JP2017184684A - 調味料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 だしの風味が強く、醤油の劣化感が少ない調味料を提供する。【解決手段】 醤油を含む抽出媒と水産物抽料とを温度T(K)でD(日間)接触させる工程を含み、TおよびDは以下の関係式(1)および(2)を満たす調味料の製造方法。Ln(1/D)≧−3862.6*(1/T)+9.1226 (1)Ln(1/D)≦−0.1699−15.799/(T−273.15) (2)(ただし、Lnは自然対数。Tは、絶対温度で278.15K〜313.15Kの範囲の任意の温度。)【選択図】 図1

Description

本発明は、調味料の製造方法に関するものである。
つゆは、一般的には加熱した醤油に砂糖、味醂を加えた「かえし」と、節類を熱水に投入し旨味成分を抽出した「だし汁」とを合わせることで製されるが、近年共働き等の社会構造の変化に伴い、家庭において「だし」を取る工程を省いて短時間で和食調理するニーズが高まり、だし抽出済みのつゆや醤油(だし醤油)の開発が各醸造メーカーで試みられてきた。
つゆやだし醤油においては、酸化等の変質を伴わない風味豊かなだしを得ることが長年の課題であり、だし汁の抽出に際して熱水以外の抽出媒を使用することが検討されている。例えば、醤油と共に節類を加熱してだしを抽出する方法(特許文献1)、70℃〜98℃の醤油を最大15分間接触させ、次に熱水を5〜50分間接触させる方法(特許文献2)、0.7〜4%酢酸水溶液で抽出した魚節抽出液と生(なま)醤油との混合液を65℃以上85℃以下で最大30分間加熱処理する方法(特許文献3)等が知られている。
特開平8−308530号公報 特開2000−157198号公報 特開2010−88371号公報
畑江ら、「こんぶだし成分の抽出量と抽出時間および温度との関係」、日本食品工業学会誌、第41巻、11号、755〜762頁(1994)
上述した方法は、だしの変質を生じることなく抽出効率を上げるには優れた方法であるが、最後のボトル充填の際、保存性を高めるため90℃〜140℃程度で加熱殺菌を行うことを考えると、原材料としての醤油に度重なる加熱履歴を残すことになり、醤油の風味劣化を早める結果となっている。したがって、醤油特有の風味を生かしたつゆやだし醤油の開発が期待されてきた。
特に4倍濃縮以上の濃縮つゆやだし醤油においては、上記醤油劣化の問題に加えて、水の割合が少ないため、だし汁の量が少なく、だしの旨味を濃厚にできないという問題も依然未解決のままである。だしの旨味を濃くしようとすると、節を過剰量使わなくてはならないため、歩留まりが悪い。この問題に対しては、エキスを足して補填する方法も採用しうるが、コストアップになる。
本発明の目的は、上記現状に鑑み、だしの風味が強く、醤油の劣化感が少ない調味料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明の1つの側面は、醤油を含む抽出媒と水産物抽料とを温度T(K)でD(日間)接触させる工程を含み、TおよびDは以下の関係式(1)および(2)を満たす調味料の製造方法である。
Ln(1/D)≧−3862.6*(1/T)+9.1226 (1)
Ln(1/D)≦−0.1699−15.799/(T−273.15) (2)
(ただし、Lnは自然対数。Tは、絶対温度で278.15K以上313.15K以下の範囲の任意の温度。)だし抽出の温度と時間とを上記範囲内とすることで、だしの風味を強く感じられ、かつ醤油の劣化臭を抑えた調味料を製出することができる。
上記製造方法において、抽出媒と水産物抽料との接触工程の後、水産物抽料の抽出残渣を含んだ状態で50℃〜70℃まで達する中温加熱工程を含むことが好ましい。これにより、醤油の劣化を抑えながら抽出残渣に残されていた旨味成分等をさらに引き出し、だしの風味をより強くすることができる。
上記製造方法において、抽出媒の少なくとも一部として使用する醤油は生(なま)醤油であることが好ましい。生醤油は味がおとなしく火入れによる劣化を経ていないため、だし抽出の過程での醤油の劣化を極力抑えられるからである。
上記製造方法において、抽出媒と水産物抽料との接触工程の後、抽出液を水または水溶液で希釈する工程を含み、抽出媒と水産物抽料との接触工程で使用する醤油と該接触工程から希釈工程に至るまでに使用する水または水溶液との容積比率が1:9〜6:1であることが好ましい。容積比率が上記範囲内であると、本発明の製法が最も抽出効果を発揮し加熱抽出に比べても優位性が高い製法となる。
上記製造方法において、抽出媒と水産物抽料との接触工程の後、水産物抽料の抽出残渣を抽出液から分離する前または後で食塩を添加する工程を含むことが好ましい。
上記製造方法において、水産物抽料の使用量は、抽出媒の質量に対して、25質量%未満であってもよい。本発明の製法によれば25質量%未満であっても優れた抽出効果を達成することができる。
本発明によれば、醤油中に水産物抽料を入れ低温で長期間抽出を行うことで、ストレートタイプつゆのみならず、濃縮つゆやだし醤油においてもだしのうまさ、香りに優れたものとなり、充填時の加熱殺菌を経ても醤油の劣化感が抑えられる。
味覚センサーにより6つの味覚の観点で85℃30分抽出を基準として比較したレーダーチャート。 抽出温度と劣化臭がやや感じられ始める日数との関係を示すグラフ。 抽出温度とだしの風味が強く感じられ始める日数との関係を示すグラフ。
以下に本発明の実施態様を説明する。
本発明に係る調味料の製造方法は、抽出媒と水産物抽料とを所定の温度で所定期間接触させる工程を含む。
抽出媒は、醤油を含む。使用される醤油としては、味がおとなしく火入れによる劣化を経ていない生醤油が最も好ましいが、火入れ醤油でもよい。ただし生揚げ醤油は、長期間抽出の過程で残存酵素(ホスファターゼ)による旨味成分の分解が起きることから好ましくない。なお、生揚げ醤油とは、醤油の諸味を圧搾・濾過して液にしたものであり、生醤油とは火入れを行わず火入れと同等の殺菌処理を行ったものと定義され、例えば生揚げを限外濾過して、菌を取り除いたものであり、火入れ醤油とは、生揚げを加熱した(火入れ)後、静置してオリ出ししたものを濾過したものである。醤油は、任意の減塩率の減塩醤油、通常の食塩濃度の醤油のいずれでもよい。たまり、さいしこみ、こいくち、うすくち、白醤油等、醤油自体の製法上の相違も特に問題ではなく、任意の種類の醤油が使用され得る。
抽出媒は、醤油そのもの(原液)であってもよいが、醤油の他に、製品として許容される限度で水を含んでいてもよい。水割りにより抽出力が向上しうるからである。水割り比率は、製品に応じて任意に設定される。抽出媒は、醤油および水以外の添加物を含んでいてもよいが、含んでいなくてもよい。水割り比率が大きい場合、長期抽出時に腐敗する虞があるため、必要に応じてビタミンB1やアルコールを添加するとよい。
水産物抽料とは、黴付け、燻製等の有無を問わず広く魚介類または海藻類の生鮮物、半乾燥体、乾燥体またはこれらを水等で戻したものを指し、本発明の製法には通常、乾燥体が適している。水産物の乾燥体としては、鰹節、宗田鰹節、鯖節、鰯節、鰺節、鮪節等の節類;カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシ、キビナゴ、トビウオ等の煮干し;干し貝柱、干しホッキ等の乾燥貝類;真昆布、日高昆布、羅臼昆布、利尻昆布等の昆布類またはそれらの2種以上を使用することができ、1種使用する場合は、節類が好ましく、2種以上使用する場合は、節類と昆布類との混合物であることが好ましい。
水産物抽料は、後述する接触工程で充分な抽出効果が得られるように、粉砕、加熱、加圧、水蒸気処理、化学処理、フリーズドライ等の従来公知の手段の1種または2種以上組み合わせて前処理することができる。例えば、節類を使用する場合、抽出表面積を大きくするために0.5〜3mm程度に微粉砕して使用するとよい。
水産物抽料の使用量は、歩留まり的に許容される範囲であれば抽出媒の質量に対して25質量%以上であってもよいが、本発明の製法によれば25質量%未満であっても優れた抽出効果を達成することができる。
抽出媒と水産物抽料とを接触させる温度は、5℃〜40℃であり、工業上許容される程度のだし抽出速度を得ながら抽出媒に含まれる醤油の劣化を抑える観点で、このましくは、15℃〜35℃である。一般に水抽出では抽出温度が高いほど抽出量が多いことが知られているが(例えば非特許文献1)、本願の製法のように、醤油を含む抽出媒による抽出では、斯かる技術常識とは異なり、接触温度が低くても高温抽出に匹敵するかまたはこれを上回る充分な抽出効果が達成できる。
抽出媒と水産物抽料とを接触させる上限となる日数を規定するのが以下の式(1)である(但し、Lnは自然対数)。
Ln(1/D)≧−3862.6*(1/T)+9.1226 (1)
式(1)は、実験例2の結果をもとに、横軸を温度の逆数、縦軸を経過日数の逆数の対数とするアレニウスプロットの線形近似(最小二乗法)により定式化したものであり、図2に示すように、5℃〜40℃の温度範囲において、劣化臭がやや感じられ始める日数を概ねうまく表しており、当該温度範囲内の各温度における抽出期間の上限とするのに適している。
抽出媒と水産物抽料とを接触させる下限となる日数を規定するのが以下の式(2)である。
Ln(1/D)≦−0.1699−15.799/(T−273.15) (2)
上記式(2)は、273.15K(0℃)付近では抽出日数が無限になると仮定して経験式をつくり最小二乗法により係数を最適化したものであり、図3に示すように、5℃〜40℃の温度範囲において、だしの風味が強く感じられ始める下限となる日数を概ねうまく表しており、各温度における抽出期間の下限とするのに適している。
接触の具体的手法としては、回分抽出、並流多段抽出、半向流多段抽出、連続向流抽出のいずれを採用することもでき、適宜抽出媒を加圧、攪拌したり、抽料たる水産物抽料を空気接触させたりしてもよいが、本発明に係る低温長期間抽出において醤油の劣化感を抑制する観点では、空気との接触が少ない密閉容器で、撹拌はしないか、低回転または短時間の撹拌で足りる。
接触工程の後、水産物抽料の抽出残渣を含んだ状態で抽出液を50℃〜70℃の範囲の任意の温度まで達する中温加熱工程を含むことが好ましい。中温加熱は、目的温度まで達した後、加熱をやめてもよいし、加熱を持続し温度を暫く維持してもよい。冷却方法としても系外温度と同じになるまで放置する徐冷または冷却媒体を間接的に接触させる急冷のいずれも採用しうる。これにより、醤油の劣化を抑えながら抽出残渣に残されていた旨味成分等をさらに引き出し、だしの風味をより強くすることができる。
接触工程の後、水産物抽料の抽出残渣を抽出液から分離する前または後で食塩を添加する工程を含んでいてもよい。食塩の添加は、接触工程の後であれば中温加熱工程の前後を問わず行うことができる。
抽出液は、製品に応じた量の水または水溶液で希釈する(希釈工程)。水溶液には、製品に応じて、醤油、酢酸、みりん、食塩、アルコール、甘味料、上白糖、三温糖、グラニュー糖、麦芽糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖等の糖類、イノシン酸二ナトリウム等の核酸系調味料、グルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸系調味料、コハク酸ナトリウム等の有機酸系調味料、ビタミン、pH調整剤、各種抽出エキス等が含まれ得る。なお、希釈時に水溶液に含まれ得る希釈用醤油は、生醤油、火入れ醤油の別を問わないが、抽出媒として使用された醤油とは異なり、製造後間もない鮮度の高い醤油、または、劣化しない程度に適度にねかせた醤油であることが好ましい。
接触工程で使用する醤油と接触工程から希釈工程に至るまでに使用する水または水溶液との容積比率は、製造する製品の種類にもよるが、1:9〜6:1であることが好ましい。容積比率が上記範囲内であると、本発明の製法が最も抽出効果を発揮し加熱抽出に比べても優位性が高い製法となるからである。醤油含量の多い製品、例えば濃縮つゆやだししょうゆにおいて本発明の製法を適用する場合は、例えば、1:4〜4:1に設定することができる。なおここで接触工程から希釈工程に至るまでに使用する水または水溶液には、抽出媒で醤油の水割りのために使用される水または水溶液も含まれる。
希釈工程は、抽出残渣を抽出液から分離するタイミングの前または後のいずれであってもよい。
希釈工程を経て得られた最終液は、適宜プレートヒーター、ニーダー等で加熱される。抽出媒として生醤油を使用した場合、ここでの加熱によってしょうゆ感が生成し、雑味が少ない味に仕上がる。加熱温度は製品によって異なり、90〜140℃程度である。
以下、実施例に即して本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの記載によってなんら制限されるものではない。
実験例1(かつお節のだし抽出温度と時間)
あらかじめ目的温度に加温し温度維持した生醤油(イチビキ社製)200mlに0.5〜3mm程度に微粉砕した非加熱非加圧の鰹節6gを入れて密閉容器に所定期間保持した(撹拌は節混合時に行い、よくなじませた後、そのまま静置した。)。得られた抽出液に対して、液体高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてイノシン酸の成分分析(カラムは、Shim−pack ISA−07/S2504(島津製作所、4.0mm×250mm)を使用し、移動相は、50mMリン酸アンモニウム溶液(pH2.6)、流速1.0ml/minとし、254nmで検出した)を行うとともに、抽出液の10倍希釈物について、常温で試飲し、表1に示す官能基準によって3段階評価した。結果を表1に示す。
Figure 2017184684
表1から、抽出温度が30℃の場合、1〜3週間、特に2〜3週間がだしの風味に優れ醤油の劣化が感じられない期間であり、それ以降はだしの風味は強いものの、醤油の劣化感もついてくることがわかった。また、抽出温度が85℃の場合、2時間経つと醤油の劣化感がついてくるため、たかだか1時間が限度であった。この結果は、先行技術の記載とも整合する。さらにだしの風味は、55℃1時間抽出と85℃10分抽出との比較、30℃1日抽出と85℃2時間抽出との比較により、イノシン酸抽出量に単純に比例するものではなく、様々な要因によることがわかった。
実験例2(醤油の種類とだし抽出温度によるイノシン酸抽出量)
火入れ醤油、生醤油または生揚げ醤油各200mlに鰹節30gを入れて浸した状態で所定期間保存し、節を分離した。得られた抽出液に対して、実験例1と同様にしてイノシン酸の成分分析を行った。結果を表2に示す。
Figure 2017184684
表2から、火入れ醤油と生醤油とは、節の旨味成分であるイノシン酸抽出量に大きな差はなかった。生揚げ醤油を用いると、35℃・55℃抽出では旨味成分は分解された。これは、生揚げ醤油に含まれる残存酵素(ホスファターゼ)の作用によるものと考えられる。
実験例3(抽出温度・時間によるだし抽出への影響)
あらかじめ5〜40℃の間の所定温度に加温し温度維持した生醤油200mlに鰹節30gを入れて浸した状態で1日から12週間にわたって所定期間保存し、節を分離した。得られた抽出液に対して、イノシン酸の成分分析を行うとともに、抽出液の10倍希釈物について常温で試飲し、以下に示す官能基準で4段階評価を行った。結果を表3および表4に示す。
△ だしの風味(旨味)が感じられるが、やや弱い。
〇 だしの風味(旨味)が強く感じられる。
▲ だしの風味(旨味)が強く感じられるが、劣化臭がやや感じられる。
× だしの風味(旨味)が強く感じられるが、劣化臭が強く感じられる。
Figure 2017184684
Figure 2017184684
表3から、5〜40℃の範囲であっても、高温であればあるほどより短期間でだしの風味が強く感じられるようになる一方、より早期に醤油の劣化臭が感じられる結果となった。また低温であるほど、劣化臭はないがだしの風味が強く感じられる期間、即ち許容される抽出期間がより長くなる傾向にあった。表4に示したイノシン酸量のデータを含め合わせて検討した結果、劣化臭を抑制しつつより短期間で最大限の抽出効果を得る観点では、概ね15℃から35℃で1〜3週間が適していることが分かった。表3および表4を総合して、イノシン酸が2.8mg/節1gと同程度でもだしの風味が感じられない場合(20℃1日、10℃3日、5℃3週間)と感じられる場合(5℃6週間)があった。
実験例4(節の種類によるだし抽出への影響)
あらかじめ5〜40℃の間の所定温度に加温し温度維持した生醤油200mlに各節類およびその他の乾物類を入れて浸した状態で、30℃で1週間または85℃で30分間保存し、節を分離した。得られた抽出液を常温で試飲し、以下の官能基準で3段階評価した。結果を表5に示す。
〇 だしの旨味・香りが強く感じられる。
△ だしの旨味・香りがやや強く感じられる。
× だしの旨味・香りがあまり強く感じられない。
Figure 2017184684
表5から、本発明に係る調味液の製造方法は、椎茸からのだし抽出には適さなかったが、その他の乾物類では十分にだし抽出ができることがわかった。
実験例5(醤油と水での抽出力の比較)
あらかじめ85℃に加温したお湯、醤油または醤油と水との混合物200mlに鰹節5gを入れて1時間保持した。得られた抽出液に対して、イノシン酸の成分分析を行うとともに、実施例4と同様の基準で官能評価した。なお、官能評価は、水と醤油が1:1になるようにしたものを5倍希釈になるように各自調整したもので行った。結果を表6に示す。
Figure 2017184684
表6から、水、醤油または醤油と水との混合物のいずれを抽出媒としても十分なイノシン酸抽出が可能であることがわかったが、なかでも醤油を水で割ったものが優れていることがわかった。
実験例6(だし醤油の製造)
下記表7に示す配合、手順にしたがって塩分12%のだし醤油を製造した。得られただし醤油につき、イノシン酸の成分分析を行った結果、30℃で3週間放置したテスト品ではイノシン酸量が400ppmであったのに対して、85℃で30分間放置した対照品ではイノシン酸量が250ppmであった。
Figure 2017184684
実験例7(7倍濃縮つゆの製造)
下記表8に示す配合、手順にしたがって塩分13%の7倍濃縮つゆを製造した。得られた7倍濃縮つゆを7倍希釈して、希釈物を味覚センサー(味認識装置、インテリジェントセンサーテクノロジー社製 TS-5000Z)で、旨味(先味)、コク(先味)、塩味(先味)、苦味(先味)、渋み(後味)、コク(後味)の6つの観点で分析するとともに、そばつゆとして試食したときのだしの旨味、だしの香り、甘味、塩から味、味の厚みの観点からモニター10名により5段階評価した。結果を表9、図1および表10に示す。
Figure 2017184684
Figure 2017184684
Figure 2017184684
表9および図1から、低温長期抽出によれば、抽出後の65℃加熱の有無に関わらず苦味(先味)とともに旨味(先味)が増大し、コク(先味)、コク(後味)が飛躍的に増大した。表10のモニター評価によれば、加熱抽出(85℃30分抽出)の場合と比べて低温長期抽出の場合に味の厚み、甘味が強く感じられ、低温長期抽出後さらに65℃で加熱することにより、最終的に得られたそばつゆのだしの風味が一層増すことがわかった。
実験例8(2倍濃縮つゆの製造)
下記表11および表12に示す配合、手順にしたがって塩分6.8%の2倍濃縮つゆを製造した。得られた2倍濃縮つゆについてイノシン酸量を測定したところ、[1]では、100ppm、[2]では、70ppm、[3]では、140ppm、[4]では、130ppmであった。この結果から、低温長期間抽出の方が、85℃30分抽出に比べてイノシン酸が3割から4割程度多く抽出されることがわかった。
Figure 2017184684
Figure 2017184684
実験例9(ストレートタイプめんつゆの製造)
下記表13に示す配合、手順にしたがって塩分3.2%のストレートタイプめんつゆを製造した。得られためんつゆについてイノシン酸量を測定したところ、加熱抽出では、110ppm、低温長期抽出(火入れしょうゆ使用)では、130ppm、低温長期抽出(生しょうゆ使用)では、120ppmであった。このようにストレートタイプのつゆでも、低温長期抽出の方がイノシン酸量が高くなった。以上のように、だし醤油から、濃縮タイプつゆ、ストレートタイプつゆに至るまで本発明の抽出方法が幅広く利用可能であることがわかった。
Figure 2017184684
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内においてさらに種々の形態で実施することができる。
本発明の調味料は、だししょうゆ、濃縮つゆ、ストレートタイプつゆの製造等に特に好適に利用することができる。

Claims (6)

  1. 醤油を含む抽出媒と水産物抽料とを温度T(K)でD(日間)接触させる工程を含み、TおよびDは以下の関係式(1)および(2)を満たす調味料の製造方法。
    Ln(1/D)≧−3862.6*(1/T)+9.1226 (1)
    Ln(1/D)≦−0.1699−15.799/(T−273.15) (2)
    (ただし、Lnは自然対数。Tは、絶対温度で278.15K以上313.15K以下の範囲の任意の温度。)
  2. 前記接触工程の後、水産物抽料の抽出残渣を含んだ状態で50℃〜70℃まで達する中温加熱工程を含む請求項1に記載の調味料の製造方法。
  3. 前記醤油は、生醤油である請求項1または請求項2に記載の調味料の製造方法。
  4. 前記接触工程の後、抽出液を水または水溶液で希釈する工程を含み、前記接触工程で使用する醤油と前記接触工程から希釈工程に至るまでに使用する水または水溶液との容積比率が1:9〜6:1である請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の調味料の製造方法。
  5. 前記接触工程の後、水産物抽料の抽出残渣を抽出液から分離する前または後で食塩を添加する工程を含む請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の調味料の製造方法。
  6. 水産物抽料の使用量は、抽出媒の質量に対して、25質量%未満である請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の調味料の製造方法。

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