JP2005162954A - 電着塗料組成物及びそれを用いた電着方法 - Google Patents
電着塗料組成物及びそれを用いた電着方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005162954A JP2005162954A JP2003406701A JP2003406701A JP2005162954A JP 2005162954 A JP2005162954 A JP 2005162954A JP 2003406701 A JP2003406701 A JP 2003406701A JP 2003406701 A JP2003406701 A JP 2003406701A JP 2005162954 A JP2005162954 A JP 2005162954A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrodeposition coating
- polyimide
- coating composition
- electrodeposition
- composition according
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
Abstract
【課題】 優れた耐熱性を有するとともに、被電着物上に剥がれや割れが生じにくい信頼性の高い、高絶縁電着被膜層の作製を可能とするポリイミド電着塗料組成物およびそれを用いた電着方法を提供すること。
【解決手段】 分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有する電着塗料組成物を提供した。また、電着塗料組成物中に導電体を浸漬し、該導電体を陽極として電流を通じて該導電体上にポリイミド膜を析出させることを含むアニオン型電着方法を提供した。
【選択図】 なし
【解決手段】 分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有する電着塗料組成物を提供した。また、電着塗料組成物中に導電体を浸漬し、該導電体を陽極として電流を通じて該導電体上にポリイミド膜を析出させることを含むアニオン型電着方法を提供した。
【選択図】 なし
Description
本発明は、電着塗料組成物及びそれを用いた電着方法に関し、特に、優れた耐熱性を有するとともに、被電着物上に剥がれや割れが生じにくい信頼性の高い、高絶縁電着被膜層を形成することができる電着塗料組成物及びそれを用いた電着方法に関する。
従来、ポリイミドの電着による塗装方法はポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を溶解した有機極性溶媒に、貧溶媒及び水を添加した水分散系電着液を用いて電着した後、電着膜を240〜260℃に加熱してイミド膜とする方法が知られている(特開昭49−52252号公報、特開昭52−32943号公報、特開昭63−111199号公報)。ポリアミック酸の電着用水分散液は、ポリアミド酸が容易に分解するために保存安定性が悪く、更には電着した塗膜は、イミド化するために高温処理をする必要がある。また、特開平9―104839号公報のようにポリアミック酸を直接イミド化させたポリイミドにカルボン酸を導入させるにより電着可能にする方法がある。しかしながら、被電着膜の剥がれや割れの生じにくさでは必ずしも満足することができない。また、溶剤可溶のポリイミドと親水性ポリマーを同一粒子内に含む電着塗料組成物が特開2000-178481号公報に記載されており、ジアミン成分としてジアミノオルガノシロキサンを用いることも記載されているが、やはり被電着膜の剥がれや割れの生じにくさでは満足することができない。さらに、特開2003-213129号公報には、ポリイミドシリコーン系樹脂組成物が記載されているが、これは電着組成物ではなく、また、ポリアミック酸を用いているので、上記した不安定さの問題及び高温処理を必要とする問題がある。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、優れた耐熱性を有するとともに、被電着物上に剥がれや割れが生じにくい信頼性の高い、高絶縁電着被膜層の作製を可能とするポリイミド電着塗料組成物およびそれを用いた電着方法を提供することである。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として用いることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有する電着塗料組成物を提供する。また、本発明は、電着塗料組成物中に導電体を浸漬し、該導電体を陽極として電流を通じて該導電体上にポリイミド膜を析出させることを含むアニオン型電着方法を提供する。
本発明によれば、電着被膜が、ポリイミド樹脂本来の高耐熱性を有するとともに、高伸び率を有することにより、自動車部品、家電製品、電気及び電子材料、建材、プリント基板用銅配線などの曲げ加工時に絶縁層の剥がれや割れが生じ難い、優れた加工耐性を有する絶縁被膜を得ることができる。
上記の通り、本発明の電着塗料組成物中には、樹脂成分として、分子骨格(すなわちポリイミドの主鎖)中にシロキサン結合(-Si-O-)を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドが含まれる。
シロキサン結合は、ジアミン成分の1つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを用いることによりポリイミド分子骨格中に含ませることが好ましい。このようなシロキサン結合含有ジアミンは、テトラカルボン酸ジ無水物との間でイミド化し得るものであれば、特に制限なく使用できる。例として、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(アミノブチル)-1,1,3,3テトラメチルジシロキサン、ビス(4-アミノフェノキシ)ジメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-1,13,3-テトラメチルジシロキサン、ビス(γ-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、ビス(γ―アミノプロピル)ポリフェニルシロキサン、ポリシロキサンジアミン等を挙げることができる。これらのシロキサン結合含有ジアミンの好ましい例として、下記一般式(I)に示すジアミノオルガノシロキサンを挙げることができる。
(ただし、式(I)中、Rはそれぞれ独立してアルキル基若しくはシクロアルキル基、又はフェニル基若しくは1個ないし3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜3の整数を表し、nは1〜20の整数を表す)。アルキル基やアルコキシル基中のアルキル部分は直鎖状でも分枝状でもよい。
一般式(I)中のRとしては、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、フェニル基、又は1個ないし3個の炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシル基で置換されたフェニル基が好ましく、特に好ましい例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ぺンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、エトキシ基、エチルフェニル基及びプロピルフェニル基等を挙げることができる。
一般式(I)で表されるポリシロキサンジアミンの特に好ましい例として、l及びmがそれぞれ3、nが6〜10程度の混合物、Rがメチル基であるビス(γ-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンを挙げることができ、これは市販されている(例えば、信越化学工業社製のKF-8010)ので市販品を好ましく用いることができる。
上記シロキサン結合含有ジアミンは、単独で用いても良いし、複数種類のものを組み合わせて用いても良い。
アニオン性基とは、電着組成物の溶媒(後述)中でアニオンになる基であり、好ましくはカルボキシル基又はその塩である。アニオン性基は、シロキサン含有ジアミンやテトラカルボン酸ニ無水物成分が有していてもよいが、アニオン性基を有するジアミンをジアミン成分の1つとして用いることが好ましい。ポリイミドの耐熱性、被電着物との密着性、重合度向上のためこのようなアニオン性基含有ジアミンは、芳香族ジアミンであることが好ましい。このようなアニオン性基含有芳香族ジアミンの例として、3, 5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノフェニル酢酸、2,5−ジアミノテレフタル酸、3,3’−ジカルボキシ −4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジアミノパラトルイル酸、3,5−ジアミノ−2−ナフタレンカルボン酸、1,4−ジアミノ−2−ナフタレンカルボン酸等の芳香族ジアミノカルボン酸を挙げることができ、3,5−ジアミノ安息香酸が特に好ましい。このようなアニオン性基含有芳香族ジアミンは、単独で用いることもできるし、複数種類を組み合わせて用いることもできる。なお、シロキサン含有ジアミンがアニオン性基を有している場合には、ジアミン成分は、シロキサン含有ジアミンのみであってもかまわない。
ジアミン成分として、上記したシロキサン結合含有ジアミン及びジアミノカルボン酸に加え、さらに他のジアミンが含まれていてもよい。このようなジアミンとしては、ポリイミドの耐熱性、被電着物への密着性、重合度向上のため通常は芳香族ジアミンが用いられる。このような芳香族ジアミンの例として、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−メチルピリジン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、α.α−ビス(4-アミノフェニル)-1.3-ジイソプロピルベンゼンを挙げることができ、中でも、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンがより好ましい。
全ジアミン成分中、前記シロキサン結合含有ジアミンの割合が5〜90モル%、より好ましくは15〜50モル%である。シロキサン結合含有ジアミン単位が5モル%未満の場合、ポリイミドの電着塗膜は伸び率が劣り、十分な可とう性が得られにくいため、剥がれや割れを生じ易くなるため、好ましくない。また、前記芳香族ジアミノカルボン酸又はその塩の割合が10〜70モル%であることが好ましい(ただし、シロキサン結合含有ジアミンと芳香族ジアミノカルボン酸の合計は100モル%以下であり、また、上記の通り第3のジアミン成分を含んでいてもよい)。
一方、ポリイミド中のテトラカルボン酸ジ無水物成分としては、ポリイミドの耐熱性、ポリシロキサンジアミンの相溶性の点から芳香族テトラカルボン酸ジ無水物が通常使用され、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらの中でもポリイミド耐熱性、被電着物への密着性、ポリシロキサンジアミンの相溶性、重合速度の観点から3,3',4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物が特に好ましいものとして挙げられる。これら例示のテトラカルボン酸ジ無水物は、何れか一種の化合物を単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明の組成物の樹脂成分として用いられるポリイミドは、極性溶媒に可溶な(N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、5重量%以上、好ましくは10重量%以上の濃度で溶解する)ブロック共重合ポリイミドである。ブロック共重合ポリイミド及びその製造方法は、既に公知であり(例えば上記特許文献7及び8に記載)、本発明で用いるポリイミドも、上記ジアミン成分及びテトラカルボン酸ジ無水物を用い、公知の方法を適用して製造することができる。重合反応には極性溶媒が用いられ、これらの溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(γBL)、アニソ―ル、シクロヘキサノン、テトラメチル尿素、スルホラン等が用いられる。好ましくは、NMPが用いられる。これらの溶剤中に、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを、ほぼ等モル(好ましくはモル比で1:0.95〜1.05)加え、触媒存在下で加熱して脱水イミド化反応することにより直接ポリイミド溶液を製造する。触媒は、ラクトンと塩基又はクロトン酸と塩基から成る2成分系の複合触媒である。ラクトンとしてはγ−バレロラクトンが好ましく、塩基としてはピリジン又はN−メチルモルホリンが好ましい。ラクトン又はクロトン酸と塩基の混合比は、1:1−5(モル当量)好ましくは、1:1−2である。水が存在すると、酸−塩基の複塩として、触媒作用を示し、イミド化が完了し、水が反応系外に出る(好ましくは、トルエンの存在下で重縮合反応を行い、生成する水はトルエンと共に反応系外に除かれる)と触媒作用を失う。この触媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物に対し通常1/100−1/5モル、好ましくは1/50―1/10モルである。上記イミド化反応に供するテトラカルボン酸ジ無水物とジアミンとの混合比率(酸/ジアミン)は、上記の通りモル比で1.05〜0.95程度が好ましい。また、反応開始時における反応混合物全体中の酸ジ無水物の濃度は4〜16重量%程度が好ましく、ラクトン又はクロトン酸の濃度は0.2〜0.6重量%程度が好ましく、塩基の濃度は0.3〜0.9重量%程度が好ましく、トルエンの濃度は6〜15重量%程度が好ましい。反応温度は、150℃〜220℃が好ましい。また、反応時間は特に限定されず、製造しようとするポリイミドの分子量等により異なるが、通常180〜900分間程度である。また、反応は撹拌下で行うことが好ましい。
極性溶媒中、上記2成分系の酸触媒の存在下で酸二無水物とジアミンと加熱してイミドオリゴマーを生成させ、次いでこれに酸二無水物又は/及びジアミンを加えて第2段階反応することによりポリイミドを生成することができる。この方法によりアミック酸間で起こる交換反応に起因するランダム共重合化を防止することができる。その結果、ブロック共重合ポリイミドが製造できる。このときの固形分濃度は10〜40重量%が好ましく、より好ましくは20〜30重量%である。
+
ポリイミドは固有対数粘度(25℃)が20wt%NMP溶液時で5000〜50000mPasであるものが好ましく、5000〜15000mPasがより好ましい。
ポリイミドは固有対数粘度(25℃)が20wt%NMP溶液時で5000〜50000mPasであるものが好ましく、5000〜15000mPasがより好ましい。
また、樹脂成分として用いられるブロック共重合ポリイミドの重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算で20000〜150000が好ましく、特に45000〜90000が好ましい。当該ポリイミドの重量平均分子量が20000未満の場合、電着塗膜の耐熱性が劣り、また塗膜表面が荒れてしまい、審美性および耐電圧特性に劣る。また重量平均分子量が150000より大きくなると溶液中でゲル化が進行してしまい、電着皮膜の外観不良を引き起こしやすい。
また、数平均分子量(Mn)についてはポリスチレン換算で10000〜70000が好ましくより好ましくは20000〜40000である。数平均分子量が10000未満の場合、電着効率が悪く、必要電着被膜までの電着時間が長くなり生産性に欠ける。また耐熱性、耐電圧性にも劣ることが多い。ここで、ポリイミドの分子量はGPCにより測定される、ポリスチレン換算の分子量を測定した値である。
本発明の電着塗料組成物は、上記したブロック共重合ポリイミドを溶媒中に溶解した状態で含むものであればよく、溶媒としては、水溶性極性溶媒と水を含むことが好ましい。より好ましくは、本発明の電着塗料組成物は、ブロック共重合ポリイミドと、塩基性含窒素化合物と、水と、前記ブロック共重合ポリイミドを溶解する水溶性極性溶媒と、前記ブロック共重合ポリイミドの貧溶媒と、油溶性溶媒とを含み、前記水の含量が組成物全量に対し5〜30重量%、前記水溶性極性溶媒の含量が組成物全量に対し30〜50重量%、前記貧溶媒の含量が組成物全量に対し5〜15重量%、前記油溶性溶媒の含量が組成物全量に対し10〜30重量%であり、前記塩基性窒素化合物の含量が前記ポリイミド中の酸基の中和に必要な理論量の30〜200%であり、組成物中の固形分濃度が2〜20重量%である。水溶性極性溶媒としては、重縮合反応に用いることができる上記極性溶媒を用いることができる。上記塩基性化合物としては、N−ジメチルアミノエタノール、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アンモニア等が好ましく使用される。塩基性化合物の使用量は極性溶媒可溶性ブロック共重合ポリイミド中の酸性基が水溶液中に安定に溶解または分散する程度でよい。通常、理論中和量の30〜200モル%程度である。また、貧溶媒はフェニル基、フルフリル基またはナフチル基を有するアルコール又はケトンが最適であり、具体的には、アセトフェノン、ベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、フェノキシ−2−エタノール、シンナミルアルコール、フルフリルアルコール、ナフチルカルビトール等が挙げられる。また、油溶性溶媒は、組成物の希釈剤として機能するものであり、ブロック共重合ポリイミドの溶解性を著しく減じないような溶剤、例えば、ジオキサン、ジオキソラン、ガンマーブチロラクトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、アニソール、酢酸エチル等があげられるが、特にこれらに限定されない。なお、組成物中のポリイミド1重量部に対して極性溶媒は1.5〜10重量部(好ましくは2.4〜6重量部)、水は0.1〜5重量部(好ましくは1〜3重量部)が適当である。
上記方法による重縮合により生成したブロック共重合ポリイミドは、しばしばゲル状組成物であるため、まず重縮合生成物に直接、上記塩基性化合物を投入し、高トルクを有する攪拌機を用いて攪拌し、その後、前記極性溶媒を投入攪拌後、さらに水、極性溶媒、可溶性ポリイミドに対する上記貧溶媒及び上記油溶性溶媒を加えて電着塗料組成物とすることが好ましい。
本発明の電着塗料用組成物を用いて被塗膜製品の外周にポリイミド電着被膜を形成する際の電着条件としては、定電流法で行い、電流値が50mA固定の場合、直流電圧は通常、1〜200V好ましくは50〜150Vである。電着時間は通常15〜120秒、好ましくは30秒〜90秒程度であり、電着の際の組成物温度は通常20℃〜70℃、好ましくは25℃〜30℃である。電着電圧が50Vより低いと電着よって塗膜を形成させることが困難となる傾向があり、200Vよりも高いと被塗布物からの酸素の発生が激しくなり均一な塗膜形成できなくなる。電着時間が15秒よりも短いとピンホールが発生し耐電圧性能が著しく低下する傾向がある。120秒以上になると塗膜厚さが厚くなるだけで経済性に欠ける。組成物温度が20℃よりも低いと電着によって塗膜形成をさせることが困難になり、70℃よりも高くなると温度管理が必要となり生産コストを上げる原因になる。なお、均一な塗膜形成のために、電流値は、固定にすることが好ましく、固定にする電流値の大きさは、適宜設定されるが、好ましくは25mA〜100mA程度、さらに好ましくは約50mAである。
電着よって形成された塗膜は、加熱乾燥(焼付け)することが好ましい。焼付けは、70〜110℃で10〜60分の第一段階の焼付け処理を行った後、160〜180℃で10〜60分の第二段階の焼付け処理を行い、さらに200〜220℃で30〜60分の第三段階の焼付け処理を行うのが好ましい。このような3段階の焼付け処理を行うことで、導体線に対して高い密着力で密着した十分に乾燥されたポリイミドの被膜を形成することが出来る。
被覆製品の材質は、特に限定されないが、導電性の点から、銅、銅合金、銅グラットアルミニウム、アルミニウム、亜鉛メッキ鉄、銀、金、ニッケル、チタン、タングステン等が挙げられ、中でも、銀または銅が好ましい。また、絶縁製品についても表面にメッキのように導電加工を施したものであるものならばポリイミド絶縁被膜を形成することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1 (ケイ素を含有するブロック共重合ポリイミド電着液)
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコを使用し、これに攪拌機、窒素導入管および冷却管の下部にストップコックを備えた水分受容器を取り付けた。窒素を流通させ、さらに攪拌しながら反応器をシリコーン油浴中に漬けて加熱し反応を行った。反応温度はシリコーン油浴の温度で表した。まず、フラスコに3,4,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物58.84g(0.2モル)、ビス(γ-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(信越化学工業社製のKF-8010)97.2g(0.1モル)、バレロラクトン4g(0.04モル)、ピリジン6.3g(0.08モル)、NMP(N−メチルピロリドン)500gおよびトルエン80gを入れ、室温で30分間攪拌し、次いで昇温し、180℃において1時間、200rpm で攪拌しながら反応を行った。反応後、トルエン−水留出分 30mlを除いた。残留物を空冷して、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物64.45g(0.2モル)、3,5−ジアミノ安息香酸30.43g(0.2モル)、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン43.25g(0.1モル)、NMP500gおよびトルエン100gを添加し、室温で1時間攪拌(200rpm)し、次いで昇温して180℃で1時間、加熱攪拌した。トルエン−水留出分15mlを除き、以後は留出分を系外に除きながら、180℃で3時間、加熱および攪拌を行った。次いで無水フタル酸1.1gおよびNMP113g添加し反応を1時間行い終了した。これにより20%ポリイミドワニスを得た。得られたブロック共重合ポリイミドの重量平均分子量及び数平均分子量は、それぞれ66000及び34000であった。
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコを使用し、これに攪拌機、窒素導入管および冷却管の下部にストップコックを備えた水分受容器を取り付けた。窒素を流通させ、さらに攪拌しながら反応器をシリコーン油浴中に漬けて加熱し反応を行った。反応温度はシリコーン油浴の温度で表した。まず、フラスコに3,4,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物58.84g(0.2モル)、ビス(γ-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(信越化学工業社製のKF-8010)97.2g(0.1モル)、バレロラクトン4g(0.04モル)、ピリジン6.3g(0.08モル)、NMP(N−メチルピロリドン)500gおよびトルエン80gを入れ、室温で30分間攪拌し、次いで昇温し、180℃において1時間、200rpm で攪拌しながら反応を行った。反応後、トルエン−水留出分 30mlを除いた。残留物を空冷して、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物64.45g(0.2モル)、3,5−ジアミノ安息香酸30.43g(0.2モル)、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン43.25g(0.1モル)、NMP500gおよびトルエン100gを添加し、室温で1時間攪拌(200rpm)し、次いで昇温して180℃で1時間、加熱攪拌した。トルエン−水留出分15mlを除き、以後は留出分を系外に除きながら、180℃で3時間、加熱および攪拌を行った。次いで無水フタル酸1.1gおよびNMP113g添加し反応を1時間行い終了した。これにより20%ポリイミドワニスを得た。得られたブロック共重合ポリイミドの重量平均分子量及び数平均分子量は、それぞれ66000及び34000であった。
得られたポリイミドワニスをガラス板上にバーコーターを用いてウエット膜厚50μmにて塗布した。その後、温風乾燥機にて90℃/30分、180℃/30分、220℃/30分で乾燥させた後、ガラス板より剥離させ、JIS−C−2151に準拠して機械的伸び率を測定し、21.8%のポリイミド被膜が得られた。また熱分解温度は420℃であった。
先に得られた20%ポリイミドワニス100gにトリメチルアミン1.5g(中和率100モル%)を加え激しく攪拌した後、N−メチルピロリドン62.5gを加え、アセトフェノン56g、シクロヘキサノン56g及び、撹拌しながら2−エトキシエタノール72gおよびフェノキシエタノール20gを加え、15分攪拌した後、水32gを滴下して水溶性電着液を調製し、固形分濃度5.0%、pH8.7、電気伝導度9.8mS/mの電着液組成物を調製した。
次に下記の電着条件で厚さ37μmの圧延銅箔を用いて電着を行い、その後、温風乾燥機にて90℃/30分、180℃/30分、220℃/30分で乾燥させた後、圧延銅箔をエッチングにより剥離し、膜厚19μmのポリイミド電着被膜を得た。電着被膜をJIS−C−2151に準拠して機械的伸び率を測定し、7.2%のポリイミド被膜が得られた。
極間距離:3.0cm
電着電圧 定電流法(100mA)−電圧(MAX160V)
電着時間 60秒
極間距離:3.0cm
電着電圧 定電流法(100mA)−電圧(MAX160V)
電着時間 60秒
得られた電着液を用いて上記と同じ電着条件で横断面がφ1.2cmの円形銅線外周に上記ポリイミド組成物を電着した。
ポリイミド組成物を電着した銅線を電着浴から取り出し、水洗後、90℃×30分間、さらに170℃×30分間、さらに220℃×30分間焼き付けることにで、シロキサン結合含有ポリイミドによる絶縁層(平均厚み17μm)を有する円形絶縁銅線を得た。
得られた円形絶縁電線をJIS−C−3003に準拠した曲げ加工性試験を行い、交流電圧発生装置を接続し、電圧を上昇させて、短絡した電圧を破壊電圧とする。破壊電圧が2.0kv以上を合格(○)とし破壊電圧が2.0kv未満の場合は不合格(×)とした。
比較例1 (エポキシ樹脂系電着液)
アクリロニトリル5モル、アクリル酸1モル、グリシジルメタクリレート0.3モルをイオン交換水760g、ラウリル硫酸エステルソーダ7.5g、過硫酸ソーダ0.13gと共にフラスコに入れて室温、窒素雰囲気下で15〜30分間攪拌した後、その混合物を50〜60℃の温度で3時間反応させて得た乳化重合液(エポキシ・アクリル系水分散ワニス)を用意した。かかる乳化重合液を用いて電着用組成物を得た。
アクリロニトリル5モル、アクリル酸1モル、グリシジルメタクリレート0.3モルをイオン交換水760g、ラウリル硫酸エステルソーダ7.5g、過硫酸ソーダ0.13gと共にフラスコに入れて室温、窒素雰囲気下で15〜30分間攪拌した後、その混合物を50〜60℃の温度で3時間反応させて得た乳化重合液(エポキシ・アクリル系水分散ワニス)を用意した。かかる乳化重合液を用いて電着用組成物を得た。
次に下記の電着条件で厚さ37μmの圧延銅箔を用いて電着を行い、その後、温風乾燥機にて90℃/30分、180℃/30分で乾燥させた後、圧延銅箔をエッチングにより剥離し、膜厚15μmのポリイミド電着被膜を得た。電着被膜をJIS−C−2151に準拠して機械的伸び率を測定し、0.9%のポリイミド被膜が得られた。
極間距離:3.0cm
電着電圧 定電流法(100mA)−電圧(MAX160V)
電着時間 60秒
極間距離:3.0cm
電着電圧 定電流法(100mA)−電圧(MAX160V)
電着時間 60秒
得られた電着液を用いて上記と同じ電着条件で横断面がφ1.2cmの円形銅線外周に上記ポリイミド組成物を電着した。
次に、こうしてポリイミド組成物を電着した銅線を電着浴から取り出し、水洗後、90℃×30分間、さらに170℃×30分間、さらに220℃×30分間焼き付けることにで、ポリイミド樹脂による絶縁層(平均厚み11μm)を有する円形絶縁銅線を得た。
得られた円形絶縁電線をJIS−C−3003に準拠した曲げ加工性試験を行い、交流電圧発生装置を接続し、電圧を上昇させて、短絡した電圧を破壊電圧とする。破壊電圧が2.0kv以上を合格(○)とし破壊電圧が2.0kv未満の場合は不合格(×)とした。
比較例2 (ケイ素を含有しないブロック共重合ポリイミド電着液)
攪拌機、窒素導入管及び冷却管の下部にストップコックのついた水分受容器を取り付けたガラス製のセパラブル三つ口フラスコを使用し、窒素を流しながら、さらに攪拌しながら反応器シリコンオイル中につけて加熱して下記の反応を行った。すなわち3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物64.44g(0.2モル)、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン43.25g(0.1モル)、バレロラクトン3g(0.03モル)、ピリジン4.8g(0.06モル)、NMP(N−メチルピロリドン)400gおよびトルエン90gを入れ、室温で30分間攪拌し、次いで昇温し、180℃において1時間、200rpm で攪拌しながら反応を行った。反応後、トルエン−水留出分 30mlを除いた。残留物を空冷して、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物32.22g(0.1モル)、3,5−ジアミノ安息香酸15.22g(0.1モル)、2,6−ジアミノピリジン11.01g(0.1モル)、NMP221gおよびトルエン45gを添加し、室温で1時間攪拌(200rpm)し、次いで昇温して180℃で1時間、加熱攪拌した。トルエン−水留出分15mlを除き、以後は留出分を系外に除きながら、180℃で3時間、加熱および攪拌を行って反応を終了した。これにより20%ポリイミドワニスを得た。
攪拌機、窒素導入管及び冷却管の下部にストップコックのついた水分受容器を取り付けたガラス製のセパラブル三つ口フラスコを使用し、窒素を流しながら、さらに攪拌しながら反応器シリコンオイル中につけて加熱して下記の反応を行った。すなわち3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物64.44g(0.2モル)、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン43.25g(0.1モル)、バレロラクトン3g(0.03モル)、ピリジン4.8g(0.06モル)、NMP(N−メチルピロリドン)400gおよびトルエン90gを入れ、室温で30分間攪拌し、次いで昇温し、180℃において1時間、200rpm で攪拌しながら反応を行った。反応後、トルエン−水留出分 30mlを除いた。残留物を空冷して、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物32.22g(0.1モル)、3,5−ジアミノ安息香酸15.22g(0.1モル)、2,6−ジアミノピリジン11.01g(0.1モル)、NMP221gおよびトルエン45gを添加し、室温で1時間攪拌(200rpm)し、次いで昇温して180℃で1時間、加熱攪拌した。トルエン−水留出分15mlを除き、以後は留出分を系外に除きながら、180℃で3時間、加熱および攪拌を行って反応を終了した。これにより20%ポリイミドワニスを得た。
得られたポリイミドワニスに100g、アニソール55g、シクロヘキサノン45g及びメチルモルホリン2.6g(中和率200モル%)を加え、N−メチルピロリドン62.5gを加え、アセトフェノン23g、シクロヘキサノン22g及び、撹拌しながら2−エトキシエタノール72gおよびフェノキシエタノール20gを加え、15分攪拌した後、水32gを滴下して水溶性電着液を調製し、固形分濃度5.0%、pH8.7、電気伝導度9.8mS/mの電着液組成物を調製した。
下記の電着条件で厚さ37μmの圧延銅箔を用いて電着を行い、その後、温風乾燥機にて90℃/30分、180℃/30分で乾燥させた後、圧延銅箔をエッチングにより剥離し、膜厚15μmのポリイミド電着被膜を得た。電着被膜をJIS−C−2151に準拠して機械的伸び率を測定し、0.2%のポリイミド被膜が得られた。
極間距離:3.0cm
電着電圧 定電流法(100mA)−電圧(MAX160V)
電着時間 60秒
極間距離:3.0cm
電着電圧 定電流法(100mA)−電圧(MAX160V)
電着時間 60秒
上記で得られた電着液を用いて前記と同じ電着条件で横断面がφ1.2cmの円形銅線外周に上記ポリイミド組成物を電着した。
次に、こうしてポリイミド組成物を電着した銅線を電着浴から取り出し、水洗後、90℃×30分間、さらに170℃×30分間、さらに220℃×30分間焼き付けることにで、ポリイミド樹脂による絶縁層(平均厚み11μm)を有する円形絶縁銅線を得た。
得られた円形絶縁電線をJIS−C−3003に準拠した曲げ加工性試験を行い、交流電圧発生装置を接続し、電圧を上昇させて、短絡した電圧を破壊電圧とする。破壊電圧が2.0kv以上を合格(○)とし破壊電圧が2.0kv未満の場合は不合格(×)とした。
比較例3(ケイ素を含有するランダム共重合ポリイミド電着液)
ランダム共重合法においてポリシロキサンを含有するポリイミドとして上記特許文献5に準拠して3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物96.67g(0.3モル)ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン43.25g(0.1モル)、ビス(γ-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(信越化学工業社製のKF-8010)97.2g(0.1モル)、3,5−ジアミノ安息香酸15.22g(0.1モル)、バレロラクトン3g(0.03モル)、ピリジン4.8g(0.06モル)、NMP(N−メチルピロリドンの略)952g、トルエン100gを加えて、室温で30分間、撹拌、ついで、昇温して180゜、3時間、200rpm.に撹拌しながら反応させた。反応時はトルエン−水留出分を除きながら加熱撹拌を続けた。これにより、20%ポリイミドワニスを得た。
ランダム共重合法においてポリシロキサンを含有するポリイミドとして上記特許文献5に準拠して3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物96.67g(0.3モル)ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン43.25g(0.1モル)、ビス(γ-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(信越化学工業社製のKF-8010)97.2g(0.1モル)、3,5−ジアミノ安息香酸15.22g(0.1モル)、バレロラクトン3g(0.03モル)、ピリジン4.8g(0.06モル)、NMP(N−メチルピロリドンの略)952g、トルエン100gを加えて、室温で30分間、撹拌、ついで、昇温して180゜、3時間、200rpm.に撹拌しながら反応させた。反応時はトルエン−水留出分を除きながら加熱撹拌を続けた。これにより、20%ポリイミドワニスを得た。
得られたポリイミドワニスに100gにN−メチルピロリドン90gを加え、アニソール55g、シクロヘキサノン50gおよびメチルモルホリン2.6g(中和率200モル%)を加え、撹拌しながら水35gを滴下して水溶性電着液を調製し、固形分濃度5.1%、pH8.0の電着組成物を得た。
下記の電着条件で厚さ37μmの圧延銅箔を用いて電着を行い、その後、温風乾燥機にて90℃/30分、180℃/30分で乾燥させた後、圧延銅箔をエッチングにより剥離し、膜厚15μmのポリイミド電着被膜を得た。電着被膜をJIS−C−2151に準拠して機械的伸び率を測定し、1.0%のポリイミド被膜が得られた。
極間距離:3.0cm
電着電圧 定電流法(100mA)−電圧(MAX160V)
電着時間 60秒
極間距離:3.0cm
電着電圧 定電流法(100mA)−電圧(MAX160V)
電着時間 60秒
先に得られた電着液を用いて上記と同じ電着条件で横断面がφ1.2cmの円形銅線外周に上記ポリイミド組成物を電着した。
次に、こうしてポリイミド組成物を電着した銅線を電着浴から取り出し、水洗後、90℃×30分間、さらに170℃×30分間、さらに220℃×30分間焼き付けることにで、ポリイミド樹脂による絶縁層(平均厚み11μm)を有する円形絶縁銅線を得た。
得られた円形絶縁電線をJIS−C−3003に準拠した曲げ加工性試験を行い、交流電圧発生装置を接続し、電圧を上昇させて、短絡した電圧を破壊電圧とする。破壊電圧が2.0kv以上を合格(○)とし破壊電圧が2.0kv未満の場合は不合格(×)とした。
性能試験
実施例1および比較例1〜3で作製した絶縁銅線について以下の評価試験を行った、
実施例1および比較例1〜3で作製した絶縁銅線について以下の評価試験を行った、
耐熱性試験
JIS−C−3003に準拠した温度指数評価法によって、耐熱性を評価した。
JIS−C−3003に準拠した温度指数評価法によって、耐熱性を評価した。
本発明によれば、電着被膜が、ポリイミド樹脂本来の高耐熱性を有するとともに、高伸び率を有することにより、曲げ加工時に絶縁層の剥がれや割れが生じ難い、優れた加工耐性を有する絶縁被膜を得ることができる。したがって、本発明の電着塗料組成物は、自動車部品、家電製品、電気及び電子材料、建材、プリント基板用銅配線などに絶縁被膜を形成するために好適に利用することができる。
Claims (16)
- 分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有する電着塗料組成物。
- 前記ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含む請求項1記載の電着塗料組成物。
- 一般式(I)中のRが、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、フェニル基、又は1個ないし3個の炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシル基で置換されたフェニル基を表す請求項3記載の電着塗料組成物。
- 前記アニオン性基が、カルボキシル基又はその塩である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電着塗料組成物。
- 前記ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、芳香族ジアミノカルボン酸又はその塩を含む請求項5記載の電着塗料組成物。
- 全ジアミン成分中、前記シロキサン結合含有ジアミンの割合が5〜90モル%、前記芳香族ジアミノカルボン酸又はその塩の割合が10〜70モル%(ただし、両者の合計は100モル%以下であり、第3のジアミン成分を含んでいてもよい)である請求項6記載の電着塗料組成物。
- 前記ブロック共重合ポリイミドが、極性溶媒中でラクトン−塩基の複合触媒を加えて220〜150℃で重縮合した3成分系以上のポリイミドであって、ポリスチレン換算の重量平均分子量が2万〜15万である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電着塗料組成物。
- 前記重量平均分子量が4万5千〜9万である請求項8記載の電着塗料組成物。
- 前記ブロック共重合ポリイミドが、極性溶媒中でラクトン−塩基の複合触媒を加えて220〜150℃で重縮合した3成分系以上のポリイミドであって、ポリスチレン換算の数平均分子量が1万〜7万である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の電着塗料組成物。
- 前記数平均分子量が2万〜4万である請求項10記載の電着塗料組成物。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載のブロック共重合ポリイミドと、塩基性含窒素化合物と、水と、前記ブロック共重合ポリイミドを溶解する水溶性極性溶媒と、前記ブロック共重合ポリイミドの貧溶媒と、油溶性溶媒とを含み、前記水の含量が組成物全量に対し5〜30重量%、前記水溶性極性溶媒の含量が組成物全量に対し30〜50重量%、前記貧溶媒の含量が組成物全量に対し5〜15重量%、前記油溶性溶媒の含量が組成物全量に対し10〜30重量%であり、前記塩基性窒素化合物の含量が、前記ポリイミド中の酸基の中和に必要な理論量の30〜200%であり、組成物中の固形分濃度が2〜20重量%である、電着塗料組成物。
- 前記貧溶媒が、フェニル基、フルフリル基又はナフチル基を有するアルコール又はケトンである請求項12記載の電着塗料組成物。
- 塗布物の伸び率が15%以上である請求項1ないし13のいずれか1項に記載の電着塗料組成物。
- 電着塗料組成物を電着して形成した電着皮膜の伸び率が5%以上である請求項1ないし14のいずれか1項に記載の電着塗料組成物。
- 請求項1ないし15のいずれか1項に記載の電着塗料組成物中に導電体を浸漬し、該導電体を陽極として電流を通じて該導電体上にポリイミド膜を析出させることを含むアニオン型電着方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003406701A JP2005162954A (ja) | 2003-12-05 | 2003-12-05 | 電着塗料組成物及びそれを用いた電着方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003406701A JP2005162954A (ja) | 2003-12-05 | 2003-12-05 | 電着塗料組成物及びそれを用いた電着方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005162954A true JP2005162954A (ja) | 2005-06-23 |
Family
ID=34728978
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003406701A Pending JP2005162954A (ja) | 2003-12-05 | 2003-12-05 | 電着塗料組成物及びそれを用いた電着方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005162954A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005174561A (ja) * | 2003-12-05 | 2005-06-30 | Pi R & D Co Ltd | 絶縁電線及び絶縁コイル |
JP2005228984A (ja) * | 2004-02-13 | 2005-08-25 | Pi R & D Co Ltd | リング状絶縁板及び該絶縁板を用いたコイル |
JP2008050635A (ja) * | 2006-08-23 | 2008-03-06 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | Cu−Ni−有機電着薄膜積層構造体及びその形成方法 |
WO2008139991A1 (ja) * | 2007-05-07 | 2008-11-20 | Mitsubishi Cable Industries, Ltd. | 絶縁部材 |
WO2008139990A1 (ja) * | 2007-05-07 | 2008-11-20 | Mitsubishi Cable Industries, Ltd. | 電着塗料組成物及び電着方法 |
JP2010107420A (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-13 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | プローブピンおよびその絶縁処理方法 |
JP2010108813A (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-13 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | リード線付き電子部品およびリード線の絶縁被覆方法 |
JP2010108725A (ja) * | 2008-10-29 | 2010-05-13 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | 絶縁部材 |
JP2012167349A (ja) * | 2011-02-16 | 2012-09-06 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | 電着方法及び電着装置 |
EP2587493A1 (en) * | 2011-10-24 | 2013-05-01 | Riken | Coated high-temperature superconducting wire and high-temperature superconducting coil including the same |
US10640614B2 (en) | 2016-07-28 | 2020-05-05 | 3M Innovative Properties Company | Segmented silicone polyamide block copolymers and articles containing the same |
US10865330B2 (en) | 2016-07-28 | 2020-12-15 | 3M Innovative Properties Company | Segmented silicone polyamide block copolymers and articles containing the same |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10101795A (ja) * | 1996-07-18 | 1998-04-21 | Reitetsuku Kk | ポリイミド類の製法、組成物およびその製品 |
JP2000103848A (ja) * | 1998-09-28 | 2000-04-11 | Dainippon Printing Co Ltd | 溶剤可溶性低弾性率ポリイミド |
WO2001010964A1 (fr) * | 1999-08-06 | 2001-02-15 | Pi R & D Co., Ltd. | Composition destinee a l'electrodeposition de polyimide et procede de formation de film de polyimide a motifs a partir de cette composition |
JP2003327907A (ja) * | 2002-05-07 | 2003-11-19 | Pi R & D Co Ltd | 電着用の耐熱性ブロック共重合ポリイミド組成物及びそのポリイミドを用いる電着液の組成と塗膜の形成方法 |
-
2003
- 2003-12-05 JP JP2003406701A patent/JP2005162954A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10101795A (ja) * | 1996-07-18 | 1998-04-21 | Reitetsuku Kk | ポリイミド類の製法、組成物およびその製品 |
JP2000103848A (ja) * | 1998-09-28 | 2000-04-11 | Dainippon Printing Co Ltd | 溶剤可溶性低弾性率ポリイミド |
WO2001010964A1 (fr) * | 1999-08-06 | 2001-02-15 | Pi R & D Co., Ltd. | Composition destinee a l'electrodeposition de polyimide et procede de formation de film de polyimide a motifs a partir de cette composition |
JP2003327907A (ja) * | 2002-05-07 | 2003-11-19 | Pi R & D Co Ltd | 電着用の耐熱性ブロック共重合ポリイミド組成物及びそのポリイミドを用いる電着液の組成と塗膜の形成方法 |
Cited By (18)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005174561A (ja) * | 2003-12-05 | 2005-06-30 | Pi R & D Co Ltd | 絶縁電線及び絶縁コイル |
JP4594615B2 (ja) * | 2003-12-05 | 2010-12-08 | 株式会社ピーアイ技術研究所 | 絶縁電線及び絶縁コイル |
JP2005228984A (ja) * | 2004-02-13 | 2005-08-25 | Pi R & D Co Ltd | リング状絶縁板及び該絶縁板を用いたコイル |
JP2008050635A (ja) * | 2006-08-23 | 2008-03-06 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | Cu−Ni−有機電着薄膜積層構造体及びその形成方法 |
DE112008001233T5 (de) | 2007-05-07 | 2010-05-20 | Mitsubishi Cable Industries, Ltd. | Elektrotauchlackierungsmaterial und Elektrotauchlackierungsverfahren |
US8372257B2 (en) | 2007-05-07 | 2013-02-12 | Mitsubishi Cable Industries, Ltd. | Electrodeposition coating material and electrodeposition method |
KR101423806B1 (ko) * | 2007-05-07 | 2014-07-25 | 가부시키가이샤 피아이 기쥬츠겐큐쇼 | 전착 도료 조성물 및 전착 방법 |
JP5513109B2 (ja) * | 2007-05-07 | 2014-06-04 | 三菱電線工業株式会社 | 電着塗料組成物及び電着方法 |
WO2008139990A1 (ja) * | 2007-05-07 | 2008-11-20 | Mitsubishi Cable Industries, Ltd. | 電着塗料組成物及び電着方法 |
WO2008139991A1 (ja) * | 2007-05-07 | 2008-11-20 | Mitsubishi Cable Industries, Ltd. | 絶縁部材 |
JP2010108725A (ja) * | 2008-10-29 | 2010-05-13 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | 絶縁部材 |
JP2010107420A (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-13 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | プローブピンおよびその絶縁処理方法 |
JP2010108813A (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-13 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | リード線付き電子部品およびリード線の絶縁被覆方法 |
JP2012167349A (ja) * | 2011-02-16 | 2012-09-06 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | 電着方法及び電着装置 |
EP2587493A1 (en) * | 2011-10-24 | 2013-05-01 | Riken | Coated high-temperature superconducting wire and high-temperature superconducting coil including the same |
US9183970B2 (en) | 2011-10-24 | 2015-11-10 | Riken | Coated high-temperature superconducting wire and high-temperature superconducting coil including the same |
US10640614B2 (en) | 2016-07-28 | 2020-05-05 | 3M Innovative Properties Company | Segmented silicone polyamide block copolymers and articles containing the same |
US10865330B2 (en) | 2016-07-28 | 2020-12-15 | 3M Innovative Properties Company | Segmented silicone polyamide block copolymers and articles containing the same |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5513109B2 (ja) | 電着塗料組成物及び電着方法 | |
JP5422381B2 (ja) | 絶縁部材 | |
JP5464838B2 (ja) | 絶縁部材の製造方法 | |
JP3136942B2 (ja) | ポリイミドシロキサンの組成物 | |
JP5296493B2 (ja) | 絶縁部材 | |
TW200300111A (en) | Polyimide-metal layered products and polyamideimide-metal layered product | |
JP4594615B2 (ja) | 絶縁電線及び絶縁コイル | |
JP2005162954A (ja) | 電着塗料組成物及びそれを用いた電着方法 | |
JP5624716B2 (ja) | プローブピンおよびその絶縁処理方法 | |
JP6750146B2 (ja) | 電着用ポリイミド及びそれを含む電着塗料組成物 | |
JP2011122079A (ja) | 極性有機溶媒に可溶なポリイミド溶液を塗布して厚膜を作成する方法 | |
JP5129192B2 (ja) | ポリイミド含有ポリアミドイミド混和フィルムの製造方法 | |
JP2013234257A (ja) | 電着塗料組成物および電着方法、ならびに絶縁部材 | |
JP2000319389A (ja) | ポリイミド前駆体水溶液及びその製造方法、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法 | |
JP4737938B2 (ja) | コイル用リング状絶縁板の製造方法 | |
JP5399685B2 (ja) | リード線付き電子部品およびリード線の絶縁被覆方法 | |
JP2000319391A (ja) | ポリイミド前駆体水溶液及びその製造方法、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法 | |
JP5706268B2 (ja) | 電着塗料組成物及びそれを用いた絶縁部材 | |
JP5551523B2 (ja) | ポリイミド電着塗料の製造方法 | |
JP4215452B2 (ja) | 電着用ブロック共重合ポリイミド組成物 | |
JP2000297152A (ja) | ポリイミド前駆体水溶液及びその製造方法、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法 | |
JPH06157875A (ja) | ポリイミドシロキサン組成物 | |
JP5876176B2 (ja) | 電着塗料組成物及びそれを用いた絶縁部材 | |
JPH09118808A (ja) | ポリイミドシロキサンの組成物 | |
KR20120073267A (ko) | 기판의 제조 방법 및 그것에 이용되는 조성물 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20060915 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20100112 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20100518 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |