JP2005002278A - 高エネルギー密度新規ポリアニリン誘導体 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、新規ポリアニリン誘導体に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、高エネルギー密度を有する二次電池用のアノード材料や、触媒として有用な新規ポリアニリン誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
近年、ノート型パソコンや携帯電話の普及、あるいは電気自動車の開発、実用化に伴って、二次電池の軽量化、長寿命化、高性能化が望まれており、種々の導電性高分子を電極材料として用いる試みがされている。しかし、従来の金属材料に匹敵する性能を示す、実用化に適した材料は未だに得られていないのが実情である。
【0003】
とくに、リチウム二次電池やポリマー二次電池では、電極反応における移動イオンが大きいため、内部抵抗が高く、応答性が悪いという問題があった。また、これらの電極材料は、エネルギー密度が低いという問題もあった。そのため、高性能の高分子電極材料が望まれていたのが実情である。
【0004】
一方、有機合成反応や光反応において重要な役割を有する触媒として、各種のものが研究、報告されている。これらの触媒の中には、実用化されているものもあるが、工業化を実現するためには、さらに触媒効率を向上させる必要がある。そこで、多電子移動を可能とする材料を触媒として用いることが検討されている。とくに、多電子移動による安定な酸化還元を示す熱安定性の高い材料が望まれているが、このような触媒は実現していないのが実情である。
【0005】
【特許文献1】
Oyama, N.; Tatsumi, T.; Sato, T.; Sotomura, T. Nature 1995, 373, 598.
【特許文献2】
Ding, Y.; Boone, H. W.; Anderson, J. D.; Padias, A. B.; Hall, H. K., Jr. Macromolecules 2001, 34, 5457.
【0006】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、高速応答性と高エネルギー密度を示す二次電池用の電極として、また、安定性が高く、高効率の反応を可能とする触媒として有用な高分子材料を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明者らは、前記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。そして、嵩高い置換基が結合したフェニレンジアミン骨格を有するポリアニリンにおいて、1ユニット当たり1段階2電子移動が可能であることを見いだし、本願発明に至ったものである。
【0008】
したがって、この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、次式(1)
【0009】
【化6】
(ただし、R1、R2、R3、R4は、同一または別異に置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を示し、R1とR4および/またはR2とR3は、結合して環を形成していてもよく、R5は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示し、nは重合度を示す2〜5000の整数である)
で表されることを特徴とする新規ポリアニリン誘導体を提供する。
【0010】
この出願の発明は、第2には、次式(2)
【0011】
【化7】
(ただし、R1、R2、R3、R4は、同一または別異に置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を示し、R1とR4および/またはR2とR3は、結合して環を形成していてもよく、R5は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、Mは、プロトン、ルイス酸および希土類金属イオンからなる群より選択される基を示し、mは重合度を示す2〜5000の整数である)
で表されることを特徴とする新規ポリアニリン誘導体を提供する。
【0012】
第3には、この出願の発明は、次式(3)
【0013】
【化8】
(ただし、R1、R2、R3、R4は、同一または別異に置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を示し、R1とR4および/またはR2とR3は、結合して環を形成していてもよく、R5は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、Mは、プロトン、ルイス酸および希土類金属イオンからなる群より選択される基を示し、nおよびmは各々同一または別異に重合度を示す2〜5000の整数である)
で表されることを特徴とする新規ポリアニリン誘導体を提供する。
【0014】
さらに、この出願の発明は、第4には、前記いずれかのポリアニリン誘導体のうちの少なくとも2種類を含有することを特徴とするポリアニリン誘導体混合物を提供する。
【0015】
この出願の発明は、第5には、新規ポリアニリン誘導体の製造方法であって、次式(4)
【0016】
【化9】
(ただし、R1、R2、R3、R4は、同一または別異に置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を示し、R1とR4および/またはR2とR3は、結合して環を形成していてもよい)
で表されるパラキノン化合物と、次式(5)
【0017】
【化10】
(ただし、R5は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す)
で表されるジアニリン化合物をルイス酸触媒と塩基の存在下で反応することを特徴とするポリアニリン誘導体の製造方法を提供する。
【0018】
そして、この出願の発明は、第6には、少なくとも、前記いずれかのポリアニリン誘導体および/またはポリアニリン誘導体混合物を有してなることを特徴とする二次電池の電極材料を、第7には、少なくとも、前記いずれかのポリアニリン誘導体および/またはポリアニリン誘導体混合物を有してなることを特徴とする触媒を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
この出願の発明の新規ポリアニリン誘導体は、嵩高い置換基が結合したフェニレンジアミン骨格を有するものであり、次式(1)
【0020】
【化11】
で表される。
【0021】
このとき、R1、R2、R3、R4は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子を示し、同一であっても各々異なっていてもよい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル等のアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状アルキル基、ビニル、アリル等のアルケニル基、フェニル、トリル、ナフチル等のアリール基、または、さらにアリール基、アルコキシ基、ハロゲン等の置換基を有するこれらの炭化水素基、あるいはCl、Br、I等のハロゲン原子が例示される。また、これらR1〜R4において、R1とR4および/またはR2とR3は、結合して環を形成していてもよく、その場合、式(1)の新規ポリアニリン誘導体は、次式
【0022】
【化12】
のようなアントラセン骨格(1a)、ナフタセン骨格(1b)、ペンタセン骨格(1c)等を有するものとなる。
【0023】
また、式(1)において、R5は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。すなわち、少なくとも一つのフェニル基を有するものであり、このときアミンとR5は直接結合しているものとする。具体的には、次式
【0024】
【化13】
で表されるフェニル(a, b)、ビフェニル(c)、ジフェニルエーテル(d)、ジフェニルチオエーテル(e)、ジフェニルメタン(f)、ジフェニルホスフィン(g)、ジフェニルアミン(h)、ジフェニルベンゼンジアミン(i)等が例示される。
【0025】
これらの芳香族炭化水素基は、また、アミンとの間に立体障害を生じない限り、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル等のアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状アルキル基、ビニル、アリル等のアルケニル基、フェニル、トリル、ナフチル等のアリール基、アルコキシ基、ハロゲン等の置換基を有していてもよい。さらに、R5は、小分子が環を形成した小環状物質であっても、高分子環状物質であってもよい。
【0026】
まとめるならば、R5の好ましい構造としては、次式(6)
【0027】
【化14】
が挙げられる。このとき、Ra〜Rdは、水素原子、または前記の各種の置換基であってよいが、立体障害の観点から、アミンとフェニル基の結合部位の両隣、すなわち、RaとRbは、水素原子であることが好ましい。また、R5に結合する二つのアミンの位置関係は互いに、オルト、メタ、パラ位のいずれであってもよいが、立体障害を考慮すれば、メタまたはパラ位とすることが好ましい。また、各々のアミンとR5に結合するRa〜RdやXとの位置関係についても同様である。
【0028】
さらに、前記式(1)において、nは重合度を示す2〜5000の整数であればよく、とくに限定されない。二次電池の電極材料として用いることを考慮すれば、nは2〜1000の整数であることが好ましく、さらに好ましくは、10〜500の整数とする。
【0029】
このような新規ポリアニリン誘導体は、1ユニット当たり1段階2電子移動をすることから、大きなエネルギー密度を有する電極材料として有用である。さらに、このような新規ポリアニリン誘導体では、π共役系が広がっており、これを介して円滑な多電子移動が可能となるため、高効率の触媒として使用することもできる。
【0030】
以上のとおりの新規ポリアニリン誘導体は、次式(4)
【0031】
【化15】
で表されるパラキノン化合物と、次式(5)
【0032】
【化16】
で表されるジアニリン化合物をルイス酸触媒と、酸のトラップ剤として作用する塩基の存在下で反応することにより製造される。このとき、基質濃度、触媒濃度、反応温度、反応時間等の条件はとくに限定されない。例えば、基質濃度および触媒濃度を各々1〜50 mmol程度とし、室温〜200℃で1〜100時間反応させることにより、式(1)のポリアニリン誘導体が得られる。また、反応に使用される溶媒は、特に限定されず、種々の有機溶媒、例えば、モノクロロベンゼン、THF、ジオキサン、DMF等が好ましく適用される。この出願の発明のポリアニリン誘導体の製造方法において、ポリアニリン誘導体は、反応の粗生成物を精製して得られるものであってもよい。精製方法としては、水、アルコール等の有機溶媒などを用いた再沈殿、洗浄、カラム精製等の通常の化学実験操作で用いられる方法が挙げられる。
【0033】
さらに、この出願の発明のポリアニリン誘導体の製造方法において、使用される触媒はとくに限定されないが、好ましくは、Ti、Pd、Ni、Cu等の遷移金属ルイス酸触媒が例示される。中でもTiCl4が好ましい。また、このような反応では、HClが生成するため、DABCO等の塩基をトラップ剤として共存させる必要がある。
【0034】
この出願の発明では、さらに、上記(1)の新規ポリアニリン誘導体を還元してなる次式(2)
【0035】
【化17】
のポリアニリン誘導体も提供する。
【0036】
このような、新規ポリアニリン誘導体において、R1、R2、R3、R4は、各種の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、またはハロゲン原子であり、前記に挙げたものから選択される。また、R5は、前記に例示される置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。
【0037】
一方、Mは、プロトン、ルイス酸および希土類金属イオンからなる群より選択される基を示す。具体的には、H、あるいはLa、Tb、Ce、Eu、Yb、Lu等の希土類金属、Sc、Y等の遷移金属、トリメチルフェニルテトラフルオロボレート(Ph3C−BF4)、tert−BuI等の有機酸、AlCl3、GaCl3、FeCl3等の強力なルイス酸等が有効に作用し、好ましく例示される。
【0038】
さらに、前記式(2)において、mは重合度を表す2〜5000の整数であり、とくに限定されないが、二次電池の電極材料として用いることを考慮すれば、2〜1000の整数、より好ましくは10〜500の整数とする。
【0039】
以上のとおりの式(2)で表される新規ポリアニリン誘導体は、前記式(1)のポリアニリン誘導体の還元体であるが、電気的に中性であり、式(1)のポリアニリン誘導体に比較して耐熱性が高く、化学的にも安定である。また、このような新規ポリアニリン誘導体は、式(1)のポリアニリン誘導体をスズやヒドラジンモノ水和物を用いて化学的に、あるいは電気化学的に還元することにより得られる。
【0040】
この出願の発明では、さらに、次式(3)
【0041】
【化18】
で表される新規ポリアニリン誘導体をも提供する。このような新規ポリアニリン誘導体は、前記式(1)で表されるポリアニリン誘導体が部分還元されたもの、あるいは、前記式(2)のポリアニリン誘導体が部分酸化されたものであるといえ、R1、R2、R3、R4、R5、およびMは各々前記のとおりのものである。またnおよびmについても、前記のとおり2〜5000の整数を表す。ただし、式(3)の新規ポリアニリン誘導体は、各ユニットが連続的に結合したブロック共重合体様のものであってもよいし、各ユニットが交互に結合した交互共重合体様のものであっても、あるいは各ユニットがランダムに重合したランダム共重合体様のものであってもよい。このような新規ポリアニリン誘導体は、式(1)または(2)の化合物の合成途中に一部が酸化還元されて得られるものであってもよいし、化学的または電気化学的に式(1)の化合物を還元、または(2)の化合物を酸化させて得られるものであってもよい。
【0042】
さらに、この出願の発明では、以上のとおりの式(1)〜(3)の新規ポリアニリン誘導体の混合物をも提供する。このような混合物の組成等はとくに限定さず、(1)と(2)からなるもの、(1)と(3)からなるもの、(2)と(3)からなるもの、あるいは(1)〜(3)のすべてを含むものであってよい。
【0043】
以上のとおりのこれらのポリアニリン誘導体は、いずれも、発明者等の鋭意研究により合成された新規物質である。従来のポリアニリンでは、これらR1〜R4の部位がプロトンであるため、高電位状態で求核反応を受けやすくなり、不安定になるという欠点があった。しかし、この出願の発明の以上のとおりの式(1)〜(3)に表される新規ポリアニリン誘導体は、安定性の高いものである。また、前記のとおり、1ユニット当たり1段階2電子移動をすることから、これを電極材料として用いれば格段に大きなエネルギー密度を有する電極材料として機能することになる。さらに、このような新規ポリアニリン誘導体は、高速に電極から電子移動を授受することができ、π共役系を介した円滑な多電子移動により触媒反応を引き起こすことが可能となる。したがって、酸素などの小分子変換の触媒として有用である。さらに、この出願の発明の新規ポリアニリン誘導体は、配位能を有することから、金属錯体触媒を担持すれば、該触媒との間で多電子移動が起こり、触媒効率を向上させることが可能となる。したがって、触媒担体としても有用である。
【0044】
以下、実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0045】
【実施例】
<実施例1> 新規ポリアニリン誘導体(1)の合成
次の反応式(A)に従い、新規ポリアニリン誘導体を合成した。
【0046】
【化19】
duroquinone(テトラメチル−p−ベンゾキノン;0.82 g, 5.0 mmol)、4,4’−メチレンジアニリン(0.99 g, 5.0 mmol)およびDABCO (3.36 g, 30.0 mmol) をモノクロロベンゼン(60 mL)に溶かし、TiCl4(1.42 g, 7.5 mmol)を滴下した後、さらモノクロロベンゼン(10 mL)を加え、撹拌しながら125℃で24時間反応した。反応終了後、沈殿物を濾過し、得られた赤褐色の溶液を真空乾固した後、少量のモノクロロベンゼンに溶解してメタノール中で再沈殿した。目的の高分子を収率47 %で得た。
【0047】
さらに、GPCにより低分子量体を取り除き(15 %, orange powder)目的の高分子を収率15 %で得た。なお、GPCにより生成物の平均分子量(Mw)は、25100であることが確認された。
【0048】
生成物の同定結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
さらに、生成物は、0.1 Mトリフルオロ酢酸/アセトニトリル中で、0.37 V(vs Ag/Ag+)に酸化還元電位を示すことが確認された。
<実施例2> 新規ポリアニリン誘導体の電気化学的測定
0.2 Mトリフルオロ酢酸、0.2 M TBABF4を含むアセトニトリル溶液中で、実施例1で得られた新規ポリアニリン誘導体(ユニットあたり0.2 mM)のサイクリックボルタンメトリー測定(掃引速度:0.1 V/sec、作用極:炭素電極、対極:白金電極、参照極:Ag/Ag+)を行った。系中に 0.2 Mのトリフルオロ酢酸を加えたところ、プロトン移動を伴った極めて良好な2電子酸化還元波(E1/2 = 0.40 V vs. Ag/Ag+)が確認された。
<実施例3> 新規ポリアニリン誘導体(2)の合成
実施例1で得られたポリマー(100 mg, 0.31 mmol)とSnCl2 (0.58g, 3.1 mmol)、Sn(0.36g, 3.1 mmol)を50 mL のアセトニトリルに溶かし、トリフルオロ酢酸(0.35 g, 3.1 mmol)を加えて、1時間、室温で激しく撹拌し、トリエチルアミンを加えて反応を停止した。反応溶液を濾過して沈殿物を取り除き、得られた溶液をメタノールで再沈殿した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーの後、還元体ポリマーが収率44 %(44 mg, white powder)で得られた。
【0050】
同定結果を表2に示した。
【0051】
【表2】
<実施例4> 新規ポリアニリン誘導体の電極反応
グラッシーカーボン電極上に、実施例1で合成したポリアニリン誘導体の還元体を0.71μg/cm−2でキャストし、過塩素酸リチウム0.1 Mを含む炭酸プロピレン中でサイクリックボルタンメトリーを行った。
【0052】
また、従来のポリアニリンをグラッシーカーボン電極上にキャストし、これについても同様にサイクリックボルタンメトリーを行った。結果を図1に示した。なお、いずれの場合も、バックグラウンド電流は差し引いた。
【0053】
図1より、実施例1で合成したポリアニリン誘導体では、従来のポリアニリンより0.5 V程度高電位で酸化還元することが確認された。また、非常に鋭いレドックス波が見られたことから、1段階2電子移動が確認された。
<実施例5> 新規ポリアニリン誘導体を用いた二次電池
実施例1で合成した新規ポリアニリン誘導体を1 M過塩素酸水溶液でプロトン化し、正極とした。さらに、亜鉛板を負極とし、電解液を0.2 M硫酸亜鉛水溶液として二次電池を構築したところ、起電力が最大1.5 Vで146 Ah/kgの電流を取り出せることが確認された。また、充放電については100回以上繰り返せることが確認できた。
<実施例6> 新規ポリアニリン誘導体を用いた酸素還元反応
実施例1で合成したポリアニリン誘導体に少量のコバルトポルフィリンを加え、グラッシーカーボン電極上に塗布した。この触媒電極を用いて酸素還元を行ったところ、0.3 V vs SCEの電位で酸素が還元することが確認された。
【0054】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明により、1段階2電子移動機構に基づいた酸化還元活性を示す新規なポリアニリン誘導体が提供される。この発明の新規ポリアニリン誘導体は、高エネルギー密度を有する二次電池の電極材料や、安定な触媒あるいは触媒担体として有用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の新規ポリアニリン誘導体と従来のポリアニリンのサイクリックボルタモグラムを示した図である。(実線:新規ポリアニリン誘導体、波線:従来のポリアニリン)
Claims (7)
- 請求項1ないし3のポリアニリン誘導体のうちの少なくとも2種類を含有することを特徴とするポリアニリン誘導体混合物。
- 少なくとも、請求項1ないし3のいずれかのポリアニリン誘導体および/または請求項4のポリアニリン誘導体混合物を有してなることを特徴とする二次電池の電極材料。
- 少なくとも、請求項1ないし3のいずれかのポリアニリン誘導体および/または請求項4のポリアニリン誘導体混合物を有してなることを特徴とする触媒。
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