JP2011230106A - 管路の洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】極めて簡単で効果的に洗浄作業ができる管路及びパイプラインの洗浄方法を提供すること。
【解決手段】管路10を閉塞して所定の区間を略密閉区間10aとする閉塞工程と、密閉区間10aに微小気泡を含有する水を充満させる充満工程と、充満工程による充満状態を所定時間維持する維持工程と、維持工程後に充満した水を排出する排水工程と、を有する。なお、閉塞工程の後に、充満工程と維持工程と排水工程とからなる一連の工程を複数回繰り返しても良い。
【選択図】図2

Description

本発明は、管路及びパイプラインの洗浄方法、特に、ナノバブルやマイクロバブルと呼ばれる微小気泡を含有する水を用いた管路の洗浄方法に関する。
管路は様々な場所に様々な形態で使用されている。一例を挙げると、上水道又は下水道における本管、工場における原料や燃料等を送るパイプ、家庭内での排水パイプ等がある。管路を流れる物体についても、気体、液体、固体等、実に様々な形態がある。これらの管路は、一度配管すればそのまま半永久的に使用できるものもあるが、大部分は詰まり等の不具合が発生しないように定期的に洗浄することが必要になっている。
一例として、上水道の管路について説明する。上水道の管路には、鋼管、鋳鉄管又は合成樹脂管が使用される。鋼管や鋳鉄管は、長期間の使用により発生する錆等を防止するために、予め樹脂ライニング(例えば、エポキシ、ポリエステル等)が施されたものが使用されている。したがって、上水道の管路の内壁面には、堆積物等が付着し難い構成になっているが、長い年月使用している内に、水道水に含まれるミネラル分又は濾過をくぐり抜けた微小な砂や異物、有機物によるぬめり等が付着する。これらの付着物は、更に時間の経過と共に、鉄、マンガンを含む数ミリの層になり管路の内壁面に堆積し次第に大きくなる。大きくなった堆積物(スケール)は、水流により部分破壊を起こし、分離された小片が蛇口から出て来ることとなる。
このような現象が生じることを防止するため、管路を定期的に洗浄する必要がある。従来、上水道の管路の洗浄方法としては、ピグ方式(例えば、特許文献1、2)やノズル方式(例えば、特許文献3)があった。ピグ方式は、発泡弾性材で形成された弾丸形状又は球状のピグを本管内に挿入し、流体圧で圧送してピグの外周面を管路の内壁面に接触させてスケールを除去するものである。ノズル方式は、ホースの挿入先端部にノズルを固定して取り付け、ホースを管路内に挿通しながらノズルからの高圧水を噴射することにより管内壁面に付着堆積しているスケールを除去するものである。
その他、管路の清浄方法としては、管路に上記のピグの替わりにブラシ等で管路の内壁を直接擦る方法や、洗剤や薬品を用いる方法等もある。例えば、食品等の原料の輸送に用いられる管路においては、原料を別の原料に替えるときに、管路の内壁に付着した着色剤等の有機物を洗浄するときに薬品等が用いられる。このように、管路の洗浄方法には様々な方法があり、管路の直径や管路を流れる物質の種類等によって最適な洗浄方法が選ばれる。比較的大きな管路で用いられる方法は、ピグ方式やブラシ等を用いて大きな堆積物を除去した後に管路の壁面に付着している有機物等のぬめりを洗剤や薬品等を用いて洗い流す方法である。ただし、洗剤や薬品等を用いた場合、特に食品や飲料水等を扱う管路については、洗剤や薬品等が残らないように十分に洗浄を行う必要がある。
特開2001−191045号公報 特開2009−66522号公報 特開平9−10716号公報
管路をピグ方式やノズル方式で洗浄した場合には、大きな堆積物は除去できるが、管路の内壁には有機部等のぬめりが残存し、十分に洗浄できないという問題がある。すなわち、内壁に堆積した比較的大きな堆積物はピグ等により取り除くことが可能であるが、内壁に付着している微小な有機物までは完全に除去することができない。
管路の内壁に付着した堆積物をピグ等により除去し、その後に洗剤や薬品を用いる場合は、有機物等を除去することは可能であるが、用いた洗剤や薬品を洗い流すのに厄介である。また、食品等の原料の輸送に用いられる管路においては、有機物の除去に薬品等を使用するため、その後の処理が煩雑である。すなわち、飲料水や食品等を扱う管路においては、管路に薬品等が残留しないように特に十分に洗い流す必要があり洗浄作業は煩雑となる。なお、下水道本管に関しても種々の方法が知られているが、微小な有機物等の除去については、的確な提案はなされていない。
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、極めて簡単で効果的に洗浄作業ができる管路及びパイプラインの洗浄方法を提供することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の管路の洗浄方法は、管路を閉塞して所定の区間を略密閉区間とする閉塞工程と、前記密閉区間に微小気泡を含有する水を充満させる充満工程と、該充満工程による充満状態を所定時間維持する維持工程と、該維持工程後に前記充満した水を排出する排水工程と、を有することを特徴とする。
本発明の方法によれば、管路を閉塞して所定の区間が略密閉区間とされ、この密閉区間に微小気泡を含有する水が充満される。その水に含有される微小気泡は密閉区間で所定時間維持される。したがって、まず微小気泡が本管内に付着している堆積物(スケール)及び有機物に物理的に作用して、その泡の力により剥離等の洗浄効果を発揮する。そして、維持工程において微小気泡含有水はフリーラジカルを生成し、生成されたフリーラジカルは本管内の内壁に付着している堆積物及び有機物に作用して、それらを分解することとなる。その後、分解された堆積物等を含んだ水を排出することで洗浄作業が終了する。したがって、管路の内壁を物理的に擦る等の作業が不要となり、かつ微小な有機物まで除去できるので、管路の洗浄作業が簡単でかつ非常に効果的なものとなる。更に、本洗浄方法では洗剤や薬品は一切使用しないので人体への悪影響もない。また、管路内に微小気泡含有水が残留する場合もあるが、それを含む水又は食品等を体内に取り入れたとしても一切害にならず、むしろ人体には好適であることが実証されており、微小気泡を含む飲料水の販売も行われている。
請求項2に記載の管路の洗浄方法は、請求項1に記載の管路の洗浄方法において、前記閉塞工程の後であって前記充満工程の前に又は前記維持工程中に、前記管路内でピグ又はブラシを移動させ、該ピグ又はブラシを前記管路の内壁に物理的に接触させる接触工程を有することを特徴とする。したがって、充満工程の前に又は維持工程中に、管路内をピグ又はブラシを移動させて、ピグが管路の内壁に接触する又ブラシが管路の内壁を擦ると、管路の内壁に付着した堆積物等に物理的な外力が加わり、大きな堆積物が削り取られる。同時に、削り残された堆積物又は付着している微小な堆積物等に亀裂や緩み、摩擦等が生じ、微小気泡を含む水のこれらの堆積物等に対する浸透性がより高められる。したがって、微小気泡含有水による洗浄効果をより高めることができる。
請求項3に記載の管路の洗浄方法は、請求項1又は2の何れか1項に記載の管路の洗浄方法において、前記閉塞工程の後であって前記充満工程の前に前記管路に氷を入れ、その後前記充満工程において前記氷を前記管路内で移動させ、前記氷を前記管路の内壁に物理的に接触させる接触工程を有することを特徴とする。したがって、氷が管路内を移動すると、管路の内壁に氷が接触することで管路の内壁に付着した堆積物等に物理的な外力が加わり、大きな堆積物等が削り取られる。同時に、取り残された堆積物又は付着している微小な堆積物等に亀裂や緩み、摩擦を生じさせ、微小気泡を含む水のこれらの堆積物等に対する浸透性がより高められる。更に、氷を使用しているので、管路の径が小さくなっていても、又は管路が屈曲していても、容易にそれらの部分を氷が通過し、前述の効果を発揮することができる。更に、管路内に氷が残留しても溶けてしまうので取り扱い易い。
請求項4に記載の管路の洗浄方法は、請求項1から3の何れか1項に記載の管路の洗浄方法において、前記充満工程で充満される前記微小気泡は、ナノバブルを含むことを特徴とする。この構成により、ナノバブルを含有する水からフリーラジカルが効率良く多量に有効利用できるので、管路の内壁に付着した有機物等に対する分解除去能力をより強いものにすることができる。したがって、管路の洗浄作業がより効果的なものとなる。
請求項5に記載の管路の洗浄方法は、請求項1から4の何れか1項に記載の管路の洗浄方法において、前記充満工程及び/又は前記維持工程において、前記管路内の前記微小気泡含有水を脈流状態とする脈流動作付与工程を含むことを特徴とする。したがって、微小気泡含有水は、その水圧に強弱を加えられて本管の密閉区間に充満され維持されるので、微小気泡含有水が管路の内壁の堆積物内部に対する浸透性が向上し、洗浄効果を上げることが可能となる。
請求項6に記載の管路の洗浄方法は、請求項1から5の何れか1項に記載の管路の洗浄方法において、前記充満工程において、前記密閉区間に充満される前記微小気泡含有水は、温度調整装置により温度が調整される温度調整工程を含むことを特徴とする。この構成により、微小気泡を含有する水の温度が調整されるので、微小気泡の活性化が促進され、フリーラジカルを効果的に多量に活用させることが可能となる。したがって、管路の洗浄作業をより効果的なものとすることができる。
請求項7に記載の管路の洗浄方法は、請求項6に記載の管路の洗浄方法において、前記温度の調整は、5℃から60℃の範囲内、好ましくは20℃から40℃の範囲内で行われることを特徴とする。上記の温度範囲では、微小気泡を含む水から効率良くフリーラジカルが利用できるので、管路の洗浄を最も効果的に行うことが可能となる。
請求項8に記載の管路の洗浄方法は、請求項1から7の何れか1項に記載の管路の洗浄方法において、前記充満工程において、前記密閉区間に充満される前記微小気泡含有水に対して、超音波振動発生装置により超音波振動を印加する超音波印加工程を含むことを特徴とする。したがって、微小気泡の活性化が促進され、フリーラジカルを効果的に多量に利用し易くさせることが可能である。また、超音波の振動数及び強度を最適に設定することで、どのような管路に対してもフリーラジカルを多量に有効利用でき、洗浄作業を効果的なものとすることができる。
本発明の管路の洗浄方法によれば、微小気泡が生成するフリーラジカルを利用して管路の内壁に付着した堆積物、有機物等を分解除去するので、微小気泡含有水を管路の密閉区間に充満し、所定時間維持し、その後に分解した堆積物を含む水を排出すれば良いので、特別な付帯工事等必要とせず、またピグやブラシ等を管路に通す必要がなく、洗浄作業は非常に簡単であり、かつ非常に効果的なものとすることが可能である。したがって、何れの管路に対してもメンテナンスが非常に容易となる。
本発明の管路の洗浄方法に係り、洗浄方法のフローである。 本発明の管路の洗浄方法の第1及び第2の実施の形態に係り、上水道本管の洗浄の概略説明図である。 本発明の管路の洗浄方法の第3の実施の形態に係り、上水道本管の洗浄の概略説明図である。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の管路の洗浄方法の第1の実施の形態について、図面を参照しながら詳述する。本実施の形態は、本発明の管路の洗浄方法を上水道本管の洗浄に適用した一例である。
図1は、本発明の管路の洗浄方法のフローである。洗浄方法は、管路を所定の区間で閉塞して略密閉区間を形成する閉塞工程(ステップS1)、閉塞工程により形成された密閉区間に微小気泡を含有する水を充満させる充満工程(ステップS2)、充満工程により充満された微小気泡を含有する水を密閉区間に所定時間維持する維持工程(ステップS3)、維持工程後に密閉区間の水を排出する排水工程(ステップS4)を有する。なお、管路の汚れ等に応じて、充満工程(ステップS2)、維持工程(ステップS3)、排水工程(ステップS4)を複数回繰り返しても良い。以下、図2に基づいて上記の各工程を説明する。
図2は、上水道本管の洗浄の概略説明図である。管路は、上水道本管10により構成されている。上水道本管10は、地面から所定の深さに埋められており、途中に複数の制水弁14が接続されている。また、上水道本管10には複数の枝管12が設けられている。通常、これらの枝管12には消火栓(図示していない)、排泥管(図示していない)等が接続される。なお、枝管12a、12bは、地面から所定深さ掘った凹所18a、18b内に突出しており、それぞれの端部には止水弁16a、16bが設けられている。
上水道本管10の適切な2箇所の制水弁14を閉じると、上水道本管10のこれらの制水弁14の間に密閉区間10aが形成される(閉塞工程:ステップS1)。この密閉区間10aには少なくとも2つの枝管12a、12bが含まれるように密閉区間10aの長さを決めることができる。これら2つの枝管12a、12bを用いて、この密閉区間10aの内部を洗浄することが可能になる。
密閉区間10aの領域内にある2つの枝管12a、12bの内の一の枝管12aにナノバブル発生装置20を接続する。他の枝管12bには排水タンク30に導かれた排水管28を接続する。
ここで、ナノバブル発生装置20は、給水口20bから水を取り入れ、装置内でナノバブルを発生させ、ナノバブルを含んだ水が、出力ホース20aから出力されるように構成されており、その出力ホース20aの先端が枝管12aの止水弁16aに接続されている。したがって、2つの枝管12a、12bに接続されている止水弁16a、16bを開とすることにより、ナノバブル含有水38を密閉区間10aに充満させることが可能となる(充満工程:ステップS2)。なお、ナノバブル発生装置20には、脈流発生装置22、温度調整装置24、超音波振動印加装置26が付帯しているが、本実施の形態では使用していない。
次に、ナノバブル含有水38を充満工程(ステップS2)で密閉区間10aに充満させた後、密閉区間10a内にナノバブル含有水38を所定時間維持する(維持工程:ステップS3)。所定時間維持することにより、ナノバブルを含有している泡が堆積物等に付着し、泡の力により堆積物が管路の内壁から剥離される。そして、維持工程中にナノバブル含有水38内にフリーラジカルが生成され、このフリーラジカルが管路の内壁に付着している有機物等に作用し、管路の内壁に付着している有機物等が分解除去されることとなる。その後、密閉区間10a内の水を排出することで(排水工程:ステップS4)、洗浄作業は終了する。
ここで、密閉区間10a内の洗浄効果が十分でないと危惧される場合には、ナノバブル含有水38の入れ替えが必要かどうかを判定し(ステップS5)、必要な場合には上述の充満工程(ステップS2)、維持工程(ステップS3)、排水工程(ステップS4)の一連の工程を複数回繰り返す。このようにして、密閉区間10a内の洗浄の効果を上げることができる。本実施の形態では、上記一連の工程を3回繰り返した。この繰り返しは、枝管12a、12bの止水弁16a、16bを開け、止水弁16bに接続された排水管28を用いて容易に行うことができる。排出された水は、排水タンク30に貯められる。
本実施の形態では、微小気泡としてナノバブルを用いている。また、気泡は、空気である。したがって、水の中に微小気泡であるナノバブルが多量に溶け込むことが可能になる。ナノバブルは、水の中で、その径を次第に小さくして行き最後に消滅する。消滅する際には、消滅のエネルギで水の中にOHのフリーラジカルが生成される。生成したフリーラジカルは、上水道本管10の内壁に付着した有機物等に作用し、有機物から電子を奪い、有機物は分解することとなる。したがって、ナノバブル含有水38を密閉区間10a内に所定時間維持することにより、生成したフリーラジカルによって上水道本管10の内壁の有機物は分解し取り除かれることとなる。
また、ナノバブルの気泡として酸素やオゾンを用いることができる。この場合、酸素やオゾンの持つ酸化力により内壁に付着している堆積物や有機物等がより容易に分解、除去されることとなる。なお、ナノバブルが効率良く水の中に含まれるために、水には塩が存在している方が有利であることが実証されている。塩分の濃度としては、例えば、0.1から3.5wt%が望ましい。
本実施の形態によれば、上水道本管10の洗浄作業において、ナノバブルを含有した水を利用して洗浄を行うので、洗浄作業が非常に簡単で、かつ効果的に行うことができる。また、洗剤や薬品等は一切使用せず、ナノバブル含有水38のみで洗浄を行うので非常に衛生的である。更に、管内にナノバブル含有水38が残留しても、ナノバブルは身体に有効であるので、洗浄後の濯ぎ洗い等を簡略化することができる。なお、これまで、ナノバブルを用いた上水道本管10の洗浄方法は報告例がない。また、第1の実施の形態の上水道本管10の清浄においては、地面から所定深さ掘った凹所18a、18b内に突出する枝管12a、12bを利用してナノバブル含有水38を充填、排出することから、掘削、立杭構築、管切断等の労力や手間のかかる作業を一切する必要がなく、既存の上水道本管10をそのまま利用できる便利さがある。上述した上水道本管10の洗浄方法は、そのまま下水道本管の洗浄にも適用できる。更に、工場内の各種の管路、家庭内の排水管等にも適用できる。
(第2の実施の形態)
本発明の管路の洗浄方法の第2の実施の形態は、ナノバブルによる洗浄の効果を更に向上させるために、図1のナノバブル発生装置20に付帯している脈流発生装置22、温度調整装置24、及び超音波振動印加装置26を稼働させたものである。第2の実施の形態に係る概略説明図は、前述の図2と同様である。まず、脈流発生装置22は、ナノバブル含有水38を密閉区間10aに充満させる際(充満工程:ステップS2)に、及び密閉区間10a内でナノバブル含有水38を維持させる際(維持工程:ステップS3)に、ナノバブル含有水38に脈流を発生させるものである。この脈流発生装置22による脈流付与工程により、密閉区間10aに流入する際の水の圧力、及び密閉区間10a内で維持しているときの水の圧力に強弱が付与される。脈流の回数は、0.2から5回/秒、強さは0.03Mpaから0.2MPaとした。但し、これらの数値は一例であって、これらの数値に限定されず、洗浄する管路の径や状態によって適宜決めることができる。これにより、上水道本管10の内壁に付着している堆積物及び有機物等に対して、ナノバブル含有水38の浸透性を高めることが可能となる。したがって、この構成により洗浄作業をより効果的なものとすることができる。
次に、上水道本管10の密閉区間10a内に充満されるナノバブル含有水38の温度を調整するため、充満工程(ステップS2)において温度調整装置24を導入している。これは、ナノバブル含有水38による洗浄効果は、ナノバブル含有水の温度が5℃から60℃の範囲内、好ましくは20℃から40℃の範囲内で顕著となるからである。本実施の形態では、電気的なヒータによりナノバブル含有水38が略30℃となるように設定した。これにより、洗浄効果の向上が図られる。
更に、充満工程(ステップS2)で密閉区間10aに充満されるナノバブル含有水38に超音波振動印加装置26により超音波振動を印加している。ナノバブル含有水38に超音波振動を印加することで、フリーラジカルの発生を促進することができる。本実施の形態では、密閉区間10aの長さや上水道本管10の太さに応じて、洗浄の効果が十分に高くなるように、超音波の周波数及び強度を適宜調整した。これにより、洗浄効果を更に一層向上させることができ、洗浄作業を短縮することができた。
なお、充満工程(ステップS2)、維持工程(ステップS3)、排水工程(ステップS4)の一連の工程の繰り返しについては、第1の実施の形態と同様に、適宜行うことができる。本実施の形態では2回繰り返したが、ナノバブル含有水38を密閉区間10aに入れ替える毎に、上記の脈流発生装置22による脈流動作付与を行い、また温度調整装置24により温度を管理し、更に超音波振動印加装置26による超音波振動の印加を行った。
本発明の管路の洗浄方法の第2の実施の形態によれば、ナノバブル含有水38を上水道本管10の密閉区間10aに充満する際、及び密閉区間10aで維持している間、脈流発生装置22によりナノバブル含有水38に脈流を発生させたので、水の圧力の強弱によりナノバブル含有水38が堆積物内に十分浸透することとなり洗浄効果を高めることができる。また、温度調整装置24及び超音波振動印加装置26を使用しているので、ナノバブルを活性化させ効率良く多量のフリーラジカルを反応させることが可能であり、フリーラジカルによる洗浄効果を高めることができる。したがって、上水道本管10の内壁に付着した堆積物、有機物等をより効率良く分解・除去することが可能である。
(第3の実施の形態)
図3は、本発明の管路の洗浄方法に係る第3の実施の形態を示す概略説明図である。図2の第1及び第2の実施の形態の概略説明図との違いは、氷タンク32と切り替えバルブ34を用い、密閉区間10a内に氷36を導入できるように構成したことにある。
本実施の形態においては、ナノバブル含有水38をこの密閉区間10aに充満する前に、すなわち閉塞工程(ステップS1)の後であって充満工程(ステップS2)の前に、密閉区間10a内に氷36を入れ、その後に充満工程(ステップS2)において、ナノバブル含有水38により氷36を密閉区間10a内で移動させるようにした。氷36の大きさは略5mm以下とした。ここで、氷36は管路10の内部を容易に移動できるようにシャーベット状になっている。この構成により、氷36が密閉区間10a内を移動すると、密閉区間10aの内壁に氷36が接触することで管路の内壁に付着した堆積物等に物理的な外力が加わり、大きな堆積物等が削り取られる。同時に、取り残された堆積物又は付着している微小な堆積物等に亀裂や緩み、摩擦を生じさせ、ナノバブル含有水38のこれらの堆積物等に対する浸透性がより高められることとなる。ここで、氷36を使用しているので、密閉区間10aの管路の径が変化していても又は管路が屈曲していても、容易にそれらの部分を氷36が通過し、前述の効果を発揮することができる。更に、密閉区間10a内に氷が残留しても溶けてしまうので取り扱い易い。
本発明の管路の洗浄方法の第3の実施の形態によれば、ナノバブル含有水38を上水道本管10の密閉区間10aに充満する前に、密閉区間10aに氷36を入れ、充満工程(ステップS2)により氷36を密閉区間10a内で移動させたので、管路の内壁に氷36が接触することで管路の内壁に付着した堆積物等に物理的な外力が加わり、大きな堆積物等が削り取られる。同時に、取り残された堆積物又は付着している微小な堆積物等に亀裂や緩み、摩擦を生じさせ、ナノバブルを含む水38のこれらの堆積物等に対する浸透性がより高められることとなり洗浄効果を高めることができる。
なお、上記の第1から第3の実施の形態では、一例として上水道本管を例にとり本発明の管路の洗浄方法を説明したが、これらの実施の形態に限定されることはない。すなわち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、他の枝管12bに接続されている排水管28に排水ポンプを接続して、密閉区間10a内の水をより効率良く排水するようにしても良い。更に、下水道本管や工場内での各種の配管、食品等を扱う管路、及び家庭内の排水管等にも適用することができる。
10 上水道本管
10a 密閉区間
12a、12b 枝管
14 制水弁
16a、16b 止水弁
18a、18b 凹所
20 ナノバブル発生装置(微小気泡発生装置)
20a 出力ホース
20b 給水口
22 脈流発生装置
24 温度調整装置
26 超音波振動印加装置
28 排水管
30 排水タンク
32 氷タンク
34 切り替えバルブ
36 氷
38 ナノバブル含有水

Claims (8)

  1. 管路を閉塞して所定の区間を略密閉区間とする閉塞工程と、
    前記密閉区間に微小気泡を含有する水を充満させる充満工程と、
    該充満工程による充満状態を所定時間維持する維持工程と、
    該維持工程後に前記充満した水を排出する排水工程と、
    を有することを特徴とする管路の洗浄方法。
  2. 前記閉塞工程の後であって前記充満工程の前に又は前記維持工程中に、
    前記管路内でピグ又はブラシを移動させ、該ピグ又はブラシを前記管路の内壁に物理的に接触させる接触工程を有することを特徴とする請求項1に記載の管路の洗浄方法。
  3. 前記閉塞工程の後であって前記充満工程の前に前記管路に氷を入れ、その後前記充満工程において前記氷を前記管路内で移動させ、前記氷を前記管路の内壁に物理的に接触させる接触工程を有することを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の管路の洗浄方法。
  4. 前記充満工程で充満される前記微小気泡は、ナノバブルを含むことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の管路の洗浄方法。
  5. 前記充満工程及び/又は前記維持工程において、前記管路内の前記微小気泡含有水を脈流状態とする脈流動作付与工程を含むことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の管路の洗浄方法。
  6. 前記充満工程において、前記密閉区間に充満される前記微小気泡含有水は、温度調整装置により温度が調整される温度調整工程を含むことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の管路の洗浄方法。
  7. 前記温度の調整は、5℃から60℃の範囲内、好ましくは20℃から40℃の範囲内で行われることを特徴とする請求項6に記載の管路の洗浄方法。
  8. 前記充満工程において、前記密閉区間に充満される前記微小気泡含有水に対して、
    超音波振動発生装置により超音波振動を印加する超音波印加工程を含むことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の管路の洗浄方法。
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