JP2011235374A - ロボットの負荷推定装置及び負荷推定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ワーク重量を想定せずにモータに向けて送られたトルク指令と把持されたワークの重量に応答して現実に生じているトルクとの差異に着目してワークの重量を推定する。ロボットに作用する重力トルク及び摩擦トルクを演算する手段(27)と、現実に生じているトルクから重力トルク及び摩擦トルクを減算することにより正味の外乱トルクを演算する手段(24)と、正味の外乱トルクをロボットの手先力及び手先モーメントに変換する手段(25)と、負荷が追加される前にロボットの手先に生じている第1の手先力推定値と、負荷が追加され微小量だけ持ち上げた後にロボットの手先に生じている第2の手先力推定値との差分を計算することにより負荷の重量を推定し、同様にして第1及び第2の手先モーメントの差分を計算することにより負荷の重心位置を推定する手段(26)とを備えている。
【選択図】図2−1
Description
上述したワーク重量及び重心位置推定方法(より一般的には負荷推定方法)に基づき、本発明による負荷重量及び重心位置推定装置は、ロボットの各軸に作用する重力トルク及び摩擦トルクを演算する重力トルク及び摩擦トルク演算部と、前記ロボットの各軸において現実に生じているトルクから前記重力トルク及び前記摩擦トルクを減算することにより前記ロボットの各軸に作用する正味の外乱トルクを演算する外乱トルク演算部と、前記正味の外乱トルクをロボットの手先力及び手先モーメントに変換する手先力演算部と、を備えている。この負荷重量及び重心位置推定装置は、更に、前記負荷が追加される前に前記ロボットの手先に生じている第1の手先力推定値と、前記負荷が追加され微小量だけ持ち上げた後に前記ロボットの手先に生じている第2の手先力推定値との差分を計算することにより負荷の重量を推定し、前記負荷が追加される前に前記ロボットの手先に生じている第1の手先モーメント推定値と、前記負荷が追加され微小量だけ持ち上げた後に前記ロボットの手先に生じている第2の手先モーメント推定値との差分を計算することにより負荷の重心位置を推定する負荷重量及び重心位置推定部を備えている。
[数式1]Festimate=(J−1)Tτdis
手先力演算部25は、外乱トルク演算部24から受け取った外乱トルクを、ヤコビ行列を用いてロボット座標系から見たフランジ座標原点位置での手先力及び手先モーメントに変換し、ワーク重量及び重心位置推定部26に送る。ワーク重量及び重心位置推定部26では、ロボットがワークを把持する前後での手先力及び手先モーメント推定値の差分を計算することにより、ワーク重量及び重心位置を推定する。以上のデータ処理により、ワーク重量及び重心位置の推定が完了する。図2−1では、ワーク重量及び重心位置推定部26から重力トルク及び摩擦トルク補償部27に推定されたワーク重量及び重心位置が送られる矢印が示されている。しかし、ワーク重量及び重心位置の推定をとりあえず1回だけ行う第1の実施例では、ワーク重量及び重心位置推定部26においてワーク重量及び重心位置が推定された時点ですべてのデータ処理は完了する。
(1)ワーク把持前の手先力演算(STEP1)
ロボット1を待機姿勢からグリッパ3がワーク4を把持する直前の姿勢に作業プログラムを実行する。ただし、各モータに作用する摩擦の方向が把持前後で同じになるように微小量(1mm程度)だけグリッパを上方に動作させるため、予め微小量だけ下方に一度ロボットを降下させてから上昇させる。この上昇後の外乱トルクτdisを各モータの外乱トルク演算部24で求め、手先力演算部25で上述した数式1を用いて第1の手先力及び手先モーメント推定値Festimate1を求める。
(2)ワーク把持(STEP2)
グリッパ3でワーク4を把持し、ロボットでグリッパ3を微小量(1mm程度)持ち上げ、ワークを地面から浮かせる。
(3)ワーク把持後の手先力演算(STEP3)
STEP1と同様の手順により、各モータの外乱トルク演算部24で求めた外乱トルクτdisから、手先力演算部25で第2の手先力及び手先モーメント推定値Festimate2を求める。
(4)差分演算(STEP4)
ワーク重量及び重心位置推定部26で、ワーク把持前の第1の手先力及び手先モーメント推定値Festimate1と、ワーク把持後の第2の手先力及び手先モーメント推定値Festimate2との差分ΔFestimate1を求める。手先力推定値はロボット座標系のXYZ成分を持っているが、ここではZ成分のみを使用する。この時、第1と第2の手先力推定値の差分のZ成分ΔFestimate1_zがワーク重量推定値mに相当する(Fz=mg ここで、gは重力加速度を表す)。また、手先モーメント推定値も同様にロボット座標系のXYZ成分を持っている。これらの手先力推定値と手先モーメント推定値はフランジ座標系からロボット座標系までの回転行列を用いることで、フランジ座標系における手先力推定値と手先モーメント推定値に変換できる。手先力推定値も同様にロボット座標系からフランジ座標系の値に変換する。フランジ座標系における手先モーメント推定値を手先力推定値で割ることで、フランジ座標系における重心位置を求めることができる。具体的にはフランジ座標系の手先力推定値と手先モーメント推定値の差分のXYZ成分をそれぞれΔFestimate1_xfとΔFestimate1_yfとΔFestimate1_zfとΔFestimate1_MxfとΔFestimate1_MyfとΔFestimate1_Mzfとすると、フランジ座標系における重心の座標成分は、次のように求められる。すなわち、X成分は、Xgf=(−ΔFestimate1_Myf/ΔFestimate1_zf)又はXgf=ΔFestimate1_Mzf/ΔFestimate1_yf、同様にY成分は、Ygf=ΔFestimate1_Mxf/ΔFestimate1_zf又は(−ΔFestimate1_Mzf/ΔFestimate1_xf)、Z成分は、Zgf=ΔFestimate1_Myf/ΔFestimate1_xf又は(−ΔFestimate1_Mxf/ΔFestimate1_yf)となる。このワーク重量推定値m及びフランジ座標系における重心位置推定値(Xgf,Ygf,Zgf)を用いて負荷イナーシャ等の演算を行う。具体的な座標成分を用いた以上の計算の概要は、図5に示されている。なお、以上の説明において「手先力」と称しているのは上述した3つの座標軸に沿った並進方向の力であり、「手先モーメント」と称しているのは3つの座標軸を中心として回転する方向のモーメントを意味する。
本発明による方法では、上述したように、ロボットの各軸に作用する重力トルク及び摩擦トルクに関して補償がなされたロボットの各軸に作用する外乱トルクを計算し、外乱トルクをロボットの手先力及び手先モーメントに変換する。以上の計算をワーク把持の前後で2回行うことにより、一定の重量を有するワークを把持したことによって生じるトルクの差異に着目するのである。すなわち、エンドエフェクタでワークを把持する直前に計測した第1の手先力及び手先モーメント推定値とワークを把持して微小量だけ持ち上げた後に計測した第2の手先力及び手先モーメント推定値との差分からワーク重量及び重心位置推定値を算出することにより、センサを必要とすることなく短時間でワーク重量及び重心位置をオンラインで推定できる。また、上述した従来技術では必要であったワーク重量推定用のロボットの可動範囲を大きく使うような特定動作も不要である。
(5)重量パラメータの更新(STEP5)
前記実施例1で推定されたワーク重量推定値m及びフランジ座標系における重心位置推定値(Xgf,Ygf,Zgf)を基に、重力トルク演算に使用する手先負荷のパラメータ値を更新する。すなわち、推定されたワーク重量及び重心位置とロボットの自重及び重心位置とを加算することにより、把持されたワークも含めてロボット重量と想定する。その上で実施例1の重量推定を反復的に実行することにより、最初に推定したワーク重量及び重心位置の精度を向上させることを考えるのである。
(6)重力補償と手先力及び手先モーメント推定値の再演算(STEP6)
更新された手先負荷パラメータ値を用いて、重力トルク及び摩擦トルク補償部27で重力トルクを再計算し、外乱トルク演算部24で更新された重力トルクを減算した外乱トルクτdisを再演算し、前記手先力演算部25で前記外乱トルクτdisを手先力及び手先モーメントに変換して第3の手先力及び手先モーメント推定値Festimate3を演算する。
(7)差分演算と収束演算(STEP7)
ワーク重量及び重心位置推定部26が、実施例1で推定された第2の手先力推定値Festimate2と今回測定した第3の手先力推定値Festimate3の差分のZ成分ΔFestimate2_zからワーク重量補正値Δmを推定する。同様に、実施例1で推定された第2の手先モーメント推定値Festimate2と今回測定した第3の手先モーメント推定値Festimate3の差分と、実施例1で推定された第2の手先力推定値Festimate2と今回測定した第3の手先力推定値Festimate3の差分からワーク重心位置補正値(ΔXgf,ΔYgf,ΔZgf)を推定する。このワーク重量補正値Δm及びワーク重心位置補正値(ΔXgf,ΔYgf,ΔZgf)は前記実施例1での推定誤差に相当するため、収束演算させることで誤差が大きいかどうかを判断する。
また、ワーク重量とワーク重心位置を同時に補正せず、1回目で求めたワーク重心位置のみ用いてワーク重量のみ収束計算させても良く、演算負荷を減らすこともできる。
図2−2は、産業用ロボットのハンドリング作業においてワーク重量を推定する例である。図2−1に示されていたサービスロボットの場合と同様に、図2−2において実施例1のようにワーク重量を1回だけ推定する場合には、ワーク重量及び重心位置推定部26においてワーク重量が推定された時点で本発明による装置の動作は終了する。しかし、実施例2のようにワーク重量がいったん推定されると推定されたワーク重量をもはや外乱と見なすのではなくロボット自体の重量に含めて動作を反復する場合には、推定されたワーク重量を考慮して重力トルク及び摩擦トルク補償部27で重力補償トルク補正分を再度演算し、外乱トルク演算部24へ送られる。外乱トルク演算部24において、新たに計算された重力トルクを外乱トルクから差し引くことで外乱トルクが小さくなる。この処理を反復的に実行することにより、ワーク重量及び重心位置推定部26から重力トルク及び摩擦トルク補償部27に与えられるワーク重量はゼロに収束していく。所定の限度までゼロの近傍になった(つまり、重力補償トルクが正しい)と判定された場合に、ワーク重量の推定を完了する。推定したワーク重量を基にして、例えば、加速時間を演算するために必要なイナーシャ値を変更することにより、ワークに応じて最適な加減速度が得られる。この方法により精度の高いワーク重量の推定が可能になるので、重量の極めて僅かな差に基づいてワークの仕分けを行うことができる。
2 ロボットコントローラ
3 グリッパ
4 ワーク
21 位置速度制御部
22 モータ
23 エンコーダ
24 外乱トルク演算部
25 手先力演算部
26 ワーク重量及び重心位置推定部
27 重力トルク及び摩擦トルク補償部
Claims (4)
- ロボットに追加される負荷の重量及び重心位置を推定する装置であって、
前記ロボットの各軸に作用する重力トルク及び摩擦トルクを演算する重力トルク及び摩擦トルク演算部と、
前記ロボットの各軸において現実に生じているトルクから前記重力トルク及び前記摩擦トルクを減算することにより前記ロボットの各軸に作用する正味の外乱トルクを演算する外乱トルク演算部と、
前記正味の外乱トルクをロボットの手先力及び手先モーメントに変換する手先力演算部と、
前記負荷が追加される前に前記ロボットの手先に生じている第1の手先力推定値と、前記負荷が追加され微小量だけ持ち上げた後に前記ロボットの手先に生じている第2の手先力推定値との差分を計算することにより負荷の重量を推定し、更に、前記負荷が追加される前に前記ロボットの手先に生じている第1の手先モーメント推定値と、前記負荷が追加され微小量だけ持ち上げた後に前記ロボットの手先に生じている第2の手先モーメント推定値との差分を計算することにより負荷の重心位置を推定する負荷重量及び重心位置推定部と、
を有することを特徴とするロボットの負荷推定装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記重力トルク及び摩擦トルク演算部は前記推定された負荷重量及び重心位置を前記ロボットの重量及び重心位置に加算した上で重力トルクを再計算し、前記外乱トルク演算部は再計算された重力トルクを減算することによって正味の外乱トルクを再計算し、前記手先力演算部は再計算された正味の外乱トルクを手先力に変換して第3の手先力推定値及び手先モーメント推定値を演算し、
前記負荷重量及び重心位置推定部は前記第2の手先力推定値と前記第3の手先力推定値との差分から負荷重量補正値を推定し、前記第2の手先モーメント推定値と前記第3の手先モーメント推定値との差分から重心位置補正値を推定し、前記負荷重量補正値及び重心位置補正値がそれぞれについて予め設定された閾値以下となる場合には負荷重量推定及び重心位置推定を終了し、前記負荷重量補正値及び重心位置補正値のいずれかが前記閾値よりも大きい場合には当該負荷重量補正値及び重心位置補正値を反映させた新たな負荷重量及び重心位置を用いて負荷重量補正値及び重心位置補正値の推定を繰り返すことを特徴とする装置。 - 請求項1又は請求項2記載の装置において、前記負荷重量及び重心位置推定部は、予め設定した回数だけ推定を行った後で負荷重量補正値及び重心位置補正値のいずれかが前記閾値よりも大きい場合には推定を終了することを特徴とする装置。
- ロボットに追加される負荷の重量及び重心位置を推定する方法であって、
ロボットの各軸に作用する重力トルクと摩擦トルクとを演算するステップと、
前記ロボットの各軸において現実に生じているトルクから前記重力トルク及び前記摩擦トルクを減算することにより前記ロボットの各軸に作用する正味の外乱トルクを演算するステップと、
前記正味の外乱トルクをロボットの手先力及び手先モーメントに変換するステップと、
前記負荷が追加される前に前記ロボットの手先に生じている第1の手先力推定値と、前記負荷が追加され微小量だけ持ち上げた後に前記ロボットの手先に生じている第2の手先力推定値との差分を計算することにより負荷の重量を推定し、更に、前記負荷が追加される前に前記ロボットの手先に生じている前記ロボットの手先に生じている第1の手先モーメント推定値と、前記負荷が追加され微小量だけ持ち上げた後に前記ロボットの手先に生じている第2の手先モーメント推定値との差分を計算することにより負荷の重心位置を推定するステップと、
前記推定された負荷重量及び重心位置を前記ロボットの重量及び重心位置に加算した上で重力トルクを再計算するステップと、
再計算された重力トルクを減算することによって正味の外乱トルクを再計算するステップと、
再計算された正味の外乱トルクを手先力及び手先モーメントに変換して第3の手先力推定値及び手先モーメント推定値を演算するステップと、
前記第2の手先力推定値と前記第3の手先力推定値との差分から負荷重量補正値を推定し、前記第2の手先モーメント推定値と前記第3の手先モーメント推定値との差分から重心位置補正値を推定し、前記負荷重量補正値及び重心位置補正値がそれぞれについて予め設定された閾値以下となる場合には負荷重量推定及び重心位置推定を終了し、前記負荷重量補正値及び重心位置補正値のいずれかが前記閾値よりも大きい場合には当該負荷重量補正値及び重心位置補正値を反映させた新たな負荷重量及び重心位置を用いて負荷重量補正値及び重心位置補正値の推定を繰り返すステップと、
を含むことを特徴とする負荷推定方法。
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