JP2011212851A - 目封止ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する、柱状のハニカム成形体を形成する工程と、ハニカム成形体のセルの端部に目封止部を形成する目封止工程とを有し、目封止工程が、有底筒状の外側容器内に配設された、底部の一部に凸部形成領域を有する有底筒状の内側容器内に、目封止用スラリーを貯留し、外側容器と内側容器との間にガスを吹き込んで凸部形成領域を内側容器の内側に向けて突出させて凸部を形成した状態で、ハニカム成形体を、一方の端部を内側容器の底面に押し付けながら内側容器内に挿入して、目封止用スラリーをセル内に圧入し、その後、ハニカム成形体を内側容器から引き抜く、目封止用スラリー圧入操作を有する目封止ハニカム構造体の製造方法。
【選択図】なし
Description
ハニカム成形体を形成する工程においては、まず、セラミック原料にバインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料とすることが好ましい。セラミック原料としては、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト化原料、コージェライト、ムライト、アルミナ、チタニア、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、鉄−クロム−アルミニウム系合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、コージェライト化原料、珪素−炭化珪素系複合材料、又はチタン酸アルミニウムが好ましく、コージェライト化原料が特に好ましい。尚、コージェライト化原料とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミックス原料であって、焼成されてコージェライトになるものである。珪素−炭化珪素系複合材料とする場合、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末を混合したものをセラミック原料とする。セラミック原料の含有量は、成形原料全体に対して40〜90質量%であることが好ましい。
次に、ハニカム成形体について、一方の端面における所定のセルの開口部と、他方の端面における残余のセルの開口部に目封止部を形成することが好ましい。目封止部を形成したハニカム成形体は、一方の端面側に目封止部が形成された所定のセルと、他方の端面側に目封止部が形成された残余のセルとが、交互に並び、両端面に市松模様が形成されることが好ましい。
目封止用スラリーが充填されたハニカム成形体を、焼成して、両端面の所定の位置に(例えば、市松模様を形成するように)目封止部が形成された、目封止ハニカム構造体(例えば、図13を参照)を作製することが好ましい。焼成の前に、バインダ等を除去するため、脱脂(仮焼成)を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃を最高温度として、0.5〜40時間温度を保持して行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件としては、大気雰囲気下、必要に応じて窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下、1300〜1500℃の最高温度で、1〜50時間加熱保持することが好ましい。特に、コージェライト製ハニカム構造体を得る場合には、大気雰囲気下、1350〜1440℃の最高温度とすることが好ましい。
(ハニカム成形体の作製)
コージェライト、有機バインダー、増孔剤、及び水からなる混合原料をハニカム状に成形した後、乾燥することにより、底面の直径310mm、長さ305mmの円筒状のハニカム成形体を作製した。作製したハニカム成形体の、その貫通方向と直行するセルの断面形状は正方形であり、隔壁の厚みは約310μmであり、セル密度は300セル/平方インチであった。
コージェライト粉末100質量部に対して、メチルセルロース1.5質量部、グリセリン8質量部、及び水40質量部を加え、混練することにより目封止用スラリーを調製した。なお、調製した目封止用スラリーの粘度は200dPa・sであった。
得られたハニカム成形体について、目封止用スラリー圧入操作を用いて、隣接するセルが互いに反対側の端部で封じられ、両端面が市松模様状を呈するように、各セルの端部に目封止部を形成した。目封止用スラリーとしては、ハニカム成形体と同様の材料を用いた。
その後、ハニカム成形体を、大気雰囲気下、1400℃で合計20時間焼成することにより目封止ハニカム構造体を得た。得られた目封止ハニカム構造体は、底面が、直径300mmの円形で、長さが305mmの円柱状であった。また、得られた目封止ハニカム構造体は隔壁が多孔質であった。目封止ハニカム構造体の平均細孔径は13μmであり、気孔率は50%であった。
「基準目封止深さ」とは、目封止ハニカム構造体の端面において、内側容器の凸部形成領域(凸部)と当接しない部分に形成された目封止部の深さを意味する。目封止部の深さは、目封止ハニカム構造体を、セルの延びる方向に平行に切断して、ノギスを用いて測定する。30個の目封止ハニカム構造体を作製し、各目封止ハニカム構造体について20個の目封止部の目封止深さを測定し、合計600個の目封止部について測定された目封止深さを平均した値を「基準目封止深さ」とする。
「凸部形成領域の目封止深さ」とは、目封止ハニカム構造体の端面において、内側容器の凸部形成領域(凸部)と当接する部分に形成された目封止部の深さを意味する。目封止部の深さは、上記「基準目封止深さ」の場合と同様に測定する。そして得られた平均値を「凸部形成領域の目封止深さ」とする。
「基準目封止深さ(平均値)」の、目標とする「基準目封止深さ」との「差」の絶対値が、0.1mm未満である場合を「基準目封止深さ制御性」が「A」であるとし、0.1〜1.0mmである場合を「基準目封止深さ制御性」が「B」であるとし、1.0〜2.5mm(1.0mmを除く)である場合を「基準目封止深さ制御性」が「C」であるとする。上記A〜Cの評価においては、「A」が最も良好な結果であり、「B」が次に良好な結果であり、「C」がその次に良好な結果であり、いずれも合格である。尚、「基準目封止深さ(平均値)」の、目標とする「基準目封止深さ」との差の絶対値が、2.5mmを超えると不合格となる。
「凸部形成領域の目封止深さ(平均値)」の、目標とする「凸部形成領域の目封止深さ」との「差」の絶対値が、0.1mm未満である場合を「凸部形成領域の目封止深さ制御性」が「A」であるとし、0.1〜1.0mmである場合を「凸部形成領域の目封止深さ制御性」が「B」であるとし、1.0〜2.5mm(1.0mmを除く)である場合を「凸部形成領域の目封止深さ制御性」が「C」であるとする。上記A〜Cの評価においては、「A」が最も良好な結果であり、「B」が次に良好な結果であり、「C」がその次に良好な結果であり、いずれも合格である。尚、「凸部形成領域の目封止深さ(平均値)」の、目標とする「凸部形成領域の目封止深さ」との差の絶対値が、2.5mmを超えると不合格となる。
目封止部の端面(外部に露出する側の端面)の凹みを、キーエンス社製、マイクロスコープVHX−1000にて3次高さ測定を行うことにより評価する。ハニカム構造体の端面を基準として500μm以上の凹みを有する目封止部の割合が、目封止部全体の0%である場合を「A」、5%以下である場合を「B」、10%以下である場合を「C]とする。「A」、「B」及び「C」は、いずれも合格である。尚、ハニカム構造体の端面を基準として500μm以上の凹みを有する目封止部の割合が、目封止部全体の10%を超えると不合格となる。
内側容器の凸部形成領域の「ヤング率比」及び「厚さ比」を表1に示すように変更し、ガス圧力を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして目封止ハニカム構造体を作製した。実施例1の場合と同様に、得られた目封止ハニカム構造体について、上記方法で、「基準目封止深さ」、「凸部形成領域の目封止深さ」、「基準目封止深さ制御性」、「凸部形成領域の目封止深さ制御性」及び「目封止品質」を測定した。結果を表1に示す。尚、各実施例においては、内側容器の凸部形成領域以外の部分の、ヤング率及び厚さは変化させていない。表1において、実施例14の材質である「ネオプレスポンジ」は、スポンジ状のネオプレンゴムのことである。
Claims (11)
- 流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する、柱状のハニカム成形体を形成する工程と、
前記ハニカム成形体の前記セルの端部に目封止部を形成する目封止工程とを有し、
前記目封止工程が、有底筒状の外側容器内に配設された、底部の一部に凸部形成領域を有する有底筒状の内側容器内に、目封止用スラリーを貯留し、前記外側容器と前記内側容器との間にガスを吹き込んで前記凸部形成領域を前記内側容器の内側に向けて突出させて凸部を形成した状態で、前記ハニカム成形体を、一方の端部を前記内側容器の底面に押し付けながら前記内側容器内に挿入して、目封止用スラリーをセル内に圧入し、その後、前記ハニカム成形体を前記内側容器から引き抜く、目封止用スラリー圧入操作を有する目封止ハニカム構造体の製造方法。 - 前記内側容器の前記凸部形成領域を除く部分のヤング率が、10〜50MPaであり、前記凸部形成領域のヤング率が、前記内側容器の前記凸部形成領域を除く部分のヤング率に対して15〜95%である請求項1に記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
- 前記内側容器の前記凸部形成領域を除く部分の厚さが、0.5〜2.5mmであり、前記凸部形成領域の厚さが、前記内側容器の前記凸部形成領域を除く部分の厚さに対して10〜65%である請求項1又は2に記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
- 前記外側容器と前記内側容器との間にガスを吹き込むときの、前記ガスの圧力が0.05〜0.35MPaである請求項1〜3のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
- 前記内側容器の前記凸部形成領域を除く部分の引張応力が、0.5〜11MPaである請求項1〜4のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
- 前記内側容器の深さが、前記外側容器の深さの40〜150%であり、前記内側容器の外周の直径が、前記外側容器の内周の直径の90〜98%である請求項1〜5のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
- 前記内側容器の前記凸部形成領域を除く部分の材質が、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、ネオプレンゴム、フッ素ゴム及び天然ゴムからなる群か選択される少なくとも1種であり、前記凸部形成領域の材質が、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、ネオプレンゴム、フッ素ゴム及び天然ゴムからなる群か選択される少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
- 前記内側容器の内周の直径が、前記ハニカム成形体の中心軸に直交する断面の直径の102〜118%である請求項1〜7のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
- 製造するハニカム構造体の材質がセラミックである請求項1〜8のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
- 前記外側容器が、ASTM試験法による曲げ強さが100MPa以上である請求項1〜9のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
- 前記外側容器の材質が金属である請求項1〜10のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
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