JP2011213506A - 無機酸化物分散液とその製造方法及び透明混合液並びに透明複合体、光学部材 - Google Patents

無機酸化物分散液とその製造方法及び透明混合液並びに透明複合体、光学部材 Download PDF

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Abstract

【課題】無機酸化物分散液を含む透明混合液の経時増粘を抑制するとともに、着色の一因といわれるカルボキシル基等の酸成分を含まない無機酸化物透明分散液とその製造方法、及び、この無機酸化物透明分散液の分散媒中に樹脂成分を含有しているか、または、この無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合してなる経時変化の小さい透明混合液、並びに、この透明混合液を硬化することにより得られるガラスに代替可能な透明複合体あるいは光学部材を提供する。
【解決手段】本発明の無機酸化物透明分散液は、無機酸化物粒子を分散媒に分散してなる無機酸化物透明分散液であって、前記無機酸化物粒子は、一次粒子径が1nm以上かつ20nm以下であり、かつ、酸成分が除去されており、その表面は前記無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機酸化物分散液とその製造方法及び透明混合液並びに透明複合体、光学部材に関し、特に詳しくは、樹脂のフィラー材として好適に用いられ、屈折率及び機械的特性の向上と共に透明性維持を可能とする無機酸化物透明分散液とその製造方法、及び、この無機酸化物透明分散液の分散媒中に樹脂成分を含有しているか、または、この無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合してなる経時変化の小さい透明混合液、並びに、この透明混合液を硬化することにより得られるガラスに代替可能な透明複合体、光学部材に関するものである。
従来より、シリカ等の無機酸化物をフィラーとして樹脂と複合化することにより、樹脂の機械的特性等を向上させる試みがなされている。このフィラーと樹脂とを複合化する方法としては、無機酸化物を水や有機溶媒中に分散させた分散液と樹脂とを混合する方法が一般的であり、分散液と樹脂を種々の方法により混合することにより、無機酸化物粒子が第2相として複合化された無機酸化物粒子複合化プラスチックを作製することができる。
一方、フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display:FPD)用基板としては、従来、ガラス基板が多く用いられてきたが、このガラス基板には、割れ易い、曲げられない、比重が大きく軽量化に不向き等の問題があり、そこで、ガラス基板の代わりとして、柔軟性を有するプラスチック基板を用いる試みが数多く行われるようになってきた。
さらに、光学製品の内部光学系を構成するレンズでは、屈折率、波長分散性の制御が重要である。そこで、無機酸化物をフィラーとして樹脂と複合化することにより、屈折率や波長分散性を広い領域で調整することが可能な透明複合体が提案されている。
このフラットパネルディスプレイ用プラスチック基板やプラスチックレンズに対する要求特性としては、透明性、屈折率、波長分散性、機械的特性等が挙げられている。
このプラスチック基板やプラスチックレンズに用いられる樹脂としては、主透明性の点から、一般にエポキシ樹脂、アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が用いられ、樹脂の屈折率を向上させるための無機酸化物フィラーとしては、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物微粒子が高屈折率フィラーとして用いられている。
また、樹脂の透明性を高めるために、例えば、透明性を有するエポキシ樹脂では、硬化剤として無水フタル酸等のカルボン酸無水物が一般に用いられている(特許文献1)。
さらに、樹脂の透明性を阻害する一因となるのが樹脂の着色である。そこで、樹脂の着色を改善する方法として、フィラーとなる金属酸化物粒子を含むゾルを限外濾過することにより、このゾルに含まれる酢酸や塩酸等の低分子量化を促進する物質を低減または除去する方法が提案されている(特許文献2)。
更に、無機酸化物フィラーを樹脂と複合化した透明複合体を作製するために、無機酸化物フィラーを水系溶媒や有機溶媒中に分散させた無機酸化物分散液が開発され、樹脂の屈折率や波長分散性を効率的に制御することが検討されている。
この透明複合体を無機酸化物分散液を用いて作製する場合、通常、無機酸化物分散液と樹脂とを混合し、得られた透明混合液を型に流し込む等として所定の形状に成形し、その後、この成形体から溶媒を除去し、加熱あるいは紫外線照射等により硬化させ、目的の形状の透明複合体とする方法が採られる。
特開平5−238799号公報 特開2009−67954号公報
ところで、従来の透明複合体を無機酸化物分散液を用いて作製する方法では、次の様な問題点があった。
(1)透明混合液の経時増粘
無機酸化物分散液と樹脂とを混合した透明混合液は、混合した時点では所定の粘度を維持しているが、時間の経過とともに徐々に粘度が増加(経時増粘)し、この経時増粘により、同一条件での形成が難しくなり、製品の再現性が低下するという問題点があった。
(2)透明複合体の着色
透明複合体の樹脂を硬化する場合、加熱あるいは紫外線照射等が用いられるが、この樹脂を硬化させる工程では、得られた透明複合体が着色し、光透明性(光透過率)が低下するという問題点があった。この透明複合体が着色する理由は、透明混合液中の無機酸化物粒子に含まれるカルボキシル基等の酸成分が、光や熱のエネルギーにより樹脂を着色させるためと考えられている。この光透明性の低下は、特に、熱硬化の場合に顕著である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、無機酸化物分散液を含む透明混合液の経時増粘を抑制するとともに、着色の一因といわれるカルボキシル基等の酸成分を含まない無機酸化物透明分散液とその製造方法、及び、この無機酸化物透明分散液の分散媒中に樹脂成分を含有しているか、または、この無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合してなる経時変化の小さい透明混合液、並びに、この透明混合液を硬化することにより得られるガラスに代替可能な透明複合体あるいは光学部材を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、一次粒子径が1nm以上かつ20nm以下の無機酸化物粒子から透明複合体の着色の一因といわれるカルボキシル基等の酸成分を除去するとともに、この無機酸化物粒子の表面を、この無機酸化物粒子の表面に予め結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾することとすれば、この無機酸化物粒子を分散した無機酸化物透明分散液の分散媒中に樹脂成分を含有しているか、または、この無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合してなる透明混合液の経時増粘を抑制することができ、よって、この透明混合液を用いて透明複合体を作製する際に同一条件にて作製することができ、さらには、この透明混合液から得られる透明複合体あるいは光学部材の着色を抑制することができ、その結果、この透明複合体あるいは光学部材の光透明性(光透過率)を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の無機酸化物透明分散液は、無機酸化物粒子を分散媒に分散してなる無機酸化物透明分散液であって、前記無機酸化物粒子は、一次粒子径が1nm以上かつ20nm以下であり、かつ、酸成分が除去されており、その表面は前記無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾されていることを特徴とする。
前記表面処理剤は、水酸基による縮合反応により前記無機酸化物粒子の表面に結合することが好ましい。
前記無機酸化物粒子の酸価の値は15以下であることが好ましい。
本発明の無機酸化物透明分散液の製造方法は、無機酸化物粒子を分散媒に分散してなる無機酸化物透明分散液の製造方法であって、前記無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤を用いて、前記無機酸化物粒子の表面を修飾するとともに、前記無機酸化物粒子を水により洗浄することにより、該無機酸化物粒子から酸成分の除去を行うことを特徴とする。
本発明の透明混合液は、無機酸化物粒子と樹脂成分とを含有してなる透明混合液であって、本発明の無機酸化物透明分散液の前記分散媒中に樹脂成分を含有しているか、または、本発明の無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合してなることを特徴とする。
本発明の透明複合体は、本発明の透明混合液を硬化してなることを特徴とする。
本発明の光学部材は、本発明の透明混合液を硬化してなることを特徴とする。
本発明の無機酸化物透明分散液によれば、この分散液に含まれる無機酸化物粒子から酸成分を除去しするとともに、この無機酸化物粒子の表面を、該無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾したので、この無機酸化物透明分散液の分散媒中に樹脂成分を含有しているか、または、この無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合してなる透明混合液の経時増粘を抑制することができる。
また、無機酸化物粒子から透明複合体の着色の一因といわれるカルボキシル基等の酸成分を除去したので、この無機酸化物粒子を含む分散液を用いて作製された透明複合体や光学部材においても、着色が生じる虞がない。
本発明の無機酸化物透明分散液の製造方法によれば、無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤を用いて、この無機酸化物粒子の表面を修飾するとともに、この無機酸化物粒子を水により洗浄することにより、この無機酸化物粒子から酸成分の除去を行うこととしたので、酸成分が十分に除去された無機酸化物分散液を得ることができる。したがって、この無機酸化物分散液を用いて透明混合液を作製すれば、透明混合液の経時増粘を抑制することができ、さらには、この無機酸化物分散液を用いて透明複合体あるいは光学部材を作製すれば、この透明複合体あるいは光学部材に着色が生じる虞がない。
本発明の透明混合液によれば、無機酸化物粒子と樹脂成分とを含有してなる透明混合液であり、本発明の無機酸化物透明分散液の前記分散媒中に樹脂成分を含有しているか、または、本発明の無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合したので、経時増粘を抑制することができ、この透明混合液を用いて透明複合体や光学部材を複数作製する際に、同一条件にて作製を行うことができる。
本発明の透明複合体によれば、本発明の透明混合液を硬化したので、透明混合液の経時増粘に起因する作製条件の変動を抑制することができ、さらには、着色の一因といわれるカルボキシル基等の酸成分がなく、硬化等に伴う透明複合体の着色を抑制することができる。したがって、この透明複合体の製造容易性と光透明性(光透過率)を向上させることができる。
本発明の光学部材によれば、本発明の透明混合液を硬化したので、透明混合液の経時増粘に起因する作製条件の変動を抑制することができ、よって、複数の光学部材を同一条件で作製することができ、量産性に優れた光学部材を得ることができる。
また、着色の一因といわれるカルボキシル基等の酸成分を除去したので、硬化等に伴う透明複合体の着色を抑制することができる。したがって、量産性と光透明性(光透過率)に優れた光学部材を得ることができる。
樹脂の自動酸化サイクル(酸化劣化)の一例を示す図である。
本発明の無機酸化物分散液とその製造方法及び透明混合液並びに透明複合体、光学部材を実施するための形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[無機酸化物透明分散液]
本実施形態の無機酸化物透明分散液は、無機酸化物粒子を分散媒に分散してなる無機酸化物透明分散液であって、前記無機酸化物粒子は、一次粒子径が1nm以上かつ20nm以下であり、かつ、酸成分が除去されており、その表面は前記無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾されている。
ここで、無機酸化物粒子としては、特に限定されないが、例えば、Zr、Ti、Si、Al、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、In、Sn、Ta、W、Pb、Bi、Ce、Sb、Ge等の元素の酸化物が挙げられ、より具体的には、ZrO、TiO、SiO、Al、Fe、CuO、ZnO、Y、Nb、MoO、In、SnO、Ta、WO、PbO、Bi、CeO、Sb等が挙げられる。
特に、光学部材に適用する場合には、屈折率制御、屈折率の波長依存性の制御等が必要になる場合が多く、これらの制御の容易性を考慮すると、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)が好適である。
この無機酸化物粒子の一次粒子径は、1nm以上かつ20nm以下が好ましく、より好ましくは2nm以上かつ10nm以下、さらに好ましくは3nm以上かつ6nm以下である。
ここで、無機酸化物粒子の一次粒子径が1nm未満であると、粒子の結晶性が低くなるために目的とする機能が発現し難くなる場合があったり、あるいは、粒子の表面活性が高くなり、その結果、粒子同士が凝集し易くなり、粒子の分散性が低下するので好ましくなく、一方、一次粒子径が20nmを超えると、樹脂と複合化した場合にレイリー散乱の影響が顕著となり、得られた透明複合体の透明性を低下させるので好ましくない。
また、この透明分散液中の無機酸化物粒子の分散粒子径(凝集粒子径)が過大となると、やはりレイリー散乱により分散液の透明性が低下する虞がある。このため、分散液中の無機酸化物粒子としては、その分散粒子径の体積粒度分布として、50nm以上のものが1%以下であることが好ましく、0.4%以下であればより好ましい。
この無機酸化物粒子は、酸成分が除去されており、この酸成分の除去により、酸価の値(酸化値)が15以下となっていることが好ましい。
ここで、酸価の値を15以下とした理由は、酸価の値が15を超えると、無機酸化物粒子における酸成分の除去が不十分となり、その結果、この無機酸化物透明分散液の分散媒中に樹脂成分を含有しているか、または、この無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合してなる透明混合液においては経時増粘が発生し、この透明混合液を用いて透明複合体を作製する際の作製条件が変動するとともに、この無機酸化物粒子と樹脂とを複合化した場合に残った酸成分が着色の要因となって、得られた透明複合体や光学部材を着色し、その透明性を低下させるので好ましくない。
ここで、この無機酸化物粒子から酸成分を除去する方法としては、次の(1)及び(2)の方法を適用することができる。
(1)水洗による酸成分の除去
無機酸化物粒子を表面処理剤により修飾する際に、元々無機酸化物粒子の表面に付着していた酸成分を水洗により除去する方法であり、無機酸化物粒子の表面に付着していた塩素やカルボキシル基等の酸成分が水に溶け出すことにより、除去することができる。
(2)表面処理剤による酸成分の除去
無機酸化物粒子の表面を、この無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾することにより、元々無機酸化物粒子の表面に存在していた塩素やカルボキシル基等の酸成分を表面処理剤で置換し、遊離した酸成分を水に溶出させることで、除去する方法である。
ここで、表面処理剤としては、元々存在する酸成分よりも強い力で、無機酸化物粒子表面と結合する必要がある。この結合力としては、水酸基による縮合反応を好適に用いることができる。その理由は、水酸基による脱水縮合反応により形成される結合は通常の化学結合であり、酸成分が無機酸化物粒子と結合する際の結合方法である配位結合や水素結合に比べて、強い結合力を有しているからである。
なお、カルボキシル基を有する表面処理剤により無機酸化物粒子の表面を修飾した場合、この無機酸化物粒子の表面に着色の一因となるカルボキシル基が残存し、このカルボキシル基が樹脂と反応して着色を引き起こすこととなるので、好ましくない。
この無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤としては、アルコキシシラン化合物、シロキサン化合物、界面活性剤の群から選択される1種または2種以上が好適に用いられる。これらの化合物は、水酸基を有しているか、加水分解工程を経ることで水酸基が発生するので、水酸基による縮合反応を行うことができるためである。
アルコキシシラン化合物としてはシランカップリング剤が好ましく、シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトフェノキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリクロルシラン、3−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリクロルシシラン、p−スチリルトリフェノキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリクロルシラン、3−アクリロキシプロピルトリフェノキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリフェノキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリクロルシシラン、アリルトリフェノキシシラン等が挙げられる。
また、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシラン、ビニルエチルジクロルシラン、ビニルエチルジフェノキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジクロルシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジフェノキシシラン、p−スチリルエチルジメトキシシラン、p−スチリルエチルジエトキシシラン、p−スチリルトリエチルジクロルシシラン、p−スチリルエチルジフェノキシシラン、3−アクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルエチルジクロルシラン、3−アクリロキシプロピルエチルジフェノキシシラン、3−メタクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルエチルジクロルシラン、3−メタクリロキシプロピルエチルジフェノキシシラン、アリルエチルジメトキシシラン、アリルエチルジエトキシシラン、アリルエチルジクロルシシラン、アリルエチルジフェノキシシラン等も挙げられる。
また、ビニルジエチルメトキシシラン、ビニルジエチルエトキシシラン、ビニルジエチルクロルシラン、ビニルジエチルフェノキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエチルクロルシラン、3−グリシドキシプロピルジエチルフェノキシシラン、p−スチリルジエチルメトキシシラン、p−スチリルジエチルエトキシシラン、p−スチリルジエチルクロルシシラン、p−スチリルジエチルフェノキシシラン、3−アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジエチルエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジエチルクロルシラン、3−アクリロキシプロピルジエチルフェノキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエチルクロルシラン、3−メタクリロキシプロピルジエチルフェノキシシラン、アリルジエチルメトキシシラン、アリルジエチルエトキシシラン、アリルジエチルクロルシシラン、アリルジエチルフェノキシシラン等も挙げられる。
これらの化合物は、1種のみ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
シロキサン化合物としては、変性シリコーンが好ましく、変性シリコーンとしては、メトキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、メタクリレート変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン等が挙げられる。
界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤等のイオン性界面活性剤、あるいは非イオン系界面活性剤が好適に用いられる。
陰イオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸エステルスルフォン酸ナトリウム等の脂肪酸系、アルキルリン酸エステルナトリウム等のリン酸系、アルファオレインスルフォン酸ナトリウム等のオレフィン系、アルキル硫酸ナトリウム等のアルコール系、アルキルベンゼン系等が挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、例えば、塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、フォスフォベタイン等のリン酸エステル系が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸系、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
上記の無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤を用いて無機酸化物粒子の表面を修飾する方法としては、この表面処理剤と無機酸化物粒子とを溶媒に投入し混合することにより、無機酸化物粒子の表面を修飾し、次いで、この表面修飾が施された無機酸化物粒子を水洗し、この無機酸化物粒子に残存する酸成分を除去する方法が好適である。
この無機酸化物粒子の修飾部分の質量比は、無機酸化物粒子全体量の5質量%以上かつ200質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上かつ100質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上かつ100質量%以下である。
ここで、修飾部分の質量比を5質量%以上と限定した理由は、修飾部分の質量比が5質量%未満であると、表面処理剤と、元々無機酸化物粒子表面に結合している酸成分との置換が不十分となり、残留した酸成分による影響が出る虞があるためであり、また、表面処理剤としての作用である無機酸化物粒子表面と樹脂との親和性が不足するために無機酸化物粒子の樹脂への相溶が困難となり、樹脂との複合化の際に透明性が失われるからである。一方、修飾部分の質量比を200質量%以下と限定した理由は、修飾部分の質量比が200質量%を超えると、酸成分に対する表面処理剤量としては十分であるが、表面処理剤が樹脂特性へ及ぼす影響が大きくなり、樹脂と複合化した場合に得られた透明複合体の透明性が低下し、屈折率等の光学特性も低下するからである。
この無機酸化物粒子の無機酸化物透明分散液中の含有率は、1質量%以上かつ70質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上かつ50質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上かつ30質量%以下である。
ここで、無機酸化物粒子の含有率を1質量%以上かつ70質量%以下と限定した理由は、この範囲が無機酸化物粒子が良好な分散状態を取りうる範囲であり、含有率が1質量%未満であると、無機酸化物粒子としての効果が低下し、また、70質量%を超えると、ゲル化や凝集沈澱が生じ、分散液としての特徴を消失するからである。
分散媒としては、水、有機溶媒のほか、樹脂成分である液状の樹脂モノマー、液状の樹脂オリゴマーの群から選択される1種または2種以上が好適に用いられる。
上記の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が好適に用いられ、これらの溶媒は、1種のみ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、分散媒として樹脂成分を用いる場合については、後述の「透明混合液」に該当するので、樹脂成分の説明は透明混合液の欄にて行うこととする。
本実施形態の無機酸化物透明分散液によれば、無機酸化物粒子の一次粒子径を1nm以上かつ20nm以下とするとともに、酸成分を除去したものとし、さらに、その表面を無機酸化物粒子表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾したので、この分散液の分散媒中に樹脂成分とを含有しているか、あるいは、この分散液と樹脂成分とを混合することで得られた透明混合液の経時増粘を抑制することができる。
また、無機酸化物粒子から透明複合体の着色の一因といわれるカルボキシル基等の酸成分を除去したので、この無機酸化物粒子を含む分散液を用いて作製される透明複合体や光学部材においても、着色が生じる虞がない。
[無機酸化物透明分散液の製造方法]
本実施形態の無機酸化物透明分散液の製造方法は、無機酸化物粒子を分散媒に分散してなる無機酸化物透明分散液の製造方法であって、前記無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤を用いて、前記無機酸化物粒子の表面を修飾するとともに、前記無機酸化物粒子を水により洗浄することにより、該無機酸化物粒子から酸成分の除去を行う方法である。
ここで、無機酸化物粒子の表面を、無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾すれば、元々無機酸化物粒子の表面に存在していた塩素やカルボキシル基等の酸成分は表面処理剤で置換され、無機酸化物粒子表面から遊離する。この遊離した酸成分は、洗浄水に溶出させることにより、除去することができる。
さらに、水洗を行うことにより、元々無機酸化物粒子の表面に付着していた酸成分も洗浄水に溶出されるので、除去することができる。
なお、表面処理剤としては、元々存在する酸成分よりも強い力で、無機酸化物粒子表面と結合する必要があることから、この結合力としては、水酸基による縮合反応を好適に用いることができる。
この、無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤を用いて無機酸化物粒子の表面を修飾するとともに、無機酸化物粒子を水により洗浄する方法としては、この表面処理剤と無機酸化物粒子とを溶媒に投入し混合することにより、無機酸化物粒子の表面に当該表面処理剤を修飾し、次いで、この表面修飾が施された無機酸化物粒子を水洗し、この無機酸化物粒子から遊離した、ないしは無機酸化物粒子表面に残存する酸成分を除去すればよい。
さらに、表面処理剤が水溶性あるいは水分散性を有していれば、この表面処理剤と無機酸化物粒子とを水に投入し混合することにより、無機酸化物粒子の表面に当該表面処理剤を修飾すると同時に、この無機酸化物粒子から遊離した酸成分を水に溶出できるので、遊離した酸成分が一時的にでも無機酸化物粒子表面に残留することがなく、より確実に酸成分の除去が行えることから、より好ましい。
このようにして水洗された無機酸化物粒子を、洗浄水と分離し、分散媒に分散させることにより、本実施形態の無機酸化物透明分散液を得ることができる。分離方法は、濾過、遠心分離等、既存の方法を用いればよい。また、分散媒としては、水、有機溶媒のほか、樹脂成分である液状の樹脂モノマー、液状の樹脂オリゴマーの群から選択される1種または2種以上を好適に用いることができる。
本実施形態の無機酸化物透明分散液の製造方法によれば、無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤を、無機酸化物粒子の表面に結合するとともに、この無機酸化物粒子を水により洗浄することにより、酸成分の除去を行うこととしたので、酸成分が十分に除去された無機酸化物分散液を得ることができる。したがって、この製造方法により得られる無機酸化物分散液を用いて透明混合液を作製すれば、この透明混合液の経時増粘を抑制することができ、さらには、この無機酸化物分散液を用いて透明複合体あるいは光学素子を作製すれば、この透明複合体あるいは光学素子に着色が生じる虞がない。
[透明混合液]
本実施形態の透明混合液は、無機酸化物粒子と樹脂成分とを含有してなる透明混合液であって、上記の無機酸化物透明分散液の分散媒中に樹脂成分を含有しているか、または、上記の無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合してなる混合液である。
ここで分散媒中に樹脂成分を含有させるためには、無機酸化物透明分散液を作製する際に、分散媒を液状の樹脂成分自体としてもよく、また、分散媒を液状の樹脂成分と有機溶媒の混合液としてもよい。
また、無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合する場合には、無機酸化物透明分散液と液状の樹脂成分とを混合してもよく、無機酸化物透明分散液の分散媒に固体状の樹脂成分を溶解させることで混合してもよい。
さらには、分散媒中に樹脂成分を含有している無機酸化物透明分散液に対して、さらに樹脂成分を追加混合してもよい。
なお、無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合させる方法は特に限定されず、ミキサー、各種ミル、超音波の印加等、従来より知られている方法を用いればよい。
また、樹脂成分としては、後述する透明複合体を形成する樹脂自体、あるいはこの樹脂を形成するための樹脂モノマーや樹脂オリゴマーを選択することができる。ここで、樹脂としては、後述の如くシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好適に用いられることから、樹脂成分としては、これらの樹脂自体や、これら樹脂の液状モノマーや液状オリゴマーを好適に用いることができる。
すなわち、上記の樹脂の液状モノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のアクリル系またはメタクリル系のモノマー、エポキシ系モノマー、シリコーン系モノマー等が好適に用いられる。
また、上記の液状の樹脂オリゴマーとしては、アクリレート系化合物であるウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシアクリレート系オリゴマー、アクリルアクリレート系オリゴマー等が好適に用いられる。
これらの樹脂成分は、必要とする特性に対応して、1種類のみを選択してもよく、複数の樹脂成分を組み合わせて使用してもよい。
なお、無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合して透明混合液を形成する場合において、樹脂成分として樹脂自体を用いる場合には、この樹脂自体が分散媒に溶解する必要があるが、樹脂成分が液状の場合においても、樹脂成分と分散媒との相溶性が悪いと、透明混合液中の無機酸化物粒子の分散状態に悪影響を及ぼす。したがって、分散媒としては、分散させる無機酸化物粒子に対する分散性だけではなく、使用する樹脂成分との相溶性も考慮して選択することが好ましい。
本実施形態の透明混合液によれば、無機酸化物粒子と樹脂成分とを含有してなる透明混合液であって、上記の無機酸化物透明分散液の分散媒中に樹脂成分を含有しているか、または、上記の無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合してなる混合液であるので、経時増粘を抑制することができ、この透明混合液を用いて複数の透明複合体や光学部材を作製する際に、同一条件にて作製を行うことができる。
[透明複合体]
本実施形態の透明複合体は、上記の透明混合液を硬化したものであり、上記の透明混合液を金型を用いて成形するか、または金型あるいは容器内に充填し、次いで、この成形体もしくは充填物を加熱したり、紫外線や赤外線等を照射する等により、この成形体もしくは充填物から分散媒を除去するとともに樹脂成分を硬化させることで得ることができる。
このようにして得られた透明複合体は、一次粒子径が1nm以上かつ20nm以下であり、かつ、酸成分が除去されており、その表面が無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾された無機酸化物粒子が、樹脂中に分散した状態である。
この無機酸化物粒子はナノメートルサイズの粒子であるから、この無機酸化物粒子を樹脂中に分散させて透明複合体とした場合においても、光散乱が小さく、複合体の透明性を維持することが可能である。
樹脂としては、可視光線あるいは近赤外線等の所定の波長帯域の光に対して透明性を有する樹脂であればよく、熱可塑性、熱硬化性、可視光線や紫外線や赤外線等による光(電磁波)硬化性、電子線照射による電子線硬化性等の硬化性樹脂が好適に用いられる。
このような樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エポキシ樹脂等が挙げられ、特に好ましくは、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂である。
シリコーン樹脂は、少なくとも下記の(a)〜(c)の成分から構成されることが好ましい。
(a)1分子中のケイ素原子に結合した官能基のうち少なくとも2つがアルケニル基であるオルガノポリシロキサン
(b)1分子中のケイ素原子に結合した官能基のうち少なくとも2つが水素原子であるか、または分子鎖の両端が水素原子で封鎖された直鎖状のオルガノポリシロキサン
(c)ヒドロシリル化反応用触媒
(a)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられ、特に、ビニル基が好ましい。
また、このアルケニル基以外のケイ素原子に結合した官能基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられ、特に、メチル基が好ましい。
(b)成分中の水素原子以外のケイ素原子に結合した官能基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられ、特に、メチル基が好ましい。
また、(b)成分の含有量は、(a)成分に含まれている合計アルケニル基1モルに対して水素原子が0.1〜10モルの範囲内となる量であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5モルの範囲内となる量であり、さらに好ましくは0.5〜2モルの範囲内となる量である。
(c)成分のヒドロシリル化反応用触媒は、(a)成分中のアルケニル基と、(b)成分中のケイ素原子に結合した水素原子とのヒドロシリル化反応を促進するための触媒である。この様な触媒としては、例えば、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒等が挙げられ、特に、白金系触媒が好ましい。
この白金系触媒としては、白金微粉末、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金カルボニル錯体等が挙げられ、特に、塩化白金酸が好ましい。
このシリコーン樹脂については、本発明の目的を損なわないかぎり、その他任意の成分として、耐熱剤、染料、顔料、難燃性付与剤等を含有してもよい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリス・ヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂等の多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミニジフェニルメタン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、トルイジン型エポキシ樹脂等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂等が好適に用いられる。
アクリル樹脂としては、単官能アクリレートおよび/または多官能アクリレートが用いられ、これらのうち1種または2種以上が用いられる。
単官能アクリレート及び多官能アクリレートそれぞれの具体例について次に挙げる。
(a)脂肪族単官能(メタ)アクリレートとしては、
ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート
メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート
(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−置換アクリルアミド等が挙げられる。
(b)脂肪族多官能(メタ)アクリレートとしては、
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1.4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブタンジオールジ(メタ)アクリレート、等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート等のトリ(メタ)アクリレート
ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート
ジペンタエリスリトール(モノヒドロキシ)ペンタアクリレート等のペンタ(メタ)アクリレート
等が挙げられる。
(c)脂環式(メタ)アクリレートのうち、単官能型としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が、また、多官能型としては、ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(d)芳香族(メタ)アクリレートのうち、単官能型としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が、また、多官能型としては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のジアクリレート類、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(e)ポリウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリウレタンエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(f)エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ノボラック型エポキシアクリレート等が挙げられる。
上記のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂(アクリレート化合物)等、本実施形態の透明複合体に用いられる樹脂に対しては、その特性を損なわない範囲において、酸化防止剤、離型剤、カップリング剤、無機充填材等を添加してもよい。また、必要に応じて、樹脂を硬化させるための硬化剤、例えば光照射によりラジカルを発生させる成分等を含有してもよい。なお、特に無機充填材を添加する場合には、この無機充填材についても、本実施形態の無機酸化物粒子と同様の酸成分除去処理が行われていることが望ましい。
ここで、樹脂の酸化劣化について説明する。
図1は、樹脂の自動酸化サイクル(酸化劣化)の一例を示す図であり、ポリマーR−Hに光・熱を照射、または金属イオン等を添加する(図中、A)ことにより、ポリマーR−Hから「H・」が引き抜かれてポリマーのラジカル「R・」が発生(図中、B)し、このポリマーに切断、構造変化、架橋が生じる。これらが生じたポリマーを酸化することにより、含酸素ラジカル「ROO・」の生成と共に連鎖反応が進行する(図中、C)。このポリマーに生じた切断、構造変化、架橋がポリマーを劣化させ(図中、D)、このポリマーに着色や脆化が生じる、という一連のサイクルを示している。
ここで、ジルコニア等の無機酸化物粒子を酸性領域で分散させ、カルボキシル基を有する有機酸等の表面処理剤による表面修飾を行った場合、この無機酸化物粒子の表面および系内に残存する酸成分や、有機酸由来のカルボキシル基が増加し、自動酸化サイクルに乗ることにより、ポリマーR−Hの着色や脆化を促進させることとなる。
一方、本実施形態の透明複合体に用いられる無機酸化物粒子は、酸成分が除去されており、さらに、その表面が無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾されているので、ポリマーR−Hの着色や脆化を促進させる酸性分が極めて少なく、したがって、上記の自動酸化サイクルに乗ることなく、ポリマーR−Hの着色や脆化を防止することが可能である。
この透明複合体では、無機酸化物粒子の含有率は、1質量%以上かつ80質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上かつ80質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上かつ50質量%以下である。
ここで、無機酸化物粒子の含有率を1質量%以上かつ80質量%以下と限定した理由は、下限値の1質量%は屈折率等の光学特性及び機械的強度等の機械的特性の向上が可能となる添加率の最小値であるからであり、一方、上限値の80質量%は樹脂自体の特性(強度、柔軟性、比重、等)を維持することができる添加率の最大値であるからである。
この透明複合体では、無機酸化物粒子の種類や含有率を調整することにより、屈折率等の光学特性及び機械的強度等の機械的特性を所望の特性に調整することが可能である。
例えば、無機酸化物粒子としてジルコニア粒子を用いた場合、ジルコニア粒子の含有率が25質量%では、光路長を1mmとしたときの可視光線透過率が90%以上となる。この可視光線透過率は、透明複合体におけるジルコニア粒子の含有率により異なり、ジルコニア粒子の含有率が1質量%では95%以上、ジルコニア粒子の含有率が40質量%では80%以上である。
また、ジルコニア粒子の屈折率は2.15であるから、このジルコニア粒子を樹脂中に分散させることにより、アクリル樹脂、シリコーン樹脂の屈折率1.4程度、エポキシ樹脂の屈折率1.5程度と比べて、樹脂の屈折率をそれ以上に向上させることが可能である。
このジルコニア粒子は、ナノメートルサイズの粒子であるから、樹脂と複合化させた場合においても、光散乱が小さく、複合材料の透明性を長期に亘って維持することが可能である。
本実施形態の透明複合体によれば、上記の透明混合液を硬化したので、酸成分が除去されており、さらに、その表面が無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾されている無機酸化物粒子を用いたことで、硬化等に伴う透明複合体の着色を抑制することができる。また、透明混合液の経時増粘に起因する作製条件の変動を抑制することができることから、複数の透明複合体を作製する際に、同一条件にて行うことができる。したがって、この透明複合体の光透明性(光透過率)と製造容易性を向上させることができる。
[光学部材]
本実施形態の光学部材は、上記の透明混合液を硬化したものであり、換言すれば、上記の透明複合体を用いたものである。
この光学部材は、上記の透明複合体を作製した後、この透明複合体を切削加工等により成型して作製してもよいが、上記の透明混合液においては、経時増粘がを抑制されており、複数の透明複合体を同一条件にて作製することができることから、上記の透明混合液を光学部材の金型を用いて成形するか、または上記の透明混合液を光学部材の金型あるいは容器内に充填し、次いで、この成形体もしくは充填物を加熱したり、あるいは紫外線や赤外線等を照射する等により、この成形体もしくは充填物から分散媒を除去するとともに樹脂成分を硬化させることで、複数の光学部材を低コストで効率良く得ることができる。
さらに、得られた光学部材は、酸成分が除去されており、さらに、その表面が無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾されている無機酸化物粒子を用いているので、着色が抑制され、光透明性(光透過率)が向上した光学部材を得ることができる。
本実施形態の光学部材によれば、上記の透明複合体を用いたので、この透明複合体を作製する際に用いられる透明混合液の経時増粘に起因する作製条件の変動を抑制することができ、よって、この透明混合液を用いて複数の光学部材を作製する際に、同一条件にて光学部材を作製することができる。
また、無機酸化物粒子から光学部材の着色の一因といわれるカルボキシル基等の酸成分を除去したので、この無機酸化物粒子を含む光学部材においても、着色が生じる虞がなく、光透明性(光透過率)が向上したものとなる。したがって、量産性と光透明性(光透過率)に優れた光学部材を得ることができる。
このようにして作製された光学部材としては、レンズ、グレーティング、プリズムシート、フィルタ等、多くの形態を選択することができるが、その成形性や量産効果の点から、レンズに適用することが好適である。レンズとしては、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、複写機やプリンター等の光学レンズ、ブルーレイディスク、DVD、CD等の再生/録画装置のピックアップレンズ、CMOSやCCD等のオンチップマイクロレンズや光導波路、液晶ディスプレイ(LCD)のバックライト集光マイクロレンズ等が好適である。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
「ナノジルコニア粒子の作製」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体スラリーを調整した。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して30質量%であった。
次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、130℃にて24時間、乾燥させ、固形物を得た。次いで、この固形物を自動乳鉢により粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した後、乾燥器にて乾燥させ、ナノジルコニア粒子を作製した。
得られたナノジルコニア粒子の一次粒子径を電界放射型透過電子顕微鏡JEM−2100F(日本電子社製)を用いて測定したところ、4nmであった。
「酸成分除去を伴う表面処理及び分散液の作製」
上記のナノジルコニア粒子10gに水10gを加えて撹拌し、ナノジルコニア透明水分散液を作製した。
次いで、このナノジルコニア透明水分散液に、表面修飾剤としてシランカップリング剤 KBM−1003(信越化学(株)社製)を5g加えて混合し、ナノジルコニア粒子の表面を修飾した。
次いで、この表面処理ナノジルコニア粒子と水とを遠心分離機にて分離し、分離した表面処理ナノジルコニア粒子を40℃の乾燥機により乾燥した。次いで、この表面処理ナノジルコニア粒子3gにトルエン7gを加え、その後分散処理を施し、ナノジルコニア透明トルエン分散液を作製した。
得られたトルエン分散液中のナノジルコニア粒子の粒度分布を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。その結果、ナノジルコニア粒子の体積粒度分布において、分散粒子径が50nm以上のものは0.4%であった。
「ナノジルコニア透明トルエン分散液の酸価の値の測定」
上記のナノジルコニア透明トルエン分散液の酸価の値を、水酸化カリウムによる電位差敵定法により測定した。
この測定では、電位差滴定装置AT−610(京都電子工学株式会社製)を用いた。測定の結果、酸価の値は14であった。
「透明混合液の作製及び経時増粘の測定」
上記のナノジルコニア透明トルエン分散液5gと、エポキシ樹脂827(ジャパンエポキシレジン社製)2.5gと、エポキシ樹脂硬化剤ST11(ジャパンエポキシレジン社製)2.5gとを混合し、透明混合液を作製した。
次いで、この透明混合液の粘度を、落球型粘度測定法により測定した。この測定では、粘度測定機 KF−10(ピスクテック社製)を用いた。ここでは、初期の粘度を測定した後、環境温度20℃にて10日間保管し、同様の粘度測定を行い、初期の粘度からの増減の倍率を算出した。その結果、10日間保管後の粘度は、初期の粘度の1.1倍であった。
「透明複合体の作製及び着色(光透過率)の評価」
上記の透明混合液を、バーコート法によりスライドガラス上に厚み5μmとなるように塗布し、その後乾燥させ、薄板状の透明複合体を得た。
次いで、この透明複合体を、電気炉を用いて180℃にて所定時間加熱し、この透明複合体の加熱時間毎の波長400nmの光に対する透過率を、分光光度計V−510(VISCO社製)を用いて測定した。その結果、劣化時間(透過率が90%を下回るまでの加熱時間)は242時間であった。
「透明複合体の着色(活性化エネルギー)の評価」
上記の透明混合液を、バーコート法によりスライドガラス上に厚み5μmとなるように塗布し、その後乾燥させ、薄板状の透明複合体を得た。
次いで、この透明複合体を用いて、電気炉により200℃、220℃、240℃の各温度にて所定時間加熱し、これらの透明複合体の所定温度各々における加熱時間毎の波長400nmの光に対する透過率を、分光光度計V−510(VISCO社製)を用いて測定し、これらの測定値をアレニウスプロットすることにより、活性化エネルギーを求めた。その結果、活性化エネルギーは1.7eVであった。
「実施例2」
「ナノチタニア粒子の合成」
三塩化チタン2445gを純水40Lに溶解させたチタン塩溶液に、28%アンモニア水55gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、チタニア前駆体スラリーを調整した。
次いで、このスラリーに、硝酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硝酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硝酸ナトリウムの添加量は、チタン塩溶液中のチタンイオンのチタニア換算値に対して30質量%であった。
次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、130℃にて24時間、乾燥させ、固形物を得た。次いで、この固形物を自動乳鉢により粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硝酸ナトリウムを十分に除去した後、乾燥器にて乾燥させ、ナノチタニア粒子を作製した。
得られたナノチタニア粒子の一次粒子径を電界放射型透過電子顕微鏡JEM−2100F(日本電子社製)を用いて測定したところ、6nmであった。
「酸成分除去を伴う表面処理及び分散液の作製」
上記のナノチタニア粒子を用いて、実施例1に準じてナノチタニア透明トルエン分散液を作製した。
得られたトルエン分散液中のナノチタニア粒子の粒度分布を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。その結果、ナノチタニア粒子の体積粒度分布において、分散粒子径が50nm以上のものは0.5%であった。
「ナノチタニア透明トルエン分散液の酸価の値の測定」
上記のナノチタニア透明トルエン分散液の酸価の値を、実施例1に準じて測定した。その結果、酸価の値は15であった。
「透明混合液の作製及び経時増粘の測定」
上記のナノチタニア透明トルエン分散液を用いて、実施例1に準じて、透明混合液を作製し経時増粘を測定した。その結果、10日間保管後の粘度は、初期の粘度の1.2倍であった。
「透明複合体の作製及び着色(光透過率及び活性化エネルギー)の評価」
上記の透明混合液を用いて、実施例1に準じて、薄板状の透明複合体を作製し、光透過率を測定した。その結果、劣化時間は230時間であった。
上記の透明複合体の活性化エネルギーを実施例1に準じて求めた。その結果、活性化エネルギーは1.7eVであった。
「比較例1」
実施例1の「酸成分除去を伴う表面処理」にて、表面処理剤をシランカップリング剤 KBM−1003からカプリル酸(C15COOH)に変更したこと以外は、実施例1に準じて比較例1のナノジルコニア透明トルエン分散液、透明混合液及び透明複合体を作製した。
得られたナノジルコニア透明トルエン分散液、透明混合液及び透明複合体を、実施例1に準じて評価した。その結果、ナノジルコニア透明トルエン分散液の酸価の値は20、ナノジルコニア粒子の体積粒度分布における分散粒子径が50nm以上のものは0.8%、透明混合液の保管後の粘度は初期値の1.7倍、透明複合体の劣化時間は80時間、活性化エネルギーは1.5eVであった。
「比較例2」
実施例1に準じてナノジルコニア粒子を作製した。
次いで、このナノジルコニア粒子3gに、分散媒としてトルエンを7g、表面処理剤としてシランカップリング剤 KBM−1003(信越化学(株)社製)を3.5g加えて混合し、ナノジルコニア粒子の表面を修飾した。
その後分散処理を施し、ナノジルコニア透明トルエン分散液を作製した。
その後、実施例1に準じて比較例2の透明混合液及び透明複合体を作製した。
得られたナノジルコニア透明トルエン分散液、透明混合液及び透明複合体を、実施例1に準じて評価した。その結果、ナノジルコニア透明トルエン分散液の酸価の値は85、ナノジルコニア粒子の体積粒度分布における分散粒子径が50nm以上のものは1.1%、透明混合液の保管後の粘度は初期値の1.9倍、透明複合体の劣化時間は30時間、活性化エネルギーは1.4eVであった。
「比較例3」
比較例2の表面処理剤をシランカップリング剤 KBM−1003からカプリル酸(C15COOH)に変更したこと以外は、比較例2に準じて比較例3のナノジルコニア透明トルエン分散液、透明混合液及び透明複合体を作製した。
得られたナノジルコニア透明トルエン分散液、透明混合液及び透明複合体を、実施例1に準じて評価した。その結果、ナノジルコニア透明トルエン分散液の酸価の値は90、ナノジルコニア粒子の体積粒度分布における分散粒子径が50nm以上のものは1.2%、透明混合液の保管後の粘度は初期値の2.0倍、透明複合体の劣化時間は24時間、活性化エネルギーは1.3eVであった。
実施例1、2及び比較例1〜3の測定結果を表1に示す。
Figure 2011213506
実施例1、2の分散液では、酸価の値(酸性度)が15以下と低く、無機酸化物粒子に残留する塩素、カルボキシル基等の酸成分が少なかった。このように、酸成分が除去されていることから、実施例1、2の透明混合液の10日間保管後の粘度の増加率は1.1〜1.2倍と低く、経時増粘がほとんど発生していないことが分かった。さらに、実施例1、2の透明複合体の劣化時間は230〜242時間と長く、着色に伴なう透過率低下が抑制されており、さらに、実施例1、2の活性化エネルギーは、比較例1〜3と比べて高く、着色が抑制されていることが分った。
これに対し、比較例1〜3の分散液では、酸価の値が20〜90と高く、無機酸化物粒子から酸成分が十分には除去されていなかった。このため、比較例1〜3の透明混合液の10日間保管後の粘度の増加率は1.7〜2.0倍と実施例に比べて高く、経時増粘が発生していた。また、比較例1〜3の透明複合体の劣化時間は24〜80時間と実施例に比べて一桁短く、劣化(着色)の進行が速いこと、比較例1〜3の性化エネルギーが実施例1、2と比べて低く、着色が起こり易いことが分った。
本発明の無機酸化物透明分散液は、無機酸化物粒子の一次粒子径を1nm以上かつ20nm以下とし、かつ酸成分を除去したものとし、さらに、その表面を、この無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾したことにより、この分散液の分散媒中に樹脂成分を含有しているか、または、この分散液と樹脂成分とを混合して得られる透明混合液の経時増粘を抑制することができるので、複数の透明複合体や光学部材を、製造当初から同一条件にて作製することができ、量産性にも優れ、さらには、本発明により得られた透明複合体や光学部材は着色が生じる虞がないものであるから、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、複写機やプリンター等の光学レンズ、ブルーレイディスク、DVD、CD等の再生/録画装置のピックアップレンズ、CMOSやCCD等のオンチップマイクロレンズや光導波路、液晶ディスプレイ(LCD)のバックライト集光マイクロレンズ等はもちろんのこと、これ以外の様々な工業分野においても、その効果は大である。

Claims (7)

  1. 無機酸化物粒子を分散媒に分散してなる無機酸化物透明分散液であって、
    前記無機酸化物粒子は、一次粒子径が1nm以上かつ20nm以下であり、かつ、酸成分が除去されており、その表面は前記無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤により修飾されていることを特徴とする無機酸化物透明分散液。
  2. 前記表面処理剤は、水酸基による縮合反応により前記無機酸化物粒子の表面に結合することを特徴とする請求項1記載の無機酸化物透明分散液。
  3. 前記無機酸化物粒子の酸価の値は15以下であることを特徴とする請求項1または2記載の無機酸化物透明分散液。
  4. 無機酸化物粒子を分散媒に分散してなる無機酸化物透明分散液の製造方法であって、
    前記無機酸化物粒子の表面に結合している酸成分と置換可能な表面処理剤を用いて、前記無機酸化物粒子の表面を修飾するとともに、前記無機酸化物粒子を水により洗浄することにより、該無機酸化物粒子から酸成分の除去を行うことを特徴とする無機酸化物分散液の製造方法。
  5. 無機酸化物粒子と樹脂成分とを含有してなる透明混合液であって、
    請求項1ないし3のいずれか1項記載の無機酸化物透明分散液の前記分散媒中に樹脂成分を含有しているか、または、請求項1ないし3のいずれか1項記載の無機酸化物透明分散液と樹脂成分とを混合してなることを特徴とする透明混合液。
  6. 請求項5記載の透明混合液を硬化してなることを特徴とする透明複合体。
  7. 請求項5記載の透明混合液を硬化してなることを特徴とする光学部材。
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