JP2011246770A - 方向性電磁鋼板及び張力絶縁膜被覆方向性電磁鋼板 - Google Patents

方向性電磁鋼板及び張力絶縁膜被覆方向性電磁鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】トランスの鉄心製造工程における積み重ね作業時には良好な潤滑性を持ち作業性が良好であり、かつ、方向性電磁鋼板コイルにおいては移動や搬送時に鋼板間のズレが生じることがない、方向性電磁鋼板及び張力絶縁膜被覆方向性電磁鋼板を提供する。
【解決手段】マグネシウム珪酸塩を含む被膜を有す方向性電磁鋼板であって、前記マグネシウム珪酸塩を含む被膜による前記鋼板の表面の被覆率が、90%超99%以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板、及び力絶縁膜被覆方向性電磁鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、方向性電磁鋼板及び張力絶縁膜被覆方向性電磁鋼板に関するものである。
電磁鋼板は、トランス等の鉄心材料として使用される。鉄心(コア)は、コイルで発生する磁束を集約し(磁束の通り道を作り)、変圧器や発電機等の効率を上げる効果を果たしている。したがって、電磁鋼板に求められる性能としては、磁束密度が大きく、磁化されやすいこと、その損失(鉄損)が小さいことがあげられる。変圧器の鉄心には、方向性電磁鋼板が使用されている。
通常、方向性電磁鋼板には絶縁被膜(二次被膜)と、その下層のフォルステライトを主とするマグネシウム珪酸塩被膜(一次被膜)との二層被膜が被覆されている。これらの被膜は、絶縁性の確保と鋼板への張力付与の目的で施されている。
マグネシウム珪酸塩被膜(一次被膜)は、主にフォルステライト(Mg2SiO4)から構成されている。このフォルステライトは、下記に示すように仕上げ焼鈍を経て形成される。
まず、仕上げ焼鈍前に行われる脱炭・一次再結晶焼鈍にて、鋼中のSiが拡散し、鋼板表層にシリカ(SiO2)の膜(即ち、サブスケール)が形成される。次に、仕上げ焼鈍において、前記SiO2と焼鈍分離剤中のマグネシア(MgO)が、下式(1)のような反応を起こすことにより、フォルステライトが形成される。ここで、焼鈍分離剤は、仕上げ焼鈍前に塗布される。
2MgO+SiO2→Mg2SiO4 ・・・・(1)
一方、絶縁被膜(二次被膜)は、一次被膜の上に塗布・焼き付けることにより被覆される。前記二次被膜としては、例えば、特許文献1にもあるように、コロイダルシリカと燐酸塩及びクロム化合物を塗布する方法が典型的である。
このような一次被膜と二次被膜が被覆された方向性電磁鋼板は、下記に示すような工程を経て鉄心に加工組み立てられる。
まず、一次被膜上層に二次被膜が被覆された方向性電磁鋼板は、連続的にコイル状に巻き取られ、最終製品として出荷される。前記コイルは、出荷されるまで、何回かクレーンで吊上げられたり、移動させられたりする。出荷されるコイルの重量は様々であるが、通常20t程度である。また、前記コイルは、出荷された後は、ユーザーまで搬送され、ユーザーにおいてもコイルの状態で移動させる場合がある。
出荷された方向性電磁鋼板がユーザーにて変圧器の鉄心として用いられる際には、方向性電磁鋼板のコイルは連続的に巻き解かれながら、せん断機で所定の幅にスリットされた後、所定の長さに切断される。切断された方向性電磁鋼板は、鉄心加工機によって順次積み重ねられて積み鉄心とされ、或いは巻き加工されて巻き鉄心とされる。巻き鉄心の場合には圧縮成型、歪み取り焼鈍を経てレーシングと呼ばれる巻線加工を行ってトランスとされる。
この鉄心製造過程においては、積み鉄心の場合、鉄心加工機による鋼板の積み重ね作業を円滑に行うためには、鋼板表面の潤滑性が良好であることが必要である。鋼板表面の潤滑性の問題に対しては、方向性電磁鋼板表面の絶縁被膜(二次被膜)の性状が大きく影響するところから、所定の幅にスリットされた方向性電磁鋼板の表面の潤滑性が良好であり、鉄心加工機による積み重ね作業がスムーズに行える絶縁被膜が望まれている。
そこで、このようなトランスの鉄心製造工程における鋼板の積み重ね作業の作業性に大きく影響を及ぼす鋼板表面の潤滑性を向上させるための手段として、特許文献2には、粒径50nm以下のコロイド状シリカ50〜98質量部(SiO2として)とAl、Mg、Ca、Znから選ばれる燐酸塩の1種又は2種以上130〜250質量部とクロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩の1種又は2種以上10〜40質量部とに、Fe、Ca、Ba、Zn、Al、Ni、Sn、Cu、Cr、Cd、Nb、Mn、Mo、Si、Ti、W、Bi、Sr、Vからなる酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、硼化物、水酸化物、珪酸塩、炭酸塩、硼酸塩、硫酸塩、塩化物のコロイド溶液として、その粒子径が80〜3000nmの溶液の1種又は2種以上を2〜50質量部添加した処理剤を塗布し、焼き付け処理した絶縁被膜(二次被膜)が提案されている。この方法によって得られる二次被膜によれば、耐熱性とすべり性(潤滑性)が改善されるとしている。
特公昭53−28375号公報 特開平3−207868号公報 特公昭30−003651号公報 特公昭33―004710号公報 特公昭51―013469号公報 特公昭62―045285号公報 特開平03−002324号公報
上述のように、絶縁被膜の成分を調整することによって方向性電磁鋼板の潤滑性が改善されているが、前記潤滑性改善の目的は、トランス製造工程における積み重ね作業の作業性向上であり、その観点から、方向性電磁鋼板の潤滑性改善が検討されたものである。
ところで、方向性電磁鋼板では、次のような問題も生じる。
前述のように、コイル状に巻き取られた方向性電磁鋼板を出荷するにあたり、方向性電磁鋼板のコイルはクレーンで吊り上げられて移動される。更に、陸上や海上輸送等で搬送されて、ユーザーに届けられる。ユーザーにおいても、コイルをクレーン等で移動させる場合がある。このような方向性電磁鋼板のコイル搬送や移動の過程において、コイルにおける鋼板間にズレが生じ、搬出作業性が低下する問題が生ずる。特に、方向性電磁鋼板の潤滑性を単純に改善したとするものは、前記問題が顕著に現れる傾向にある。
したがって、方向性電磁鋼板コイルで移動や搬送する過程においては滑り難い(ズレ難い)方向性電磁鋼板が望まれる。しかしながら、単純に滑り難くした方向性電磁鋼板では、鉄心加工時には潤滑性が低くなり、作業性が悪いものとなってしまう。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであって、トランスの鉄心製造工程における積み重ね作業時には良好な潤滑性を持ち作業性が良好であり、かつ、方向性電磁鋼板コイルにおいては移動や搬送時に鋼板間のズレが生じることがない、方向性電磁鋼板及び張力絶縁膜被覆方向性電磁鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、方向性電磁鋼板の一次被膜について詳細に検討した結果、方向性電磁鋼板に施す一次被膜は、鋼板表面全てを覆っているよりも、鋼板表面に一部覆われていない部分が存在すると、二次被膜を施した方向性電磁鋼板は、方向性電磁鋼板をコイルとして移動や搬送する過程で鋼板間のズレが生じ難くなり、かつ、トランスの鉄心製造工程においては良好な潤滑性を示し、積み重ね作業等の作業性が良好であるということを見出し、本発明に至った。即ち、本発明とするところは以下の通りである。
(1)マグネシウム珪酸塩を含む被膜を有する方向性電磁鋼板であって、前記マグネシウム珪酸塩を含む被膜による前記鋼板の表面の被覆率が、90%超99%以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板。
(2)前記マグネシウム珪酸塩を含む被膜を構成する粒子の数平均粒径が0.3μm以上1.5μm以下であることを特徴とする(1)に記載の方向性電磁鋼板。
(3)前記被膜に、スピネルMgAl4-δ相が含まれることを特徴とする(1)又は(2)に記載の方向性電磁鋼板。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の表面に、張力絶縁被膜が施されていることを特徴とする張力絶縁膜被覆方向性電磁鋼板。
(5)前記張力絶縁被膜の膜厚が、0.5μm以上2.0μm以下であることを特徴とする(4)に記載の張力絶縁膜被覆方向性電磁鋼板。
本発明によれば、方向性電磁鋼板コイルにおいて移動や搬送の過程で鋼板間のズレが生じることがなく、かつ、トランスの鉄心製造工程では良好な潤滑性を持ち、積み重ね等の作業性が良好である方向性電磁鋼板を提供できる。
コイルにした方向性電磁鋼板の鋼板間に働く力の模式図 垂直抗力と摩擦力の関係 動摩擦係数と静摩擦係数の関係 評価手法Aを説明する模式図
以下、この発明に至った経緯および本発明の詳細について具体的に説明する。
前述のように、方向性電磁鋼板に施す一次被膜は、鋼板表面全てを覆っているよりも、鋼板表面に一部覆われていない部分が存在すると、二次被膜を施した方向性電磁鋼板は、コイルにして移動や搬送する過程で鋼板間のズレが生じ難くなり、かつ、トランスの鉄心製造工程においては良好な潤滑性を示し、積み重ね作業等の作業性が良好であるということを見出した。
一般的に、材料表面の潤滑性は、最表層の材質及び形状の影響を受けると考えられている。したがって、方向性電磁鋼板について言えば、最表層である二次被膜の材質及び形状(即ち、性質)が、潤滑性に影響すると考える。しかしながら、発明者らが検討を重ねた結果、最表層の二次被膜だけではなく、その下層となる一次被膜の形状を変化させることで、最表層の二次被膜の性質、特に、潤滑性に係る性質が変化することを新たに発見し、本発明に至った。
ここで、本発明による方向性電磁鋼板は、コイルにして移動や搬送する際には鋼板間の滑りが抑制されてズレが生じ難くなるものの、トランスの鉄心製造工程においては良好な潤滑性を示すといった、一見相反する性質を持っている。この解釈について説明する。
まず、コイルにした方向性電磁鋼板コイルを移動や搬送する際に、鋼板間のズレが発生し難くなるのは、静止摩擦力の観点から次のように考える。
図1に、コイルにした方向性電磁鋼板の鋼板間に働く力の模式図を示す。方向性電磁鋼板コイルの鋼板間には、コイル自身の大きな自重により鋼板表面に垂直な方向に圧力P(負荷荷重)が発生し、この圧力と釣り合う垂直抗力Nが発生する。この垂直抗力によって、静止摩擦力Fが発生する。大きな静止摩擦力が生じることにより、コイルにおける鋼板間の滑り(ズレ)が抑制される。静止摩擦力Fは、静止摩擦係数μを用いて(2)式とで表わされる。
F=μN ・・・(2)
したがって、静止摩擦力Fは、垂直抗力Nと静止摩擦係数μで決まる。垂直抗力Nは、鋼板の自重やコイルの巻き締め力による負荷荷重Pである。一方、静止摩擦係数μは、通常、鋼板の表面性状、即ち、一次被膜の上層に被覆される二次被膜の性質に依存する。したがって、同じような巻き締め方で同じような大きさのコイルにした方向性電磁鋼板では、鋼板間のズレの生じ易さ(生じ難さ)の違いは、二次被膜の性質に依存するものである。単純には、二次被膜の表面に凹凸を持たせ、静止摩擦係数μを上げることで、コイルにおける鋼板間のズレを抑制できる。しかしながら、二次被膜の表面に必要以上に凹凸を持たせて静止摩擦係数μを大きくした場合、トランスの鉄心製造工程における潤滑性が不足し、積み重ね作業等の作業性が低下することになる。
次に、トランス製造工程における鋼板積み重ね作業等における、鋼板間の潤滑性に関しては、動摩擦力の観点から次のように考える。
トランス製造工程における鋼板積み重ね作業等では、切断された鋼板(切板)自身の自重による負荷加重P’と釣り合う垂直抗力N’が発生する。例えば、鋼板積み重ね作業時には、鋼板は滑りながら重ねられるため、鋼板表面には動摩擦力F’が発生する。動摩擦力は、動摩擦係数μ’を用いて(3)式で表わされる。
F’=μ’N’ ・・・(3)
したがって、動摩擦力F’も、垂直抗力N’と静止摩擦係数μ’で決まる。この場合の垂直抗力N’は、切断された鋼板の自重による小さな負荷荷重P’である。一方、動摩擦係数μ’は、通常、静止摩擦係数と同様に、一次被膜の上層に被覆される二次被膜の性質に依存する。したがって、単純には、二次被膜の表面の凹凸をできるだけ少なくして平滑にして、動摩擦係数μ’を小さくすることで、動摩擦力が小さくなり、鋼板間の潤滑性を向上させることができる。しかしながら、二次被膜の表面の凹凸を必要以上に少なくして平滑な表面にした場合、方向性電磁鋼板コイルにおける移動や搬送の過程で鋼板間にズレが生じ易くなる。
本発明では、方向性電磁鋼板コイルにおける移動や搬送では鋼板間の滑り(ズレ)が抑制され、一方、トランス製造工程において良好な潤滑性を示し作業性が向上する。この効果が得られる理由について、図2〜4を用いて説明する。図2は、静摩擦と動摩擦の両方を、横軸を垂直抗力n、縦軸を摩擦力fとして表わしている。上記式(2)と式(3)で示しているように、静摩擦力も動摩擦力も、それらの垂直抗力とは、それぞれの摩擦係数μ、μ’を比例係数として比例する。静摩擦係数μは、動摩擦係数μ’に比べて大きいので、図2に示すような直線になる。一方、上述のように、方向性電磁鋼板コイルの鋼板間のズレに対しては、図2の(a)領域である、大きな垂直抗力Nにおける静摩擦力Fが重要な因子となる。トランス製造工程における潤滑性に対しては、図2の(b)領域である、小さな垂直抗力N’における動摩擦力F’が重要な因子となる。そこで、方向性電磁鋼板コイルの鋼板間のズレを抑制しようとすると、静止摩擦係数μを大きくするような鋼板表面となるが、このような場合、通常、動摩擦係数μ’も大きくなり、(b)の領域での動摩擦力が大きくなってしまい、トランス製造工程における潤滑性が得られない。反対に、トランス製造工程における潤滑性を向上させようと、動摩擦係数μ’を小さくするような鋼板表面にすると、通常、静摩擦係数μも小さくなり、(a)の領域での静摩擦力が小さくなってしまい、方向性電磁鋼板コイルにおいて鋼板間のズレが生じ易くなる。このことを、動摩擦係数μ’と静摩擦係数μとの関係で見てみると、図3のように表わすことができる。静止摩擦係数μを大きくして、方向性電磁鋼板コイルの鋼板間のズレを抑制しようとすると、動摩擦係数μ’も大きくなってトランス製造工程における潤滑性が得られない。即ち、図3の矢印(d)の方向になってしまう。一方、動摩擦係数μ’を小さくして、トランス製造工程における潤滑性を向上させようとすると、静摩擦係数μも小さくなって方向性電磁鋼板コイルにおいて鋼板間のズレが生じ易くなる。即ち、図3の矢印(c)の方向になってしまう。ところが、上述のように一次被膜の形状を変化させることで、最表層の二次被膜の潤滑性に係る性質が、図3の矢印(e)の方向に変わっているものと考える。即ち、トランス製造工程における潤滑性を維持或いは向上できるように動摩擦係数μ’を低下させないで、方向性電磁鋼板コイルおいて鋼板間のズレが生じないように静摩擦係数μが大きくなっている。
図3の(e)のように摩擦係数を変化させるには、一次被膜の表面に適度な凹凸を持たせる、具体的には、一次被膜に一部欠陥を持たせることによって可能となる。前記のような一次被膜が、最表面である二次被膜の表面性質に作用して、図3(e)のように摩擦係数を変化させるものと考えられる。このような効果が得られる一次被膜の欠陥部の割合について、一次被膜の被覆率で表すと、90%超99%以下の場合である。 一次被膜による鋼板表面の被覆率が90%以下であると、二次被膜を施して方向性電磁鋼板とした後において、方向性電磁鋼板コイルの鋼板間のズレは生じ難くなるが、トランス製造工程における鋼板積み重ね作業時における潤滑性も低くなり、作業性が低下するので好ましくない。一方、一次被膜による鋼板表面の被覆率が99%を超えると、二次被膜を施して方向性電磁鋼板とした後において、トランス製造工程において必要な潤滑性は得られるが、従来の方向性電磁鋼板と同様にコイルにした方向性電磁鋼板の鋼板間のズレが生じ易くなる。
本発明における方向性電磁鋼板とは、インヒビターとなる成分を含有させた鋼素材(スラブ)から、熱間圧延、冷間圧延及び一次再結晶焼鈍の基本工程を経て、二次再結晶焼鈍(仕上げ焼鈍)にて結晶方位をGOSS方位と呼ばれる{110}<001>方位に集積した電磁鋼板である。通常、方向性電磁鋼板の板厚は0.15mm〜0.30mmである。
本発明に係る一次被膜は、方向性電磁鋼板の鋼板裏表の表面に、マグネシウム珪酸塩を含む被膜として存在する。上述のような二次被膜の表面性状の改質の他に、一次被膜は、その基本的な役割として、二次被膜を施した際に密着性を確保し、二次被膜によって十分な張力を鋼板に与えることである。一次被膜に含まれるマグネシウム珪酸塩とは、マグネシウムと珪酸を含む塩であり、フォルステライトMgSiO4-δ、及びその固溶体(例えば、(Mg,Fe)SiO4-δ)である。その他に、MgSiO、MgSiO、MgSi、MgSiなどのマグネシウム珪酸塩(珪酸マグネシウム)が挙げられる、これらの固溶体も含まれる。前記マグネシウム珪酸塩の中でも、二次被膜との密着性により優れるフォルステライトがより望ましい。前記被膜中のマグネシウム珪酸塩の同定及び定量には、X線解析法(XRD)を用いる。XRDピークの積分値で各相の検量線を作成して、サンプルを測定することにより、マグネシウム珪酸塩の各相に関し、その存在比率を算出できる。
また、一次被膜には、マグネシウム珪酸塩が主として含まれるものであるが、その他に、スピネルMgAl4-δ、ファイヤライトFeSiO、クリノフェロシライトFeSiO等の酸化物が含まれていてもよい。特に、スピネルMgAl4-δが共存しているのが好ましい。前記被膜に含まれるマグネシウム珪酸塩は、二次被膜との密着性及び鋼板との密着性を両立させて十分確保するために、被膜中に70質量%〜90質量%含まれるのがより好ましい。マグネシウム珪酸塩の含有量が70質量%未満であると、二次被膜と鋼板との間で十分な密着性が得られない場合がある。マグネシウム珪酸塩の含有量が90質量%を超えると、一次被膜自体の鋼板に対する密着性が低下する場合がある。特に、一次被膜中に、スピネルMgAl4-δが10質量%〜40質量%含まれると、一次被膜自体の鋼板に対する密着性が良好になる。前記被膜に含まれるスピネルMgAl4-δの同定及び定量には、上記のマグネシウム珪酸塩の場合と同様に、X線解析法(XRD)を用いて算出できる。
本発明では、一次被膜による鋼板裏表面の被覆率は、次のようにして決めることができる。ここで、被覆率R(%)とは、鋼板の裏表両面の面積Sに対する一次被膜が前記裏表両面を覆っている面積Scの割合Rc=100×Sc/Stである。ここで、前記被覆率Rcは、次のようにして求めるものである。走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)で、50μm×50μmの領域Stを、前記被膜の表面を上部から観察して又は写真にして、被膜の面積Scを計測する面積であり、前記値から被覆率Rc=100×Sc/Stを算出する。本発明の被覆率は、20箇所の50μm×50μmの計測から得られる値を平均したものである。
前記被覆率に関し、二次被膜を被覆した方向性電磁鋼板の一次被膜の被覆率は、前記二次被膜を湿式(化学)エッチングやドライエッチングした後に、上記と同様にSEMにて求めることができる。また、集束イオンビーム(FIB、Focused Ion Beam)を使用して二次被膜を除去しながら一次被膜を観察し、被覆率を求めることもできる。
本発明の一次被膜は、酸化物の粒子が焼結した状態で構成されるものであるが、前記粒子の粒径(数平均粒子径)は、二次被膜の張力付与を効果的にできるという観点で大きい方が好ましく、0.3μm以上1.5μm以下の範囲であるのが、より好ましい。前記粒径が0.3μm未満では、一次被膜が、酸化物の粒子が焼結した組織であるので、粒子間空隙が減少して、一次被膜による鋼板裏表面の被覆率が99%を超える場合がある。前記粒径が1.5μmを超えると、被膜組織の粒界の占める割合が少なくなるが、粗大粒であるため、粒子間空隙が増加するため、一次被膜による鋼板裏表面の被覆率が90%未満となる場合がある。ここで、前記粒径は、SEMにて方向性電磁鋼板の表面を観察し、線分法にて求められるものであり、数平均粒子径として100個の粒子の粒径の平均したものである。
前記粒径に関し、二次被膜を被覆した方向性電磁鋼板の一次被膜の粒子の粒径は、前記二次被膜を湿式(化学)エッチングやドライエッチングした後に、上記と同様にSEMにて求めることができる。また、集束イオンビーム(FIB、Focused Ion Beam)を使用して二次被膜を除去しながら一次被膜の粒子を観察し、粒径を求めることもできる。
前記二次被膜は、十分な張力を鋼板に与え、絶縁性が確保でき、トランス製造工程において必要な潤滑性が得られるもの、すなわち張力絶縁被膜、であれば、特に限定されないが、例えば、以下のような被膜を二次被膜(張力絶縁被膜)とすることができる。
二次被膜(張力絶縁被膜)の例としては、少なくとも、リン酸塩とコロイダルシリカを含む水系塗布溶液を塗布して形成される被膜である。前記リン酸塩としては、例えば、Ca、Al、Mg、Sr等のリン酸塩が挙げられる。中でも、リン酸アルミニウム塩がより好ましい。前記コロイダルシリカは特に限定はなく、その粒子サイズも適宜使用することができる。特に好ましい粒子サイズ(数平均粒径)は、200nm以下である。前記粒子サイズが、100nm未満でも分散に問題はないが製造コストが高くなって現実的でない場合がある。前記粒子サイズが、200nmを超えると処理液中で沈降する場合がある。前記塗布液には、更に、クロム酸塩を含んでもよい。前記クロム酸塩としては、例えば、Na、K、Ca、Sr等のクロム酸塩が挙げられる。中でも、無水クロム酸がより好ましい。前記塗布液には、リン酸塩3〜24質量%、コロイダルシリカ4〜16質量%が含まれているのが好ましい。更に、クロム酸塩を含む場合には、クロム酸塩が0.2〜4.5質量%含有するのが好ましい。更に、前記水系塗布溶液に、酸化ナトリウム等の添加剤を含んでもよい。
前記張力絶縁被膜(二次被膜)の膜厚は、0.5μm以上2.0μm以下であるのがより好ましい。前記膜厚が0.5μm未満では、十分な張力が得られず、良好な鉄損値が確保できない場合がある。一方、前記膜厚が2.0μmを超えると、方向性電磁鋼板全体に占める鉄の割合(占積率)が小さくなるため磁束密度が低下する場合がある。ここで、前記膜厚とは、鋼板の断面SEM観察において、任意の10視野で測定された膜厚の平均値を意味する。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
まず、本発明に係る鋼素材(珪素鋼スラブ)の成分組成について説明する。なお、%は質量%を意味する。
方向性電磁鋼板は、通常、質量%で、Siを0.8〜7%含有するので、本発明の一方向性電磁鋼板も、Siを0.8〜7%含有するが、Siの他、Mn:1%以下、Cr:0.3%以下、Cu:0.4%以下、P:0.5%以下、N:1%以下、Mo:0.1%以下、Sn:0.3%以下、Sb:0.3%以下の少なくとも1種を含有していてもよい。なお、以下、%は、質量%を意味する。
Siは、電磁鋼板(珪素鋼板)の成分として、電気抵抗を高め、鉄損(渦電流損)を下げる基本元素である。Siの含有量が7%を超えると、冷間圧延時に、材料が割れ易くなり、圧延し難くなる。一方、Siの含有量が0.8%未満では、電気抵抗が小さくなり、製品における鉄損が増加してしまう。Siの含有量が2.0〜5.0%であるのが好ましい。更には、2.5%以上であるのが好ましく、さらに好ましい範囲は2.8〜3.5%である。
C、N、S、Ti、及び、Alに関しては、二次再結晶を安定的に発現させるための集合組織制御及びインヒビター制御のために、製鋼段階で添加する場合もあるが、最終製品の鉄損特性を劣化させる元素でもあるので、脱炭焼鈍後及び仕上げ焼鈍において、低減する必要がある。それ故、これら元素の含有量は、0.005%以下、好ましくは0.003%以下にする。
鋼素材のその他の成分に関しては、本発明の作用効果を妨げない範囲で添加することができ、既存の知見をそのまま適用することができる。
例えば、Mnは、比抵抗を高めて鉄損を低減するのに有効な元素である。また、Mnは、製造工程において、熱間圧延における割れの発生を防止するためにも有効な元素であるが、添加量が1%を超えると、製品の磁束密度が低下してしまうので、上限を1%とする。
Crも、比抵抗を高めて鉄損を低減するのに有効な元素である。さらに、Crは、脱炭焼鈍後の表面酸化層を改善し、グラス被膜形成に有効な元素であり、0.3%以下の範囲で添加する。
Cuも、比抵抗を高めて鉄損を低減するのに有効な元素であるが、添加量が0.4%を超えると、鉄損低減効果が飽和してしまうとともに、製造工程において、熱間圧延時に“カッパーヘゲ”なる表面疵の原因になるので、上限を、0.4%とする。
Pも、比抵抗を高めて鉄損を低減するのに有効な元素であるが、添加量が0.5%を超えると、鋼板の圧延性に問題が生じるので、上限を0.5%とする。
Niも、比抵抗を高めて鉄損を低減するのに有効な元素である。また、Niは、熱延板の金属組織を制御して、磁気特性を高めるうえで有効な元素であるが、添加量が1%を超えると、二次再結晶が不安定になるので、上限を1%とする。
Moも、比抵抗を高めて鉄損を低減するのに有効な元素であるが、添加量が0.1%を超えると、鋼板の圧延性に問題が生じるので、上限を0.1%とする。
SnとSbは、二次再結晶を安定化させ、{110}<001>方位を発達させるのに有効な元素であるが、0.3%を超えると、グラス被膜の形成に悪影響を及ぼすので、上限を0.3%とする。
本発明の方向性電磁鋼板の基本的な製造方法は、特許文献3〜7に基づく従来開示された製造方法等を適用すればよい。
方向性電磁鋼板は{110}<001>方位に集積した結晶粒により構成されたSiを7%以下含有した鋼板である。そのような方向性電磁鋼板の製造における結晶方位の制御は、二次再結晶とよばれるカタストロフィックな粒成長現象を利用して達成される。この二次再結晶を制御するためには、(1)二次再結晶前の一次再結晶組織の調整と、(2)インヒビターとよばれる微細析出物もしくは粒界偏析元素の調整を行うことが必要である。このインヒビターは、一次再結晶組織のなかで、一般の粒の成長を抑制し、{110}<001>方位のみを優先的に成長させる機能を持つ。
インヒビターに関しては従来数多くの研究がなされており、代表的な析出物としては、M.F.Littmannら(特許文献3)、J.E.MayとD.Turnbull(非特許文献1)はMnSを、田口や坂倉ら(特許文献4)はAlNとMnSを、今中等(特許文献5)はMnSeとSbを開示している。
これらのインヒビターを微細析出させるための方法として、熱延前のスラブ加熱時にMnS、AlN、MnSe等の析出物を完全に固溶させ、その後の熱延工程や熱延板焼鈍時の冷却工程で析出させる方法が用いられている。二次再結晶に必要な量のインヒビターを完全固溶するためには1400℃程度の炉にスラブを長時間挿入する必要がある。これは普通鋼のスラブ加熱温度に比べて約200℃高く、専用の高温スラブ加熱炉が必要、加熱炉のエネルギー原単位が高い、溶融スケール量が多く加熱炉の維持費がかさむ、等の問題が生じる。
このような問題点を解消するために1280℃以下の普通鋼なみのスラブ加熱で方向性電磁鋼板を製造する技術が開発された。スラブ加熱を下げるとインヒビターとして機能する析出物の量が低下して二次再結晶が不安定化するために、何らかの方法でインヒビターを強化する必要がある。小松らは、窒化処理により形成した(Al、Si)Nをインヒビターとして用いる方法を特許文献6で開示している。また、その際の窒化処理の方法として、小林らは、脱炭焼鈍後にストリップ状で窒化する方法を特許文献7で開示している。
前記のようにして得られた脱炭板又は脱炭窒化板に、焼鈍分離剤を塗布して、1100℃以上の温度で仕上げ焼鈍を行う。仕上げ焼鈍は二次再結晶を主目的としているが、この過程でマグネシウム珪酸塩を含む被膜(一次被膜)を形成する。前記焼鈍分離剤の塗布の方法としては公知の方法でよく、特に、前記焼鈍分離剤を水スラリーとしてロールコーターなどで鋼板に塗布する方法、静電塗布にて鋼板に粉体を付着させる方法などが好ましい。また、前記焼鈍分離剤の水スラリーは、焼鈍分離剤となる、マグネシアMgOを主として含む固形分が12〜20質量%含むスラリーである。また、前記固形分には、マグネシアが85〜98質量%(固形分を100質量%とした場合)含有するのが好ましい。また、後述するように、焼鈍分離剤の固形分としてマグネシア以外にいくつかの添加剤も使用される。
前記水スラリーを得る方法としては、焼鈍分離剤となる固形分の各原料をそれぞれ水に加えて混合し、水スラリーを得る方法、あらかじめ焼鈍分離剤となる固形分の各原料を粉末状態で混合した後に、前記混合粉末を水に加えて水スラリーを得る方法の何れでもよい。
本発明に係るマグネシウム珪酸塩を含む被膜(一次被膜)の被覆率は、どのような方法で制御してもよいが、例えば、次のようにして制御できる。
仕上げ焼鈍で使用する焼鈍分離剤に、特定の比表面積を持つセリウム化合物を添加し、その添加量によって前記被覆率を制御できる。セリウム化合物の比表面積が大きくなると被覆率が小さくなる傾向がある。また、セリウム化合物の添加量を多くしても、被覆率が小さくなる傾向がある。前記セリウム化合物としては、例えば、CeO、Ce、Ce(OH)、Ce、Ce(SO・nHO(nは0以上の数)、Ce(SO・nHO(nは0以上の数)があげられる。中でもCe(OH)が、被覆率の制御性が良いので、より好ましい。比表面積2〜300g/mの前記セリウム化合物を、焼鈍分離剤の固形分総量に対して0.1〜9.9質量%となるように添加することで、本発明のより好ましい被覆率に制御できる。
本発明に係るマグネシウム珪酸塩を含む被膜を構成する粒子の粒径は、どのような方法で制御してもよいが、例えば、次のようにして制御できる。前記粒子の粒径は、仕上げ焼鈍の温度の影響を受ける。仕上げ焼鈍温度が高くなるとともに、被膜を構成する結晶粒が成長するため、粒子の粒径が増加する。
本発明では、上述の方向性電磁鋼板に、二次被膜(張力絶縁被膜)を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、以下のような方法で前記被膜を形成できる。
二次被膜(張力絶縁被膜)が形成できる上述の塗布液を、ロールコーター等の湿式塗布方法で鋼板表面塗布し、空気中、800〜900℃の温度で10〜60秒間焼き付けることによって、二次被膜(張力絶縁被膜)を形成できる。
さらに、必要に応じ、上記の方向性電磁鋼板に、レーザー照射、プラズマ照射、歯型ロールやエッチングによる溝加工等のいわゆる磁区細分化処理を施すことができる。
以上、本発明の様態について説明したが、さらに、実施例を用いて、本発明の実施可能性及び効果について説明する。
(実施例1)
C:0.06質量%、Si:3.3質量%、Mn:0.1質量%、酸可溶性Al:0.027質量%、N:0.008質量%、S:0.07質量%を含有する珪素鋼スラブを1150℃の温度で加熱した後、熱間圧延によって、2.3mm厚にし、この熱間圧延板を1100℃で焼鈍し、その後、0.23mm厚に冷間圧延した。この冷延板を、820℃、露点65℃で120秒間、PH2O/PH2=0.26〜0.33の酸化性湿潤水素-窒素雰囲気で脱炭焼鈍し、続いて750℃で30秒間、アンモニア含有雰囲気中で焼鈍し、鋼板中の窒素量を0.023質量%とした。その後、焼鈍分離剤のスラリーを鋼板にロールコーターで塗布し、炉温700〜800℃で焼付け、コイルとして巻き取った。焼鈍分離剤のスラリーは、固形分16質量%である。また、焼鈍分離剤(固形分)は、マグネシアを主成分とし、表1に示した添加剤を表1の添加量(固形分総量に対する添加剤の質量%)で添加した。仕上げ焼鈍は、前記焼鈍分離剤を塗布したコイルを、N225%、H275%の雰囲気で、1200℃まで昇温速度15℃/hで加熱した後、H2100%の雰囲気で、20時間焼鈍した。更に二次被膜を次のように被覆した。
二次被膜とする塗布液は、重リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、無水クロム酸、を主として配合した水系塗布液とした。ここでは、数平均粒径150nmのサイズのコロイダルシリカを用いた。該塗布液をロールコーターで塗布し、850℃で10秒間焼付け、膜厚1μmの二次被膜を施した。ここで、鋼板表面の一次被膜による被覆率は、二次被膜を80℃、20%水酸化ナトリウム水溶液に15分浸漬することで除去した後に、上述と同様にしてSEMにより鋼板表面を観察することにより求めた。
前述のようにして得られた方向電磁鋼板の潤滑性の評価に関しては、JISのK7125に準拠して鋼板同士の静止摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。この時の動摩擦係数によって、トランス製造工程における潤滑性の善し悪しを判断した。その結果を表2に示す。表2では、各動摩擦係数は、従来と同じ方法で製造した例(比較例1−1)の動摩擦係数を「1」として比較した割合で示している。前記静止摩擦係数も同様に表わしている。
また、方向性電磁鋼板コイルにおける鋼板間にズレ易さの程度に関しては、次のような模擬試験で判断した。即ち、高い抗力における静止摩擦力を測定している。図4に示すように幅50cm、長さ300cmに切り出した試験片を3枚重ね、30kgの荷重を垂直方向から加え、中央の板を水平方向に引っ張った際に動き始める応力を測定した(評価手法A)。その結果を表2に示す。表2では、各評価手法Aによる静止摩擦力は、従来と同じ方法で製造した例(比較例1−1)の静止摩擦力を「1」として比較した割合で示している。
表2から明らかなように、被覆率が90%未満の場合(比較例No.1−2〜1−4)、評価手法Aでの応力(静止摩擦力)も1.4〜2.3と高いので、コイルにおける鋼板間にズレが発生しにくいものの、動摩擦係数が3.2〜3.4も高いため、トランス製造工程における潤滑性が悪いものである。また、被覆率が99%を超えた場合(比較例No.1−5)、動摩擦係数及び評価手法Aでの応力(静止摩擦力)の両方とも従来と同じであり、コイルにおける鋼板間にズレが発生及びトランス製造工程における潤滑性の改善が見られないものであった。
一方で、被覆率が90%を超えて99%以下の範囲にある実施例No.1−6〜1−11は、動摩擦係数が1以下であり、トランス製造工程における潤滑性は従来と同じであるか、向上しており、更に、評価手法Aでの応力(静止摩擦力)は1を超えており、従来よりもコイルにおける鋼板間にズレが発生しにくいものとなっている。
Figure 2011246770
Figure 2011246770
(実施例2)
C:0.06質量%、Si:3.3質量%、Mn:0.1質量%、酸可溶性Al:0.027質量%、N:0.008質量%、S:0.07質量%を含有する珪素鋼スラブを1150℃の温度で加熱した後、熱間圧延によって、2.3mm厚にし、この熱間圧延板を1100℃で焼鈍し、その後、0.23mm厚に冷間圧延した。この冷延板を、820℃、露点55℃〜70℃で120秒間、PH2O/PH2=0.26〜0.33の酸化性湿潤水素-窒素雰囲気で脱炭焼鈍し、続いて750℃で30秒間、アンモニア含有雰囲気中で焼鈍し、鋼板中の窒素量を0.023質量%とした。その後、焼鈍分離剤のスラリーを鋼板にロールコーターで塗布し、炉温700〜800℃で焼付け、コイルとして巻き取った。焼鈍分離剤のスラリーは、固形分16質量%である。また、焼鈍分離剤(固形分)は、マグネシアを主成分とし、表3に示した添加剤を表3の添加量(固形分総量に対する添加剤の質量%)で添加した。仕上げ焼鈍は、前記焼鈍分離剤を塗布したコイルを、N225%、H275%の雰囲気で、1050〜1300℃まで昇温速度15℃/hで加熱した後、H2100%の雰囲気で、20時間焼鈍した。更に二次被膜を次のように被覆した。
二次被膜とする塗布液は、重リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、無水クロム酸、を主として配合した水系塗布液とした。ここでは、数平均粒径150nmのサイズのコロイダルシリカを用いた。該塗布液をロールコーターで塗布し、850℃で10秒間焼付、膜厚1μmの二次被膜を施した。ここで、鋼板表面の一次被膜による被覆率は、二次被膜を80℃、20%水酸化ナトリウム水溶液に15分浸漬することで除去した後に、上述と同様にしてSEMにより鋼板表面を観察することにより求めた。また鋼板表面の一次被膜の粒径は、被覆率と同様に二次被膜を除去した後、上述と同様にしてSEMにより鋼板表面を観察することにより求めた。
前述のようにして得られた方向電磁鋼板の潤滑性の評価に関しては、JISのK7125に準拠して鋼板同士の静止摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。この時の動摩擦係数によって、トランス製造工程における潤滑性の善し悪しを判断した。その結果を表4に示す。表4では、各動摩擦係数は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の動摩擦係数を「1」として比較した割合で示している。前記静止摩擦係数も同様に表している。
また、方向性電磁鋼板コイルにおける鋼板間のズレ易さの程度に関しては、実施例1と同様に、図4で示した模擬試験により判断した。その結果を表4に示す。表4では、各評価手法Aによる静止摩擦力は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の静止摩擦力を「1」として比較した割合で示している。
表4から明らかなように、粒径が0.3μm未満の場合(比較例No.2−7〜2−8)、評価手法Aでの応力(静止摩擦力)が1.2と高いので、コイルにおける鋼板間にズレが発生しにくいものの、動摩擦係数も1.1と高いため、トランス製造工程における潤滑性が悪いものである。また、粒径が1.5μmを超えた場合(比較例No.2−9、2−10)、被覆率は85〜90%と低いので、評価手法Aでの応力(静止摩擦力)が1.6〜2.1と高くなり、コイルにおける鋼板間にズレが発生しにくいものの、動摩擦係数も3.4〜3.5と高いため、トランス製造工程における潤滑性が悪いものである。
一方で、粒径が0.3μm以上1.5μm以下の範囲にある実施例No.2−1〜2−6は、動摩擦係数が1未満であり、トランス製造工程における潤滑性は従来より向上しており、更に、評価手法Aでの応力(静止摩擦力)は1を超えており、従来よりもコイルにおける鋼板間にズレが発生しにくいものとなっている。
Figure 2011246770
Figure 2011246770
(実施例3)
C:0.06質量%、Si:3.3質量%、Mn:0.1質量%、酸可溶性Al:0.027質量%、N:0.008質量%、S:0.07質量%を含有する珪素鋼スラブを1150℃の温度で加熱した後、熱間圧延によって、2.3mm厚にし、この熱間圧延板を1100℃で焼鈍し、その後、0.23mm厚に冷間圧延した。この冷延板を、820℃、露点55℃〜70℃で120秒間、PH2O/PH2=0.26〜0.33の酸化性湿潤水素-窒素雰囲気で脱炭焼鈍し、続いて750℃で30秒間、アンモニア含有雰囲気中で焼鈍し、鋼板中の窒素量を0.023質量%とした。その後、焼鈍分離剤のスラリーを鋼板にロールコーターで塗布し、炉温700〜800℃で焼付け、コイルとして巻き取った。焼鈍分離剤のスラリーは、固形分16質量%である。また、焼鈍分離剤(固形分)は、マグネシアを主成分とし、表5に示した添加剤を表5の添加量(固形分総量に対する添加剤の質量%)で添加した。仕上げ焼鈍は、前記焼鈍分離剤を塗布したコイルを、N225%、H275%の雰囲気で、1200℃まで昇温速度15℃/hで加熱した後、H2100%の雰囲気で、20時間焼鈍した。更に二次被膜を次のように被覆した。
二次被膜とする塗布液は、重リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、無水クロム酸、を主として配合した水系塗布液とした。ここでは、数平均粒径150nmのサイズのコロイダルシリカを用いた。該塗布液をロールコーターで塗布し、850℃で10秒間焼付け、膜厚0.2〜2.5μmの二次被膜を施した。ここで、鋼板表面の一次被膜による被覆率は、二次被膜を80℃、20%水酸化ナトリウム水溶液に15分浸漬することで除去した後に、上述と同様にしてSEMにより鋼板表面を観察することにより求めた。
前述のようにして得られた方向性電磁鋼板の潤滑性の評価に関しては、JISのK7125に準拠して、トランス製造工程における潤滑性の善し悪しを判断した。その結果を表6に示す。表6では、各動摩擦係数は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の動摩擦係数を「1」として比較した割合で示している。前記静止摩擦係数も同様に表している。また、方向性電磁鋼板コイルにおける鋼板間のズレ易さの程度に関しては、実施例1と同様に、図4で示した模擬試験により判断した。その結果を表6に示す。表6では、各評価手法Aによる静止摩擦力は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の静止摩擦力を「1」として比較した割合で示している。磁気特性はエプスタイン法により磁束密度B8(磁界800A/mにおける磁束密度)及び鉄損W17/50(磁束密度1.7T、周波数50Hzにおける鉄損)を評価した。その結果を表6に示す。
表6から明らかなように、二次被膜の膜厚が0.5μm未満の場合(比較例No.3−1)、鉄損値が1以上と高かった。また二次被膜の膜厚が2.0μmを超える場合(比較例No.3−6)、占積率の低下によって、磁束密度が1.88Tと低くなった。
一方で、二次被膜の膜厚が0.5〜2.0μmの範囲にある実施例No.3−2〜3−5は、磁束密度は1.92T以上、鉄損値は1以下と良好な磁気特性となった。
Figure 2011246770
Figure 2011246770
(実施例4)
C:0.06質量%、Si:3.3質量%、Mn:0.1質量%、酸可溶性Al:0.027質量%、N:0.008質量%、S:0.07質量%を含有する珪素鋼スラブを1150℃の温度で加熱した後、熱間圧延によって、2.3mm厚にし、この熱間圧延板を1100℃で焼鈍し、その後、0.23mm厚に冷間圧延した。この冷延板を、830℃、露点55℃〜70℃で120秒間、PH2O/PH2=0.26〜0.33の酸化性湿潤水素-窒素雰囲気で脱炭焼鈍し、続いて750℃で30秒間、アンモニア含有雰囲気中で焼鈍し、鋼板中の窒素量を0.023質量%とした。その後、焼鈍分離剤のスラリーを鋼板にロールコーターで塗布し、炉温700〜800℃で焼付け、コイルとして巻き取った。焼鈍分離剤のスラリーは、固形分16質量%である。また、焼鈍分離剤(固形分)は、マグネシアを主成分とし、表7に示した添加剤を表7の添加量(固形分総量に対する添加剤の質量%)で添加した。仕上げ焼鈍は、前記焼鈍分離剤を塗布したコイルを、N225%、H275%の雰囲気で、1200℃まで昇温速度15℃/hで加熱した後、H2100%の雰囲気で、20時間焼鈍した。前述のようにして得られた仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板の表面について、上述と同様にしてXRD測定を行い、表7に示すスピネル量が形成されていることを確認した。更に二次被膜を次のように被覆した。
二次被膜とする塗布液は、重リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、無水クロム酸、を主として配合した水系塗布液とした。ここでは、数平均粒径150nmのサイズのコロイダルシリカを用いた。該塗布液をロールコーターで塗布し、850℃で10秒間焼付けた。膜厚1μmの二次被膜を施した。ここで、鋼板表面の一次被膜による被覆率は、二次被膜を80℃、20%水酸化ナトリウム水溶液に15分浸漬することで除去した後に、上述と同様にしてSEMにより鋼板表面を観察することにより求めた。
前述のようにして得られた方向性電磁鋼板の潤滑性の評価に関しては、JISのK7125に準拠して、トランス製造工程における潤滑性の善し悪しを判断した。その結果を表8に示す。表8では、各動摩擦係数は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の動摩擦係数を「1」として比較した割合で示している。前記静止摩擦係数も同様に表している。また、方向性電磁鋼板コイルにおける鋼板間のズレ易さの程度に関しては、実施例1と同様に、図4で示した模擬試験により判断した。その結果を表8に示す。表8では、各評価手法Aによる静止摩擦力は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の静止摩擦力を「1」として比較した割合で示している。その結果を表8に示す。密着性の評価には、鋼板試験板を直径20mmの角を持つ金型に沿って、180°の角度に折り曲げ、折り曲げ部分を実体顕微鏡で観察した。ここで加工部面積(試験片が金型に接する面積)に対して張力絶縁被膜の剥離した面積が0%の場合には「◎」、0%を超えて5%未満の場合には「○」とし、5%以上の場合には「△」とした。その結果を表8に示す。
表8から明らかなように、スピネル量が10質量%未満である実施例No.4−1、4−2、40質量%超である実施例No.4−6においては、スピネル量が10質量%〜40質量%である実施例No.4−3〜4−5と比較して被膜密着性が劣ったものとなっている。
Figure 2011246770
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(実施例5)
C:0.06質量%、Si:3.3質量%、Mn:0.08質量%、酸可溶性Al:0.027質量%、N:0.008質量%、S:0.025質量%を含有する珪素鋼スラブを1360℃の温度で加熱した後、熱間圧延によって、2.3mm厚にし、この熱間圧延板を1100℃で焼鈍し、その後、0.23mm厚に冷間圧延した。この冷延板を、820℃、露点65℃で120秒間、PH2O/PH2=0.26〜0.33の酸化性湿潤水素-窒素雰囲気で脱炭焼鈍を施した。その後、焼鈍分離剤のスラリーを鋼板にロールコーターで塗布し、炉温700〜800℃で焼付け、コイルとして巻き取った。焼鈍分離剤のスラリーは、固形分16質量%である。また、焼鈍分離剤(固形分)は、マグネシアを主成分とし、表9に示した添加剤を表9の添加量(固形分総量に対する添加剤の質量%)で添加した。仕上げ焼鈍は、前記焼鈍分離剤を塗布したコイルを、N225%、H275%の雰囲気で、1200℃まで昇温速度15℃/hで加熱した後、H2100%の雰囲気で、20時間焼鈍した。更に二次被膜を次のように被覆した。
二次被膜とする塗布液は、重リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、無水クロム酸を主として配合した水系塗布液とした。ここでは、数平均粒径150nmのサイズのコロイダルシリカを用いた。該塗布液をロールコーターで塗布し、850℃で10秒間焼付け、膜厚1μmの二次被膜を施した。ここで、鋼板表面の一次被膜による被覆率は、二次被膜を80℃、20%水酸化ナトリウム水溶液に15分浸漬することで除去した後に、上述と同様にしてSEMにより鋼板表面を観察することにより求めた。
前述のようにして得られた方向電磁鋼板の潤滑性の評価に関しては、JISのK7125に準拠して鋼板同士の静止摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。この時の動摩擦係数によって、トランス製造工程における潤滑性の善し悪しを判断した。その結果を表10に示す。表10では、各動摩擦係数は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の動摩擦係数を「1」として比較した割合で示している。前記静止摩擦係数も同様に表わしている。
また、方向性電磁鋼板コイルにおける鋼板間のズレ易さの程度に関しては、実施例1と同様に、図4で示した模擬試験により判断した。その結果を表10に示す。表10では、各評価手法Aによる静止摩擦力は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の静止摩擦力を「1」として比較した割合で示している。
表10から明らかなように、被覆率が90%未満の場合(比較例No.5−2〜5−4)、評価手法Aでの応力(静止摩擦力)も1.4〜2.3と高いので、コイルにおける鋼板間にズレが発生しにくいものの、動摩擦係数が3.2〜3.4も高いため、トランス製造工程における潤滑性が悪いものである。また、被覆率が99%を超えた場合(比較例No.5−5)、動摩擦係数及び評価手法Aでの応力(静止摩擦力)の両方とも従来と同じであり、コイルにおける鋼板間にズレが発生及びトランス製造工程における潤滑性の改善が見られないものであった。
一方で、被覆率が90%を超えて99%以下の範囲にある実施例No.5−6〜5−11は、動摩擦係数が1以下であり、トランス製造工程における潤滑性は従来と同じであるか、向上しており、更に、評価手法Aでの応力(静止摩擦力)は1を超えており、従来よりもコイルにおける鋼板間にズレが発生しにくいものとなっている。
Figure 2011246770
Figure 2011246770
(実施例6)
C:0.06質量%、Si:3.3質量%、Mn:0.08質量%、酸可溶性Al:0.027質量%、N:0.008質量%、S:0.025質量%を含有する珪素鋼スラブを1360℃の温度で加熱した後、熱間圧延によって、2.3mm厚にし、この熱間圧延板を1100℃で焼鈍し、その後、0.23mm厚に冷間圧延した。この冷延板を、820℃、露点55℃〜70℃で120秒間、PH2O/PH2=0.26〜0.33の酸化性湿潤水素-窒素雰囲気で脱炭焼鈍を施した。その後、焼鈍分離剤のスラリーを鋼板にロールコーターで塗布し、炉温700〜800℃で焼付け、コイルとして巻き取った。焼鈍分離剤のスラリーは、固形分16質量%である。また、焼鈍分離剤(固形分)は、マグネシアを主成分とし、表11に示した添加剤を表11の添加量(固形分総量に対する添加剤の質量%)で添加した。仕上げ焼鈍は、前記焼鈍分離剤を塗布したコイルを、N225%、H275%の雰囲気で、1050〜1300℃まで昇温速度15℃/hで加熱した後、H2100%の雰囲気で、20時間焼鈍した。更に二次被膜を次のように被覆した。
二次被膜とする塗布液は、重リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、無水クロム酸を主として配合した水系塗布液とした。ここでは、数平均粒径150nmのサイズのコロイダルシリカを用いた。該塗布液をロールコーターで塗布し、850℃で10秒間焼付、膜厚1μmの二次被膜を施した。ここで、鋼板表面の一次被膜による被覆率は、二次被膜を80℃、20%水酸化ナトリウム水溶液に15分浸漬することで除去した後に、上述と同様にしてSEMにより鋼板表面を観察することにより求めた。また鋼板表面の一次被膜の粒径は、被覆率と同様に二次被膜を除去した後、上述と同様にしてSEMにより鋼板表面を観察することにより求めた。
前述のようにして得られた方向電磁鋼板の潤滑性の評価に関しては、JISのK7125に準拠して鋼板同士の静止摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。この時の動摩擦係数によって、トランス製造工程における潤滑性の善し悪しを判断した。その結果を表12に示す。表12では、各動摩擦係数は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の動摩擦係数を「1」として比較した割合で示している。前記静止摩擦係数も同様に表している。
また、方向性電磁鋼板コイルにおける鋼板間のズレ易さの程度に関しては、実施例1と同様に、図4で示した模擬試験により判断した。その結果を表12に示す。表12では、各評価手法Aによる静止摩擦力は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の静止摩擦力を「1」として比較した割合で示している。
表12から明らかなように、粒径が0.3μm未満の場合(比較例No.6−7〜6−8)、評価手法Aでの応力(静止摩擦力)が1.2と高いので、コイルにおける鋼板間にズレが発生しにくいものの、動摩擦係数も1.1と高いため、トランス製造工程における潤滑性が悪いものである。また、粒径が1.5μmを超えた場合(比較例No.6−9、6−10)、被覆率は85〜90%と低いので、評価手法Aでの応力(静止摩擦力)が1.6〜2.1と高くなり、コイルにおける鋼板間にズレが発生しにくいものの、動摩擦係数も3.4〜3.5と高いため、トランス製造工程における潤滑性が悪いものである。
一方で、粒径が0.3μm以上1.5μm以下の範囲にある実施例No.6−1〜6−6は、動摩擦係数が1未満であり、トランス製造工程における潤滑性は従来より向上しており、更に、評価手法Aでの応力(静止摩擦力)は1を超えており、従来よりもコイルにおける鋼板間にズレが発生しにくいものとなっている。
Figure 2011246770
Figure 2011246770
(実施例7)
C:0.06質量%、Si:3.3質量%、Mn:0.08質量%、酸可溶性Al:0.027質量%、N:0.008質量%、S:0.025質量%を含有する珪素鋼スラブを1360℃の温度で加熱した後、熱間圧延によって、2.3mm厚にし、この熱間圧延板を1100℃で焼鈍し、その後、0.23mm厚に冷間圧延した。この冷延板を、820℃、露点55℃〜70℃で120秒間、PH2O/PH2=0.26〜0.33の酸化性湿潤水素-窒素雰囲気で脱炭焼鈍を施した。その後、焼鈍分離剤のスラリーを鋼板にロールコーターで塗布し、炉温700〜800℃で焼付け、コイルとして巻き取った。焼鈍分離剤のスラリーは、固形分16質量%である。また、焼鈍分離剤(固形分)は、マグネシアを主成分とし、表13に示した添加剤を表13の添加量(固形分総量に対する添加剤の質量%)で添加した。仕上げ焼鈍は、前記焼鈍分離剤を塗布したコイルを、N225%、H275%の雰囲気で、1200℃まで昇温速度15℃/hで加熱した後、H2100%の雰囲気で、20時間焼鈍した。更に二次被膜を次のように被覆した。
二次被膜とする塗布液は、重リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、無水クロム酸を主として配合した水系塗布液とした。ここでは、数平均粒径150nmのサイズのコロイダルシリカを用いた。該塗布液をロールコーターで塗布し、850℃で10秒間焼付け、膜厚0.2〜2.5μmの二次被膜を施した。ここで、鋼板表面の一次被膜による被覆率は、二次被膜を80℃、20%水酸化ナトリウム水溶液に15分浸漬することで除去した後に、上述と同様にしてSEMにより鋼板表面を観察することにより求めた。
前述のようにして得られた方向性電磁鋼板の潤滑性の評価に関しては、JISのK7125に準拠して、トランス製造工程における潤滑性の善し悪しを判断した。その結果を表14に示す。表14では、各動摩擦係数は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の動摩擦係数を「1」として比較した割合で示している。前記静止摩擦係数も同様に表している。また、方向性電磁鋼板コイルにおける鋼板間のズレ易さの程度に関しては、実施例1と同様に、図4で示した模擬試験により判断した。その結果を表14に示す。表14では、各評価手法Aによる静止摩擦力は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の静止摩擦力を「1」として比較した割合で示している。磁気特性はエプスタイン法により磁束密度B8(磁界800A/mにおける磁束密度)及び鉄損W17/50(磁束密度1.7T、周波数50Hzにおける鉄損)を評価した。その結果を表14に示す。
表14から明らかなように、二次被膜の膜厚が0.5μm未満の場合(比較例No.7−1)、鉄損値が1以上と高かった。また二次被膜の膜厚が2.0μmを超える場合(比較例No.7−6)、占積率の低下によって、磁束密度が1.88Tと低くなった。
一方で、二次被膜の膜厚が0.5〜2.0μmの範囲にある実施例No.7−2〜7−5は、磁束密度は1.92T以上、鉄損値は1以下と良好な磁気特性となった。
Figure 2011246770
Figure 2011246770
(実施例8)
C:0.06質量%、Si:3.3質量%、Mn:0.08質量%、酸可溶性Al:0.027質量%、N:0.008質量%、S:0.025質量%を含有する珪素鋼スラブを1360℃の温度で加熱した後、熱間圧延によって、2.3mm厚にし、この熱間圧延板を1100℃で焼鈍し、その後、0.23mm厚に冷間圧延した。この冷延板を、830℃、露点55℃〜70℃で120秒間、PH2O/PH2=0.26〜0.33の酸化性湿潤水素-窒素雰囲気で脱炭焼鈍を施した。その後、焼鈍分離剤のスラリーを鋼板にロールコーターで塗布し、炉温700〜800℃で焼付け、コイルとして巻き取った。焼鈍分離剤のスラリーは、固形分16質量%である。また、焼鈍分離剤(固形分)は、マグネシアを主成分とし、表15に示した添加剤を表15の添加量(固形分総量に対する添加剤の質量%)で添加した。仕上げ焼鈍は、前記焼鈍分離剤を塗布したコイルを、N225%、H275%の雰囲気で、1200℃まで昇温速度15℃/hで加熱した後、H2100%の雰囲気で、20時間焼鈍した。前述のようにして得られた仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板の表面について、上述と同様にしてXRD測定を行い、表15に示すスピネル量が形成されていることを確認した。更に二次被膜を次のように被覆した。
二次被膜とする塗布液は、重リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、無水クロム酸を主として配合した水系塗布液とした。ここでは、数平均粒径150nmのサイズのコロイダルシリカを用いた。ここでは、数平均粒径150nmのサイズのコロイダルシリカを用いた。該塗布液をロールコーターで塗布し、850℃で10秒間焼付けた。膜厚1μmの二次被膜を施した。ここで、鋼板表面の一次被膜による被覆率は、二次被膜を80℃、20%水酸化ナトリウム水溶液に15分浸漬することで除去した後に、上述と同様にしてSEMにより鋼板表面を観察することにより求めた。
前述のようにして得られた方向性電磁鋼板の潤滑性の評価に関しては、JISのK7125に準拠して、トランス製造工程における潤滑性の善し悪しを判断した。その結果を表16に示す。表16では、各動摩擦係数は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の動摩擦係数を「1」として比較した割合で示している。前記静止摩擦係数も同様に表している。また、方向性電磁鋼板コイルにおける鋼板間のズレ易さの程度に関しては、実施例1と同様に、図4で示した模擬試験により判断した。その結果を表16に示す。表16では、各評価手法Aによる静止摩擦力は、従来と同じ方法で製造した例(実施例1の比較例1−1)の静止摩擦力を「1」として比較した割合で示している。その結果を表16に示す。密着性の評価には、鋼板試験板を直径20mmの角を持つ金型に沿って、180°の角度に折り曲げ、折り曲げ部分を実体顕微鏡で観察した。ここで加工部面積(試験片が金型に接する面積)に対して張力絶縁被膜の剥離した面積が0%の場合には「◎」、0%を超えて5%未満の場合には「○」とし、5%以上の場合には「△」とした。その結果を表16に示す。
表16から明らかなように、スピネル量が10質量%未満である実施例No.8−1、8−2、40質量%超である実施例No.8−6においては、スピネル量が10質量%〜40質量%である実施例No.8−3〜8−5と比較して被膜密着性が劣ったものとなっている。
Figure 2011246770
Figure 2011246770

Claims (5)

  1. マグネシウム珪酸塩を含む被膜を有する方向性電磁鋼板であって、前記マグネシウム珪酸塩を含む被膜による前記鋼板の表面の被覆率が、90%超99%以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板。
  2. 前記マグネシウム珪酸塩を含む被膜を構成する粒子の数平均粒径が0.3μm以上1.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
  3. 前記被膜に、スピネルMgAl4-δ相が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の方向性電磁鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の表面に、張力絶縁被膜が施されていることを特徴とする張力絶縁膜被覆方向性電磁鋼板。
  5. 前記張力絶縁被膜の膜厚が、0.5μm以上2.0μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の張力絶縁膜被覆方向性電磁鋼板。
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