JP2011247516A - 電算機室空調システム、その冗長コントローラ - Google Patents

電算機室空調システム、その冗長コントローラ Download PDF

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Abstract

【課題】様々な故障に対応して局所エリアが冷却不足とならないようにできる。
【解決手段】冗長コントローラ10と予備の冷媒ポンプユニット11を設ける。冗長コントローラ10は、各アイルコントローラ3a〜3c、各冷媒ポンプユニット2a〜2cの状態を監視し、異常を検出した場合には、自コントローラ10及び冷媒ポンプユニット11による代替運転に切り換える。
【選択図】図1

Description

本発明は、電算機室等に係る空調システムに関する。
IDC(インターネットデータセンタ)等のような多数の情報処理装置等(サーバ等)が設置される電算機室では、サーバ故障はデータ損失という大きな問題を引き起こす可能性がある。近年、サーバ等の発熱量が多くなっており、サーバ等の冷却不足は、サーバ故障を引き起こす原因となる。そのため、電算機室を冷却する為の空調機は止まってはならない。
電算機室内には、情報処理装置等を収容するラック(電算機収納ラック)が設置され、複数台の電算機収納ラックが整列してラック列を構成している。また、ラック列は1列のみではなく、複数のラック列が存在する場合が多い。
IDC(インターネットデータセンタ)等のような多数の情報処理装置等が設置される発熱密度が高い空間(電算機室と呼ぶ)を冷却する為の空調システムに関しては、この空間全体(電算機室内全体等)を冷却する大型の空調装置を有する空調システム以外に(あるいはこのような空調システムの代わりに)、複数の局所空調機を室内の局所エリア(任意の電算機収納ラック列の近傍等)に配置して、比較的狭いエリア(アイル)内の冷却を行う局所空調システムが知られている。局所エリア(アイル)を冷却することでこの局所エリア内の各ラック内の各情報処理装置等を冷却している。
上述した電算機室空調システム(局所空調システム)では、通常、上記複数台の局所空調機に対して(各局所エリアに対して)一台の冷媒ポンプユニットが設けられる。つまり、一台の冷媒ポンプユニットから冷媒配管等を介して複数台の各局所空調機に冷媒を供給する構成とするものである。この為、この冷媒ポンプユニットが故障した場合、その局所エリアの全ての局所空調機が実質的に機能しなくなり、その局所エリアが冷却不足となり、この局所エリア内の各ラックに収納されている情報処理装置等を充分に冷却することが出来なくなり、熱によって情報処理装置等が故障することになり、最悪、データ消失する可能性がある。
尚、局所空調機が故障する可能性もあるが、上記の通り通常は各局所エリア毎に複数台の局所空調機が設置されるので、そのうちの一台が故障したとしても、他である程度はカバーできる。これに対して、冷媒ポンプユニットの故障は、上記のように1つの局所エリア内の全ての局所空調機を機能不全とするので、影響が大きい。
ここで、冷媒ポンプユニットは、凝縮器、冷媒ポンプ、インバータ、冷媒貯留槽等からなるが、冷媒ポンプユニットの故障は主に冷媒ポンプの故障である。よって、例えば、冷媒ポンプの冗長化構成とする案が考えられる。すなわち、冷媒ポンプユニット内に冷媒ポンプを2台設けて、一方を稼動とし、他方を待機とし、稼動の冷媒ポンプが故障したら、待機の冷媒ポンプを稼動させること等が考えられる。
この様なポンプの冗長化構成に関しては、例えば特許文献1等に開示されている。
特開2005−315255号公報
ここで、上述した電算機室空調システム(局所空調システム)の構成としては、各局所エリア毎に、その局所エリアに係わる上記一台の冷媒ポンプユニット及び複数台の局所空調機を管理・制御するコントローラ(アイルコントローラというものとする)が設けられている。
このように、アイルコントローラは、例えば各局所エリア毎に対応して設けられており、その局所エリアの複数台の局所空調機と、これら複数台の局所空調機に冷媒を供給する1台の冷媒ポンプユニットとを管理・制御する。
上記のような複数台の局所空調機に冷媒が供給されなくなるという異常事態の原因は、主に冷媒ポンプユニットの故障であるが、それだけでなく、上記アイルコントローラの故障が原因となる場合もある。
上記のように、アイルコントローラは冷媒ポンプユニットを制御しているので、アイルコントローラが故障した場合、上記のように冷媒ポンプの冗長化構成とした場合でも冗長化の意味が無くなり、冷媒ポンプが2台あっても2台とも動作停止となってしまい、冷媒供給がストップしてしまう。
上記従来技術では、この様な問題に対応できず、アイルコントローラが故障した場合、対応する局所エリアが冷却不足によって情報処理装置等が故障する可能性が高く、最悪、データ消失する可能性がある。
本発明の課題は、冷媒ポンプの異常だけでなくコントローラの異常にも対応して、冷媒供給を停止させずに続行させることができ、局所エリアの温度を正常に保ち、冷却不足とならないようにでき、以って情報処理装置等の故障やデータ消失する事態を防止できる電算機室空調システム、その冗長コントローラ等を提供することである。
本発明の電算機室空調システムは、電算機室内の任意の局所エリアに対応して、複数台の局所空調機と、該複数台の局所空調機に対して冷媒を供給する冷媒ポンプユニットと、該複数台の局所空調機と冷媒ポンプユニットを管理制御する常用コントローラとを備えた電算機室空調システムであって、冗長コントローラと、予備の前記冷媒ポンプユニットである待機ポンプとを備え、前記冗長コントローラは、前記常用コントローラと各局所空調機とが通信する為の第1通信線上の信号の有無を監視する監視手段と、第2通信線を介して前記常用コントローラと通信を行って、通信可否の判定と、通信可の場合には少なくとも前記冷媒ポンプユニットの正常/異常状態を取得する状態判別手段と、前記第1通信線上の信号の有無と、常用コントローラとの通信の可否と、通信可の場合における前記冷媒ポンプユニットの正常/異常状態とに基づいて、前記冷媒ポンプユニット、前記常用コントローラの異常判定を行う異常判定手段と、前記異常判定手段によって前記冷媒ポンプユニットの異常あるいは前記常用コントローラの異常と判定された場合に、前記冷媒ポンプユニットの代わりに前記待機ポンプによって前記複数台の局所空調機に対して冷媒を供給すると共に、前記常用コントローラの代わりに冗長コントローラが前記複数台の局所空調機と前記待機ポンプを管理制御する為の切換処理を実行する冗長切換手段とを有する。
上記電算機室空調システムにおいて、例えば、前記異常判定手段は、前記第1通信線上の信号の有無と、常用コントローラとの通信の可否と、通信可の場合における前記冷媒ポンプユニットの正常/異常状態とに基づいて、正常であるか、単なる通信異常であるか、前記冷媒ポンプユニットの異常であるか、前記常用コントローラの異常であるかを判定する。
上記電算機室空調システムにおいて、例えば、前記異常判定手段は、前記常用コントローラと通信不能で且つ前記第1通信線上の信号が無い場合には前記常用コントローラの異常と判定し、前記常用コントローラと通信不能で且つ前記第1通信線上の信号がある場合には前記単なる通信異常と判定する。
上記電算機室空調システムにおいて、例えば、前記異常判定手段は、前記常用コントローラとの通信が可であり、前記取得した前記冷媒ポンプユニットの正常/異常状態が異常状態である場合に、前記冷媒ポンプユニットの異常であると判定する。
上記電算機室空調システムにおいて、例えば、前記局所エリアが複数存在し、該複数の局所エリアそれぞれに対応して前記複数台の局所空調機と前記冷媒ポンプユニットと前記常用コントローラとから成る冷却系統が設けられており、該複数の冷却系統の何れかの冷却系統において前記冷媒ポンプユニットの異常あるいは前記常用コントローラの異常があった場合、該異常があった冷却系統に対して前記冗長コントローラと前記待機ポンプによる代替運転が行われる。
上記電算機室空調システムでは、冷媒ポンプユニットの異常だけでなく、常用コントローラの異常も検出でき、常用コントローラの異常にも対応してその冷却系統の冷却を維持できる。また、常用コントローラの異常であるのか、単なる通信異常であるのかを区別して判別できる。また、冗長化構成を複数の冷却系統で共用させることができる。
本発明の電算機室空調システム、その冗長コントローラ等によれば、冷媒ポンプの異常だけでなくコントローラの異常にも対応して、冷媒供給を停止させずに続行させることができ、局所エリアの温度を正常に保ち、冷却不足とならないようにでき、以って情報処理装置等の故障やデータ消失する事態を防止できる。
本例の電算機室空調システムの構成図である。 図1の構成における冷媒配管の構成例を示す図である。 システム全体の動作シーケンス図である。 冗長コントローラの処理フローチャート図である。 常用ポンプの異常の検出/代替動作を説明する為の図である。 アイルコントローラの異常の検出/代替動作を説明する為の図である。 冗長コントローラの構成・機能ブロック図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本例の電算機室空調システム(局所空調システム)のシステム構成図である。
図1では、仮に、任意の電算機室(IDC(インターネットデータセンタ)等)内に、3つの局所ユニット空調エリアA,B,Cが存在するものとする。各局所ユニット空調エリアA,B,Cは、それぞれ、例えば1列または2列のラック列を含む局所エリア(以下、アイルと呼ぶ場合もある)である。尚、既に説明したように、ラックとは情報処理装置等を収納するラックであり、各局所ユニット空調エリアA,B,Cを冷却することで、局所エリア内のラック内の情報処理装置等を冷却し、情報処理装置等の故障やデータ消失を防止している。
従来と同様、1つの局所エリア(1つのアイル)に対応して、複数台の局所空調機と、1台の冷媒ポンプユニットと1台のアイルコントローラとが設置されている。
つまり、各局所ユニット空調エリアA,B,C毎に対応して、それぞれ、複数台の局所空調機1と、1台の冷媒ポンプユニット2(2a,2b,2c)と、1台のアイルコントローラ3(3a,3b,3c)とが設置されている。但し、複数台の局所空調機1は、各局所ユニット空調エリアA,B,Cの空間内(ラック列近傍等)に配置されるが、冷媒ポンプユニット2とアイルコントローラ3は、必ずしも局所エリアの空間内に配置しなくてもよく、更に、必ずしも電算機室内に配置しなくてもよく、電算機室外(例えば隣接する機械室等)に設置してもよい。
更に、1台の上位コントローラ4が設けられている。尚、上位コントローラ4も、必ずしも電算機室内に配置しなくてもよく、電算機室外(例えば隣接する機械室等)に設置してもよい。また、尚、上記局所ユニット空調エリアを局所エリアという場合もある。また、尚、上記冷媒ポンプユニット2の‘2’は図にはないが、上記2a,2b,2cを特に区別せずに説明する場合は‘2’と記すものとする。これは、上記アイルコントローラ3や後述する機器通信線5、冷媒往路管21、冷媒復路管22、開閉弁25,26,27,28についても同様である。
ここで、例えば、局所ユニット空調エリアA内に設置された複数台の局所空調機1によって、当該局所エリアAの空間が冷却され(冷気が供給され)、当該局所エリアA内のラック列の各電算機収納ラック内に収容されている情報処理装置等を冷却する。
また、局所ユニット空調エリアAに対しては、1台の冷媒ポンプユニット2aと1台のアイルコントローラ3aとが設けられている。冷媒ポンプユニット2aは上記局所エリアA内の複数台の局所空調機1に不図示の冷媒配管を介して冷媒を供給し、アイルコントローラ3aは局所エリアAの複数台の局所空調機1と冷媒ポンプユニット2aを管理・制御する。
尚、同様にして、局所ユニット空調エリアBに対しては、冷媒ポンプユニット2bとアイルコントローラ3bとが設けられている。局所ユニット空調エリアCに対しては、冷媒ポンプユニット2cとアイルコントローラ3cとが設けられている。各局所ユニット空調エリアA,B,C毎に、その局所エリアに対応するアイルコントローラ3が、その局所エリアに対応する冷媒ポンプユニット2と複数台の局所空調機1とを管理・制御する。
この管理・制御処理自体は、既存の処理であってよく、例えば後述するように、上位コントローラ4からの指令/設定等に基づいて自己の管理下の各局所空調機1を制御したり、定期的にこれら各局所空調機1の状態データを収集・記憶したり、自己の管理下の冷媒ポンプユニット2のポンプ回転数等を制御したり、自己の管理下の冷媒ポンプユニット2の正常/異常のチェック等を行う。
また、尚、特に詳細には図示しないが、冷媒ポンプユニット2は、各局所空調機1から戻される冷媒を冷却液により冷却する凝縮器、凝縮器により冷却した冷媒を配管上に圧送する冷媒ポンプ・インバータ等からなる。
尚、アイルコントローラ3と各局所空調機1との通信は、図示の機器通信線5(5a,5b,5c;RS485等)を介して行う。例えば、局所エリアAの冷却系統を管理するアイルコントローラ3aは、図示の機器通信線5aを介して、局所エリアA内の各局所空調機1と通信可能である。アイルコントローラ3b,3cについても、略同様である。尚、特に図示/説明しないが、各局所空調機1内には小型のコントローラ(局所コントローラと呼ぶ)が備えられており、各局所コントローラが機器通信線5に接続しており、アイルコントローラ3は、各局所コントローラと通信を行うものである。
アイルコントローラ3と上位コントローラ4との通信は、図示の通信線6(Ethernet等;Ethernet登録商標、以下同じ)を介して行う。また、ここでは、アイルコントローラ3と冷媒ポンプユニット2は、一体型であり、よってアイルコントローラ3−冷媒ポンプユニット2間は、通信線を介さずに直接信号を送受信できるものとする。
また、図1等では冷媒配管については特に図示しないが、後に冷媒配管に係る構成図を図示して説明するものとする。ここでは簡単に説明するならば、各局所ユニット空調エリアA,B,C毎に、それぞれ、1台の冷媒ポンプユニット2からその局所エリア内の複数台の局所空調機1に冷媒を供給/回収するための冷媒配管が設けられている。よって、例えば、局所ユニット空調エリアAの複数台の局所空調機1に対しては、上記冷媒ポンプユニット2aによって当該局所エリアA用の冷媒配管(不図示)を介して、冷媒が供給等されている。
また、尚、各電算機収納ラック(ラック列)や情報処理装置等は、特に図示しない。
以上の説明は、図1の構成において従来と略同様の構成・制御について説明したものと見做してもよい。上述したように、本説明のシステムが前提とする構成は、複数の冷却系統を備え、これら複数の冷却系統を上位コントローラ4が管理するシステム構成である。但し、これは一例であり、このような前提に限定されるものではなく、例えば冷却系統が1つのみであってもよいし、上位コントローラ4が無い構成であってもよい。
尚、上記“冷却系統”とは、上記各局所エリア毎にその局所エリアを局所的に冷却する為に設けられた構成であり、従って各“冷却系統”は、複数台の局所空調機1と、1台の冷媒ポンプユニット2と1台のアイルコントローラ3、及び冷媒配管等から成る構成となっている。尚、以下の説明では、例えば局所エリアAに対応する“冷却系統”を“冷却系統A”等と記す場合もある。
ここで、本構成では上記従来と略同様の構成に加えて更に、冗長化構成を備えている。すなわち、図1に示すように、冗長コントローラ10と冷媒ポンプユニット11とを更に有する。また、図1には示していないが、後に図示するように、冗長用の冷媒配管と開閉弁とを更に備える。これら冗長化構成は、本例では上記複数の“冷却系統”で共有される構成であり、上記複数の“冷却系統”の何れか1つに異常が生じた場合(ポンプまたはコントローラの異常)、代替で運転・使用されるものである。尚、上記冗長化構成とは、狭義には「冗長コントローラ10+冷媒ポンプユニット11」を意味し、広義には更に冗長用の冷媒配管と開閉弁も含まれるものとする。
尚、本例では冗長化構成は3つの“冷却系統”で共有されるが、この例に限らず、2つまたは4つ以上の“冷却系統”で共有されてもよいし、あるいは複数ではなく、1つの“冷却系統”毎に冗長化構成が設けられていてもよい。但し、冗長化構成は複数の“冷却系統”で共有される方が、コスト面から有利であり、望ましいと考えられる。
ここで、本手法の場合、“冷却系統”の異常とは、冷媒ポンプユニット2の異常、またはアイルコントローラ3の異常を意味している。これより、例えば“冷却系統A”の異常とは、冷媒ポンプユニット2aまたはアイルコントローラ3aの異常を意味することになる。
従来でも、冷媒ポンプユニット2の異常に対応する為に冷媒ポンプの冗長化構成が開示されていたが、本手法ではこれに加えて更にコントローラに関しても冗長化構成としている。よって、従来では対応できなかったアイルコントローラ3の故障に対しても、対応可能となる。
従来では、アイルコントローラ3に異常があっても対応できなかった。たとえ冷媒ポンプユニット2が正常であっても、アイルコントローラ3が故障した場合、局所空調機1に対する冷媒供給は停止してしまう。この為、上述した問題(サーバ装置の故障、データ消失を招く)を防止することに関して不十分であった。これに対して、本手法では、この様な問題を充分に防止することができる。
尚、以下の説明では、上記各冷媒ポンプユニット2を“常用ポンプ2”と呼び、上記アイルコントローラ3を“常用コントローラ3”と呼び、上記冷媒ポンプユニット11を“待機ポンプ11”と呼ぶ場合もある。冷媒ポンプユニット11は、その構成自体は冷媒ポンプユニット2と同様であってよく、予備の冷媒ポンプユニット2と見做してよい。
本手法では、冗長コントローラ10が、冷却の肝である各常用ポンプ2(2a,2b,2c)の異常と、これら常用ポンプ2を制御する各アイルコントローラ3(3a,3b,3c)の異常を監視し、何れかに異常がある場合は冗長化構成(冗長コントローラ10と待機ポンプ11)に切替えて代替運転する。詳しくは後述する。
冗長コントローラ10は、上記通信線6に接続しており、通信線6を介して上位コントローラ4、各アイルコントローラ3a、3b、3cと通信可能である。また、冗長コントローラ10は、上記各機器通信線5a,5b,5cと接続しており、これら各機器通信線5a,5b,5c上を流れる信号の有無等を検出(モニタ)可能である。
ここで、図2に、図1の構成における(図1では不図示とした)冷媒配管の構成例を示す。図2では、冷媒配管と冷媒配管に係る構成を示すものとする。よって図示のように上記コントローラ3,4,10等は省略しており、上記常用ポンプ2a,2b,2c,待機ポンプ11や、各局所空調機1等は示してある。
まず、図2の構成において、従来構成と略同様の部分について説明する。
上記の通り、各“冷却系統”毎に冷媒配管が設けられるのであり、この冷媒配管は、各局所エリア毎に、その局所エリアに対応する冷媒ポンプユニット2からその局所エリア内の各局所空調機1へ冷媒を供給する為の冷媒往路管21と、これら各局所空調機1に供給した冷媒を冷媒ポンプユニット2に戻す(回収する)為の冷媒復路管22から成る。
例えば、局所ユニット空調エリアAを例にすると、冷媒ポンプユニット2aから局所エリアA内の各局所空調機1へ冷媒を供給する為の冷媒往路管21aと、局所エリアA内の各局所空調機1に供給した冷媒を冷媒ポンプユニット2aに戻す為の冷媒復路管22aから成る。
他のエリアB,Cに関しても略同様に、図示の冷媒往路管21bと冷媒復路管22b、冷媒往路管21cと冷媒復路管22cが設けられている。
そして、本構成では、上記既存の構成に対して更に、上記冷媒ポンプユニット11と、当該待機ポンプ11から任意の局所エリアの各局所空調機1へ冷媒を供給可能とする冗長冷媒往路管23と、任意の局所エリアの各局所空調機1に供給した冷媒を冷媒ポンプユニット11に戻す為の冗長冷媒復路管24とを新たに設けている。更に、これら新たな配管23,24上、及び上記既存の配管21,22上に、開閉弁25,26,27,28を設けている。
冗長冷媒往路管23は、図示の通りその一端は冷媒ポンプユニット11に接続すると共にその他端は途中で3つに分岐しており、これら3つの各分岐管がそれぞれ上記冷媒往路管21a、21b、21cの何れか1つに接続している。また、各分岐管上に開閉弁27(27a、27b、27c)を設けている。これは、例えば図示のように、各分岐管と各冷媒往路管21a、21b、21cとの接続箇所の手前に、開閉弁27a、27b、27cを設けている。また、各冷媒往路管21a、21b、21c上にも、図示のように上記接続箇所の手前に、開閉弁25(25a、25b、25c)を設けている。
冗長冷媒復路管24も同様に、図示の通りその一端は冷媒ポンプユニット11に接続すると共にその他端は途中で3つに分岐しており、これら3つの各分岐管がそれぞれ上記冷媒復路管22a、22b、22cの何れか1つに接続している。また、各分岐管上に開閉弁28(28a、28b、28c)を設けている。これは、例えば図示のように、各分岐管と各冷媒復路管22a、22b、22cとの接続箇所の手前に、開閉弁28a、28b、28cを設けている。また、各冷媒復路管22a、22b、22c上にも、図示のように上記接続箇所の直後に、開閉弁26(26a、26b、26c)を設けている。
そして、通常運用時は、開閉弁25a、25b、25c及び開閉弁26a、26b、26cは全て“開”状態とし、開閉弁27a、27b、27c及び開閉弁28a、28b、28cは全て“閉”状態とする。
そして、3つの“冷却系統”の何れかに異常が生じた場合には、当該異常があった“冷却系統”の開閉弁25及び開閉弁26を“閉”状態に切り換えると共に、対応する開閉弁27及び開閉弁28を“開”状態へと切り換える。これによって、上記当該異常があった“冷却系統”に対して、上記冗長化構成が代替運転することが可能となる。
例えば、“冷却系統A”に異常があった場合には(冷媒ポンプユニット2aまたはアイルコントローラ3aが故障した場合)、開閉弁25a及び開閉弁26aを“閉”状態に切り換えると共に、開閉弁27a及び開閉弁28aを“開”状態へと切り換える。
これによって、冷媒ポンプユニット11から冗長冷媒往路管23と冷媒往路管21aの一部を介して局所エリアAの各局所空調機1に対して冷媒が供給される。同様に、これら局所エリアAの各局所空調機1に供給された冷媒が、冷媒復路管22aの一部と冗長冷媒復路管24を介して、冷媒ポンプユニット11に戻される。つまり、異常があった“冷却系統A”に関して、冷媒ポンプユニット2aとアイルコントローラ3aの代わりに、上記冗長化構成(冗長コントローラ10+冷媒ポンプユニット11)で代替運転して、この局所エリアAの各局所空調機1に対して冷媒を供給することができる。尚、代替後は上記冗長化構成は更にこれら局所エリアAの各局所空調機1の管理・制御(運転指令受信や運転指示送信や状態収集等)等を行うものである。
以下、図3、図4を参照して、上記図1、図2に示すシステムにおける制御処理について説明する。
図3は、システム全体の動作シーケンス図である。図4は、冗長コントローラ10の処理フローチャート図である。
尚、冗長コントローラ10、アイルコントローラ3、上位コントローラ4は、ここでは特に図示しないがCPU、メモリ、通信インタフェース等を有しており、メモリには予め所定のアプリケーションプログラムが格納されている。このアプリケーションプログラムは、冗長コントローラ10、アイルコントローラ3、上位コントローラ4それぞれで異なるが、各コントローラ10,3,4は、それぞれ、自己のメモリに格納されているアプリケーションプログラムを、CPUが読出し・実行することにより、例えば図3に示す動作処理を行う。また、冗長コントローラ10に関しては、図4の処理フローチャート図の処理動作を行うものである。
図3において、上位コントローラ4は、定期的に又は任意のときに、任意のアイルコントローラ3に対して通信線6を介して任意の運転指令を送信する。この運転指令を受信したアイルコントローラ3は、この運転指令に応じて自己が管理する局所空調機1に対して、機器通信線5を介して運転指示を送信する。これら運転指令、運転指示の内容は(ここでは特に関係ないので)特に説明しないが、例えば設定温度、風量等である。局所空調機1は、この運転指示に応じて所定のレスポンス(OK/NG等)を返信する。
また、各アイルコントローラ3(3a,3b,3c)は、例えば定期的に、自己が管理する各局所空調機1の状態データを収集する。これは、図3に示すように、アイルコントローラ3は機器通信線5を介して局所空調機1に所定のコマンド(状態問合1)を送信し、局所空調機1はこのコマンドに応じて所定の応答P(自己の状態データ等)を返信する。この応答Pには、例えば局所空調機1の現在のステータス状態(正常/異常等)やセンサ計測値(現在温度等)などのデータが含まれる。
尚、特に図示しないが、アイルコントローラ3は、受信した応答Pのデータを、通信線6を介して上位コントローラ4に通知する処理も行ってもよい。
尚、図3においては局所空調機1は1つのみ示すが、上記の通り各局所エリア毎に局所空調機1は複数あるので、特に図示しないが、上述したアイルコントローラ3−局所空調機1間の通信(運転指示、状態問合1、応答P等)は、全ての局所空調機1についてそれぞれ行うことになる。
同様に、図3においてはアイルコントローラ3は1つのみ示すが、本例ではアイルコントローラ3は複数(本例では3台)あるので、特に図示しないが、上述したアイルコントローラ3−冗長コントローラ10間の通信(状態問合2、応答Q等)や、アイルコントローラ3−上位コントローラ4間の通信(運転指令等)は、全てのアイルコントローラ3についてそれぞれ行うことになる。
尚、以上の動作は、既存の動作と考えても良い。
そして、本システムでは、上記冗長コントローラ10を新たに設けており、冗長コントローラ10に係る図示の動作が追加される。すなわち、冗長コントローラ10は、例えば定期的に各アイルコントローラ3(3a,3b,3c)に対して、通信線6を介して図示の状態問合2を送信する。この状態問合2を受信したアイルコントローラ3は、所定の応答Qを冗長コントローラ10に返信する。
ここで、応答Qには、そのアイルコントローラ3のステータス情報が含まれ、このステータス情報にはそのアイルコントローラ3が管理する冷媒ポンプユニット2のステータス情報(正常/異常等)が含まれる。尚、応答Qには更に例えば上記運転指令の内容や、管理下の各局所空調機1の現在のステータス状態等も含まれていてよい。
また、冗長コントローラ10は、随時、各機器通信線5a,5b,5cをモニタしており、機器通信線5a,5b,5c上の信号の有無を検出している。上記図3に示す運転指示、レスポンス(OK/NG等)、状態問合2、応答Q等が送受信される際に、信号有りと検知することになる。尚、これら送受信されるデータの内容までは分からない。
また、状態問合2と応答Qの送受信は、定期的に行われており、従って一定時間以上(例えば5秒以上)機器通信線5上に信号が無いという状態は、少なくともアイルコントローラ3が正常であるならばあり得ないことである。これより、冗長コントローラ10は、一定時間以上(例えば5秒以上)機器通信線5上に信号が無い状態が続いた場合は、信号無しと判定する。
次に、図4の冗長コントローラ10の処理フローチャート図について説明する。
図4において、冗長コントローラ10は、通常時は、まず、随時、冷媒ポンプユニット11の待機運転制御を実行している(ステップS1)。また、図示していないが随時、上記機器通信線5a,5b,5cをモニタしており、モニタ結果(信号有無)を記憶している。これは、例えば、上記の通り、所定時間以上信号検出されなかったら“信号無し”と判定・記憶し、信号が検出されたら“信号有”と判定・記憶する。
そして、定期的に、各アイルコントローラ3に対する上記状態問合2の送信を行い(ステップS2)、通信OKか否かを判定する(ステップS3)。状態問合2に対して上記応答Qがあった場合には通信OKと判定し(ステップS3,YES)ステップS4へ移行する。一方、上記応答Qが無かった場合には通信NGと判定し(ステップS3,NO)ステップS6へ移行する。
ステップS4では、応答Qに含まれる上記冷媒ポンプユニット2のステータス情報(正常/異常等)を参照して、“正常”であれば(ステップS4,NO)ステップS1に戻り、“異常”であれば(ステップS4,YES)ステップS5の処理を実行する。
ステップS5では、当該ポンプステータスが“異常”であった応答Qの送信元のアイルコントローラ3に対して“停止指令”を送信し、続いて、冗長切換処理を行う(ステップS5)。この冗長切換処理については、後に説明するが、上記冗長化構成による代替運転を実行させる処理である。また、上記“停止指令”を受信したアイルコントローラ3は、一切の制御処理を停止する。従って、自己の管理下の常用ポンプ2や局所空調機1との通信を停止し、上位コントローラ4との通信も停止する。
一方、上記通信NGと判定された場合には(ステップS3,NO)、当該通信NGとなったアイルコントローラ3に関する上記機器通信線5上のモニタ結果を参照して、“信号有”の場合にはモニタOKと見做して(ステップS6,YES)ステップS9を実行する。一方、“信号無”の場合にはモニタNGと見做して(ステップS6,NO)ステップS7,S8を実行する。
尚、例えば局所空調機1の故障等により、状態問合1はあったが応答Pが無い場合は、状態問合1の信号が検出されるので、“信号有”となる。一方、アイルコントローラ3が異常の場合、局所空調機1が正常であっても、状態問合1が無い為に応答Pも無い為、“信号無”となる。また、アイルコントローラ3の異常と判定された場合、基本的に、アイルコントローラ3故障時にはその冷媒ポンプユニット2は自動停止するようになっているし、また同時に冷媒ポンプユニット2も故障していてもそれは分からないので、冗長コントローラが冷媒ポンプユニット2の制御を引き継ぐという手法は、採ることはできない。
ステップS9では、例えば“通信線の断線”を知らせる警報を、例えば上位コントローラ4へ送信する。そして、ステップS1に戻る。つまり、この場合にはステップS5やS8のような冗長切換処理は行わずに、警報のみとする。そして、図4の処理を続行する。一方、ステップS5やS8のような冗長切換処理を行った場合は、その後は図4の処理は行わない(代替運転処理を行う)。
ステップS7では、例えば“アイルコントローラ3の異常発生”を知らせる警報を、例えば上位コントローラ4へ送信する。
ステップS8では、異常発生と判定した冷却系統に対して上記ステップS5と同様の冗長切換処理を行う。尚、ステップS5とステップS8との違いは、ステップS5では上記の通りアイルコントローラ3に対して“停止指令”を送信したが、ステップS8ではアイルコントローラ3に異常がある為、“停止指令”を送信しても意味がないため、“停止指令”の送信は行わない点である。
上記冗長切換処理について、以下に説明する。
上記ステップS5、ステップS8の何れの場合でも、冗長切換処理は例えば以下の処理を行う。
・冗長コントローラ10は、まず、常用ポンプ2またはアイルコントローラ3に異常があった冷却系統の各局所空調機1への冷媒供給/回収が、待機ポンプ11によって行われるように、冷媒配管の開閉弁切替制御を行う。この開閉弁切替制御の具体例は、上記図2の説明で行っており、また、後述する図5や図6の説明でも行うので、ここでは説明しない。
・冗長コントローラ10は、更に、異常があった冷却系統の通信線5上のモニタ処理を止める。更に、異常があった冷却系統のアイルコントローラ3の代わりに、当該冷却系統の各局所空調機1の管理・制御を行うことを開始する。すなわち、通信線5を介して、異常があった冷却系統の各局所空調機1の運転状態を定周期で収集し、異常などの監視を行う。また、ステップS2の処理で取得してあった、異常があった冷却系統のアイルコントローラ3に対する上位コントローラ4からの設定・運転指示に基づいて、異常があった冷却系統の各局所空調機1を制御する。
・更に、上位コントローラ4からの新たな設定・運転指令を、異常があった冷却系統のアイルコントローラ3の代わりに冗長コントローラ10が受信して、この新たな設定・運転指令に基づいて、異常があった冷却系統の各局所空調機1を制御する。尚、そのために、冗長コントローラ10は、例えば、任意の冷却系統における常用ポンプ2またはアイルコントローラ3の異常発生を、通信線6を介して上位コントローラ4に通知する。これより、上位コントローラ4は、設定・運転指令の送信先を、異常があった冷却系統のアイルコントローラ3から、冗長コントローラ10へと変更する。
以上、上記冗長切換処理の具体例について説明したが、この具体例に限るものではない。
この様にして、異常があった冷却系統の各局所空調機1の管理制御(冷媒供給、動作指示、状態データ収集)を、当該異常があった冷却系統のアイルコントローラ3と常用ポンプ2の代わりに、冗長化構成(冗長コントローラ10と待機ポンプ11)が実行するようになる(代替運転するようになる)。
冗長化構成(冗長コントローラ10と待機ポンプ11)を設けたことで、常用ポンプ2の異常だけでなく、アイルコントローラ3の異常にも対応することができ、異常発生に対応して代替運転を行うことで、冷媒供給を停止させずに続行させることができ、局所ユニット空調エリアの温度を正常に保ち、冷却不足とならないようにでき、以ってこのエリア内の情報処理装置等の故障やデータ消失する事態を防止できる。
また、異常が、常用ポンプ2の異常であるのか、アイルコントローラ3の異常であるのか、あるいは単なる通信異常であるのかを判別することができ、判別結果に応じた適切な対応処理を実行することができる。
上述した処理に伴うシステム動作に関して、以下、図1、図5、図6を参照して説明する。
まず、既に図1を参照してシステム構成について説明したが、以下では、図1を参照して正常時のシステム動作について説明する。また、後に図5を参照して冷媒ポンプユニット2に異常があった場合のシステム動作について説明し、図6を参照してアイルコントローラ3に異常があった場合のシステム動作について説明するものとする。
尚、以下の説明では逐一述べないが、既に述べた通り、アイルコントローラ3−上位コントローラ4間の通信、冗長コントローラ10−上位コントローラ4間の通信、冗長コントローラ10−アイルコントローラ3間の通信は、図示の通信線6(Ethernet等)を介して行う。また、アイルコントローラ3と各局所空調機1との通信(制御やデータ収集)は、図示の機器通信線5(5a,5b,5c;RS485等)を介して行う。
また、尚、以下の説明における(2)、(2)’、(3)、(4)、(4)’は、図1、図5、図6の図上に示されている記号であり、説明を分かり易くする為に記載してある。
(A)全ての局所エリアに関して、アイルコントローラ3と冷媒ポンプユニット2の両方が正常運転で且つ通信異常がない場合(図1参照);
(a)各アイルコントローラ3は、上位コントローラ4からの設定・運転指令(2)を受け、管理下の各局所空調機1の制御を行う(4)(上記運転指示等)。また、自ポンプ(=常用ポンプ2)を制御して管理下の各局所空調機1に冷媒供給させる。また、各アイルコントローラ3は、管理下の各局所空調機1の運転状態等を定周期で収集し(4)(上記状態問合1と応答P)、異常などの監視を行う。また、各アイルコントローラ3は、随時、自ポンプ(=常用ポンプ2)の状態(正常/異常)をチェックしており、チェック結果を記憶している。
(b)各局所空調機1は、アイルコントローラ3からの設定・運転指示(風量、吹出温度、運転・停止)(4)を受け、風量制御と吹出温度(冷媒弁)制御を行い、局所エリアの局所空調運転を行う。
(c)冗長コントローラ10は、定期的に各アイルコントローラ3a〜3cと通信し(3)、各アイルコントローラ3が上位コントローラ4から受けた設定・運転指令内容や、管理下の各局所空調機1の運転状態や、その自ポンプ(=常用ポンプ2)の状態(正常/異常)などのアイルコントローラ3の制御状態データを取得・記憶する(上記状態問合2と応答Q)。
また、冗長コントローラ10は、各アイルコントローラ3が行う各局所空調機1の運転状態の定周期収集の為の通信(4)をモニタ(4)'して監視しながら、自ポンプ(=待機ポンプ11)を待機運転する。
本例は上記のように正常な場合の例なので、図4の処理において、ステップS1→ステップS2→ステップS3でYES→ステップS4でNOを繰り返し実行することになる。
尚、(a)で運転指示は上位コントローラ4→アイルコントローラ3(2)としたが、上位コントローラ4→アイルコントローラ3(2)及び冗長コントローラ10(2)’としても良い。
(B)常用ポンプの異常による切替え(常用ポンプ2aの故障を例にする;図5参照);
この例では、アイルコントローラ3aが自ポンプ(=常用ポンプ2a)の冷媒レベル異常やINV異常などの異常を検出する(これによって、アイルコントローラ3aは、例えば常用ポンプ2aを運転停止すると共に警報ONする。また、上記応答Qに常用ポンプ2aの異常検出情報を含める)。
この例の場合、冗長コントローラ10は、アイルコントローラ3aとの通信(3)(上記状態問合2と応答Q)によって、アイルコントローラ3aの常用ポンプ2aの異常を認識する(上記ステップS4でYESの判定)。
異常を認識した冗長コントローラ10は、上記ステップS5の処理を実行する。すなわち、まず、アイルコントローラ3aに停止指示を送信(3)し、局所空調機1への運転指示/状態収集処理(4)を停止させる。更に、局所エリアAの各局所空調機1に対して待機ポンプ11から冷媒が供給されるように、冷媒配管の開閉弁切替制御を行う(アイルコントローラ3aの異常ポンプ2aからの冷媒供給をやめる)。
すなわち、図2において、開閉弁25a及び開閉弁26aを“閉”状態に切り換えると共に、開閉弁27a及び開閉弁28aを“開”状態へと切り換える。これによって、待機ポンプ11から冗長冷媒往路管23と冷媒往路管21aの一部を介して局所エリアAの各局所空調機1に対して冷媒が供給される。同様に、これら局所エリアAの各局所空調機1に供給された冷媒が、冷媒復路管22aの一部と冗長冷媒復路管24を介して、待機ポンプ11に戻される。
冗長コントローラ10は、待機運転中にステップS2の処理によって各アイルコントローラ3の設定情報や動作状態などを事前に取得・管理しているので、切替え時は、その設定や動作を引き継ぎ、局所エリアAの各局所空調機1に対するモニタ(4)’を止めて、運転指示/状態収集処理((4)と同様の処理)を開始して、各局所空調機1を制御する。尚、切替後の上位コントローラ4からの設定・運転指令は、アイルコントローラ3aの代わりに冗長コントローラ10が受ける(2)’。そして、この運転指令等に応じて局所エリアAの各局所空調機1に運転指示を出す。
以上、局所エリアAに関して冗長化構成による代替運転に切り換えたことで、局所エリアAに関する制御は、図5に図上下側の点線で囲んだ構成から、図上上側の点線で囲んだ構成によるものに切り替わったことになる。
このようにして、常用ポンプ2aに異常が発生しても、局所ユニット空調エリアAの温度を正常に保つことが可能となる。勿論、これは常用ポンプ2aに限らず、他の常用ポンプ2b,2cが故障した場合でも同様である。
(C)アイルコントローラ3自体の異常による切替え(アイルコントローラ3bの異常を例にする;図6参照);
冗長コントローラ10は、アイルコントローラ3bとの通信(3)(上記状態問合2と応答Q)で通信不能を検出し(ステップS3,NO)、かつ、アイルコントローラ3bとその管理下の各局所空調機1との通信(機器通信線5b上での通信)のモニタ(4)’処理で無通信を検出した場合は(ステップS6,NO)、アイルコントローラ3b自体の異常と判定する。尚、図6に示す2箇所の×印は、これら通信不能と無通信の検出を意味している。
アイルコントローラ3bの異常を認識した冗長コントローラ10は、局所エリアBの各局所空調機1に対して待機ポンプ11から冷媒が供給されるように、冷媒配管の開閉弁切替制御を行う(アイルコントローラ3bの常用ポンプ2bからの冷媒供給をやめる)。
すなわち、図2において、開閉弁25b及び開閉弁26bを“閉”状態に切り換えると共に、開閉弁27b及び開閉弁28bを“開”状態へと切り換える。これによって、待機ポンプ11から冗長冷媒往路管23と冷媒往路管21bの一部を介して局所エリアBの各局所空調機1に対して冷媒が供給される。同様に、これら局所エリアBの各局所空調機1に供給された冷媒が、冷媒復路管22bの一部と冗長冷媒復路管24を介して、待機ポンプ11に戻される。
冗長コントローラ10は、待機運転中に、各アイルコントローラ3a〜3cの設定情報や動作状態などを事前に取得・管理しているので、切替え時は、局所エリアBに係る設定や動作を引き継ぎ、局所空調機1に対するモニタ(4)’を止めて、運転指示/状態収集処理((4)と同様の処理)を開始して、局所エリアBの各局所空調機1を制御する。
切替後の上位コントローラ4からの設定・運転指令は、アイルコントローラ3bの代わりに冗長コントローラ10が受ける(2)’。そして、この運転指令等に応じて局所エリアBの各局所空調機1に運転指示を出す。
以上、局所エリアBに関して冗長化構成による代替運転に切り換えたことで、局所エリアBに関する制御は、図6に図上下側の点線で囲んだ構成から、図上上側の点線で囲んだ構成によるものに切り替わったことになる。
このようにして、アイルコントローラ3bに異常が発生しても、局所ユニット空調エリアBの温度を正常に保つことが可能となる。勿論、これは、他のアイルコントローラ3a、3cに異常が発生した場合でも同様である。
(D)冗長コントローラ10とアイルコントローラ3間のEthernet通信異常(アイルコントローラ3cに関する通信異常を例にする;不図示);
本例については、特に図示しないものとするが、例えば図1等を参照して上記記号(2)〜(4)’を用いて説明するものとする。
冗長コントローラ10は、アイルコントローラ3cとの通信(3)で通信異常(通信不能)を検出したが(ステップS3,NO)、アイルコントローラ3cとその局所空調機1間の通信のモニタ(4)’は正常(信号あり)であった場合は(ステップS6,YES)、通信(3)での通信異常はケーブル断などの原因によるものと判定して、警報は出すが冗長化構成への運転切換えは行わない(ステップS9)。
図4で説明したように、この様な場合には、冗長化構成(コントローラ10と待機ポンプ11)への運転切替えは行わない。よって、アイルコントローラ3cとその常用ポンプ2cは、引き続き動作し続ける。
しかし、この状態のままではアイルコントローラ3cは上位コントローラ4からの新たな設定/運転指示を受信出来ず、アイルコントローラ3cから上位コントローラ4へデータ(管理下の各局所空調機1の状態データ等)を送信することも出来ない。よって、この状態のまま運用することは適切ではない。この為、上記ステップS9のように警報発生して(例えば上位コントローラ4または冗長コントローラ10で警報発生する等)、通信線6上での通信異常への対応を例えば作業員等に実行させることが必要である。
また、この場合、冗長コントローラ10や待機ポンプ11は、局所エリアCに関して代替運転することなく、上記ステップS9の処理後にステップS1に戻り、図4の処理を続行するので、その後にアイルコントローラ3aや3bまたは常用ポンプ2aや2bに異常が発生した場合に、代替運転することが可能である。
さらに、高信頼化のためには通信回線の二重化を図り、回線異常検出時は待機回線に切替えて処理を継続させる。
図7に、冗長コントローラの構成・機能ブロック図を示す。
図7において、冗長コントローラ10は、通信インタフェース101、メモリ102、CPU/MPU等の演算プロセッサ103、入出力インタフェース104等を有する。
通信インタフェース101は、上記通信線6に接続して、通信線6を介して各アイルコントローラ3や上位コントローラ4と通信を行う為の通信モジュールである。また、通信インタフェース101は、機器通信線5と接続する構成も有しており、機器通信線5上を流れる信号の有無を検出可能となっている。
入出力インタフェース104は、待機ポンプ11と接続して待機ポンプ11を制御する為の信号を入出力する為の構成である。
上記各アイルコントローラ3や上位コントローラ4との通信によって得られたデータは、メモリ102に格納される。また、メモリ102には予め所定のアプリケーションプログラムが格納されており、演算プロセッサ103は、このアプリケーションプログラムを読出・実行することにより、図示の各種処理機能部の処理を実現する。
すなわち、演算プロセッサ103は、監視部111と、状態判別部112と、異常判定部113と、冗長切換部114を備える。
監視部111は、アイルコントローラ3と各局所空調機1とが通信する為の上記機器通信線5上の信号の有無を監視する。そして、監視結果(信号の有無)をメモリ102に記憶する。
状態判別部112は、通信線6を介して各アイルコントローラ3と通信を行って、通信可否の判定と、通信可の場合には少なくとも常用ポンプ2の正常/異常状態を取得する。上記の通り、応答Qには常用ポンプ2の正常/異常状態データが含まれているので、通信不能でない限り常用ポンプ2の正常/異常状態を取得できる。
異常判定部113は、機器通信線5上の信号の有無と、アイルコントローラ3との通信の可否と、通信可の場合における常用ポンプ2の正常/異常状態とに基づいて、常用ポンプ2、アイルコントローラ3の異常判定を行う。これは、特には、正常であるか、単なる通信異常であるか、常用ポンプ2の異常であるか、アイルコントローラ3の異常であるかを判定するものである。
この判定については、既に述べた通りであり、アイルコントローラ3との通信可で取得した常用ポンプ2の正常/異常状態データにより、常用ポンプ2が正常か異常かを認識できる。また、アイルコントローラ3との通信不能の場合、機器通信線5上の信号が無ければアイルコントローラ3の異常と判定し、機器通信線5上の信号があれば単なる通信異常(通信線6の断線等)であると判定する。これら以外の場合は正常と判定する。
冗長切換部114は、上記異常判定部113によって常用ポンプ2の異常あるいはアイルコントローラ3の異常と判定された場合に、常用ポンプ2の代わりに待機ポンプ11によって、異常があった冷却系統の複数台の局所空調機1に対して冷媒を供給すると共に、アイルコントローラ3の代わりに冗長コントローラ10が上記複数台の局所空調機と待機ポンプ11を管理制御する為の切換処理を実行する。
この切換処理は、上述した開閉弁の開閉切換え処理等である。また、常用ポンプ2の異常の場合には更に上記停止指令の送信等も含まれる。
尚、アイルコントローラ3も、ハードウェア的には上記図7と略同様の構成となっている。但し、入出力インタフェース104の接続先は常用ポンプ2であるし、メモリ102に格納されるアプリケーションプログラムは、冗長コントローラ10とは異なる。従って、当然、演算プロセッサ103がメモリ102に格納されているアプリケーションプログラムを読出・実行することにより実現される各種処理機能は、上記符号111〜114の処理機能とは異なる。但し、アイルコントローラ3の場合は殆どが既存の処理機能であり、上記状態問合2に対して上記応答Qを生成・送信する処理が加わる程度であるので、ここでは特に図示・説明は行わない。これは、上位コントローラ4についても略同様であり、ここでは特に図示・説明は行わない。
以上説明したように、本手法では、まず冗長化構成として、従来のように冗長用の予備のポンプだけを設けるのではなく、「冗長コントローラ10+待機ポンプ11」を設けておく。そして、冗長コントローラ10は、待機中は、常用ポンプ2の異常を監視するだけでなくアイルコントローラ3の異常についても監視する。
アイルコントローラ3の上位と下位との各通信状態を監視し、上位と下位の両方とも異常の場合はアイルコントローラ3自体の異常と判定し、冗長化構成(冗長コントローラ10+待機ポンプ11)による代替運転に切替える。
尚、“上位”の通信とは、通信線6を介した各アイルコントローラ3との通信である。
また尚、図4の処理を行ううえでは、冗長コントローラ10は、機器通信線5とは別の通信線6を介して各アイルコントローラ3と通信を行って、通信可否の判定と、通信可の場合は常用ポンプ2の状態(正常/異常)取得が行えればよいのであり、その意味では上位コントローラ4は必ずしも必要ないものである。上位コントローラ4が無い場合、当然、上述した上位コントローラ4との通信処理は無いことになり、各アイルコントローラ3は例えば独自に自己の管理下の局所空調機1と常用ポンプ2を制御することになるが、冗長コントローラ10はステップS2の処理によって、常用ポンプ2の状態だけでなく現在の制御内容を取得できるので、異常発生時にはそのまま制御を引き継ぐことが可能となる。
また、通常、アイルコントローラ3は、下位の各局所空調機1の運転状態を定周期で収集しているが、この収集の為の通信が途絶え、無通信の状態となっていないかを監視する。
IDC内の局所空調システムにおいて、常用構成である[アイルコントローラ+常用ポンプ]の他に冗長構成である[冗長コントローラ+待機ポンプ]を配置し、冗長側は常用側の運転状態を監視する。このとき、常用ポンプだけではなく、アイルコントローラ自体の異常も監視し、異常があれば冗長構成に切替えることにより、ポンプの異常だけでなく、コントローラの異常にも対応して、異常検出時に冗長構成に切り替えることによって、局所ユニット空調エリアの温度を確実に正常に保つことが可能となる。
1 局所空調機
2(2a,2b,2c) 冷媒ポンプユニット(常用ポンプ)
3(3a,3b,3c) アイルコントローラ
4 上位コントローラ
5(5a,5b,5c) 機器通信線
6 通信線
10 冗長コントローラ
11 冷媒ポンプユニット(待機ポンプ)
21(21a、21b、21c) 冷媒往路管
22(22a、22b、22c) 冷媒復路管
23 冗長冷媒往路管
24 冗長冷媒復路管
25(25a、25b、25c) 開閉弁
26(26a、26b、26c) 開閉弁
27(27a、27b、27c) 開閉弁
28(28a、28b、28c) 開閉弁
101 通信インタフェース
102 メモリ
103 演算プロセッサ
104 入出力インタフェース
111 監視部
112 状態判別部
113 異常判定部
114 冗長切換部

Claims (6)

  1. 電算機室内の任意の局所エリアに対応して、複数台の局所空調機と、該複数台の局所空調機に対して冷媒を供給する冷媒ポンプユニットと、該複数台の局所空調機と冷媒ポンプユニットを管理制御する常用コントローラとを備えた電算機室空調システムであって、
    冗長コントローラと、予備の前記冷媒ポンプユニットである待機ポンプとを備え、
    前記冗長コントローラは、
    前記常用コントローラと各局所空調機とが通信する為の第1通信線上の信号の有無を監視する監視手段と、
    第2通信線を介して前記常用コントローラと通信を行って、通信可否の判定と、通信可の場合には少なくとも前記冷媒ポンプユニットの正常/異常状態を取得する状態判別手段と、
    前記第1通信線上の信号の有無と、常用コントローラとの通信の可否と、通信可の場合における前記冷媒ポンプユニットの正常/異常状態とに基づいて、前記冷媒ポンプユニット、前記常用コントローラの異常判定を行う異常判定手段と、
    前記異常判定手段によって前記冷媒ポンプユニットの異常あるいは前記常用コントローラの異常と判定された場合に、前記冷媒ポンプユニットの代わりに前記待機ポンプによって前記複数台の局所空調機に対して冷媒を供給すると共に、前記常用コントローラの代わりに冗長コントローラが前記複数台の局所空調機と前記待機ポンプを管理制御する為の切換処理を実行する冗長切換手段と、
    を有することを特徴とする電算機室空調システム。
  2. 前記異常判定手段は、前記第1通信線上の信号の有無と、常用コントローラとの通信の可否と、通信可の場合における前記冷媒ポンプユニットの正常/異常状態とに基づいて、正常であるか、単なる通信異常であるか、前記冷媒ポンプユニットの異常であるか、前記常用コントローラの異常であるかを判定することを特徴とする請求項1記載の電算機室空調システム。
  3. 前記異常判定手段は、前記常用コントローラと通信不能で且つ前記第1通信線上の信号が無い場合には前記常用コントローラの異常と判定し、前記常用コントローラと通信不能で且つ前記第1通信線上の信号がある場合には前記単なる通信異常と判定することを特徴とする請求項2記載の電算機室空調システム。
  4. 前記異常判定手段は、前記常用コントローラとの通信が可であり、前記取得した前記冷媒ポンプユニットの正常/異常状態が異常状態である場合に、前記冷媒ポンプユニットの異常であると判定することを特徴とする請求項2または3記載の電算機室空調システム。
  5. 前記局所エリアが複数存在し、該複数の局所エリアそれぞれに対応して前記複数台の局所空調機と前記冷媒ポンプユニットと前記常用コントローラとから成る冷却系統が設けられており、
    該複数の冷却系統の何れかの冷却系統において前記冷媒ポンプユニットの異常あるいは前記常用コントローラの異常があった場合、該異常があった冷却系統に対して前記冗長コントローラと前記待機ポンプによる代替運転が行われることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の電算機室空調システム。
  6. 電算機室内の任意の局所エリアに対応して、複数台の局所空調機と、該複数台の局所空調機に対して冷媒を供給する冷媒ポンプユニットと、該複数台の局所空調機と冷媒ポンプユニットを管理制御する常用コントローラとを備えた電算機室空調システムにおける冗長コントローラであって、
    前記常用コントローラと各局所空調機とが通信する為の第1通信線上の信号の有無を監視する監視手段と、
    第2通信線を介して前記常用コントローラと通信を行って、通信可否の判定と、通信可の場合には少なくとも前記冷媒ポンプユニットの正常/異常状態を取得する状態判別手段と、
    前記第1通信線上の信号の有無と、常用コントローラとの通信の可否と、通信可の場合における前記冷媒ポンプユニットの正常/異常状態とに基づいて、前記冷媒ポンプユニット、前記常用コントローラの異常判定を行う異常判定手段と、
    前記異常判定手段によって前記冷媒ポンプユニットの異常あるいは前記常用コントローラの異常と判定された場合に、前記冷媒ポンプユニットの代わりに予備の待機ポンプによって前記複数台の局所空調機に対して冷媒を供給すると共に、前記常用コントローラの代わりに冗長コントローラが前記複数台の局所空調機と前記待機ポンプを管理制御する為の切換処理を実行する冗長切換手段と、
    を有することを特徴とする電算機室空調システムの冗長コントローラ。

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