JP2011244712A - 濃色粉末醤油およびその製造法 - Google Patents

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朋子 水谷
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誠 岡安
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弘美 岡部
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Abstract

【課題】濃厚な色調を有し、苦味がなく、かつ、保存中の固結に対する安定性が高い濃色粉末醤油を提供する。
【解決手段】醤油に糖類および有機酸または無機酸もしくはその塩を添加した後、加熱して得られる濃色醤油に醤油を加え、グルコース濃度が3.0mg/g以下となるまで加熱し原料濃色醤油を得る。該原料濃色醤油を乾燥粉末化して、グルコース濃度が40mg/g以下で、かつ、1%(w/v)水溶液の470nmにおける吸光度が0.5以上となる濃色粉末醤油を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、保存中に固結しにくく、かつ、苦味のない濃色粉末醤油に関する。
加工食品業界において、焼成した菓子生地またはポテトチップ等に醤油香味を付与する手段としては、生地の表面に粉末醤油を付着させる方法が知られている。粉末醤油は、濃口醤油等に賦形剤を添加した後、スプレードライ法、ドラムドライ法、フリーズドライ法等の常法による乾燥粉末化を行うことで製造される。
粉末醤油を用いて食品を加工する際、味や香りの他、色もその食品の品質に与える影響が大きいことから、濃色の粉末醤油が人気であり、これに対する需要は大きい。しかし、通常知られる濃口醤油を常法により単に粉末化したのみでは、その色調が薄いという欠点がある。
この需要に応えるべく通常の濃口醤油にカラメルと賦形剤とを添加し、溶解した後、常法により濃色粉末醤油を製造する方法が知られている。しかし、この方法により得られた濃色粉末醤油には、苦味を有するという欠点がある。また、該濃色粉末醤油は、食品添加物であるカラメルを使用してなるものであるから、食品衛生法の規定によりカラメルを使用することができない味付け海苔や海苔の佃煮等への利用は困難である。また、食の安全に対する関心が高まっている昨今において、このような添加物の使用は、消費者にやや受け入れられ難いものとなっている。
そこで本出願人は、醤油に糖類および有機酸もしくは無機酸またはその塩を添加した後、加熱処理して得られる濃色醤油を、醤油に添加し、乾燥粉末化することを特徴とする濃色粉末醤油の製造方法を開発し、特許出願している(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法により得られる濃色粉末醤油は、通常の粉末醤油に比べて保存中に固結しやすいという欠点を有している。
粉末醤油が保存中に固結するという欠点を解消する方法として、特定の酵母を用いて発酵することで得られる糖含量が減少した醤油を原料とし、粉末醤油を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。この方法により得られる粉末醤油は、保存中に固結しにくい。しかし、この方法は、原料の醤油に醤油酵母を添加し、その後、酵母の生育のために厳密に温度を管理する必要があり、かつ、酵母が生育して原料の醤油中の糖類を資化するまで2〜14日間を要する等、煩雑な工程を経なければならないという欠点を有している。また、高食塩濃度でも生育できる特定の酵母を用いて発酵しなければならないため、前記濃色醤油への応用は困難であり、酵母を添加しても糖含量を十分に減少させることができず、保存中に固結しやすいという欠点を解消することができない。すなわち、保存中に固結しにくい濃色の粉末醤油は得られていない。
特開2009−201424号公報 特開2007− 49917号公報
本発明は、このような事情に鑑み、保存中に固結しにくく、かつ、苦味のない濃色粉末醤油およびその製造法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、醤油に糖類および有機酸もしくは無機酸またはその塩を添加した後、加熱処理して得られる濃色醤油(以下、「濃色醤油」という。)を、醤油に添加したのち、加熱してグルコース濃度を低減させてから乾燥粉末化することにより、保存中に固結しにくく、苦味のない濃色粉末醤油が得られることを知り、この知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下に関する。
1)グルコース濃度が40mg/g以下で、かつ、1%(w/v)水溶液の470nmにおける吸光度が0.5以上であることを特徴とする濃色粉末醤油。
2)醤油に糖類および有機酸もしくは無機酸またはその塩を添加した後、加熱し、0.1%(v/v)水溶液の470nmにおける吸光度が0.1以上となる濃色醤油を得る第一の工程と、前記濃色醤油に醤油を加えて加熱し、グルコース濃度が3.0mg/g以下となる原料濃色醤油を得る第二の工程と、前記原料濃色醤油を粉末化する第三の工程とを具備することを特徴とする濃色粉末醤油の製造方法。
3)前記1)記載の濃色粉末醤油を用いた飲食品。
本発明によれば、保存中に容易に固結することのない、濃い色調の濃色粉末醤油を得ることができる。該濃色粉末醤油は、食品添加物であるカラメルを使用しないため、消費者に受け入れられやすいという利点を有する。また、カラメル由来の苦味がなく、醤油本来の良好な風味を有する。
本発明により得られる濃色粉末醤油は、加工食品分野において、幅広く用いることができる。例えば、米菓、スナック菓子、焼きおにぎり等の焼成した菓子生地や食品の表面に付着させて使用することができる。また、ラーメン、焼きそば、蕎麦またはうどんのつゆ等として使用することができ、それらのインスタント食品に付属する粉末調味料としても用いることができる。さらに、本発明の濃色粉末醤油の主成分は、醤油と糖であり、食品添加物の使用を必要としないことから、食品衛生法の規定によりカラメルを使用することができない味付け海苔や海苔の佃煮等にも幅広く使用することができる。
濃色粉末醤油中のグルコース濃度と固結強度の相関を示す散布図。
本発明の濃色粉末醤油は、醤油に濃色醤油を混和後、一定条件のもと加熱して得られる原料濃色醤油を粉末化してなるものであり、グルコース濃度が40mg/g以下で、かつ、1.0%(w/v)水溶液の470nmにおける吸光度が0.5以上であることを特徴とする。濃色粉末醤油のグルコース濃度および吸光度は、保存中の安定性と極めて高い相関性を有するため、濃色粉末醤油は、前記グルコース濃度および吸光度であることが極めて重要である。前記グルコース濃度および吸光度となる濃色粉末醤油について、好ましい実施形態に基づき以下に詳述する。
(濃色醤油)
濃色醤油は、醤油に糖類および有機酸もしくは無機酸またはその塩を添加した後、加熱することで得ることができる。具体的には、例えば、特公平06−11224号公報に記載の方法により得ることができる。
濃色醤油の原料として用いる醤油は、特に制限されることはないが、例えば、濃口醤油、淡口醤油、溜り醤油、再仕込み醤油、白醤油、化学醤油もしくは生醤油もしくはこれらの減塩醤油または膜濃縮醤油などを用いることができる。
濃色醤油の原料として用いる糖類は、還元糖を用いる。該還元糖としては、ブドウ糖、果糖またはグリセルアルデヒド等の単糖類、麦芽糖、乳糖またはアラビノース等のオリゴ糖類、デキストリン、水飴等の水溶性の糖類をあげることができ、これらを単独でまたは組み合わせて用いることができる。
糖類の添加量は、特に限定されることはないが、醤油に対して5〜200%(w/v)の濃度範囲の糖類を添加することが好ましい。
有機酸は、食品原材料として使用されているものであれば特に制限されることはないが、例えば、酢酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸およびコハク酸から選ばれる少なくとも一種類の有機酸を用いることができる。
無機酸は、食品原材料として使用されているものであれば特に制限されることはないが、例えば、炭酸もしくはリン酸を用いることができる。これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩等を用いることができる。
有機酸および無機酸またはその塩の添加量は、特に限定されることはないが、醤油に対して0.5〜30%(w/v)の濃度範囲の有機酸もしくは無機酸またはその塩を添加することが好ましい。
前記の醤油に糖類および有機酸もしくは無機酸またはその塩を添加した後、加熱し、0.1%(v/v)水溶液の470nmにおける吸光度が0.1以上となる濃色醤油を得る。加熱の条件(液温および時間)は、特に限定されることはなく、濃色醤油0.1%(v/v)水溶液の470nmにおける吸光度が0.1以上となる条件より適宜選択することができる。前記の吸光度となる濃色醤油を得るためには、例えば、加熱の液温を70〜130℃とした場合、加熱時間を15分〜96時間とすることで、0.1%(v/v)水溶液の470nmにおける吸光度が0.1の濃色醤油を得ることができる。液温を低く設定する場合は、加熱時間を長くし、液温を高く設定する場合は、加熱時間を短くする等、目的とする濃色醤油を得るため、適宜調節する。例えば、加熱の液温を70〜90℃とした場合、加熱時間は12〜96時間とすることが好ましく、加熱の液温を90〜130℃とした場合、加熱時間は15分〜12時間とすることが好ましい。
(原料濃色醤油)
濃色粉末醤油の原料となる醤油(以下、「原料濃色醤油」という。)は、醤油に前記の濃色醤油を混和後、一定条件のもと加熱して得られるグルコース濃度が3.0mg/g以下であることを特徴とする醤油である。醤油に混和する濃色醤油の濃度の範囲は、5〜30%(v/v)である。混和する濃度が5%を下回る場合、目的とする色調が得られない。一方、30%を上回る場合、加熱しても原料醤油中の糖が十分に消費されずに、目的の糖濃度の粉末醤油が得られにくい。
原料濃色醤油を調整する際の加熱の条件(液温および時間)は、原料濃色醤油のグルコース濃度が3.0mg/g以下となる条件より適宜選択することができる。前記のグルコース濃度となる原料濃色醤油を得るためには、例えば、加熱の液温および時間を70〜100℃および30分〜24時間とすることが好ましい。液温を低く設定する場合は、加熱時間を長くし、液温を高く設定する場合は、加熱時間を短くする等、目的とする濃色醤油を得るため、適宜調節する。
原料濃色醤油の加熱反応が十分に進行すると、原料濃色醤油のグルコース濃度は、3.0mg/g以下となる。当該グルコース濃度の原料濃色醤油を用いて得られる濃色粉末醤油は、グルコース濃度が40mg/g以下で、かつ、1%(w/v)水溶液の470nmにおける吸光度が0.5以上となり、保存中に容易に固結せず、濃い色調を有する。原料濃色醤油のグルコース濃度が3.0mg/gを上回る場合、得られる濃色粉末醤油の保存中の固結に対する安定性が悪くなる。一方、原料濃色醤油のグルコース濃度が1.0mg/gを下回る場合、加熱反応が過剰に進行したことにより、醤油本来の風味が損なわれてしまうため、好ましくない。保存中の固結に対する安定性の観点から、原料濃色醤油のグルコース濃度は、3.0mg/g以下となることが重要であり、保存中の固結に対する安定性および風味の観点から、1.0〜2.8mg/gの濃度の範囲となることが好ましく、1.3〜2.5mg/gの濃度の範囲となることが最も好ましい。
(濃色粉末醤油)
本発明の濃色粉末醤油は、前記工程で得られた原料濃色醤油を粉末化して得られる濃色粉末醤油である。粉末化は常法の乾燥粉末化する方法を採用することができる。例えば、スプレードライ法、ドラムドライ法およびフリーズドライ法等があげられる。粉末化する方法として、スプレードライ法を用いる場合、装置として、例えば、加圧ノズル式噴霧乾燥機、二流体ノズル式噴霧乾燥機、回転円盤(ディスクアトマイザー)式噴霧乾燥機、噴霧乾燥・造粒兼用乾燥機等、一般的な装置により粉末化が可能である。回転円盤式噴霧乾燥機を用いて乾燥粉末化を行う場合、例えば、熱風入口温度120〜200℃、出口温度80〜100℃で噴霧乾燥すると、良好な香味の濃色粉末醤油を得ることができる。乾燥粉末化の際は、必要により原料濃色醤油に賦形剤を添加する。用いる賦形剤としては、デキストリン、ゼラチンおよび可溶性デンプン等があげられる。賦形剤の添加量は特に制限されることはないが、原料濃色醤油に対して5〜30%(w/v)が好ましく、15〜25%(w/v)がより好ましい。
前記工程により得られる濃色粉末醤油は、グルコース濃度が40mg/g以下で、かつ、1%(w/v)水溶液の470nmにおける吸光度が0.5以上となる。グルコース濃度および吸光度は、濃色醤油の加熱反応が進行したことの指標となり、前記グルコース濃度および吸光度の濃色粉末醤油は、保存中の固結に対する安定性が高い。グルコース濃度が40mg/gを上回るか、あるいは吸光度が0.5を下回る場合、加熱反応が十分に進行しておらず、得られる粉末醤油は、保存中に容易に固結してしまう。一方、吸光度が1.0を上回る場合、得られる濃色粉末醤油の固結に対する安定性は高いが、加熱反応が過剰に進行したことにより、醤油本来の風味が損なわれ、苦味が生じてしまう。保存中の固結に対する安定性および風味の観点から、グルコース濃度が36.0mg/g以下で、かつ、吸光度が0.5〜1.0の範囲となることが好ましく、グルコース濃度が24.1〜35.7mg/gで、かつ、吸光度が0.5〜1.0の範囲となることが最も好ましい。
このようにして、本発明によれば、保存中に固結しにくく、苦味がなく、通常の粉末醤油に比べて水溶液の色調が極めて濃厚である濃色粉末醤油が得られる。
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明の技術的範囲はこれらによって何ら限定されるものではない。
1.濃色醤油の製造
濃口醤油500ml(キッコーマン社製)にブドウ糖500g、炭酸ナトリウム5gを混合し、醤油・糖混合液を調製した。当該混合液をオートクレーブにて液温120℃で15分間加熱し、濃色醤油を得た。
2.濃色粉末醤油の製造
前記工程により得られた濃色醤油8mlに濃口醤油92ml(キッコーマン社製)を混和し、恒温槽中80℃で湯煎しながら表1に記載の時間加熱した後、常温になるまで冷却し、濃色粉末醤油の原料となる各種原料濃色醤油を得た。次に、該原料濃色醤油を80℃に加温して、デキストリン20gを均一に溶解し、これを入口温度140℃、出口温度90℃で噴霧乾燥し、本発明の濃色粉末醤油(水分約2%(w/w))を得た。また、対照として、濃色醤油8mlに濃口醤油92ml(キッコーマン社製)を混和し、加熱せずに粉末化した粉末醤油を前記工程と同様に調製した。
3.粉末醤油の吸光度の測定
粉末醤油の吸光度は、水に前記工程により得られた各種粉末醤油を溶解し調製した粉末醤油1%(w/v)水溶液を10mm無色透明セルに入れ、吸光度470nmにおけるOD値を分光光度計(U−1100;日立製作所社製)を用いて測定した。
4.粉末醤油の固結しやすさ(対固結安定性)の測定
粉末醤油の固結しやすさは、破断強度解析を指標として測定した。具体的には、前記工程により得られた各種粉末醤油をプラスチック製ペトリ皿(直径35mm,容量8.7ml)に採取、ヘラですり切り表面を平らにした後、蓋をし、アルミパウチ内に密封した状態で、80℃、2時間加熱処理した後、レオナー(RE3305;山電社製)を用いて破断強度を測定した。対照の粉末醤油の破断強度を100%とし、各種粉末醤油の破断強度を算出した。また、目視により対固結安定性の評価を行った。なお、固結強度は数値が低いほど保存中に固結しにくいことを示し、従来の粉末醤油の固結強度と比較し、概ね65%以下を固結がしにくい固結強度として定めた。
5.原料濃色醤油および粉末醤油のグルコース濃度の測定
原料濃色醤油および粉末醤油のグルコース濃度は、高速液体クロマトグラフィー(日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、リン酸−フェニルヒドラジン法(液体クロマトグラフ研究会要旨集38,39(1994))にて測定した。
6.官能評価
粉末醤油について、専門のパネル3名により官能評価試験を行った。官能評価は、粉末醤油をお湯に溶解し、2%(w/v)水溶液を調製し、味、香りについて総合的な評価を行った。
これらの結果について、表1に示す。
Figure 2011244712
表1に示すとおり、醤油に濃色醤油を混和後80℃で14〜24時間加熱した原料濃色醤油は、グルコース濃度が3.0mg/g以下となり、該原料濃色醤油を用いて得られる濃色粉末醤油は、グルコース濃度が40mg/g以下で、かつ、470nmにおける吸光度(1%OD)が0.50以上となることが確認された。該濃色粉末醤油は、固結に対する安定性が高く、苦味がなく良好な風味を有し、かつ、色調が極めて濃厚であった。
実施例1で得た濃色醤油8mlに濃口醤油92ml(キッコーマン社製)を混和し、恒温槽中90℃で湯煎しながら表2に記載の時間加熱した後、常温になるまで冷却し、各種原料濃色醤油を得た。次に、該原料濃色醤油にデキストリン20gを加え、80℃に加温してデキストリンを均一に溶解し、これを入口温度140℃、出口温度90℃で噴霧乾燥し、本発明の濃色粉末醤油(水分約2%(w/w))を得た。また、対照として、濃色醤油8mlに濃口醤油92ml(キッコーマン社製)を混和し、加熱せずに粉末化した粉末醤油を前記工程と同様に調製した。
前記工程で得た濃色粉末醤油および対照の粉末醤油について、実施例1に記載の方法と同様に、各物性を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2011244712
表2に示すとおり、醤油に濃色醤油を混和後90℃で4〜6時間加熱した原料濃色醤油は、グルコース濃度が3.0mg/g以下となり、該原料濃色醤油を用いて得られる濃色粉末醤油は、グルコース濃度が40mg/g以下で、かつ、470nmにおける吸光度(1%OD)が0.50以上となることが確認された。該濃色粉末醤油は、対固結安定性が高く、苦味がなく良好な風味を有し、かつ、色調が極めて濃厚であった。加熱時間が4時間を下回る場合、加熱反応が十分に進行せず、グルコース濃度が40mg/g以下にならなかった結果、固結に対する安定性が本発明の濃色粉末醤油に比べて劣っていた。一方、加熱時間が25時間を上回る場合、加熱反応が過剰に進行した結果、得られる粉末醤油は、苦味があり、醤油本来の良好な香味が失われていた。
実施例1で得た濃色醤油8mlに濃口醤油92ml(キッコーマン社製)を混和し、恒温槽中100℃で湯煎しながら表3に記載の時間加熱した後、常温になるまで冷却し、濃色粉末醤油の原料となる各種醤油を得た。次に、該醤油にデキストリン20gを加え、80℃に加温してデキストリンを均一に溶解し、これを入口温度140℃、出口温度90℃で噴霧乾燥し、本発明の濃色粉末醤油(水分約2%(w/w))を得た。また、対照として、濃色醤油8mlに濃口醤油92ml(キッコーマン社製)を混和し、加熱せずに粉末化した粉末醤油を前記工程と同様に調製した。
前記工程で得た濃色粉末醤油および対照の粉末醤油について、実施例1に記載の方法と同様に、各物性を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2011244712
表3に示すとおり、醤油に濃色醤油を混和後100℃で30分〜1.5時間加熱した原料濃色醤油は、グルコース濃度が3.0mg/g以下となり、該原料濃色醤油を用いて得られる濃色粉末醤油は、グルコース濃度が40mg/g以下で、かつ、470nmにおける吸光度(1%OD)が0.5以上となることが確認された。該濃色粉末醤油は、固結に対する安定性が高く、苦味がなく良好な風味を有し、かつ、色調が極めて濃厚であった。
実施例1で得た濃色醤油8mlに濃口醤油92ml(キッコーマン社製)を混和し、恒温槽中60〜70℃で湯煎しながら表3に記載の時間加熱した後、常温になるまで冷却し、濃色粉末醤油の原料となる各種醤油を得た。次に、該醤油にデキストリン20gを加え、80℃に加温してデキストリンを均一に溶解し、これを入口温度140℃、出口温度90℃で噴霧乾燥し、本発明の濃色粉末醤油(水分約2%(w/w))を得た。また、対照として、濃色醤油8mlに濃口醤油92ml(キッコーマン社製)を混和し、加熱せずに粉末化した粉末醤油を前記工程と同様に調製した。
前記工程で得た濃色粉末醤油および対照の粉末醤油について、実施例1に記載の方法と同様に、各物性を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2011244712

表4に示すとおり、醤油に濃色醤油を混和後70℃で24〜48時間加熱した原料濃色醤油は、グルコース濃度が3.0mg/g以下となり、該原料濃色醤油を用いて得られる濃色粉末醤油は、グルコース濃度が40mg/g以下で、かつ、470nmにおける吸光度(1%OD)が0.5以上となることが確認された。該濃色粉末醤油は、苦味がなく、かつ、色調が極めて濃厚であった。一方、加熱温度が60℃の場合、加熱反応が十分に進行せず、本発明の濃色粉末醤油と比較して固結に対する安定性が悪かった。
また、実施例1〜4の結果をもとに、濃色粉末醤油中のグルコース濃度と固結強度の関係を散布図にて示した(図1)。図1の示すとおり、濃色粉末醤油中のグルコース濃度と固結強度の間には高い正の相関(相関係数:0.914)があることが分かった。この結果から、濃色粉末醤油が固結に対し高い安定性を示すためには、濃色粉末醤油中のグルコース濃度が極めて重要であることが分かった。
以上の結果から、醤油に濃色醤油を混和後70〜100℃で30分〜24時間加熱した原料濃色醤油は、グルコース濃度が3.0mg/g以下となることが確認された。該原料濃色醤油を用いて得られる濃色粉末醤油は、グルコース濃度が40mg/g以下で、かつ、470nmにおける吸光度(1%OD)が0.5以上となり、該グルコース濃度および吸光度の濃色粉末醤油は、固結に対する安定性が高く、苦味がなく良好な風味を有し、かつ、濃い色調であった。
市販のポテトチップスしお味20gに、実施例3に記載の方法(加熱時間1時間、液温100℃)で得られた濃色粉末醤油0.6gを添加混合し、本発明である濃色粉末醤油を用いた食品を得た。対照として、濃口醤油(キッコーマン社製)にカラメル(池田糖化工業社製)5%(w/v)を添加後、本発明と同様の方法で、対照の濃色粉末醤油を用いた食品を得た。それぞれの食品について、担当者3名で官能評価を行ったところ、本発明の濃色粉末醤油を用いた食品では、苦味がなく、良好な醤油風味が感じられるのに対し、カラメルを添加した粉末醤油を用いた食品では、苦味やロースト香が感じられることが分かった。

Claims (3)

  1. グルコース濃度が40mg/g以下で、かつ、1%(w/v)水溶液の470nmにおける吸光度が0.5以上であることを特徴とする濃色粉末醤油。
  2. 醤油に糖類および有機酸もしくは無機酸またはその塩を添加した後、加熱し、0.1%(v/v)水溶液の470nmにおける吸光度が0.1以上となる濃色醤油を得る第一の工程と、前記濃色醤油に醤油を加えて加熱し、グルコース濃度が3.0mg/g以下となる原料濃色醤油を得る第二の工程と、前記原料濃色醤油を粉末化する第三の工程とを具備することを特徴とする濃色粉末醤油の製造方法。
  3. 請求項1記載の濃色粉末醤油を用いた飲食品。
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