JP2000297152A - ポリイミド前駆体水溶液及びその製造方法、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミド前駆体水溶液及びその製造方法、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法

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JP2000297152A
JP2000297152A JP11107436A JP10743699A JP2000297152A JP 2000297152 A JP2000297152 A JP 2000297152A JP 11107436 A JP11107436 A JP 11107436A JP 10743699 A JP10743699 A JP 10743699A JP 2000297152 A JP2000297152 A JP 2000297152A
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polyimide
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solution
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Soichiro Kishimoto
聡一郎 岸本
Akira Shigeta
朗 繁田
Keitaro Seto
圭太郎 瀬戸
Yoshiaki Echigo
良彰 越後
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水を溶媒とし、高濃度であるにもかかわらず
低粘度であり、保存安定性にも優れるポリイミド前駆体
水溶液及びその製造方法、それから得られる良好な物性
を有するポリイミド塗膜及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 水を溶媒とし、特定の示すジアミンと特
定のテトラカルボン酸又はそのジエステル誘導体とから
なる塩を溶質として含有しているポリイミド前駆体水溶
液。このポリイミド前駆体水溶液は、水中で前記ジアミ
ンと前記テトラカルボン酸又はそのジエステル誘導体を
反応させるて得られる。前記ポリイミド前駆体水溶液を
基材上に塗工し、加熱イミド化してポリイミド塗膜を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミド前駆体
水溶液及びその製造方法、さらにはポリイミド前駆体水
溶液から得られるポリイミド塗膜及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドは、その優れた耐熱性、機械
的特性、電気的特性から、フィルム、コーティング材、
接着剤、成形体、繊維などの高度な特性が要求される分
野に応用されている。とりわけ、ポリイミドはエレクト
ロニクス分野への応用に有用なものであり、半導体デバ
イス上への絶縁フィルムや保護コーティング材として用
いられ、フレキシブル回路基板や集積回路等において高
密度化、多機能化等に大きく貢献している。このよう
に、微細な回路の層間絶縁膜や保護膜としてポリイミド
を利用する場合、ポリイミド前駆体溶液が用いられてき
た。このポリイミド前駆体溶液としてポリアミド酸の溶
液がよく知られている。
【0003】ポリアミド酸溶液は、溶媒中で芳香族ジア
ミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させるこ
とにより製造されるもので、例えば特公昭36−109
99号公報、特開昭62−275165号公報、特開昭
64−5057号公報、特公平2−38149号公報、
特公平2−38150号公報、特開平1−299871
号公報、特開昭58−122920号公報、特公平1−
34454号公報、特開昭58−185624号公報、
Journal of Polymer Science, MacromolecularReviews
Vol.11 P.199 (1976) 、米国特許第4238528号明
細書、特公平3−4588号公報、特公平7−3024
7号公報、特開平7−41556号公報、特開平7−6
2095号公報、特開平7−133349号公報、特開
平7−149896号公報、特開平6−207014号
公報、特公平7−17870号公報、特公平7−178
71号公報、IBM Technical Disclosure Bulletin Vol.
20No.6 P.2041 (1977)等には、溶媒として非プロトン
性極性溶媒を用いたポリアミド酸溶液が開示されてい
る。
【0004】これらポリアミド酸をポリイミド前駆体と
する溶液は、N−メチルピロリドンやN,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等高価な
溶媒を必要とし、さらに皮膜を形成する場合には加熱に
伴って、これらの溶媒が大気中に放出され、環境汚染と
いう観点からも問題があった。
【0005】また、ポリアミド酸を前駆体とする溶液
は、ポリマーの溶液であるため塗工可能な粘度とするた
めに濃度を低くする必要があり、高価な溶媒を多量に用
いなくてはならず、さらに前述した溶媒は極性が高いた
め吸湿しやすく、吸湿により前駆体の溶液が増粘したり
ゲル化したりするという問題があり、保存安定性という
観点からも新しいポリイミド前駆体溶液が求められてい
た。
【0006】このような問題を解決するものとして、最
も安価でかつ環境に対して全く問題の無い水を溶剤とす
るポリイミド前駆体溶液の調製が試みられてきた。この
ようなポリイミド前駆体溶液として、ポリアミド酸のカ
ルボン酸と第3級アミンを反応せしめ、第4級塩とする
ことにより水に可溶化する技術が、例えば、特公昭47
−19710号公報、米国特許3925313号、同4
014834号、同414210号、同4471022
号、同4600770号、同4480088号各明細書
等に開示されている。これらのポリイミド前駆体は水溶
性ではあるが、溶媒として水混和性の非プロトン性極性
溶剤やグリコール系溶剤を含んでいたり、カルボン酸を
第4級化するために第3級アミンやアンモニアが必要で
あり、あくまでも溶剤中に水を含んだ水性のポリイミド
前駆体溶液であった。すなわち、これらの前駆体溶液を
塗布して加熱イミド化を行う場合には、水以外に可溶化
成分である溶媒や有害なアミンが発生するという問題が
あった。加えて、従来のポリイミド前駆体は水に可溶化
されたポリアミド酸でありポリアミド酸は元来水により
加水分解されやすく保存安定性の点で問題があり、特に
第3級アミン成分は加水分解を加速してしまうという問
題があった。このように、従来知られている技術では、
純粋に水を溶媒としたポリイミドの前駆体溶液は全く知
られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記状況に鑑み、本発
明の課題は、水を溶媒とし、高濃度であるにもかかわら
ず低粘度であり、保存安定性にも優れるポリイミド前駆
体水溶液及びその製造方法、それから得られる良好な物
性を有するポリイミド塗膜及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究した結果、水中でテトラカルボン酸
又はそのジエステル誘導体とジアミンを反応させて塩を
形成をさせることにより、水に可溶化することを発見し
た。さらにテトラカルボン酸又はそのジエステル誘導体
とジアミンとからなる塩は水に高濃度で溶解しているに
もかかわらず低粘度を示し、かつ安定なモノマーの塩で
あるために保存安定性にも優れているとの知見を得、ま
たそれらの塩を溶解した水溶液から、良好な物性を有す
るポリイミド塗膜が得られることを見い出し、これらの
知見に基づいて、本発明に到達したものである。かかる
知見は、従来、ポリイミド前駆体がポリマーから構成さ
れ、またその溶液を構成する溶剤が非プロトン性極性溶
媒や他の有機溶媒、可溶化剤などから構成されていたこ
とから鑑みれば全く驚くべき知見である。
【0009】すなわち、本発明の要旨は、第1に、水を
溶媒とし、下記一般式(1)に示すジアミン〔式中、R
は2価の脂肪族残基、少なくとも1個の芳香環を含む2
価の芳香族残基及び少なくとも1個の芳香族環を含む2
価の部分芳香族残基から選ばれる基を表す。〕と下記一
般式(2)に示すテトラカルボン酸又はそのジエステル
誘導体〔式中、R' は4価の芳香族残基又は脂肪族残基
を表し、4つのカルボニル基はこの残基中異なった炭素
原子に直接連結しており、4つのうちの2つずつは対を
なし、隣接する炭素原子に結合しており、R''1 及び
R''2 は、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基若
しくはヒドロキシアルキレン基を表し、少なくとも一方
は水素原子である。〕とからなる塩を溶質として含有し
ていることを特徴とするポリイミド前駆体水溶液であ
る。
【0010】第2に、水中で、下記一般式(1)に示す
ジアミン〔式中、Rは2価の脂肪族残基、少なくとも1
個の芳香環を含む2価の芳香族残基及び少なくとも1個
の芳香族環を含む2価の部分芳香族残基から選ばれる基
を表す。〕と下記一般式(2)に示すテトラカルボン酸
又はそのジエステル誘導体〔式中、R' は4価の芳香族
残基又は脂肪族残基を表し、4つのカルボニル基はこの
残基中異なった炭素原子に直接連結しており、4つのう
ちの2つずつは対をなし、隣接する炭素原子に結合して
おり、R''1 及びR''2 は、水素原子又は炭素数1〜1
2のアルキル基若しくはヒドロキシアルキレン基を表
し、少なくとも一方は水素原子である。〕を反応させる
ことを特徴とするポリイミド前駆体水溶液の製造方法で
ある。
【0011】
【化5】
【0012】第3に、前記ポリイミド前駆体水溶液から
得られるポリイミド塗膜である。第4に、前記ポリイミ
ド前駆体水溶液を基材上に塗工し、加熱してイミド化す
ることを特徴とするポリイミド塗膜の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。まず、本発明で用いる用語について説明する。
【0014】(1)ポリイミド ポリマー鎖の繰り返し単位の80モル%以上がイミド構
造を有する有機ポリマーをいう。そして、この有機ポリ
マーは耐熱性を示す。
【0015】(2)ポリイミド前駆体 加熱又は、化学的作用により閉環してポリイミドとなる
有機化合物をいう。ここで、閉環とはイミド環構造が形
成されることをいう。
【0016】(3)粘度 (株)トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計
(B型粘度計)を用い、20℃における回転粘度を測定
したものである。
【0017】(4)溶質濃度 溶液中に占めるポリイミド前駆体の重量割合を百分率で
表した数値である。
【0018】(5)ポリイミド塗膜 例えば銅、アルミニウム、ガラス等の基材上に形成され
たポリイミドの膜をいう。これらポリイミド塗膜のなか
で基材と密着したまま使用されるものをポリイミド被覆
物といい、基材から剥離して使用されるものをポリイミ
ドフィルムという。
【0019】さらに本発明について説明する。本発明の
ポリイミド前駆体水溶液は、水を溶媒とし、下記一般式
(1)に示すジアミンと下記一般式(2)に示すテトラ
カルボン酸又はそのジエステル誘導体とからなる塩が溶
質として水中に溶解している。一般式(1)において、
Rは2価の脂肪族残基、少なくとも1個の芳香環を含む
2価の芳香族残基及び少なくとも1個の芳香族環を含む
2価の部分芳香族残基から選ばれる基を表し、Rの具体
例としては次のようなものが挙げられる。
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】特にRとしては、次のものが好ましい。
【0023】
【化8】
【0024】一般式(2)において、R’は4価の芳香
族残基又は脂肪族残基を示し、4つのカルボニル基はこ
の残基中異なった炭素原子に直接連結しており、4つの
うちの2つずつは対をなし、隣接する炭素原子に結合し
ている。R’の具体例としては次のようなものが挙げら
れる。
【0025】
【化9】
【0026】特に、R’としては次のものが好ましい。
【0027】
【化10】
【0028】一般式(2)において、R''1 とR''
2 は、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基若しく
はヒドロキシアルキレン基を表し、少なくとも一方は水
素原子である。アルキル基又はヒドロキシアルキレン基
としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ter
t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ヒドロキシエチル
基、ヒドロキシプロピル基等を例示することができ、メ
チル基が好ましい。
【0029】本発明におけるポリイミド前駆体水溶液の
ポリイミド前駆体の濃度は、20重量%以上が好まし
い。30重量%以上がより好ましく、40重量%以上が
さらに好ましい。20重量%未満では、表面状態の均一
な塗膜が得られにくい傾向にあり、均一で所望の厚さの
塗膜を得るのに多数回の塗工を必要とすることがある。
また、ポリイミド前駆体水溶液の粘度は、100ポイズ
以下が好ましく、85ポイズ以下がより好ましく、60
ポイズ以下がさらに好ましい。100ポイズを超えると
含浸等の用途に用いる際、生産性が低下することがあ
る。
【0030】本発明のポリイミド前駆体水溶液は、水中
で前記一般式(1)に示すジアミンと前記一般式(2)
に示すテトラカルボン酸又はそのジエステル誘導体を反
応させることにより製造することができる。
【0031】具体的には、まず、水中にジアミンを添加
して、水溶性のジアミンの場合はジアミン水溶液を、非
水溶性のジアミンの場合にはジアミンの懸濁液を調製す
る。ついで、この液に前述したテトラカルボン酸又はそ
のジエステル誘導体を添加する。このとき、液が懸濁状
態であっても、塩形成が進むにつれて水に溶解し、つい
には均一な溶液となる。また、ジアミンとテトラカルボ
ン酸又はそのジエステルの添加順序は限定されず、逆の
順序に添加してもよく、同時に添加しても、少量ずつ分
割して添加してもよい。また、それぞれを、水に添加し
た上で液同士を混合してもよい。また、溶液の調製は、
塩形成を促進させるために加熱してもよい。塩形成させ
る際の温度としては、5℃〜90℃が好ましく、より好
ましくは20〜60℃である。
【0032】本発明のポリイミド前駆体水溶液を製造す
る場合の、一般式(1)に示すジアミン1モルに対する
一般式(2)に示すテトラカルボン酸又はそのジエステ
ル誘導体の配合割合は、0.90〜1.10モルが好ま
しく、より好ましくは0.95〜1.05モルである。
一般式(2)に示す芳香族テトラカルボン酸又はそのジ
エステル誘導体の配合割合が、0.90〜1.10モル
の範囲外では目的とする塩が得られにくくなる傾向にあ
る。
【0033】さらに、本発明のポリイミド前駆体水溶液
には、必要に応じて例えば、有機シラン、顔料、導電性
のカーボンブラック及び金属粒子のような充填剤、摩滅
剤、誘電体、潤滑剤等の他、公知の添加物を本発明の効
果を損なわない範囲で添加することができる。
【0034】ポリイミド前駆体水溶液からポリイミド塗
膜を得るには、ポリイミド前駆体水溶液を基材上に塗工
して、乾燥して溶媒を除去し、これをイミド化すること
によって得られる。イミド化は、塗膜を一般的な乾燥機
や熱風炉中で、200℃以上、好ましくは250〜35
0℃に加熱することにより、行うことができる。ポリイ
ミドフィルムを成形するには、例えば、ポリイミド前駆
体水溶液をスリット状ノズルから押し出したり、バーコ
ーター等により基材上に塗工し、乾燥して溶媒を除去し
た後、これをイミド化した後、基材上から剥離すること
により製造することができる。ポリイミド被覆物を得る
には、ポリイミド前駆体水溶液を従来公知のスピンコー
ト法、スプレイコート法、浸漬法等の方法により基材上
に塗工し、乾燥して溶媒を除去した後、イミド化する。
【0035】このように、本発明のポリイミド前駆体水
溶液、それから得られるポリイミドフィルム又はポリイ
ミド被覆物は、例えば、耐熱絶縁テープ、耐熱粘着テー
プ、高密度磁気記録ベース、コンデンサー、FPC用の
フィルム等の製造に用いられる。また、例えば、フッ素
樹脂やグラファイト等を充填した摺動部材、ガラス繊維
や炭素繊維で強化した構造部材、小型コイルのボビン、
スリーブ、端末絶縁用チューブ等の成形材や成形品の製
造に用いられる。また、パワートランジスターの絶縁ス
ペーサ、磁気ヘッドスペーサ、パワーリレーのスペー
サ、トランスのスペーサ等積層材の製造に用いられる。
また、電線・ケーブル絶縁被膜用、太陽電池、低温貯蔵
タンク、宇宙断熱材、集積回路、スロットライナー等の
エナメルコーティング材の製造に用いられる。また、限
外ろ過膜、逆浸透膜、ガス分離膜の製造に用いられる。
また、耐熱性を有する糸、織物、不織布等の製造に用い
られる。
【0036】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例により限定されるものでは
ない。
【0037】実施例1 室温で3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸35.794g(0.0999mol)を水50
gに懸濁させたのち、懸濁液を攪拌しながら、1,3−
ジ(アミノメチル)シクロヘキサン14.205g
(0.0999mol)を加えた。ジアミンの添加と同
時に発熱し、塩が形成され、懸濁液は褐色の均一溶液と
なった。この水溶液の溶質濃度は50重量%であり、2
0℃における溶液粘度は0.6ポイズであった。さらに
この溶液を用いて、フィルムアプリケーターで、ガラス
板上に25μmの厚みで流延して、窒素雰囲気下80℃
で1時間乾燥した後、窒素雰囲気下250℃で3時間加
熱してイミド化を行ったところ、均一なポリイミドの塗
膜が形成された。この塗膜をガラス板上から剥離して、
ポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムの
厚みは、10.0μmであり、引っ張り強度は12.1
kg/mm2 であった。なお、引っ張り強度はJISK
−7127に準拠して測定した。
【0038】実施例2 室温で3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸ジメチルエステル36.544g(0.0946
mol)を水50gに懸濁させたのち、懸濁液を攪拌し
ながら、1,3−ジアミノメチルシクロヘキサン13.
456g(0.0946mol)を加えた。ジアミンの
添加と同時に発熱し褐色の溶液となった。この水溶液の
溶質濃度は60重量%であり、20℃における溶液粘度
は、0.7ポイズであった。この溶液は、室温下12時
間攪拌した後も粘度に変化はなかった。さらに、この溶
液をフィルムアプリケーターでガラス板上に50μmの
厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で1時間乾燥した
後、窒素雰囲気下250℃で3時間加熱イミド化を行っ
た。得られたポリイミド塗膜をガラス板上から剥離して
ポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムの
厚みは、9.0μmであり、引っ張り強度は13.5k
g/mm2 であった。
【0039】実施例1、2で得られたポリイミド前駆体
水溶液を、5℃、25℃、50℃、75℃で3ヶ月間保
存してその粘度変化を測定したところ、いずれの保存条
件でも溶液粘度は全く変化せず、固体の析出も起こらな
かった。このことから本発明のポリイミド前駆体水溶液
は保存安定性に優れていることが明らかである。
【0040】
【発明の効果】以上のように、本発明のポリイミド前駆
体水溶液は、溶質が重合体ではなくモノマーの塩であ
り、高濃度で溶解しているにもかかわらず、その溶液は
低粘度であり、保存安定性にも優れており、溶媒が水で
あるので環境問題が無いものである。また、本発明のポ
リイミド前駆体水溶液から得られるポリイミド塗膜は、
良好な物性を有しているので、各種耐熱性絶縁膜として
好適に利用できる。さらにまた、本発明のポリイミド前
駆体水溶液の製造方法によれば前記のポリイミド前駆体
水溶液を容易に製造することができ、ポリイミド塗膜の
製造方法によればポリイミド塗膜を容易に製造すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 越後 良彰 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4J043 PA02 PA19 PC015 QB15 QB24 QB31 RA34 SA06 SB01 TA14 TA32 TB01 UA022 UA032 UA041 UA042 UA121 UA122 UA131 UA132 UA141 UA261 UA262 UB011 UB021 UB061 UB062 UB121 UB122 UB131 UB151 UB152 UB221 UB301 UB302 XA12 ZB47

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水を溶媒とし、下記一般式(1)に示す
    ジアミン〔式中、Rは2価の脂肪族残基、少なくとも1
    個の芳香環を含む2価の芳香族残基及び少なくとも1個
    の芳香族環を含む2価の部分芳香族残基から選ばれる基
    を表す。〕と下記一般式(2)に示すテトラカルボン酸
    又はそのジエステル誘導体〔式中、R' は4価の芳香族
    残基又は脂肪族残基を表し、4つのカルボニル基はこの
    残基中異なった炭素原子に直接連結しており、4つのう
    ちの2つずつは対をなし、隣接する炭素原子に結合して
    おり、R''1 及びR''2 は、水素原子又は炭素数1〜1
    2のアルキル基若しくはヒドロキシアルキレン基を表
    し、少なくとも一方は水素原子である。〕とからなる塩
    を溶質として含有していることを特徴とするポリイミド
    前駆体水溶液。 【化1】
  2. 【請求項2】 一般式(1)におけるRが次のものであ
    ることを特徴とする請求項1記載のポリイミド前駆体水
    溶液。 【化2】
  3. 【請求項3】 一般式(2)におけるR' が次のもので
    あることを特徴とする請求項1記載のポリイミド前駆体
    水溶液。 【化3】
  4. 【請求項4】 溶質濃度が20重量%以上であり、かつ
    粘度が100ポイズ以下であることを特徴とする請求項
    1記載のポリイミド前駆体水溶液。
  5. 【請求項5】 水中で、下記一般式(1)に示すジアミ
    ン〔式中、Rは2価の脂肪族残基、少なくとも1個の芳
    香環を含む2価の芳香族残基及び少なくとも1個の芳香
    族環を含む2価の部分芳香族残基から選ばれる基を表
    す。〕と下記一般式(2)に示すテトラカルボン酸又は
    そのジエステル誘導体〔式中、R' は4価の芳香族残基
    又は脂肪族残基を表し、4つのカルボニル基はこの残基
    中異なった炭素原子に直接連結しており、4つのうちの
    2つずつは対をなし、隣接する炭素原子に結合してお
    り、R''1 及びR''2 は、水素原子又は炭素数1〜12
    のアルキル基若しくはヒドロキシアルキレン基を表し、
    少なくとも一方は水素原子である。〕を反応させること
    を特徴とする請求項1記載のポリイミド前駆体水溶液の
    製造方法。 【化4】
  6. 【請求項6】 請求項1記載のポリイミド前駆体水溶液
    から得られるポリイミド塗膜。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のポリイミド前駆体水溶液
    を基材上に塗工し、加熱してイミド化することを特徴と
    するポリイミド塗膜の製造方法。
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