JP4137321B2 - 移動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はNC加工装置などの自動工作機械などにおいて、例えば工具と被加工物との相対位置を多軸機構にて移動させる際に好適に用いることができる移動装置に係り、詳しくは、駆動系の位置や姿勢の駆動制御の精度を向上させるための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図29はNC加工装置に用いられている従来の移動装置の構成を示す構成概念図である。図において、201はX軸方向に沿って配設されたX軸ガイドレール、202はX軸ガイドレール201上を移動しつつX軸現在位置信号Xを出力するX軸移動台、203はY軸方向に沿うようにX軸移動台上に固定して配置されたY軸ガイドレール、204はY軸ガイドレール203上を移動しつつY軸現在位置信号Yを出力するY軸移動台、205はこのY軸移動台204に固定された工具固定部、206はこの工具固定部205に取り付けられた工具である。
【0003】
図30はこの移動装置の制御系を示すブロック線図である。図において、207はY軸位置減算回路、208はY軸位置制御回路、209はY軸微分回路、210はY軸速度減算回路、211はY軸速度制御回路である。また、214はX軸位置減算回路、215はX軸位置制御回路、216はX軸微分回路、217はX軸速度減算回路、218はX軸速度制御回路である。
【0004】
次に動作について説明する。
X軸指令位置信号が出力されると、X軸位置減算回路214はこのX軸指令位置信号からX軸現在位置信号を減算し、X軸位置制御回路215はこの減算値の大きさが大きければ大きいほど大きな速度となるX軸指令速度信号を出力し、X軸速度減算回路217はX軸微分回路216から出力されるX軸現在速度信号の速度を減算し、X軸速度制御回路218はこのX軸速度残差信号の大きさが大きければ大きいほど大きな電流量となる電流をX軸移動台202に出力する。そして、X軸移動台202はこの電流量によって駆動されてX軸ガイドレール201上を移動する。
【0005】
同様に、Y軸指令位置信号が出力されると、Y軸位置減算回路207はこのY軸指令位置信号からY軸現在位置信号を減算し、Y軸位置制御回路208はこの減算値の大きさが大きければ大きいほど大きな速度となるY軸指令速度信号を出力し、Y軸速度減算回路210はY軸微分回路209から出力されるY軸現在速度信号の速度を減算し、Y軸速度制御回路211はこのY軸速度残差信号の大きさが大きければ大きいほど大きな電流量となる電流をY軸移動台204に出力する。そして、Y軸移動台204はこの電流量によって駆動されてY軸ガイドレール203上を移動する。
【0006】
図31は特開平6−297286号公報に開示された従来の他の移動装置の機構部分の構成を示す斜視図である。図において、219,220はそれぞれX軸ガイドレール、221,222はそれぞれX軸移動台、223,224はY軸ガイドレール、225はY軸移動台、226は工具固定部である。また、227,228はそれぞれZ軸ガイドレール、229はZ軸移動台、230は被加工物(加工ワーク)である。
【0007】
図32はこのような従来の移動装置の制御系の一例を示すブロック線図である。同図はX軸駆動系とY軸駆動系のみを示すものである。図において、231はX軸位置補正減算器、232はX軸位置制御部、233は第一X軸微分回路、234は第一X軸減算器、235は第一X軸速度制御部である。また、236は第二X軸微分回路、237は第二X軸減算器、238は第二X軸速度制御部である。更に、239はY軸位置補正減算器、240はY軸位置制御部、241はY軸微分回路、242はY軸減算器、243はY軸速度制御部である。
【0008】
次に動作について説明する。
X軸位置指令値xcが出力されると、X軸位置補正減算器231はこのX軸位置指令値xcから一方のX軸移動台221の現在位置を減算してその差分をX軸位置残差信号として出力し、X軸位置制御部232はこのX軸位置残差信号の大きさに応じたX軸速度信号を出力する。他方で、第一X軸微分回路233は一方のX軸移動台221の移動速度を出力し、第一X軸減算器234はX軸速度信号からこの速度を減算してその減算値を第一X軸速度差信号として出力し、第一X軸速度制御部235はこの第一X軸速度差信号に基づいて第一X軸制御電流を出力し、上記一方のX軸移動台221はこの電流の大きさに応じた速度で移動制御される。
【0009】
また、第二X軸微分回路236は他方のX軸移動台222の移動速度を出力し、第二X軸減算器237はX軸速度信号からこの速度を減算してその減算値を第二X軸速度差信号として出力し、第二X軸速度制御部238はこの第二X軸速度差信号に基づいて第二X軸制御電流を出力し、上記他方のX軸移動台222はこの電流の大きさに応じた速度で移動制御される。これらの動作により一対のX軸移動台221,222はX軸ガイドレール219,220上を移動し、上記X軸位置指令値xcに示された位置まで移動して停止する。なお、続けてX軸位置指令値xcが出力されれば引き続き継続して移動する。
【0010】
同様に、Y軸位置指令値ycが出力されると、Y軸位置補正減算器239はY軸位置指令値ycからY軸移動台225の現在位置を減算してその差分をY軸位置残差信号として出力し、Y軸位置制御部240はこのY軸位置残差信号の大きさに応じたY軸速度信号を出力する。他方で、Y軸微分回路241はY軸移動台225の移動速度を出力するので、Y軸減算器242はY軸速度信号からこの速度を減算してその減算値をY軸速度差信号として出力し、Y軸速度制御部243はこのY軸速度差信号に基づいてY軸制御電流を出力し、Y軸移動台225はこの電流の大きさに応じた速度で移動制御される。
【0011】
以上の動作を繰り返すことにより、従来のNC加工装置などの自動工作機械では、工具固定部226上に固定される工具と被加工物230との相対位置を数値データに基づいて多軸にて自動制御し、この相対位置変化に基づいて被加工物230を加工することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
これら従来の移動装置は以上のように構成されているので、X軸駆動系とY軸駆動系との各駆動系がそれぞれの指令位置信号のみに基づいて独立に制御されており、それがゆえに各駆動系はその他の駆動系の駆動制御に応じて位置や姿勢の制御誤差が生じてしまい、一定以上の高精度制御を実施することができないなどの課題があった。そして、このような移動装置を用いている従来のNC工作装置では、被加工物230に対する工具206の移動軌跡が、当該多軸制御において予定していたものに対してずれてしまうこととなり、加工精度が低下してしまうあるいは十分な加工精度が得られないなどといった課題があった。
【0013】
X−Y−Zの直交座標系を構成するように配設された3つの直動駆動系からなる場合を例に具体的に説明すると、第一に、X軸方向に沿って配設されたガイドレールの長尺方向が当該X軸方向に対してずれて設置されてしまった場合には、そのずれに起因して当該ガイドレール上を移動する移動台はY軸方向および/またはZ軸方向にも若干移動してしまうことになる。そして、このような定常的に且つ固定的に発生するずれによってY軸方向および/またはZ軸方向の位置制御の精度が制限されてしまうことになる。また、X軸方向に移動する移動台上に固定されたY軸方向のガイドレールの設置角度の精度も同様なずれを生じる要因となる。
【0014】
第二に、X軸方向に移動する移動台上に固定されたY軸方向のガイドレールの剛性が不足したり、Y軸方向の移動台の移動によりX軸方向の駆動系の負荷の重心バランスが変化するため、このガイドレールの撓みなどに起因してX軸方向および/またはZ軸方向にも若干移動してしまうことになる。また、この撓みに起因して上記X軸方向やZ軸方向に生じるずれ量は、Y軸方向の移動台とX軸方向の移動台との距離や、X軸方向の移動台の加速度に応じて動的に変化するものである。
【0015】
特に、近年開発が進められている所謂タンデム機構の上記従来の他の移動装置では、そのタンデム機構がゆえに駆動力が向上し、移動台の移動速度が高速化されているので、この負荷バランスの動的な変化などに起因する誤差による加工精度の制限を無視することができなくなってきている。
【0016】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、各駆動系が他の駆動系の駆動制御の精度を制限しないようにすることで、各駆動系が本来持っている制御精度による制御精度を実現し、従来では到底得ることができなかった精度における制御を可能ならしめる移動装置を得ることを目的とする。
【0017】
ひいては、近年開発がなされ始めた所謂タンデム機構による駆動系の利点を生かして工具などの被駆動物体の移動軌跡の精度を向上させ、これにより上記多軸制御の自動工作機械などにおいて高速化と高精度化とを従来には得られなかった高いレベルにて同時に実現することを可能とする移動装置を得ることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る移動装置は、略長尺棒形状に形成されるとともに互いに同一のX軸方向に沿って配設された一対の第1及び第2ガイド部材と、上記第1及び第2ガイド部材に対してそれぞれの長尺方向に移動可能に配設される一対の第1及び第2移動台と、上記一対の第1及び第2移動台それぞれに対して設けられ、上記第1及び第2それぞれの移動台の上記第1及び第2ガイド部材に対する位置を制御する一対の第1及び第2直動駆動力発生部材と、個別位置指令に基づいて上記第1及び第2直動駆動力発生部材を制御する個別直動制御本体とからなる第1及び第2直動駆動系と、上記第1及び第2直動駆動系の上記第1及び第2移動台の間に直接固定され、Y軸方向に沿って配設された略長尺棒形状の第3ガイド部材と、上記第3ガイド部材に対して当該長尺方向に移動可能に配設された第3移動台と、上記第3移動台の上記第3ガイド部材に対する位置を制御する第3直動駆動力発生部材と、個別位置指令に基づいて上記第3直動駆動力発生部材を制御する個別直動制御本体とからなる第3直動駆動系とを備え、上記第1及び第2直動駆動系の一対の第1及び第2移動台間の位置ずれに基づく上記第3直動駆動系の上記第3ガイド部材の傾きおよび上記第3直動駆動系の上記第3ガイド部材上の上記第3直動駆動系の第3移動台の位置に関する情報から判定されるずれ量、並びに、上記第3直動駆動系の第3移動台の位置に関する情報および上記第1及び第2直動駆動系の第1及び第2移動台の加速度から判定される弾性変形量に基づいて補正量を決定し、上記補正量にて個別駆動指令に基づく上記第1及び第2直動駆動系の上記第1及び第2移動台の動きを補正することを特徴とする工具と被加工物との相対位置を多軸機構にて移動させるものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるNC加工装置に用いられる移動装置の機構部分の構成を示す斜視図である。図において、1は略長尺棒形状に形成されるとともにその長尺方向がX軸方向に沿って配設されたX軸ガイドレール(ガイド部材、基準部材)、2はX軸ガイドレール1上をその時々に入力される電流量に応じた速度で移動し、且つ、X軸ガイドレール1上の位置を示すX軸現在位置信号Xを出力するX軸移動台(移動台、可動部材、駆動力発生部材、直動駆動力発生部材、検出手段)、3は略長尺棒形状に形成されるとともにその長尺方向がY軸方向に沿うようにX軸移動台2上に固定して配置されたY軸ガイドレール(ガイド部材、基準部材)、4はY軸ガイドレール3上をその時々に入力される電流量に応じた速度で移動し、且つ、Y軸ガイドレール3上の位置を示すY軸現在位置信号Yを出力するY軸移動台(移動台、可動部材、駆動力発生部材、直動駆動力発生部材、検出手段)、5はこのY軸移動台4に固定された工具固定部、6はこの工具固定部5に取り付けられた工具である。
【0030】
図2はこの発明の実施の形態1による移動装置を示すブロック線図である。図において、7はY軸指令位置信号からY軸現在位置信号を減算してY軸位置残差信号を出力するY軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、8はこのY軸位置残差信号の大きさに応じたY軸指令速度信号を出力するY軸位置制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、9はY軸現在位置信号を微分してY軸現在速度信号を出力するY軸微分回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、10はY軸指令速度信号からY軸現在速度信号を減算してY軸速度残差信号を出力するY軸速度減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、11はこのY軸速度残差信号の大きさに応じて変化する電流量の電流をY軸移動台に出力するY軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0031】
12はX軸移動台2やY軸移動台4の移動方向のそれぞれの基準軸方向との設置誤差などに起因してY軸移動台4のX軸方向の実際の位置とX軸現在位置信号に示される位置との間に生じる誤差を補正するための情報を予め備えるとともにX軸現在位置信号およびY軸現在位置信号が入力され、このX軸現在位置信号およびY軸現在位置信号をパラメータとしてその時々の上記誤差を補償するためのX軸位置補正信号を生成して出力するX軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、13はX軸指令位置信号にこのX軸位置補正信号を加算して補正X軸指令位置信号を出力するX軸加算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0032】
14は補正X軸指令位置信号からX軸現在位置信号を減算してX軸位置残差信号を出力するX軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、15はこのX軸位置残差信号の大きさに応じたX軸指令速度信号を出力するX軸位置制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、16はX軸現在位置信号を微分してX軸現在速度信号を出力するX軸微分回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、17はX軸指令速度信号からX軸現在速度信号を減算してX軸速度残差信号を出力するX軸速度減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、18はこのX軸速度残差信号の大きさに応じて変化する電流量の電流をX軸移動台に出力するX軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0033】
なお、以下において、X軸指令位置信号からX軸移動台やX軸ガイドレールまでをX軸直動駆動系(駆動系)とよび、Y軸指令位置信号からY軸移動台やY軸ガイドレールまでをY軸直動駆動系(駆動系)とよぶ。そして、例えばX軸直動駆動系を例に説明すると、X軸位置残差信号の大きさが大きければ大きいほどX軸指令速度信号は大きくなり、X軸速度残差信号の大きさが大きければ大きいほどX軸移動台2に出力される電流量は大きくなり、このX軸移動台2はより高速でX軸ガイドレール1上を移動することになる。
【0034】
また、上記X軸位置補正信号に係る補正量は、例えばX軸移動台2から最も離れた位置Y(max)にY軸移動台4を設定した状態でX軸移動台2をその基準端(X=0の位置)から他端までを移動させた場合に測定できるそのX軸移動台2の位置毎の誤差量をΔx(X)とすると、下記式1などに基づいて求めることができる。ただし、下記式1においてΔXc(fix)は上記補正量である。
【0035】
ΔXc(fix) = Δx(X)×Y/Y(max) ・・・式1
【0036】
次に動作について説明する。
NC加工装置の図示外の上位の制御回路からNCプログラムに基づいてX軸指令位置信号およびY軸指令位置信号が出力されると、X軸誤差補正回路12がX軸現在位置信号およびY軸現在位置信号をパラメータとしてその時々の上記誤差を補償するためのX軸位置補正信号を生成し、X軸加算回路13がX軸指令位置信号にこのX軸位置補正信号を加算し、X軸位置減算回路14がこの補正X軸指令位置信号からX軸現在位置信号を減算してX軸位置残差信号を出力する。同時に、Y軸位置減算回路7がY軸指令位置信号からY軸現在位置信号を減算してY軸位置残差信号を出力する。
【0037】
X軸位置残差信号が出力されると、X軸位置制御回路15はこのX軸位置残差信号の大きさが大きければ大きいほど大きな速度となるX軸指令速度信号を出力し、X軸速度減算回路17はX軸微分回路16から出力されるX軸現在速度信号の速度を減算し、X軸速度制御回路18はこのX軸速度残差信号の大きさが大きければ大きいほど大きな電流量となる電流をX軸移動台2に出力する。そして、X軸移動台2はこの電流量によって駆動されてX軸ガイドレール1上を移動する。
【0038】
同様に、Y軸位置残差信号が出力されると、Y軸位置制御回路8はこのY軸位置残差信号の大きさが大きければ大きいほど大きな速度となるY軸指令速度信号を出力し、Y軸速度減算回路10はY軸微分回路9から出力されるY軸現在速度信号の速度を減算し、Y軸速度制御回路11はこのY軸速度残差信号の大きさが大きければ大きいほど大きな電流量となる電流をY軸移動台に出力する。そして、Y軸移動台4はこの電流量によって駆動されてY軸ガイドレール3上を移動する。
【0039】
従って、Y軸移動台4はY軸指令位置信号とY軸現在位置信号との差に応じた速度で移動し、X軸移動台2はX軸指令位置信号とX軸現在位置信号との差に、X軸現在位置信号とY軸移動台4の実際の位置との差を加えた値に応じた速度で移動することになる。その結果、X軸移動台2やY軸移動台4の移動方向のそれぞれの基準軸方向との設置誤差などに起因して固定的に(定常的に)発生する誤差があったとしてもそれに制限されること無く、Y軸移動台4とX軸移動台2とを同時に制御しつつY軸移動台4のX軸方向の位置をX軸指令位置信号の位置に精度良く制御することができる。また、Y軸現在位置信号に基づいてリアルタイムで補正しているので、その制御期間において生じる誤差も削減されており、単にX軸指令位置信号に示される目標位置における当該誤差のみならず、その途中の軌道全体に渡って当該誤差を削減することとなり、工具6と図示外の被加工物との相対位置を制御しつつ加工を行うNC加工装置の加工精度を格段に向上させることができる。
【0040】
なお、この実施の形態では、X軸位置補正信号に係る補正量がX軸現在位置信号およびY軸現在位置信号に応じて変化する場合について説明したが、X軸移動台2やY軸移動台4の移動方向のそれぞれの基準軸方向との設置誤差などに起因して固定的に(定常的に)発生する誤差を補正する方法はこれに限られるものではなく、その誤差の発生の仕方によっては例えばX軸現在位置信号とY軸現在位置信号とのうちの一方のみに応じて変化するものであったとしても、ひいては全くの固定値であったとしても同様の効果を期待することができる。また、ほかにも実際にY軸移動台4の実際の位置を検出手段などを用いて検出し、これをX軸直動駆動系に入力してより一層の補正精度を向上させることも可能である。
【0041】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による移動装置を示すブロック線図である。図において、19は実施の形態1と同様の情報とともに、X軸移動台2の現在加速度に応じて発生するY軸ガイドレール3の撓み(弾性変形量)を補正するための情報を備え、X軸現在位置信号およびY軸現在位置信号をパラメータとしてその時々のこれらに起因する誤差を補償するためのX軸位置補正信号を生成して出力するX軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0042】
上記Y軸ガイドレール3の撓み量は、例えば、Y軸ガイドレール3上を移動するY軸移動台4などを質点mとし、且つ、そのY軸移動台4とX軸移動台2との間のY軸ガイドレール3をバネ乗数kのバネとしてモデリングするとともに、X軸現在位置信号を2階微分して得られるX軸現在加速度信号をaとすると、例えば下記式2にて求めることができる。但し、下記式2においてΔXc(flex)は上記歪み量である。これ以外の構成は実施の形態1と同様であり説明を省略する。なお、バネ乗数kは一定値であってもいいが、ここではX軸現在位置信号およびY軸現在位置信号が入力されているので、c1,c2,c3を任意の乗数として「k=1/(c1・X+c2・Y+c3)」のように移動台の位置などの関数としてもよい。
【0043】
ΔXc(flex) = ma/k ・・・式2
【0044】
次に動作について説明する。
NC加工装置の図示外の上位の制御回路からNCプログラムに基づいてX軸指令位置信号およびY軸指令位置信号が出力されると、X軸誤差補正回路19がX軸現在位置信号およびY軸現在位置信号をパラメータとして上記式1および式2に基づいてそれぞれ誤差量を演算し、これらの総和の誤差を補償するためのX軸位置補正信号を生成し、X軸加算回路13がX軸指令位置信号にこのX軸位置補正信号を加算し、X軸位置減算回路14がこの補正X軸指令位置信号からX軸現在位置信号を減算してX軸位置残差信号を出力する。同時に、Y軸位置減算回路7がY軸指令位置信号からY軸現在位置信号を減算してY軸位置残差信号を出力する。これ以降の動作は実施の形態1と同様であり説明を省略する。
【0045】
従って、X軸移動台2はX軸指令位置信号とX軸現在位置信号との差に、X軸現在位置信号とY軸移動台4の実際の位置との差、並びに、X軸移動台2の加速度に応じた弾性変形量を加えた値に応じた速度で移動することになる。その結果、X軸移動台2やY軸移動台4の移動方向のそれぞれの基準軸方向との設置誤差などに起因して固定的に(定常的に)発生する誤差があったとしてもそれに制限されること無く、且つ、X軸移動台2の加速度に応じてY軸ガイドレール3が撓んだとしてもそれに制限されること無く、Y軸移動台4とX軸移動台2とを同時に制御しつつY軸移動台4のX軸方向の位置をX軸指令位置信号の位置に精度良く制御することができる。
【0046】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3による移動装置を示すブロック線図である。図において、20はY軸指令位置信号が入力され、Y軸指令信号に対するY軸移動台の応答遅れと等価な遅れ処理を行い、Y軸指令位置信号に基づいて予測Y軸現在位置信号を生成してX軸誤差補正回路19へ出力するY軸フィルタ回路(予測手段)である。そして、X軸誤差補正回路19はY軸現在位置信号の替わりに予測Y軸現在位置信号を用いて上記式1および式2に基づいてX軸位置補正信号を生成して出力する。これ以外の構成は実施の形態2と同様であり説明を省略する。
【0047】
次に動作について説明する。
NC加工装置の図示外の上位の制御回路からNCプログラムに基づいてX軸指令位置信号およびY軸指令位置信号が出力されると、Y軸フィルタ回路20は、Y軸指令位置信号に対してY軸指令信号に対するY軸移動台4の応答遅れと等価な遅れ処理を行い、Y軸指令位置信号に基づいて予測Y軸現在位置信号を生成してX軸誤差補正回路19へ出力する。X軸誤差補正回路19はX軸現在位置信号および予測Y軸現在位置信号をパラメータとして上記式1および式2に基づいてそれぞれ誤差量を演算し、これらの総和の誤差を補償するためのX軸位置補正信号を生成する。これ以外の動作は実施の形態2と同様であり説明を省略する。
【0048】
従って、X軸移動台2はX軸指令位置信号とX軸現在位置信号との差に、X軸現在位置信号とY軸移動台4の予測される位置との差、並びに、X軸移動台2の加速度に応じた弾性変形量を加えた値に応じた速度で移動し、実施の形態2と同様の効果を期待することができる。
【0049】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4による移動装置を示すブロック線図である。図において、21はY軸指令位置信号が入力され、Y軸指令位置信号が変化した際にその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を演算し、これをY軸加速度補償信号として出力するY軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、22はこのY軸加速度補償信号とともにY軸速度残差信号が入力され、このY軸速度残差信号の大きさに応じて得られる電流量に上記Y軸加速度補償信号に応じた電流量を加算した上でY軸移動台4に出力するY軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0050】
23はX軸指令位置信号が入力され、X軸指令位置信号が変化した際にその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を演算し、これをX軸加速度補償信号として出力するX軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、24はこのX軸加速度補償信号とともにX軸速度残差信号が入力され、このX軸速度残差信号の大きさに応じて得られる電流量に上記X軸加速度補償信号に応じた電流量を加算した上でX軸移動台2に出力するX軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。これ以外の構成は実施の形態2と同様であり説明を省略する。
【0051】
次に動作について説明する。
Y軸指令位置信号が変化すると、Y軸フィードフォワード制御回路21はその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を演算してY軸加速度補償信号を出力する。Y軸速度制御回路22は、Y軸速度残差信号の大きさに応じて得られる電流量に上記Y軸加速度補償信号に応じた電流量を加算した上でY軸移動台に出力する。
【0052】
同様に、X軸指令位置信号が変化すると、X軸フィードフォワード制御回路23はその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を演算してX軸加速度補償信号を出力する。X軸速度制御回路24は、X軸速度残差信号の大きさに応じて得られる電流量に上記X軸加速度補償信号に応じた電流量を加算した上でX軸移動台に出力する。これ以外の動作は実施の形態2と同様であり説明を省略する。
【0053】
従って、X軸指令位置信号やY軸指令位置信号が変化してこれに応じてX軸移動台2やY軸移動台4を加速あるいは減速させる場合、単にX軸速度残差信号やY軸速度残差信号のみに基づいて電流量を決定していたのではX軸移動台2やY軸移動台4の加減速の際にモータや摩擦などによって消費されてしまう消費電流分だけ位置制御の応答遅れが発生してしまうが、そのような応答遅れをX軸加速度補償信号やY軸加速度補償信号によって補償することができ、その分更に高精度にX軸移動台2やY軸移動台4の位置や軌道を制御することができる。
【0054】
実施の形態5.
図6はこの発明の実施の形態5による移動装置を示すブロック線図である。図において、25はX軸指令位置信号とともに予測Y軸現在位置信号が入力され、これらに基づいてX軸移動台2の位置やY軸移動台4の位置に基づく誤差およびX軸移動台2の現在加速度に応じて発生するY軸ガイドレール3の撓み(弾性変形量)を補正するX軸補償信号をX軸速度制御回路24へ出力するとともに、X軸指令位置信号が変化した場合には更にその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を加算してX軸補償信号を出力するX軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。これ以外の構成は図4や図5と同様なので同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
次に動作について説明する。
X軸指令位置信号およびY軸フィルタ回路20からの予測Y軸指令位置信号が入力されると、X軸フィードフォワード制御回路25はこれらに基づいてX軸移動台2の位置やY軸移動台4の位置に基づく誤差、および、X軸移動台2の現在加速度に応じて発生するY軸ガイドレール3の撓み(弾性変形量)を予測し、これらをともに補正することができるX軸補償信号をX軸速度制御回路24へ出力する。X軸速度制御回路24はX軸速度残差信号の大きさに応じて得られる電流量に上記X軸加速度補償信号に応じた電流量を加算した上でX軸移動台2に出力する。
【0056】
また、X軸指令位置信号が変化すると、X軸フィードフォワード制御回路25はその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を演算し、これを加算したものをX軸補償信号として出力する。
【0057】
従って、X軸移動台2の位置やY軸移動台4の位置に基づく誤差や、X軸移動台2の現在加速度に応じて発生するY軸ガイドレール3の撓み(弾性変形量)をこれらの指令位置信号に基づいて予測してこれをフィードフォワード制御で補正することができるので、実際のY軸移動台4のX軸方向の位置を精度良く指令位置信号の位置に制御することができる。
【0058】
しかも、X軸指令位置信号が変化する場合にはそれに応じた駆動力が得られるように補正量を加算するので、X軸移動台2やY軸移動台4を加速あるいは減速させる際の余分な消費電流を補うことができ、その分更に高精度にX軸移動台2やY軸移動台4の位置や軌道を制御することができる。これ以外の動作は実施の形態4と同様であり説明を省略する。
【0059】
実施の形態6.
図7はこの発明の実施の形態6による移動装置を示すブロック線図である。図において、26はX軸移動台2やY軸移動台4の移動方向のそれぞれの基準軸方向との設置誤差などに起因してY軸移動台4のY軸方向の実際の位置とY軸現在位置信号に示される位置との間に生じる誤差を補正するための情報を予め備えるとともにX軸現在位置信号およびY軸現在位置信号が入力され、このX軸現在位置信号およびY軸現在位置信号をパラメータとしてその時々の上記誤差を補償するためのY軸位置補正信号を生成して出力するY軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、27はY軸指令位置信号にこのY軸位置補正信号を加算して補正Y軸指令位置信号をY軸位置減算回路7へ出力するY軸加算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。これ以外の構成は実施の形態2と同様であり説明を省略する。
【0060】
次に動作について説明する。
Y軸誤差補正回路26は、X軸現在位置信号およびY軸現在位置信号が入力されると、これらに基づいてY軸移動台4のY軸方向の実際の位置とY軸現在位置信号に示される位置との間に生じる誤差を特定し、これを補償するY軸位置補正信号を生成して出力する。Y軸加算回路27はこれをY軸指令位置信号に加算し、Y軸位置減算回路7はこの補正Y軸指令位置信号からY軸現在位置信号を減算してY軸位置残差信号を出力する。これ以外の動作は実施の形態2と同様であり説明を省略する。
【0061】
従って、Y軸移動台4はY軸指令位置信号とY軸現在位置信号との差に、Y軸現在位置信号とY軸移動台4の実際の位置との差を加えた値に応じた速度で移動することになる。その結果、X軸移動台2やY軸移動台4の移動方向のそれぞれの基準軸方向との設置誤差などに起因して固定的に(定常的に)発生する誤差があったとしてもそれに制限されること無く、Y軸移動台4とX軸移動台2とを同時に制御しつつY軸移動台4のY軸方向の位置をY軸指令位置信号の位置に精度良く制御することができる。
【0062】
実施の形態7.
図8はこの発明の実施の形態7によるNC加工装置に用いられる移動装置の機構部分の構成を示す斜視図である。図において、28はY軸移動台4に固定されたZ軸基台(基準部材、固定基台)、29はこのZ軸の周囲で回転可能となるように当該Z軸基台28上に配設され、且つ、工具6を取り付けることができるZ軸可動部材(可動部材、回動部材)である。また、このZ軸可動部材29はその時々に入力される電流量に応じた角速度で回転し、且つ、Z軸の周囲での回転量をZ軸現在姿勢信号として出力する。
【0063】
図9はこの発明の実施の形態7による移動装置を示すブロック線図である。図において、30はZ軸指令姿勢信号からZ軸現在姿勢信号を減算してZ軸姿勢残差信号を出力するZ軸姿勢減算回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、31はこのZ軸姿勢残差信号の大きさに応じたZ軸指令角速度信号を出力するZ軸姿勢制御回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、32はZ軸現在姿勢信号を微分してZ軸現在角速度信号を出力するZ軸微分回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、33はZ軸指令角速度信号からZ軸現在角速度信号を減算してZ軸角速度残差信号を出力するZ軸角速度減算回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、34はこのZ軸角速度残差信号の大きさに応じて変化する電流量の電流をZ軸可動部材29に出力するZ軸角速度制御回路(個別制御本体、個別回動制御本体)である。
【0064】
35はY軸移動台4の移動方向のその基準軸方向との設置誤差や、Z軸可動部材29の回転中心軸とZ軸との設置誤差や回転ぶれなどに起因してZ軸可動部材29の工具取り付け部位のY軸方向の実際の位置とY軸現在位置信号に示される位置との間に生じる誤差を補正するための情報を予め備えるとともにY軸現在位置信号およびZ軸現在位置信号が入力され、このY軸現在位置信号およびZ軸現在位置信号をパラメータとしてその時々の上記誤差を補償するためのY軸位置補正信号を生成して出力するY軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、36はY軸指令位置信号にこのY軸位置補正信号を加算して補正Y軸指令位置信号を出力するY軸加算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0065】
37はX軸移動台2およびY軸移動台4の移動方向のそれぞれの基準軸方向との設置誤差や、Z軸可動部材29の回転中心軸とZ軸との設置誤差や回転ぶれなどに起因してZ軸可動部材29の工具取り付け部位のX軸方向の実際の位置とX軸現在位置信号に示される位置との間に生じる誤差を補正するための情報を予め備えるとともにX軸現在位置信号、Y軸現在位置信号およびZ軸現在位置信号が入力され、これらをパラメータとしてその時々の上記誤差を補償するためのX軸位置補正信号を生成して出力するX軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。これ以外の構成は実施の形態1と同様であり説明を省略する。
【0066】
次に動作について説明する。
NC加工装置の図示外の上位の制御回路からNCプログラムに基づいてX軸指令位置信号、Y軸指令位置信号およびZ軸指令姿勢信号が出力されると、X軸誤差補正回路37がX軸現在位置信号、Y軸現在位置信号およびZ軸現在姿勢信号をパラメータとしてその時々の上記誤差を補償するためのX軸位置補正信号を生成し、X軸加算回路13がX軸指令位置信号にこのX軸位置補正信号を加算し、X軸位置減算回路14がこの補正X軸指令位置信号からX軸現在位置信号を減算してX軸位置残差信号を出力する。同様に、Y軸誤差補正回路35がY軸現在位置信号およびZ軸現在姿勢信号をパラメータとしてその時々の上記誤差を補償するためのY軸位置補正信号を生成し、Y軸加算回路36がY軸指令位置信号にこのY軸位置補正信号を加算し、Y軸位置減算回路7がこの補正Y軸指令位置信号からY軸現在位置信号を減算してY軸位置残差信号を出力する。更に、Z軸姿勢減算回路30がZ軸指令姿勢信号からZ軸現在姿勢信号を減算してZ軸姿勢残差信号を出力する。
【0067】
X軸位置残差信号が出力されると、X軸位置制御回路15はこのX軸位置残差信号の大きさが大きければ大きいほど大きな速度となるX軸指令速度信号を出力し、X軸速度減算回路17はX軸微分回路16から出力されるX軸現在速度信号の速度を減算し、X軸速度制御回路18はこのX軸速度残差信号の大きさが大きければ大きいほど大きな電流量となる電流をX軸移動台2に出力する。そして、X軸移動台2はこの電流量によって駆動されてX軸ガイドレール1上を移動する。
【0068】
同様に、Y軸位置残差信号が出力されると、Y軸位置制御回路8はこのY軸位置残差信号の大きさが大きければ大きいほど大きな速度となるY軸指令速度信号を出力し、Y軸速度減算回路10はY軸微分回路9から出力されるY軸現在速度信号の速度を減算し、Y軸速度制御回路11はこのY軸速度残差信号の大きさが大きければ大きいほど大きな電流量となる電流をY軸移動台4に出力する。そして、Y軸移動台4はこの電流量によって駆動されてY軸ガイドレール3上を移動する。
【0069】
更に、Z軸姿勢残差信号が出力されると、Z軸姿勢制御回路31はこのZ軸姿勢残差信号の大きさが大きければ大きいほど大きな角速度となるZ軸指令角速度信号を出力し、Z軸角速度減算回路33はZ軸微分回路32から出力されるZ軸現在角速度信号の速度を減算し、Z軸角速度制御回路34はこのZ軸角速度残差信号の大きさが大きければ大きいほど大きな電流量となる電流をZ軸可動部材29に出力する。そして、Z軸可動部材29はこの電流量によって駆動されてZ軸基台28上で回転する。
【0070】
従って、Y軸移動台4はY軸指令位置信号とY軸現在位置信号との差に、Y軸現在位置信号とZ軸可動部材29の工具取り付け部位の実際の位置との差と略同様な値を加えた値に応じた速度で移動し、X軸移動台2はX軸指令位置信号とX軸現在位置信号との差に、X軸現在位置信号とZ軸可動部材29の工具取り付け部位の実際の位置との差を加えた値に応じた速度で移動することになる。その結果、X軸移動台2およびY軸移動台4の移動方向のそれぞれの基準軸方向との設置誤差や、Z軸可動部材29の回転中心軸とZ軸との設置誤差や回転ぶれなどに起因してZ軸可動部材29の工具取り付け部位の各軸方向の実際の位置と現在位置信号に示される位置との間に生じる誤差などに起因して固定的に(定常的に)発生する誤差があったとしてもそれに制限されること無く、Y軸移動台4とX軸移動台2とZ軸可動部材29とを同時に制御しつつZ軸可動部材29の工具取り付け部位のX軸方向の位置をX軸指令位置信号の位置に精度良く制御することができ、同時に、Z軸可動部材の29の工具取り付け部位のY軸方向の位置をY軸指令位置信号の位置に精度良く制御することができる。
【0071】
また、Y軸現在位置信号やZ軸現在姿勢信号に基づいてリアルタイムで補正しているので、その制御期間において生じる誤差も削減されており、単にX軸指令位置信号やY軸指令位置信号に示される目標位置における当該誤差のみならず、その途中の軌道全体に渡って当該誤差を削減することとなり、工具6と図示外の被加工物との相対位置を制御しつつ加工を行うNC加工装置の加工精度を格段に向上させることができる。
【0072】
実施の形態8.
図10はこの発明の実施の形態8による移動装置を示すブロック線図である。図において、38はZ軸指令姿勢信号が入力され、Z軸指令姿勢信号に対するZ軸可動部材29の応答遅れと等価な遅れ処理を行い、Z軸指令姿勢信号に基づいて予測Z軸現在姿勢信号を生成して出力するZ軸フィルタ回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、39は実施の形態7と同様の情報とともに、Y軸移動台4の現在加速度に応じて発生するZ軸基台28などにおけるずれ(弾性変形量)を補正するための情報を備え、Z軸現在姿勢信号およびY軸現在位置信号をパラメータとしてその時々のこれらに起因する誤差を補償するためのY軸位置補正信号を生成して出力するY軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0073】
40はY軸指令位置信号が入力され、Y軸指令信号に対するY軸移動台4の応答遅れと等価な遅れ処理を行い、Y軸指令位置信号に基づいて予測Y軸現在位置信号を生成して出力するY軸フィルタ回路(予測手段)、41は実施の形態7と同様の情報とともに、X軸移動台2の現在加速度に応じて発生するZ軸基台28などにおけるずれ(弾性変形量)を補正するための情報を備え、予測Z軸現在姿勢信号、予測Y軸現在位置信号およびX軸現在位置信号をパラメータとしてその時々のこれらに起因する誤差を補償するためのX軸位置補正信号を生成して出力するX軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。これ以外の構成は実施の形態7と同様であり説明を省略する。
【0074】
次に動作について説明する。
NC加工装置の図示外の上位の制御回路からNCプログラムに基づいてX軸指令位置信号、Y軸指令位置信号およびZ軸指令姿勢信号が出力されると、Z軸フィルタ回路38は、Z軸指令姿勢信号に対してZ軸指令姿勢信号に対するZ軸可動部材の応答遅れと等価な遅れ処理を行い、Z軸指令姿勢信号に基づいて予測Z軸現在姿勢信号を生成して出力する。Y軸誤差補正回路39はY軸現在位置信号および予測Z軸現在姿勢信号をパラメータとして固定的に発生する誤差量および動的に発生する誤差量を演算し、これらの総和の誤差を補償するためのY軸位置補正信号を生成する。
【0075】
同時に、Y軸フィルタ回路40は、Y軸指令位置信号に対してY軸指令位置信号に対するY軸移動台4の応答遅れと等価な遅れ処理を行い、Y軸指令位置信号に基づいて予測Y軸現在位置信号を生成して出力する。X軸誤差補正回路41はX軸現在位置信号、予測X軸現在位置信号および予測Z軸現在姿勢信号をパラメータとして固定的に発生する誤差量および動的に発生する誤差量を演算し、これらの総和の誤差を補償するためのX軸位置補正信号を生成する。これ以外の動作は実施の形態7と同様であり説明を省略する。
【0076】
従って、Y軸移動台4はY軸指令位置信号とY軸現在位置信号との差に、Y軸現在位置信号とZ軸可動部材29の予測される位置との差、並びに、Y軸移動台4の加速度に応じた弾性変形量を加えた値に応じた速度で移動する。その結果、X軸移動台2やY軸移動台4の移動方向のそれぞれの基準軸方向との設置誤差や、Z軸可動部材29の回転中心軸とZ軸との設置誤差や回転ぶれなどに起因してZ軸可動部材29の工具取り付け部位のY軸方向の実際の位置とY軸現在位置信号に示される位置との間に生じる誤差などに起因して固定的に(定常的に)発生する誤差があったとしてもそれに制限されること無く、且つ、Y軸移動台4の加速度に応じてZ軸可動部材29がずれたりしたとしてもそれに制限されること無く、Z軸可動部材29とY軸移動台4とX軸移動台2とを同時に制御しつつZ軸可動部材29のY軸方向の位置をY軸指令位置信号の位置に精度良く制御することができる。
【0077】
同時に、X軸移動台2はX軸指令位置信号とX軸現在位置信号との差に、X軸現在位置信号とZ軸可動部材29の予測される位置との差、並びに、X軸移動台2の加速度に応じた弾性変形量を加えた値に応じた速度で移動する。その結果、X軸移動台2やY軸移動台4の移動方向のそれぞれの基準軸方向との設置誤差や、Z軸可動部材29の回転中心軸とZ軸との設置誤差や回転ぶれなどに起因してZ軸可動部材29の工具取り付け部位のX軸方向の実際の位置とX軸現在位置信号に示される位置との間に生じる誤差などに起因して固定的に(定常的に)発生する誤差があったとしてもそれに制限されること無く、且つ、X軸移動台2の加速度に応じてZ軸可動部材29がずれたりしたとしてもそれに制限されること無く、Z軸可動部材29とY軸移動台4とX軸移動台2とを同時に制御しつつZ軸可動部材29のX軸方向の位置をX軸指令位置信号の位置に精度良く制御することができる。
【0078】
実施の形態9.
図11はこの発明の実施の形態9による移動装置を示すブロック線図である。図において、42はZ軸指令姿勢信号が入力され、Z軸指令姿勢信号が変化した際にその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を演算し、これをZ軸角加速度補償信号として出力するZ軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、43はこのZ軸角加速度補償信号とともにZ軸角速度残差信号が入力され、このZ軸角速度残差信号の大きさに応じて得られる電流量に上記Z軸角加速度補償信号に応じた電流量を加算した上でZ軸可動部材29に出力するZ軸角速度制御回路(個別制御本体、個別回動制御本体)である。これ以外の構成は図5および図9と同様であり同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
次に動作について説明する。
Z軸指令姿勢信号が変化すると、Z軸フィードフォワード制御回路42はその変化量に応じた目標角加速度を得るために必要な駆動力を演算してZ軸角加速度補償信号を出力する。Z軸角速度制御回路43は、Z軸角速度残差信号の大きさに応じて得られる電流量に上記Z軸角加速度補償信号に応じた電流量を加算した上でZ軸可動部材29に出力する。
【0080】
同様に、Y軸指令位置信号が変化すると、Y軸フィードフォワード制御回路21はその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を演算してY軸加速度補償信号を出力し、Y軸速度制御回路22は、Y軸速度残差信号の大きさに応じて得られる電流量に上記Y軸加速度補償信号に応じた電流量を加算した上でY軸移動台4に出力する。更に、X軸指令位置信号が変化すると、X軸フィードフォワード制御回路23はその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を演算してX軸加速度補償信号を出力し、X軸速度制御回路24は、X軸速度残差信号の大きさに応じて得られる電流量に上記X軸加速度補償信号に応じた電流量を加算した上でX軸移動台2に出力する。これ以外の動作は実施の形態7と同様であり説明を省略する。
【0081】
従って、X軸指令位置信号、Y軸指令位置信号あるいはZ軸指令姿勢信号が変化してこれに応じてX軸移動台2、Y軸移動台4あるいはZ軸可動部材29を加速あるいは減速させる場合、単にそれぞれがそれぞれの残差信号のみに基づいて電流量を決定していたのでは加減速の際のモータや摩擦などによって消費されてしまう消費電流分だけ位置や姿勢の応答遅れが発生してしまうが、そのような応答遅れを補償することができ、その分更に高精度にX軸移動台2、Y軸移動台4およびZ軸可動部材29の位置(姿勢)や軌道を制御することができる。
【0082】
実施の形態10.
図12はこの発明の実施の形態10による移動装置を示すブロック線図である。図において、44はY軸指令位置信号とともに予測Z軸現在姿勢信号が入力され、これらに基づいてY軸移動台4の位置やZ軸可動部材29の姿勢に基づく誤差およびY軸移動台4の現在加速度に応じて発生するZ軸基台28などのずれ(弾性変形量)を補正するY軸補償信号をY軸速度制御回路22へ出力するとともに、Y軸指令位置信号が変化した場合には更にその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を加算してY軸補償信号を出力するY軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0083】
45はX軸指令位置信号とともに予測Y軸現在位置信号や予測Z軸現在姿勢信号が入力され、これらに基づいてX軸移動台2やY軸移動台4の位置やZ軸可動部材29の姿勢に基づく誤差およびX軸移動台2の現在加速度に応じて発生するZ軸基台28などのずれ(弾性変形量)を補正するX軸補償信号をX軸速度制御回路24へ出力するとともに、X軸指令位置信号が変化した場合には更にその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を加算してX軸補償信号を出力するX軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。これ以外の構成は図10および図11と同様なので同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
次に動作について説明する。
Y軸指令位置信号およびZ軸フィルタ回路38からの予測Z軸指令姿勢信号が入力されると、Y軸フィードフォワード制御回路44はこれらに基づいてY軸移動台4の位置やZ軸可動部材29の姿勢に基づく誤差、および、Y軸移動台4の現在加速度に応じて発生するZ軸基台28のずれ(弾性変形量)を予測し、これらをともに補正することができるY軸補償信号をY軸速度制御回路22へ出力する。Y軸速度制御回路22はY軸速度残差信号の大きさに応じて得られる電流量に上記Y軸加速度補償信号に応じた電流量を加算した上でY軸移動台4に出力する。また、Y軸指令位置信号が変化すると、Y軸フィードフォワード制御回路44はその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を演算し、これを加算したものをY軸補償信号として出力する。
【0085】
X軸指令位置信号、予測Z軸指令姿勢信号およびY軸フィルタ回路40からの予測Y軸指令位置信号が入力されると、X軸フィードフォワード制御回路45はこれらに基づいてX軸移動台2やY軸移動台4の位置やZ軸可動部材29の姿勢に基づく誤差、および、X軸移動台2の現在加速度に応じて発生するZ軸基台28までのずれ(弾性変形量)を予測し、これらをともに補正することができるX軸補償信号をX軸速度制御回路24へ出力する。X軸速度制御回路24はX軸速度残差信号の大きさに応じて得られる電流量に上記X軸加速度補償信号に応じた電流量を加算した上でX軸移動台2に出力する。また、X軸指令位置信号が変化すると、X軸フィードフォワード制御回路45はその変化量に応じた目標加速度を得るために必要な駆動力を演算し、これを加算したものをX軸補償信号として出力する。
【0086】
従って、X軸移動台2やY軸移動台4の位置やZ軸可動部材29の姿勢に基づく誤差や、X軸移動台2やY軸移動台4の現在加速度に応じて発生する各種のずれや撓み(弾性変形量)をこれらの指令位置信号に基づいて予測してこれをフィードフォワード制御で補正することができるので、実際のZ軸可動部材29の工具取り付け部位のX軸方向およびY軸方向の位置を精度良く指令位置信号の位置に制御することができる。
【0087】
しかも、X軸指令位置信号、Y軸指令位置信号あるいはZ軸指令姿勢信号が変化する場合にはそれに応じた駆動力が得られるように補正量を加算するので、X軸移動台2、Y軸移動台4あるいはZ軸可動部材29を加速あるいは減速させる際の余分な消費電流を補うことができ、その分更に高精度にZ軸可動部材29の工具取り付け部位の位置(姿勢)や軌道を制御することができる。これ以外の動作は実施の形態9と同様であり説明を省略する。
【0088】
なお、実施の形態7から実施の形態10においてはガイドレールや固定基台などの基準部材と、移動台や可動部材などとの積層構造において、上位側の駆動系の情報のみを用いて下位側の駆動系にて補償する例について説明したが、実施の形態6と同様に下位側の駆動系の情報をも用いて上位側の駆動系にて補償するように構成することもできる。
【0089】
実施の形態11.
図13はこの発明の実施の形態11によるNC加工装置に用いられる移動装置の機構部分の構成を示す斜視図である。図において、51,52はそれぞれX軸方向に沿って互いに一定間隔で平行に配設されたX軸ガイドレール(基準部材、ガイド部材)、53,54はそれぞれ各X軸ガイドレール51,52上をX軸方向に移動可能に配設され、それぞれに入力される電流の大きさに応じた速度で当該X軸ガイドレール51,52上を移動し、且つ、それぞれのX軸ガイドレール51,52上の位置を示すX軸現在位置信号x1,x2を出力するX軸移動台(可動部材、移動台、駆動力発生部材、直動駆動力発生部材、検出手段)、55はこの一対のX軸移動台53,54の間にY軸方向に沿って掛け渡されるように固定されるY軸ガイドレール(基準部材、ガイド部材)、56はY軸ガイドレール55上をY軸方向に移動可能に配設され、入力される電流の大きさに応じた速度で当該Y軸ガイドレール55上を移動し、且つ、そのY軸ガイドレール55上の位置を示すY軸現在位置信号yおよびこれを2つのX軸ガイドレール51,52の間隔を1として正規化したY軸規格化位置信号Mpを出力するY軸移動台(可動部材、移動台、駆動力発生部材、直動駆動力発生部材、検出手段)、57はこのY軸移動台56に固定され、Z軸方向への送り機構を備えた工具固定部、58はこの工具固定部57に取り付けられ、Z軸方向へ送られる工具である。また、この実施の形態1ではX軸方向のみが2つのガイドレールを用いたタンデム機構となっているが、Y軸方向においても同様にタンデム機構を採用してもよい。
【0090】
図14はこの発明の実施の形態11による移動装置を示すブロック線図である。図において、59は第一X軸現在位置信号x1、第二X軸現在位置信号x2およびY軸規格化位置信号Mpが入力され、2つのX軸現在位置信号x1,x2からY軸ガイドレール55のY軸に対する傾きを推定し、Y軸規格化位置信号Mpからこの傾いたY軸ガイドレール55上のY軸移動台56の位置を推定し、これらからY軸移動台56のX軸方向の推定X軸現在位置信号を出力するX軸工具位置推定回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、60はこの推定X軸現在位置信号とともに加工データに基づくX軸方向の移動目標位置を示すX軸指令位置信号xcが入力され、X軸指令位置信号xcからこの推定X軸現在位置信号を減算し、この減算された値をX軸残差位置信号として出力するX軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0091】
61は上記X軸残差位置信号が入力され、このX軸残差位置信号の大きさに応じた大きさのX軸指令速度信号を出力する第一X軸位置制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、62は上記一対のX軸移動台53,54のうちの一方(以下、第一X軸移動台53とよぶ)のX軸現在位置信号(以下、第一X軸位置信号x1とよぶ)が入力され、この第一X軸現在位置信号x1の微分値(これは第一X軸移動台53のX軸ガイドレール51上の瞬時移動速度に相当する値である)を出力する第一X軸微分回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、63は上記X軸指令速度信号からこの微分値を減算してその減算値を第一X軸残差速度信号として出力する第一X軸速度減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、64はこの第一X軸残差速度信号に基づいて上記第一X軸移動台53に対して第一X軸制御電流を出力する第一X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0092】
65は上記一対のX軸移動台のうちの他方(以下、第二X軸移動台54とよぶ)のX軸現在位置信号(以下、第二X軸現在位置信号x2とよぶ)が入力され、この第二X軸現在位置信号x2の微分値(これは第二X軸移動台54のX軸ガイドレール52上の瞬時移動速度に相当する値である)を出力する第二X軸微分回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、66は上記X軸指令速度信号からこの微分値を減算してその減算値を第二X軸残差速度信号として出力する第二X軸速度減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、67はこの第二X軸残差速度信号に基づいて上記第二X軸移動台54に対して第二X軸制御電流を出力する第二X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0093】
また、68は加工データに基づくY軸方向の移動目標位置を示すY軸指令位置信号ycおよびY軸現在位置信号yが入力され、Y軸指令位置信号ycからこのY軸現在位置信号yを減算し、この減算された値をY軸残差位置信号として出力するY軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、69は上記Y軸残差位置信号が入力され、このY軸残差位置信号の大きさに応じたY軸指令速度信号を出力するY軸位置制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、70は上記Y軸現在位置信号yが入力され、このY軸現在位置信号yの微分値(これはY軸移動台56のY軸ガイドレール55上の瞬時移動速度に相当する値である)を出力するY軸微分回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、71は上記Y軸指令速度信号からこの微分値を減算してその減算値をY軸残差速度信号として出力するY軸速度減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、72はこのY軸残差速度信号に基づいて上記Y軸移動台56に対してY軸制御電流を出力するY軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0094】
次に動作について説明する。
第一X軸移動台53から出力される第一X軸現在位置信号x1、第二X軸移動台54から出力される第二X軸現在位置信号x2およびY軸移動台56から出力されるY軸規格化位置信号Mpに基づいて、X軸工具位置推定回路59は現在のY軸移動台56のX軸方向の位置を推定して推定X軸現在位置信号を出力する。また、Y軸移動台56はY軸現在位置信号yも出力する。
【0095】
このような状態で、加工データに基づくX軸方向の移動目標位置を示すX軸指令位置信号xcが出力されると、X軸位置減算回路60はX軸指令位置信号xcから推定X軸現在位置信号を減算し、第一X軸位置制御回路61はこの減算値の大きさに応じたX軸指令速度信号を順次出力する。
【0096】
そして、このX軸指令位置信号xcが出力される直前においては上記2つのX軸移動台53,54が停止していたと仮定すると、第一X軸微分回路62および第二X軸微分回路65はそれぞれのX軸現在位置信号x1,x2の微分値として「0」を出力するので、上記X軸残差速度信号はそのまま第一X軸速度制御回路64および第二X軸速度制御回路67に入力され、これらX軸速度制御回路64,67はその入力された速度に応じたX軸制御電流を出力し、この電流に応じて各X軸移動台53,54はX軸ガイドレール51,52上を所定の方向へ加速しながら移動する。
【0097】
このような移動が開始されると、この加速に応じて各X軸微分回路62,65からX軸現在位置信号x1,x2の微分値が出力されるので、最終的には各X軸移動台53,54の移動速度が第一X軸位置制御回路61から出力されるX軸速度信号となるように速度制御がなされる。なお、X軸指令位置信号xcが出力される直前において上記X軸移動台53,54が移動しているような場合には各X軸移動台53,54は加減速あるいは等速度のまま移動することになるが、これらの場合であったとしても最終的には各X軸移動台53,54の移動速度が第一X軸位置制御回路61から出力されるX軸指令速度信号となるように速度制御がなされることには変りがない。
【0098】
また、このような移動が行われると、その移動によって第一X軸現在位置信号x1および第二X軸現在位置信号x2も変化するので、X軸工具位置推定回路59から出力される推定X軸現在位置信号も変化し、これによりX軸位置減算回路60から出力されるX軸残差位置信号は減少する。そして、そのX軸残差位置信号がだんだんと減少し始めると、第一X軸位置制御回路61から出力されるX軸指令速度信号も小さくなり、これに追従して各X軸速度制御回路64,67は制御電流を減少させるので、各X軸移動台53,54はだんだんと減速することになる。なお、このような制御の最中に上記X軸指令位置信号xcが変更されると、X軸位置減算回路60から出力される値も変更されるので、上述した減速を行うことなくあるいは上述した減速の最中に引き続き移動制御を継続することになる。
【0099】
また、加工データに基づくY軸方向の移動目標位置を示すY軸指令位置信号ycが出力されると、同様に、Y軸位置減算回路68はY軸指令位置信号ycから推定X軸現在位置信号を減算し、Y軸位置制御回路69はこの減算値の大きさに応じたY軸指令速度信号を順次出力し、Y軸微分回路70、Y軸速度減算回路71およびY軸速度制御回路72はこのY軸指令速度信号の速度となるようにY軸移動台56の移動速度を制御し、Y軸移動台56からはこの移動に伴って変化したY軸現在位置信号yおよびこれを規格化したY軸規格化位置信号Mpが出力される。
【0100】
そして、このようにY軸規格化位置信号Mpが変化しても、X軸工具位置推定回路59はその出力を変化させる。具体的には、第一X軸移動台53の位置を(x1,y1)、第二X軸移動台54の位置を(x2,y2)、Y軸移動台56の位置をy、Y軸規格化位置信号をMp、Y軸移動台56のX軸方向の推定位置をxとすると、下記式3および式4に基づいてY軸移動台56のX軸方向の位置xを推定する。
【0101】
Mp = (y−y2)/(y1−y2) ・・・式3
x = x1×Mp+x2×(1−Mp) ・・・式4
【0102】
この式に基づく演算について補足的に説明すると、MpはY軸移動台56のY軸方向の位置を規格化したパラメータで、このY軸移動台56が第一X軸移動台53に最も近づいたときにMp=1、第二X軸移動台54に最も近づいたときにMp=0となるものである。また、式4はY軸移動台56が第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間に位置するものと仮定して、この規格化されたY軸移動台56の位置Mpを分割比としてY軸移動台56のX軸方向の位置xを推定するものである。
【0103】
そして、このように2つのX軸駆動系による位置と、この上で移動するY軸移動台56の規格化された位置Mpに基づく分割比に基づいてx軸の位置を補正することにより、例えば図15に示すように、第一X軸移動台53と第二X軸移動台54とを独立して速度制御を行っていることや、Y軸ガイドレール55の取り付け強度が不足してしまう場合もあることなどに起因して、Y軸ガイドレール55がY軸に対して傾いてしまったような場合であっても、Y軸移動台56のX軸方向の位置を正確に予測して、Y軸移動台56のX軸方向の位置xを所定の移動目標位置まで移動させることができる。このような制御であれば、例えば従来のように一方のX軸移動台53のX軸方向の位置をY軸移動台56のX軸方向の位置としていたものに比べて、Y軸移動台56のX軸方向の追従性や精度などを向上させることができる(図15の「x」を参照)。
【0104】
以上のように、この実施の形態11によれば、X軸工具位置推定回路59が、互いに独立してX軸指令速度信号に基づいて移動制御される一対のX軸移動台53,54からの2つのX軸現在位置信号x1,x2と、Y軸移動台56のY軸規格化位置信号Mpとに基づいてY軸移動台56自体のX軸方向の位置xを推定し、この推定値が移動目標位置の指令に一致するように制御しているので、例えばX軸移動台53,54を移動制御しつつ同時にY軸移動台56を移動制御する場合のように、Y軸移動台56のY軸ガイドレール55上の移動などによってX軸移動台53,54とY軸移動台56などからなるX軸駆動系の駆動負荷のバランスが崩れたりしても、それに起因する誤差を補正して駆動制御を行うことができる。
【0105】
従って、被加工物に対する工具58の移動軌跡などが当該多軸制御において予定していたものに対してずれてしまうことを抑制して、加工精度の低下などを効果的に抑制することができ、所謂タンデム機構を用いた場合であって高速に工具などを移動させるような場合であったとしても、このようなアンバランスなどに起因する加工精度の低下を抑制することができるので高精度化を図ることができる。
【0106】
つまり、所謂タンデム機構による駆動系の利点を生かして工具58などの被駆動物体の移動軌跡の精度を向上させ、これにより高速化と高精度化とを従来には得られなかった高いレベルにて両立させることができる効果がある。
【0107】
この実施の形態11によれば、Y軸移動台56から出力されるY軸規格化位置信号Mpに基づいてX軸指令位置信号を補正しているので、Y軸移動台56のY軸位置信号に対する応答遅れなどがあったとしても、そのような遅れなどによらず実際のリアルタイムのY軸移動台56の位置に基づいて適切に且つ精度良くX軸指令位置信号を補正することができ、このY軸移動台56のX軸方向の位置を精度よく補正することができる効果がある。
【0108】
実施の形態12.
図16はこの発明の実施の形態12による移動装置を示すブロック線図である。図において、73はY軸指令位置信号ycに対するY軸移動台56の応答遅れと等価な遅れ処理を行い、Y軸指令位置信号ycに基づいて予測Y軸現在位置信号を生成するY軸フィルタ回路(予測手段)、74は予測Y軸現在位置信号が入力され、この予測Y軸現在位置信号を規格化して予測Y軸規格化位置信号を出力するY軸規格化回路(予測手段)、75はこの予測Y軸規格化位置信号とともに第一X軸現在位置信号および第二X軸現在位置信号が入力され、2つのX軸現在位置信号x1,x2からY軸ガイドレール55のY軸に対する傾きを推定し、予測Y軸規格化位置信号からこの傾いたY軸ガイドレール55上のY軸移動台56の位置を推定し、これらからY軸移動台56のX軸方向のX軸推定現在位置信号を出力するX軸工具位置推定回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。これ以外の構成は実施の形態11と同様であり説明を省略する。
【0109】
次に動作について説明する。
Y軸指令位置信号が出力されると、Y軸フィルタ回路73はY軸指令位置信号ycに対するY軸移動台56の応答遅れと等価な遅れ処理を行って予測Y軸現在位置信号を生成し、Y軸規格化回路74はこの予測Y軸現在位置信号を規格化して予測Y軸規格化位置信号を出力し、X軸工具位置推定回路75は、この予測Y軸規格化位置信号を分割比としてY軸移動台56のX軸方向の位置を推定する。これ以外の動作は実施の形態11と同様であり説明を省略する。
【0110】
以上のように、この実施の形態12によれば、Y軸指令位置信号ycに基づいて予測的に演算された予測Y軸規格化位置信号を用いてX軸工具位置推定回路75がY軸移動台56のX軸方向の位置を推定するので、実施の形態1のようにY軸移動台56の位置を検出することなく、X軸移動台53,54とY軸移動台56などからなるX軸駆動系の駆動負荷のバランスが崩れたりしても、それに起因する誤差を補正して駆動制御を行うことができる。
【0111】
特に、この実施の形態12では、Y軸フィルタ回路73を設けてY軸指令位置信号ycに対するY軸移動台56の応答遅れと等価な遅れ処理を行ったものに基づいて予測Y軸規格化位置信号を生成しているので、Y軸指令位置信号ycから直接的に予測Y軸規格化位置信号を生成するような場合に比べて、精度よく且つ良く追従するY軸移動台56の位置を推定して、Y軸移動台56のX軸方向の位置を精度よく制御することができる。
【0112】
実施の形態13.
図17はこの発明の実施の形態13による移動装置を示すブロック線図である。図において、76はY軸移動台56がY軸ガイドレール55の中央部(上記Mpで言えば0.5となる位置)に位置するもの(つまり均等負荷)として2つのX軸移動台53,54の駆動負荷をモデリングし、X軸指令位置信号xcが変化した際にその変化量に応じた目標加速度が当該モデルにおいて発生するために必要な駆動力を演算し、これをX軸加速度補償信号として出力するX軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、77は第一X軸残差速度信号とともにこのX軸加速度補償信号が入力され、第一X軸残差速度信号に基づく電流指令値にこのX軸加速度補償信号を加算し、これを第一X軸制御電流として出力する第一X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、78は第二X軸残差速度信号とともにこのX軸加速度補償信号が入力され、第二X軸残差速度信号に基づく電流指令値にこのX軸加速度補償信号を加算し、これを第二X軸制御電流として出力する第二X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0113】
79はY軸移動台56の移動動作をモデリングし、Y軸指令位置信号ycが変化した際にその変化量に応じた目標加速度が当該モデルにおいて発生するために必要な駆動力を演算し、これをY軸加速度補償信号として出力するY軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、80はY軸残差速度信号とともにこのY軸加速度補償信号が入力され、Y軸残差速度信号に基づく電流指令値にこのY軸加速度補償信号を加算し、これをY軸制御電流として出力するY軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。また、81はY軸指令位置信号ycが入力され、このY軸指令位置信号ycに基づいて予測Y軸規格化位置信号を出力する規格化回路(予測手段)である。これ以外の構成は実施の形態12と同様なので説明を省略する。
【0114】
次に動作について説明する。
X軸指令位置信号xcが新たに入力されたり変化したりすると、X軸フィードフォワード制御回路76はこの新たなX軸指令位置信号xcによる変化量に応じた目標加速度が得られるように駆動力を演算し、これをX軸加速度補償信号として出力する。第一X軸速度制御回路77は第一X軸残差速度信号に基づく電流指令値にこのX軸加速度補償信号を加算し、これを第一X軸制御電流として出力する。従って、第一X軸移動台53はほぼ上記目標加速度において加減速し、この速度変化のもとでX軸指令位置信号xcによる位置まで移動する。同様に、第二X軸速度制御回路78は第二X軸残差速度信号に基づく電流指令値にこのX軸加速度補償信号を加算し、これを第二X軸制御電流として出力し、第二X軸移動台54もほぼ上記目標加速度のもとで加減速し、この速度変化においてX軸指令位置信号xcによる位置まで移動する。
【0115】
同様に、Y軸指令位置信号ycが新たに入力されたり変化したりすると、Y軸フィードフォワード制御回路79はこの新たなY軸指令位置信号ycによる変化量に応じた目標加速度が得られるように駆動力を演算し、これをY軸加速度補償信号として出力し、Y軸速度制御回路80はY軸残差速度信号に基づく電流指令値にこのY軸加速度補償信号を加算し、これをY軸制御電流として出力し、Y軸移動台56はほぼ上記目標加速度において加減速し、この速度変化のもとでY軸指令位置信号ycによる位置まで移動する。これ以外の動作は実施の形態12と同様なので説明を省略する。
【0116】
このようにフィードフォワード制御を行うことによって、X軸移動台53,54は所望の速度プロファイルにて加減速して移動することになり、X軸指令位置信号xcの変化に遅れることなく追従して移動することができる。また、このようにX軸指令位置信号xcに対する追従性がよくなると当然に実質的な加工精度も向上する。Y軸移動台56についても同様である。更に、Y軸移動台56の追従性が良くなっているので、規格化回路81に直接Y軸指令位置信号ycを入力し、これにより予測Y軸規格化位置信号を出力させるだけで、Y軸移動台56のX軸方向の位置を正確に推定することができる効果がある。
【0117】
実施の形態14.
図18はこの発明の実施の形態14による移動装置を示すブロック線図である。図において、82はX軸指令位置信号xc、第一X軸現在位置信号x1、第二X軸現在位置信号x2、Y軸規格化位置信号Mpが入力され、これらの入力に応じてY軸移動台56の第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からのずれ量を補正する弾性変形補正値を出力するX軸弾性変形補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、83はX軸指令位置信号xcにこの弾性変形補正値を加算して第一補正X軸指令位置信号を出力する第一X軸加算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、84はこの第一補正X軸指令位置信号から第一X軸位置信号x1を減算して第一X軸残差位置信号を出力する第一X軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、85は第一X軸残差位置信号の大きさに応じた第一X軸速度信号を出力する第一X軸位置制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)であり、第一X軸速度減算回路63にはこの第一X軸速度信号が入力される。
【0118】
また、86はX軸指令位置信号にこの弾性変形補正値を加算して第二補正X軸指令位置信号を出力する第二X軸加算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、87はこの第二補正X軸指令位置信号から第二X軸現在位置信号x2を減算して第二X軸残差位置信号を出力する第二X軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、88は第二X軸残差位置信号の大きさに応じた第二X軸速度信号を出力する第二X軸位置制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)であり、第二X軸速度減算回路66にはこの第二X軸速度信号が入力される。これ以外の構成は実施の形態11と同様であり説明を省略する。
【0119】
次に動作について説明する。
図19はこの発明の実施の形態14によるX軸弾性変形補正回路82の補正動作を説明するための説明図である。同図(a)はY軸が移動の際の加減速によって湾曲してしまった状態を示す説明図であり、同図(b)はこの状態に対応するモデルを示すモデル図である。図において、89はY軸移動台56などからなる質点、90はY軸ガイドレール55のY軸移動台56と第一X軸移動台53との間の部分に対応する第一弾性モデル(バネ)、91はY軸ガイドレール55のY軸移動台56と第二X軸移動台54との間の部分に対応する第二弾性モデル(バネ)である。
【0120】
そして、このモデルに基づいてX軸弾性変形補正回路82は下記式5に基づいて弾性変形補正値Δxを演算して出力する。但し、x1は第一X軸位置信号の示す位置、x2は第二X軸位置信号の示す位置、k1は第一弾性モデルのその長さに応じた弾性係数、k2は第二弾性モデルのその長さに応じた弾性係数、MはY軸移動台56などの質量を表わすパラメータ、AはX軸指令位置信号xcに上記応答遅れに対応するフィルタ演算を行い、それを二階微分して得られるY軸移動台56の加速度、MpはY軸規格化位置信号である。なお、これら弾性係数k1およびk2は固定値であっても移動台の位置に応じて変化する値であっても良い。
【0121】
Δx = (x1×k1+x2×k2−M×A)/(k1+k2)
−{x1×Mp+x2×(1−Mp)} ・・・式5
【0122】
この式に基づく演算について補足的に説明すると、この式は第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間の位置(図19において一点鎖線で示す位置)を基準としたY軸移動台56の変位量を演算するものである。また、k1の値とk2の値とは本来、このY軸規格化位置信号Mpに応じて異なる値となるので、例えばY軸規格化位置信号Mpとk1およびk2とを対応づけたテーブルを用いればよい。なお、このk1およびk2とを所定の一定値に近似しても弾性変形に基づくずれ量を補正することができる。また、この式では撓みを線形ばねの変形として捉えて近似しているが、非線形ばねの変形として捉えて近似しても良い。
【0123】
このような演算によりX軸弾性変形補正回路82から弾性変形補正値Δxが出力されると、第一X軸加算回路83はX軸指令位置信号xcにこの弾性変形補正値Δxを加算して第一補正X軸指令位置信号を出力し、第一X軸位置減算回路84は第一補正X軸指令位置信号から第一X軸現在位置信号x1を減算して第一X軸残差位置信号を出力し、第一X軸位置制御回路85は第一X軸残差位置信号の大きさに応じた第一X軸指令速度信号を出力し、第一X軸速度減算回路63にこの第一X軸指令速度信号が入力される。同様に、第二X軸加算回路86はX軸指令位置信号xcにこの弾性変形補正値Δxを加算して第二補正X軸指令位置信号を出力し、第二X軸位置減算回路87は第二補正X軸指令位置信号から第二X軸現在位置信号x2を減算して第二X軸残差位置信号を出力し、第二X軸位置制御回路88は第二X軸残差位置信号の大きさに応じた第二X軸指令速度信号を出力し、第二X軸速度減算回路66にこの第二X軸指令速度信号が入力される。これ以外の動作は実施の形態11と同様であり説明を省略する。
【0124】
このように、X軸弾性変形補正回路82がY軸移動台56の第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からのずれ量を補正する弾性変形補正値Δxを出力し、これをX軸指令位置信号xcに加算するようにしたので、移動の際の加減速によりY軸移動台56が第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からずれてしまうとしても、その時々のY軸移動台56の位置や2つのX軸移動台53,54の加減速に応じてその移動の際のずれを抑制することができる。その結果、Y軸移動台56は所望の移動軌跡上を所望の移動速度で正確に移動することができ、その分加工精度を向上させることができる効果がある。
【0125】
以上のように、この実施の形態14によれば、Y軸移動台56などを質点として、そのY軸移動台56とそれぞれのX軸ガイドレール51,52との間を所定のバネ定数k1,k2の弾性モデル90,91としてモデリングして、このモデルに基づいてこのX軸移動台53,54の間における弾性変形量を推定し、この推定値を用いてX軸指令位置信号xcを補正するので、例えば急激な加減速制御がなされてしまう場合などにおいてY軸ガイドレール55の弾性変形が生じ、Y軸移動台56が一対のX軸移動台53,54の間からずれてしまうような場合であっても、この変形を上記モデリングに基づいて推定し当該ずれを抑制することができる効果がある。
【0126】
実施の形態15.
図20はこの発明の実施の形態15による移動装置を示すブロック線図である。図において、92はY軸指令位置信号ycに対するY軸移動台56の応答遅れと等価な遅れ処理を行い、Y軸指令位置信号ycに基づいて予測Y軸現在位置信号を生成するフィルタ回路(予測手段)、93は予測Y軸現在位置信号が入力され、この予測Y軸現在位置信号を規格化して予測Y軸規格化位置信号を出力する規格化回路(予測手段)、94はX軸指令位置信号xc、第一X軸現在位置信号x1、第二X軸現在位置信号x2、予測Y軸規格化位置信号が入力され、これらの入力に応じてY軸移動台56の第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からのずれ量を補正する弾性変形補正値を出力するX軸弾性変形補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。これ以外の構成は実施の形態14と同様であり説明を省略する。
【0127】
次に動作について説明する。
Y軸指令位置信号ycが出力されると、Y軸フィルタ回路92はY軸指令位置信号ycに対するY軸移動台56の応答遅れと等価な遅れ処理を行って予測Y軸現在位置信号を生成し、規格化回路93はこの予測Y軸位置信号を規格化して予測Y軸規格化位置信号を出力し、X軸弾性変形補正回路94は、この予測Y軸規格化位置信号を用いてk1およびk2を特定し、このk1およびk2を用いて弾性変形補正値を算出する。これ以外の動作は実施の形態14と同様であり説明を省略する。
【0128】
以上のように、この実施の形態15によれば、Y軸指令位置信号ycに基づいて予測的に演算された予測Y軸規格化位置信号を用いてX軸弾性変形補正回路94がY軸移動台56のずれ量を推定するので、実施の形態14のようにY軸移動台56の位置を検出することなくこのずれ量を補正して駆動制御を行うことができる。
【0129】
特に、この実施の形態15では、フィルタ回路92を設けてY軸指令位置信号ycに対するY軸移動台56の応答遅れと等価な遅れ処理を行ったものに基づいて予測Y軸規格化位置信号を生成しているので、Y軸指令位置信号ycから直接的に予測Y軸規格化位置信号を生成するような場合に比べて、精度よくY軸移動台56の位置を推定して、Y軸移動台56のX軸方向の位置を精度よく制御することができる。
【0130】
実施の形態16.
図21はこの発明の実施の形態16による移動装置を示すブロック線図である。図において、95はX軸指令位置信号xcおよびY軸規格化位置信号Mpが入力され、これらの入力に応じてY軸移動台56の第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からのずれ量を補正する弾性変形補正値を出力するX軸弾性変形補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、96はX軸指令位置信号xcにこの弾性変形補正値を加算して補正X軸指令位置信号を出力するX軸加算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、97はこの補正X軸指令位置信号から推定X軸現在位置信号を減算してX軸残差位置信号を出力するX軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。これ以外の構成は実施の形態11と同様であり説明を省略する。
【0131】
次に動作について説明する。
X軸弾性変形補正回路95は、下記式6に基づいてX軸指令位置信号xcとY軸規格化位置信号Mpとから弾性変形補正値Δxを演算して出力する。但し、k1は第一弾性モデル90のその長さに応じた弾性係数、k2は第二弾性モデル91のその長さに応じた弾性係数、MはY軸移動台56などの質量を表わすパラメータ、AはX軸指令位置信号xcに上記応答遅れに対応するフィルタ演算を行い、それを二階微分して得られるY軸移動台56の加速度である。
【0132】
Δx = M×A/(k1+k2) ・・・式6
【0133】
この式に基づく演算について補足的に説明すると、この式は第一X軸移動台53と第二X軸移動台54とがX軸方向において同一位置にいると仮定して、それを基準としてY軸移動台56の変位量を近似的に演算するものである。また、k1の値とk2の値とは本来、このY軸規格化位置信号Mpに応じて異なる値となるので、例えばY軸規格化位置信号Mpとk1およびk2とを対応づけたテーブルを用いればよい。なお、このk1およびk2とを所定の固定値としても弾性変形に基づくずれ量を補正することができる。また、この式では撓みを線形ばねの変形として捉えて近似しているが、非線形ばねの変形として捉えて近似しても良い。
【0134】
このような演算によりX軸弾性変形補正回路95から弾性変形補正値が出力されると、X軸加算回路96はX軸指令位置信号xcにこの弾性変形補正値を加算して補正X軸指令位置信号を出力し、X軸位置減算回路97は補正X軸指令位置信号から推定X軸現在位置信号を減算してX軸残差位置信号を出力する。これ以外の動作は実施の形態11と同様であり説明を省略する。
【0135】
そして、この実施の形態16では実施の形態14よりも簡略化した式にてY軸移動台56の第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からのずれ量を補正することができるので、移動の際の加減速によりY軸移動台56が第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からずれてしまうとしても、その時々のY軸移動台56の位置や2つのX軸移動台53,54の加減速に応じてその移動の際のずれを抑制することができ、しかも、その演算量が減少したことによりそれだけリアルタイムに抑制することができる効果がある。
【0136】
実施の形態17.
図22はこの発明の実施の形態17による移動装置を示すブロック線図である。図において、98はY軸指令位置信号ycに対するY軸移動台56の応答遅れと等価な遅れ処理を行い、Y軸指令位置信号ycに基づいて予測Y軸現在位置信号を生成する第二フィルタ回路(予測手段)、99は予測Y軸現在位置信号が入力され、この予測Y軸現在位置信号を規格化して予測Y軸規格化位置信号を出力する第二規格化回路(予測手段)、100はX軸指令位置信号xcおよび予測Y軸規格化位置信号が入力され、これらの入力に応じてY軸移動台56の第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からのずれ量を補正する弾性変形補正値を出力するX軸弾性変形補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。また、96および97は図21と同様であり、それ以外の構成は実施の形態12と同様であり説明を省略する。
【0137】
次に動作について説明する。
Y軸指令位置信号ycが出力されると、第二フィルタ回路98はY軸指令位置信号ycに対するY軸移動台56の応答遅れと等価な遅れ処理を行って予測Y軸現在位置信号を生成し、第二規格化回路99はこの予測Y軸現在位置信号を規格化して予測Y軸規格化位置信号を出力し、X軸弾性変形補正回路100はこの予測Y軸規格化位置信号とともにX軸指令位置信号xcを用いてY軸移動台56の第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からのずれ量を補正する弾性変形補正値を出力する。具体的には実施の形態16と同様の演算処理を実施する。これ以外の動作は実施の形態12と同様であり説明を省略する。
【0138】
以上のように、この実施の形態17によれば、Y軸指令位置信号ycに基づいて予測的に演算された予測Y軸規格化位置信号を用いてX軸工具位置推定回路75およびX軸弾性変形補正回路100がY軸移動台56のX軸方向の位置を推定するので、実施の形態16のようにY軸移動台56の位置を検出することなく、X軸移動台53,54とY軸移動台56などからなるX軸駆動系の駆動負荷のバランスが崩れたりしても、それに起因する誤差を補正して駆動制御を行うことができる。
【0139】
特に、この実施の形態17では、フィルタ回路73,98を設けてY軸指令位置信号ycに対するY軸移動台56の応答遅れと等価な遅れ処理を行ったものに基づいて予測Y軸規格化位置信号を生成しているので、Y軸指令位置信号ycから直接的に予測Y軸規格化位置信号を生成するような場合に比べて、精度よくY軸移動台56の位置を推定して、Y軸移動台56のX軸方向の位置を精度よく制御することができる。
【0140】
実施の形態18.
図23はこの発明の実施の形態18による移動装置を示すブロック線図である。図において、101は第一X軸位置信号x1、第二X軸位置信号x2およびY軸規格化位置信号Mpが入力され、これらの入力を式5に代入してY軸移動台56の第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からのずれ量を補正する弾性変形補正値を出力するX軸弾性変形補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。これ以外の構成は実施の形態16と同様であり説明を省略する。
【0141】
次に動作について説明する。
第一X軸位置信号x1、第二X軸位置信号x2およびY軸規格化位置信号Mpが入力されると、X軸弾性変形補正回路101は、これらの入力を式5に代入してY軸移動台56の第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からのずれ量を補正する弾性変形補正値を出力する。これ以外の動作は実施の形態16と同様であり説明を省略する。
【0142】
実施の形態19.
図24はこの発明の実施の形態19による移動装置を示すブロック線図である。図において、102は第一X軸位置信号x1、第二X軸位置信号x2および予測Y軸規格化位置信号が入力され、これらの入力を式5に代入してY軸移動台56の第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からのずれ量を補正する弾性変形補正値を出力するX軸弾性変形補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。73,74,75,98,99は図19と同様であり、これ以外の構成は実施の形態18と同様であり説明を省略する。
【0143】
次に動作について説明する。
Y軸指令位置信号ycが出力されると、第二フィルタ回路98はY軸指令位置信号ycに対するY軸移動台56の応答遅れと等価な遅れ処理を行って予測Y軸現在位置信号を生成し、第二規格化回路99はこの予測Y軸現在位置信号を規格化して予測Y軸規格化位置信号を出力し、X軸弾性変形補正回路102は第一X軸位置信号x1、第二X軸位置信号x2および予測Y軸規格化位置信号が入力され、これらの入力を式5に代入してY軸移動台56の第一X軸移動台53と第二X軸移動台54との間からのずれ量を補正する弾性変形補正値を出力する。これ以外の動作は実施の形態18と同様であり説明を省略する。
【0144】
実施の形態20.
図25はこの発明の実施の形態20による移動装置を示すブロック線図である。図において、76,・・・,80は図17と同様であり、これ以外は実施の形態18と同様であり説明を省略する。
【0145】
次に動作について説明する。
X軸指令位置信号xcが新たに入力されたり変化したりすると、X軸フィードフォワード制御回路76はこの新たなX軸指令位置信号xcによる変化量に応じた目標加速度が得られるように駆動力を演算し、これをX軸加速度補償信号として出力する。第一X軸速度制御回路77は第一X軸残差速度信号に基づく電流指令値にこのX軸加速度補償信号を加算し、これを第一X軸制御電流として出力する。従って、第一X軸移動台53はほぼ上記目標加速度において加減速し、この速度変化のもとでX軸指令位置信号xcによる位置まで移動する。同様に、第二X軸速度制御回路78は第二X軸残差速度信号に基づく電流指令値にこのX軸加速度補償信号を加算し、これを第二X軸制御電流として出力し、第二X軸移動台54もほぼ上記目標加速度のもとで加減速し、この速度変化においてX軸指令位置信号xcによる位置まで移動する。
【0146】
同様に、Y軸指令位置信号ycが新たに入力されたり変化したりすると、Y軸フィードフォワード制御回路79はこの新たなY軸指令位置信号ycによる変化量に応じた目標加速度が得られるように駆動力を演算し、これをY軸加速度補償信号として出力し、Y軸速度制御回路80はY軸残差速度信号に基づく電流指令値にこのY軸加速度補償信号を加算し、これをY軸制御電流として出力し、Y軸移動台56はほぼ上記目標加速度のもとで加減速し、この速度変化においてY軸指令位置信号ycによる位置まで移動する。これ以外の動作は実施の形態18と同様なので説明を省略する。
【0147】
このようにフィードフォワード制御を行うことによって、X軸移動台53,54は所望の速度プロファイルにて加減速して移動することになり、X軸指令位置信号xcの変化に遅れることなく追従して移動することができる。また、このようにX軸指令位置信号xcに対する追従性がよくなると当然に実質的な加工精度も向上する。Y軸移動台56についても同様である。
【0148】
また、実施の形態16では、X軸指令位置信号xcに上記応答遅れに対応するフィルタ演算を行い、それを二階微分して得られるY軸移動台56の加速度Aを用いて弾性変形に起因するずれの補正量を求めていたが、この実施の形態ではX軸方向においてフィードフォワード制御を行ってその応答遅れは十分に小さくなっているので、Y軸指令位置信号ycを二階微分したαをこのΑの代わりに用いても当該ずれを補正することができる。
【0149】
実施の形態21.
図26はこの発明の実施の形態21による移動装置を示すブロック線図である。図において、103はX軸指令位置信号xcおよびY軸規格化位置信号Mpが入力され、Y軸移動台56がY軸ガイドレール55の中央部(上記Mpで言えば0.5となる位置)に位置するもの(つまり均等負荷)として2つのX軸移動台53,54の駆動負荷をモデリングし、X軸指令位置信号xcが変化した際にその変化量に応じた目標加速度が当該モデルにおいて発生するために必要な駆動力を演算し、更にその駆動力に対して下記式7により得られる増幅率A1を乗算し、これを第一X軸加速度補償信号として出力する第一X軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、104は第一X軸残差速度信号とともにこの第一X軸加速度補償信号が入力され、第一X軸残差速度信号に基づく電流指令値にこの第一X軸加速度補償信号を加算し、これを第一X軸制御電流として出力する第一X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、105は推定位置信号とともにX軸指令位置信号xcが入力され、X軸指令位置信号xcからこの位置誤差量を減算し、この減算された値をX軸残差位置信号として出力するX軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。
【0150】
106はX軸指令位置信号xcおよびY軸規格化位置信号Mpが入力され、Y軸移動台56がY軸ガイドレール55の中央部(上記Mpで言えば0.5となる位置)に位置するもの(つまり均等負荷)として2つのX軸移動台53,54の駆動負荷をモデリングし、X軸指令位置信号xcが変化した際にその変化量に応じた目標加速度が当該モデルにおいて発生するために必要な駆動力を演算し、更にその駆動力に対して下記式8により得られる増幅率A2を乗算し、これを第二X軸加速度補償信号として出力する第二X軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、107は第二X軸残差速度信号とともにこの第二X軸加速度補償信号が入力され、第二X軸残差速度信号に基づく電流指令値にこの第二X軸加速度補償信号を加算し、これを第二X軸制御電流として出力する第二X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、108は推定位置信号とともにX軸指令位置信号xcが入力され、X軸指令位置信号xcからこの位置誤差量を減算し、この減算された値をX軸残差位置信号として出力する第二X軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。これ以外の構成は図17や図18と同様であり説明を省略する。
【0151】
A1=((Mx−My)/2+My×Mp)/(Mx/2)・・・式7
A2=((Mx−My)/2+My×(1−Mp))/(Mx/2)・・・式8
【0152】
ただし、Mxは第一X軸移動台53、第二X軸移動台54、Y軸ガイドレール55、Y軸移動台56などのX軸駆動系が駆動する部材のトータルの質量、MyはY軸移動台56などのY軸駆動系が駆動する部材の質量である。なお、これらの式は、Y軸移動台56の実際の位置に応じた第一X軸移動台53および第二X軸移動台54の負荷配分を考慮し、この負荷配分に応じてこれら各移動台53,54への駆動力を増加/減少させるものであり、これにより負荷のアンバランスに起因してY軸ガイドレール55がY軸に対して傾いてしまうことも抑制することができる。
【0153】
次に動作について説明する。
X軸指令位置信号xcが入力されると、第一X軸フィードフォワード制御回路103は、Y軸移動台56がY軸ガイドレール55の中央部(上記Mpで言えば0.5となる位置)に位置するものとして2つのX軸移動台53,54の駆動負荷をモデリングし、X軸指令位置信号xcが変化した際にその変化量に応じた目標加速度が当該モデルにおいて発生するために必要な駆動力を演算し、更にその駆動力に対して上記式7により得られる増幅率A1を乗算して第一X軸加速度補償信号を出力する。第一X軸速度制御回路104は第一X軸残差速度信号に基づく電流指令値にこの第一X軸加速度補償信号を加算し、これを第一X軸制御電流として出力する。従って、第一X軸移動台53はほぼ上記目標加速度において加減速し、この速度変化のもとでX軸指令位置信号xcによる位置まで移動する。第二X軸フィードフォワード制御回路106や第二X軸速度制御回路107の動作、ならびに、Y軸フィードフォワード制御回路79やY軸速度制御回路80の動作も同様である。これ以外の動作は実施の形態14と同様であり説明を省略する。
【0154】
以上のように、この実施の形態21によれば、Y軸移動台56の位置に応じた補正電流を各X軸移動台53,54へ供給する移動制御電流に加えるので、X軸方向に移動させる際の負荷となる一対の第一X軸移動台53や第二X軸移動台54などからなる被駆動物体の重心がY軸移動台56の移動により変化したりしたとしても、それに起因する負荷バランス誤差を補正するように電流を補正し、各X軸移動台53,54の駆動力を最適化することができ、Y軸ガイドレール55のY軸に対する傾きの発生を抑制することができる。
【0155】
従って、被加工物に対する工具58の移動軌跡などが当該多軸制御において予定していたものに対してずれてしまうことを抑制して、加工精度の低下などを効果的に抑制することができ、所謂タンデム機構を用いた場合であって高速に工具などを移動させるような場合であったとしても、このような負荷バランス誤差に起因する加工精度の低下を抑制することができるので高精度化を図ることができる。つまり、所謂タンデム機構による駆動系の利点を生かして工具58などの被駆動物体の移動軌跡の精度を向上させ、これにより高速化と高精度化とを従来には得られなかった高いレベルにて両立させることができる効果がある。
【0156】
実施の形態22.
図27はこの発明の実施の形態22による移動装置を示すブロック線図である。図において、109はY軸指令位置信号が入力され、このY軸指令位置信号ycに基づいて予測Y軸規格化位置信号を出力する規格化回路(予測手段)、110はX軸指令位置信号xcおよび予測Y軸規格化位置信号が入力され、Y軸移動台56がY軸ガイドレール55の中央部(上記Mpで言えば0.5となる位置)に位置するもの(つまり均等負荷)として駆動力を演算し、更にその駆動力に対して上記式7により得られる増幅率A1を乗算して、これを第一X軸加速度補償信号として出力する第一X軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、111はX軸指令位置信号xcおよび予測Y軸規格化位置信号が入力され、Y軸移動台56がY軸ガイドレール55の中央部(上記Mpで言えば0.5となる位置)に位置するもの(つまり均等負荷)として駆動力を演算し、更にその駆動力に対して上記式8により得られる増幅率A2を乗算して、これを第二X軸加速度補償信号として出力する第二X軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)である。これ以外の構成は実施の形態21と同様であり説明を省略する。
【0157】
次に動作について説明する。
Y軸指令位置信号ycが入力されると、規格化回路109はこのY軸指令位置信号ycに基づく予測Y軸規格化位置信号を出力し、第一X軸フィードフォワード制御回路110および第二X軸フィードフォワード制御回路111はY軸移動台56がY軸ガイドレール55の中央部に位置する条件のもとでX軸指令位置信号xcに応じた駆動力を演算し、更にそれぞれの負荷配分に応じた増幅率A1,A2でこれを補正して第一X軸加速度補償信号あるいは第二X軸加速度補償信号として出力する。
【0158】
そして、第一X軸速度制御回路104はこの第一X軸加速度補償信号の分だけ電流値を増加させ、第二X軸速度制御回路107はこの第二X軸加速度補償信号の分だけ電流値を増加させるので、第一X軸移動台53と第二X軸移動台54はそれぞれの負荷配分に応じた分だけ電流指令値が余分に大きく供給されることになり、Y軸移動台56がY軸ガイドレール55の中央部以外の位置にあったとしてもそれに応じた最適な駆動力をバランスよく供給することができる。
【0159】
なお、この実施の形態22では、Y軸駆動系においてもY軸フィードフォワード制御回路79を設けて指令に対する応答遅れを抑制しているので、フィルタ回路などを介することなくY軸指令位置信号ycに基づいて予測Y軸規格化位置信号を生成することができる。
【0160】
実施の形態23.
図28はこの発明の実施の形態23による移動装置を示すブロック線図である。図において、各部は図18および図26の組み合わせなので同一の符号を付して説明を省略する。また、動作も実施の形態14と実施の形態21との組み合わせであり説明を省略する。
【0161】
そして、このような構成であれば、Y軸移動台56のX軸方向の移動に応答遅れが生じてしまうことはなく、しかも、その移動速度などに応じてY軸ガイドレール55が撓んでしまったとしてもそれによりずれを抑制することができ、Y軸移動台56のX軸方向の移動を高精度に制御することができる。
【0162】
なお、以上の実施の形態では、Y軸ガイドレール55の傾きや撓み、Y軸移動台56のY軸方向の位置の誤差に起因する当該Y軸移動台56のX軸方向の位置ずれをX軸駆動系にて補正する例について説明したが、NC加工装置のような自動工作機械などにおいてはこのY軸移動台56上に取り付けられる工具のZ軸に対する倒れやずれ、あるいはY軸ガイドレール55のねじれなどが生じてしまう場合があるので、これらに起因する加工工具の被加工物に対するずれもX軸駆動系にて補正することができる。具体的には例えば、Y軸ガイドレール55のねじれによる工具の倒れ量を、工具のZ軸方向の位置zもしくはそれに相当する信号(たとえばZ軸指令位置信号)と、工具のY軸方向の位置yもしくはそれに相当する信号(たとえばY軸指令位置信号)とを用いて推定し、この推定された工具の倒れ量に基づいてX軸方向のずれ量を推定し、これを例えばX軸指令位置信号xcに加算するように構成すればよい。これにより更に加工精度を高精度化することができる。また、例えば下記式9を用いればこのずれ量Δxを推定することもできる。同式では、X軸駆動系およびY軸駆動系でともにフィードフォワード制御を行っており、この両方の駆動系において発生する遅れは共に同等に小さくなることを前提として近似している式である。但し、αはY軸指令位置信号ycを二階微分したものである。
【0163】
Δx = (x1×k1+x2×k2−M×α)/(k1+k2)
−{x1×Mp+x2×(1−Mp)} ・・・式9
【0164】
なお、以上の実施の形態では、2軸の直動駆動系のみからなる機構、2軸の直動駆動系と1つの回転駆動系とからなる機構、2軸の直動駆動系のみからなるとともにその一方がタンデム駆動系である機構の3つのパターンを例に説明したが、本願発明が適用できる機構はこれに制限されるものではなく、他にも例えば3軸の直動駆動系と2つの回転駆動系とを組み合わせた機構であっても適用することができる。また、そのような例である場合には各駆動系は最大でその他の4つの駆動系の現在位置情報を用いて補正することができる。
【0165】
また、以上の実施の形態では、直動駆動系の構成として、ガイドレールとそのガイドレール上に取り付けられた移動台との組み合わせを例に説明したが、他にもボールネジとこのボールネジに取り付けられた移動台との組み合わせなどであっても本願発明は適用することができる。
【0166】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、略長尺棒形状に形成されるとともに互いに同一のX軸方向に沿って配設された一対の第1及び第2ガイド部材と、上記第1及び第2ガイド部材に対してそれぞれの長尺方向に移動可能に配設される一対の第1及び第2移動台と、上記一対の第1及び第2移動台それぞれに対して設けられ、上記第1及び第2それぞれの移動台の上記第1及び第2ガイド部材に対する位置を制御する一対の第1及び第2直動駆動力発生部材と、個別位置指令に基づいて上記第1及び第2直動駆動力発生部材を制御する個別直動制御本体とからなる第1及び第2直動駆動系と、上記第1及び第2直動駆動系の上記第1及び第2移動台の間に直接固定され、Y軸方向に沿って配設された略長尺棒形状の第3ガイド部材と、上記第3ガイド部材に対して当該長尺方向に移動可能に配設された第3移動台と、上記第3移動台の上記第3ガイド部材に対する位置を制御する第3直動駆動力発生部材と、個別位置指令に基づいて上記第3直動駆動力発生部材を制御する個別直動制御本体とからなる第3直動駆動系とを備え、上記第1及び第2直動駆動系の一対の第1及び第2移動台間の位置ずれに基づく上記第3直動駆動系の上記第3ガイド部材の傾きおよび上記第3直動駆動系の上記第3ガイド部材上の上記第3直動駆動系の第3移動台の位置に関する情報から判定されるずれ量、並びに、上記第3直動駆動系の第3移動台の位置に関する情報および上記第1及び第2直動駆動系の第1及び第2移動台の加速度から判定される弾性変形量に基づいて補正量を決定し、上記補正量にて個別駆動指令に基づく上記第1及び第2直動駆動系の上記第1及び第2移動台の動きを補正することを特徴とする工具と被加工物との相対位置を多軸機構にて移動させるようにしたので、他の座標系の位置に応じて定常的に発生する当該軸方向の固定的なずれ、ならびに、他の座標系の位置および移動速度などに応じて変化する当該軸方向の動的なずれを補正することができ、高精度に補正することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるNC加工装置に用いられる移動装置の機構部分の構成を示す斜視図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による移動装置を示すブロック線図である。
【図3】 この発明の実施の形態2による移動装置を示すブロック線図である。
【図4】 この発明の実施の形態3による移動装置を示すブロック線図である。
【図5】 この発明の実施の形態4による移動装置を示すブロック線図である。
【図6】 この発明の実施の形態5による移動装置を示すブロック線図である。
【図7】 この発明の実施の形態6による移動装置を示すブロック線図である。
【図8】 この発明の実施の形態7によるNC加工装置に用いられる移動装置の機構部分の構成を示す斜視図である。
【図9】 この発明の実施の形態7による移動装置を示すブロック線図である。
【図10】 この発明の実施の形態8による移動装置を示すブロック線図である。
【図11】 この発明の実施の形態9による移動装置を示すブロック線図である。
【図12】 この発明の実施の形態10による移動装置を示すブロック線図である。
【図13】 この発明の実施の形態11によるNC加工装置に用いられる移動装置の機構部分の構成を示す斜視図である。
【図14】 この発明の実施の形態11による移動装置を示すブロック線図である。
【図15】 この発明の実施の形態11による効果を説明するための説明図である。
【図16】 この発明の実施の形態12による移動装置を示すブロック線図である。
【図17】 この発明の実施の形態13による移動装置を示すブロック線図である。
【図18】 この発明の実施の形態14による移動装置を示すブロック線図である。
【図19】 この発明の実施の形態14によるX軸弾性変形補正回路82の補正動作を説明するための説明図である。
【図20】 この発明の実施の形態15による移動装置を示すブロック線図である。
【図21】 この発明の実施の形態16による移動装置を示すブロック線図である。
【図22】 この発明の実施の形態17による移動装置を示すブロック線図である。
【図23】 この発明の実施の形態18による移動装置を示すブロック線図である。
【図24】 この発明の実施の形態19による移動装置を示すブロック線図である。
【図25】 この発明の実施の形態20による移動装置を示すブロック線図である。
【図26】 この発明の実施の形態21による移動装置を示すブロック線図である。
【図27】 この発明の実施の形態22による移動装置を示すブロック線図である。
【図28】 この発明の実施の形態23による移動装置を示すブロック線図である。
【図29】 NC加工装置に用いられている従来の移動装置の構成を示す構成概念図である。
【図30】 この従来の移動装置の制御系を示すブロック線図である。
【図31】 従来の他の移動装置の機構部分の構成を示す斜視図である。
【図32】 従来の他の移動装置の制御系の一例を示すブロック線図である。
【符号の説明】
1 X軸ガイドレール(ガイド部材、基準部材)、2 X軸移動台(移動台、可動部材、駆動力発生部材、直動駆動力発生部材、検出手段)、3 Y軸ガイドレール(ガイド部材、基準部材)、4 Y軸移動台(移動台、可動部材、駆動力発生部材、直動駆動力発生部材、検出手段)、5 工具固定部、6 工具、7 Y軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、8 Y軸位置制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、9 Y軸微分回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、10 Y軸速度減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、11 Y軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、12 X軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、13 X軸加算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、14 X軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、15 X軸位置制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、16 X軸微分回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、17 X軸速度減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、18 X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、19 X軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、20 Y軸フィルタ回路(予測手段)、21 Y軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、22 Y軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、23 X軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、24 X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、25 X軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、26 Y軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、27 Y軸加算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、28 Z軸基台(基準部材、固定基台)、29 Z軸可動部材(可動部材、回動部材)、30Z軸姿勢減算回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、31 Z軸姿勢制御回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、32 Z軸微分回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、33 Z軸角速度減算回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、34 Z軸角速度制御回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、35 Y軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、36 Y軸加算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、37 X軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、38 Z軸フィルタ回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、39 Y軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、40Y軸フィルタ回路(予測手段)、41 X軸誤差補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、42 Z軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、43 Z軸角速度制御回路(個別制御本体、個別回動制御本体)、44 Y軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、45 X軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、51,52 X軸ガイドレール(基準部材、ガイド部材)、53,54 X軸移動台(可動部材、移動台、駆動力発生部材、直動駆動力発生部材、検出手段)、55 Y軸ガイドレール(基準部材、ガイド部材)、56 Y軸移動台(可動部材、移動台、駆動力発生部材、直動駆動力発生部材、検出手段)、57 工具固定部、58 工具、59 X軸工具位置推定回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、60 X軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、61 第一X軸位置制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、62 第一X軸微分回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、63 第一X軸速度減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、64 第一X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、65 第二X軸微分回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、66 第二X軸速度減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、67 第二X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、68 Y軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、69 Y軸位置制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、70 Y軸微分回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、71 Y軸速度減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、72 Y軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、73 Y軸フィルタ回路(予測手段)、74 Y軸規格化回路(予測手段)、75 X軸工具位置推定回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、76 X軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、77 第一X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、78 第二X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、79 Y軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、80 Y軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、82 X軸弾性変形補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、83 第一X軸加算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、84 第一X軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、85 第一X軸位置制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、86 第二X軸加算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、87 第二X軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、88 第二X軸位置制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、92 フィルタ回路(予測手段)、93 規格化回路(予測手段)、94 X軸弾性変形補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、95 X軸弾性変形補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、96 X軸加算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、97 X軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、98 第二フィルタ回路(予測手段)、99 第二規格化回路(予測手段)、100 X軸弾性変形補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、101 X軸弾性変形補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、102 X軸弾性変形補正回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、103 第一X軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、104 第一X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、105X軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、106 第二X軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、107 第二X軸速度制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、108 第二X軸位置減算回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、109 規格化回路(予測手段)、110 第一X軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)、111 第二X軸フィードフォワード制御回路(個別制御本体、個別直動制御本体)。

Claims (1)

  1. 略長尺棒形状に形成されるとともに互いに同一のX軸方向に沿って配設された一対の第1及び第2ガイド部材と、上記第1及び第2ガイド部材に対してそれぞれの長尺方向に移動可能に配設される一対の第1及び第2移動台と、上記一対の第1及び第2移動台それぞれに対して設けられ、上記第1及び第2それぞれの移動台の上記第1及び第2ガイド部材に対する位置を制御する一対の第1及び第2直動駆動力発生部材と、個別位置指令に基づいて上記第1及び第2直動駆動力発生部材を制御する個別直動制御本体とからなる第1及び第2直動駆動系と、
    上記第1及び第2直動駆動系の上記第1及び第2移動台の間に直接固定され、Y軸方向に沿って配設された略長尺棒形状の第3ガイド部材と、上記第3ガイド部材に対して当該長尺方向に移動可能に配設された第3移動台と、上記第3移動台の上記第3ガイド部材に対する位置を制御する第3直動駆動力発生部材と、個別位置指令に基づいて上記第3直動駆動力発生部材を制御する個別直動制御本体とからなる第3直動駆動系とを備え、
    上記第1及び第2直動駆動系の一対の第1及び第2移動台間の位置ずれに基づく上記第3直動駆動系の上記第3ガイド部材の傾きおよび上記第3直動駆動系の上記第3ガイド部材上の上記第3直動駆動系の第3移動台の位置に関する情報から判定されるずれ量、並びに、上記第3直動駆動系の第3移動台の位置に関する情報および上記第1及び第2直動駆動系の第1及び第2移動台の加速度から判定される弾性変形量に基づいて補正量を決定し、上記補正量にて個別駆動指令に基づく上記第1及び第2直動駆動系の上記第1及び第2移動台の動きを補正することを特徴とする工具と被加工物との相対位置を多軸機構にて移動させる移動装置。
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