JP2011216371A - アニリン誘導体又はポリアニリン誘導体を含有するリチウムイオン二次電池用の正極活物質 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明によるリチウムイオン二次電池用の正極活物質は、アニリン誘導体、ポリアニリン誘導体又は環状構造のポリアニリン誘導体を含有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
(1)下記一般式(1)で示されるアニリン誘導体を含有することを特徴とする、リチウムイオン二次電池用の正極活物質。
(2)そのR1、R2、R3及びR4がメチル基であることを特徴とする、(1)に記載のリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
(3)そのR1とR2及びそのR3とR4が結合して環を形成してアントラセン骨格であることを特徴とする、(1)に記載のリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
(4)下記一般式(2)で示されるポリアニリン誘導体を含有することを特徴とする、リチウムイオン二次電池用の正極活物質。
(5)そのポリアニリン誘導体が環状構造であることを特徴とする、(4)に記載のリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
(6)そのR1、R2、R3及びR4がメチル基であることを特徴とする、(4)又は(5)に記載のリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
(7)そのR1とR2及びそのR3とR4が結合して環を形成してアントラセン骨格であることを特徴とする、(4)又は(5)に記載のリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
(8)そのR6がエチレン基であることを特徴とする、(4)から(7)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
(9)(1)から(8)のいずれかに記載の正極活物質が集電体の少なくとも表面に備えられることを特徴とする、リチウムイオン二次電池用の正極。
(10)正極と、負極と、電解質とを少なくとも構成要素とするリチウムイオン二次電池において、その正極が(9)に記載の正極であることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
本発明によるリチウムイオン二次電池用の正極活物質は、下記一般式(1)で示されるアニリン誘導体を含有することを特徴とし、そのアニリン誘導体は、嵩高い置換基が結合したフェニレンジアミン骨格を有するものである。リチウムイオン二次電池用の正極活物質とは、リチウムイオン二次電池の充電反応及び放電反応などの電極反応において、リチウムイオン二次電池の正極で直接寄与する物質のことをいう。
本発明によるリチウムイオン二次電池用の正極は、一般式(1)で示されるアニリン誘導体を含有する正極活物質、一般式(2)で示されるポリアニリン誘導体を含有する正極活物質又は一般式(3)で示される環状構造のポリアニリン誘導体を含有する正極活物質、すなわち、本発明の正極活物質を集電体の少なくとも表面に備えることを特徴とする。
本発明によるリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解質とを少なくとも構成要素とし、正極が本発明の正極であることを特徴とする。
(実施例1−1)
本発明の正極活物質が、リチウムイオンの存在下でレドックス(酸化還元)活性になることを以下の実験を行って証明した。
<例示化合物1a−1の合成>
非特許文献(H. K.Hall,Jr.,A.B.Padias,.P.A.Williams,J.-M. Gosau,H.W.Boone,D.-K.Park,Macromolecules1995,28,1-8.)の記載を参考に合成した。アントラキノン (0.2092g、1.0mmol)、アニリン(0.6ml、6.6mmol)及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(1.20g、10.7mmol)をモノクロロベンゼン(15mL)に溶かし、その溶液に四塩化チタン(約0.2ml、1.8mmol)を溶解したモノクロロベンゼン(5mL)をゆっくり滴下した。125℃で2時間45分反応させた後、沈殿物を濾過し、得られた溶液を濃縮した。その残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、例示化合物1a−1を得た(0.2196g、収率61%)。
まず、電解液として、1M(mol/l)のLiOTf(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(ALDRICH製)と0.2M(mol/l)のTBABF4(テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート)(Fluka製)とを含有するアセトニトリル混合溶液を調製した。その後、その調製した電解液に上記で合成した正極活物質である例示化合物1a−1(0.74mg)を溶解し、例示化合物1a−1を0.2mM溶解した電解液溶液(10ml)を調製した。
レドックス(酸化還元)活性は、電気化学測定装置(BAS製)を使用して、掃引速度0.1V/s(掃引方向:0.3V→−0.3V、作用電極:グラッシーカーボン(GC)、参照電極:Ag/Ag+及び、対極電極:白金(PtCoil)の条件下で、正極活物質である例示化合物1a−1を含む電解液を用いてサイクリックボルタンメトリーを測定することにより調べた。
<正極活物質を含む電解液の調製>
LiOTf(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)を含まない以外は実施例1−1と全く同様な電解液を調製した。その後、実施例1−1で合成して用いた例示化合物1a−1を溶解して電解液を調製した。
レドックス(酸化還元)活性は、正極活物質である例示化合物1a−1を含むが、LiOTf(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)を含まない電解液を用いてサイクリックボルタンメトリーを実施例1−1と全く同様な条件下で測定することにより調べた。
図1に、サイクリックボルタンメトリーを測定した結果を示す。図1から明らかなように、LiOTf(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)を含む電解液(実施例1−1で作製した電解液)を用いた場合は酸化還元波を確認することができたが、LiOTf(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)を含まない電解液(比較例1−1で作製した電解液)を用いた場合は酸化還元波を確認することができなかった。そして、LiOTf(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)を含まないその電解液(比較例1−1で作製した電解液)にリチウムイオンを加えると溶液の色が大きく変化した(黄→橙)。
本発明の正極活物質がリチウムイオン二次電池用の正極活物質として有効であることを更に確認するために、実施例1−1で使用した例示化合物1a−1(正極活物質)の構造を含む高分子化合物である例示化合物2a−1を正極活物質として用いて、リチウムイオンの存在下で本発明の正極活物質がレドックス(酸化還元)活性になることを以下の実験により証明した。
<例示化合物2a−1の合成>
特許文献(特開2005-2278)、非特許文献(Toyohiko Nishiumi,Yuya Chimoto,Yuki Hagiwara,Masayoshi Higuchi,Kimihisa Yamamoto,Macromolecules 2004,37,2661-2664)、及び非特許文献(H. K.Hall,Jr.,A.B.Padias,.P.A.Williams,J.-M.Gosau,H.W.Boone,D.-K.Park,Macromolecules 1995,28,1-8.)の記載を参考に合成した。アントラキノン(2.4986g、12.0mmol)、4,4’-エチレンジアニリン(2.5476g、12.0mmol)及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(12.750g、113mmol)をモノクロロベンゼン(145mL)に溶かし、その溶液に四塩化チタン(2.0ml、18.2mmol)を溶解したモノクロロベンゼン(15mL)をゆっくり滴下した。125℃で24時間反応させた後、ろ過し、得られた橙色の溶液を濃縮した。その後、再沈殿の操作を3回行い(1回目:クロロホルムに溶解させメタノール中で再沈、2回目:クロロホルムに溶解させ酢酸エチル中で再沈、3回目:クロロホルムに溶解させメタノール中で再沈)、目的の例示化合物2a−1を得た(2.8096g、収率61%)。
1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ 8.32(m,2H),7.55(m,1H),7.40(m,1H),7.09-6.98(m,8H),6.81-6.73 (m, 4H),3.87(brs,4H)。
まず、実施例1−1と全く同様な電解液である、1M(mol/l)のLiOTf(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)(ALDRICH製)と0.2M(mol/l)のTBABF4(テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート)(Fluka製)とを含有するアセトニトリル混合溶液を調製した。
グラッシーカーボン(GC)電極上に上記で合成した例示化合物2a−1(0.4mg)をクロロホルム(10ml)に溶解させ、その溶液(20μl)を塗布し乾燥させ作用極とした。
レドックス(酸化還元)活性は、BAS製電気化学測定装置を使用して、上記で塗布したグラッシーカーボン電極を上記で調製した電解液に含浸させ、掃引速度0.1V/s(掃引方向:0.3V→−0.3Vの範囲)、参照電極:Ag/Ag+及び、対極電極:白金(PtCoil)の条件下で、サイクリックボルタンメトリーを測定することにより調べた。
<電解液の調製>
LiOTf(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)を含まない以外は実施例1−2と全く同様な電解液を調製した。
実施例1−2で用いた例示化合物2a−1をグラッシーカーボン(GC)電極上に実施例1−2と全く同様な条件で塗布し乾燥させ作用極とした。
レッドクス(酸化還元)活性は、正極活物質である例示化合物2a−1を含むがLiOTf(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)を含まない電解液を用いて、実施例1−2と全く同様な条件下でサイクリックボルタンメトリーを測定することにより調べた。
図2に、サイクリックボルタンメトリーを測定した結果を示す。図2から明らかなように、LiOTf(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)を含む電解液(実施例1−2で作製した電解液)を用いた場合は酸化還元波を確認することができたが、LiOTf(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)を含まない電解液(比較例1−2で作製した電解液)を用いた場合は酸化還元波を確認することができなかった。そして、LiOTf(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)を含まないその電解液(比較例1−2で作製した電解液)にリチウムイオンを加えると溶液の色が大きく変化した(黄→橙)。
本発明の正極活物質を備える正極がリチウムイオン二次電池用の正極として有効であることを以下の実験により確認した。
<リチウムイオン二次電池用の正極用電極の作製>
上記で合成された例示化合物2a−1(2mg)と、ケチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製)(4mg)と、導電性バインダー(宝泉製:TAB-2)(4mg)とを混合してシート化し、集電体であるアルミメッシュ(14φ)(ニラコ製)の表面上に圧着した。それを120℃で6時間真空乾燥し、例示化合物2a−1を備えた電極を作製した。
上記電極をコイン型リチウムイオン二次電池の正極とし、1M(mol/l)のLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)電解質塩を含むエチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)(EC:DEC=1:1(体積比))の混合溶液である電解液にその正極を含浸させた。そして、その正極上にポリプロピレン多孔質フィルムからなるセパレータ(セルガード製)、ガラスフィルター(アドバンテック製)を積層し、さらに負極となるリチウム箔(本城金属製)を積層した。その後、周囲に絶縁パッキンを配置した状態でコイン型電池のアルミ外装を重ね、しめ機によって加圧し、正極活物質として例示化合物2a−1、負極活物質として金属リチウムを用いた密閉型のコイン型リチウムイオン二次電池を作製した。
上記コイン型リチウムイオン二次電池を用いて、次の方法にしたがって充放電試験を行った。
図3に、10サイクル目の充放電曲線を示す。図3から明らかなように、上記のコイン型リチウムイオン二次電池は、充放電が充分に可能であり、本発明の正極活物質を備える正極がリチウムイオン二次電池用の正極として有効であることを確認した。
<例示化合物3a−1〜3a−8の合成>
一般式(3a)で示される環状構造を有する化合物について、置換基(連結基)R6とn(重合度)とを下記の表1のように変更した例示化合物3a−1〜3a−8の合成をした。
特許文献(特開2005-2278)、非特許文献(Toyohiko Nishiumi,Yuya Chimoto,Yuki Hagiwara,Masayoshi Higuchi,Kimihisa Yamamoto,Macromolecules 2004,37,2661-2664)、非特許文献(H. K.Hall,Jr.,A.B.Padias,.P.A.Williams,J.-M.Gosau,H.W.Boone,D.-K.Park,Macromolecules 1995,28,1-8.)、及び非特許文献(Hirohiko Kanazawa,Masayoshi Higuchi,Kimihisa Yamamoto,J.Am.Chem.Soc2005,127,16404-16405)の記載を参考に合成した。アントラキノン(2.4986g、12.0mmol)、4,4’-エチレンジアニリン(2.5476g、12.0mmol)及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(12a−150g、113mmol)をモノクロロベンゼン(145mL)に溶かし、その溶液に四塩化チタン(2.0ml、18.2mmol)を溶解したモノクロロベンゼン(15mL)をゆっくり滴下した。125℃で24時間反応させた後、ろ過し、得られた橙色の溶液を濃縮した。その後、再沈殿の操作を3回行い(1回目:クロロホルムに溶解させメタノール中で再沈、2回目:クロロホルムに溶解させ酢酸エチル中で再沈、3回目:クロロホルムに溶解させメタノール中で再沈)、粗精製物を得た(2.8096g、収率61%、GPC:Mn=9670、Mw/Mn=1.626、1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ 8.32(m,2H),7.55(m,1H),7.40(m,1H),7.09-6.98(m,8H),6.81-6.73 (m, 4H),3.87(brs,4H))。その粗精製物をリサイクル分取HPLC(日本分析工業製)で分取し、例示化合物3a−1(n=2)、例示化合物3a−2(n=3)、例示化合物3a−3(n=4)及び例示化合物3a−4(n=5)を得た。n数はMALDI-TOF-MSにより決定した。
特許文献(特開2005-2278)、非特許文献(Toyohiko Nishiumi, Yuya Chimoto,Yuki Hagiwara,Masayoshi Higuchi,Kimihisa Yamamoto,Macromolecules 2004, 37, 2661-2664)、非特許文献(H. K.Hall,Jr.,A.B.Padias,.P.A.Williams,J.-M.Gosau,H.W.Boone,D.-K.Park,Macromolecules 1995, 28,1-8.)、及び非特許文献(Hirohiko Kanazawa,Masayoshi Higuchi,Kimihisa Yamamoto,J.Am.Chem.Soc2005,127,16404-16405)の記載を参考に合成した。アントラキノン(1.0412g、5.0mmol)、4,4’-メチレンジアニリン(0.9912g、5.0mmol)及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(3.384g、30.1mmol)をモノクロロベンゼン(60mL)に溶かし、その溶液に四塩化チタン(0.9ml、8.2mmol)を溶解したモノクロロベンゼン(5mL)をゆっくり滴下した。125℃で24時間反応させた後、ろ過し、得られた橙色の溶液を濃縮した。その後、再沈殿の操作を3回行い(1回目:クロロホルムに溶解させメタノール中で再沈、2回目:クロロホルムに溶解させ炭酸ジエチルで再沈、3回目:クロロホルムに溶解させメタノール中で再沈)、粗精製物を得た(1.0743g、収率58%、GPC:Mn=4911、Mw/Mn=1.607、1H-NMR (270MHz,CDCl3)δ 8.29(m, 2H),7.56(m, 1H),7.40(m, 1H),7.14(m, 8H),6.94-6.87(m, 4H),3.97(brs,2H))。その粗精製物をリサイクル分取HPLC(日本分析工業製)で分取し、例示化合物3a−5(n=2)、及び例示化合物3a−6(n=5)を得た。n数はMALDI-TOF-MSにより決定した。
特許文献(特開2005-2278)、非特許文献(Toyohiko Nishiumi, Yuya Chimoto,Yuki Hagiwara,Masayoshi Higuchi,Kimihisa Yamamoto,Macromolecules 2004, 37, 2661-2664)、非特許文献(H. K.Hall,Jr.,A.B.Padias,.P.A.Williams,J.-M.Gosau,H.W.Boone,D.-K.Park,Macromolecules 1995, 28,1-8.)、及び非特許文献(Hirohiko Kanazawa,Masayoshi Higuchi,Kimihisa Yamamoto,J.Am.Chem.Soc2005,127,16404-16405)の記載を参考に合成した。アントラキノン(1.0g、4.8mmol)、4,4'-ジアミノエーテル(0.96g、4.8mmol)及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(3.23g、28.8 mmol)をモノクロロベンゼン(10 mL)に溶かし、その溶液に四塩化チタン(0.79 ml、7.2mmol)を溶解したモノクロロベンゼン(4mL)をゆっくり滴下した。125℃で24時間反応させた後、ろ過し、得られた橙色の溶液を濃縮した。その後、メタノール中で再沈させ、粗精製物を得た(1.35g、収率75%、GPC:Mn=9887、Mw/Mn=1.974、1H-NMR(500 MHz,CDCl3) d 8.32(m, 2H),7.55(m,1H),7.40 (m,1H),7.09-6.98(m,8H),6.81-6.73(m,4H))。その粗精製物をリサイクル分取HPLC(日本分析工業製)で分取し、例示化合物3a−7(n=2)、及び例示化合物3a−8(n=5)の化合物を得た。n数はMALDI-TOF-MSにより決定した。
特許文献(特開2005-2278)、非特許文献(Toyohiko Nishiumi, Yuya Chimoto,Yuki Hagiwara,Masayoshi Higuchi,Kimihisa Yamamoto,Macromolecules 2004, 37, 2661-2664)、非特許文献(H. K.Hall,Jr.,A.B.Padias,.P.A.Williams,J.-M.Gosau,H.W.Boone,D.-K.Park,Macromolecules 1995, 28,1-8.)、及び非特許文献(Hirohiko Kanazawa,Masayoshi Higuchi,Kimihisa Yamamoto,J.Am.Chem.Soc2005,127,16404-16405)の記載を参考に合成した。アントラキノン(1.0412g、5.0mmol)、4,4’-メチレンジアニリン(0.9912g、5.0mmol)及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(3.384g、30.1mmol)をモノクロロベンゼン(60mL)に溶かし、その溶液に四塩化チタン(0.9ml、8.2mmol)を溶解したモノクロロベンゼン(5mL)をゆっくり滴下した。125℃で24時間反応させた後、ろ過し、得られた橙色の溶液を濃縮した。その後、再沈殿の操作を3回行い(1回目:クロロホルムに溶解させメタノール中で再沈、2回目:クロロホルムに溶解させ炭酸ジエチルで再沈、3回目:クロロホルムに溶解させメタノール中で再沈)、例示化合物2a−2を得た(1.0743g、収率58%、GPC:Mn=4911、Mw/Mn=1.607、1H-NMR (270MHz,CDCl3)δ 8.29(m, 2H),7.56(m, 1H),7.40(m, 1H),7.14(m, 8H),6.94-6.87(m, 4H),3.97(brs,2H))。
特許文献(特開2005-2278)、非特許文献(Toyohiko Nishiumi, Yuya Chimoto,Yuki Hagiwara,Masayoshi Higuchi,Kimihisa Yamamoto,Macromolecules 2004, 37, 2661-2664)、非特許文献(H. K.Hall,Jr.,A.B.Padias,.P.A.Williams,J.-M.Gosau,H.W.Boone,D.-K.Park,Macromolecules 1995, 28,1-8.)、及び非特許文献(Hirohiko Kanazawa,Masayoshi Higuchi,Kimihisa Yamamoto,J.Am.Chem.Soc2005,127,16404-16405)の記載を参考に合成した。アントラキノン(1.0g、4.8mmol)、4,4'-ジアミノエーテル(0.96g、4.8mmol)及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(3.23g、28.8 mmol)をモノクロロベンゼン(10 mL)に溶かし、その溶液に四塩化チタン(0.79 ml、7.2mmol)を溶解したモノクロロベンゼン(4mL)をゆっくり滴下した。125℃で24時間反応させた後、ろ過し、得られた橙色の溶液を濃縮した。その後、メタノール中で再沈させ、例示化合物を得た(1.35g、収率75%、GPC:Mn=9887、Mw/Mn=1.974、1H-NMR(500 MHz,CDCl3) d 8.32(m, 2H),7.55(m,1H),7.40 (m,1H),7.09-6.98(m,8H),6.81-6.73(m,4H))。
上記で合成した例示化合物3a−1〜3a−8、及び例示化合物2a−1〜2a−3(2mg)を備えた電極を、それぞれ実施例2−1と同様な方法によって作製した。
正極活物質として、環状構造を有する化合物D〜L、及び化合物N〜P、並びに負極活物質として金属リチウムを用いた密閉型のコイン型リチウムイオン二次電池を、それぞれ実施例2−1と同様な方法で作製した。
上記方法で作製したそれぞれのコイン型リチウムイオン二次電池を用いて、次の方法にしたがってそれぞれ充放電試験を行った。
それぞれのコイン型リチウムイオン二次電池の充放電試験の結果を図4−1、図4−2(拡大図含む)及び表2に示す。図4−1は、例示化合物3a−1〜3a−4及び例示化合物2a−1を正極活物質としたそれぞれのコイン型リチウムイオン二次電池の20サイクル目の充放電曲線を示す。図4−2は、例示化合物3a−5、例示化合物3a−6及び例示化合物2a−2を正極活物質としたそれぞれのコイン型リチウムイオン二次電池の20サイクル目の充放電曲線を示す。表3は、例示化合物3a−1、例示化合物3a−4〜例示化合物3a−8、例示化合物2a−1〜例示化合物2a−3を正極活物質としたそれぞれのコイン型リチウムイオン二次電池の20サイクル目の放電容量を示す。図4−1、図4−2及び表3から明らかなように、上記それぞれのコイン型リチウムイオン二次電池は、充放電が十分に可能であることがわかった。特に、環状構造であるポリアニリン誘導体は、重合度及び置換基(連結基)を変えても、それら環状構造であるポリアニリン誘導体を用いたそれぞれのコイン型リチウムイオン二次電池の放電容量値は、実用的な使用において問題ないレベルであることがわかった。本発明の正極活物質を備える正極がリチウムイオン二次電池用の正極として有効であることを確認することができた。
本発明の正極活物質を備える正極が、高分子ゲル電解質を用いたリチウムイオン二次電池用の正極として有効であることを以下の実験により確認した。
上記で合成した例示化合物2a−1(70.5mg)と、ケチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製)(71.1mg)とを20分間混合し、PEG(ポリエチレングリコール)(180.9mg)を加え30分間混合した。その後、LiTFSI(リチウムトリフルオロメタンスルホンイミド)(ALDRICH)(61.3mg)を添加して、20分間混合し、さらにホットプレート(60℃)上で20分間混合し、集電体であるアルミ箔に塗布し、70℃で一昼夜真空乾燥した。その乾燥したものを直径12mmの円形に打ち抜きコイン型リチウムイオン二次電池の電極とした。その電極には、正極活物質である例示化合物2a−1(1.43mg)を備えた。
プレポリマーTA210(ポリオキシアルキレン鎖を有する多官能末端アクリレートポリマー)(第一工業薬品製)(0.5g)を、1M(mol/l)のLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)電解質塩を含むエチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)(EC:DEC=1:1(体積比))(9.5g)の混合溶液である電解液に添加して撹拌し、さらに光重合開始剤IRGACURE184(Ciba製)(0.01g)を添加して撹拌した。その溶液にポリプロピレン多孔質フィルムを含浸させた。そのポリプロピレン多孔質フィルムに紫外光を照射し、高分子ゲル電解質を含んだ多孔質フィルムを作製した。
上記方法で作製した電極をコイン型電池の正極とし、そして、その正極上に高分子ゲル電解質を含んだ多孔質フィルムを積層し、さらに負極となるリチウム箔を積層した。その後、周囲に絶縁パッキンを配置した状態でコイン型電池のアルミ外装を重ね、しめ機によって加圧し、正極活物質として例示化合物2a−1、負極活物質として金属リチウムを用いた密閉型のコイン型リチウムイオン二次電池を作製した。
上記コイン型リチウムイオン二次電池を用いて、次の方法にしたがって充放電試験を行った。
15サイクル目の充放電曲線を図5に示す。図5から明らかなように、上記のコイン型リチウムイオン二次電池は、充放電が充分に可能であり、本発明の正極活物質を備える正極が、高分子ゲル電解質を用いたリチウムイオン二次電池用の正極として有効であることを確認した。
Claims (10)
- 前記R1、R2、R3及びR4がメチル基であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
- 前記R1とR2及び前記R3とR4が結合して環を形成してアントラセン骨格であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
- 前記ポリアニリン誘導体が環状構造であることを特徴とする、請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
- 前記R1、R2、R3及びR4がメチル基であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
- 前記R1とR2及び前記R3とR4が結合して環を形成してアントラセン骨格であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
- 前記R6がエチレン基であることを特徴とする、請求項4から7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の正極活物質が集電体の少なくとも表面に備えられることを特徴とする、リチウムイオン二次電池用の正極。
- 正極と、負極と、電解質とを少なくとも構成要素とするリチウムイオン二次電池において、前記正極が請求項9に記載の正極であることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
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