JP2001139880A - 電着塗料、摺動部材および軸受け装置 - Google Patents

電着塗料、摺動部材および軸受け装置

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JP2001139880A
JP2001139880A JP32196799A JP32196799A JP2001139880A JP 2001139880 A JP2001139880 A JP 2001139880A JP 32196799 A JP32196799 A JP 32196799A JP 32196799 A JP32196799 A JP 32196799A JP 2001139880 A JP2001139880 A JP 2001139880A
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electrodeposition
coating film
electrodeposition coating
polyamideimide
sliding
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JP32196799A
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English (en)
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Takahisa Fukuzawa
孝久 福澤
Takafumi Kuwazawa
隆文 桑沢
Hiroyoshi Shirai
汪芳 白井
Mutsumi Kimura
睦 木村
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Nidec Instruments Corp
Original Assignee
Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性および下地との密着性に優れ、かつ、
摺動性も良好な塗膜を形成できる電着塗料、この電着塗
料を用いた電着塗装によってコーティングを施した摺動
部材、およびこの摺動部材を用いた軸受け装置を提供す
ること。 【解決手段】 軸受け装置を形成するにあたって、その
摺動軸の表面に電着塗膜を形成する。この電着塗膜を形
成する際には、ポリアミドイミド系材料の主鎖に対し
て、フッ素置換されたアルキル基を導入したものを主成
分とし、かつ、フッ素樹脂を固体潤滑剤として含む電着
塗料を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電着塗料、この電
着塗料を用いた電着によってコーティングを施した摺動
部材、およびこの摺動部材を用いた軸受け装置に関する
ものである。さらに詳しくは、電着塗料の材料技術に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】各種のコーティング方法のうち、スプレ
ー法を用いて摺動部材の摺動面などをコーティングする
場合には、たとえば、ベース材料にポリテトラフルオロ
エチレン系樹脂(フッ素樹脂)などを配合した塗料が用
いられる。しかしながら、スプレー法で形成した塗膜は
膜厚精度が低いので、塗膜表面に後加工を施して寸法出
しを行う必要がある。また、スプレー法で形成した塗膜
は、下地との密着性が低いとともに、摺動部材に向けて
塗料を噴射しても大量の塗料が摺動部材からそれるの
で、塗料が無駄になるという問題点もある。また、スプ
レー法では、塗料成分を有機溶剤に溶かして噴射するの
で、作業環境が有機溶剤で悪化し、かつ、火災が発生す
るおそれもある。
【0003】これに対して、電着塗装は、スプレー法な
どに比較して高い膜厚精度が得られ、かつ、塗膜と下地
との密着性が高いという利点もある。さらに、電着塗装
は、スプレー法と比較して塗料が無駄にならないという
利点もある。
【0004】このような電着塗装において、ベース材料
としては、一般に、アクリル−メラミン系材料、アルキ
ド−メラミン系材料、エポキシ−メラミン系材料、アク
リル−ウレタン系材料、エポキシ−ウレタン系材料、不
飽和ポリエステル系材料が用いられている。また、これ
らの材料を用いて摺動部材の摺動面をコーティングする
場合には、これらのベース材料に対して、ポリテトラフ
ルオロエチレン樹脂の粉末などを固体潤滑剤として分散
させることにより塗膜の潤滑性、摺動性を高めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
電着塗装で用いられている前述の電着塗料用のベース材
料はいずれも、分解開始温度が250℃から300℃と
低く、耐熱性が低い。このため、従来のベース材料を用
いて、たとえば、高速回転する軸受け装置においてその
摺動面をコーティングすると、摩擦により発生した熱に
よって電着塗膜が劣化し、摺動性が著しく低下するとい
う問題点がある。このような問題は、たとえ軸側と軸受
け側とが非接触状態となる動圧軸受け装置であっても、
回転を開始しようとした時、あるいは回転を停止しよう
としたときには、軸側と軸受け側とが接触するので、電
着塗膜が熱で劣化するという問題を避けることができな
い。
【0006】そこで、電着塗装に用いることができ、か
つ、耐熱性の高いベース材料として芳香族系ポリイミド
材料の検討が行われている。しかしながら、この種のベ
ース材料は、電着塗膜が硬すぎて脆く、かつ、下地との
密着力が弱いため、摺動部材のコーティングに適さない
という問題点がある。
【0007】以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、
耐熱性および下地との密着性に優れ、かつ、摺動性も良
好な塗膜を形成できる電着塗料、この電着塗料を用いた
電着塗装によってコーティングを施した摺動部材、およ
びこの摺動部材を用いた軸受け装置を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る電着塗料は、ポリアミドイミド系材料
を主成分として含むことを特徴とする。
【0009】本発明において、電着塗膜は、通電量によ
って膜厚を制御できるので、スプレー法によって形成し
た塗膜に比較して高い膜厚精度が得られる。それ故、二
次加工による寸法出しなどを省略できる。また、電着塗
装は、スプレー法と比較して塗料が無駄にならない。さ
らに、ポリアミドイミド系材料は、分解開始温度が40
0℃以上であり、従来の電着塗料に用いられていたアク
リル−メラミン系材料、アルキド−メラミン系材料、エ
ポキシ−メラミン系材料、アクリル−ウレタン系材料、
エポキシ−ウレタン系材料、不飽和ポリエステル系材料
などと比較して分解温度が高く、耐熱性に優れている。
このため、高速回転する軸受け装置などにおいてその摺
動面をコーティングすると、摩擦により熱が発生したと
しても、この熱によって塗膜が劣化することがない。ま
た、芳香族系ポリイミド材料と違って、ポリアミドイミ
ド系材料は、分子構造の中にアミド基を備えている。従
って、アミド基の導入によって塗膜が適度な柔らさを有
しているので、下地との密着力が強い。それ故、摺動部
材のコーティングに適している。
【0010】本発明において、前記ポリアミドイミド系
材料の主鎖に対しては、フッ素基、およびフッ素置換さ
れたアルキル基のうちの少なくとも一方が付加されてい
ることが好ましい。
【0011】本発明において、前記ポリアミドイミド系
材料は、たとえば、以下の化学式
【0012】
【化2】 で表される。
【0013】このように、前記ポリアミドイミド系材料
に対してフッ素基を導入すると、フッ素樹脂を固体潤滑
剤として電着塗料あるいは電着塗膜に含有させたときに
ポリアミドイミド系材料とフッ素樹脂とのなじみが向上
する。
【0014】本発明に係る電着塗料には、前記ポリアミ
ドイミド材料に加えて、フッ素樹脂を固体潤滑剤として
含むことが好ましい。電着塗料中にフッ素樹脂を分散さ
せておくと、電着塗膜がフッ素樹脂を保持した構成にな
る。このため、摺動部材の摺動面などをコーティングし
たとき、摺動部材の表面が他の部材と擦れたときの摩擦
によって熱が発生しても、この熱は、フッ素樹脂が軟化
あるいは溶融するのに使われる。従って、電着塗膜中の
ポリアミドイミド系材料自身の温度上昇を抑えることが
できるので、電着塗膜の耐熱性を一層高めることができ
る。それ故、高速回転する軸受け装置においてその摺動
面に電着塗膜を形成しても、電着塗膜が熱劣化すること
がない。
【0015】本発明に係る電着塗料を用いた電着によっ
て塗膜を形成すると、この塗膜は摺動性に優れているの
で、本発明に係る電着塗料は、摺動部材の摺動部分をコ
ーティングするのに適している。
【0016】このような摺動部材とは、たとえば、前記
軸受け装置の軸受け部分において、軸側および軸受け側
として用いられる。
【0017】
【発明の実施の形態】(電着塗装および電着塗料)本発
明を適用した電着塗料は、基本的には、ポリアミドイミ
ド系材料を主成分として配合されていることを特徴と
し、この電着塗料には、ポリアミドイミド材料に加え
て、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂などのフッ素樹
脂の粉末が固体潤滑剤として配合されていることが好ま
しい。さらに、ポリアミドイミド系材料は、その主鎖に
対して、フッ素基、およびフッ素置換されたアルキル基
のうちの少なくとも一方が付加されていることが好まし
い。このようなフッ素置換されたポリアミドイミド系材
料は、たとえば、前記の化学式(2)で表される。
【0018】このようなポリアミドイミド材料の合成方
法、およびこの材料を含む電着塗料を用いた電着方法の
一例を、図1を参照して以下に説明する。
【0019】図1(A)、(B)、(C)はそれぞれ、
本発明を適用した電着塗料に含まれるポリアミドイミド
系材料の合成方法を示す説明図であり、図1(D)は、
このポリアミドイミド系材料を含む電着塗料から形成し
た電着塗膜の加熱硬化前の構造を示す説明図、および図
1(E)は、図1(D)に示す電着塗膜を加熱硬化した
後の構造を示す説明図である。
【0020】まず、ポリアミドイミド材料を製造するに
は、ポリアミドイミド系材料の酸成分としてトリメリッ
ト酸二無水物(図1(A)を参照)、0.05モルを、
溶媒である乾燥N−メチルピロリドン100mlに対し
て窒素雰囲気中で溶解させる。
【0021】次に、アミン成分である2、2−ジトリフ
ルオロメチル−3−ジアミノビフェニル(図1(A)を
参照)、0.05mlを反応容器に加えた後、トリメリ
ット酸二無水物のN−メチルピロリドン溶液をゆっくり
反応容器内に加え、約3時間、攪拌する(図1(B)を
参照)。
【0022】次に、沈殿が発生しないようにゆっくり
と、酸成分と等モルのトリエチルアミンを反応容器内に
添加する。また、400mlの純水を反応容器内に加え
て、ポリアミド酸トリエチルアンモニウム水溶液を得る
(図1(C)を参照)。
【0023】次に、ポリアミド酸トリエチルアンモニウ
ム水溶液を透析チューブ内を入れ、透析によって、有機
溶媒、余剰のトリエチルアミン、その他の雑イオンを除
去する。このような透析は、チューブ内の溶液(水溶
液)のpHが約7になるまで実施する。
【0024】このような透析により得たポリアミド酸ト
リエチルアンモニウム水溶液に対して、0.2μm〜
0.3μmの粒径を有するフッ素樹脂を固体潤滑剤とし
て添加させれば、ポリアミド酸トリエチルの水溶液に、
粉末状のフッ素樹脂を固体潤滑剤として含む電着塗料を
調製することができる。また、電着塗料にはイソプロピ
ルアルコール、ブチルセロソルブ、エチレングリコール
などの分散剤、さらにはカーボンブラックなどの着色剤
を添加してもよい。
【0025】このような成分(ポリアミド酸トリエチル
アンモニウム)を含有する電着塗料は、アニオン型電着
塗料であり、この電着塗料を用いた電着は、図2
(A)、(B)を参照して以下に説明するように実施さ
れる。
【0026】図2(A)、(B)は、電着操作を模式的
に示す説明図、およびこの電着操作によって表面に電着
塗膜がコーティングされた摺動軸の断面図である。な
お、ここに示す摺動軸は、後述する軸受け装置用であ
る。
【0027】まず、本形態に係る電着塗料を純水と混ぜ
て、電着塗料の濃度を調整し、電着浴を調製する。この
ときの濃度は、電解条件などに応じて最適な条件に設定
される。
【0028】次に、図2(A)に示すように、摺動軸3
を形成するための母材としての丸棒31を電着浴100
に浸漬した状態で、摺動軸3を陽極とし、この摺動軸3
に対向する対極101(電解槽)を陰極にして、摺動軸
3と対極101との間に直流電圧を印加する。このとき
の浴電圧や電流密度は電圧計および電流計で監視する。
このときの電着浴100の温度や電流密度などは、電着
すべきワークの種類などによって最適な条件に設定され
る。
【0029】このようにして電着を行うと、電着浴10
0中において、ポリアミドイミド系材料は、図1(D)
に示す化学式で表される構造を有する電着塗膜33とし
て、たとえば10μmの膜厚をもって摺動軸3の表面を
覆う(図2(B)参照)。このとき、電着浴100に分
散されていた粒径0.3μm〜0.4μmのフッ素樹脂
は、ポリアミドイミド材料からなる電着塗膜33に取り
込まれ、保持される。
【0030】このようにして電着塗膜33を形成した後
は、摺動軸3を洗浄し、しかる後に、摺動軸3に対し
て、250℃位の温度で熱処理を施す。その結果、電着
塗膜33は、図1(E)に示す構造になって硬化する。
【0031】このように構成した電着塗膜33は、通電
量によって膜厚を制御できるので、スプレー法によって
形成した塗膜に比較して高い膜厚精度が得られる。従っ
て、二次加工などによって寸法出しを行う必要がない。
また、電着塗装は、スプレー法と比較して塗料が無駄に
ならない。しかも、水系の電着浴なので、作業環境の悪
化や火災のおそれがない。さらに、ポリアミドイミド系
材料は、耐熱性に優れており、分解開始温度が400℃
以上である。このため、高速回転する軸受け装置などに
おいて、その摺動面(丸棒31の外周面)をコーティン
グすると、摩擦により熱が発生したとしても、この熱に
よって電着塗膜33が劣化することがない。また、芳香
族系ポリイミド材料と違って、ポリアミドイミド系材料
は、分子構造の中にアミド基を備えているので、電着塗
膜33は適度な柔らさを有している。それ故、電着塗膜
33は、下地(丸棒31の外周面)との密着力が強い。
それ故、摺動軸3などといった摺動部材のコーティング
に適している。
【0032】また、本形態では、電着塗料中にフッ素樹
脂を分散させておいたので、電着塗膜33がフッ素樹脂
を含有する。このため、摺動軸3の表面が他の部材と擦
れたときの摩擦によって熱が発生しても、この熱は、フ
ッ素樹脂が軟化あるいは溶融するのに使われる。従っ
て、電着塗膜33中のポリアミドイミド系材料自身の温
度上昇を抑えることができるので、電着塗膜33の耐熱
性を一層高めることができる。
【0033】さらに、フッ素樹脂を粉体のまま電着塗料
あるいは電着塗膜33に含有させるにあたって、本形態
の電着塗料では、主成分であるポリアミドイミド系材料
に、フッ素置換されたアルキル基が導入されているの
で、ポリアミドイミド系材料とフッ素樹脂とのなじみが
よい。また、フッ素基の導入によって、主鎖であるポリ
アミドイミド分子の絡みを抑えることができるので、フ
ッ素に起因する立体障害を減少させることもできる。そ
れ故、この点からいっても、ポリアミドイミド系材料と
フッ素樹脂との相溶性が向上する。
【0034】(軸受け部分への適用例1)図3は、本発
明を適用した軸受け装置を用いたポリゴンミラー駆動装
置の断面図である。
【0035】図3において、ポリゴンミラー駆動装置1
Aは、モータ5と、このモータ5のロータ20上に搭載
されたポリゴンミラー30とから構成されている。
【0036】モータ5には、駆動コイル41が巻回され
たステータコア42および摺動軸3を備えるステータ4
0と、摺動軸3が差し込まれる軸孔21が形成されたロ
ータ20とが構成されている。ロータ20は、ロータ本
体25と、このロータ本体25から外周側に張り出すよ
うにロータ本体25の下面側に固着されたヨーク27
と、このヨーク27の内周面に固着されたロータマグネ
ット22とを備えている。ロータ本体25の外周側に
は、ポリゴンミラー30を搭載する台座部26が形成さ
れ、この台座部26上に載置されたポリゴンミラー30
はリング状のミラー押しつけ部材50によって台座部2
6に押しつけ固定されている。
【0037】このように構成したモータ5において、ロ
ータ20とステータ40との間には、摺動軸3の上端部
分に配置された磁石81とロータ20の上端部分に配置
された磁石82との間に作用する磁力、およびステータ
コア42とロータマグネット22との間に作用する磁力
を利用して、ステータ40がロータ20をスラスト方向
で支持するスラスト軸受け8が構成されている。
【0038】また、ロータ20とステータ40との間で
は、摺動軸3の外周面とロータ20(軸受け側)の軸孔
21の内周面との間に形成される隙間内に発生する動圧
を利用してロータ20をラジアル方向で支持する動圧軸
受けからなるラジアル軸受け7が構成されている。な
お、図示を省略するが、摺動軸3の外周面あるいはロー
タ20の軸孔21の内周面には、ヘリングボーンまたは
スパイラルグルーブなどといった動圧発生溝が形成され
ている。
【0039】本形態では、この動圧軸受け装置からなる
ラジアル軸受け7の摺動軸3に対して本発明を適用して
いる。
【0040】(軸受け部分への適用例2)図4は、本発
明を適用した軸受け装置を用いた光ピックアップ装置の
断面図である。
【0041】図4に示すように、対物レンズ駆動装置1
Bは、対物レンズ10を保持したレンズホルダ4と、こ
のレンズホルダ4を支持したホルダ支持部材2とを有し
ている。
【0042】レンズホルダ4は、円筒状の胴部43と、
胴部43の上側を覆う天板41と、胴部43の内側に形
成された円筒状の軸受け44を備えている。天板41に
は、外側に向けて薄く張り出すレンズ取り付け部47が
形成されており、この上に対物レンズ10が接着固定さ
れている。
【0043】このレンズホルダ4の軸受け44に形成さ
れた軸孔441には、ホルダ支持部材2の底壁22から
直立した摺動軸3が差し込まれ、摺動軸3および軸孔4
41によって軸受け装置40が構成されている。
【0044】本形態では、この軸受け装置40の摺動軸
3に対して本発明を適用している。
【0045】なお、レンズホルダ4の軸受け44には、
フォーカシング駆動コイル63が巻き付けられている。
このフォーカシング駆動コイル63と、ホルダ支持部材
2の側に固定されたフォーカシング駆動マグネット(図
示せず)との間には、レンズホルダ4を摺動軸3に沿っ
て上下に移動させるフォーカシング磁気駆動回路が構成
されている。また、レンズホルダ4の胴部43の外周面
には、ホルダ支持部材2の側に固定されたトラッキング
駆動マグネット(図示せず)と対峙するように一対のト
ラッキング駆動コイル(図示せず)が取り付けられてい
る。このトラッキング駆動コイルとトラッキング駆動マ
グネットとの間には、レンズホルダ4を摺動軸3の周り
に回転させるトラッキング磁気駆動回路が構成されてい
る。
【0046】(摺動軸3の構成)このように構成した軸
受け装置に用いた摺動軸3は、図2(A)、(B)を参
照して説明したように、母材である丸棒31と、この丸
棒31の外周面32に積層された電着塗膜33とを有し
ている。丸棒31は、アルマイト処理が施されたアルミ
ニウム製の丸棒などによって形成されたものである。こ
の丸棒31は、外周面32の表面粗さが所定値以下とな
るように加工されている。
【0047】電着塗膜33は、前記したように、ポリア
ミドイミド材料からなる膜厚がたとえば10μmの電着
塗膜であり、かつ、粒径0.3μm〜0.4μmのフッ
素樹脂を固形潤滑剤として含んでいる。
【0048】従って、ポリゴンミラー駆動装置1Aおよ
び対物レンズ駆動装置1Bにおいて、摺動軸3の表面を
覆う電着塗膜33については通電量によって膜厚を制御
できるので、二次加工を行わなくても、外径寸法の精度
が高い摺動軸3を形成できる。また、ポリアミドイミド
系材料は、耐熱性に優れているため、摺動軸3と軸孔2
1、441の内周面が接触しても、そのとき発生する摩
擦熱によって電着塗膜33が劣化することはない。ま
た、電着塗膜33は適度な柔らさを有しているため、下
地(丸棒31の外周面)との密着力が強いので、ラジア
ル軸受け7および軸受け装置40の寿命が長いという利
点がある。
【0049】また、本形態では、電着塗膜33がフッ素
樹脂を含有するため、摺動軸3の表面が軸孔21、44
1の内周面と擦れたときの摩擦によって熱が発生して
も、この熱は、フッ素樹脂が軟化あるいは溶融するのに
使われる。従って、電着塗膜33中のポリアミドイミド
系材料自身の温度上昇を抑えることができるので、電着
塗膜33の耐熱性を一層高めることができる。
【0050】さらに、本形態の電着塗料では、主成分で
あるポリアミドイミド系材料に、フッ素置換されたアル
キル基が導入されているので、ポリアミドイミド系材料
とフッ素樹脂とのなじみがよい。それ故、フッ素樹脂が
電着塗膜33から脱落することがない。
【0051】(その他の実施の形態)なお、上記形態で
は、本発明に係る電着塗膜を摺動軸3の表面に形成した
例であるが、本発明に係る電着塗膜を金属によって構成
されている軸孔21、441の内周面に形成してもよ
い。
【0052】また、本発明に係る電着塗膜については、
ポリゴンミラー駆動装置1Aや光ピックアップ装置の対
物レンズ駆動装置1Bの軸受け装置に限らず、タイマー
装置の減速ギア支持シャフトなどの摺動部分あるいは摺
動部材の表面をコーティングしてその摺動性を高めるの
に用いてもよい。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において、
電着塗膜は、通電量によって膜厚を制御できるので、ス
プレー法によって形成した塗膜に比較して高い膜厚精度
が得られる。また、電着塗装は、スプレー法と比較して
塗料が無駄にならない。さらに、本発明で用いたポリア
ミドイミド系材料は、耐熱性に優れているため、高速回
転する軸受け装置などの摺動面をコーティングするのに
用いると、摩擦により熱が発生したとしても、この熱に
よって塗膜が劣化することがない。また、ポリアミドイ
ミド系材料は、分子構造の中にアミド基を備えているた
め、塗膜が適度な柔らさを有しているので、下地との密
着力が強い。それ故、摺動部材のコーティングに適して
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、本発明を
適用した電着塗料に含まれるポリアミドイミド系材料の
合成方法を示す説明図であり、(D)は、このポリアミ
ドイミド系材料を含む電着塗料から形成した電着塗膜の
加熱硬化前の構造を示す説明図、および(E)は、図1
(D)に示す電着塗膜を加熱硬化した後の構造を示す説
明図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ、電着操作を模式的
に示す説明図、およびこの電着操作によって表面に電着
塗膜がコーティングされた摺動軸の断面図である。
【図3】本発明を適用した軸受け装置を用いたポリゴン
ミラー駆動装置の断面図である。
【図4】本発明を適用した軸受け装置を用いた対物レン
ズ駆動装置の断面図である。
【符号の説明】
1A ポリゴンミラー駆動装置 1B 対物レンズ駆動装置 3 摺動軸(摺動部材) 7 ラジアル軸受け 21、441 軸孔 31 丸棒 32 丸棒の外周面 33 電着塗膜 40 軸受け装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/44 C09D 5/44 B 7/12 7/12 A F16C 13/02 F16C 13/02 33/20 33/20 A (72)発明者 白井 汪芳 長野県上田市常田3−15−1番地 信州大 学繊維学部機能高分子学科内 (72)発明者 木村 睦 長野県上田市常田3−15−1番地 信州大 学繊維学部機能高分子学科内 Fターム(参考) 3J011 QA05 SC01 SC04 SC14 SE04 4D075 BB89Y CA13 CA18 DA31 DB01 DB02 DC16 EA37 EB16 EB39 4J038 CD092 DJ051 GA12 NA09 PA04 PB06 PC02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミドイミド系材料を主成分として
    含むことを特徴とする電着塗料。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記ポリアミドイミ
    ド系材料の主鎖には、フッ素基、およびフッ素置換され
    たアルキル基のうちの少なくとも一方の基が付加されて
    いることを特徴とする電着塗料。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記ポリアミドイミ
    ド系材料は、以下の化学式 【化1】 で表されることを特徴とする電着塗料。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記ポリアミドイミド材料に加えて、フッ素樹脂を固体
    潤滑剤として含むことを特徴とする電着塗料。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに規定する
    電着塗料を用いた電着によって摺動部分がコーティング
    されていることを特徴とする摺動部材。
  6. 【請求項6】 請求項5に規定する前記摺動部材を軸受
    け部分の軸側および軸受け側のうちの少なくも一方の部
    材として用いたことを特徴とする軸受け装置。
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