JPH11209608A - ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11209608A
JPH11209608A JP10008278A JP827898A JPH11209608A JP H11209608 A JPH11209608 A JP H11209608A JP 10008278 A JP10008278 A JP 10008278A JP 827898 A JP827898 A JP 827898A JP H11209608 A JPH11209608 A JP H11209608A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
represented
polyimide
polyimide precursor
coating film
precursor solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10008278A
Other languages
English (en)
Inventor
Nagayasu Kaneshiro
永泰 金城
Takahiro Ono
貴博 小野
Yoshiaki Echigo
良彰 越後
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP10008278A priority Critical patent/JPH11209608A/ja
Publication of JPH11209608A publication Critical patent/JPH11209608A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリイミド前駆体が熱可塑性ポリイミドを形
成するものであり、高濃度かつ低粘度であるポリイミド
前駆体溶液を提供する。このポリイミド前駆体溶液から
得られる良好な物性を有するポリイミド塗膜とその製造
方法を提供する。 【解決手段】 3,4’−オキシジアニリンと4,4’
−オキシジフタル酸及び/又はその誘導体を溶質として
溶媒中に溶解している、又は、3,4’−オキシジアニ
リン、パラフェニレンジアミン及び4,4’−オキシジ
フタル酸及び/又はその誘導体を溶質として溶媒中に溶
解しているポリイミド前駆体溶液。これらのポリイミド
前駆体溶液から得られるポリイミド塗膜。これらのポリ
イミド前駆体溶液を基材上に塗工し、加熱イミド化して
ポリイミド塗膜を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミド前駆体
溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びポリイミド
塗膜の製造方法に関するものであり、前記ポリイミド前
駆体は熱可塑性ポリイミドを形成するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドは、その優れた耐熱性、機械
的特性から、近年、特に電気、電子産業、自動車産業、
宇宙、航空産業などにおいて注目を集めているエンジニ
アリングプラスチックの一つであり、高い需要が見込ま
れている。多くのポリイミドは有機溶剤に難溶又は不溶
であるために種々の用途において、有機溶剤に可溶であ
るポリイミド前駆体溶液が用いられてきた。このポリイ
ミド前駆体溶液として、下記一般式からなるポリアミッ
ク酸(ポリアミド酸)に示す溶液が知られている。
【0003】
【化3】
【0004】これらポリアミド酸溶液は、溶媒中で芳香
族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応さ
せることにより製造されるもので、例えば特公昭36−
10999号公報、特開昭62−275165号公報、
特開昭64−5057号公報、特公平2−38149号
公報、特公平2−38150号公報、特開平1−299
871号公報、特開昭58−12290号公報、特公平
1−34454号公報、特開昭58−185624号公
報、Journal of Polymer Science, Macromolecular Rev
iews Vol.11 P.199 (1976)、米国特許第4238528
号明細書、特公平3−4588号公報、特公平7−30
24号公報、特開平7−41556号公報、特開平7−
62095号公報、特開平7−133349号公報、特
開平7−149896号公報、特開平6−207014
号公報、特公平7−17870号公報、特公平7−17
871号公報、IBM Technical Disclosure Bulletin Vo
l.20 No.6 P.2041 (1977) 等に開示されているように、
溶媒として非プロトン性極性溶媒を用いるものや、特開
平6−1915号公報に開示されているように、溶媒と
して水溶性エーテル系化合物、水溶性アルコール系化合
物、水溶性ケトン系化合物及び水から選ばれる混合溶媒
を用いるものなど、種々の溶液が提案されている。
【0005】ポリイミド前駆体溶液における溶質として
のポリイミド前駆体としてはポリアミド酸以外にも種々
のポリマーが知られている。例えば、Macuromolecules
Vol.22 P.4477 (1989)やPolyimides and Other High Te
mperature Polymers.P.45 (1991)には、下記一般式から
なるポリアミド酸エステルが、
【0006】
【化4】
【0007】Macuromolecules Vol.24 P.3475 (1991)に
は、下記一般式からなるポリアミド酸トリメチルシリル
エステルが、
【0008】
【化5】
【0009】Journal of Polymer Science Part B Vol.
8 P.29 (1970) 、Journal of PolymerScience Part B V
ol.8 P.559 (1970) 、日本化学会誌 Vol.1972 P.1992、
Journal of Polymer Science Polymer Chemistry Editi
on Vol.13 P.365 (1975)には、下記式からなるポリアミ
ド酸ビス(ジエチルアミド)が開示されている。
【0010】
【化6】
【0011】上述したこれら前駆体はいずれも高重合度
のポリマー溶液である。
【0012】これらポリマー溶液のポリイミド塗膜を得
る際は、一般的にはこのポリマー溶液を銅、ガラス等基
材上にコーティングし、加熱することにより溶媒の除去
及びイミド化を行いポリイミド塗膜を得る。
【0013】しかしながら、このようなポリマー溶液を
基材上にコーティングする場合、ポリマーが高重合度で
あるので、溶液を塗工可能な粘度にするためには、固形
分濃度を低くして塗工を繰り返さなくては生産性に問題
があった。生産性を高めるために、固形分濃度を高める
と溶液の粘度が高くなり、塗工できなくなってしまい、
たとえ塗工できたとしても、良好な、機械的、熱的特性
を有する塗膜やフィルムが取得できないという問題があ
った。さらに、ポリマー溶液は長期の保存に耐え難く、
その重合度を維持しつつ長期間保存することは極めて困
難であった。
【0014】ところで、近年、ポリイミドの成形加工性
を向上させるために数多くの熱可塑性ポリイミドが開発
されている。しかしながら、前記ポリイミド塗膜を得る
場合と全く同様の問題、すなわち、ポリイミド前駆体溶
液の濃度を高くすれば粘度が高く取り扱いが困難であ
る、ポリマー溶液であるため、その重合度を維持しつつ
長期間保存することは極めて困難であるという問題は解
決されていなかった。
【0015】
【本発明が解決しようとする課題】上記状況に鑑み、本
発明の課題は、ポリイミド前駆体が熱可塑性ポリイミド
を形成するものであり、高濃度かつ低粘度であるポリイ
ミド前駆体溶液、それから得られる良好な物性を有する
熱可塑性ポリイミド塗膜及びその製造方法を提供するこ
とにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究した結果、特定のモノマーを組み合
わせれば、重合体でなくともそれらモノマーの溶液か
ら、良好な物性を有する熱可塑性ポリイミド塗膜が得ら
れることを見い出した。すなわち、3,4’−オキシジ
アニリンと、4,4’−オキシジフタル酸及び/又はそ
の誘導体を溶質として溶媒中に溶解しているポリイミド
前駆体溶液、又は3,4’−オキシジアニリン、パラフ
ェニレンジアミン及び4,4’−オキシジフタル酸及び
/又はその誘導体を溶質として溶媒中に溶解しているポ
リイミド前駆体溶液は、モノマーの塩を高濃度で溶解し
ているにもかかわらず、低粘度を示し、しかも、この溶
液からは高強度のポリイミド塗膜が得られるとの知見を
得、これらの知見に基づいて、本発明に到達したもので
ある。かかる知見は、従来、ポリイミド前駆体溶液を構
成するポリイミド前駆体が高重合度のものしか知られて
いなかったことに鑑みれば全く驚くべき知見である。
【0017】すなわち、本発明の要旨は、第1に、下記
の構造式(1)に示す3,4’−オキシジアニリンと下
記の一般式(2)に示す4,4’−オキシジフタル酸及
び/又はその誘導体を溶質として溶媒中に溶解している
ことを特徴とするポリイミド前駆体溶液である。
【0018】
【化7】
【0019】第2に、下記の構造式(1)に示す3,
4’−オキシジアニリン、下記の構造式(3)に示すパ
ラフェニレンジアミン及び下記の一般式(2)に示す
4,4’−オキシジフタル酸及び/又はその誘導体を溶
質として溶媒中に溶解していることを特徴とするポリイ
ミド前駆体溶液である。
【0020】
【化8】
【0021】第3に、前記ポリイミド前駆体溶液から得
られる熱可塑性ポリイミド塗膜である。第4に、前記ポ
リイミド前駆体溶液を基材上に塗工し、加熱イミド化す
ることを特徴とする熱可塑性ポリイミド塗膜の製造方法
である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。まず、本発明で用いる用語について説明する。 (1)ポリイミド ポリマー鎖の繰り返し単位の80モル%以上がイミド構
造を有する有機ポリマーをいう。そしてこの有機ポリマ
ーは、熱可塑性で、熱分解温度が高く耐熱性を示す。な
お本発明で熱可塑性とはDSC測定装置(パーキンエル
マー社製,DSC−7)で測定したガラス転移温度が3
20℃以下のものをいう。 (2)ポリイミド前駆体 加熱又は、化学的作用により閉環してポリイミドとなる
有機化合物をいう。ここで、閉環したとは、イミド環構
造が得られたことをいう。
【0023】(3)ポリイミド前駆体溶液 ポリイミド前駆体が溶媒に溶解しているものである。こ
こで溶媒とは、25℃で液状の化合物をいう。 (4)粘度 (株)トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計
(B型粘度計)を用い、20℃における回転粘度を測定
したものである。 (5)固形分濃度 溶液中に占める溶質の重量割合を百分率で表した数値で
ある。 (6)ポリイミド塗膜 例えば銅、アルミニウム、ガラス等の基材上に形成され
たポリイミドの膜をいう。これらポリイミド塗膜のなか
で基材と接着したまま使用されるものをポリイミド被覆
物といい、基材から剥離したものをポリイミドフィルム
という。
【0024】さらに、本発明について説明する。本発明
のポリイミド前駆体溶液は、構造式(1)に示す3,
4’−オキシジアニリンと、構造式(2)に示す4,
4’−オキシジフタル酸及び/又はその誘導体が溶質と
して溶媒中に溶解しているもの、又は、構造式(1)に
示す3,4’−オキシジアニリン、構造式(3)に示す
パラフェニレンジアミン及び下記の一般式(2)に示す
4,4’−オキシジフタル酸及び/又はその誘導体を溶
質として溶媒中に溶解しているものである。
【0025】構造式(3)に示すパラフェニレンジアミ
ンを溶質として含有するポリイミド前駆体溶液を調製す
る場合、構造式(1)に示す3,4’−オキシジアニリ
ンと構造式(3)に示すパラフェニレンジアミンとのモ
ル比はいくらに設定してもよいが、構造式(1)に示す
3,4’−オキシジアニリン100に対して構造式
(4)に示すパラフェニレンジアミンのモル比が50以
下が好ましく、さらに好ましくは20以下である。この
モル比が50より大きいと得られるポリイミドの高温特
性が著しく変化してしまう。
【0026】これらポリイミド前駆体溶液において、構
造式(2)に示す4,4’−オキシジフタル酸及び/又
はその誘導体の一部を、一般式(4)に示すカルボン酸
又は一般式(5)に示すジカルボン酸無水物に置き換え
てもよい。この場合、4,4’−オキシジフタル酸及び
/又はその誘導体と、一般式(4)に示すカルボン酸又
は一般式(5)に示すジカルボン酸無水物との比を制御
することによって、得られるポリイミドの溶融流動性を
制御することが可能となる。このとき、4,4’−オキ
シジフタル酸及び/又はその誘導体と一般式(4)に示
すカルボン酸又は一般式(5)に示すジカルボン酸無水
物のモル比は100:0〜100:20が好ましく、1
00:0〜100:11がさらに好ましい。一般式
(2)に示す4,4’−オキシジフタル酸及び/又はそ
の誘導体100に対する一般式(4)に示すカルボン酸
又は一般式(5)に示すジカルボン酸無水物のモル比が
20を超えると強度の低いポリイミドフィルムしか得ら
れない。
【0027】
【化9】
【0028】さらに、一般式(2)に示す4,4’−オ
キシジフタル酸及び/又はその誘導体の一部を構造式
(6)に示す4,4’−オキシジフタル酸二無水物に置
き換えてもよい。このとき、一般式(2)に示す4,
4’−オキシジフタル酸及び/又はその誘導体100に
対する構造式(6)に示す4,4’−オキシジフタル酸
二無水物のモル比は0〜100が好ましい。この比を調
節することによってポリイミド前駆体溶液の粘度を微調
整することができる。この比が100を超えると本発明
の特徴である低粘度なポリイミド前駆体溶液を得ること
ができない。
【0029】
【化10】
【0030】またさらに、構造式(1)に示す3,4’
−オキシジアニリンの一部を、一般式(7)に示すアミ
ンに置き換えても得られるポリイミドの溶融流動性を制
御することもできる。この場合、構造式(1)に示す
3,4’−オキシジアニリンと、一般式(7)に示すア
ミンの比は100:0〜100:20が好ましく、10
0:0〜100:11がさらに好ましい。構造式(1)
に示す3,4’−オキシジアニリン100に対する一般
式(7)に示すアミンのモル比が20を超えると強度の
低いポリイミドフィルムしか得られない。
【0031】
【化11】
【0032】本発明のポリイミド前駆体溶液において、
溶媒としては、均一な溶液を与える溶媒であればいかな
る溶媒も用いることができるが、非プロトン系極性溶
媒、同一分子内にエーテル基とアルコール性水酸基を有
する化合物、水溶性エーテル化合物、水溶性アルコール
性化合物、アミン化合物等を挙げることができ、これら
は単独もしくは2種以上を混合して用いることができ
る。
【0033】非プロトン系極性溶媒としてはN−メチル
−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド
等が挙げられ、これらの中で、N,N−ジメチルホルム
アミドを用いるのが特に好ましい。
【0034】同一分子内にエーテル基とアルコール性水
酸基を有する化合物としては、例えば、2−メトキシエ
タノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメ
トキシ)エトキシエタノール、2−イソプロポキシエタ
ノール、2−ブトキシエタノール、テトラヒドロフルフ
リルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレング
リコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ
ーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、
1−メトキシー2−プロパノール、1−エトキシ−2−
プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレン
グリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコー
ルモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ
メチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール等が挙げられ、これらの中でジエチレン
グリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
【0035】水溶性エーテル系化合物としては、例え
ば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメト
キシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、
ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、
また、水溶性アルコール系化合物としては、例えば、メ
タノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパ
ノール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコ
ール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジ
オール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオ
ール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−
2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリ
オール等が挙げられる。これらの溶媒の中で、テトラヒ
ドロフラン、テトラヒドロフランとメタノールの混合溶
媒が特に好ましい。アミン化合物としてはいかなるもの
を用いてもよいが、第3級アミンを用いることが好まし
い。この中で、トリエチルアミン及びジメチルアミノエ
タノールを用いるのが特に好ましい。
【0036】本発明におけるポリイミド前駆体溶液のポ
リイミド前駆体の濃度は、30重量%以上が好ましい。
35重量%以上がより好ましく、40重量%以上がさら
に好ましい。30重量%未満では、粘度が低すぎ、均一
塗膜が得られにくい。また、ポリイミド前駆体溶液の粘
度は、100ポイズ以下が好ましく、85ポイズ以下が
より好ましく、60ポイズ以下がさらに好ましい。ポリ
イミド前駆体溶液の粘度が100ポイズを超えると含浸
用に用いる場合生産性が低下することがある。
【0037】本発明におけるポリイミド前駆体溶液は、
構造式(1)に示す3,4’−オキシジアニリンと構造
式(2)に示す4,4’−オキシジフタル酸及び/又は
その誘導体を溶媒に順次添加することにより、あるいは
構造式(1)に示す3,4’−オキシジアニリンと、構
造式(3)に示すパラフェニレンジアミン及び一般式
(2)に示す4,4’−オキシジフタル酸及び/又はそ
の誘導体を溶媒に順次添加することにより製造すること
ができる。添加する順序はいかなる順序でもよい。
【0038】さらに、本発明のポリイミド前駆体溶液に
は、必要に応じて例えば、有機シラン、顔料、導電性の
カーボンブラック及び金属粒子のような充填剤、摩滅
剤、誘電体、潤滑剤等の他公知の添加物を本発明の効果
を損なわない範囲で添加することができる。また、他の
重合体や例えば水不溶性のエーテル類、アルコール類、
ケトン類、エステル、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素
類等の溶媒を本発明の効果を損なわない範囲で添加する
ことができる。
【0039】ポリイミド塗膜は、ポリイミド前駆体溶液
を基材上に塗工し、乾燥して溶媒を除去した後、ポリイ
ミド前駆体塗膜を得、これをイミド化するとポリイミド
塗膜得られる。また、ポリイミド塗膜を基材から剥離す
ると、あるいはポリイミド前駆体塗膜を基材から剥離し
てイミド化するとポリイミドフィルムが得られる。イミ
ド化は150℃以上、好ましくは200℃以上、より好
ましくは250℃以上で、10分以上、好ましくは30
分以上加熱して行う。塗工方法としては、スリット状ノ
ズルから押し出したり、バーコーター法、スピンコート
法、スプレイコート法、浸漬法等の方法等が挙げられ
る。
【0040】本発明のポリイミド前駆体溶液、それから
得られる塗膜(被覆物又はフィルム)は、例えば、耐熱
絶縁テープ、耐熱粘着テープ、高密度磁気記録ベース、
コンデンサー、複合材料、FPC用のフィルム等の製造
に用いられる。また、例えば、フッ素樹脂やグラファイ
ト等を充填した摺動部材、ガラス繊維や炭素繊維で強化
した構造部材、小型コイルのボビン、スリーブ、端末絶
縁用チューブ等の成形材や成形品の製造に用いられる。
また、パワートランジスターの絶縁スペーサ、磁気ヘッ
ドスペーサ、パワーリレーのスペーサ、トランスのスペ
ーサ等の積層材の製造に用いられる。また、電線・ケー
ブル絶縁被膜用、太陽電池、低温貯蔵タンク、宇宙断熱
材、集積回路、スロットライナー等のエナメルコーティ
ング材の製造に用いられる。また、限外ろ過膜、逆浸透
膜、ガス分離膜の製造に用いられる。また、耐熱性を有
する糸、織物、不織布等の製造にも用いられる。
【0041】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が本発明はこれらの実施例により限定されるものではな
い。
【0042】実施例1 3,4’−オキシジアニリン34.9gを、テトラヒド
ロフランとメタノールの混合溶媒(重量比8/2)4
2.9gに溶解した。これに4,4’−オキシジフタル
酸ジメチルエステル60.8g(1当量)を加えた。3
時間撹拌を続けたところ、均一な赤茶色透明な溶液が得
られた(固形分濃度70重量%)。この溶液の粘度を測
定したところ、20ポイズであった。さらにこの溶液を
スピンコーターを用いて、ガラス板上に塗工し、室温で
2時間風乾し、50℃から100℃まで48時間かけて
乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド
化を行ったところポリイミド塗膜が得られた。この塗膜
のガラス転移温度は240℃であった。
【0043】実施例2 4,4’−オキシジフタル酸ジメチルエステル60.8
gをテトラヒドロフランとメタノールの混合溶媒(重量
比8/2)6.1gに80℃で溶解した。これに3,
4’−オキシジアニリン34.9gを加えた。3時間撹
拌を続けたところ、均一な赤茶色透明な溶液が得られた
(固形分濃度94重量%)。この溶液の粘度は20℃で
は測定不可能であった。80℃に加熱したこの溶液をス
ピンコーターを用いて、ガラス板上に塗工し、室温で2
時間風乾し、50℃から100℃まで48時間かけて乾
燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化
を行ったところポリイミド塗膜が得られた。この塗膜の
ガラス転移温度は235℃であった。
【0044】実施例3 3,4’−オキシジアニリン223.16gとパラフェ
ニレンジアミン13.39gを、テトラヒドロフランと
メタノールの混合溶媒(重量比8/2)300gに溶解
した。これに4,4’−オキシジフタル酸ジメチルエス
テル463.45g(1当量)を加えた。3時間撹拌を
続けたところ、均一な赤茶色透明な溶液が得られた(固
形分濃度70重量%)。この溶液の粘度を測定したとこ
ろ、25ポイズであった。さらにこの溶液をスピンコー
ターを用いて、ガラス板上に塗工し、室温で2時間風乾
し、50℃から100℃まで48時間かけて乾燥した
後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行っ
たところポリイミド塗膜が得られた。この塗膜のガラス
転移温度は245℃であった。
【0045】実施例4 3,4’−オキシジアニリン34.9gをテトラヒドロ
フラン42.9gに溶解した。これに4,4’−オキシ
ジフタル酸ジメチルエステル60.8g(1当量)を加
えた。3時間撹拌を続けたところ、均一な赤茶色透明な
溶液が得られた(固形分濃度70重量%)。この溶液の
粘度を測定したところ、25ポイズであった。さらにこ
の溶液をスピンコーターを用いて、ガラス板上に塗工
し、室温で2時間風乾し、50℃から100℃まで48
時間かけて乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間
加熱イミド化を行ったところポリイミド塗膜が得られ
た。この塗膜のガラス転移温度は237℃であった。
【0046】比較例1 3,4’−オキシジアニリン4.70gを、テトラヒド
ロフランとメタノールの混合溶媒(重量比8/2)5.
14gに溶解した。これに4,4’−オキシジフタル酸
二無水物7.30g(1当量)を加えて攪拌した。攪拌
途中で粘度が上昇し、攪拌不可能となった(固形分濃度
70重量%)。
【0047】
【発明の効果】以上のように構成されているので、本発
明のポリイミド前駆体溶液におけるポリイミド前駆体は
熱可塑性ポリイミドを形成するものであり、本発明のポ
リイミド前駆体溶液は高濃度かつ低粘度であり、このポ
リイミド前駆体溶液からはポリイミド塗膜が容易に製造
することができ、得られるはポリイミド塗膜は良好な物
性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29C 41/12 B29C 41/12 B29K 77:00 B29L 7:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の構造式(1)に示す3,4’−オ
    キシジアニリンと下記の一般式(2)に示す4,4’−
    オキシジフタル酸及び/又はその誘導体を溶質として溶
    媒中に溶解していることを特徴とするポリイミド前駆体
    溶液。 【化1】
  2. 【請求項2】 下記の構造式(1)に示す3,4’−オ
    キシジアニリン、下記の構造式(3)に示すパラフェニ
    レンジアミン及び下記の一般式(2)に示す4,4’−
    オキシジフタル酸及び/又はその誘導体を溶質として溶
    媒中に溶解していることを特徴とするポリイミド前駆体
    溶液。 【化2】
  3. 【請求項3】 溶媒がテトラヒドロフラン又はテトラヒ
    ドロフランとメタノールの混合物であることを特徴とす
    る請求項1又は2記載のポリイミド前駆体溶液。
  4. 【請求項4】 固形分濃度が30重量%以上であること
    を特徴とする請求項1又は2記載のポリイミド前駆体溶
    液。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載のポリイミド前駆体
    溶液から得られるポリイミド塗膜。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2記載のポリイミド前駆体
    溶液を基材上に塗工し、加熱イミド化することを特徴と
    するポリイミド塗膜の製造方法。
JP10008278A 1998-01-20 1998-01-20 ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法 Pending JPH11209608A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10008278A JPH11209608A (ja) 1998-01-20 1998-01-20 ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10008278A JPH11209608A (ja) 1998-01-20 1998-01-20 ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11209608A true JPH11209608A (ja) 1999-08-03

Family

ID=11688726

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10008278A Pending JPH11209608A (ja) 1998-01-20 1998-01-20 ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11209608A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9161440B2 (en) 2006-06-26 2015-10-13 Sabic Global Technologies B.V. Articles comprising a polyimide solvent cast film having a low coefficient of thermal expansion and method of manufacture thereof

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9161440B2 (en) 2006-06-26 2015-10-13 Sabic Global Technologies B.V. Articles comprising a polyimide solvent cast film having a low coefficient of thermal expansion and method of manufacture thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5466732A (en) Polyimide precursor solution, process for producing the solution and moldings and coatings obtained therefrom
JPS58145419A (ja) 芳香族ポリイミドフイルムの製造方法
US6133407A (en) Polyimide precursor solution, coating film obtained therefrom, and process for producing polyimide coating film
JPH023820B2 (ja)
JP2951484B2 (ja) ポリイミド前駆体の粉粒体、その混合物及びその製造方法
EP0811648B1 (en) Polyimide precursor solution, process for the production thereof and process for producing a film or coating therefrom
JP4475711B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液
JP4589471B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法
JP3262514B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜又はポリイミドフィルム、及びそれらの製造方法
JPH07324163A (ja) ポリアミド酸溶液及びその製造方法
JP2000297152A (ja) ポリイミド前駆体水溶液及びその製造方法、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法
JPH11209608A (ja) ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法
JP2000234023A (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法
JP2000319391A (ja) ポリイミド前駆体水溶液及びその製造方法、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法
JPH02233727A (ja) 新規ポリアミド―ポリイミドブロックコポリマー
JP4084465B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法
JPH01201335A (ja) ポリアミド−ポリイミドブロックコポリマー
JP2000327777A (ja) ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法
JP4260967B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法
JP2000248178A (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法
JP3510689B2 (ja) ポリアミド酸溶液の製造方法
EP0532954B1 (en) Process for producing a granular material of polyimide precursor.
JPH07324134A (ja) ポリアミド酸溶液及びその製造方法
JP4372261B2 (ja) ポリイミド塗膜及びその製造方法
JP2000290369A (ja) ポリイミド前駆体分散液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法