JP5606274B2 - 微粒子分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液の製造方法は、酸化タンタル微粒子と、塩基性化合物と、表面修飾剤と、有機溶媒との混合物を用意して、前記混合物を分散処理することを特徴とする。酸化タンタル微粒子と塩基性化合物と表面修飾剤とを含む有機溶媒中で分散処理を行うことで、酸化タンタル微粒子の結晶子径が分散処理前よりも小さくなる。このように酸化タンタル微粒子の結晶子径が小さくなるのは、塩基性化合物が酸化タンタル微粒子を溶解させているからであると考えられる。さらに、得られる酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液は酸化タンタル微粒子が有機溶媒に均一に分散されている。
前記有機溶媒に添加する酸化タンタル微粒子と、塩基性化合物と及び表面修飾剤の用量は下記の範囲である。
前記分散ステップにおける、前記表面修飾剤は、前記酸化タンタル微粒子に対して、5重量%乃至200重量%であることが好ましく、より好ましくは30重量%乃至150重量%である。
よって、本実施形態に係る酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液に含まれる、酸化タンタル微粒子と、有機溶媒、塩基性化合物と及び表面修飾剤の含有量も前記範囲になる。
即ち、前記酸化タンタル微粒子は、前記有機溶媒に対して1重量%乃至50重量%であることが好ましいが、前記酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液の分散効率と生産性を考慮すると、より好ましくは5重量%乃至30重量%以下である。
さらに、前記酸化タンタル微粒子に対して0.01重量%乃至50重量%であることが好ましく、より好ましくは1重量%乃至30重量%である。
本実施形態に係る酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液は、結晶子径が10nm以下である、表面修飾剤で被覆した酸化タンタル微粒子と、塩基性化合物と、有機溶媒とを含むことを特徴とする。
D(110)=K*λ/βcosθ (式1)
ここで、D(110)は結晶子サイズ(結晶子径)、K=0.9、λCu−Kα1=0.154056nm、βは回折ピークの半価幅である。
本実施形態に係る酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液に含まれている酸化タンタル微粒子の構造は特には限定されず、α型構造、β型構造、δ型構造、非結晶構造の何れでももしくはこれらの混合物でもよい。
前記酸化タンタル微粒子について、さらにその体積平均粒子径が1nm以上20nm以下であることが好ましい。ここでいう「体積平均粒子径」は、一次粒子が凝集した粒子(二次粒子)の粒径であり、DLS(動的光散乱式粒径分布測定装置)から得られる体積粒径の累積分布関数において累積度数が全体の50%になる時の体積粒径の値である。
本実施形態において、酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液に含まれている塩基性化合物は、酸化タンタル微粒子の結晶子径を小さくするための成分である。本実施形態において用いる塩基性化合物としては、アンモニア(アンモニア水溶液を含む)、有機アミン化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属のアルコキシドが挙げられる。これらのうち、有機アミン化合物は特に好ましい。ここで、有機アミン化合物とは、窒素原子を有する有機化合物である。前記有機アミン化合物としては、アルキルアミン、アルカノールアミン、アリールアミン、複素環アミン、アルコキシアミンなどが挙げられる。アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの炭素数1乃至10のアルキル基を有するアルキルアミンなどが挙げられる。アルカノールアミンとしては、2−(2−アミノエトキシ)エタノールなどが挙げられる。アリールアミンとしては、アニリンなどが挙げられる。複素環アミンとしては、ピリジンなどが挙げられる。
なお、上記塩基性化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態における酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液に含まれている有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、i−ブタノール等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ジメチルケトン、メキルエチルケトン、アセトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、熱及び/または光硬化モノマーを挙げることができる。熱硬化モノマーと光硬化モノマーとの何れかもしくはその両方としてはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等の(メタ)アクリルモノマー類、エポキシモノマー類を挙げることができる。また、二種類以上の有機溶媒を混ぜ合わせることも可能である。前記有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、メチルメタクリレートの少なくともいずれか一方であることが好ましい。
本実施形態において酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液に含まれている表面修飾剤は、結晶子径の小さい酸化タンタル微粒子を樹脂中に均一かつ安定的に分散させるために前記酸化タンタル微粒子に被覆される。本発明で用いる表面修飾剤は、シランカップリング剤と金属系カップリング剤との何れかもしくはその両方を用いることができる。これらのうち、使い易さやコストなどの観点から、シランカップリング剤が特に好ましい。ここで、シランカップリング剤とは、無機材料に対して親和性あるいは反応性を有する加水分解性のシリル基に、有機物に対して親和性あるいは反応性を有する有機置換基を化学的に結合させた構造を持つ加水分解性シラン化合物である。
本実施形態における製造方法で得られる酸化タンタル微粒子、もしくは酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液を用いて酸化タンタル微粒子−樹脂複合体を作製することができる。前記酸化タンタル微粒子−樹脂複合体の製造方法は特に限定はされないが、用いる材料や目的によって、以下に列挙される方法で行うことができる。
熱重合開始剤としては、この用途に用い得ることが知られている公知の化合物を用いることができる。例えば、ジクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーキサイドなどが挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤は前記硬化モノマーを100部としたとき、通常0.1部乃至10部である。
前記酸化タンタル微粒子が分散される樹脂としては、光学材料として一般的に用いられる透明な樹脂材料であれば特に制限はないが、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、またはポリイミド樹脂であることが好ましい。使用する樹脂の量は、前記酸化タンタル微粒子粉末に対して30重量%乃至20000重量%であることが好ましく、より好ましくは100重量%乃至2000重量%である。
(酸化タンタル微粒子の結晶子径の測定方法)
本実施例の酸化タンタル微粒子の結晶子径は、XRD(リガク製、RINT2100)により得られた酸化タンタル微粒子の(110)面のX線回折ピークより次式のデバイ−シェラー式(式1)を用いて算出した値D(110)である。
D(110)=K*λ/βcosθ (式1)
ここで、D(110)は結晶子サイズ(結晶子径)、K=0.9、λCu−Kα1=0.154056nm、βは回折ピークの半価幅である。
本実施例の酸化タンタル微粒子の体積平均粒子径は、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製、ZETASIZER Nano−S)を用いて測定した。
本実施例の酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液のHaze率は、酸化タンタル微粒子の10wt%溶液を調製し、濁度計(日本電色工業株式会社製NDH−2000)を用いて測定した。セルは光路長1cmの石英セルを用いた。Haze率は、10%以下であれば透明性が高いと判断した。
金属酸化物微粒子分散液の分散性の評価は、湿式分散処理後、24時間経ってから目視により判断し、金属酸化物が沈降することなく均一に分散しているものは○、沈降して分散していないものは×とした。
・処方
結晶子径20nmの酸化タンタル微粒子 3.1部
3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 3.1部
テトラヒドロフラン 24.9部
トリエチルアミン 0.6部
上記の混合物を100ccのベッセルに添加し、ビーズミル分散機(アイメックス株式会社製のUAM−015)を用いて、650rpmの回転数で10分間前処理を行った。前処理後、更にφ30μmのジルコニアビーズ104部(充填率50%)を添加し、1600rpmの回転数で360分間本処理を行った。得られたスラリーからろ過によってジルコニアビーズを除去し、酸化タンタル微粒子がテトラヒドロフランに分散した酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液を得た。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は5nm、体積平均粒子径は11nmであり、分散後の酸化タンタルの結晶子径は分散前の結晶子径に比べて小さくなっていた。また、この分散液のHaze率は7%であり透明性の高いものであった。
実施例1において、トリエチルアミンを0.3部にした以外は同様の操作を行った。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は5nm、体積平均粒子径は13nmであり、分散後の酸化タンタルの結晶子径は原料の結晶子径に比べて小さくなっていた。また、この分散液のHaze率は7%であり透明性の高いものであった。
実施例1において、トリエチルアミンを1.2部にした以外は同様の操作を行った。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は4nm、体積平均粒子径は13nmであり、分散後の酸化タンタルの結晶子径は原料の結晶子径に比べて小さくなっていた。また、この分散液のHaze率は7%であり透明性の高いものであった。
実施例1において、結晶子径20nmの酸化タンタル微粒子に代えて、結晶子径50nmの酸化タンタル微粒子を用いた以外は同様の操作を行った。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は5nm、体積平均粒子径は10nmであり、分散後の酸化タンタルの結晶子径は原料の結晶子径に比べて小さくなっていた。また、この分散液のHaze率は6%であり透明性の高いものであった。
実施例1において、トリエチルアミンをn−ブチルアミンにした以外は同様の操作を行った。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は3nm、体積平均粒子径は12nmであり、分散後の酸化タンタルの結晶子径は原料の結晶子径に比べて小さくなっていた。また、この分散液のHaze率は7%であり透明性の高いものであった。
実施例1において、トリエチルアミンをN,N−ジブチルアミンにした以外は同様の操作を行った。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は3nm、体積平均粒子径は11nmであり、分散後の酸化タンタルの結晶子径は原料の結晶子径に比べて小さくなっていた。また、この分散液のHaze率は5%であり透明性の高いものであった。
実施例1において、トリエチルアミンをアニリンにした以外は同様の操作を行った。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は5nm、体積平均粒子径は13nmであり、分散後の酸化タンタルの結晶子径は原料の結晶子径に比べて小さくなっていた。また、この分散液のHaze率は7%であり透明性の高いものであった。
実施例1において、トリエチルアミンをピリジンにした以外は同様の操作を行った。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は2nm、体積平均粒子径は9nmであり、分散後の酸化タンタルの結晶子径は原料の結晶子径に比べて小さくなっていた。また、この分散液のHaze率は5%であり透明性の高いものであった。
実施例1において、トリエチルアミンをテトラメチルエチレンジアミンにした以外は同様の操作を行った。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は4nm、体積平均粒子径は12nmであり、分散後の酸化タンタルの結晶子径は原料の結晶子径に比べて小さくなっていた。また、この分散液のHaze率は7%であり透明性の高いものであった。
実施例1において、トリエチルアミンを2−(2−アミノエトキシ)エタノールにした以外は同様の操作を行った。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は5nm、体積平均粒子径は13nmであり、分散後の酸化タンタルの結晶子径は原料の結晶子径に比べて小さくなっていた。また、この分散液のHaze率は7%であり透明性の高いものであった。
実施例1において、ビーズミル分散の本処理時間を1440分にした以外は同様の操作を行った。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は3nm、体積平均粒子径は10nmであり、分散後の酸化タンタルの結晶子径は原料の結晶子径に比べて小さくなっていた。また、この分散液のHaze率は5%であり透明性の高いものであった。
実施例1において、テトラヒドロフランをメチルメタクリレートにした以外は同様の操作を行った。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は5nm、体積平均粒子径は9nmであり、分散後の酸化タンタルの結晶子径は原料の結晶子径に比べて小さくなっていた。また、この分散液のHaze率は5%であり透明性の高いものであった。
実施例1において、トリエチルアミンを加えない以外は同様の操作を行った。得られた酸化タンタル微粒子を含む微粒子分散液中の酸化タンタルの結晶子径は20nm、体積平均粒子径は36nmであり、分散後の結晶子径が原料の結晶子径に比べて小さくなる効果は得られなかった。また、この分散液のHaze率は26%であり白く濁っていた。
実施例1において、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランを加えない以外は同様の操作を行った。酸化タンタル微粒子は凝集したままでテトラヒドロフランには分散しなかった。また、撹拌後の結晶子径が原料の結晶子径に比べて小さくなる効果は得られなかった。
実施例1において、ビーズミル分散を行う代わりに撹拌子によって1440分間の撹拌を行った。酸化タンタル微粒子は凝集したままでテトラヒドロフランには分散しなかった。また、撹拌後の結晶子径が原料の結晶子径に比べて小さくなる効果は得られなかった。
実施例1において、結晶子径20nmの酸化タンタル微粒子に代えて、結晶子径7nmのγ−アルミナ微粒子を用いた以外は同様の操作を行ったところ、テトラヒドロフランに分散したγ−アルミナ微粒子分散液が得られた。得られたγ−アルミナ微粒子分散液中のγ−アルミナの結晶子径は7nm、体積平均粒子径は14nmであった。また、この分散液のHaze率は10%と透明性の高いものであったが、分散後の結晶子径が原料の結晶子径に比べて小さくなる効果は得られなかった。
実施例1において、結晶子径20nmの酸化タンタル微粒子に代えて、結晶子径30nmの酸化亜鉛微粒子を用いた以外は同様の操作を行ったが、酸化亜鉛微粒子はテトラヒドロフランに均一に分散しなかった。また、ビーズミル分散処理後の結晶子径が原料の結晶子径に比べて小さくなる効果は得られなかった。
実施例1において、結晶子径10nmの酸化タンタル微粒子に代えて、結晶子径15nmの酸化チタン微粒子を用いた以外は同様の操作を行ったが、酸化チタン微粒子はテトラヒドロフランに均一に分散しなかった。また、ビーズミル分散処理後の結晶子径が原料の結晶子径に比べて小さくなる効果は得られなかった。
102 酸化タンタル微粒子
103 微粒子−樹脂複合体
Claims (6)
- 酸化タンタル微粒子と、塩基性化合物と、表面修飾剤であるシランカップリング剤と、有機溶媒との混合物を分散処理する工程を有することを特徴とする微粒子分散液の製造方法。
- 前記塩基性化合物が有機アミン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の微粒子分散液の製造方法。
- 前記塩基性化合物が、トリエチルアミン、ブチルアミン、N,N−ジブチルアミン、アニリン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノールから選択された少なくとも1つの塩基性化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の微粒子分散液の製造方法。
- 前記シランカップリング剤が3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の微粒子分散液の製造方法。
- 前記有機溶媒がテトラヒドロフラン、メチルメタクリレートの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の微粒子分散液の製造方法。
- 前記分散処理をビーズミル法あるいはジェットミル法により行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の微粒子分散液の製造方法。
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