JP2010107420A - プローブピンおよびその絶縁処理方法 - Google Patents

プローブピンおよびその絶縁処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
金属細線との密着性が良好で、割れが生じにくく、しかも、高度の耐熱性を有する絶縁被膜で絶縁処理された高耐熱性プローブピンを提供すること。
【解決手段】
分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを含むサスペンジョン型電着被膜であって、JIS C3003に準拠した温度指数評価法での耐熱指数がC種を示すサスペンジョン型電着被膜(絶縁被膜)にて被覆されてなるプローブピンである。
【選択図】図1

Description

本発明はプローブピンに関し、詳しくは、高耐熱性かつ高耐電圧性の絶縁被膜で絶縁処理されたプローブピン、及び、その絶縁処理方法に関する。
半導体素子や電気電子部品は、小型軽量化と同時に、低価格化を実現するため常に一層の高密度実装が求められている。このように高密度に実装された回路基板や半導体素子の実装工程前後には、通常、プローバ(検査機)を用いて、直流抵抗値の測定や通電検査が行われる。プローバに接続された通電検査治具の先端には数十本〜数百本のプローブピンが取り付けられており、プローブピンを回路基板や半導体素子の電極や電極パッドに押し当て、プローバから検査対象の回路に電流を供給する通電検査が行われる。回路の高密度に伴い、回路基板や半導体素子の電極や電極パッドの数が非常に多くなり、かつそれらの配線間隔はきわめて小さくなってきている。したがって、検査治具に取り付けられるプローブピンの本数は益々増加し、一方、プローブピン間の間隔はますます小さくなってきている。したがって、接続を確保するために、電極や電極パッドにプローブピンを押し付ける際に、隣接するプローブ間の接触が避けがたくなっており、そのため、プローブピンの胴部には柔軟かつ強固な電気絶縁性の被膜の形成が必要とされる。
例えば、特許文献1(特開2006−17455号公報)は、絶縁被膜として、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂からなるエナメル被膜を用いている。また、特許文献2(特開2002−168879号公報)は、絶縁被膜として、通常のカチオン系またはアニオン系の電着塗液を用いてプローブピンの胴部を絶縁被覆している。
一方、半導体素子や電気電子部品が、車載用途をはじめとする高温環境で使用されることが多くなることに伴い、これらの半導体素子や実装された回路基板の通電検査を150℃以上の高温度で行うことが必要となってきた。その様な用途でのプローブピンの絶縁被覆は、従来の絶縁被膜では十分ではなく、高温度雰囲気で用いられた場合でも電気絶縁性が確保され、かつ、隣接プローブ間で接触することがあっても、融着や膜ハガレなどの欠陥が発生しない絶縁被覆が求められるようになってきた。
特開2006−17455号公報 特開2002−168879号公報 特開2005−162954号公報
プローブピンの耐熱性を有する絶縁被膜で被覆するためには、細線の周囲に極めて均一な膜厚で、ピンホールなどの欠陥が発生することなく、しかも耐熱性を有する絶縁被膜を形成することが求められる。
特許文献3には、絶縁保護すべき部材上に剥がれや割れが生じにくい高絶縁性被膜を形成できる電着塗料組成物として、シロキサン結合を有する特定のブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有する溶液タイプの電着塗料組成物が開示されている。この電着塗料組成物は、部材との密着性や被膜の可撓性に優れるだけでなく、耐熱性や耐電圧性も良好な電着被膜(絶縁層)を形成できると記載されている。
しかしながら、数十本から数百本という多数のプローブピンが、同時に検査対象回路の電極に押し当てられるため、プローブピン毎の長手方向および円周方向での被膜厚の均一性に加えて、各プローブピン間の被膜厚さの均一性が要求される。特に、高温雰囲気での検査においては、被膜厚さの均一性が不十分であると、押し当て時に、プローブピンの厚さの薄い箇所でプローブピンの屈曲が生じることにより、そのプローブピンと電極との間で電気的な接続が不十分になることがある。そのため、高温雰囲気でプローブピン同士が接触しても絶縁性が劣化することが無く、プローブピン間の被膜厚さが均一であり、かつ、プローブピン毎の長手方向および円周方向での被膜厚が均一な絶縁被覆を実現するためには、さらなる改良が必要であった。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドは、これを比較的大きな粒径の析出粒子として分散させたサスペンジョン型塗料に塗料化することができることを見出した。さらに、得られたサスペンジョン型塗料は、膜性状の均一性が高い電着被膜を形成できて、形成された電着被膜は極めて高いレベルの耐熱性及び耐電圧性を有しており、しかも、1.5μmから50μmという幅広い膜厚範囲で極めて均一な電着被膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]金属細線の胴部が絶縁被膜によって被覆されたプローブピンであって、
該被膜が、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを含み、
該ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含み、
該分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、プローブピン。
Figure 2010107420
(式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)
[2]該被膜が、該ブロック共重合ポリイミドからなるポリイミド粒子を含むサスペンジョン型電着塗料組成物を該金属細線の胴部に電着することで形成された被膜である上記[1]のプローブピン。
[3]該被膜が、JIS C3003に準拠した温度指数評価法での温度指数が200℃以上を示す絶縁被膜である上記[1]または[2]のプローブピン。
[4]該被膜が、層厚みが10μmのときのAC耐電圧が1kV以上、層厚みが20μmのときのAC耐電圧が2kV以上、層厚みが30μmのときのAC耐電圧が3kV以上を示す絶縁被膜である上記[1]または[2]のプローブピン。
[5]該一般式(I)中の4つのRが、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、フェニル基又は1個乃至3個の炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシル基で置換されたフェニル基を表す、上記[1]または[2]のプローブピン。
[6]該アニオン性基が、カルボキシル基若しくはその塩、及び/又は、スルホン酸基若しくはその塩である上記[1]または[2]のプローブピン。
[7]該ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、芳香族ジアミノカルボン酸を含む上記[1]または[2]のプローブピン。
[8]全ジアミン成分中、該分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンの割合が5〜90モル%、該芳香族ジアミノカルボン酸の割合が10〜70モル%(ただし、両者の合計は100モル%以下であり、第3のジアミン成分を含んでいてもよい)である上記[7]のプローブピン。
[9]プローブピンの絶縁被覆方法であって、
金属細線からなるプローブピンの胴部に、ブロック共重合ポリイミドからなるポリイミド粒子を含むサスペンジョン型電着塗料組成物を電着して絶縁被膜を形成する工程を含み、
該ブロック共重合ポリイミドは、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有し、かつ、ジアミン成分の1つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含み、
該分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、
ことを特徴とするプローブピンの絶縁被覆方法。
Figure 2010107420
(式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)
[10]該サスペンジョン型電着塗料組成物が、粒子径が0.1〜10μm、粒子径の標準偏差が0.1〜8μmで分散されているポリイミド粒子を含む組成物である上記[9]のプローブピンの絶縁被覆方法。
本発明のプローブピンは、非常に均一な電着被膜で絶縁被覆されており、かつ、各プローブ間の被膜厚のばらつきが小さいため、一定の押圧下で検査電極に押し当てられた際に、プローブピン間の屈曲性が均一となり、検査電極への高い接触圧力が確保される。しかも、高温雰囲気でも、絶縁膜相互の融着が生じることなく、安定な通電検査を行うことができる。
本発明のプローブピンは、金属細線の表面に、JIS C3003に準拠した温度指数評価法での耐熱種がC種を示す極めて高い耐熱性の絶縁被膜が強固密着し、しかも、該絶縁被膜の割れが生じ難いものとなることから、高耐熱性かつ高信頼性を実現することができる。
また、本発明のプローブピンは、金属細線の表面に、層厚みが10μmのときのAC耐電圧が1kV以上を示し、層厚みが20μmのときのAC耐電圧が2kV以上、層厚みが30μmのときのAC耐電圧が3kV以上を示す極めて高い耐電圧性の絶縁被膜が強固密着し、しかも、絶縁被膜の割れが生じ難いものとなることから、高絶縁性かつ高信頼性を実現することができる。
また、本発明のプローブピンは、金属細線の表面に、上記の極めて高い耐熱性及び耐電圧性を有する絶縁被膜が強固に密着し、しかも、該絶縁被膜の割れが生じ難いので、絶縁被膜によって絶縁保護及び耐熱保護のみならず、外傷に対する保護が図られた、高信頼性のプローブピンを実現することができる。
本発明のプローブピンの絶縁被覆方法により、プローブピン上に、耐熱性の絶縁被膜を均一な厚さで、かつ短時間に形成することができる。
以下、本発明を一実施の形態により、図面を参照して説明する。
図1は、プローブピンの一例を示す斜視図である。プローブピン10は、金属細線11からなり、金属細線11は検体の電極と接触するためのプローブピン先端部12、およびプローブ治具(図示せず)と接続するための接続端部14を有し、金属細線11の胴部はサスペンジョン型電着被膜(絶縁被膜)13で被覆されている。図2は、プローブピン10a〜10dが、回路基板20上に設けられた検査用の電極21に押し当てられた状態を示す概念図である。なお、図2では、プローブ間隔を離間させて記載しているが、実際の使用に当たっては、プローブピンのピッチPが20μmという極小ピッチの場合も有りうる。また、図1、2ではプローブピンの先端部12を単純なアール形状としているが、先端の形状は検査対象に応じて任意に加工することができる。
プローブピンの金属素材としては、特に限定はされないが、高い導電性と高い弾性率を有する金属線が用いられる。一般に、該金属線として、材質が硬くて弾力性のあるベリリウム銅などの銅合金、タングステン、レニウムタングステン、鋼などが使用される。
金属細線11は、ピッチPの寸法に応じて、20〜500μmの外径を有しており、長さ方向の真直度および外径の真円度が高く、かつ長手方向での外径の均一性が高いことが好ましい。
本発明のプローブピン10は、金属細線11の胴部に形成された絶縁被膜13を特徴としている。絶縁被膜13は、分子骨格(すなわち、ポリイミドの主鎖)中にシロキサン結合(−Si−O−)を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを含むサスペンジョン型電着塗料組成物を用いて形成される。
本発明でいう「分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを含む電着被膜」とは、具体的には「分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを比較的大きな粒径の析出粒子として分散させたサスペンジョン型電着塗料組成物を電着して得られる電着被膜」のことであり、ここで「サスペンジョン型電着塗料組成物」とは、電気泳動法光散乱法(レーザードップラー法)での粒径分析装置ELS−Z2(大塚電子株式会社製)を用いて測定し、測定結果をキュムラント解析法にて解析したポリイミド粒子の粒子径が0.1〜10μm、粒子径の標準偏差が0.1〜8μmで分散されているサスペンジョン型電着塗料組成物である。
なお、「分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミド」における「ブロック共重合ポリイミド」とは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを加熱してイミドオリゴマーを生成させ(第1段階反応)、次いでこれに上記テトラカルボン酸二無水物と同一若しくは異なるテトラカルボン酸二無水物又は/及び上記のジアミンとは異なるジアミンを加えて反応(第2段階反応)することによって、アミック酸間で起る交換反応に起因するランダム共重合化を防止して得られる、共重合ポリイミドのことを意味する。
本発明における「分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミド」において、主鎖中のシロキサン結合はテトラカルボン酸二無水物成分由来のシロキサン結合であっても、ジアミン成分由来のシロキサン結合であってもよいが、好ましくはジアミン成分由来のシロキサン結合であり、通常、ジアミン成分の少なくとも1部に、分子骨格中にシロキサン結合(−Si−O−)を有するジアミン化合物(以下、「シロキサン結合含有ジアミン」とも呼ぶことがある。)を用いて得られたブロック共重合ポリイミドである。
また、上記のシロキサン結合含有ジアミンは、テトラカルボン酸二無水物との間でイミド化し得るものであれば特に制限はなく、例えば、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び一般式(I):
Figure 2010107420
(式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)で表される化合物が挙げられる。当該一般式(I)で表される化合物は、式中nが1又は2の単一化合物、及びポリシロキサンジアミンを含む。
式(I)中の4つのRにおいて、アルキル基、シクロアルキル基の炭素数は1〜6が好ましく、1〜2がより好ましい。また、1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基における、1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基は、それが2又は3個の場合、互いに同一であっても異なってもよい。また、アルキル基、アルコキシル基は、それぞれ、炭素数が1〜6が好ましく、1〜2がより好ましい。
かかる一般式(I)で表される化合物は、式中の4つのRが同一のアルキル基(特にメチル基)又はフェニル基であるのが好ましく、また、式中l及びmが2〜3、nが5〜15であるポリシロキサンジアミンが好ましい。
なお、ポリシロキサンジアミンの好ましい例としては、ビス(γ−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(式(I)中、l及びmが3、4つのRがメチル基のもの。)、ビス(γ−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン(式(I)中、l及びmが3、4つのRがフェニル基のもの。)が挙げられる。
本発明において、シロキサン結合含有ジアミンは、いずれか一種の化合物の単独であっても、2種以上の化合物の併用であってもよい。また、市販品を使用してもよく、信越化学工業(株)、東レ・ダウコーニング(株)、チッソ(株)から販売されているものをそのまま使用できる。具体的には、信越化学工業(株)製のKF−8010(ビス(γ−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン:アミノ基当量約450)、X−22−161A(ビス(γ−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン:アミノ基当量約840)等が挙げられ、これらは特に好ましいものである。
本発明における「分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミド」において、アニオン性基とは、電着組成物の溶媒(後述)中でアニオンになる基であり、好ましくはカルボキシル基若しくはその塩、及び/又は、スルホン酸基若しくはその塩である。アニオン性基は、シロキサン含有ジアミンやテトラカルボン酸二無水物成分が有していてもよいが、アニオン性基を有するジアミンをジアミン成分の1つとして用いることが好ましい。ポリイミドの耐熱性、被電着物との密着性、重合度向上のためこのようなアニオン性基含有ジアミンは、芳香族ジアミンであることが好ましい。すなわち、芳香族ジアミノカルボン酸及び/又は芳香族ジアミノスルホン酸が好ましい。芳香族ジアミノカルボン酸としては、例えば、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノフェニル酢酸、2,5−ジアミノテレフタル酸、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジアミノパラトルイル酸、3,5−ジアミノ−2−ナフタレンカルボン酸、1,4−ジアミノ−2−ナフタレンカルボン酸等が挙げられ、芳香族ジアミノスルホン酸としては、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、4,4’−ジアミノ−2,2’−スチルベンジスルホン酸、o−トリジンジスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、3,5−ジアミノ安息香酸が特に好ましい。このようなアニオン性基含有芳香族ジアミンは、単独で用いることもできるし、複数種類を組み合わせて用いることもできる。なお、シロキサン結合含有ジアミンがアニオン性基を有している場合には、ジアミン成分は、シロキサン結合含有ジアミンのみであってもかまわない。
ジアミン成分として、上記したシロキサン結合含有ジアミン及びジアミノカルボン酸に加え、さらに他のジアミンが含まれていてもよい。このようなジアミンとしては、ポリイミドの耐熱性、被電着物への密着性、重合度向上のため通常は芳香族ジアミンが用いられる。このような芳香族ジアミンの例として、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−メチルピリジン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼンを挙げることができ、中でも、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンがより好ましい。
全ジアミン成分中、シロキサン結合含有ジアミンの割合は5〜90モル%が好ましく、より好ましくは15〜50モル%である。シロキサン結合含有ジアミン単位が5モル%未満の場合、ポリイミドの電着塗膜は伸び率が劣り、十分な可とう性が得られにくいため、剥がれや割れを生じ易くなるため、好ましくない。また、芳香族ジアミノカルボン酸又はその塩の割合が10〜70モル%であることが好ましい(ただし、シロキサン結合含有ジアミンと芳香族ジアミノカルボン酸又はその塩の合計は100モル%以下であり、また、上記の通り第3のジアミン成分を含んでいてもよい)。
一方、ポリイミド中のテトラカルボン酸二無水物成分としては、ポリイミドの耐熱性、ポリシロキサンジアミンの相溶性の点から芳香族テトラカルボン酸二無水物が通常使用され、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらの中でもポリイミドの耐熱性、被電着物への密着性、ポリシロキサンジアミンの相溶性、重合速度等の観点から3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が特に好ましいものとして挙げられる。これら例示のテトラカルボン酸二無水物は、何れか一種の化合物を単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明において、「分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミド」は、水溶性極性溶媒に可溶な(例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、5重量%以上、好ましくは10重量%以上の濃度で溶解する溶解性を示す。)ブロック共重合ポリイミドである。ブロック共重合ポリイミド及びその製造方法は、既に公知であり(例えば、国際公開1999/19771号パンフレット)、本発明で用いるポリイミドも、上記ジアミン成分及びテトラカルボン酸二無水物を用い、公知の方法を適用して製造することができる。重合反応には水溶性極性溶媒が用いられ、具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(γBL)、アニソール、テトラメチル尿素、及びスルホランから選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、なかでも、NMPが好ましい。かかる水溶性極性溶媒中に、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを、ほぼ等モル(好ましくはモル比で1:0.95〜1.05)加え、触媒存在下で加熱して脱水イミド化反応することにより直接ポリイミド溶液を製造する。触媒は、ラクトンと塩基又はクロトン酸と塩基から成る2成分系の複合触媒である。ラクトンとしてはγ−バレロラクトンが好ましく、塩基としてはピリジン又はN−メチルモルホリンが好ましい。ラクトン又はクロトン酸と塩基の混合比は、1:1〜5(モル当量)、好ましくは、1:1〜2(モル当量)である。水が存在すると、酸−塩基の複塩として、触媒作用を示し、イミド化が完了し、水が反応系外に出る(好ましくは、トルエンの存在下で重縮合反応を行い、生成する水はトルエンと共に反応系外に除かれる)と触媒作用を失う。この触媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物に対し通常1/100〜1/5モル、好ましくは1/50〜1/10モルである。上記イミド化反応に供するテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの混合比率(酸/ジアミン)は、上記の通りモル比で1:0.95〜1.05程度が好ましい。また、反応開始時における反応混合物全体中の酸二無水物の濃度は4〜16重量%程度が好ましく、ラクトン又はクロトン酸の濃度は0.2〜0.6重量%程度が好ましく、塩基の濃度は0.3〜0.9重量%程度が好ましく、トルエンの濃度は6〜15重量%程度が好ましい。反応温度は、150℃〜220℃が好ましい。また、反応時間は特に限定されず、製造しようとするポリイミドの分子量等により異なるが、通常180〜900分間程度である。また、反応は撹拌下で行うことが好ましい。
水溶性極性溶媒中、上記2成分系の酸触媒の存在下で酸二無水物とジアミンとを加熱してイミドオリゴマーを生成させ、次いでこれに酸二無水物又は/及びジアミンを加えて第2段階の反応をさせることによりポリイミドを生成することができる。この方法によりアミック酸間で起こる交換反応に起因するランダム共重合化を防止することができる。その結果、ブロック共重合ポリイミドが製造できる。このときの固形分濃度は10〜40重量%が好ましく、より好ましくは20〜30重量%である。
ポリイミドは固有対数粘度(25℃)が20wt%NMP溶液時で5,000〜50,000mPasであるものが好ましく、5,000〜15,000mPasがより好ましい。
また、樹脂成分として用いられるブロック共重合ポリイミドの重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算で20,000〜150,000が好ましく、特に45,000〜90,000が好ましい。当該ポリイミドの重量平均分子量が20,000未満の場合、電着塗膜の耐熱性が低下する傾向となり、また塗膜表面が荒れてしまい、耐電圧特性が低下する傾向となる。また、重量平均分子量が150,000より大きくなると、ポリイミド樹脂が水に対して撥水性を帯び電着液(塗料)製造工程でゲル化を引き起こし易くなる。
また、数平均分子量(Mn)については、ポリスチレン換算で10,000〜70,000が好ましく、より好ましくは20,000〜40,000である。数平均分子量が10,000未満の場合、電着効率が低下する傾向となり、また、耐熱性、耐電圧性が低下する場合もある。ここで、ポリイミドの分子量はGPCにより測定される、ポリスチレン換算の分子量であり、GPC装置として東ソー(株)製HLC−8220を用い、カラムにSCkgel Super−H−RCを使用して、測定した値である。
本発明で使用するサスペンジョン型電着塗料組成物において、ブロック共重合ポリイミドからなる粒子の平均粒子径は0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。平均粒子径が0.1μm未満であるとクーロン効率の低下および過電圧による耐電圧性能の低下をもたらす。また、10μmを超えるとクーロン効率の制御および粒子が大きくなることによるリーク電流の増大により耐電圧性能の低下を引き起こす。そのため、クーロン効率の制御および耐電圧性能の維持のバランスのとれた粒子径範囲として0.5〜5μmが好ましい。
本発明で使用するサスペンジョン型電着塗料組成物の製造は、具体的には、次のようにして行う。先ず、上記の重合反応を経て得られたブロック共重合ポリイミドを含む重合反応後組成物(すなわち、ブロック共重合ポリイミドと水溶性極性溶媒とを含み、ブロック共重合ポリイミドの含有量が15〜25重量%の組成物)を加熱溶融する。ここでの加熱温度は通常100〜180℃程度、好ましくは120〜160℃程度である。加熱温度が100℃未満では、ブロック共重合ポリイミドが溶解せず、他の溶媒と分散しにくい傾向となり、180℃を超えると、加水分解を起こし、分子量が低下する傾向となる。
次に、加熱溶融後の組成物に塩基性化合物を添加、攪拌してブロック共重合ポリイミドを中和した後、組成物を40℃以下に冷却し、さらにブロック共重合ポリイミドの貧溶媒及び水を添加し、混合攪拌して、サスペンジョンを調製する。
かかる塗料組成物の製造工程において、ブロック共重合ポリイミドを中和した後の組成物の冷却後温度が40℃を超える場合、中和剤によりポリイミドが分解する傾向となる。組成物の冷却温度はより好ましくは30℃以下である。なお、組成物の冷却温度が低すぎると、再び固化が始まる傾向となるため、冷却温度の下限は20℃以上が好ましい。
上記塩基性化合物は、ブロック共重合ポリイミドが有するアニオン性基を中和し得るものであれば特に制限なく使用できるが、塩基性含窒素化合物が好ましく、例えば、N,N−ジメチルアミノエタノール、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−ジメチルベンジルアミン、アンモニア等の第1級アミン、第2級アミン又は第3級アミンが挙げられる。また、ピロ−ル、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール等の含窒素五員複素環化合物やピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等の含窒素六員複素環化合物等の含窒素複素環式化合物が挙げられる。なお、脂肪族アミンは臭気が強いものが多いので、低臭気である点から含窒素複素環式化合物が好ましい。また、塗料の毒性を考慮した場合、含窒素複素環式化合物の中でも毒性が低いピペリジン、モルホリンが好ましい。当該塩基性化合物の使用量はポリイミド中の酸性基が水溶液中に安定に溶解または分散する程度でよく、通常、理論中和量の30〜200モル%程度である。
また、上記ブロック共重合ポリイミドの貧溶媒は、例えば、フェニル基、フルフリル基若しくはナフチル基を有するアルコール又はケトン類が挙げられ、具体的には、アセトフェノン、ベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、フェノキシ−2−エタノール、シンナミルアルコール、フルフリルアルコール、ナフチルカルビノール等が挙げられる。また、脂肪族アルコール系溶媒は毒性が低い点で好ましく、エーテル基を有する脂肪族アルコール系溶媒が特に好ましい。例えば、脂肪族アルコール系溶媒としては、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール類、プロピレングリコール類が使用できる。エチレングリコール類、プロピレングリコール類としては、例えば、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これら貧溶媒は1種又は2種以上を使用できる。
かかる貧溶媒の配合量は組成物全量に対し10〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。また、上記水の量は組成物全量に対し10〜30重量%が好ましく、15〜30重量%がより好ましい。
なお、上記のブロック共重合ポリイミドの貧溶媒や水以外に、組成物の粘度、電気伝導度を調整する目的で、水溶性極性溶媒や油溶性溶媒を適量添加してもよい。ここで、水溶性極性溶媒の具体例としては、ブロック共重合ポリイミドの重合反応に使用する水溶性極性溶媒と同じものが挙げられ、油溶性溶媒としてはN−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。なお、油溶性溶媒を添加する場合、その量は組成物全量に対し15重量%以下である。
本発明で使用するサスペンジョン型電着塗料組成物の固形分濃度は1〜15重量%が好ましく、より好ましくは5〜10重量%である。また、水溶性極性溶媒の含有量は組成物全量に対し25〜60重量%が好ましく、より好ましくは35〜55重量%である。
本発明で使用するサスペンジョン型電着塗料組成物に分散されているブロック共重合ポリイミドは、粒子径が0.1〜10μm、粒子径の標準偏差が0.1〜8μmであることが好ましい。さらに、粒子径の平均0.5〜5μm、粒子径の標準偏差が0.3〜3μmであることがより好ましい。また、サスペンジョン型電着塗料組成物の固有対数粘度は5〜100mPasであることが好ましい。
このサスペンジョン型電着塗料組成物を用いることにより、外径20〜500μmの金属細線の周囲に、約1.5μmから約50μm、より好ましくは、3μm〜30μmの均一な厚みの絶縁被膜を形成することができる。
例えば、本発明で使用するサスペンジョン型電着塗料組成物を用いて、φ1.0mm、長さ20cmの銅線を使用して電着を行うと、1クーロン当たり15〜250μmのポリイミド被膜を形成することができる。
本発明のプローブピンでは、上記の分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有するサスペンジョン型電着塗料組成物を電着して電着被膜を形成することにより、該電着被膜は金属細線(被電着体)に対して強固密着し、かつ、割れが生じ難い可撓性に優れるものとなり、しかも、極めて高い耐熱性を有し、JIS C3003に準拠した温度指数評価法での温度指数が200℃以上となる(すなわち、耐熱区分がC種以上を示す)絶縁被膜となる。また、該電着被膜は極めて高い耐電圧性を有し、層厚みが10μmのときのAC耐電圧が1kV以上、層厚みが20μmのときのAC耐電圧が2kV以上、層厚みが30μmのときのAC耐電圧が3kV以上を示す絶縁被膜となる。このような高度の耐熱性及び高度の耐電圧性は、上記のサスペンジョン型電着塗料組成物が、塗膜の成長過程での電気伝導度が高く、金属細線(被電着体)の表面に膜性状の均一性の高い被膜を成長させるためであると考えられる。
上述のように本発明で使用するサスペンジョン型電着塗料組成物は、約1.5μmから約50μm、より好ましくは、3μm〜30μmの均一な厚さの、絶縁性に優れた薄膜を形成することが可能である。
また、上記サスペンジョン型電着塗料組成物は、ブロック共重合ポリイミドの分散粒子(析出粒子)が金属細線の表面に堆積(付着)しやすいため、従来のポリイミド系電着組成物では困難であった20μmを超える厚みの電着被膜を成長させることができる。厚みが20μmを超える被膜を形成することで、該絶縁被膜によって絶縁保護及び耐熱保護のみならず、外傷保護が図られた、絶縁被覆されたプローブピンを実現することができる。すなわち、本発明のプローブピンによれば、金属細線の表面に、上記の極めて高い耐熱性及び耐電圧性を有する厚みが20μmを超える厚膜の絶縁被膜が強固に密着し、しかも、該絶縁被膜の割れが生じ難いものとなる。この結果、本発明により、用途に応じて、約1.5μmから約50μm、より好ましくは、3μm〜30μmという広範囲の膜厚の絶縁被覆によって絶縁保護及び耐熱保護のみならず、外傷保護が図られた、高性能、高信頼性のプローブピンを実現することができる。
特許文献3に記載の電着塗料組成物は、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有する点で、本発明で使用する上記のサスペンジョン型電着塗料組成物と類似している。しかし、先述したように、特許文献3に記載の電着塗料組成物は、溶液型の組成物であり、JIS C3003に準拠した温度指数評価法による耐熱区分が最高でF種の電着被膜(絶縁被膜)しか形成できず、また、層厚みが10μmのときのAC耐電圧は最高でも0.3kV程度しか示さない。また、電着条件を種々変更しても、厚みが20μmを超える電着被膜(絶縁被膜)を形成することは困難である。
本発明のプローブピンは、金属細線(被電着物)を、上記のサスペンジョン型電着塗料組成物に浸漬し、該金属細線を陽極として電流を通じて該金属細線上にポリイミド被膜を成長させる電着作業を行い、得られた被膜を加熱乾燥(焼付け)することで得られる。
電着は、定電流法又は定電圧法で行うことができ、例えば、定電流法の場合、電流値:1.0〜200mA、直流電圧:5〜200V(好ましくは30〜120V)の条件が挙げられる。また、電着時間は電着条件、形成すべき電着膜の厚み等によっても異なるが、一般的には10〜120秒の範囲から選択され、好ましくは30〜60秒である。また、電着の際の組成物温度は通常10〜50℃、好ましくは10〜40℃、より好ましくは20〜30℃である。電着電圧が5Vより低いと電着によって塗膜を形成させることが困難となる傾向があり、200Vよりも大きくなると被塗布物からの酸素の発生が激しくなり、均一な塗膜が形成できなくなる。また、電着時間が10秒よりも短いと、電着電圧を高めに設定しても塗膜が成長しにくいためにピンホールが発生しやすく、電着膜の耐電圧性能が著しく低下している。また、120秒を超えると、塗膜の厚さが必要以上に厚くなるだけで経済性に欠ける。また、組成物温度が10℃よりも低いと電着によって塗膜形成をさせることが困難になり、50℃よりも高くなると温度管理が必要となり生産コストを上げる原因になる。
焼付けは70〜110℃で10〜60分の第一段階の焼付け処理を行った後、160〜180℃で10〜60分の第二段階の焼付け処理を行い、さらに200〜220℃で30〜60分の第三段階の焼付け処理を行うのが好ましい。このような3段階の焼付け処理を行うことで、金属細線(被電着物)に対して高い密着力で密着した十分に乾燥されたポリイミドの被膜を形成することが出来る。
プローブピンを作製する場合、上記サスペンジョン型電着塗料組成物の電着、焼付け作業は、例えば、図3に示すような装置で行うことができる。すなわち、金属細線用ロール30に巻き線された金属細線31を引き出し、交流電源の陽極側に接続した状態で、電着塗料組成物33で満たされた電着槽32中を通過させる。電着槽32中には、陰極板34が配置され、金属細線31の通過時に上記の電圧の印加により、陽極である金属細線31と陰極である陰極板34間の電位差により、ポリイミドが金属細線31上に略均一に析出する。電着槽32の後、金属細線31は乾燥装置35内を通過する。該乾燥装置35内で、導体線31上に析出したポリイミド中の水が蒸発する。乾燥装置35を通過した後、焼付け炉36を通過させポリイミドからなる絶縁被膜が形成し、絶縁導線をロール37で巻き取っていく。かかる装置によって、電着塗料組成物の電着、焼付け作業を行うことで、絶縁被覆線を連続的に製造することができる。
なお、この方法により、金属細線31上の全長にわたって絶縁被覆がされる。したがって、必要なプローブピン形状に加工するには、被覆された金属細線を切断後、両端部の被覆を除去し、プローブピンの先端部を任意の形状に加工すればよい。また、予め、絶縁被覆が必要とされる部分以外をテープ等でマスキングした状態で電着塗装することもできる。
さらに、予め、必要な長さと形状に加工されたプローブピンを個別に電着塗装してもよい。
本発明で使用する、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを樹脂成分として含有するサスペンジョン型電着塗料組成物の電着被膜は、金属細線に強固に密着し、かつ、可撓性に優れるため、プローブピンは、先端加工や、検査治具への取り付け時の絶縁被膜(電着被膜)の剥がれや割れが起こりにくい、優れた加工耐性を有するものとなる。
本発明のプローブピンにおいて、電着被膜(絶縁被膜)の厚みは、プローブピンの形状、プローブピンのピッチ、金属細線の種類等によっても異なり、特に限定はされないが、概ね、1.5〜50μmの範囲内で選択される。すなわち、本発明では、厚みが30μmを超える電着被膜(絶縁被膜)を形成できるが、被膜厚の均一性、生産性の観点から、通常、厚みの上限は50μm程度が好ましい。本発明のプローブピンは、3μm前後のきわめて薄い膜厚で、均一かつ高い絶縁性を確保できることに加えて、20μmを超える厚膜であっても、円周方向および長手方向のいずれについても、均一な膜厚を実現できる。この点で、多数本が同時に用いられ、隣接間の接触が起きるケースの多いプローブピン用途に適した絶縁被覆が実現されているといえる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[実施例]
[サスペンジョン型電着塗料組成物の調製]
ステンレス製の碇型攪拌機を取り付けた2リットルのセパラブル三つ口フラスコに水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。該フラスコに3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物58.84g(200ミリモル)、ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン43.25g(100ミリモル)、γ−バレロラクトン4.0g(40ミリモル)、ピリジン6.3g(80ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)531gおよびトルエン50gを仕込み、室温、窒素雰囲気下、180rpmで10分攪拌した後、180℃に昇温して2時間攪拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。ついで、室温に冷却し、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物64.45g(200ミリモル)、KF−8010(信越化学工業(株)製)を83.00g(100ミリモル)、3,5−ジアミノ安息香酸30.43g(200ミリモル)、NMP531gおよびトルエン50gを添加し、180℃、180rpmで攪拌しながら、8時間反応させた。還流物を系外に除くことにより、20重量%濃度のポリイミド溶液(20%ポリイミドワニス)を得た。得られたポリイミドの数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれ24,000及び68,000であった。
得られたポリイミドワニスをガラス板上にバーコーターを用いてウエット膜厚50μmにて塗布した。その後、温風乾燥機にて90℃/30分、180℃/30分、220℃/30分で乾燥させた後、ガラス板より剥離させ、JIS C2151に準拠して機械的伸び率を測定し、21.8%のポリイミド被膜が得られた。また熱分解温度は420℃であった。
先に得られた20%ポリイミドワニス100gを窒素雰囲気下160℃で1時間攪拌し、その後、30℃まで急冷し、N−メチルピロリドン59.4gとピペリジン2.2g(中和率200モル%)を加え激しく攪拌した。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル129gを加えながら攪拌し、水67gを滴下してサスペンジョン型電着塗料組成物を調製した。粒径分析装置ELS−Z2(大塚電子(株)製)を用いて、該電着液における分散粒子の粒径および標準偏差を測定したところ、粒径0.7μm、標準偏差0.5μmの析出粒子(固形粒子)を有するサスペンジョンが形成されていた。なお、固形分濃度6.0%、pH8.7、電気伝導度7.3mS/mの黒濁液であった。また、固有対数粘度は、50mPasであった。
[プローブピンの絶縁被覆]
上記サスペンジョン型電着液組成物を使用し、陰極板−タングステン線間距離を50mm、電着電圧を30Vとし、φ70μm、長さ20mmの円形タングステン線外周に電着被膜を形成した。通電量を0.2〜2.1ミリクーロン(mC)の範囲で制御することにより、厚みの異なる電着被膜(絶縁被膜)を有する円形絶縁タングステン線を7種類(1種類当たりのサンプル数=5)作製した。このとき、電着電流は0.01〜200mAの範囲内であり、電着時間は0.5〜30秒の範囲内であった。電着後のタングステン線を電着浴から取り出し、水洗後、90℃×30分間、さらに170℃×30分間、さらに220℃×30分間焼き付けを行った。得られた円形絶縁タングステン線につき、下記の試験方法で、電着液の電着性(被膜形成性)、電着被膜の厚さ、AC耐電圧及び耐熱寿命を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2010107420
なお、プローブピンへの加工に際しては、絶縁被覆したタングステン線を長さ20mmで切り出し、両端部から2mmの長さの電着膜で剥離除去するとともに、両端部を丸め加工した。タングステン線の露出部を洗浄後、市販のニッケルめっき液におよび、その上に金メッキ液を用いて無電解めっきし、ニッケルめっき層(1.5μm)および金メッキ層(0.2μm)を形成することで、本発明の一実施形態のプローブピンを作製した。
1.被膜の均一性
JIS C3003に準拠して、ピンホールの有無を調査した。
2.電着被膜の厚さ
マイクロメータ(最小目盛:0.001mm)を用いて計測した。サンプル1個当たり5箇所の厚さを測定し、平均値をそのサンプルの測定結果とした。表1には5個のサンプルにおける最大厚みと最小厚みを示す。
3.電着被膜のAC耐電圧
JIS C3003に準拠して、B法金属箔法により、AC破壊電圧を測定した。すなわち、1cmのスズ箔をプローブピンに巻き付け、導体−すず箔間にて測定した。そして、各板に交流電圧発生装置を接続し、1秒間当たり100Vの速度で電圧を上昇させて、短絡(漏れ電流値10mA以上)した電圧を破壊電圧とした。表1には、7種類の膜厚毎に5個のサンプルの平均値とばらつきを記載する。
4.電着被膜の耐熱寿命
実施例の方法で、1.0mmφの銅線に電着被膜厚さ21〜23μmの試料を作製した。この試料についてJIS C3003に記載の温度指数評価法に準拠してプローブピンの耐熱性(電着被膜の耐熱寿命)を評価した。すなわち、実施例の方法に従って、約21〜23μm厚の電着被膜が形成された銅線の試料各2本を用いて2個撚りし、試験片を得た。この試験片を290〜320℃の範囲内の10℃間隔の温度(290℃、300℃、310℃、320℃)に設定したオーブンで熱処理し、それぞれについて、500V×1秒の電圧印加で破壊に至るまでの時間を計測した。温度指数は290℃、300℃、310℃、320℃の各温度での測定結果をアレニウスプロットした耐熱寿命グラフより算出した。実施例に従って、銅線上に形成された電着被膜は、寿命20,000時間に相当する耐熱温度(すなわち、温度指数)が240℃であり、耐熱区分は200℃以上であるC種に相当するものであった。なお、本試験では、規格に従って2個撚りして試験を行う関係上、ベリリウム銅線やタングステン線ではなく、銅線を用いた。
[比較例]
実施例で得られたブロック共重合ポリイミド(樹脂成分)を20重量%含有する半固形状の組成物100gを160℃に加熱溶融した後、NMP70gを加え、アニソール55g、シクロヘキサノン45g及びN−メチルモルホリン2.6g(中和率200モル%)を加え、攪拌しながら水30gを滴下して、固形分濃度6.6%、pH7.8の電着液組成物を得た。粒径分析装置ELS−Z2(大塚電子(株)製)を用いて、電着塗料組成物における分散粒子の粒径および標準偏差を測定したが、粒径が0.1μm以上の析出粒子は観察されておらず、溶液状態であった。そしてこの溶液型電着塗料組成物を使用して、陰極板−タングステン線間距離を50mm、電着電圧を100Vとし、通電量を2〜14mCに制御した。このとき、電着電流は0.01〜200mAの範囲内で、電着時間は0.5〜120秒であった。上記の条件で、実施例で使用したと同じく、φ70μmのタングステン線に電着を行い、その後は、実施例と同様にして、種々の厚みの電着被膜(絶縁被膜)を有する円形絶縁銅線を得た(1つの電着条件当たりのサンプル数=5)。そして、上述の試験方法で、溶液型電着塗料組成物の電着性(被膜形成性)、電着被膜の厚さおよびAC耐電圧を評価した。7種類の膜厚について各5個のサンプルを評価した結果を表2に示す。また、比較例でも、1mmφの銅線上に形成された約19〜21μm厚の電着被膜について上記の方法で耐熱寿命を測定したところ、温度指数は180℃で、耐熱区分はH種であった。
Figure 2010107420
[評価]
表1と表2を比較すると明らかなように、実施例の被膜形成方法により、同一電圧であっても少ない通電量で膜形成が進むことがわかる。例えば、比較例では、14.9μmの膜厚を得るのに10.0mCもの通電量が必要であるのに対して、実施例で14.5μmの膜厚を得るには、1.0mCの通電量で十分であった。このように、従来に比べて、約1/10の通電量で必要な膜形成が可能であるため、製造時間の短縮および、製造に必要な電力量の低減が実現できる。また、比較例では、30Vでは、20μm以上の膜厚を得ることができなかったのに対し、実施例では、30μmの膜厚であっても通電量に比例して形成することができるという、本発明の優れた特徴を確認できた。
Figure 2010107420
表3および図4に、実施例および比較例で得られた円形絶縁タングステン線(直径70μm)上の、電着被膜の厚み(横軸)とAC耐電圧(縦軸)の関係の特性線を対比して示した。図4中、実施例のデータは(●)でプロットされ、比較例のデータは(■)でプロットされている。表3および図4から、サスペンジョン型塗料組成物を電着して得た実施例の絶縁被覆タングステン線は、3μm弱の薄膜から30μm程度の厚膜の範囲で、被膜厚さ(μm)に比例してAC耐電圧(kV)が上昇する関係を示している。3μmから30μmまで、同一膜厚におけるAC耐電圧のばらつきが非常に小さく、均一厚でかつ強固な絶縁被膜が形成されていることが示された。これに対して、溶液型電着液組成物を用いた比較例の場合、測定した約3μmから約20μmの被膜厚さでは、AC耐電圧が実施例よりも0.3〜0.6kV程度低くなった。
また、AC耐電圧のばらつきについて、約10μmの膜厚で比較すると、比較例のAC耐電圧の平均値が0.66kVに対して、上下に0.70kVばらついており、平均値に対しては100%以上もばらついていた。これに対して、実施例では、同じく約10μの膜厚時に、平均値1.25kVに対して、ばらつきは上下に、0.20Vであり、平均値に対するばらつきの比率は16%ときわめて小さかった。この結果は、本発明の実施例が、従来技術に比べて、膜厚及び膜質の均一性が非常に優れていることを示すものである。
以上の結果から、サスペンジョン型塗料組成物を用いて絶縁被覆された本発明のプローブピンは、従来の溶液型電着塗料を用いで絶縁被覆されたプローブピンと比較して、どのような膜厚範囲であっても、AC耐電圧が高く、かつ、AC耐電圧のばらつきが小さいことが示された。
すなわち、本発明のプローブピンは、従来の溶液型塗料組成物を使用したプローブピンに比べて、電着時の被膜成長速度が速く、かつ、被膜の単位厚さ当たりのAC耐電圧性に優れているため、数μmの薄膜でも十分な耐電圧を確保することができ、しかも、電着被膜(絶縁被膜)を30μm以上に厚膜化することもできる。
図1は本発明のプローブピンの一実施形態を示す斜視図である。 図2はプローブピンによる通電試験の様子を説明する斜視図である。 図3はサスペンジョン型電着液組成物を用いて、本発明のプローブピンに絶縁被覆を施す電着工程の一実施形態を示す装置の模式図である。 図4は電着被膜(絶縁被覆層)の厚みとAC耐電圧の関係を対比して示した図である。
符号の説明
10 プローブピン
11 金属細線
12 プローブピン先端部
13 サスペンジョン型電着被膜(絶縁被膜)
14 治具接続先端部
10a〜10d プローブピン
20 回路基板
21 検査電極
30 金属細線用ロール
31 金属細線
32 電着槽
33 電着塗料組成物
34 陰極板
35 乾燥装置
36 焼付け炉
37 絶縁被覆線用ロール

Claims (10)

  1. 金属細線の胴部が絶縁被膜によって被覆されたプローブピンであって、
    前記被膜が、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有するブロック共重合ポリイミドを含み、
    前記ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含み、
    前記分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、プローブピン。
    Figure 2010107420
    (式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)
  2. 前記被膜が、前記ブロック共重合ポリイミドからなるポリイミド粒子を含むサスペンジョン型電着塗料組成物を前記金属細線の胴部に電着することで形成された被膜である請求項1記載のプローブピン。
  3. 前記被膜が、JIS C3003に準拠した温度指数評価法での温度指数が200℃以上を示す絶縁被膜である請求項1または2記載のプローブピン。
  4. 前記被膜が、層厚みが10μmのときのAC耐電圧が1kV以上、層厚みが20μmのときのAC耐電圧が2kV以上、層厚みが30μmのときのAC耐電圧が3kV以上を示す絶縁被膜である請求項1または2記載のプローブピン。
  5. 前記一般式(I)中の4つのRが、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、フェニル基又は1個乃至3個の炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシル基で置換されたフェニル基を表す、請求項1または2記載のプローブピン。
  6. 前記アニオン性基が、カルボキシル基若しくはその塩、及び/又は、スルホン酸基若しくはその塩である請求項1または2記載のプローブピン。
  7. 前記ブロック共重合ポリイミドが、ジアミン成分の1つとして、芳香族ジアミノカルボン酸を含む請求項1または2記載のプローブピン。
  8. 全ジアミン成分中、前記分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンの割合が5〜90モル%、前記芳香族ジアミノカルボン酸の割合が10〜70モル%(ただし、両者の合計は100モル%以下であり、第3のジアミン成分を含んでいてもよい)である請求項7記載のプローブピン。
  9. プローブピンの絶縁被覆方法であって、
    金属細線からなるプローブピンの胴部に、ブロック共重合ポリイミドからなるポリイミド粒子を含むサスペンジョン型電着塗料組成物を電着して絶縁被膜を形成する工程を含み、
    前記ブロック共重合ポリイミドは、分子骨格中にシロキサン結合を有し、分子中にアニオン性基を有し、かつ、ジアミン成分の1つとして、分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンを含み、
    前記分子骨格中にシロキサン結合を有するジアミンが、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び下記の一般式(I)で表される化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、
    ことを特徴とするプローブピンの絶縁被覆方法。
    Figure 2010107420
    (式中、4つのRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は1個乃至3個のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基を表し、l及びmはそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。)
  10. 前記サスペンジョン型電着塗料組成物が、粒子径が0.1〜10μm、粒子径の標準偏差が0.1〜8μmで分散されているポリイミド粒子を含む組成物である請求項9記載のプローブピンの絶縁被覆方法。
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