のために発生する熱によってポリイミドが分解するのを防ぐために、容器内の温度が分解温度以下になるようタービンの回転数を決定する。
薄膜旋回型攪拌機での攪拌条件は特に限定はされないが、タービンの回転軸の回転数が8000〜12000rpmが好ましく、周速が30〜50m/sが好ましい。また、攪拌時の溶液の温度は溶剤組成変化や樹脂劣化の防止の観点から80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。なお、樹脂の析出を緩やかにコントロールする観点、また、溶液粘度を下げて攪拌効率を上げる観点から、45℃以上が好ましい。
第2希釈工程の後は、最終的な塗料の粘度や電気伝導度等を調整する目的で、水溶性極性溶媒を適量添加してもよい。ここで、水溶性極性溶媒の具体例としては、前記のブロック共重合ポリイミドの重合反応に使用する水溶性極性溶媒と同じものが挙げられる。
本発明のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料の固形分濃度は1〜12重量%が好ましく、より好ましくは2〜9重量%である。
このようにして製造される本発明のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料は、長期間保存しても、ブロック共重合ポリイミドの固形粒子の凝集、固液分離等を生じることなく、良好な分散状態を維持するため、絶縁部材(部品)の量産化にも対応できる。また、成長過程での被膜の電気伝導度が高く、低電流の電着条件でも、部材(被電着物)外周面に膜性状の均一性が高いポリイミド被膜を形成することができる。
本発明の電着塗料の電着方法は、部材(被電着物)を、電着塗料に浸漬し、該部材(被電着物)を陽極として電流を通じて該部材(被電着物)上にポリイミド被膜を成長させればよい。
電着は、定電流法又は定電圧法で行うことができ、例えば、定電流法の場合、電流値:1.0〜200mA、直流電圧:5〜200V(好ましくは30〜120V)の条件が挙げられる。また、電着時間は電着条件、形成すべき被膜の厚み等によっても異なるが、一般的には10〜120秒の範囲から選択され、好ましくは30〜60秒である。また、電着の際の組成物温度は通常10〜40℃、好ましくは20〜30℃である。電着電圧が5Vより低いと電着によって被膜を形成させることが困難となる傾向があり、200Vよりも大きくなると被塗布物からの酸素の発生が激しくなり均一な被膜形成ができなくなる。電着時間が短すぎると電着電圧を高めに設定しても十分に被膜が成長しにくいためにピンホールが発生しやすく、電着被膜の耐電圧性能が低下する傾向となり、120秒を超えると、被膜の厚さが必要以上に厚くなるだけで経済性に欠ける。また、組成物温度が10℃よりも低いと電着によって被膜形成をさせることが困難になり、40℃よりも高くなると温度管理が必要となり生産コストを上げる原因になる。
電着によって形成された被膜は、加熱乾燥(焼付け)することが好ましい。焼付けは70〜110℃で10〜60分の第一段階の焼付け処理を行った後、160〜180℃で10〜60分の第二段階の焼付け処理を行い、さらに200〜220℃で30〜60分の第三段階の焼付け処理を行うのが好ましい。このような3段階の焼付け処理を行うことで、被電着物に対して高い密着力で密着した十分に乾燥されたポリイミドの被膜を形成することが出来る。
このような本発明の電着塗料による電着被膜を加熱乾燥(焼付け)して得られるポリイミド被膜は、被膜厚みの均一性が極めて高く、高い耐熱性(JIS C 3003に準拠した温度指数評価法での温度指数が180℃(耐熱区分:H種)、好ましくは200℃以上(耐熱区分:C種))を達成でき、しかも、JIS C 2151に準拠して測定される伸び率が5%以上、好ましくは8%以上という高い伸び率を有するものとなる。
本発明の電着塗料用組成物がその表面に電着される部材(被電着物)の材質は、特に限定されないが、導電性の点から、銅、銅合金、銅グラットアルミニウム、アルミニウム、亜鉛メッキ鉄、銀、金、ニッケル、チタン、タングステン等が挙げられ、中でも、銀または銅が好ましい。また、絶縁製品であっても表面にメッキのように導電加工を施したものであるものならば本発明の電着塗料用組成物による電着膜を形成することができる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
[ブロック共重合ポリイミドを含むワニスの合成]
ステンレス製の碇型攪拌機を取り付けた2リットルのセパラブル三つ口フラスコに水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。該フラスコに3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物58.84g(200ミリモル)、ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン43.25g(100ミリモル)、γ−バレロラクトン4.0g(40ミリモル)、ピリジン6.3g(80ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)531gおよびトルエン50gを仕込み、室温、窒素雰囲気下、180rpmで10分攪拌した後、180℃に昇温して2時間攪拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。ついで、室温に冷却し、3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物64.45g(200ミリモル)、信越化学工業社製KF−8010を83.00g(100ミリモル)、3,5−ジアミノ安息香酸30.43g(200ミリモル)、NMP531gおよびトルエン50gを添加し、180℃、180rpmで攪拌しながら、8時間反応させた。環流物を系外に除くことにより、ポリイミドの含有量が20重量%のポリイミド溶液を得た。得られたポリイミドの数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれ24,000及び68,000であった。
[サスペンジョン型塗料の調製]
上述のポリイミドワニス(固形分濃度20重量%)100gを160℃で1時間加熱して、ポリイミドを溶融させた。次に、このポリイミドワニスに、N−メチルピロリドンを35g、ピペリジンを1.3g加えて攪拌した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル30gを加え均一になるまで攪拌した(中和率:100%)。次に、ワニスを容器に移して密栓した後、室温下に保管して、溶液の電気伝導度の1日当たりの変化が0.1mS/m以下になるまで静置した。静置日数は4日であった。なお、電気伝導度は交流2電極法を用いた測定装置(堀場製作所製、電気伝導率計 DS−12)で行った。次に、予備実験を行って、ポリイミドが析出する水の最少投入量が12gであることを確認した。次に、薄膜旋回型攪拌機を用いて、攪拌部の回転数10000rpmにて攪拌しながら、水55gを3回(10g、15g、30g)に分けて投入した。1回目の投入時と2回目投入時の間隔は0.5時間、2回目投入時と3回目投入時の間隔は1時間とし、3回目投入後に1.5時間攪拌して、白濁淡茶色の電着液を調製した。電着液の電気伝導度は3.9mS/m、pHは7.11であり、電着液中の分散粒子の平均粒径(D1)は1.1μmであった。また、平均粒径の±30%の粒径範囲(すなわち、(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲)にある粒子は全体の75%(個数基準)であった。
(比較例1)
サスペンジョン型塗料の調製において、中和処理後のワニスを保管せず、中和処理後のワニス(電気伝導度4.5mS/m)に直ちに水の投入処理を行った以外は、実施例1と同様の操作をして電着液を調製した。電着液の電気伝導度は5.8mS/m、pHは7.5であった。電着液中には析出粒子(分散粒子)が観測されなかった。
(比較例2)
サスペンジョン型塗料の調製において、中和処理後のワニスの保管において、静置日数を2日とした以外は、実施例1と同様の操作をして電着液を調製した。溶液の2日目における1日当たりの電気伝導度の変化は0.8mS/mであり、最終の電着液の電気伝導度は5.0mS/m、pHは7.2であった。得られた電着液中の分散粒子の平均粒径(D1)は0.3μmで、平均粒径(D1)の±30%の粒径範囲(すなわち、(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲)にある粒子は全体の45%(個数基準)であった。
(比較例3)
サスペンジョン型塗料の調製において、水55gを1度に投入して、2時間攪拌した以外は、実施例1と同様の操作をして電着液を調製した。電着液の電気伝導度は4.5mS/m、pHは7.1であった。得られた電着液中の分散粒子の平均粒径(D1)は5.5μmで、平均粒径(D1)の±30%の粒径範囲(すなわち、(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲)にある粒子は全体の20%(個数基準)であった。
(比較例4)
水投入処理(希釈処理)での攪拌装置として、TKホモミクサーMARKII(攪拌条件:回転数10,000rpm)を使用した以外は実施例1と同様の操作をして電着液を調製した。電着液の電気伝導度は3.9mS/m、pHは7.2であった。得られた電着液中の分散粒子の平均粒径(D1)は1.2μmで、平均粒径(D1)の±30%の粒径範囲(すなわち、(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲)にある粒子は全体の40%(個数基準)であった。
(比較例5)
実施例1で得られた固形分濃度が20.0重量%のポリイミドワニスを窒素雰囲気下160℃で1時間攪拌し、その後、30℃まで急冷し、N−メチルピロリドン41.9gとピペリジン2.2g(中和率200%)を加え、激しく攪拌した。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル124gを加えながら攪拌、水49gを滴下して電着液を調製した。電着液は固形分濃度6.0%、pH8.2、電気伝導度7.1mS/mの白濁液であった。また、電着液中の分散粒子の平均粒径(D1)は0.7μm、平均粒径の±30%の粒径範囲(すなわち、(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲)にある粒子は全体の50%(個数基準)であった。
(実施例2)
ピペリジンの添加量を1.7g(中和率130%)とする以外は実施例1と同様の操作をして電着液を調製した。電着液の電気伝導度は4.1mS/m、pHは7.3であった。得られた電着液中の分散粒子の平均粒径(D1)は0.6μmで、平均粒径(D1)の±30%の粒径範囲(すなわち、(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲)にある粒子は全体の80%(個数基準)であった。
(実施例3)
ピペリジンの添加量を1.1g(中和率80%)とする以外は実施例1と同様の操作をして電着液を調製した。電着液の電気伝導度は3.6mS/m、pHは7.1であった。得られた電着液中の分散粒子の平均粒径(D1)は1.7μmで、平均粒径(D1)の±30%の粒径範囲(すなわち、(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲)にある粒子は全体の60%(個数基準)であった。
(実施例4)
水55gを4回(10g、15g、15g、15g)に分けて投入した(1回目の投入時と2回目投入時の間隔は0.5時間、2回目投入時と3回目投入時の間隔及び3回目投入時と4回目投入時の間隔は1時間とし、4回目投入後に1時間攪拌した)以外は実施例1と同様にして、白濁淡茶色の電着液を調製した。電着液の電気伝導度は3.9mS/m、pHは7.2であり、電着液中の分散粒子の平均粒径(D1)は0.8μmであった。また、平均粒径の±30%の粒径範囲(すなわち、(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲)にある粒子は全体の70%(個数基準)であった。
(実施例5)
サスペンジョン型塗料の調製において、中和処理後のワニスの保管において、静置日数を10日とした以外は、実施例1と同様の操作をして電着液を調製した。溶液の10日目における電気伝導度の1日当たりの変化は0.05mS/mであり、最終の電着液の電気伝導度は3.7mS/m、pHは7.2であった。得られた電着液中の分散粒子の平均粒径(D1)は1.4μmで、平均粒径(D1)の±30%の粒径範囲(すなわち、D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲)にある粒子は全体の75%(個数基準)であった。
以上の実施例及び比較例で得られた電着液の性能(電着速度、電着被膜の厚みの均一性)と保存安定性について評価した。
[電着速度]
直径1mmの銅線20cmにクーロンメーターを用い被膜厚さが20μmとなるようクーロン量を調整、30V(最大電流値200mA)で電着したときの時間を測定し、以下の基準で評価した。
5秒以内:良好(○)
5秒を超え、10秒以内:許容(△)
10秒を超える:不可(×)
[電着膜の厚みの均一性]
上記電着速度の測定試験後の試料の電着被膜を乾燥(温風乾燥機にて90℃/30分、180℃/30分、220℃/30分で乾燥)して得られた絶縁被覆銅線の外径を測定し、(外径−導体径)÷2を被膜厚みとして、サンプルの8箇所(銅線の軸線方向に2cmの等間隔で離れた8箇所)を測定し、最大、最小の被膜厚さからバラツキを判断した。最大被膜厚さと最小被膜厚さの差による以下の基準で評価した。
3μm以下:良好(○)
3μmを超え、5μm以下:許容(△)
5μmを超える:不可(×)
[塗料の保存安定性]
室温で3ヶ月間放置後の電着液の上澄み部分の固形分濃度を測定し、放置前の固形分濃度からの減少量を沈殿の量として評価した。
沈降物が認められないか、わずかの場合は良好(○)とし、沈降物が多いか、或いは、ゲル化が認められる場合は不良(×)とした。なお、「沈降物が多い」とは上澄み中の固形分量の減少割合が35重量%以上のことである。
Figure 2011256318

Claims (19)

  1. 分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドの粒子が分散したサスペンジョン型ポリイミド電着塗料であって、
    レーザードップラー法(動的・電気泳動光散乱法)により測定される前記ブロック共重合ポリイミドの粒子の平均粒径が0.05〜5μmであり、かつ、平均粒径をD1(μm)としたき、(D1−0.3×D1)μm〜(D1+0.3×D1)μmの粒径範囲に入る粒径の粒子が全体の55%(個数基準)以上となる粒度分布を有することを特徴とする、サスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
  2. ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の一つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含むものである、請求項1記載のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
  3. 分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は2記載のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
    Figure 2011256318
    (式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は1個ないし3個のアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)
  4. ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、芳香族ジアミノカルボン酸を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
  5. ブロック共重合ポリイミドのアニオン性基が、カルボン酸基若しくはその塩、及び/又は、スルホン酸基若しくはその塩である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
  6. ブロック共重合ポリイミドの全ジアミン成分中、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンの割合が5〜90モル%、前記芳香族ジアミノカルボン酸の割合が10〜70モル%(ただし、両者の合計は100モル%以下であり、第3のジアミン成分を含んでいてもよい)である、請求項3〜5のいずれか1項記載のサスペンジョン型ポリイミド電着塗料。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の電着塗料による電着被膜を絶縁層として有する絶縁性部材。
  8. 分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドの粒子が分散したサスペンジョン型ポリイミド電着塗料の製造方法であって、
    分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドが水溶性極性溶媒に溶解した、当該ブロック共重合ポリイミドの濃度が15〜25重量%であるポリイミド溶液に、前記ブロック共重合ポリイミドに対する貧溶媒と塩基性化合物を配合して前記ブロック共重合ポリイミドの中和処理をした後、室温で、当該ポリイミド溶液の1日当たりの電気伝導度の変化量が0.1mS/m以下となるまで当該溶液を放置する工程と、
    かかる放置後のポリイミド溶液に前記ブロック共重合ポリイミドが析出し得る液量よりも少ない量の水を攪拌下に投入する第1希釈工程と、
    該第1希釈工程の後に、さらに攪拌下に水を投入して、前記ブロック共重合ポリイミドを析出させる第2希釈工程とを含み、
    第1及び第2希釈工程での攪拌手段として、薄膜旋回型攪拌機を使用することを特徴とする、サスペンジョン型ポリイミド電着塗料の製造方法。
  9. 第2の希釈工程において、水を少なくとも2回以上に分けて投入することを特徴とする、請求項8記載の方法。
  10. 貧溶媒の配合量がポリイミド溶液中のポリイミドに対して50〜300重量%であり、塩基性化合物の配合量がポリイミドの中和率が70〜130%となる量であり、水の総投入量が塗料の固形分濃度が1〜12重量%となる量である、請求項8又は9記載の方法。
  11. 水溶性極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(γBL)、アニソール、テトラメチル尿素、及びスルホランから選ばれる1種又は2種以上からなる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. ブロック共重合ポリイミドの貧溶媒がアルコキシ置換脂肪族アルコールである、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 塩基性化合物が塩基性含窒素化合物である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 塩基性含窒素化合物が含窒素複素環式化合物である、請求項13記載の方法。
  15. ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の一つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含むものである、請求項8〜14のいずれか1項記載の方法。
  16. 分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項15記載の方法。
    Figure 2011256318

    (式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は1個ないし3個のアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)
  17. ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、芳香族ジアミノカルボン酸を含む、請求項8〜16のいずれか1項記載の方法。
  18. ブロック共重合ポリイミドのアニオン性基が、カルボン酸基若しくはその塩、及び/又は、スルホン酸基若しくはその塩である、請求項8〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. ブロック共重合ポリイミドの全ジアミン成分中、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンの割合が5〜90モル%、芳香族ジアミノカルボン酸の割合が10〜70モル%(ただし、両者の合計は100モル%以下であり、第3のジアミン成分を含んでいてもよい)である、請求項8〜17のいずれか1項記載の方法。
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