JP2011222263A - 端子金具の接続構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構造変更で以て低挿入化を図る。
【解決手段】タブ13を有する雄端子10と、タブ13が挿入される角型の接続筒部23を有する雌端子20とが備えられ、接続筒部23内には、接点部36を有する弾性接触片35を複数本ずつ並列した一対の接触片列31が間隔を開けて対向して配されたルーバ型ばね部材30が収容され、タブ13は、両側の接触片列31を弾性変位させつつ両接点部36の間に挿入されて弾性的に接触するようになっている。雄端子10のタブ13の先端部における両面には、先端に向けて次第に薄肉となる傾斜面15,16が形成され、各傾斜面15は、平坦面14Aと繋がる基端縁15A,16Aが前後に異なる形態で形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、雄雌の端子金具の接続構造に関する。
従来、大電流用の端子金具の接続構造として、下記特許文献1に記載されたように、ルーバ型ばね部材を用いたものが知られている。このものは具体的には、図10に示すように、比較的厚肉の舌片状をなすタブ2を有する雄端子1と、同タブ2が挿入される角型の接続筒部4を有する雌端子3とが備えられ、接続筒部4内にルーバ型ばね部材5が収容されている。ルーバ型ばね部材5は、接点部6Aを備えた弾性接触片6を複数本並列した一対の接触片列が間隔を開けて対向して配された形状である。一方、タブ2の先端部の両面には、誘い込み用に先細りとなった傾斜面7が形成されている。
そして、雄端子1のタブ2が雌端子3の接続筒部4に挿入されると、ルーバ型ばね部材5内に誘い込まれて両側の弾性接触片6の列を弾性変位させつつ両側の接点部6Aの間に割って入り、タブ2が両側の接点部6Aで弾性的に挟持されることによって、タブ2とルーバ型ばね部材5の間ひいては雄雌の端子金具1,2の間が電気的に接続されるようになっている。
特表2005−505104号公報
ここで、上記したタブ2の挿入力の変化を見ると、図9の特性線xのようになる。すなわち、タブ2の先端が両弾性接触片6の接点部6Aに接触したのち、同弾性接触片6を弾性変位させつつ、すなわち次第に大きくなる挿入負荷を受けつつ押し込まれ、両傾斜面7の基端縁7Aが接点部6Aを通過するときに最も大きな負荷を受けてその後に漸減する。なお厳密には、両傾斜面7の基端縁7Aが接点部6Aに当たったのちなお所定距離挿入されたときに負荷のピークを迎えるのは、ルーバ型ばね部材5の収容公差によって同ルーバ型ばね部材5が押されて後方にずれたり、あるいは弾性接触片6が傾いて変位することに伴って、接点部6Aを通過するタイミングが遅れるためであろうと考えられる。いずれにしても、従来のものでは、タブ2の先端部に設けられた両傾斜面7の基端縁7Aが、同時に両側の弾性接触片6の列の接点部6A(列)を通過する構造であるため、接続作業の途中で大きな挿入負荷を受け、すなわち大きな挿入力(約75N)が必要であり、円滑な接続作業を期する上で弊害となっていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、簡単な構造変更で以て低挿入化を図るところにある。
本発明は、タブを有する雄端子と、前記タブが挿入される角型の接続筒部を有する雌端子とが備えられ、この雌端子の前記接続筒部における前記タブを厚さ方向に挟む対向面には、前記接続筒部の先端から同一寸法入った位置においてそれぞれ接点部が設けられ、かつ少なくとも一方の接点部は前記対向面に配された弾性接触片に設けられており、前記タブが前記弾性接触片を弾性変位させつつ前記両接点部の間に挿入されて弾性的に接触する端子金具の接続構造において、前記雄端子の前記タブの先端部における両面には、先端に向けて次第に薄肉となる傾斜面が形成され、かつ前記各傾斜面は、平坦面と繋がる基端縁が前後に異なる形態で形成されているところに特徴を有する。
雄端子のタブが雌端子の接続筒部内に挿入されると、弾性接触片を弾性変位させつつ押し込まれ、まず前方にある側の傾斜面の基端縁が対応する接点部を通過することに伴い、比較的小さい第1の挿入力のピークを迎え、そののち後方にある側の傾斜面の基端縁が対応する接点部を通過することに伴い、同じく比較的小さい第2の挿入力のピークを迎える。すなわち、タブを挿入する場合に、挿入力のピークがそれぞれ比較的小さい2箇所に分散されることになり、結果低挿入力化が図られる。しかも、タブの先端部に設けられる両側の傾斜面について、それぞれの基端縁を前後に異ならせるだけといった簡単な構造変更によって対応することができる。
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記雄端子の前記タブにおける前記両傾斜面は、両傾斜面の前記タブの厚さ方向における中間位置が、前記タブ自身の厚さ方向の中心から変位した形態において、同じ傾斜角度を持って形成されている。
(2)前記雌端子の前記接続筒部における両対向面には、前記弾性接触片が対称形状をなして設けられている。
(3)前記雌端子の前記接続筒部内には、前記弾性接触片を複数本並列した一対の接触片列が間隔を開けて対向して配されてなるルーバ型ばね部材が収容され、前記タブは、前記ルーバ型ばね部材における両側の前記接触片列を弾性変位させつつその間に挿入される構成となっている。雌端子にルーバ型ばね部材を利用した形式のものにも、有効に適用できる。
(4)前記雌端子の前記接続筒部における前記両対向面の後縁部には、前記雄端子の前記タブにおける前記平坦部の厚さに略等しい間隔を開けて過度撓み規制部が設けられる一方、前記雄端子における前記タブの前記両傾斜面は、同タブが前記接続筒部内に正規寸法挿入された場合に同タブの先端部における前記接続筒部の後縁から後方に突出した領域に形成されている。
タブの挿入力の全体的なレベルを下げるには、傾斜面の傾斜が緩くいわゆる傾斜面の長さが長いほど有効と言える。一方、タブが正規量挿入された場合における接続筒部の後縁から突出する先端部の長さは、例えば同タブの先端がバレルに圧着された電線の芯線との干渉を避けるために自ずから制限がある。ここで、タブの先端部の突出領域を超えて傾斜面が形成されると、傾斜面の基端側が接続筒部の後縁に設けられた過度撓み規制部に掛かることになり、タブの振れ防止や捻回防止の機能が十分に発揮できない。
それに対して本発明では、上下の傾斜面を極力緩やかにしながらも、タブの先端部の突出領域内に限って形成している。そのため、タブが正規量挿入された場合に、タブの平坦面が後縁の過度撓み規制部に臨むこととなり、結果、タブの振れ防止や捻回防止の機能を確実に発揮することができる。
本発明によれば、雄端子側の簡単な構造変更で以て低挿入化を実現することができる。
本発明の一実施形態に係る端子金具の分解斜視図 雄端子の平面図 同側面図 図3の部分拡大図 雌端子の平断面図 同縦断面図 雄雌の端子金具の接続前の断面図 接続過程を示す断面図 挿入力−挿入量の特性図 従来例の断面図
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図9によって説明する。
本実施形態では、電気自動車やハイブリッド自動車等の電力供給線等に用いられる大電流端子金具を例示しており、図1に示すように、互いに接続される一対の雄端子10と雌端子20とから構成されている。
雄端子10は、比較的厚肉(例えば1.5mm)の銅合金等の導電性に優れた金属板をプレス加工することによって形成されており、図示しない被覆電線の芯線の端末に圧着されるバレル11の前方に、等幅の舌片状をなすタブ13が延出形成された形状である。タブ13の基端部は若干拡幅され、雄側のハウジング(図示せず)に収容された場合の抜け止めとして用いられるランス孔12が開口されている。
タブ13の先端部には、誘い込み用の傾斜面15,16が形成されているが、これについては後に詳述する。
一方、雌端子20はルーバ型ばね部材30を内蔵した構造である。雌端子20は、図5,6にも示すように、同じく比較的厚肉(例えば1.5mm)の銅合金等の導電性に優れた金属板をプレス加工することによって形成され、被覆電線の芯線の端末に圧着されるバレル21の前方に、上記した雄端子10のタブ13が挿入される接続筒部23が形成されており、この接続筒部23内にルーバ型ばね部材30が収容されている。バレル21と接続筒部23との間の底板には、雌側のハウジング(図示せず)に収容された場合の抜け止めとして用いられるランス孔22が開口されている。
接続筒部23は、前後両面に開口した扁平な角筒状に形成されており、前面の開口部がタブ13が挿入される入口24となっている。接続筒部23の正面視で右側壁には、ルーバ型ばね部材30を挿入するルーバ挿入口25が開口されている。
ルーバ型ばね部材30は、雌端子20よりも弾性に富んだ材料、例えばベリリウム銅等の板材をプレス加工して形成され、大まかには、所定間隔を開けて対向配置された上下2枚の接触板31における挿入方向の手前側の縁部同士が連結板32で連結されるとともに、下側の接触板31の奥側の端縁からは、上側の接触板31の奥側の端縁を受ける受け板33が直角曲げして立ち上がり形成され、全体として扁平な角筒状に形成されている。
各接触板31には、幅方向に沿った言い換えるとタブ13の挿入方向に沿った両持ち状の弾性接触片35が、図示5本ずつ間隔を開けて形成されている。したがって、両接触板31が本発明の接触片列に相当する。各弾性接触片35は、長さ方向の中央部が内方に膨出した形状であって、膨出端の所定範囲の平坦な部分が接点部36となっている。
なお、上側の各弾性接触片35は、前方から見て右側に傾き、逆に下側の各弾性接触片35は左側に同角度傾いて形成されているが、上下の弾性接触片35の接点部36の鉛直方向の間隔は、タブ13の平坦部14(上下両面が平行な平坦面14A)における厚さよりも所定寸法小さい設定となっている。
下側の接触板31の奥縁の両端部からは、位置決め片37が突出形成されているとともに、上下の接触板31における手前側の端縁の両端部からは、それぞれ係止片38が斜め外方に屈曲された形態で形成されている。
これに対して接続筒部23の左側壁には、図5に示すように、その下端位置において、各位置決め片37が挿通される位置決め孔26が開口されているとともに、ルーバ挿入口25の上下両口縁の両端部には、係止片38に係止する係止部27が内方に叩き出されて形成されている。
ルーバ型ばね部材30がルーバ挿入口25から接続筒部23内に挿入されると、その終盤では、位置決め片37が位置決め孔26に臨む一方、上下の係止片38が弾性変位しつつ押し込まれ、奥側の受け板33が左側壁に当たる正規位置まで押し込まれると、位置決め片37が位置決め孔26内に進入するとともに、係止片38が係止部27を通過して復元変位しつつ係止部27の内面に係止される。これによりルーバ型ばね部材30は、雌端子20の接続筒部23内に緊密に嵌められ、かつ接続筒部23の軸線方向に位置決めされるとともに、同ルーバ型ばね部材30の挿入方向に抜け止めされて収容される。
このようにルーバ型ばね部材30が正規位置に挿入された状態では、上下の弾性接触片35の接点部36は、接続筒部23の前縁から同じ寸法だけ内部に入った位置にあり、また既述したように、上下の接点部36の鉛直方向の間隔は、タブ13の平坦部14における厚さよりも所定寸法小さい寸法に維持される。
接続筒部23における上記したルーバ型ばね部材30の収容空間の直前位置には、上下で対をなす過度撓み規制部28が、上下の壁部を叩き出すことによって形成されている。詳細には、上下の過度撓み規制部28は、それぞれほぼ全幅に亘って斜め姿勢に叩き出されて形成されている。上下の過度撓み規制部28の突出縁の間隔は、タブ13の平坦部14の厚さより若干大きい寸法であって、タブ13が傾動姿勢に振れたり、あるいは軸線回りに捻回することを規制するようになっているとともに、両過度撓み規制部28の手前側の面が、手前側に向けて広がった誘い込み用のガイド面28Aとなっている。
接続筒部23におけるルーバ型ばね部材30の収容空間の直後位置には、同じく上下で対をなす過度撓み規制部29が上下の壁部を叩き出すことによって形成されている。詳細には、上側の過度撓み規制部29は、上壁における幅方向の中央部で下向きに叩き出され、下側の過度撓み規制部29は、下壁における幅方向の両端部の2箇所で上向きに叩き出されて形成されており、上下計3個の過度撓み規制部29でほぼ全幅をカバーしている。同じく上下の過度撓み規制部29の突出縁の間隔が、タブ13の平坦部14の厚さよりも若干大きい寸法とされ、タブ13の振れや捻回を規制するようになっている。
さて本実施形態では、雄端子10のタブ13の先端部の形状に工夫が凝らされている。タブ13の先端部の所定領域では、先端に向けて幅が漸減されているとともに、上下両面には、先端に向けて次第に薄肉となる傾斜面15,16が形成されているが、特に上下の傾斜面15,16では、平坦面14Aと繋がる基端縁15A,16Aの位置が、前後に異なる形態で形成されている。
両傾斜面15,16は、プレス機の上下の型の間で圧潰することによって形成されており、その形状について、図4により、実寸法を交えてより具体的に説明する。
タブ13の肉厚aが1.5mmである場合、下側の傾斜面16は、タブ13の先端面における中間厚さ位置oから、下方に距離b(0.4mm)だけ離間した位置を先端縁として、角度「約8°」で斜め下向きに傾斜するように形成され、このとき、先端縁から平坦面14Aと繋がる基端縁16Aまでの前後方向の水平距離cは2.5mmとなる。
一方、上側の傾斜面15は、タブ13の先端面における中間厚さ位置oから、上方に距離d(0.35mm)だけ離間した位置を先端縁として、同じく傾斜角度「約8°」で斜め上向きに傾斜するように形成され、このとき、先端縁から平坦面14Aと繋がる基端縁15Aまでの距離eは3.3mmとなる。結果、上側の傾斜面15の基端縁15Aは、下側の傾斜面16の基端縁16Aと比べて0.8mm後方に離間して位置することになる。
また、タブ13の先端面の周縁には、丸みが付けられる。
なお、上記した上下の傾斜面15,16の基端縁15A,16Aの位置を前後にずらして設定する設計手法は、以下のように、タブ13の先端面における中間厚さ位置oから所定寸法下方にずれた位置を基準点とし、上下の傾斜面15,16とも、上記の基準点から同距離だけ上方または下方に離間した位置を先端縁として、同じ傾斜角度で斜め上向きまたは斜め下向きに形成することと、実質的に同じ設計手法である。
特に、タブ13の先端面が厚みを持たない尖った形態で上下の傾斜面15,16を形成する場合には、上記の基準点を先端縁として、同じ傾斜角度で斜め上向きまたは斜め下向きに形成することとなる。
詳しくは後記するように、両端子金具10,20が接続されるに当たっては、雄端子10のタブ13が雌端子20の接続筒部23に挿入されて、同接続筒部23に収容されたルーバ型ばね部材30を貫通し、タブ13が正規量挿入されたところでは、図8(e)に示すように、タブ13の先端部における傾斜面15,16の形成された領域17が接続筒部23の後縁から後方に突出し、言い換えると、接続筒部23の後縁側の過度撓み規制部29に対してタブ13の平坦面14Aが臨む設定となっている。
言い換えると、雄端子10のタブ13が正規量挿入されて雌端子20の接続筒部23の後縁から突出した先端部の領域17内に上下の傾斜面15,16が形成されており、その意義は以下のとおりである。
タブ13の挿入力の全体的なレベルを下げるには、傾斜面15,16の傾斜が緩くいわゆる傾斜面15,16の長さが長いほど有効と言える。一方、タブ13が正規量挿入された場合における接続筒部23の後縁から突出する先端部の長さは、同タブ13の先端がバレル11に圧着された電線の芯線との干渉を避けるために自ずから制限がある。ここで、タブ13の先端部の突出領域を超えて傾斜面が形成されると、傾斜面の基端側が接続筒部23の後縁に設けられた過度撓み規制部29に掛かることになり、タブ13の振れ防止や捻回防止の機能が十分に発揮できない。
そこで本実施形態では、上下の傾斜面15,16を極力緩やかにしながらも、タブ13の先端部の突出領域内に限って形成している。そのため、タブ13が正規量挿入された場合に、タブ13の平坦面14Aが後側の過度撓み規制部29に臨むこととなり、結果、タブ13の振れ防止や捻回防止の機能を確実に発揮することができる。
続いて、本実施形態の作用を説明する。
雄端子10と雌端子20とはそれぞれ電線の端末に圧着されたのち雄雌のハウジングに収容され、両ハウジングが嵌合されることに伴い両端子金具10,20が接続される。すなわち、雄端子10のタブ13が雌端子20の接続筒部23に挿入されると、接続筒部23に収容されたルーバ型ばね部材30内に誘い込まれて上下の弾性接触片35の列を弾性変位させつつ両側の接点部36の間に割って入り、正規量挿入されたタブ13が両側の接点部36の間で弾性的に挟持されることによって、タブ13とルーバ型ばね部材30の間ひいては雄雌の端子金具10,20の間が電気的に接続されるようになっている。
ここで、本実施形態に係る雄端子10のタブ13の挿入力の変化を見ると、以下のようになる。実験は、図7に示すように、雄端子10のタブ13を一定速度で雌端子20の接続筒部23内に挿入し、タブ13の先端がルーバ型ばね部材30の上下の接点部36に当接してからさらに挿入される過程において、ロードセルにより負荷(挿入力)を計測し、図9のように、タブ13の挿入量(mm)と挿入力(N)の関係をグラフ化(特性線X)したものである。
雄端子10のタブ13の具体的な挿入過程を、図8によって改めて説明する。タブ13の先端が接続筒部23内に挿入されると、前側の過度撓み規制部28のガイド面28Aで案内されていわゆる芯出しされつつ、ルーバ型ばね部材30の上下の弾性接触片35の列の間に挿入され、まず同図(a)に示すように、タブ13の先細りとなった先端面が上下の弾性接触片35の接点部36の前縁に当接する。係る状態からさらに挿入が継続されると、両傾斜面15,16が接点部36を通過することで上下の弾性接触片35を弾性的に開きつつ押し込まれ、挿入力が漸増する。
そののち、同図(b)に示すように、下側の傾斜面16の基端縁16Aが先に下側の接点部36を通過することに伴い、比較的小さい第1の挿入力のピークP1(約35N)を迎え、続いて同図(c)に示すように、上側の傾斜面16の基端縁16Aが上側の接点部36を通過することに伴い、上記の第1のピークP1よりは大きいが比較的小さい第2の挿入力のピークP2(約50N)を迎える。その後は、同図(d)に示すように、両接点部36の間を上下の平坦面14Aが揃って通過することで、低くなった一定の挿入力(約25N)で推移し、同図(e)に示すように、両傾斜面15,16を含むタブ13の先端領域17が、後側の過度撓み規制部29を超えたところで挿入は停止される。
なお厳密には、両傾斜面16,15の基端縁16A,15Aが接点部36に当たったのちなお所定距離挿入されたときに、第1と第2の負荷のピークP1,P2を迎えるのは、ルーバ型ばね部材30の収容公差によって同ルーバ型ばね部材30が押されて後方にずれたり、あるいは弾性接触片35が傾いて変位することに伴って、接点部36を通過するタイミングが遅れるためであろうと考えられる。
このように本実施形態によれば、雄端子10のタブ13の先端部の上下両面に傾斜面15,16を設けるに当たり、各傾斜面15,16における平坦面14Aと繋がる基端縁15A,16Aが前後に異なった形態で形成されているから、タブ13を雌端子20に内蔵されたルーバ型ばね部材30に挿入するに当たり、挿入力のピークがそれぞれは比較的小さい2箇所(35N,50N)に分散されることになり、従来における1箇所で大きいピーク(70N)を迎える場合と比較すると、低挿入力化が図られる。そのため、雄雌の端子金具10,20の接続作業を能率良く行うことができる。
しかも、タブ13の先端部に設けられる上下両側の傾斜面15,16について、それぞれの基端縁15A,16Aの位置を前後に異ならせるだけといった簡単な構造変更によって対応でき、結果安価に対応することができる。
また、上下の傾斜面15,16とも、タブ13が正規量挿入された場合における接続筒部23の後縁から突出した先端の領域17に限って形成したから、タブ13が正規量挿入された場合に、タブ13の平坦面14Aを後側の過度撓み規制部29に臨ませることができ、そのため過度撓み規制部29によるタブ13の振れ防止や捻回防止の機能を確実に発揮させることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)雄端子のタブの先端部に設ける上下の傾斜面の基端縁の位置を前後に異ならせて設定する設計手法として、上記実施形態に例示した以外に、各傾斜面を、タブの先端面における中間厚さ位置、若しくは中間厚さ位置から上下に同寸法ずつ離間した位置を先端縁として、異なった傾斜角度で斜め上向きまたは斜め下向きに形成するようにしてもよい。
(2)タブの先端部の上下の傾斜面における各基端縁の位置は、上記実施形態とは逆に、下側の基端縁が上側の基端縁に比べて後方に来るような設定としてもよい。
(3)タブの上下の傾斜面における各基端縁の位置を設定するべく、上記実施形態に示した各傾斜面の先端縁の位置や傾斜角度等の数値はあくまでも一例であって、タブの肉厚等の条件に応じて適宜に選択し得るものである。
(4)雌端子側において、接続筒部内に別体のルーバ型ばね部材を収容することに代えて、接続筒部の上下の壁部から直接に叩き出して複数本ずつの弾性接触片を形成するようにしてもよい。
(5)接続筒部の上下の各面に配される弾性接触片の数は、1本ずつも含めて任意であり、また上下で数が異なっていてもよい。
(6)また、上下で接点部が対称位置にある限り、上下いずれか一方では接点部が固定的に設けられていてもよく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
10…雄端子
13…タブ
14…平坦部
14A…平坦面
15…傾斜面
15A…基端縁
16…傾斜面
16A…基端縁
17…突出領域
20…雌端子
23…接続筒部
29…過度撓み規制部
30…ルーバ型ばね部材
31…接触板(接触片列)
35…弾性接触片
36…接点部
o…中間厚さ位置

Claims (5)

  1. タブを有する雄端子と、
    前記タブが挿入される角型の接続筒部を有する雌端子とが備えられ、
    この雌端子の前記接続筒部における前記タブを厚さ方向に挟む対向面には、前記接続筒部の先端から同一寸法入った位置においてそれぞれ接点部が設けられ、かつ少なくとも一方の接点部は前記対向面に配された弾性接触片に設けられており、
    前記タブが前記弾性接触片を弾性変位させつつ前記両接点部の間に挿入されて弾性的に接触する端子金具の接続構造において、
    前記雄端子の前記タブの先端部における両面には、先端に向けて次第に薄肉となる傾斜面が形成され、かつ前記各傾斜面は、平坦面と繋がる基端縁が前後に異なる形態で形成されていることを特徴とする端子金具の接続構造。
  2. 前記雄端子の前記タブにおける前記両傾斜面は、両傾斜面の前記タブの厚さ方向における中間位置が、前記タブ自身の厚さ方向の中心から変位した形態において、同じ傾斜角度を持って形成されていることを特徴とする請求項1記載の端子金具の接続構造。
  3. 前記雌端子の前記接続筒部における両対向面には、前記弾性接触片が対称形状をなして設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の端子金具の接続構造。
  4. 前記雌端子の前記接続筒部内には、前記弾性接触片を複数本並列した一対の接触片列が間隔を開けて対向して配されてなるルーバ型ばね部材が収容され、前記タブは、前記ルーバ型ばね部材における両側の前記接触片列を弾性変位させつつその間に挿入される構成となっていることを特徴とする請求項3記載の端子金具の接続構造。
  5. 前記雌端子の前記接続筒部における前記両対向面の後縁部には、前記雄端子の前記タブにおける前記平坦部の厚さに略等しい間隔を開けて過度撓み規制部が設けられる一方、前記雄端子における前記タブの前記両傾斜面は、同タブが前記接続筒部内に正規寸法挿入された場合に同タブの先端部における前記接続筒部の後縁から後方に突出した領域に形成されていることを特徴とする請求項4記載の端子金具の接続構造。
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