本発明に係るレンズ鏡胴の一実施例としてのレンズ鏡胴10の概略的な構成を、図1ないし図9を用いて説明する。
レンズ鏡胴10を含む光学装置は、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14、シャッタ/絞りユニット15、固体撮像素子16、第1レンズ保持枠17、カバーガラス18、ローパスフィルタ19、固定枠21、第1の回転筒22、第1のライナー23、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26、直進筒27、ズームモータ51、レンズバリア61、鏡胴ベース81、押え板82を具備している。なお、ズームモータ51はスプラインギア等と共に可動レンズ鏡胴を介して可動レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段として機能する。また、第1の回転筒22、第1のライナー23、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26、および直進筒27は、可動レンズ保持枠として機能する。
この光学装置(撮影レンズ系)は、撮影状態P(図4の上半分参照)について説明すると、物体側から、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13および第4レンズ群14が順次配列されるとともに、第2レンズ群12と第3レンズ群13との間に、シャッタ/絞りユニット15が挿入配置され、第4レンズ群14の像面側には、CCD(電荷結合素子)等を用いて構成される固体撮像素子16が配置される。これら第1レンズ群11から第4レンズ群14は、焦点距離可変のズームレンズを構成する。
第1レンズ群11は、1枚以上のレンズからなる。この第1レンズ群11は、それらを一体的に保持する第1レンズ保持枠17を介して直進筒27に固定保持されている。第1レンズ群11の物体側には公知のレンズバリア61が設けられている。このレンズバリア61は、撮影状態では撮影レンズ系の光路を開放し、沈胴状態では当該光路を遮断するように構成されている。
第2レンズ群12は、1枚以上のレンズからなる。この第2レンズ群12は、該第2レンズ群12を一体的に保持する第2レンズ保持枠(明確には図示されていない)に形成されたカムフォロワがカム筒26の第2レンズ群用のカム溝(図7参照)に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。
第3レンズ群13は、1枚以上のレンズからなる。この第3レンズ群13は、第3レンズ保持枠31により一体的に保持されており、沈胴収納状態で撮影光軸OA(撮影光路)から退避されるとともに、撮影状態で撮影光軸OA(撮影光路)上に配置される。このことについては、後に詳細に説明する。
第4レンズ群14は、1枚以上のレンズからなる。この第4レンズ群14は、第4レンズ保持枠41により一体的に保持されており、沈胴収納状態で撮影光軸OA(撮影光路)から退避されるとともに、撮影状態で撮影光軸OA(撮影光路)上に配置される。この構成については、後に詳細に説明する。
シャッタ/絞りユニット15は、シャッタおよび開口絞りを含むものである。このシャッタ/絞りユニット15は、そこに一体的に形成されたカムフォロワがカム筒26のシャッタ/絞りユニット用のカム溝(図7参照)に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。
固定枠21は、内方に円筒形状の固定筒部21aを有する。この固定筒部21aの内周面には、軸方向に沿う直進溝21bおよびカム溝(図9参照)が形成されている。そのカム溝には、第1の回転筒22の基端部外周面に形成されたヘリコイド状のカムフォロワ22a(図5参照)が係合しており、固定筒部21a(固定枠21)の直進溝21bには、第1のライナー23の基端部外周に突出形成されたキー部23a(図2参照)が係合している。
第1の回転筒22の内面周には、図示は略すが、撮影光軸OA(撮影光路)に直交する面に沿う案内溝が形成されており、第1のライナー23の基端部近傍の外周面に突設された直進案内部材であるフォロワ(またはキー)が係合している。
第1のライナー23の内面には、撮影光軸OA(撮影光路)方向に沿う直進溝とヘリコイドが形成され、さらに第1のライナー23には、第2の回転筒24の基端部近傍の外周面に突設されたカムフォロワを挿通するための逃げ溝が形成されている(図8参照)。
第2の回転筒24の基端部の外周面には、図示は略すが、ヘリコイドが形成され、当該ヘリコイドが第1のライナー23の内周に設けられたヘリコイドに螺合している。また、第2の回転筒24の基端部近傍の外周面には、カムフォロワ24a(図4参照)が突設され、このカムフォロワ24aが第1のライナー23のカムフォロワの逃げ溝を通して第1の回転筒22の内周に設けられた直進溝に係合している。
第1のライナー23の内周に設けられた直進溝(図8参照)には、第2のライナー25の基端部外周に突設されたキー部25bが係合している。第2の回転筒24の内周面には、撮影光軸OA(撮影光路)に直交する面に沿う案内溝が形成されており(図6参照)、この案内溝には、第2のライナー25の外周面に突設された直進案内部材であるフォロワ(またはキー)が係合している。このような構成により、第2のライナー25と第2の回転筒24とは、撮影光軸OA(撮影光路)方向に一体的に移動するとともに、撮影光軸OA回りに相対的な回転移動が可能とされている。
第2のライナー25の内周には、カム筒26が嵌合されている。このカム筒26は、基端部外周に突設された係止突起26aが第2の回転筒24の基端部に嵌合係止して、第2の回転筒24と一体的に回転動作するようになっている。第2のライナー25の内周面には、図示は略すが、撮影光軸OA(撮影光路)に直交する面に沿う案内溝が形成され、この案内溝には、カム筒26の外周面(前側)に突設された直進案内部材であるフォロワ(またはキー)が係合している。このような構成により、カム筒26と第2のライナー25とは、撮影光軸OA(撮影光路)方向に一体的に移動するとともに、撮影光軸OA回りに相対的な回転移動が可能とされている。
その第2のライナー25と第2の回転筒24との間には、直進筒27の基端部側が挿入されている。この直進筒27の基端部近傍の外周面には、カムフォロワ27aが突接され、そのカムフォロワ27aが第2の回転筒24の内周面に形成されたカム溝(図6参照)に係合している。また、直進筒27の内周面には、図示は略すが、軸方向に沿って直進溝が形成され、当該直進溝には第2のライナー25の外周面のキー部が係合している。
第1の回転筒22の基端部外周には、ギア部22b(図5参照)が形成されている。この第1の回転筒22は、そのギア部22bに螺合されたギア(図示せず)を介して、ズームモータ51(図1等参照)の駆動力が適宜ギア伝達されて回動される。これにより、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15が、所定のごとくズーミング動作する。
なお、第2の回転筒24における、直進筒27のカムフォロワに係合するカム溝が図6に示されている。カム筒26における、第2レンズ群12のレンズ保持枠のカムフォロワに係合するカム溝、およびシャッタ/絞りユニット15のカムフォロワに係合するカム溝が図7に示されている。第1のライナー23における、第2の回転筒24のカムフォロワのための逃げ溝および第2のライナー25のキー部に係合する直進溝が図8に示されている。そして固定枠21の固定筒部21aにおける、第1のライナー23のキー部23aに係合する直進溝21bと、第1の回転筒22のカムフォロワ22aに係合するカム溝が図9にそれぞれ示されている。
すなわち、上述した構成においては、第1の回転筒22は、固定枠21と単にヘリコイド螺合するのではなくヘリコイド状のカム溝(図9参照)で係合しており、収納状態から広角位置への駆動により、最大繰り出し位置まで完全に繰り出す。その後は、図9に示すように、当該カム溝の物体側端部が固定枠端面に平行になっていることから、第1の回転筒22は、広角位置から望遠位置への駆動では撮影光軸OA(撮影光路)方向へ移動することなく定位置で回転する。このため、第1の回転筒22は、沈胴状態から広角位置へ移動する際、最初は回転しながら被写体側へ繰り出し、その回転途中において最大繰り出し位置に到達する。この第1の回転筒22が最大繰り出し位置に到達すると、固定枠21に設置された、例えばフォトリフレクタ、フォトインタラプタまたはリーフスイッチ等からなるズーム位置検出器(図示せず)によりズーム位置基準信号が発生する。
したがって、このズーム位置基準信号が発生すると、第1の回転筒22が最大繰り出し位置に達したと考えてよいので、退避レンズ保持枠のうち物体側に位置するもの、すなわち第3レンズ群13を保持する第3レンズ保持枠31の撮影光軸OA(撮影光路)方向への進入動作を開始することができる。つまり、繰り出し動作の早い段階で、固定枠21に近接している鏡筒である第1の回転筒22と第1のライナー23とを完全に繰り出すことにより、撮影光軸OA(撮影光路)上に第3レンズ保持枠31を挿入するスペースをあらかじめ確保するようになっている。挿入のためのスペースが確保されてからすぐに第3レンズ保持枠31が進入動作を開始することとすると、第1の回転筒22が最大繰り出し位置に達するとすぐに上述したズーム位置基準信号が発生することから、電源オン時等の沈胴状態から広角状態への移行の際の時間を最小に抑えることが可能となる。
これら第1の回転筒22等の位置は、一般的なDC(直流)モータを用いて構成したズームモータ51(図1参照)では、ズームモータ51の出力軸に直接固定されたエンコーダ形状を備えたピニオンギヤと、この近傍に設置された例えばフォトインタラプタからなるズームカウント検出器によって発生される駆動パルスのカウントを用いて制御することができる。なお、第1の回転筒22を移動させるための駆動源は、DCモータとして、エンコーダとフォトインタラプタによる検出器により駆動位置検出を達成するようにしているが、これら全体をパルスモータに置き換えても同様の機能を達成可能である。
次に、レンズ鏡胴10において、第3レンズ群13および第4レンズ群14が、沈胴収納状態で撮影光軸OA(撮影光路)から退避するとともに、撮影状態で撮影光軸OA(撮影光路)上に配置する構成を、図1ないし図4および図10ないし図21を用いて説明する。
レンズ鏡胴10では、図1ないし図3に示すように、これらの図を正面視して、固定枠21の縦辺部に第3レンズ保持枠31が設けられているとともに、固定枠21の上辺部に第4レンズ保持枠41が設けられている。この固定枠21の一隅の角部には、第3レンズ保持枠31と第4レンズ保持枠41とが収容される退避位置としての収容空間21Qが形成されている(図2および図3参照)。この収容空間21Qは、固定枠21の固定筒部21aの外方位置に設けられており、その固定筒部21aに設けられた切り欠き部(図9参照)により固定筒部21aの内方位置との間での、第3レンズ保持枠31および第4レンズ保持枠41の移動が可能とされている。このため、第3レンズ保持枠31と第4レンズ保持枠41とは、図2ないし図4に示すように、沈胴状態における可動鏡筒の最大外径(ここでは、第1の回転筒22の最大外径)よりも外側に退避可能である。そして、第3レンズ群13と第4レンズ群14とは、その収容空間21Qにおいて、光軸方向に重なった状態で収容される(図2および図4参照)。
この第3レンズ保持枠31と第4レンズ保持枠41とは、図4に示すように、シャッタ/絞りユニット15と固体撮像素子16との間に配設されている。本実施例では、第3レンズ保持枠31がシャッタ/絞りユニット15に最も近接して配設され、第4レンズ保持枠41が固体撮像素子16に最も近接して配設されている。第3レンズ保持枠31と第4レンズ保持枠41とは、それぞれに対応して設けられた進退駆動機構により、回転筒22、24、直進筒27(これらを可動鏡筒ともいう)の固定枠21への沈胴状態(図2参照)で撮影光軸OA(撮影光路)から退避されて収容空間21Qに収納され、回転筒22、24、直進筒27の固定枠21からの進出状態(図3参照)で撮影光軸OA(撮影光路)に進入され、その撮影光軸OA方向(繰り出し方向)への移動が可能とされている。
本実施例においては、第3レンズ群13と第4レンズ群14との双方を退避させるため、収納動作において、先ず第4レンズ保持枠41が収納位置(収容空間21Q)へと移動した後に、第4レンズ群14よりも物体側(前側)に配置される第3レンズ群13の第3レンズ保持枠31の収納動作が許可され、その第3レンズ保持枠31が収納位置(収容空間21Q)へと移動する。その第3レンズ保持枠31の退避完了後に、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の沈胴収納位置への移動が許可される。
先ず、第4レンズ保持枠41およびその進退駆動機構の構成について説明する。第4レンズ保持枠41(第4レンズ群14)における進退駆動機構は、図10ないし図21に示すように、第4レンズ群14を保持する第4レンズ保持枠41に対応して、第4群主ガイド軸42、第4群副ガイド軸43、第4群リードスクリュー44、螺合部材(ラック)45、圧縮トーションスプリング46、スクリュー付勢片47(図1および図12参照)、摺動壁部49(図18等参照)、第4群モータ53およびギア71〜74を有する。なお、図10、図11および図15では、他の構成の理解容易のために摺動壁部49を省略して示している。また、図14では、理解容易のために、後述する連結壁部分96の内壁面における段差部96a以外の箇所にドットを付して示している。
第4レンズ保持枠41は、一端に第4レンズ群14を保持しかつ他端が回動可能にかつスライド移動可能に第4群主ガイド軸42に挿通されるものであり、図13に示すように、第4レンズ保持部91と、第4レンズ保持枠アーム部92と、第4レンズ保持枠回動基部93と、を有する。
第4レンズ保持部91は、第4レンズ保持枠41における一端側(先端側)に位置されており、第4レンズ群14を保持している。第4レンズ保持部91は、全体に円筒形状を呈する枠部材である。
第4レンズ保持枠アーム部92は、第4レンズ保持部91と第4レンズ保持枠回動基部93とを繋いでおり、第4レンズ保持枠41におけるアーム部を構成している。第4レンズ保持枠アーム部92は、中間位置が第4群主ガイド軸42と平行方向に延在する全体にクランク状の屈曲部を構成している。この他端側に第4レンズ保持枠回動基部93が連続されている。
第4レンズ保持枠回動基部93は、互いに等しい軸線上に挿通孔(94a、95a)が設けられた円板状の前側軸嵌合部分94および円板状の後側軸嵌合部分95と、それらの間に略円柱状の空間を形成すべく両部分94、95を連結する連結壁部分96と、を有する。前側軸嵌合部分94の挿通孔94aおよび後側軸嵌合部分95の挿通孔95aは、第4群主ガイド軸42との相対的な移動を可能としつつ当該第4群主ガイド軸42の挿通を許す貫通孔とされている。後側軸嵌合部分95には、第4レンズ保持枠アーム部92が連続されている。連結壁部分96は、挿通孔94aおよび挿通孔95aの軸線(挿通された第4群主ガイド軸42の軸線と一致する)に直交する面で見て、当該軸線を中心として湾曲された円筒状を呈する(図18参照)。
この連結壁部分96の内壁面には、円筒内周面に対して凹状とされた段差部96aが設けられている。この段差部96aは、図14に示すように、基端側にカム斜面形状を為すカム面96bと、その下端に連続しつつ撮影光軸OA方向に延在する側方係合面96cと、前側軸嵌合部分94の下端面により形成され撮影光軸OAとほぼ垂直に交わる平面となる前側係合面96dと、を形成している。
この第4レンズ保持枠回動基部93は、連結壁部分96を介在させた前側軸嵌合部分94の挿通孔94aおよび後側軸嵌合部分95の挿通孔95aにより、第4群主ガイド軸42の軸線回りに回転可能にかつ撮影光軸OA方向に移動可能に、当該第4群主ガイド軸42に支承される(図15等参照)。
この第4群主ガイド軸42は、第4レンズ群14の撮影光軸OA(撮影光路)と実質的に平行に設けられており、互いに撮影光軸OA方向に間隔を置くように固定枠21に固定された鏡胴ベース81と押え板82とに狭持されている(図1および図12参照)。このため、第4レンズ保持枠41は、第4群主ガイド軸42回りに適宜回動されることにより、図2および図10に示すように、沈胴収納状態における第4レンズ群14を固定枠21の収容空間21Qに収容して固定筒部21aから外部に退避した収納位置(沈胴収納状態D)と、図3および図11に示すように、撮影状態における撮影光軸OA(撮影光路)上に第4レンズ群14を挿入した撮影位置(撮影状態P)位置と、の間で移動(回転移動)可能とされている。また、第4レンズ保持枠41は、撮影位置(撮影状態P)において第4群主ガイド軸42に沿って適宜移動されることにより、撮影光軸OA(撮影光路)上に挿入した第4レンズ群14を当該撮影光軸OA上で移動(直進移動)可能とされている。
この第4レンズ保持枠41では、第4レンズ保持枠アーム部92における屈曲部近傍の第4レンズ保持部91側に、ストッパ41a(図10および図11参照)と遮光片41bとが突設されている。このストッパ41aは、図10および図11に示すように、収納位置(収容空間21Q)から撮影位置(撮影光軸OA上)への回動方向前側に設けられている。ストッパ41aは、第4群副ガイド軸43に当接することにより、第4レンズ保持枠41に保持された第4レンズ群14を撮影光軸OA上(撮影位置)に位置させるように位置設定されている。その第4群副ガイド軸43は、棒状を呈し、撮影光軸OA方向に延在するように鏡胴ベース81に設けられている。このため、第4群副ガイド軸43は、第4レンズ群14の撮影光軸OA(撮影光路)と実質的に平行に設けられており、ストッパ41aおよび圧縮トーションスプリング46との協働により、第4レンズ群14(第4レンズ保持枠41)を撮影位置(撮影光軸OA上)とする位置決めの機能を有する。
また、遮光片41bは、第4レンズ保持枠41(第4レンズ群14)が収納位置にあるか否かを検出するために、板状に延出されて形成されている。この遮光片41bは、第4レンズ保持枠41が収納位置にあると(図2および図10参照)、第4群の位置検出装置としてのフォトインタラプタ48の検出部を遮光し、第4レンズ保持枠41が撮影位置にあると(図3および図11参照)、第4群の位置検出装置としてのフォトインタラプタ48の検出部から外れるものとされている。このフォトインタラプタ48は、検出部が遮光片41bにより遮光されるとL(低レベル)の基準信号を出力し、検出部が遮光されていないとH(高レベル)の基準信号を出力する。このため、L(低レベル)の基準信号が発生すると、第4レンズ保持枠41が収納位置に達したと考えてよいので、第4レンズ保持枠41の物体側に位置する第3レンズ保持枠31の収納位置への退避動作を開始することができる。この第4レンズ保持枠41は、第4群リードスクリュー44からの駆動力を受けて回転移動および直進移動される。
第4群リードスクリュー44は、図12および図15に示すように、外周面にネジ溝が設けられた棒状を呈し、結像面側端部にギア74が一体固定されている。この第4群リードスクリュー44は、押え板82と固定枠21との間で、撮影光軸OA(撮影光路)と実質的に平行とされて回転可能に狭持されている。第4群リードスクリュー44の先端44aは、押え板82より物体側に突出しており、スクリュー付勢片47(図1参照)の腕部47aによって撮像面側への付勢力を受けている。このスクリュー付勢片47は、押え板82と共締めされて、固定枠21に固定されている(図1参照)。このため、第4群リードスクリュー44は、撮影光軸OA方向でのガタが片寄せされている。第4群リードスクリュー44は、第4群モータ53の出力軸に設けられたギア71からの回転駆動力が、ギア72およびギア73を介して、ギア74へと伝達されることにより、回転駆動される。この回転駆動力の第4レンズ保持枠41への伝達のために、螺合部材45が設けられている。
螺合部材(ラック)45は、図16に示すように、円筒状の挿通基部45aと、そこから延出された柱状の係合脚部45bと、を有する。その挿通基部45aには、第4群主ガイド軸42との相対的な移動を可能としつつ当該第4群主ガイド軸42の挿通を許す貫通孔45cと、係合脚部45bとは反対側に突出された当接部45dと、が設けられている。係合脚部45bには、第4群リードスクリュー44のネジ溝と螺合可能な複数の歯が形成されたラック部45eと、圧縮トーションスプリング46の他方の腕部46bの固定のための係合突起部45f(図15参照)と、係合脚部45bにおけるラック部45eの裏側に位置する摺動当接面45gと、が設けられている。
この螺合部材45は、図15に示すように、第4レンズ保持枠41の第4レンズ保持枠回動基部93における前側軸嵌合部分94と後側軸嵌合部分95との間の空間(連結壁部分96の内方位置)内に、挿通基部45aを位置させつつその挿通孔45cに第4群主ガイド軸42が挿通されて設けられている。このため、螺合部材45は、連結壁部分96の内方位置で、第4群主ガイド軸42を中心として回動可能にかつ第4群主ガイド軸42に沿って移動可能に支持されており、第4レンズ保持枠41との相対的な回動および移動が可能とされている。螺合部材45は、挿通基部45aの上端面45hが、前側軸嵌合部分94の下端面(連結壁部分96の内壁面に形成された段差部96aの前側係合面96d(図14参照))と対向され、当接部45dが、連結壁部分96の内壁面に形成された段差部96a内(図12参照)に位置されている(図19参照)。このため、螺合部材45の当接部45dは、段差部96aのカム面96b、側方係合面96cおよび前側係合面96dと、係合可能とされている(図20参照)。この螺合部材45の下方(後側軸嵌合部分95側)に、圧縮トーションスプリング46が設けられている。
圧縮トーションスプリング46は、第4レンズ保持枠41における前側軸嵌合部分94と後側軸嵌合部分95との間の空間(連結壁部分96の内方位置)において、第4群主ガイド軸42の周囲を取り巻くように配設されている。この圧縮トーションスプリング46は、一方の腕部46aが第4レンズ保持枠41の第4レンズ保持枠アーム部92に固定されており、他方の腕部46bが螺合部材45の係合脚部45bの係合突起部45fに固定されている。このため、圧縮トーションスプリング46は、第4レンズ保持枠41における前側軸嵌合部分94と後側軸嵌合部分95との間の空間(連結壁部分96の内方位置)において、螺合部材45を第4群主ガイド軸42上(撮影光軸OA方向)で像面側(後側軸嵌合部分95側)から物体側(前側軸嵌合部分94側)へと向かう方向(前方向(図19を正面視して上側))に常時付勢(以下、直進付勢ともいう)しているとともに、第4レンズ保持枠41と螺合部材45とを第4群主ガイド軸42を中心とする回動方向で互いに離間するように常時付勢(以下、回動付勢ともいう)している。圧縮トーションスプリング46から回動付勢される螺合部材45は、その回動付勢方向前側に位置するラック部45eが第4群リードスクリュー44のネジ溝に螺合される。
螺合部材45のラック部45eは、上述したように第4群リードスクリュー44のネジ溝と螺合可能とされており、本実施例では、図17に示すように、物体側(前方向(図を正面視して上側))の面と像面側(後方向(図を正面視して下側))の面との双方で第4群リードスクリュー44のネジ溝に当接可能な設定とされている。このため、ラック部45e(そのネジ溝)は、螺合部材45が第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)へと押圧される(矢印A1参照)ことにより、撮影光軸OA方向およびそこに直交する方向へのガタが取り除かれた適切な状態で第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)に螺合する。換言すると、ラック部45e(そのネジ溝)は、螺合部材45が第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)へと押圧される(矢印A1参照)ことにより、第4群リードスクリュー44に沿って進行する螺合部材45の進行方向で見た前側と後側との双方で第4群リードスクリュー44のネジ溝に当接する。その螺合状態の保持のために摺動壁部49(図18参照)が設けられている。
摺動壁部49は、図12におけるI−I線で得られた断面図である図18に示すように、撮影光軸OAに直交する方向で螺合部材45の摺動当接面45gに対向されている。換言すると、螺合部材45は、撮影光軸OAに直交する面で見て、第4群リードスクリュー44と摺動壁部49との間に位置されている。この摺動壁部49は、固定枠21から撮影光軸OA方向物体側へと延出されており、少なくとも後述する当接部45dの当接辺部45uがカム面96bに当接される高さ位置(後述する高さ位置Rlから高さ位置Rhまでの間(図21参照))にある螺合部材45の摺動当接面45gに対向可能な長さ寸法とされている(図12参照)。また、摺動壁部49は、螺合部材45のラック部45e(そのネジ溝)と第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)とが適切に螺合した状態において、摺動当接面45gとの間隔Cが、ラック部45eと第4群リードスクリュー44との係り量H(図17参照)よりも小さくなる(H>C)ように位置設定されている。
次に、このように構成された第4レンズ保持枠41が、上述した進退駆動機構により、第4レンズ群14を固定枠21の固定筒部21aから外部に退避した収納位置(沈胴収納状態D)と、撮影光軸OA上に第4レンズ群14を挿入した撮影位置(撮影状態P)との間で回動する際の作用について説明する。
第4レンズ保持枠41(その進退駆動機構)では、第4レンズ保持枠回動基部93が、その円筒内周面に設けられた段差部96aのカム面96bと、そこに受け入れられた螺合部材45の当接部45dとの摺動により、前後方向に直線運動される螺合部材45の押圧力を受けて回動され、当接部45dと前側係合面96dとの当接により、前後方向に直線運動される螺合部材45の押圧力を受けて直進される(図19等参照)。このため、段差部96aがカム溝として機能し螺合部材45の当接部45dがカムピンとして機能することとなる。これにより、段差部96aと当接部45dとは、直線運動される螺合部材45の移動を、第4レンズ保持枠41における、第4群主ガイド軸42回りの回動運動と、第4群主ガイド軸42に沿う直進運動と、に変換するカム構造を構成している。図20は、カム溝である段差部96aを第4レンズ保持枠回動基部93の回動方向で見た模式的な平面図であり、(a)が退避開始位置B(図19参照)での状態を示し、(b)が退避開始位置Bと収納位置Sとの間での移行状態を示し、(c)が収納位置S(図19参照)での状態を示している。この図20では、第4レンズ保持枠回動基部93が回動された様子を段差部96aが左右に移動することで示しており、カムピンである当接部45dの第4群リードスクリュー44に沿う前後方向の直線運動は正面視で上下方向の移動により示している。
第4レンズ保持枠回動基部93は、前述したように、カム溝である段差部96a内で前後方向に移動されるカムピンである螺合部材45の当接部45dにより、第4群主ガイド軸42に沿って上下に移動されたり、第4群主ガイド軸42回りに回動されたりする。この際のカム溝である段差部96a内での当接部45dの位置に対する第4レンズ保持枠回動基部93の動作を説明する。
第4レンズ保持枠41の進退駆動機構では、上述した構成であることから、圧縮トーションスプリング46の回動付勢により、圧縮トーションスプリング46の一方の腕部46aに固定された第4レンズ保持枠41(その第4レンズ保持枠アーム部92)がストッパ41aを第4群副ガイド軸43に当接させる回転方向への回動付勢力を受け、かつ他方の腕部46bに固定された螺合部材45(その係合脚部45b)がラック部45e(そのネジ溝)を第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)に螺合させる回転方向への回動付勢力を受けている。このため、第4レンズ保持枠41の第4レンズ保持枠回動基部93の連結壁部分96の段差部96aでは、その内部に位置され撮影光軸OAに沿って移動される螺合部材45の当接部45dに対して第4群主ガイド軸42回りの回動付勢力、すなわち当接部45dと段差部96a(連結壁部分96)との間で相対的な回転力が作用することとなる。図20では、この段差部96a(連結壁部分96)が圧縮トーションスプリング46により回動付勢されている方向を矢印A2で示している。
また、第4レンズ保持枠41の進退駆動機構では、上述した構成であることから、第4レンズ保持枠41の第4レンズ保持枠回動基部93の略円柱状の空間と、螺合部材45(その挿通基部45a)と、の位置関係に対する圧縮トーションスプリング46における圧縮状態(自然長から直進付勢に抗して圧縮された状態)での直進付勢方向の長さ寸法の設定により、圧縮トーションスプリング46の一方の腕部46aに固定された第4レンズ保持枠41(その第4レンズ保持枠回動基部93)の後側軸嵌合部分95(その上端面95b)と、圧縮トーションスプリング46の他方の腕部46bに固定された螺合部材45の挿通基部45a(その下端面45i)と、の間に介在された圧縮トーションスプリング46が、第4群主ガイド軸42の延在方向(撮影光軸OA方向)で圧縮されている。このため、圧縮トーションスプリング46の直進付勢により、撮影光軸OAに沿って移動される螺合部材45(その挿通基部45aの下端面45i)に対して、第4レンズ保持枠41の第4レンズ保持枠回動基部93(その後側軸嵌合部分95の上端面95b)が、像面側(図19を正面視した下側)へと押圧されている。
当接部45dが、図20(a)に示すように、カム面96bが存在しない位置よりも前方(物体側であり正面視上方)に移動されると(退避開始位置B(図19参照))、後述するように、当接部45dとカム面96bとの係合による圧縮トーションスプリング46の回動付勢力に抗して一方の腕部46aと他方の腕部46bと間隔を狭めるように当該圧縮トーションスプリング46を縮める力が作用しなくなる。このため、圧縮トーションスプリング46では、一方の腕部46aに固定された第4レンズ保持枠41と他方の腕部46bに固定された螺合部材45とを、第4群主ガイド軸42を中心とする回動方向で互いに離間させる。ここで、第4群主ガイド軸42と、第4群副ガイド軸43と、第4群リードスクリュー44と、の位置関係に対する圧縮トーションスプリング46における縮み状態(自然長から回動付勢に抗して圧縮された状態)での回動付勢方向の長さ寸法の設定により、一方の腕部46aに固定された第4レンズ保持枠41(その第4レンズ保持枠アーム部92)のストッパ41aが第4群副ガイド軸43に当接されて押圧され、かつ他方の腕部46bに固定された螺合部材45(その係合脚部45b)のラック部45e(そのネジ溝)が第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)へと押圧される。このことから、当接部45dが、カム面96bよりも前方(物体側であり正面視上方)に移動されている場合、圧縮トーションスプリング46の回動付勢により、ストッパ41aで第4群副ガイド軸43に当接する第4レンズ保持枠41に保持された第4レンズ群14が撮影光軸OA上(撮影位置)に位置されるとともに、螺合部材45のラック部45e(そのネジ溝)が第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)に押し当てられて適切に螺合する。このため、圧縮トーションスプリング46は、螺合部材45を第4群リードスクリュー44の軸線に直交する方向から当接させるべく、螺合部材45を第4群リードスクリュー44へ向けて押圧する螺合部材押圧手段としての機能を有する。また、圧縮トーションスプリング46は、退避レンズ保持枠としての第4レンズ保持枠41を位置決め部材としての第4群副ガイド軸43に第4群主ガイド軸42を中心とする回動方向で当接させるべく、第4レンズ保持枠41を第4群副ガイド軸43へ向けて回動付勢する保持枠回動付勢手段としての機能を有する。
この当接部45dが、図20(a)に示すように、カム面96bが存在しない位置(退避開始位置B(図19参照))まで前方(物体側であり正面視上方)に移動されて、さらに前方へ移動されると(螺合部材45の広角位置Wまたは望遠位置T等(図19参照))、当接部45dの上面45s(螺合部材45の上端面45h)が前側係合面96dに当接する。このとき、第4レンズ保持枠回動基部93が、圧縮トーションスプリング46により、当接部45dに対して矢印A2方向に回動付勢されていることから、当接部45d(その上面45s)は、図示左側の端部で前側係合面96dに当接している。この状態では、上述したように、第4レンズ群14が撮影光軸OA上に位置されている(図8等参照)とともに、螺合部材45のラック部45e(そのネジ溝)が第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)に押し当てられている。また、この状態では、第4レンズ保持枠41の第4レンズ保持枠回動基部93が、圧縮トーションスプリング46により、螺合部材45に対して像面側(図19を正面視した下側)へと直進付勢されていることから、第4レンズ保持枠回動基部93の連結壁部分96の前側係合面96d(前側軸嵌合部分94の下端面(図19参照))が螺合部材45の上端面45hに押し当てられており、螺合部材45と第4レンズ保持枠回動基部93(第4レンズ保持枠41)との一体的な移動が可能とされている。このため、圧縮トーションスプリング46は、第4群主ガイド軸42に沿って移動する螺合部材45と一体的に退避レンズ保持枠としての第4レンズ保持枠41を第4群主ガイド軸42に沿って移動させるべく、螺合部材45と第4レンズ保持枠41とを第4群主ガイド軸42に沿う方向で押し当てる保持枠直進付勢手段としての機能を有する。
この状態において、さらに当接部45dが前方に移動される(螺合部材45の広角位置Wまたは望遠位置T等(図19参照))と、当接部45d(その上面45s(螺合部材45の上端面45h))が前側係合面96dを前方へと押圧して、第4レンズ保持枠回動基部93すなわち第4レンズ保持枠41を前方へ押し上げるので、前述したように、第4レンズ群14が適宜物体側へと移動される。すなわち、第4レンズ保持枠41は、圧縮トーションスプリング46の回動付勢と第4群副ガイド軸43の規制とにより、第4レンズ群14が撮影光軸OA(撮影光路)上に位置決めされた状態を維持しつつ像面側から物体側へと漸次移動する。
当接部45dが、望遠位置T(図19参照)から後方(像面側であり図20の正面視下方)に移動されると、その移動される当接部45dと一体的に第4レンズ保持枠41が鏡胴ベース81側へと移動されるので、第4レンズ群14が撮影光軸OA(撮影光路)上で適宜像面側へと移動される。この当接部45dと第4レンズ保持枠41との一体的な移動は、当接部45dが望遠位置Tとされた状態から、第4レンズ保持枠41の第4レンズ保持枠回動基部93の後側軸嵌合部分95の下端面95cが鏡胴ベース81(その上面)に当接するまでの間、行われる。このように、上述したカム構造において、当接部45dと前側係合面96dとは、螺合部材45の移動を、第4群主ガイド軸42に沿う第4レンズ保持枠41の直進運動に変換する直進部(カム構造直進部)を構成している。
当接部45dが、図20(b)に示すように、退避開始位置B(図19参照)から後方(像面側であり正面視下方)へ移動されると、側面45tの下端に位置する当接辺部45uがカム面96bに当接して後方へ押圧する。この状態では、当接部45d(その上面45s(螺合部材45の上端面45h))による前側係合面96dの前方への押圧が解除されていることから、当接部45dの下端面45iを基準とする圧縮トーションスプリング46からの直進付勢により、第4レンズ保持枠41の基端面(後側軸嵌合部分95の下端面95c)が鏡胴ベース81に当接している(図19参照)。このため、第4レンズ保持枠41では、第4群リードスクリュー44に沿って移動される当接部45dの位置(図20(b)では正面視の高さ位置)に応じて、その当接部45d(その当接辺部45u)が当接するカム面96bのカム軌跡に倣うように、圧縮トーションスプリング46の回動付勢力に抗して第4レンズ保持枠回動基部93が回動される(図20(b)では正面視左側に移動)。これにより、第4レンズ保持枠回動基部93すなわち第4レンズ保持枠41は、退避位置へ向けて回動されている移行状態となり、第4レンズ群14が撮影光軸OA上から退避位置へと退避される移行状態となる。このように、退避移行状態では、第4群リードスクリュー44に沿って移動される螺合部材45の当接部45dが第4レンズ保持枠41のカム面96bに係合されたカム構造により、圧縮トーションスプリング46の回動付勢力に抗して一方の腕部46aと他方の腕部46bと間隔を狭めるように縮める力が当該圧縮トーションスプリング46に作用している。このように、上述したカム構造において、当接部45dとカム面96bとは、螺合部材45の移動を、第4群主ガイド軸42回りの第4レンズ保持枠41の回転運動に変換する回転部(カム構造回転部)を構成している。
当接部45dが、図20(c)に示すように、収納位置Sすなわちカム面96bが存在しない位置まで後方に移動されると、第4レンズ保持枠回動基部93が矢印A2方向に付勢されていることから、側面45tが側方係合面96cに当接して互いに押圧する。この状態では、第4レンズ群14が収容空間21Q(収納位置)に位置されるように(図2、図10等参照)、各位置が設定されている。このように第4レンズ保持枠41が収容空間21Q(収納位置)に近づいていくと、第4レンズ保持枠41の遮光片41bが第4レンズ群14の位置検出装置としてのフォトインタラプタ48の検出部を遮光するので(図2、図10参照)、フォトインタラプタ48ではH(高レベル)からL(低レベル)への基準信号を発生する。第4レンズ保持枠41すなわち第4レンズ群14は、フォトインタラプタ48からの基準信号を基準としてパルスカウントにより位置制御される。このフォトインタラプタ48では、HからLとなる基準信号が収納基準信号となり、第4レンズ保持枠41の収納位置Sは、フォトインタラプタ48から収納基準信号が出力されてから所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置とされている。このように螺合部材45(当接部45d)が収納位置Sに到達すると、圧縮トーションスプリング46では、軸方向(直進付勢方向)に最もチャージされるとともに、軸回り方向(回動付勢方向)に最もチャージされる。
このように、レンズ鏡胴10では、図21に示すように、当接部45dの当接辺部45uが、カム面96bの下側端部に当接係合する高さ位置Rlから、カム面96bの上側端部に当接係合する高さ位置Rhまでの間では、第4群リードスクリュー44に沿って移動する螺合部材45が、カム面96bおよび圧縮トーションスプリング46との協働により第4レンズ保持枠41の回動姿勢を制御する回動姿勢制御区間となる。このとき、第4レンズ保持枠41は、回転姿勢に拘らず、第4レンズ保持枠41の(その第4レンズ保持枠回動基部93の後側軸嵌合部分95の)下端面95cが鏡胴ベース81に当接している(図19参照)。
また、レンズ鏡胴10では、当接部45dの上面45s(螺合部材45の上端面45h)が、前側係合面96dに当接する高さ位置Llから前方側では、第4群リードスクリュー44に沿って移動する螺合部材45が、前側係合面96dおよび圧縮トーションスプリング46との協働により第4レンズ保持枠41すなわち第4レンズ群14の撮影光軸OA方向で見た位置(広角位置Wまたは望遠位置T等(図19参照))を制御する光軸上位置制御区間となる。
このため、レンズ鏡胴10では、螺合部材45は、回動姿勢制御区間と光軸上位置制御区間との間、すなわち高さ位置Rhと高さ位置Llとの間に位置するとき、第4レンズ保持枠回動基部93すなわち第4レンズ保持枠41の回転姿勢および光軸上位置の制御を行うことなく双方の制御が切り替えられる。以下では、この高さ位置Rhから高さ位置Llを、制御切替区間とする。
レンズ鏡胴10では、上述したように、この第4レンズ保持枠41の収納動作完了後、第3レンズ保持枠31の収納動作が許可される。この第3レンズ保持枠31(第3レンズ群13)およびその進退駆動機構は、回動方向と撮影光軸OAで見た高さ位置とが異なることを除くと、基本的に第4レンズ保持枠41(第4レンズ群14)およびその進退駆動機構の構成(および作用)と同様であることから、詳細な説明は省略する。
第3レンズ保持枠31は、図2および図3に示すように、一端に第3レンズ群13を保持しており、他端が第3レンズ群13の撮影光軸OA(撮影光路)と実質的に平行な第3群主ガイド軸32によって回動可能にかつ第3群主ガイド軸32に沿ってスライド移動可能に支持されている。第3レンズ保持枠31は、撮影状態(図3参照)における撮影光軸OA(撮影光路)上に第3レンズ群13を挿入した撮影光軸OA(撮影光路)上位置と、沈胴収納状態(図2参照)における第3レンズ群13を固定枠21の固定筒部21aから外部(可動鏡筒の外側(収容空間21Q))に退避した収納位置との間で第3群主ガイド軸32を中心として回動する。この第3レンズ保持枠31は、撮影光軸OA上への進入時は、圧縮トーションスプリング36からの回動付勢力(モーメント力)により、ストッパ31aが第3群副ガイド軸33に当接することで第3レンズ保持枠31の撮影光軸OA(撮影光路)上の位置決めが為されている(図3参照)。また、撮影光軸OA上に位置決めされた第3レンズ保持枠31では、その撮影光軸OA上位置を維持しつつ物体側から像面側へと漸次移動可能である。
その第3レンズ保持枠31は、第3群基準検出器(第3群フォトインタラプタ、詳しくは図示されていない)によって発生するHからLとなる第3レンズ保持枠31の収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動されることにより、収納位置である収容空間21Q内に収納される(図2参照)。レンズ鏡胴10では、この収納完了後に、第1の回転筒22や第1のライナー23およびそれらの内方すなわちそれらの基端面よりも前方に位置する構成部品を繰り込むようにされており、それらと第3レンズ保持枠31との干渉なしに安全に第1の回転筒22等を繰り込むことが可能とされている。
次に、上述の実施例に示したレンズ鏡胴10を含む光学系装置を、撮影光学系として採用してカメラ100(撮像装置)100を構成した例について図22〜図24を参照して説明する。図22は、物体、すなわち被写体側である前面側から見たカメラ100の外観を示す斜視図であり、図23は、撮影者側である背面側から見たカメラ100の外観を示す斜視図であり、図24は、カメラ100の機能構成を示すブロック図である。なお、ここでは、カメラ100について説明しているが、いわゆるPDA(personal data assistant)や携帯電話機等の携帯型情報端末装置にカメラ機能を組み込んだものが近年登場している。
このような携帯型情報端末装置も外観は若干異にするもののカメラ100と実質的に全く同様の機能・構成を含んでいるものが多く、このような携帯型情報端末装置に本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を採用してもよい。また、同様に、本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を画像入力装置に採用してもよい。
図22および図23に示すように、カメラ100は、撮影レンズ101、シャッタボタン102、ズームレバー103、ファインダ104、ストロボ105、液晶モニタ106、操作ボタン107、電源スイッチ108、メモリカードスロット109および通信カードスロット110等を備えている。さらに、図24に示すように、カメラ100は、受光素子201、信号処理装置202、画像処理装置203、中央演算装置(CPU)204、半導体メモリ205および通信カード等206も備えている。また、明確には図示されていないが、これら各部は、駆動電源としてのバッテリにより給電されて動作する。
カメラ100は、撮影レンズ101とCCD(電荷結合素子)撮像素子等のエリアセンサとしての受光素子201を有しており、撮影光学系である撮影レンズ101によって形成される撮影対象となる物体、つまり被写体の像を受光素子201によって読み取るように構成されている。この撮影レンズ101としては、本実施例において説明したような本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を用いる。具体的には、レンズ鏡胴10を構成する光学要素であるレンズ等を用いて光学系装置を構成する(例えば、固体撮像素子16(図4参照)を用いて受光素子201を構成する)。レンズ鏡胴10は、各レンズ等を、少なくともレンズ群毎に移動操作し得るように保持する機構を有する。カメラ100に組み込まれる撮影レンズ101は、通常の場合、この光学系装置の形で組み込まれる。
受光素子201の出力は、中央演算装置204によって制御される信号処理装置202によって処理され、デジタル画像情報に変換される。信号処理装置202によってデジタル化された画像情報は、やはり中央演算装置204によって制御される画像処理装置203において所定の画像処理が施された後、不揮発性メモリ等の半導体メモリ205に記録される。この場合、半導体メモリ205は、メモリカードスロット109に装填されたメモリカードでもよく、カメラ本体に内蔵された半導体メモリでもよい。液晶モニタ106には、撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ205に記録されている画像を表示することもできる。また、半導体メモリ205に記録した画像は、通信カードスロット110に装填した通信カード等206を介して外部へ送信することも可能である。
撮影レンズ101は、カメラ100の携帯時には図22の(a)に示すように沈胴状態にあってカメラ100のボディ内に埋没している。ユーザーが電源スイッチ108を操作すると、電源が投入され、図22の(b)に示すように鏡胴が繰り出され、カメラ100のボディから突出して撮影状態Pとなる構成とする。このとき、撮影レンズ101のレンズ鏡胴10の内部では、ズームレンズを構成する各群の光学系が、例えば広角位置に配置されており、ズームレバー103を操作することによって、各群光学系の配置が変更されて、望遠端への変倍動作を行うことができる。
なお、ファインダ104の光学系も撮影レンズ101の画角の変化に連動して変倍するようにすることが望ましい。
多くの場合、シャッタボタン102の半押し操作により、フォーカシングがなされる。本実施例のズームレンズにおけるフォーカシングは、主として第4レンズ群14の移動によって行うことができる。シャッタボタン102をさらに押し込み全押し状態とすると撮影が行なわれ、その後に上述した通りの処理がなされる。
半導体メモリ205に記録した画像を液晶モニタ106に表示させたり、通信カード等206を介して外部へ送信させたりする際には、操作ボタン107を所定のごとく操作する。半導体メモリ205および通信カード等206は、メモリカードスロット109および通信カードスロット110等のような、それぞれ専用または汎用のスロットに装填して使用される。
なお、撮影レンズ101が沈胴状態にあるときには、第3レンズ群13および第4レンズ群14が撮影光軸OA(撮影光路)上から退避して、第1レンズ群11および第2レンズ群12と並列的に収納されている(図2、図4参照)ので、カメラ100のさらなる薄型化を実現することができる。
本実施例のレンズ鏡胴10では、上述したように、第4群モータ53を図10および図11における反時計方向(鏡胴正面から見て反時計方向)に回転することにより、ギア71〜74からなるギア機構を介して第4群リードスクリュー44が時計方向に回転し、螺合部材45が撮影光軸OA方向に沿って収納位置Sから被写体側へと移動する(図19参照)。レンズ鏡胴10では、第4レンズ群14を収納位置(沈胴収納状態D(図10参照))から撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P(図11参照))に移動させる際、螺合部材45を収納位置Sから回動姿勢制御区間の上端位置まで、すなわち収納位置Sから高さ位置Rlを経て高さ位置Rhまで移動させる(図21参照)。このとき、第4レンズ保持枠回動基部93すなわち第4レンズ保持枠41は、圧縮トーションスプリング46の回動付勢力により、螺合部材45の回動姿勢制御区間における位置、すなわちカム面96bに対する螺合部材45の当接部45d(その当接辺部45u)の位置に応じて回動する。
螺合部材45が高さ位置Rhから高さ位置Ll(退避開始位置B)の間に位置されると、圧縮トーションスプリング46の回動付勢により、第4レンズ保持枠41(そのストッパ41a)が第4群副ガイド軸43に押し当てられるとともに、螺合部材45のラック部45e(そのネジ溝)が第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)に押し当てられる。
この後、螺合部材45が、高さ位置Ll(退避開始位置B)とされると、圧縮トーションスプリング46の直進付勢により、螺合部材45の上端面45hが第4レンズ保持枠回動基部93の連結壁部分96の前側係合面96d(前側軸嵌合部分94の下端面(図19参照))に押し当てられ、第4レンズ保持枠41と螺合部材45との撮影光軸OA方向への一体的な移動が可能となる。
螺合部材45が、高さ位置Ll(退避開始位置B)よりも前方(物体側)に移動されると、上述したように、高さ位置が適宜制御されることにより、第4レンズ保持枠41すなわち第4レンズ群14の撮影光軸OA方向で見た位置(広角位置Wまたは望遠位置T等)が制御される。
この本実施例のレンズ鏡胴10では、螺合部材45が高さ位置Rhとされると、圧縮トーションスプリング46の回動付勢により、第4レンズ保持枠41(そのストッパ41a)が第4群副ガイド軸43に押し当てられるとともに、螺合部材45のラック部45e(そのネジ溝)が第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)に押し当てられるので、第4レンズ保持枠41に保持された第4レンズ群14が撮影光軸OA上(撮影位置)に位置されるとともに、螺合部材45のラック部45e(そのネジ溝)が第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)に押し当てられて適切に螺合する。このように、螺合部材45が、圧縮トーションスプリング46の回動付勢により第4群リードスクリュー44に押し当てられていることから、螺合部材45のラック部45e(そのネジ溝)と第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)とを、撮影光軸OA方向およびそこに直交する方向へのガタが取り除かれた適切な状態で螺合させることができる。これにより、第4群リードスクリュー44の回転方向に拘らず、第4群リードスクリュー44に沿う螺合部材45の位置を一定のものとすることができる。詳細には、本実施例のレンズ鏡胴10では、螺合部材45のラック部45eのネジ溝は、圧縮トーションスプリング46の回動付勢により、物体側(前方向(図を正面視して上側))の面と像面側(後方向(図を正面視して下側))の面との双方で第4群リードスクリュー44のネジ溝に当接している(図17参照)。このため、螺合部材45(そのラック部45eのネジ溝)と第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)とは、第4群リードスクリュー44の回転により当該第4群リードスクリュー44に沿って進行する螺合部材45の進行方向で見た前側と後側との双方で当接しているので、第4群リードスクリュー44の回転方向に拘らずそのネジ溝との螺合状態(当接状態)を一定のものとすることができる。よって、第4群リードスクリュー44の回転方向に拘らず、撮影光軸OA方向での第4レンズ保持枠41に保持された第4レンズ群14の位置を一定のものとすることができ、その結果、撮影光軸OA上での第4レンズ群14の位置を高精度に制御することができる。
また、本実施例のレンズ鏡胴10では、第4群リードスクリュー44に対してその軸線に直交する方向から螺合部材45(そのラック部45eのネジ溝)を押し当てることにより、螺合部材45(そのラック部45eのネジ溝)と第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)とが螺合するものであることから、第4群リードスクリュー44の回転駆動力が、その軸線回りの回動力すなわちラック部45eを第4群リードスクリュー44から離間させる方向の力として螺合部材45に作用することはないので、螺合部材45(そのラック部45eのネジ溝)と第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)との螺合が解除されることを防止することができる。このため、従来の構成のように、リードスクリューの回転に伴ってその軸線回りに螺合部材が回転してしまうことはなく、リードスクリューの回転が逆転された際の当該螺合部材に設けた回転止め突起部のガイド溝内で回動に起因する衝突音が生じることを防止することができる。
さらに、本実施例のレンズ鏡胴10では、圧縮トーションスプリング46の回動付勢により、第4レンズ保持枠41のストッパ41aが第4群副ガイド軸43に当接係合することで、撮影光軸OA上での第4レンズ群14の位置を維持するものであることから、第4レンズ保持枠41すなわち第4レンズ群14が撮影光軸OAに沿って移動された場合であっても、第4レンズ群14が撮影光軸OA上に位置することを容易に維持することができる。
本実施例のレンズ鏡胴10では、圧縮トーションスプリング46の直進付勢により、螺合部材45の上端面45h(当接部45dの上面45s)が第4レンズ保持枠回動基部93の連結壁部分96の前側係合面96d(前側軸嵌合部分94の下端面(図19参照))に押し当てられており、螺合部材45と第4レンズ保持枠回動基部93(第4レンズ保持枠41)との一体的な移動が可能とされていることから、第4群リードスクリュー44を回転制御して螺合部材45の撮影光軸OA方向での高さ位置を制御することにより、第4レンズ保持枠41すなわち第4レンズ群14の撮影光軸OA上での位置を高精度に制御することができる。
本実施例のレンズ鏡胴10では、第4群リードスクリュー44がスクリュー付勢片47によって軸方向のガタが片寄せされていることから、第4群リードスクリュー44自体の撮影光軸OA方向のガタを取り除くことができるので、第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)に螺合される螺合部材45(そのラック部45eのネジ溝)の撮影光軸OA方向の位置を当該第4群リードスクリュー44の回転駆動でより高精度に制御することができ、第4レンズ保持枠41すなわち第4レンズ群14の撮影光軸OA上での位置をより高精度に制御することができる。
本実施例のレンズ鏡胴10では、螺合部材45のラック部45e(そのネジ溝)と第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)とが適切に螺合した状態において、摺動当接面45gとの間隔Cがラック部45eと第4群リードスクリュー44との係り量H(図18参照)よりも小さくなる(H>C)ように位置設定されて摺動壁部49が設けられていることから、たとえ螺合部材45がラック部45eを第4群リードスクリュー44から離間させる方向に第4群主ガイド軸42回りに移動しようとしても、ラック部45eと第4群リードスクリュー44との螺合が解除される前に螺合部材45の摺動当接面45gが摺動壁部49に当接するので、ラック部45eと第4群リードスクリュー44との螺合が解除されることを確実に防止することができる。このような螺合部材45の回動は、以下のことにより生じる虞がある。螺合部材45が収納位置Sから高さ位置Rh(当接部45dの当接辺部45uがカム面96bに当接する最も前方位置(図21参照))までの間に位置している場合、一方の腕部46aと他方の腕部46bと間隔を狭めるように縮める力が圧縮トーションスプリング46に作用していることから、第4レンズ保持枠41(そのストッパ41a)を第4群副ガイド軸43に押し当てるとともに、螺合部材45のラック部45eを第4群リードスクリュー44に押し当てることができない。ここで、螺合部材45の当接部45d(当接辺部45u)が第4レンズ保持枠41の(連結壁部分96の段差部96aの)カム面96bに当接係合している場合、当接部45dには、カム面96bからの反力と、圧縮トーションスプリング46の回動付勢によるカム面96bからの付勢力と、が作用する。この反力と付勢力とは、その一部が当接部45dに対して撮影光軸OAと直交する面に沿ってカム面96bから離間する方向に作用する(図20(b)の矢印F1参照)。また、螺合部材45の当接部45d(側面45t)が第4レンズ保持枠41の(連結壁部分96の段差部96aの)側方係合面96cに当接係合している場合、当接部45dには、圧縮トーションスプリング46の回動付勢による側方係合面96cからの付勢力が作用する。この付勢力は、当接部45dに対して撮影光軸OAと直交する面に沿ってカム面96bから離間する方向に作用する(図20(c)の矢印F2参照)。これらの当接部45dへの付勢力(F1およびF2)は、いずれも図18に示すように、当接部45dを段差部96aから離間させる第4群主ガイド軸42回りの回動付勢力(矢印F3参照)として螺合部材45に作用することから、この回動付勢力により螺合部材45が回動されると、そのラック部45eが第4群リードスクリュー44から離間する(螺合が解除される)虞がある。
本実施例のレンズ鏡胴10では、螺合部材45のラック部45e(そのネジ溝)と第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)とが適切に螺合した状態において、その螺合部材45の摺動当接面45gと摺動壁部49との間に間隔Cが設けられていることから、第4群リードスクリュー44に沿う螺合部材45の移動を円滑なものとすることができる。
本実施例のレンズ鏡胴10では、摺動壁部49が、第4群リードスクリュー44に沿って移動する螺合部材45が収納位置Sから高さ位置Rh(当接部45dの当接辺部45uがカム面96bに当接する最も前方位置(図21参照))までの間に位置しているときの摺動当接面45gに対向する長さ寸法とされて固定枠21から撮影光軸OA方向物体側へと延出されていることから、必要最低限の長さ寸法で螺合部材45のラック部45e(そのネジ溝)と第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)との螺合状態を確実に保持させることができる。これは、螺合部材45(当接部45d)が高さ位置Rh(図21参照)よりも前方(物体側)へと移動された状態では、上述したように、圧縮トーションスプリング46は、第4レンズ保持枠41(そのストッパ41a)を第4群副ガイド軸43に押し当てるとともに、螺合部材45のラック部45eを第4群リードスクリュー44に押し当てていることから、ラック部45eを第4群リードスクリュー44から離間させる方向に螺合部材45が第4群主ガイド軸42回りに回動することが防止されていることによる。
本実施例のレンズ鏡胴10では、第4レンズ保持枠41と螺合部材45とが、単一の第4群主ガイド軸42に設けられていることから、簡易な構成とすることができるとともに、より小さな構成とすることができ、より小型化に寄与することができる。
本実施例のレンズ鏡胴10では、カム構造としての段差部96aが第4レンズ保持枠41の第4レンズ保持枠回動基部93の連結壁部分96の内壁面に形成されるとともに、カム構造としての当接部45dを有する螺合部材45が当該連結壁部分96の内方位置(前側軸嵌合部分94と後側軸嵌合部分95との間の空間内)に設けられていることから、より小さな構成とすることができ、より小型化に寄与することができる。
本実施例のレンズ鏡胴10では、第4レンズ保持枠41と螺合部材45と圧縮トーションスプリング46とが、単一の第4群主ガイド軸42に設けられていることから、簡易な構成とすることができるとともに、より小さな構成とすることができ、より小型化に寄与することができる。
本実施例のレンズ鏡胴10では、圧縮トーションスプリング46における一方の腕部46aに第4レンズ保持枠41の第4レンズ保持枠アーム部92を固定するとともに、他方の腕部46bに螺合部材45の係合脚部45bの係合突起部45fを固定し、その圧縮トーションスプリング46を第4群副ガイド軸43と第4群リードスクリュー44との間で一方の腕部46aと他方の腕部46bと間隔を狭めるように配置していることから、簡易な構成で確実に、第4レンズ群14を撮影光軸OA上に位置させるとともに、螺合部材45(そのラック部45eのネジ溝)を第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)に押し当てることができる。
本実施例のレンズ鏡胴10では、単一の圧縮トーションスプリング46により、螺合部材45(そのラック部45eのネジ溝)を第4群リードスクリュー44(そのネジ溝)に押し当てる回動付勢と、第4レンズ保持枠41(そのストッパ41a)を第4群副ガイド軸43に当接係合させる回動付勢と、螺合部材45(の上端面45h)を第4レンズ保持枠41(その第4レンズ保持枠回動基部93の連結壁部分96の前側係合面96d)に押し当てる直進付勢と、を行うことができるので、簡易な構成とすることができるとともに、より小さな構成とすることができ、より小型化に寄与することができる。
上記した各効果は、第3レンズ保持枠31およびその進退駆動機構が第4レンズ保持枠41およびその進退駆動機構と同様の構成とされていることから、第3レンズ群13についても同様に得ることができる。
本実施例のレンズ鏡胴10では、第4レンズ保持枠41および第3レンズ保持枠31を、固定枠21の固定筒部21aの外方位置であって、沈胴状態における可動鏡筒の最大外径、すなわち第1の回転筒22の最大外径よりも外側に位置する収容空間21Qに退避させることができるので、固定筒の外径寸法の大きさの増大を招くことなく可動鏡筒収納時の撮影光軸方向の寸法を小さくすることができる。
したがって、本発明に係るレンズ鏡胴10(それを有するカメラ100)では、保持したレンズ群(14)を可動鏡筒(22)の内径よりも外側に退避させる退避レンズ保持枠(31、41)の移動に伴う衝突音の発生を防止しつつ退避レンズ保持枠(31、41)の撮影光軸OA方向での位置精度を向上させることができる。
なお、上記した実施例では、本発明に係るレンズ鏡胴の一例としてのレンズ鏡胴10について説明したが、沈胴状態では少なくとも1つのレンズを含む退避レンズを可動レンズ鏡筒の内径位置よりも外側に退避させるべく、少なくとも1つのレンズ群を進退駆動機構からの駆動力により移動可能に保持する退避レンズ保持枠を含むレンズ鏡胴であって、進退駆動機構は、退避レンズ保持枠を長手方向に沿って移動可能にかつその軸線回りに回転可能に支持する撮影光軸に平行な主ガイド軸と、主ガイド軸と並列して設けられ回転駆動されるリードスクリューと、リードスクリューの回転によりリードスクリューに沿って移動すべくリードスクリューの軸線に直交する方向からの当接によりリードスクリューとの螺合が可能な螺合部材と、螺合部材のリードスクリューに沿う移動を退避レンズ保持枠における主ガイド軸回りの回転運動と主ガイド軸に沿う直進運動とに変換すべく退避レンズ保持枠と螺合部材とを接続するカム構造と、螺合部材をリードスクリューの軸線に直交する方向から当接させるべくリードスクリューへ向けて押圧する螺合部材押圧手段と、を有するレンズ鏡胴であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した実施例では、第3レンズ群13と第4レンズ群14との双方を退避させる構成、すなわち第3レンズ保持枠31と第4レンズ保持枠41との双方が退避レンズ保持枠とされていたが、いずれか一方のみを退避レンズ保持枠とするものであってもよく、他のレンズ群を保持する保持枠を退避レンズ保持枠とするものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
さらに、上記した実施例では、第4レンズ保持枠41の進退駆動機構において、段差部96aと当接部45dとによりカム構造が構成されていたが、直線運動される螺合部材45の移動を、第4レンズ保持枠41における、第4群主ガイド軸42回りの回動運動と、第4群主ガイド軸42に沿う直進運動と、に変換するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
以上、本発明の撮影装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。