JP2012167349A - 電着方法及び電着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】窪んだ形状の内面側であって2つの壁面の境界部分に十分な塗布をすることができる電着方法を提供する。
【解決手段】底板部と該底板部の両端から上方へ延びる2つの側板部とを少なくとも備えた導電性部材1に電着により塗料を塗布する電着方法であって、電着槽の塗液の中に導電性部材と対向電極とを浸漬する工程と、導電性部材と対向電極との間に電流を流して塗料を塗布する塗布工程とを含み、対向電極24は、主板部とその一端部Aから2つに分かれて延びる2つの枝分かれ板部とを備えており、塗布工程では、主板部のうち一端部Aが底板部に最も近く位置し且つ主板部の両面が側板部の内面にそれぞれ相対するように置かれ、2つの枝分かれ板部は底板部と前記2つの側板部との境のそれぞれに向かって延び、一端部Aと底板部との間の距離よりも枝分かれ板部の先端と底板部との間の距離の方が小さい形状を有している。
【選択図】図6

Description

本発明は、電着方法及び電着装置に関するものである。
金属等の導電性を有する部材の表面に絶縁性の塗料を塗布して電気機器の部品を作製することは広く行われている。塗料の塗布方法には様々な方法があるが、部材が導電性であることを利用する場合は、電着という方法が選択肢の一つとなる。
例えば、特許文献1には、断面形状が平角状でありかつ平面形状が開放部を有するリング状の導電板の表面に絶縁被膜層を形成する工程を有するリング状絶縁コイル板の製造方法であって、絶縁被覆層は非エマルジョン型のカチオン電着塗料の電着によって形成されることを特徴とするものが開示されている。具体的な塗料としてエポキシ系カチオン電着塗料を用い、21〜26μmのほぼ均一な厚みの絶縁被覆層を得ている。
また特許文献2には、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有するサスペンジョン型電着塗料組成物が開示されている。
特開2008−85077号公報 WO2008/139990公報
特許文献1に開示されている技術では、平板をリング状に切り出した被着対象物を、単に電着塗料の中に浸漬して電流を流して電着を行っている。電着の方法についてはなんら工夫がされていないが、リング状の平板にはほぼ均一な絶縁被覆層が形成されたと記載されている。また特許文献2には、円形銅線に電着によって18〜52μmの平均厚みの絶縁被覆層が形成されたことが記載されている。
上述の特許文献1,2に開示されている電着の例は、平面的な対象物あるいは線材に電着塗布を行っているものであって、立体的な形状の被着対象物に対して均一に塗布することについての開示及び示唆は両文献にはない。立体的な形状の被着対象物のうち、窪んだ形状(少なくとも三方に壁面がある形状)の内面側であって2つの壁面の境界部分は、塗布厚みが他の部分に比べて薄くなると考えられるが、このような懸念に応える技術は特許文献1,2に開示されていない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、窪んだ形状の内面側であって2つの壁面の境界部分に十分な塗布をすることができる電着方法を提供することにある。
本発明の電着方法は、底板部と該底板部の両端から上方へ延びる2つの側板部とを少なくとも備えた導電性部材に電着により塗料を塗布する電着方法であって、塗液が入れられた電着槽を用意する工程と、前記電着槽の前記塗液の中に、前記導電性部材と複数の対向電極とを浸漬する工程と、前記導電性部材と前記対向電極との間に電流を流して塗料を塗布する塗布工程と、前記塗料が塗布された前記導電性部材を前記塗液から取り出す工程とを含み、前記対向電極には、前記側板部に面するように配置される主板部と、該主板部よりも前記底板部と前記側板部との境界部分に近い位置に配置される境界補助部とが含まれている構成としている。
本発明の電着装置は、電着槽と複数の対向電極と電源とを備え、導電性部材に電着により塗料を塗布する電着装置であって、前記導電性部材は、底板部と該底板部の両端から上方へ延びる2つの側板部とを少なくとも備えており、前記対向電極には、前記側板部に面するように配置される主板部と、該主板部よりも前記底板部と前記側板部との境界部分に近い位置に配置される境界補助部とが含まれている構成を有している。
底板部と該底板部の両端から上方へ延びる2つの側板部とを少なくとも備えた導電性部材に対し、上記の構成の対向電極を用いて電着塗装を行うので、底板部と側板部との境の部分の塗布厚みが他の部分に比べて薄くなりすぎることを避けられる。
実施形態1に係る導電性部材の斜視図である。 実施形態1に係る導電性部材の前後に対向電極を配置した斜視図である。 電着装置の概略図である。 内部対向電極の一例を示す図である。 外部対向電極の一例を示す図である。 実施形態1に係る対向電極を示す図である。 実施形態1に係る対向電極の配置を示す図である。 実施形態2に係る導電性部材と対向電極を示す図である。 実施形態3に係る導電性部材と対向電極を示す図である。 実施形態4に係る導電性部材と対向電極を示す図である。 実施形態5に係る導電性部材と対向電極を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
(実施形態1)
<塗布対象>
実施形態1では、図1に示す溝状の導電性部材1に電着塗装を行った。この導電性部材1は、底板部11の両端から、2つの側板部12a,12bが上方へ延びている形状を有している。底板部11と側板部12a,12bとは略直角に繋がっており、その90°を成している角部分をコーナー部13a,13bとした。導電性部材1は金属板を折り曲げて作られている。
本実施形態の電着される部材である導電性部材1の材質は、導電性を有していれば特に限定されないが、導電性の点から、銅、銅合金、銅グラットアルミニウム、アルミニウム、亜鉛メッキ鉄、銀、金、ニッケル、チタン、タングステン等が挙げられ、中でも、銀または銅が好ましい。また、絶縁製品であっても表面にメッキのように導電加工を施したものであるものならば本実施形態の電着塗料用組成物による電着膜を形成することができる。
<電着塗料>
本実施形態に用いる電着塗料は、特許文献2に記載されている塗料である。具体的には、この電着塗料組成物は、分子骨格(すなわちポリイミドの主鎖)中にシロキサン結合(−Si−O−)を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有する。
ここで、「ブロック共重合ポリイミド」とは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを加熱してイミドオリゴマーを生成させ(第1段階反応)、次いでこれに前記のテトラカルボン酸二無水物と同一若しくは異なるテトラカルボン酸二無水物又は/及び前記のジアミンとは異なるジアミンを加えて反応(第2段階反応)することによって、アミック酸間で起る交換反応に起因するランダム共重合化を防止して得られる、共重合ポリイミドのことを意味する。
ポリイミドの主鎖中にシロキサン結合を含有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドにおいて、主鎖中のシロキサン結合はテトラカルボン酸二無水物成分由来のシロキサン結合であっても、ジアミン成分由来のシロキサン結合であってもよいが、好ましくはジアミン成分由来のシロキサン結合であり、通常、ジアミン成分の少なくとも一部に、分子骨格中にシロキサン結合(−Si−O−)を有するジアミン化合物(以下、「シロキサン結合含有ジアミン」と呼ぶことがある。)を用いて得られたブロック共重合ポリイミドが使用される。
シロキサン結合含有ジアミンとしては、テトラカルボン酸二無水物との間でイミド化し得るものであれば特に制限なく使用できるが、例えば、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び一般式(I):
Figure 2012167349
(式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は1個ないし3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)で表される化合物が挙げられる。当該一般式(I)で表される化合物は、式中nが1又は2の単一化合物、及びポリシロキサンジアミンを含む。
式(I)中の4つのRのそれぞれにおいて、アルキル基、シクロアルキル基の炭素数は1〜6が好ましく、1〜2がより好ましい。また、1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基における、1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基は、それが2又は3個の場合、互いに同一であっても異なってもよい。また、アルキル基、アルコキシル基は、それぞれ、炭素数が1〜6が好ましく、1〜2がより好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、式中の4つのRがアルキル基(特にメチル基)又はフェニル基であるのが好ましく、また、式中l及びmが2〜3、nが5〜15にあるポリシロキサンジアミンが好ましい。
なお、ポリシロキサンジアミンの好ましい例としては、ビス(γ−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(式(I)中、l及びmが3、4つのRがメチル基のもの。)、ビス(γ−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン(式(I)中、l及びmが3、4つのRがフェニル基のもの。)が挙げられる。
シロキサン結合含有ジアミンはいずれか一種の化合物を単独で使用しても、2種以上を併用して使用してもよい。なお、かかるシロキサン結合含有ジアミンは、市販品を使用してもよく、信越化学工業社、東レ・ダウコーニング社、チッソ社から販売されているものをそのまま使用できる。具体的には、信越化学工業社製のKF−8010(ビス(γ−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン:アミノ基当量約450)、X−22−161A(ビス(γ−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン:アミノ基当量約840)等が挙げられ、これらは特に好ましいものである。
アニオン性基とは、電着組成物の溶媒(後述)中でアニオンになる基であり、好ましくはカルボキシル基若しくはその塩、及び/又は、スルホン酸基若しくはその塩である。アニオン性基は、シロキサン含有ジアミンやテトラカルボン酸二無水物成分が有していてもよいが、アニオン性基を有するジアミンをジアミン成分の1つとして用いることが好ましい。ポリイミドの耐熱性、被電着物との密着性、重合度向上のために、このようなアニオン性基含有ジアミンは、芳香族ジアミンであることが好ましい。すなわち、芳香族ジアミノカルボン酸及び/又は芳香族ジアミノスルホン酸が好ましい。芳香族ジアミノカルボン酸としては、例えば、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノフェニル酢酸、2,5−ジアミノテレフタル酸、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジアミノパラトルイル酸、3,5−ジアミノ−2−ナフタレンカルボン酸、1,4−ジアミノ−2−ナフタレンカルボン酸等が挙げられ、芳香族ジアミノスルホン酸としては、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、4,4’−ジアミノ−2,2’−スチルベンジスルホン酸、o−トリジンジスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、3,5−ジアミノ安息香酸が特に好ましい。このようなアニオン性基含有芳香族ジアミンは、単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。なお、シロキサン結合含有ジアミンがアニオン性基を有している場合には、ジアミン成分は、シロキサン結合含有ジアミンのみであってもかまわない。
ジアミン成分として、上記したシロキサン結合含有ジアミン及びジアミノカルボン酸に加え、さらに他のジアミンが含まれていてもよい。このようなジアミンとしては、ポリイミドの耐熱性、被電着物への密着性、重合度向上のため通常は芳香族ジアミンが用いられる。このような芳香族ジアミンの例として、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−メチルピリジン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、α,α−ビス(4-アミノフェニル)-1,3-ジイソプロピルベンゼンを挙げることができ、中でも、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンがより好ましい。
全ジアミン成分中、前記シロキサン結合含有ジアミンの割合は5〜90モル%が好ましく、より好ましくは15〜50モル%である。シロキサン結合含有ジアミン単位が5モル%未満の場合、ポリイミドの電着塗膜は伸び率が劣り、十分な可とう性が得られにくくなって、剥がれや割れを生じ易くなるため、好ましくない。また、前記芳香族ジアミノカルボン酸又はその塩の割合が10〜70モル%であることが好ましい(ただし、シロキサン結合含有ジアミンと芳香族ジアミノカルボン酸又はその塩の合計は100モル%以下であり、また、上記の通り第3のジアミン成分を含んでいてもよい)。
一方、ポリイミド中のテトラカルボン酸二無水物成分としては、ポリイミドの耐熱性、ポリシロキサンジアミンの相溶性の点から芳香族テトラカルボン酸二無水物が通常使用され、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらの中でもポリイミドの耐熱性、被電着物への密着性、ポリシロキサンジアミンの相溶性、重合速度の観点から3,3',4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物が特に好ましいものとして挙げられる。これら例示のテトラカルボン酸二無水物は、何れか一種の化合物を単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用しても良い。
組成物の樹脂成分として用いられるポリイミドは、水溶性極性溶媒に可溶な(例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、5重量%以上、好ましくは10重量%以上の濃度で溶解する溶解性を示す。)ブロック共重合ポリイミドである。ブロック共重合ポリイミド及びその製造方法は、既に公知であり(例えば前記特許文献8及び9に記載)、本発明で用いるポリイミドも、上記ジアミン成分及びテトラカルボン酸二無水物を用い、公知の方法を適用して製造することができる。重合反応には水溶性極性溶媒が用いられ、具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(γBL)、アニソール、テトラメチル尿素、及びスルホランから選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、なかでも、NMPが好ましい。かかる水溶性極性溶媒中に、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを、ほぼ等モル(好ましくはモル比で1:0.95〜1.05)加え、触媒存在下で加熱して脱水イミド化反応することにより直接ポリイミド溶液を製造する。触媒は、ラクトンと塩基又はクロトン酸と塩基から成る2成分系の複合触媒である。ラクトンとしてはγ−バレロラクトンが好ましく、塩基としてはピリジン又はN−メチルモルホリンが好ましい。ラクトン又はクロトン酸と塩基の混合比は、1:1〜5(モル当量)好ましくは、1:1〜2である。水が存在すると、酸−塩基の複塩として、触媒作用を示し、イミド化が完了し、水が反応系外に出る(好ましくは、トルエンの存在下で重縮合反応を行い、生成する水はトルエンと共に反応系外に除かれる)と触媒作用を失う。この触媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物に対し通常1/100〜1/5モル、好ましくは1/50〜1/10モルである。上記イミド化反応に供するテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの混合比率(酸/ジアミン)は、上記の通りモル比で1.05〜0.95程度が好ましい。また、反応開始時における反応混合物全体中の酸二無水物の濃度は4〜16重量%程度が好ましく、ラクトン又はクロトン酸の濃度は0.2〜0.6重量%程度が好ましく、塩基の濃度は0.3〜0.9重量%程度が好ましく、トルエンの濃度は6〜15重量%程度が好ましい。反応温度は、150℃〜220℃が好ましい。また、反応時間は特に限定されず、製造しようとするポリイミドの分子量等により異なるが、通常180〜900分間程度である。また、反応は撹拌下で行うことが好ましい。
水溶性極性溶媒中、上記2成分系の酸触媒の存在下で酸二無水物とジアミンとを加熱してイミドオリゴマーを生成させ、次いでこれに酸二無水物又は/及びジアミンを加えて第2段階反応することによりポリイミドを生成することができる。この方法によりアミック酸間で起こる交換反応に起因するランダム共重合化を防止することができる。その結果、ブロック共重合ポリイミドが製造できる。このときの固形分濃度は10〜40重量%が好ましく、より好ましくは20〜30重量%である。
ポリイミドは固有対数粘度(25℃)が20wt%NMP溶液時で5000〜50000mPasであるものが好ましく、5000〜15000mPasがより好ましい。
また、樹脂成分として用いられるブロック共重合ポリイミドの重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算で20,000〜150,000が好ましく、特に45,000〜90,000が好ましい。当該ポリイミドの重量平均分子量が20,000未満の場合、電着塗膜の耐熱性が低下する傾向となり、また塗膜表面が荒れてしまい、審美性および耐電圧特性が低下する傾向となる。また、重量平均分子量が150,000より大きくなると、ポリイミド樹脂が水に対して撥水性を帯び電着液(塗料)製造工程でゲル化を引き起こし易くなる。
また、数平均分子量(Mn)については、ポリスチレン換算で10,000〜70,000が好ましく、より好ましくは20,000〜40,000である。数平均分子量が10,000未満の場合、電着効率が低下する傾向となり、また、耐熱性、耐電圧性が低下する場合もある。ここで、ポリイミドの分子量はGPCにより測定される、ポリスチレン換算の分子量であり、GPC装置として東ソー社製HLC−8220を、カラムにSCkgel Super−H−RCを使用して、測定した値である。
本実施形態の電着塗料組成物は、サスペンジョン型電着塗料である。本発明において、「サスペンジョン型電着塗料組成物」とは、電気泳動法光散乱法(レーザードップラー法)での粒径分析装置ELS−Z2(大塚電子株式会社製)を用いて測定し、測定結果をキュムラント解析法にて解析したポリイミド粒子の粒子径が0.1〜10μm、粒子径の標準偏差が0.1〜8μmで分散されているサスペンジョン型電着塗料組成物である。
本実施形態のサスペンジョン型電着塗料組成物の固有相対粘度は、5〜100mPasであることが好ましい。上記粘度範囲の組成物は、30μm以上の膜厚が得られ、かつ均一な膜厚が得られる電着塗料用組成物として好適である。なお、固有対数粘度は、B型粘度計(東機産業(株)製)を用いて測定した。
本実施形態の電着塗料組成物において、ブロック共重合ポリイミドからなる粒子の平均粒子径は0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。平均粒子径が0.1μm未満であるとクーロン効率の低下および過電圧による耐電圧性能の低下をもたらす。また、5μmを超えるとクーロン効率の制御および粒子が大きくなることによるリーク電流の増大により耐電圧性能の低下を引き起こす。そのため、クーロン効率の制御および耐電圧性能の維持のバランスのとれた粒子径範囲として0.5〜5μmが好ましい。
上述の電着塗料組成物の製造は、具体的には、次のようにして行う。
先ず、上記の重合反応を経て得られたブロック共重合ポリイミドを含む重合反応後組成物(すなわち、ブロック共重合ポリイミドと水溶性極性溶媒とを含み、ブロック共重合ポリイミドの含有量が15〜25重量%の組成物)を加熱溶融する。ここでの加熱温度は通常50〜180℃程度、好ましくは60〜160℃程度である。加熱温度が50℃未満では、ブロック共重合ポリイミドが溶解せず、他の溶媒と分散しにくい傾向となり、180℃を超えると、加水分解を起こし、分子量が低下する傾向となる。
次に、前記加熱溶融後の組成物に塩基性化合物を添加、攪拌してブロック共重合ポリイミドを中和した後、組成物を40℃以下に冷却し、さらにブロック共重合ポリイミドの貧溶媒及び水を添加し、混合攪拌して、サスペンジョンを調製する。
かかるサスペンジョン型塗料組成物の製造工程において、ブロック共重合ポリイミドを中和した後の組成物の冷却後温度が40℃を超える場合、中和剤によりポリイミドが分解する傾向となる。組成物の冷却温度はより好ましくは30℃以下である。なお、組成物の冷却温度が低すぎると、再び固化が始まる傾向となるため、冷却温度の下限は20℃以上が好ましい。
上記塩基性化合物は、ブロック共重合ポリイミドが有するアニオン性基を中和し得るものであれば特に制限なく使用できるが、塩基性含窒素化合物が好ましく、例えば、N,N−ジメチルアミノエタノール、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−ジメチルベンジルアミン、アンモニア等の第1級アミン、第2級アミン又は第3級アミンが挙げられる。また、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール等の含窒素五員複素環化合物やピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等の含窒素六員複素環化合物等の含窒素複素環式化合物が挙げられる。なお、脂肪族アミンは臭気が強いものが多いので、低臭気である点から含窒素複素環式化合物が好ましい。また、塗料の毒性を考慮した場合、含窒素複素環式化合物の中でも毒性が低いピペリジン、モルホリンなどが好ましい。当該塩基性化合物の使用量はポリイミド中の酸性基が水溶液中に安定に溶解または分散する程度であり、通常、理論中和量の30〜200モル%程度である。
また、上記ブロック共重合ポリイミドの貧溶媒は、例えば、フェニル基、フルフリル基若しくはナフチル基を有するアルコール又はケトン類が挙げられ、具体的には、アセトフェノン、ベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、フェノキシ−2−エタノール、シンナミルアルコール、フルフリルアルコール、ナフチルカルビノール等が挙げられる。また、脂肪族アルコール系溶媒は毒性が低い点で好ましく、エーテル基を有する脂肪族アルコール系溶媒が特に好ましい。脂肪族アルコール系溶媒としては、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール類、プロピレングリコール類が挙げられる。エチレングリコール類、プロピレングリコール類の具体例としては、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これら貧溶媒は1種又は2種以上を使用できる。
かかる貧溶媒の配合量は組成物全量に対し10〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。また、上記水の量は組成物全量に対し10〜30重量%が好ましく、15〜30重量%がより好ましい。
なお、上記のブロック共重合ポリイミドの貧溶媒や水以外に、組成物の粘度、電気伝導度を調整する目的で、水溶性極性溶媒や油溶性溶媒を適量添加してもよい。ここで、水溶性極性溶媒の具体例としては、前記のブロック共重合ポリイミドの重合反応に使用する水溶性極性溶媒と同じものが挙げられ、油溶性溶媒としてはN−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。なお、油溶性溶媒を添加する場合、その量は組成物全量に対し15重量%以下である。
本実施形態のサスペンジョン型電着塗料組成物の固形分濃度は1〜15重量%が好ましく、より好ましくは5〜10重量%である。また、水溶性極性溶媒の含有量は組成物全量に対し25〜60重量%が好ましく、より好ましくは35〜55重量%である。
本実施形態のサスペンジョン型電着塗料組成物は、塗膜の成長過程での電気伝導度が高く、低電流の電着条件でも、部材(被電着物)外周面に膜性状の均一性の高いポリイミド電着膜を形成することができる。また、塗膜の膜成長過程での電気伝導度が高く、かつ、ブロック共重合ポリイミドの分散粒子(析出粒子)が部材(被電着物)の外周面にて堆積(付着)しやすいことから、厚膜の電着膜を形成することでき、従来のポリイミド電着膜では困難であった20μmを超える厚みの電着膜を形成することができる。
<電着方法>
本実施形態の電着塗料用組成物の電着方法は、導電性部材(被電着物)を、電着塗料用組成物が入れられた電着槽の中に浸漬し、導電性部材を陽極とし、電着槽内に入れられた対向電極を陰極として電流を通じて該導電性部材上にポリイミド塗膜を成長させればよい。
電着は、定電流法又は定電圧法で行うことができ、例えば、定電流法の場合、電流値:1.0〜200mA、直流電圧:5〜200V(好ましくは30〜120V)の条件が挙げられる。また、電着時間は電着条件、形成すべき電着膜の厚み等によっても異なるが、一般的には10〜120秒の範囲から選択され、好ましくは30〜60秒である。また、電着の際の組成物温度は通常10〜50℃、好ましくは10〜40℃、より好ましくは20〜30℃である。電着電圧が5Vより低いと電着によって塗膜を形成させることが困難となる傾向があり、200Vよりも大きくなると被塗布物からの酸素の発生が激しくなり均一な塗膜形成ができなくなる。また、電着時間が10秒よりも短いと、電着電圧を高めに設定しても塗膜が成長しにくいためにピンホールが発生しやすく、電着膜の耐電圧性能が低下する傾向となり、120秒を超えると、塗膜の厚さが必要以上に厚くなるだけで経済性に欠ける。また、組成物温度が10℃よりも低いと電着によって塗膜形成をさせることが困難になり、50℃よりも高くなると温度管理が必要となり生産コストを上げる原因になる。
電着によって形成された塗膜は、加熱乾燥(焼付け)することが好ましい。焼付けは70〜110℃で10〜60分の第一段階の焼付け処理を行った後、160〜180℃で10〜60分の第二段階の焼付け処理を行い、さらに200〜220℃で30〜60分の第三段階の焼付け処理を行うのが好ましい。このような3段階の焼付け処理を行うことで、被電着物(被塗膜製品)に対して高い密着力で密着した十分に乾燥されたポリイミドの被膜を形成することが出来る。
このような電着塗料用組成物による電着膜(塗膜)を加熱乾燥(焼付け)して得られるポリイミド被膜(電着被膜)は、極めて高い耐熱性(JIS−C−3003に準拠した温度指数評価法での温度指数が180℃(耐熱区分:H種)、好ましくは200℃以上(耐熱区分:C種))を達成でき、しかも、JIS−C−2151に準拠して測定される伸び率が5%以上、好ましくは8%以上という高い伸び率を有するものとなる。
<対向電極の検討>
平板状の導電性部材に電着塗装を行う場合は、対向電極である陰極を2つ、平板状の導電性部材の両面側にそれぞれ設置すれば、両面および切り抜かれた切断面に略均一な厚みとなるように塗布が行われる。
しかしながら、図1に示す溝状の導電性部材1の全ての面に均一な厚みで電着塗装を行う技術、特に対向電極の配置に関しては、これまでほとんど検討がなされていない。殊に分子骨格(すなわちポリイミドの主鎖)中にシロキサン結合(−Si−O−)を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有する電着塗料組成物は、新しい種類の電着塗料組成物であるため、立体的な形状の導電性部材の全面に均一な厚みで電着塗装を行う技術の検討はなされていない。なお厚みが均一でないと、厚みの小さい部分にピンホールが生じて、その部分の耐圧性能が著しく低下してしまうことが生じる。
そこで溝状の導電性部材1の全ての面に均一な厚みで電着塗装を行うことができる対向電極について検討を行った。
まず、塗液を満たした電着槽の中において、図2に示すように導電性部材1の溝の出入り口から少し離して2枚の対向電極21,21を平行に配置した。対向電極21は、底板部11および側板部12a,12bの双方に直交する配置となっている。また、塗液の溝内部への流れを妨げないように、対向電極21,21と導電性部材1との間の距離を確保した。導電性部材1として、底板部11と側板部12a,12bとの間(コーナー部13a,13b)のRが0.25mmのものと3mmのものの2種類を用意した。図3に示すように、塗液52を満たした電着槽50の中において、導電性部材1を陽極とし、対向電極21,21を陰極として、両者の間に40V、40mAの条件で、電源54を用いて1.5Cの電気量を流して電着を行った。その後、電着塗装された導電性部材1を電着槽50から取り出して乾燥させた。
表1のE1(コーナー部13a,13bのRが0.25mm)、E2(コーナー部13a,13bのRが3mm)に電着塗布された塗膜の厚みを示す。コーナー部13a,13bは内側の方が外側の約1/6〜1/3の厚みしかない。底板部11および側板部12a,12bは内面と外面とでほぼ同じ厚みとなっている。なお、Rが0.25mmでも3mmでもコーナー部13a,13bの内側の厚みは変わらなかった。
Figure 2012167349
この結果から、コーナー部13a,13bの内側の塗布厚みをそれ以外の場所の塗布厚みと同等にすることを検討することにした。なお、コーナー部13a,13bのRについては、0.25mmであっても3mmであってもほぼ同じ結果であったので、以下の検討では、R=3mmとした。
まず、2枚の対向電極21,21に加えて、図4に示す内部側対向電極22を配置することにした。内部側対向電極22は導電性部材1と相似な形状である溝状の形状を有している。導電性部材1と相似な形状の内部対向電極22を導電性部材1の窪み内側に配置することにより、塗布厚みの均一性が向上すると考えた。
2枚の対向電極21,21に内部対向電極22を加えて配置し、上記と同じ条件で電着を行った。その結果を表1のE3に示す。対向電極21,21と内部対向電極22とを併用すると、対向電極21,21のみを使用した場合と比較して、コーナー部13a,13bの内側の塗布厚みは変わらないにもかかわらず、コーナー部13a,13bの外側の塗布厚み及び側面の外側、底面の外側の塗布厚みが激減してしまった。従って、図4に示す内部対向電極22だけを対向電極21,21と併用することは、本実施形態の導電性部材1の表面に均一な厚みで電着塗布を行うのには不向きであると判断した。
上記の結果から、側面の外側にも対向電極を置けばよいのではないかと考えられたので、図5に示すように、対向電極21,21と内部対向電極22とに加えて、側板部12a,12bの外面側に対向させた外部対向電極23,23を設置して、上記と同じ条件で電着を行った。その結果を表1のE4に示す。このように3種類の対向電極を用いた場合、側面の内側と外側、及び底面の内側と外側の塗布厚みは、差が少なくなったが、コーナー部13a,13bの内側の塗布厚みは増えなかった。
以上より、導電性部材1と相似な形状である内部対向電極22を用いても、目的とするコーナー部13a,13bの内側の塗布厚みを側面や底面の塗布厚みと略同じ位にまで大きくすることはできないと考えられ、別の手法により塗布厚みの均一化を図ることを検討した。
種々の検討を重ねた結果、図6に示すY字型の対向電極24を導電性部材1の内部側に配置すると、本実施形態の塗料を用いたとき、コーナー部13a,13bの内側の塗布厚みが増えて、全体の塗布厚みが略均一になることが判明した。Y字型の対向電極24は、矩形板状の金属部材からなっている主板部24aと、主板部24aの底側の辺である一端部Aから二股に分かれて延びる2つの枝分かれ板部(境界補助部)24b,24bとから構成されており、主板部24aに垂直な断面では、Y字(逆さま)の形状を有している。
Y字型の対向電極24の導電性部材1の内部側への配置は、主板部24aの両面を導電性部材1の側板部12a,12bと向かい合うようにする(面するようにする)とともに、2つの枝分かれ板部24b,24bを、その先端がそれぞれコーナー部13a,13bに向かって延びるようにしている配置である。このような配置では、主板部24aの一端部Aは導電性部材1の底板部11に面していて、一端部Aと底板部11との距離は、枝分かれ板部24b,24b先端と底板部11との距離よりも大きい。即ち、コーナー部13a,13bに向かって延びる2つの枝分かれ板部24b,24bの先端が、Y字型の対向電極24の中で最も底板部11に近い配置となっている。
外部側の対向電極21と、内部側のY字型の対向電極24とを用いて、上記と同様の条件で電着塗装を行った。その結果を表1のE5に示す。コーナー部13a,13bの内側の塗布厚みは十分大きくなった。しかしながら、側板部12a,12bの外面側および底板部11の外面側の塗布厚みが小さくなってしまった。
そこで外面側の塗布厚みを大きくするために、図7に示すように、Y字型の対向電極24に加えてさらに外部対向電極23,23を配置して、上記と同様の条件で電着塗装を行った。その結果を表1のE6に示す。塗布厚みに多少のバラツキはあるものの、コーナー部13a,13bの内側の塗布厚みが十分大きくなっているとともに外面側の塗布厚みも内面側と大きな違いはなくなっている。
このように、Y字型の対向電極24に加えて外部対向電極23,23を用いると、溝形状の導電性部材1へ、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有している塗料を用いて電着塗装すると、平面部分の内外面とコーナー部分の内側外側とにほぼ均一な塗布厚みで電着塗布をすることができる。
次に、塗布厚みを全体にさらに大きくする検討を行った。電着塗布を行った部材を電子機器のケースとして用いる場合は、高い絶縁性能が求められるため、全体が均一な厚みの絶縁塗布膜であって、最も薄いところでも30μm程度の塗布膜が求められるからである。そこでこのような塗布膜を得るために、電着の条件を、電気量を3Cに増加させて、それ以外の条件は変更せずに電着を行った。なお、全体の塗布量を増加させた時には、コーナー部13a,13bのRの大きさによってコーナー部13a,13bの内側に塗布される厚みが変化する可能性が考えられたので、R=0.25mmと3mmの2種類の条件で電着塗装を行った。対向電極として、対向電極21とY字型の対向電極24と外部対向電極23,23とを組み合わせて使用した。
結果を表1のE7,E8に示す。R=0.25mmであるE7では、塗布厚みの最小部分が30.26μmと十分厚く絶縁性能が高く、且つ塗布厚みの最大は最小の2倍であり塗布厚みの均一性は実用的に十分な範囲である。R=3mmであるE8でも、塗布厚みの最小部分が43.89μmと十分厚く絶縁性能が高く、且つ塗布厚みの最大は最小の1.37倍であり塗布厚みの均一性は実用的に十分な範囲である。E7、E8のいずれもコーナー部13a,13bの内側に塗布される厚みが十分厚くなっている。
(実施形態2)
実施形態2に係る対向電極の一部は、図8に示すように主板部31と境界補助部である棒状のコーナー電極32,32である。その他の対向電極は実施形態1と同じである。主板部31は一枚の金属板であって、2つの側板部の中間地点に2つの側板部に平行に置かれている。コーナー電極32,32はコーナー部に置かれ、底板部と側板部との境界に沿って延びている。導電性部材1の形状・構成、電着槽等の構成・条件等は実施形態1と略同じである。
本実施形態のような対向電極であっても、導電性部材のコーナー部への塗布厚みを十分に大きくすることができる。
(実施形態3)
実施形態3に係る対向電極の一部は、図9に示すように主板部33a及び主板部33aの底板側端部B1から導電性部材1のコーナー部へ延びる境界補助部34aと、主板部33b及び主板部33bの底板側端部B2から導電性部材1のコーナー部へ延びる境界補助部34bである。これら一対の対向電極は同じ形状を有している。その他の対向電極は実施形態1と同じである。主板部33a、33bはそれぞれ一枚の金属板であって、2つの側板部にそれぞれ面するように置かれている。境界補助部34a,34bは主板部33a,33bに対して所定の角度を成している。本実施形態の導電性部材1の内側に入れられた対向電極は、実施形態1の対向電極の主板部24aを2枚に剥いで平行に離間させた形状となっている。導電性部材1の形状・構成、電着槽等の構成・条件等は実施形態1と略同じである。
本実施形態のような対向電極であっても、導電性部材のコーナー部への塗布厚みを十分に大きくすることができる。
(実施形態4)
実施形態4に係る対向電極の一部は、図10に示すように主板部35a及び主板部35aの底板側端部C1から導電性部材1のコーナー部へ延びる境界補助部36aと、主板部35b及び主板部35bの底板側端部C2から導電性部材1のコーナー部へ延びる境界補助部36bと、2つの主板部35a,35bの端部C1,C2を連結する連結板部37とからなる。本実施形態の対向電極は、実施形態3の導電性部材1の内側に入れられた対向電極に連結板部37を加えた形状である。導電性部材1の形状・構成、電着槽等の構成・条件等は実施形態1と略同じである。
本実施形態のような対向電極であっても、導電性部材のコーナー部への塗布厚みを十分に大きくすることができる。
(実施形態5)
実施形態5に係る導電性部材は、図11に示すように横断面が矩形の金属製パイプ(筒)である。そして、導電性部材2の筒内に配置する対向電極25は、実施形態1のY字型の対向電極24を2つ、一端部Aとは反対側の端部同士で連結した形状を有している。即ち、対向電極25は、主板部25aの両端部A、Aからそれぞれ2つずつ枝分かれ板部25b,25b,・・が導電性部材2のコーナー部に延びている形状を有している。その他の対向電極、電着槽等の構成・条件等は実施形態1と同じである。
本実施形態のような角形筒状の導電性部材2であっても、図11に示すような対向電極25を用いれば、その筒内のコーナー部への塗布厚みを十分に大きくすることができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態は本発明の例示であって、本発明はこれらの例に限定されない。導電性部材は、金属製に限定されず、表面に導電性を有している部材であればよい。実施形態1の導電性部材の側板部は底板部から垂直に延びていなくてもよく、例えば底板部と側板部とのなす角が45°〜140°であれば構わない。側板部や底板部が曲がっていたり、湾曲していても構わない。その際、底板部と側板部とのなす角が鋭角になるほど内側の被膜は他の部分よりも薄くなるため、鋭角な側に対する枝分かれ板部の先端と底板部との距離をより近づける必要がある。また、枝分かれのある電極の主板部は、それぞれの側板に対し影響が等しくなるよう、できるだけ等距離の位置に設置するのが好ましい。実施形態5の導電性部材も4つの角が90°である必要はない。さらに、実施形態5の導電性部材は横断面が多角形の筒であれば良く、三角形から八角形の筒であれば好ましい。
以上説明したように、本発明に係る電着方法は、内側の角部分に十分な厚みの塗膜を形成することができるので、高い絶縁性能を必要とする容器、組み立て型のステーターコイル、複雑な形状のバスバー等の絶縁皮膜形成方法等として有用である。
1 導電性部材
2 導電性部材
11 底板部
12a,12b 側板部
21 対向電極
23 外部対向電極
24 Y字型の対向電極
24a 主板部
24b 枝分かれ板部(境界補助部)
25 対向電極
25a 主板部
25b 枝分かれ板部
31 主板部
32 コーナー電極(境界補助部)
33a、33b 主板部
34a、34b 境界補助部
35a、35b 主板部
36a、36b 境界補助部
37 連結板部
50 電着槽
52 塗液
54 電源

Claims (13)

  1. 底板部と該底板部の両端から上方へ延びる2つの側板部とを少なくとも備えた導電性部材に電着により塗料を塗布する電着方法であって、
    塗液が入れられた電着槽を用意する工程と、
    前記電着槽の前記塗液の中に、前記導電性部材と複数の対向電極とを浸漬する工程と、
    前記導電性部材と前記対向電極との間に電流を流して塗料を塗布する塗布工程と、
    前記塗料が塗布された前記導電性部材を前記塗液から取り出す工程と
    を含み、
    前記対向電極には、前記側板部に面するように配置される主板部と、該主板部よりも前記底板部と前記側板部との境界部分に近い位置に配置される境界補助部とが含まれている、電着方法。
  2. 前記境界補助部は、前記主板部の一端部Aから2つに分かれて延びる2つの枝分かれ板部であり、
    前記塗布工程において、前記主板部のうち前記一端部Aが前記底板部に最も近く位置し且つ前記主板部の両面が前記2つの側板部の内面にそれぞれ相対するように置かれるとともに、前記2つの枝分かれ板部は前記底板部と前記2つの側板部との境のそれぞれに向かって延び、前記一端部Aと前記底板部との間の距離よりも前記枝分かれ板部の先端と前記底板部との間の距離の方が小さい形状を有している、請求項1に記載されている電着方法。
  3. 前記境界補助部は、前記底板部と前記側板部との境界部分に沿って延びるように配置された棒状の電極からなる、請求項1に記載されている電着方法。
  4. 前記主板部は、2つの前記側板部に対してそれぞれ1つずつ存しており、
    前記境界補助部は、前記主板部の前記底板部側の端部Bから前記底板部と前記側板部との境界部分に向かって延びている、請求項1に記載されている電着方法。
  5. 2つの前記主板部の前記端部B同士を連結している連結板部をさらに備えている、請求項4に記載されている電着方法。
  6. 前記塗料は、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有している、請求項1から5のいずれか一つに記載されている電着方法。
  7. 前記導電性部材は、横断面が多角形の筒である、請求項1から6のいずれか一つに記載されている電着方法。
  8. 前記導電性部材は、横断面が四角形の筒である、請求項7に記載されている電着方法。
  9. 電着槽と複数の対向電極と電源とを備え、導電性部材に電着により塗料を塗布する電着装置であって、
    前記導電性部材は、底板部と該底板部の両端から上方へ延びる2つの側板部とを少なくとも備えており、
    前記対向電極には、前記側板部に面するように配置される主板部と、該主板部よりも前記底板部と前記側板部との境界部分に近い位置に配置される境界補助部とが含まれている、電着装置。
  10. 前記境界補助部は、前記主板部の一端部Aから2つに分かれて延びる2つの枝分かれ板部であり、
    前記塗布工程において、前記主板部のうち前記一端部Aが前記底板部に最も近く位置し且つ前記主板部の両面が前記2つの側板部の内面にそれぞれ相対するように置かれるとともに、前記2つの枝分かれ板部は前記底板部と前記2つの側板部との境のそれぞれに向かって延び、前記一端部Aと前記底板部との間の距離よりも前記枝分かれ板部の先端と前記底板部との間の距離の方が小さい形状を有している、請求項9に記載されている電着装置。
  11. 前記境界補助部は、前記底板部と前記側板部との境界部分に沿って延びるように配置された棒状の電極からなる、請求項9に記載されている電着装置。
  12. 前記主板部は、2つの前記側板部に対してそれぞれ1つずつ存しており、
    前記境界補助部は、前記主板部の前記底板部側の端部Bから前記底板部と前記側板部との境界部分に向かって延びている、請求項9に記載されている電着装置。
  13. 2つの前記主板部の前記端部B同士を連結している連結板部をさらに備えている、請求項9に記載されている電着装置。
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