JP5399685B2 - リード線付き電子部品およびリード線の絶縁被覆方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、絶縁保護すべき部材上に剥がれや割れが生じにくい高絶縁性被膜を形成できる電着塗料組成物として、シロキサン結合を有する特定のブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有する溶液タイプの電着塗料組成物が開示されている。この電着塗料組成物は、部材との密着性や被膜の可撓性に優れるだけでなく、耐熱性や耐電圧性も良好な電着被膜(絶縁層)を形成できると記載されている。
[1]絶縁被膜によって被覆されたリード線を備える電子部品であって、
該被膜が、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを含み、
該ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含み、
該分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
該被膜が、粒子径が0.5〜5μm、粒子径の標準偏差が0.3〜3μmで分散されている、該ブロック共重合ポリイミドからなるポリイミド粒子を含むサスペンジョン型電着塗料組成物を該リード線上に電着させることで形成された絶縁被膜であり、
該被膜が、JIS C3003に準拠した温度指数評価法での温度指数が200℃以上を示す絶縁被膜である、リード線付き電子部品。
(式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)
[2]絶縁被膜によって被覆されたリード線を備える電子部品であって、
該被膜が、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを含み、
該ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含み、
該分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
該被膜が、粒子径が0.5〜5μm、粒子径の標準偏差が0.3〜3μmで分散されている、該ブロック共重合ポリイミドからなるポリイミド粒子を含むサスペンジョン型電着塗料組成物を該リード線上に電着させることで形成された絶縁被膜であり、
該被膜の、層厚みが10μmのときのAC耐電圧が1kV以上、層厚みが20μmのときのAC耐電圧が2kV以上、層厚みが30μmのときのAC耐電圧が3kV以上を示す絶縁被膜である、リード線付き電子部品。
(式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)
[3]該一般式(I)中の4つのRが、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、フェニル基又は1個乃至3個の炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシル基で置換されたフェニル基を表す、上記[1]または[2]のリード線付き電子部品。
[4]該アニオン性基が、カルボキシル基若しくはその塩、及び/又は、スルホン酸基若しくはその塩である上記[1]または[2]のリード線付き電子部品。
[5]該ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、芳香族ジアミノカルボン酸を含む上記[1]または[2]のリード線付き電子部品。
[6]全ジアミン成分中、該分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンの割合が5〜90モル%、該芳香族ジアミノカルボン酸の割合が10〜70モル%(ただし、両者の合計は100モル%以下であり、第3のジアミン成分を含んでいてもよい)である上記[5]のリード線付き電子部品。
[7]該電子部品が、素子および該素子と該リード線との接続部を覆う外装材料をさらに有し、該リード線の絶縁被膜が該外装材料にその一端を覆われるか、または、該被膜が該外装材料に連結して形成されていることを特徴とする上記[1]または[2]のリード線付き電子部品。
[8]該電子部品が、ラジアル型のリード線を備える電子部品である上記[1]〜[7]のいずれか1のリード線付き電子部品。
[9]該電子部品が、ラジアル型のリード線を備えるサーミスタである上記[1]〜[7]のいずれか1のリード線付き電子部品。
[10]電子部品のリード線の絶縁被覆方法であって、
リード線上に、粒子径が0.5〜5μm、粒子径の標準偏差が0.3〜3μmで分散されている、ブロック共重合ポリイミドからなるポリイミド粒子を含むサスペンジョン型電着塗料組成物を電着して絶縁被膜を形成する工程を含み、
該ブロック共重合ポリイミドは、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有し、かつ、ジアミン成分の1つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含み、
該分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、
ことを特徴とするリード線の絶縁被覆方法。
(式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)
[11]該リード線が取り付けられた電子部品を該サスペンジョン型電着塗料組成物中に浸漬し、該リード線上に電着により形成された該絶縁被膜を形成することを特徴とする上記[10]のリード線の絶縁被覆方法。
[12]該リード線を該電子部品の素子に接続するに先立って、予めリード線だけを該サスペンジョン型電着塗料組成物中に浸漬して、該リード線上に該絶縁被膜を形成することを特徴とする上記[10]のリード線の絶縁被覆方法。
リード線付き電子部品としては、サーミスタ、トランス、抵抗器、コンデンサ、インダクタ、圧電素子、水晶振動子、発光素子(LED)、レーザーダイオード、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)、ダイオード等が挙げられる。本発明はこれらのいずれの電子部品にも適用することができる。
このサスペンジョン型電着塗料組成物を用いることにより、外径0.1〜1mmの金属リード線の周囲に、1.5μmから50μm、より好ましくは、3μm〜30μmの均一な厚みの絶縁被膜を形成することができる。
例えば、本発明で使用するサスペンジョン型電着塗料組成物を用いて、φ1.0mm、長さ20cmの銅線を使用して電着を行うと、1クーロン当たり15〜250μmのポリイミド被膜を形成することができる。
また、上記サスペンジョン型電着塗料組成物は、ブロック共重合ポリイミドの分散粒子(析出粒子)が金属リード線の表面に堆積(付着)しやすいため、従来のポリイミド系電着組成物では困難であった20μmを超える厚みの電着被膜を成長させることができる。厚みが20μmを超える被膜を形成することで、該絶縁被膜によって絶縁保護及び耐熱保護のみならず、外傷保護が図られた、絶縁被覆されたリード線付き電子部品を実現することができる。すなわち、本発明のリード線付き電子部品によれば、金属細線の表面に、上記の極めて高い耐熱性及び耐電圧性を有する厚みが20μmを超える厚膜の絶縁被膜が強固に密着し、しかも、該絶縁被膜の割れが生じ難いものとなる。この結果、本発明により、用途に応じて、約1.5μmから約50μm、より好ましくは、3μm〜30μmという広範囲の膜厚の絶縁被膜によって絶縁保護及び耐熱保護のみならず、外傷保護が図られた、高性能、高信頼性のリード線付き電子部品を実現することができる。
なお、この方法により金属細線31上には、全長にわたって絶縁被膜が形成される。したがって、図2に示すリード線付き電子部品を作製する際には、図2の絶縁被膜25が形成された金属細線31を切断後、両端部の絶縁被膜を除去し、露出された金属面を端子電極22に接続すればよい。端子電極22と金属細線31との接続に際しては、溶接、導電性ペーストの使用、半田付けなどの方法を用いることができる。ただし、低融点ガラスフリットとAu粉末を含む導電性ペーストは、加熱温度が電着された絶縁被膜25の分解温度を超えるため、この製造方法を用いることは好ましくない。なお、予め、絶縁被膜25が必要とされる部分以外をテープ等でマスキングした状態で電着塗装すれば、被膜除去工程を省略することができる。この方法によると、予め、電着被膜による絶縁被膜25が形成されたリード線23が素子21に接続されるため、外装材料24による被覆が絶縁被膜25を覆う構造となり、電気絶縁性がより確実となり、湿度等の侵入も抑えられるため、高い絶縁信頼性を確保できる。
[実施例1]
[サスペンジョン型電着塗料組成物の調製]
ステンレス製の碇型攪拌機を取り付けた2リットルのセパラブル三つ口フラスコに水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。該フラスコに3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物58.84g(200ミリモル)、ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン43.25g(100ミリモル)、γ−バレロラクトン4.0g(40ミリモル)、ピリジン6.3g(80ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)531gおよびトルエン50gを仕込み、室温、窒素雰囲気下、180rpmで10分攪拌した後、180℃に昇温して2時間攪拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。ついで、室温に冷却し、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物64.45g(200ミリモル)、KF−8010(信越化学工業(株)製)を83.00g(100ミリモル)、3,5−ジアミノ安息香酸30.43g(200ミリモル)、NMP531gおよびトルエン50gを添加し、180℃、180rpmで攪拌しながら、8時間反応させた。還流物を系外に除くことにより、20重量%濃度のポリイミド溶液(20%ポリイミドワニス)を得た。得られたポリイミドの数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれ24,000及び68,000であった。
[リード線の絶縁被覆]
上記電着塗料組成物を使用し、陰極板−被着体(金属細線)間距離を50mm、電着電圧を30Vとし、電着電流を0.01〜200mAの範囲内、電着時間を10〜60秒の範囲内で変更し、φ1.0mm、長さ20cmの円形銅線外周に電着を行い、電着後の銅線を電着浴から取り出し、水洗後、90℃×30分間、さらに170℃×30分間、さらに220℃×30分間焼き付けることで、種々の厚みの電着被膜(絶縁被膜)を有する円形絶縁銅線(1電着条件当たりのサンプル数=5)を得た。そして、得られた円形絶縁銅線につき、下記の試験方法で、電着液の電着性(被膜形成性)、電着被膜の厚さ、AC耐電圧及び耐熱寿命を評価した。その結果を表1に示す。
JIS C3003に準拠して、ピンホールの有無を調査した。
マイクロメータ(最小目盛:0.001mm)を用いて計測した。サンプル1個当たり5箇所の厚さを測定し、平均値をそのサンプルの測定結果とした。表1は5個のサンプルにおける最大厚みと最小厚みを示す。
JIS C3003に準拠して、B法金属箔法により、AC破壊電圧を測定した。すなわち、1cmのスズ箔をリード線付き電子部品に巻き付け、導体−すず箔間にて測定した。そして、各板に交流電圧発生装置を接続し、1秒間当たり100Vの速度で電圧を上昇させて、短絡(漏れ電流値10mA以上)した電圧を破壊電圧とした。
実施例1の方法で、1.0mmφの銅線に電着被膜厚さ21〜23μmの試料を作製した。この試料についてJIS C3003に記載の温度指数評価法に準拠してリード線付き電子部品の耐熱性(電着被膜の耐熱寿命)を評価した。すなわち、実施例1の方法に従って、約21〜23μm厚の電着被膜が形成された銅線の試料各2本を用いて2個撚りし、試験片を得た。この試験片を290〜320℃の範囲内の10℃間隔の温度(290℃、300℃、310℃、320℃)に設定したオーブンで熱処理し、それぞれについて、500V×1秒の電圧印加で破壊に至るまでの時間を計測した。温度指数は290℃、300℃、310℃、320℃の各温度での測定結果をアレニウスプロットした耐熱寿命グラフより算出した。実施例1に従って銅線上に形成された電着被膜は、寿命20,000時間に相当する耐熱温度(すなわち、温度指数)が240℃であり、耐熱区分は200℃以上であるC種に相当するものであった。
実施例1で得られたブロック共重合ポリイミド(樹脂成分)を20重量%含有する半固形状の組成物100gを160℃に加熱溶融した後、NMP70gを加え、アニソール55g、シクロヘキサノン45g及びN−メチルモルホリン2.6g(中和率200モル%)を加え、攪拌しながら水30gを滴下して、固形分濃度6.6%、pH7.8の電着塗料組成物を得た。粒径分析装置ELS−Z2(大塚電子(株)製)を用いて、電着塗料組成物における分散粒子の粒径および標準偏差を測定したが、粒径が0.1μm以上の析出粒子は観察されておらず、溶液状態であった。そしてこの溶液型電着塗料組成物を使用して、極間距離を50mm、電着電圧を30Vとし、電着電流を0.01〜200mAの範囲内、電着時間を10〜60秒の範囲内で、種々変更して、実施例1で使用したと同じく、直径1.0mmで円形の銅線に電着を行った。電着後、実施例1と同様の方法で、種々の厚みの電着被膜(絶縁被膜)を有する円形絶縁銅線を得た(1電着条件当たりのサンプル数=5)。そして、上述の試験方法で、溶液型電着塗料組成物の電着性(被膜形成性)、電着被膜の厚さおよびAC耐電圧を評価した。7種類の膜厚について各5個のサンプルを評価した結果を表2に示す。また、比較例1でも、1mmφの銅線上に形成された約21〜23μm厚の電着被膜について上記の方法で耐熱寿命を測定したところ、温度指数は180℃で、耐熱区分はH種であった。
比較例1で調製した電着液組成物を使用し、電着電圧を250Vに変更した以外は、比較例1と同様にして、電着を行い、種々の厚みの電着被膜(絶縁被膜)を有する円形絶縁銅線(断面が円形の絶縁銅線)を得た(1電着条件当たりのサンプル数=5)。
表3および図5に、実施例1および比較例1、2で得られた円形絶縁銅線(直径1mm)上の、電着被膜の厚み(横軸)とAC耐電圧(縦軸)の関係の特性線を対比して示した。図5中、実施例1のデータは(●)でプロットされ、比較例1および2のデータは、それぞれ(■)および(▲)でプロットされている。図5から、サスペンジョン型塗料組成物を電着して得た実施例1の絶縁被覆銅線は、約8μ程度の薄膜から約44μmの厚膜の範囲で、被膜厚さ(μm)に比例してAC耐電圧(kV)が上昇する関係を示している。これらの膜厚範囲で、従来の溶液型電着塗料組成物を用いた場合に比較例1,2に比べて高いAC耐電圧を確保できることが示された。
これに対し、溶液型電着液組成物を用いた比較例1、2の場合、得られた約7μmから約25μmの被膜厚さでは、AC耐電圧が実施例1よりも低くなっていた。例えば、実施例1で22μmの膜厚のとき、AC耐電圧は4kVであるのに対して、比較例1では21μmの膜厚で2.6kVであり、比較例2では、25μmの膜厚にもかかわらず2.2kVという結果であった。
すなわち、本発明の方法を用いてサスペンジョン型電着塗料組成物を用いて金属細線上に形成される絶縁被膜は、従来の溶液型電着塗料組成物を用いて形成された絶縁被膜と比較して、広い膜厚範囲で、高いAC耐電圧を示すことが確認できた。
[実施例2]
両面にAuからなる端子電極が対向して形成された負特性のサーミスタ素子に、Au粉末を含む導電性ペーストを用いて、0.4mmφのジュメット線からなるリード線を接続した。リード線が接続されたサーミスタ素子に、低融点ガラス(軟化点570℃)製のガラス管(外径1.35mm、内径1.05mm、長さ3.0mm)を装着後、750℃で3分間加熱溶融し、ガラス封止することでサーミスタを作製した。作製したリード線付きサーミスタを、図4に示すように、リード線部分が30mmの長さで浸漬される深さで、サスペンジョン型電着塗料組成物中に浸漬した。
陰極板−被着体(リード線)間距離を50mm、電着電圧を30Vとし、φ0.4mm、長さ30mmのリード線の外周に電着被膜を形成した。この時、通電量を0.1Cに制御することで、リード線上に、厚み23〜25μmの電着被膜(絶縁被膜)が形成された。電着時の、電着電流は0.01〜200mAの範囲内であり、電着時間は0.5〜10秒の範囲内であった。電着後のサーミスタを電着浴から取り出し、水洗後、90℃×30分間、さらに170℃×30分間、さらに220℃×30分間焼き付けを行った。このようにしてリード線に絶縁被膜が形成されたサーミスタ試料(n=13)につき、下記の試験方法でAC耐電圧を評価した。
図6に示すように、予め、電極68が設置された水槽66に水67を充満した。そこに、絶縁被膜62が形成された部分のリード線のみが水67に浸かるように、サーミスタ60を配置した。なお、予め、絶縁被膜62からジュメット線が露出する境界付近を絶縁テープ64でマスクし、外装材料61とリード線63との境界部分を絶縁テープ65でマスクした。テープによるマスキングは、これらの付近で、ジュメット線が直接、水67と接触することによる測定エラーを防止するためである。この構成において、絶縁被膜62が水67と接触している長さを28mmとした。この状態で、電極68とリード線63間にAC電源69から交流電圧を印加し、絶縁破壊が生じる電圧値を求めた。
上記水中法により測定した実施例2のサーミスタ試料(n=10)のAC耐電圧は:平均値(1.67kV)、最大値(2.81kV)、最小値(1.13kV)であった。なお、上記水中法による測定の信頼性を検証するため、JIS C3003に規定された金属粒法を用いてAC耐電圧を測定したところ、ほぼ同等の平均値(1.93kV)が得られた。
絶縁被膜にピンホール等の欠陥が存在する場合には、水中法によるAC耐電圧測定値は0.1kVにも満たないことから、本発明の一実施形態のサーミスタは、25μm弱の薄い絶縁被膜にも拘わらず、極めて優れた耐電圧性能を有する絶縁被膜で被覆されたリード線を有することが示された。
比較例1で作製した溶液型電着液組成物を用い、実施例2で作製したリード線付きサーミスタのリード線上に、実施例2と同様の方法にて、絶縁被膜を作製し、その特性を評価した。
[リード線の絶縁被覆]
陰極板−被着体(リード線)間距離を50mm、電着電圧を160Vとし、φ0.4mm、長さ30mmのリード線外周に電着被膜を形成した。通電量を0.2Cとして、リード線上に、厚み22〜24μmの電着被膜(絶縁被膜)を形成した。このとき、電着電流は0.01〜200mAの範囲内であり、電着時間は0.5〜120秒の範囲内であった。電着後のサーミスタを電着浴から取り出し、水洗後、90℃×30分間、さらに170℃×30分間、さらに220℃×30分間焼き付けを行った。
このようにしてリード線に絶縁被膜が形成されたサーミスタ試料(n=13)につき、実施例2と同一の試験方法でAC耐電圧を評価した。
その結果、水中法により測定した比較例3のサーミスタ試料(n=10)のAC耐電圧は:平均値(0.87kV)、最大値(1.91kV)、最小値(0.27kV)であった。
以上説明したように、本発明により、膜厚が均一で、かつ優れた電気絶縁性を備える被膜で被覆されたリード線を有する電子部品を提供することができる。
11 サーミスタ素子
12 端子電極
13 リード線
14 外装樹脂
15 他の外装樹脂
20 サーミスタ
21 サーミスタ素子
22 端子電極
23 リード線
24 外装材料
25 絶縁被膜
31 金属細線
32 電着槽
33 サスペンジョン型電着塗料組成物
34 陰極板
35 乾燥装置
36 焼付け炉
30,37 ロール
41 素子
43 リード線
44 外装材料
46 電着槽
47 サスペンジョン型電着塗料組成物
48 陰極板
60 サーミスタ
61 外装材料
62 絶縁被膜
63 リード線
64,65 絶縁テープ
66 水槽
67 水
68 電極
69 AC電源
Claims (12)
- 絶縁被膜によって被覆されたリード線を備える電子部品であって、
前記被膜が、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを含み、
前記ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含み、
前記分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
前記被膜が、粒子径が0.5〜5μm、粒子径の標準偏差が0.3〜3μmで分散されている、前記ブロック共重合ポリイミドからなるポリイミド粒子を含むサスペンジョン型電着塗料組成物を前記リード線上に電着させることで形成された絶縁被膜であり、
前記被膜が、JIS C3003に準拠した温度指数評価法での温度指数が200℃以上を示す絶縁被膜である、リード線付き電子部品。
(式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。) - 絶縁被膜によって被覆されたリード線を備える電子部品であって、
前記被膜が、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを含み、
前記ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含み、
前記分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
前記被膜が、粒子径が0.5〜5μm、粒子径の標準偏差が0.3〜3μmで分散されている、前記ブロック共重合ポリイミドからなるポリイミド粒子を含むサスペンジョン型電着塗料組成物を前記リード線上に電着させることで形成された絶縁被膜であり、
前記被膜の、層厚みが10μmのときのAC耐電圧が1kV以上、層厚みが20μmのときのAC耐電圧が2kV以上、層厚みが30μmのときのAC耐電圧が3kV以上を示す絶縁被膜である、リード線付き電子部品。
- 前記一般式(I)中の4つのRが、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、フェニル基又は1個乃至3個の炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシル基で置換されたフェニル基を表す、請求項1または2記載のリード線付き電子部品。
- 前記アニオン性基が、カルボキシル基若しくはその塩、及び/又は、スルホン酸基若しくはその塩である請求項1または2記載のリード線付き電子部品。
- 前記ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、芳香族ジアミノカルボン酸を含む請求項1または2記載のリード線付き電子部品。
- 全ジアミン成分中、前記分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンの割合が5〜90モル%、前記芳香族ジアミノカルボン酸の割合が10〜70モル%(ただし、両者の合計は100モル%以下であり、第3のジアミン成分を含んでいてもよい)である請求項5記載のリード線付き電子部品。
- 前記電子部品が、素子および前記素子と前記リード線との接続部を覆う外装材料をさらに有し、前記リード線の絶縁被膜が前記外装材料にその一端を覆われるか、または、前記被膜が前記外装材料に連結して形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のリード線付き電子部品。
- 前記電子部品が、ラジアル型のリード線を備える電子部品である請求項1〜7のいずれか1項に記載のリード線付き電子部品。
- 前記電子部品が、ラジアル型のリード線を備えるサーミスタである請求項1〜7のいずれか1項に記載のリード線付き電子部品。
- 電子部品のリード線の絶縁被覆方法であって、
リード線上に、粒子径が0.5〜5μm、粒子径の標準偏差が0.3〜3μmで分散されている、ブロック共重合ポリイミドからなるポリイミド粒子を含むサスペンジョン型電着塗料組成物を電着して絶縁被膜を形成する工程を含み、
前記ブロック共重合ポリイミドは、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有し、かつ、ジアミン成分の1つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含み、
前記分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、
ことを特徴とするリード線の絶縁被覆方法。
- 前記リード線が取り付けられた電子部品を前記サスペンジョン型電着塗料組成物中に浸漬し、前記リード線上に電着により形成された前記絶縁被膜を形成することを特徴とする請求項10記載のリード線の絶縁被覆方法。
- 前記リード線を前記電子部品の素子に接続するに先立って、予めリード線だけを前記サスペンジョン型電着塗料組成物中に浸漬して、前記リード線上に前記絶縁被膜を形成することを特徴とする請求項10記載のリード線の絶縁被覆方法。
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