JP2011256307A - 注型用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物および光学部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリイソシアネート、ポリオールおよびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから合成されるウレタンポリ(メタ)アクリレート(A)、含環構造単官能モノマー(B)、並びに(A)および(B)以外の重合性成分(C)を含む重合性成分と、特定の紫外線吸収剤(D)、並びに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドの少なくとも一方の化合物(E)を含む注型用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物:基材上に、前述の樹脂組成物の硬化物が積層された光学部品。
【選択図】なし
Description
本発明の注型用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)は、ポリイソシアネート、ポリオールおよびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから合成されるウレタンポリ(メタ)アクリレート(A)(以下「(A)成分」という)、含環構造単官能モノマー(B)(以下「(B)成分」という)、最大吸収波長が300〜320nmの範囲にある紫外線吸収剤(D)(以下「(D)成分」という)、並びに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドの少なくとも一方の化合物(E)(以下「(E)成分」という)を含む。
本発明の樹脂組成物は、その硬化物に基材との密着性や耐屈曲性を持たせるため、(A)成分であるウレタンポリ(メタ)アクリレート(A)を含有する。(A)成分は、以下に説明するポリイソシアネート(a1)と、ポリオール(a2)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a3)との反応により得られる。
ポリイソシアネート(a1)(以下「(a1)成分」という)の具体例としては、トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられる。更に、これらのポリイソシアネート化合物と、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、水等の活性水素原子を少なくとも2個有する化合物との反応により得られるポリイソシアネート化合物、または前記のポリイソシアネート化合物の3量体〜5量体等を用いることもできる。これらの中で、得られる(A)成分の粘度が低く、樹脂組成物を注型する際の作業性が向上する点や、樹脂組成物の硬化物(以下、単に「硬化物」ともいう)の低黄変性という点で、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。
ポリオール(a2)(以下「(a2)成分」という)の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、スピログリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール等の単量体またはこれらの単量体から選ばれる少なくとも1種から構成されるポリアルキレンポリオール、前記単量体にε−カプロラクトン等のラクトン類を付加したポリカプロラクトンポリオール、前記単量体とアルキレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート等の炭酸エステルのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオール等が使用可能である。これらは一種単独で、または二種以上を併用して用いることができる。これらの中で、硬化物に耐屈曲性を付与するという点や、得られる(A)成分の粘度が低く、樹脂組成物を注型する際の作業性が向上する点で、ポリアルキレンポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a3)(以下「(a3)成分」という)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;それらのカプロラクトン変性品やアルキルオキサイド変性品等に代表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート変性品;ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のモノエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物等が挙げられる。これらの中で、得られる(A)成分の粘度が低く、樹脂組成物を注型する際の作業性が向上するという点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、(B)成分である含環構造単官能モノマー(B)を含有する。この(B)成分は、硬化物の耐屈曲性、基材との密着性を向上させる作用を奏する。
本発明の樹脂組成物は必要に応じ、(A)成分および(B)成分以外の重合性成分(C)(以下「(C)成分」という)を任意に配合してもよい。(C)成分としては(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも1つ有する重合性成分が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、(D)成分である最大吸収波長が300〜320nmの範囲にある紫外線吸収剤(D)を含有する。この(D)成分は、硬化物と基材との密着性を向上させる作用を奏する。尚、この最大吸収波長は、任意の溶剤で希釈し、分光光度計を用いて、290nm〜500nmの範囲の透過率を測定することにより求めることができる。
本発明の樹脂組成物は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドの少なくとも一方の化合物(E)(以下「(E)成分」という)を含有する。この(E)成分は、活性エネルギー線照射により樹脂組成物を重合により硬化させて硬化物を効率よく得る作用を奏する。
本発明の樹脂組成物は必要に応じ、添加剤として酸化防止剤、ブルーイング剤、顔料、消泡剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、樹脂重合体、充填材、溶剤等を配合してもよい。
本発明の樹脂組成物は、注型重合により硬化させる。具体的には、鋳型内に樹脂組成物を流し込み、活性エネルギー線を照射することにより重合させて、所望形状に賦型された硬化物を得ることができる。また、鋳型の所望位置に基材を配置した状態で重合させれば、基材上に所望形状の硬化物を有する賦型物を得ることができる。
本発明の光学部品とは、電子機器のスイッチ、クッション部位や、製品表層の装飾、プリズムシート、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズといったシート状レンズ、液晶テレビ等の前面パネルや拡散板、携帯電話部材等に用いられるキーシートやプランジャー等の透明部材等のことである。
本発明のキーシートとは、基材上に本発明の樹脂組成物の硬化物が積層されていることを特徴とする。このキーシートは、例えば、所定の位置(キーに相当する位置)に突起を有する硬化物層がプラスチック基材上に形成された賦型シートまたは賦型フィルムから成る。そして、このキー部分を押すと、内部回路の接点が硬化物層の突起の押圧により接続するように構成される。このようなキーシートは、特に、携帯電話機等の入力手段である複数のキーが集合配置された部分の薄型化に有用である。
本発明のプランジャーとは、基材上に本発明の樹脂組成物の硬化物が積層されていることを特徴とする。このプランジャーは、例えば、所定の位置(キーの裏側相当する位置)に突起を有する硬化物層がプラスチック基材上に形成された賦型シートまたは賦型フィルムから成る。そして、キー部分を押すと、内部回路の接点が硬化物層の突起の押圧により接続するように構成される。このようなプランジャーは、特に、携帯電話機等の入力手段である複数のキーが集合配置された部分の薄型化に有用である。
5リットルの4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(住化バイエルウレタン(株)製、商品名デスモジュールI)220部、ジブチル錫ジラウレート(旭電化工業(株)製、商品名アデカスタブBT−11)0.1部を入れた。この混合物を70℃とし、攪拌しながらポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学(株)製、商品名プラクセル205)260部を4時間にわたって滴下した。さらに、ハイドロキノンモノメチルエーテル(川口化学工業(株)製、商品名MQ)0.3部を加えた。この混合物を攪拌しながら2時間かけて75℃まで昇温し、さらに攪拌しながら2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学(株)製、商品名HEA)120部を2時間にわたって滴下した。滴下終了後、更に2時間反応を続行し、ウレタンジアクリレート(A1)を得た。
溶離液:THF、
流量:0.35ml/min、
注入量:10μl、
カラム温度:40℃、
検出器:UV−8020。
5リットルの4つ口フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学(株)製、商品名HEA)240部、ジブチル錫ジラウレート(旭電化工業(株)製、商品名アデカスタブBT−11)0.1部、および、ハイドロキノンモノメチルエーテル(川口化学工業(株)製、商品名MQ)0.2部を入れた。この混合物を60℃とし、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(住化バイエルウレタン(株)製、商品名デスモジュールI)200部を4時間にわたって滴下した。滴下終了後、更に2時間反応を続行し、ウレタンジアクリレート(X1)を得た。そのMwは、580であった。
(1)樹脂組成物の調製:
(A)成分としてウレタンジアクリレート(A1)40部、(B)成分としてアクリロイルモルホリン((株)興人製、商品名ACMO)20部およびテトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名THFA)20部、(C)成分として、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成(株)製、商品名M−327)20部、(D)成分として2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(BASF社製、商品名ユビナール3039)1部、並びに(E)成分として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製、ルシリンTPO)0.5部を室温で混合攪拌して樹脂組成物を得た。
縦120mm、横120mmおよび厚さ1.8mmのガラス板の四辺上に、幅25mmおよび厚さ25μmの両面粘着テープ(トラスコ中山(株)製、品番TRT−25)を貼り、この両面粘着テープの上に、幅25mmおよび厚さ0.5mmの鉄板(大祐機材(株)製、圧伸鋼板)を、ガラス板の端面と鉄板の端面とが揃うように積層して鋳型1を作製した。また、前記と同様のガラス板の四辺上に、幅10mmおよび厚さ25μmの粘着テープ(日東電工(株)製、品番No.31B)を1枚積層して鋳型2を作製した。
前記で得た鋳型1の中に、先に調製した樹脂組成物をそれぞれ注入した。次いで、注入した側を、予め易付着処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)製、商品名コスモシャインA4300、厚み188μm)でシールした。このフィルム面側から、メタルハライドランプにより照度250mW/cm2、光量1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、樹脂組成物を重合させて鋳型から離型して、PETフィルムの表面に厚み0.525mmの硬化物層が積層されたフィルム1Aを得た。そして、耐光性試験後YIについて評価を実施した。その結果を表1に示す
また、鋳型1の中に樹脂組成物を流し込み、PETフィルムの易付着処理面でシールし、メタルハライドランプにより照度250mW/cm2、光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、厚み0.525mmの硬化物層が積層されたフィルム1Bを得た。そして、硬化性について評価を実施した。その結果を表1に示す。
<E型粘度>
東機産業(株)製の粘度計(商品名VISCOMETER TVE−20H)を用い、JIS−Z8803に従って樹脂組成物のE型粘度を測定した。評価基準としては、E型粘度[mPa・s]が3,000以下である場合を◎、3,000を超え15,000以下である場合を○、15,000を超える場合を×とした。
フィルム1Bの表面硬化性を確認した。硬化物面を指で触り、ベタツキがなくなるまで同条件の紫外線照射を繰り返し、その回数を計測した。評価基準としては、回数が1回の場合を◎、2回以上10回以下の場合を○、10回を超える場合を×とした。
フィルム2の硬化物面を外側にして、180度折り曲げ、賦型物が割れるかどうかを判定した。評価基準としては、賦型物が割れなかった場合を◎、賦型物が割れてしまった場合を×とした。
フィルム1Aの硬化物面を照射面にして、キセノンウエザーメーター(スガ試験機(株)製、製品名「スーパーキセノンウエザーメーターSX2D−75」)を用い、照射状態で20時間(照度58mW/cm2、温度40℃、湿度20%)、および暗黒状態で4時間(温度40℃、湿度20%)の計24時間を1サイクルとして、240時間(10サイクル)の促進耐光性試験を行った。続いて、その硬化物の黄変度を、瞬間マルチ測光システム(MCPD−3000、大塚電子(株)製)を用いて、透過率分光を測定し、そのデータより標準光Cにおける3刺激値X、Y、Zを求め、下記式によりYI値を算出した。
評価基準としては、YIが1以下である場合を◎、1を超え2以下である場合を○、2を超える場合を×とした。
フィルム2の硬化物面へ同様に促進耐候性試験を行い、続いて、その硬化物の密着性を、JIS−K5600−5−6に従い評価した(5mm×5mmの部分に、縦横1mm間隔でカッターを用いてフィルムまで達する切り込みを入れて、マス目を25個形成した。これに粘着テープ(日東電工(株)製、品番No.31B)を貼り付けてから剥がし、基材に残ったマスの数により密着性を評価した)。評価基準としては、分類0〜1の場合を◎、2〜3の場合を○、4〜5の場合を×とした。
表1および表2に示す樹脂組成物を用い、その他は実施例1と同様にして、フィルム1A、1B、2を作製し、評価した。その結果を表1および表2に示す。
・「A1」:合成例1で得たウレタンジアクリレート(重量平均分子量3,600)
・「M−327」:カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成(株)製、商品名M−327)
・「ACMO」:アクリロイルモルホリン((株)興人製、商品名ACMO)
・「THFA」:テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名THFA)
・「IBXA」:イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名IBXA)
・「U3039」:2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(BASF社製、商品名ユビナール3039、最大吸収波長:310nm)
・「PR−25」:ジメチル(p−メトキシベンジリデン)マロネート(クラリアント社製、商品名ホスタビンPR−25)
・「MAPO」:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製、ルシリンTPO)
・「BAPO」:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名イルガキュア819)
・「X1」:合成例2で得たウレタンジアクリレート(重量平均分子量580)
・「T900」:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名チヌビン900、最大吸収波長:350nm)
・「S712」:2’,4’−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(シプロ化成(株)製、商品名SEESORB712、最大吸収波長:290nm未満)
・「I369」:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名イルガキュア369)
Claims (3)
- ポリイソシアネート、ポリオールおよびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから合成されるウレタンポリ(メタ)アクリレート(A)15〜65質量%、含環構造単官能モノマー(B)15〜65質量%、並びにウレタンポリ(メタ)アクリレート(A)および含環構造単官能モノマー(B)以外の重合性成分(C)0〜70質量%を含む重合性成分と、重合性成分100質量部に対して、最大吸収波長が300〜320nmの範囲にある紫外線吸収剤(D)0.1〜5質量部、並びに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドの少なくとも一方の化合物(E)0.01〜5質量部を含む注型用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 基材上に、請求項1に記載の注型用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物が積層された光学部品。
- 前記光学部品がキーシートまたはプランジャーである請求項2に記載の光学部品。
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