JP2001139881A - 電着塗料、摺動部材および軸受け装置 - Google Patents

電着塗料、摺動部材および軸受け装置

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JP2001139881A
JP2001139881A JP32197299A JP32197299A JP2001139881A JP 2001139881 A JP2001139881 A JP 2001139881A JP 32197299 A JP32197299 A JP 32197299A JP 32197299 A JP32197299 A JP 32197299A JP 2001139881 A JP2001139881 A JP 2001139881A
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polyimide
electrodeposition coating
coating film
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Takahisa Fukuzawa
孝久 福澤
Takafumi Kuwazawa
隆文 桑沢
Hiroyoshi Shirai
汪芳 白井
Mutsumi Kimura
睦 木村
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Nidec Sankyo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性および下地との密着性に優れ、かつ、
摺動性も良好な塗膜を形成できる電着塗料、この電着塗
料を用いた電着塗装によってコーティングを施した摺動
部材、およびこの摺動部材を用いた軸受け装置を提供す
ること。 【解決手段】 軸受け装置を形成するにあたって、その
摺動軸の表面に電着塗膜を形成する。この電着塗膜を形
成する際には、電着塗料の主成分として、主鎖部分に脂
環式部分を有するポリイミド系材料を用いる。このポリ
イミド系材料の主鎖に対しては、フッ素置換されたアル
キル基が導入され、かつ、電着塗料にはフッ素樹脂が固
体潤滑剤として配合されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電着塗料、この電
着塗料を用いた電着によってコーティングを施した摺動
部材、およびこの摺動部材を用いた軸受け装置に関する
ものである。さらに詳しくは、電着塗料の材料技術に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】各種のコーティング方法のうち、スプレ
ー法を用いて摺動部材の摺動面などをコーティングする
場合には、たとえば、ベース材料にポリテトラフルオロ
エチレン系樹脂(フッ素樹脂)などを配合した塗料が用
いられる。しかしながら、スプレー法で形成した塗膜は
膜厚精度が低いので、塗膜表面に後加工を施して寸法出
しを行う必要がある。また、スプレー法で形成した塗膜
は、下地との密着性が低いとともに、摺動部材に向けて
塗料を噴射しても大量の塗料が摺動部材からそれるの
で、塗料が無駄になるという問題点もある。また、スプ
レー法では、塗料成分を有機溶剤に溶かして噴射するの
で、作業環境が有機溶剤で悪化し、かつ、火災が発生す
るおそれもある。
【0003】これに対して、電着塗装は、スプレー法な
どに比較して高い膜厚精度が得られ、かつ、塗膜と下地
との密着性が高いという利点もある。さらに、電着塗装
は、スプレー法と比較して塗料が無駄にならないという
利点もある。
【0004】このような電着塗装において、電着塗料の
ベース材料としては、一般に、アクリル−メラミン系材
料、アルキド−メラミン系材料、エポキシ−メラミン系
材料、アクリル−ウレタン系材料、エポキシ−ウレタン
系材料、不飽和ポリエステル系材料が用いられている。
また、電着塗料を用いて摺動部材の摺動面をコーティン
グする場合には、これらのベース材料に対して、ポリテ
トラフルオロエチレン樹脂の粉末などを固体潤滑剤とし
て分散させることにより塗膜の潤滑性、摺動性を高めて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
電着塗装で用いられている前述の電着塗料用のベース材
料はいずれも、分解開始温度が250℃から300℃と
低く、耐熱性が低い。このため、従来のベース材料を用
いて、たとえば、高速回転する軸受け装置においてその
摺動面をコーティングすると、摩擦により発生した熱に
よって電着塗膜が劣化し、摺動性が著しく低下するとい
う問題点がある。このような問題は、たとえ軸側と軸受
け側とが非接触状態となる動圧軸受け装置であっても、
回転を開始しようとした時、あるいは回転を停止しよう
としたときには、軸側と軸受け側とが接触するので、電
着塗膜が熱で劣化するという問題を避けることができな
い。
【0006】そこで、電着塗装に用いることができ、か
つ、耐熱性の高いベース材料として芳香族系ポリイミド
材料の検討が行われている。この芳香族系ポリイミド材
料は、主鎖部分が芳香環によって接続し、主鎖部分に脂
環基が含まれていない。しかしながら、この種のベース
材料は、電着塗膜が硬すぎて脆く、かつ、下地との密着
力が弱いため、摺動部材のコーティングに適さないとい
う問題点がある。
【0007】以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、
耐熱性および下地との密着性に優れ、かつ、摺動性も良
好な塗膜を形成できる電着塗料、この電着塗料を用いた
電着塗装によってコーティングを施した摺動部材、およ
びこの摺動部材を用いた軸受け装置を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る電着塗料は、主鎖部分に脂環式部分を
有するポリイミド系材料を主成分として含むことを特徴
とする。
【0009】本発明において、電着塗膜は、通電量によ
って膜厚を制御できるので、スプレー法によって形成し
た塗膜に比較して高い膜厚精度が得られる。それ故、二
次加工による寸法出しなどを省略できる。また、電着塗
装は、スプレー法と比較して塗料が無駄にならない。さ
らに、ポリイミド系材料は、従来の電着塗料に用いられ
ていたアクリル−メラミン系材料、アルキド−メラミン
系材料、エポキシ−メラミン系材料、アクリル−ウレタ
ン系材料、エポキシ−ウレタン系材料、不飽和ポリエス
テル系材料などと比較して分解温度が高く、耐熱性に優
れている。このため、高速回転する軸受け装置などにお
いてその摺動面をコーティングすると、摩擦により熱が
発生したとしても、この熱によって塗膜が劣化すること
がない。また、前記の芳香族系ポリイミド材料と違っ
て、主鎖部分に脂環式部分を備えるポリイミド系材料を
電着塗料に用いると、電着塗膜が適度な柔らさを有して
いるので、下地との密着力が強い。それ故、摺動部材の
コーティングに適している。
【0010】本発明において、前記ポリイミド系材料
は、該ポリイミド系材料を構成する酸側およびアミン側
のうちの少なくとも一方に前記脂環式部分を有していれ
ばよく、酸側およびアミン側の双方に前記脂環式部分を
有していてもよい。
【0011】本発明において、前記ポリイミド系材料の
主鎖に対しては、フッ素基、およびフッ素置換されたア
ルキル基のうちの少なくとも一方が付加されていること
が好ましい。
【0012】本発明において、前記ポリイミド系材料
は、たとえば、以下の化学式
【0013】
【化2】 で表される。
【0014】このように、前記ポリイミド系材料に対し
てフッ素基を導入すると、フッ素樹脂を固体潤滑剤とし
て電着塗料あるいは電着塗膜に含有させたときにポリイ
ミド系材料とフッ素樹脂とのなじみが向上する。
【0015】本発明に係る電着塗料には、前記ポリイミ
ド材料に加えて、フッ素樹脂を固体潤滑剤として含むこ
とが好ましい。電着塗料中にフッ素樹脂を分散させてお
くと、電着塗膜がフッ素樹脂を保持した構成になる。こ
のため、摺動部材の摺動面などをコーティングしたと
き、摺動部材の表面が他の部材と擦れたときの摩擦によ
って熱が発生しても、この熱は、フッ素樹脂が軟化ある
いは溶融するのに使われる。従って、電着塗膜中のポリ
イミド系材料自身の温度上昇を抑えることができるの
で、電着塗膜の耐熱性を一層高めることができる。それ
故、高速回転する軸受け装置においてその摺動面に電着
塗膜を形成しても、電着塗膜が熱劣化することがない。
【0016】本発明に係る電着塗料を用いた電着によっ
て塗膜を形成すると、この塗膜は摺動性に優れているの
で、本発明に係る電着塗料は、摺動部材の摺動部分をコ
ーティングするのに適している。
【0017】このような摺動部材とは、たとえば、前記
軸受け装置の軸受け分において、軸側および軸受け側と
して用いられる。
【0018】
【発明の実施の形態】(電着塗装および電着塗料)本発
明を適用した電着塗料は、基本的には、ポリイミド系材
料を主成分として配合され、かつ、このポリイミド系材
料は、主鎖部分の酸側あるいはアミン側に脂環式部分を
有している。また、この電着塗料には、ポリイミド材料
に加えて、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂などのフ
ッ素樹脂の粉末が固体潤滑剤として配合されていること
が好ましい。さらに、ポリイミド系材料は、その主鎖に
対して、フッ素基、およびフッ素置換されたアルキル基
のうちの少なくとも一方が付加されていることが好まし
い。このようなフッ素置換されたポリイミド系材料は、
たとえば、前記の化学式(2)で表される。
【0019】このようなポリイミド材料の合成方法、お
よびこの材料を含む電着塗料を用いた電着方法の一例
を、図1を参照して以下に説明する。
【0020】図1(A)、(B)、(C)はそれぞれ、
本発明を適用した電着塗料に含まれるポリイミド系材料
の合成方法を示す説明図であり、図1(D)は、このポ
リイミド系材料を含む電着塗料から形成した電着塗膜の
加熱硬化前の構造を示す説明図、および図1(E)は、
図1(D)に示す電着塗膜を加熱硬化した後の構造を示
す説明図である。なお、図1(A)〜(E)には、アミ
ン側に対して、フッ素置換されたアルキルが付加してい
るものを一般式で表わしてあるが、以下に説明するの
は、この化学式においてn=1の場合であり、フッ素置
換されたメチル基が付加している例である。
【0021】まず、ポリイミド材料を製造するには、ポ
リイミド系材料の酸成分としてビシクロ(2,2,2)
オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸
二無水物(図1(A)を参照)、0.05モルを、溶媒
である乾燥N−メチルピロリドン(NMP)100ml
に対して窒素雰囲気中で溶解させる。本形態では、酸成
分として用いたビシクロ(2,2,2)オクト−7−エ
ン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物が脂環
式部分を有している。
【0022】次に、アミン成分である2,2−ジトリフ
ルオロメチル−4,4−ジアミノビフェニル(図1
(A)を参照)、0.05mlを反応容器に加えた後、
ビシクロ(2,2,2)オクト−7−エン−2,3,
5,6−テトラカルボン酸二無水物のN−メチルピロリ
ドン溶液をゆっくり反応容器内に加え、約3時間、攪拌
する(図1(B)を参照)。
【0023】次に、沈殿が発生しないようにゆっくり
と、酸成分と等モルのトリエチルアミン(TEA)を反
応容器内に添加する。また、400mlの純水を反応容
器内に加えて、ポリアミド酸トリエチルアンモニウム水
溶液を得る(図1(C)を参照)。
【0024】次に、ポリアミド酸トリエチルアンモニウ
ム水溶液を透析チューブ内を入れ、透析によって、有機
溶媒、余剰のトリエチルアミン、その他の雑イオンを除
去する。このような透析は、チューブ内の溶液(水溶
液)が中性、すなわちpHが約7になるまで実施する。
【0025】このような透析により得たポリアミド酸ト
リエチルアンモニウム水溶液に対して、0.2μm〜
0.3μmの粒径を有するフッ素樹脂を固体潤滑剤とし
て添加させれば、ポリアミド酸トリエチルの水溶液に、
粉末状のフッ素樹脂を固体潤滑剤として含む電着塗料を
調製することができる。また、電着塗料にはイソプロピ
ルアルコール、ブチルセロソルブ、エチレングリコール
などの分散剤、さらにはカーボンブラックなどの着色剤
を添加してもよい。
【0026】このような成分(ポリアミド酸トリエチル
アンモニウム)を含有する電着塗料は、アニオン型電着
塗料であり、この電着塗料を用いた電着は、図2
(A)、(B)を参照して以下に説明するように実施さ
れる。
【0027】図2(A)、(B)は、電着操作を模式的
に示す説明図、およびこの電着操作によって表面に電着
塗膜がコーティングされた摺動軸の断面図である。な
お、ここに示す摺動軸は、後述する軸受け装置用であ
る。
【0028】まず、本形態に係る電着塗料を純水と混ぜ
て、電着塗料の濃度を調整し、電着浴を調製する。この
ときの濃度は、電解条件などに応じて最適な条件に設定
される。
【0029】次に、図2(A)に示すように、摺動軸3
を形成するための母材としての丸棒31を電着浴100
に浸漬した状態で、摺動軸3を陽極とし、この摺動軸3
に対向する対極101(電解槽)を陰極にして、摺動軸
3と対極101との間に直流電圧を印加する。このとき
の浴電圧や電流密度は電圧計および電流計で監視する。
このときの電着浴100の温度や電流密度などは、電着
すべきワークの種類などによって最適な条件に設定され
る。
【0030】このようにして電着を行うと、電着浴10
0中において、ポリイミド系材料は、図1(D)に示す
化学式で表される構造を有する電着塗膜33として、た
とえば10μmの膜厚をもって摺動軸3の表面を覆う
(図2(B)参照)。このとき、電着浴100に分散さ
れていた粒径0.3μm〜0.4μmのフッ素樹脂は、
ポリイミド材料からなる電着塗膜33に取り込まれ、保
持される。
【0031】このようにして電着塗膜33を形成した後
は、摺動軸3を洗浄し、しかる後に、摺動軸3に対し
て、100℃位で予備乾燥を行った後、250℃位の温
度で熱処理を施す。その結果、電着塗膜33は、図1
(E)に示す構造になって硬化する。
【0032】このように構成した電着塗膜33は、通電
量によって膜厚を制御できるので、スプレー法によって
形成した塗膜に比較して高い膜厚精度が得られる。従っ
て、二次加工などによって寸法出しを行う必要がない。
また、電着塗装は、スプレー法と比較して塗料が無駄に
ならない。しかも、水系の電着浴なので、作業環境の悪
化や火災のおそれがない。さらに、ポリイミド系材料
は、耐熱性に優れており、分解開始温度が350℃以上
である。このため、高速回転する軸受け装置などにおい
て、その摺動面(丸棒31の外周面)をコーティングす
ると、摩擦により熱が発生したとしても、この熱によっ
て電着塗膜33が劣化することがない。また、芳香族系
ポリイミド材料と違って、本形態の電着塗料に用いたポ
リイミド系材料は、分子構造の中に脂環式部分を備えて
いるので、電着塗膜33は適度な柔らさを有している。
それ故、電着塗膜33は、下地(丸棒31の外周面)と
の密着力が強い。それ故、摺動軸3などといった摺動部
材のコーティングに適している。
【0033】また、本形態では、電着塗料中にフッ素樹
脂を分散させておいたので、電着塗膜33がフッ素樹脂
を含有する。このため、摺動軸3の表面が他の部材と擦
れたときの摩擦によって熱が発生しても、この熱は、フ
ッ素樹脂が軟化あるいは溶融するのに使われる。従っ
て、電着塗膜33中のポリイミド系材料自身の温度上昇
を抑えることができるので、電着塗膜33の耐熱性を一
層高めることができる。
【0034】さらに、フッ素樹脂を粉体のまま電着塗料
あるいは電着塗膜33に含有させるにあたって、本形態
の電着塗料では、主成分であるポリイミド系材料に、フ
ッ素置換されたアルキル基が導入されているので、ポリ
イミド系材料とフッ素樹脂とのなじみがよい。また、フ
ッ素基の導入によって、主鎖であるポリイミド分子の絡
みを抑えることができるので、フッ素に起因する立体障
害を減少させることもできる。それ故、この点からいっ
ても、ポリイミド系材料とフッ素樹脂との相溶性が向上
する。
【0035】(軸受け部分への適用例1)図3は、本発
明を適用した軸受け装置を用いたポリゴンミラー駆動装
置の断面図である。
【0036】図3において、ポリゴンミラー駆動装置1
Aは、モータ5と、このモータ5のロータ20上に搭載
されたポリゴンミラー30とから構成されている。
【0037】モータ5には、駆動コイル41が巻回され
たステータコア42および摺動軸3を備えるステータ4
0と、摺動軸3が差し込まれる軸孔21が形成されたロ
ータ20とが構成されている。ロータ20は、ロータ本
体25と、このロータ本体25から外周側に張り出すよ
うにロータ本体25の下面側に固着されたヨーク27
と、このヨーク27の内周面に固着されたロータマグネ
ット22とを備えている。ロータ本体25の外周側に
は、ポリゴンミラー30を搭載する台座部26が形成さ
れ、この台座部26上に載置されたポリゴンミラー30
はリング状のミラー押しつけ部材50によって台座部2
6に押しつけ固定されている。
【0038】このように構成したモータ5において、ロ
ータ20とステータ40との間には、摺動軸3の上端部
分に配置された磁石81とロータ20の上端部分に配置
された磁石82との間に作用する磁力、およびステータ
コア42とロータマグネット22との間に作用する磁力
を利用して、ステータ40がロータ20をスラスト方向
で支持するスラスト軸受け8が構成されている。
【0039】また、ロータ20とステータ40との間で
は、摺動軸3の外周面とロータ20(軸受け側)の軸孔
21の内周面との間に形成される隙間内に発生する動圧
を利用してロータ20をラジアル方向で支持する動圧軸
受けからなるラジアル軸受け7が構成されている。な
お、図示を省略するが、摺動軸3の外周面あるいはロー
タ20の軸孔21の内周面には、ヘリングボーンまたは
スパイラルグルーブなどといった動圧発生溝が形成され
ている。
【0040】本形態では、この動圧軸受け装置からなる
ラジアル軸受け7の摺動軸3に対して本発明を適用して
いる。
【0041】(軸受け部分への適用例2)図4は、本発
明を適用した軸受け装置を用いた光ピックアップ装置の
断面図である。
【0042】図4に示すように、対物レンズ駆動装置1
Bは、対物レンズ10を保持したレンズホルダ4と、こ
のレンズホルダ4を支持したホルダ支持部材2とを有し
ている。
【0043】レンズホルダ4は、円筒状の胴部43と、
胴部43の上側を覆う天板41と、胴部43の内側に形
成された円筒状の軸受け44を備えている。天板41に
は、外側に向けて薄く張り出すレンズ取り付け部47が
形成されており、この上に対物レンズ10が接着固定さ
れている。
【0044】このレンズホルダ4の軸受け44に形成さ
れた軸孔441には、ホルダ支持部材2の底壁22から
直立した摺動軸3が差し込まれ、摺動軸3および軸孔4
41によって軸受け装置40が構成されている。
【0045】本形態では、この軸受け装置40の摺動軸
3に対して本発明を適用している。
【0046】なお、レンズホルダ4の軸受け44には、
フォーカシング駆動コイル63が巻き付けられている。
このフォーカシング駆動コイル63と、ホルダ支持部材
2の側に固定されたフォーカシング駆動マグネット(図
示せず)との間には、レンズホルダ4を摺動軸3に沿っ
て上下に移動させるフォーカシング磁気駆動回路が構成
されている。また、レンズホルダ4の胴部43の外周面
には、ホルダ支持部材2の側に固定されたトラッキング
駆動マグネット(図示せず)と対峙するように一対のト
ラッキング駆動コイル(図示せず)が取り付けられてい
る。このトラッキング駆動コイルとトラッキング駆動マ
グネットとの間には、レンズホルダ4を摺動軸3の周り
に回転させるトラッキング磁気駆動回路が構成されてい
る。
【0047】(摺動軸3の構成)このように構成した軸
受け装置に用いた摺動軸3は、図2(A)、(B)を参
照して説明したように、母材である丸棒31と、この丸
棒31の外周面32に積層された電着塗膜33とを有し
ている。丸棒31は、アルマイト処理が施されたアルミ
ニウム製の丸棒などによって形成されたものである。こ
の丸棒31は、外周面32の表面粗さが所定値以下とな
るように加工されている。
【0048】また、電着塗膜33は、前記したように、
ポリイミド材料からなる膜厚がたとえば10μmの電着
塗膜であり、かつ、粒径0.3μm〜0.4μmのフッ
素樹脂を固形潤滑剤として含んでいる。
【0049】このように、本形態において摺動軸3の表
面を覆う電着塗膜33は、通電量によって膜厚を制御で
きるので、二次加工を行わなくても、外径寸法の精度が
高い摺動軸3を形成できる。また、ポリイミド系材料
は、耐熱性に優れているため、摺動軸3と軸孔21、4
41の内周面が接触しても、そのとき発生する摩擦熱に
よって電着塗膜33が劣化することはない。また、電着
塗膜33は適度な柔らさを有しているため、下地(丸棒
31の外周面)との密着力が強いので、軸受け装置の寿
命が長いという利点がある。
【0050】また、本形態では、電着塗膜33がフッ素
樹脂を含有するため、摺動軸3の表面が軸孔21、44
1の内周面と擦れたときの摩擦によって熱が発生して
も、この熱は、フッ素樹脂が軟化あるいは溶融するのに
使われる。従って、電着塗膜33中のポリイミド系材料
自身の温度上昇を抑えることができるので、電着塗膜3
3の耐熱性を一層高めることができる。
【0051】さらに、本形態の電着塗料では、主成分で
あるポリイミド系材料に、フッ素置換されたアルキル基
が導入されているので、ポリイミド系材料とフッ素樹脂
とのなじみがよい。それ故、フッ素樹脂が電着塗膜33
から脱落することがない。
【0052】(その他の実施の形態)なお、上記形態で
は、アミン側成分として、2,2−ジトリフルオロメチ
ル−4,4−ジアミノビフェニルを用いたが、このビフ
ェニル部分をシクロヘキサン環などの脂環式部分に置換
したものでポリイミド系材料を合成し、それを用いて電
着塗料を調整すれば、電着塗膜に対して、さらに適度な
柔らさを付与することができる。それ故、電着塗膜の下
地との密着性がさらに向上するという利点がある。
【0053】また、上記形態では、本発明に係る電着塗
膜を摺動軸3の表面に形成した例であるが、本発明に係
る電着塗膜を金属によって構成されている軸孔21、4
41の内周面に形成してもよい。
【0054】また、本発明に係る電着塗膜については、
ポリゴンミラー駆動装置1Aや光ピックアップ装置の対
物レンズ駆動装置1Bの軸受け装置に限らず、タイマー
装置の減速ギア支持シャフトなどの摺動部分あるいは摺
動部材の表面をコーティングしてその摺動性を高めるの
に用いてもよい。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において、
電着塗膜は、通電量によって膜厚を制御できるので、ス
プレー法によって形成した塗膜に比較して高い膜厚精度
が得られる。また、電着塗装は、スプレー法と比較して
塗料が無駄にならない。さらに、本発明で用いたポリイ
ミド系材料は、耐熱性に優れているため、高速回転する
軸受け装置などの摺動面をコーティングするのに用いる
と、摩擦により熱が発生したとしても、この熱によって
塗膜が劣化することがない。また、本発明の電着塗料に
用いたポリイミド系材料は、分子構造の中に脂環式部分
を備えているため、塗膜が適度な柔らさを有しているの
で、下地との密着力が強い。それ故、摺動部材のコーテ
ィングに適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、本発明を
適用した電着塗料に含まれるポリイミド系材料の合成方
法を示す説明図であり、(D)は、このポリイミド系材
料を含む電着塗料から形成した電着塗膜の加熱硬化前の
構造を示す説明図、および(E)は、図1(D)に示す
電着塗膜を加熱硬化した後の構造を示す説明図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ、電着操作を模式的
に示す説明図、およびこの電着操作によって表面に電着
塗膜がコーティングされた摺動軸の断面図である。
【図3】本発明を適用した軸受け装置を用いたポリゴン
ミラー駆動装置の断面図である。
【図4】本発明を適用した軸受け装置を用いた対物レン
ズ駆動装置の断面図である。
【符号の説明】
1A ポリゴンミラー駆動装置 1B 対物レンズ駆動装置 3 摺動軸(摺動部材) 7 ラジアル軸受け 21、441 軸孔 31 丸棒 32 丸棒の外周面 33 電着塗膜 40 軸受け装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 13/02 F16C 13/02 33/20 33/20 A (72)発明者 白井 汪芳 長野県上田市常田3−15−1番地 信州大 学繊維学部機能高分子学科内 (72)発明者 木村 睦 長野県上田市常田3−15−1番地 信州大 学繊維学部機能高分子学科内 Fターム(参考) 3J011 AA06 AA08 BA02 DA01 DA02 JA01 KA02 MA02 4D075 BB89X CA09 CA13 DA23 DB02 DC16 EB16 EB39 4J038 CD092 DJ021 GA12 PA04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主鎖部分に脂環式部分を有するポリイミ
    ド系材料を主成分として含むことを特徴とする電着塗
    料。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記ポリイミド系材
    料は、少なくとも、当該ポリイミド系材料を構成する酸
    側に前記脂環式部分を有していることを特徴とする電着
    塗料。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記ポリイミド系材
    料は、少なくとも、当該ポリイミド系材料を構成するア
    ミン側に前記脂環式部分を有していることを特徴とする
    電着塗料。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記ポリイミド系材
    料の主鎖には、フッ素基、およびフッ素置換されたアル
    キル基のうちの少なくとも一方の基が付加されているこ
    とを特徴とする電着塗料。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記ポリイミド系材
    料は、以下の化学式 【化1】 で表されることを特徴とする電着塗料。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    前記ポリイミド材料に加えて、フッ素樹脂を固体潤滑剤
    として含むことを特徴とする電着塗料。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに規定する
    電着塗料を用いた電着によって摺動部分がコーティング
    されていることを特徴とする摺動部材。
  8. 【請求項8】 請求項7に規定する前記摺動部材を軸受
    け分の軸側および軸受け側のうちの少なくも一方の部材
    として用いたことを特徴とする軸受け装置。
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