JP2011210553A - 酸化チタンペースト、多孔質酸化チタン積層体の製造方法、多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池 - Google Patents
酸化チタンペースト、多孔質酸化チタン積層体の製造方法、多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011210553A JP2011210553A JP2010077560A JP2010077560A JP2011210553A JP 2011210553 A JP2011210553 A JP 2011210553A JP 2010077560 A JP2010077560 A JP 2010077560A JP 2010077560 A JP2010077560 A JP 2010077560A JP 2011210553 A JP2011210553 A JP 2011210553A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- titanium oxide
- fiber
- resin
- heat
- porous
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E10/00—Energy generation through renewable energy sources
- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
- Y02E10/542—Dye sensitized solar cells
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Photovoltaic Devices (AREA)
- Hybrid Cells (AREA)
Abstract
【課題】加熱後に高精度に制御された多孔質構造を有する多孔質酸化チタン層を形成できる酸化チタンペーストを提供する。
【解決手段】本発明に係る酸化チタンペーストは、多孔質酸化チタン層を形成するために用いられる。本発明に係る酸化チタンペーストは、酸化チタン粒子と、加熱消滅性樹脂繊維と、有機バインダ樹脂と、溶剤とを含む。本発明に係る多孔質酸化チタン積層体1Aは、基材2と、該基材2の表面2aに積層された多孔質酸化チタン層1Aと備える。多孔質酸化チタン層1Aは、上記酸化チタンペーストを用いて、該酸化チタンペーストを加熱することにより形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る酸化チタンペーストは、多孔質酸化チタン層を形成するために用いられる。本発明に係る酸化チタンペーストは、酸化チタン粒子と、加熱消滅性樹脂繊維と、有機バインダ樹脂と、溶剤とを含む。本発明に係る多孔質酸化チタン積層体1Aは、基材2と、該基材2の表面2aに積層された多孔質酸化チタン層1Aと備える。多孔質酸化チタン層1Aは、上記酸化チタンペーストを用いて、該酸化チタンペーストを加熱することにより形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、多孔質酸化チタン層を形成するために用いられる酸化チタンペーストに関し、より詳細には、酸化チタン粒子と、有機バインダ樹脂と、溶剤とを含み、かつ加熱により消滅することが可能な成分をさらに含む酸化チタンペースト、該酸化チタンペーストを用いた多孔質酸化チタン積層体の製造方法、多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池に関する。
近年、地球温暖化防止のために、炭酸ガスの排出量を低減するための各種の方策が世界的に検討されている。特に発電においては、従来の火力、原子力及び水力発電などの大規模集中発電に加えて、太陽エネルギー、風力及び地熱などの再生可能エネルギー(自然エネルギー)などを利用した分散発電を用いて、炭酸ガスの総排出量を低減する取り組みが行われている。
特に太陽電池は、シリコン系太陽電池を中心に既に実用化されている。しかしながら、シリコン系太陽電池は、原料である高純度シリコンの安定的な供給及びコスト高などの課題がある。従って、太陽電池の更なる普及のために、安価であり、かつ製造が容易である新規な太陽電池が望まれている。
これに対応する太陽電池として、有機太陽電池が挙げられる。有機太陽電池の中でも、光電変換効率が特に高い色素増感太陽電池が注目されている。色素増感太陽電池は、比較的容易に製造でき、原材料が安く、かつ光電変換効率が高いので、次世代太陽電池の有力候補と考えられている。
色素増感太陽電池において、酸化チタン層の役割は、1)増感色素の吸着、2)励起した増感色素からの電子注入受け入れ、3)導電層への電子輸送、4)ヨウ化物イオンから色素への電子移動(還元)反応場の提供、並びに5)光散乱及び光閉じこめ等である。
このうち、1)色素の吸着の目的に対しては、酸化チタン層の表面積をできるだけ大きくして、数多くの色素を吸着可能にすることが有利である。このような理由から、酸化チタン層は、多孔質であることが求められる。3)電子移動の観点からは、酸化チタン層が電気的な接触を持った連続構造を有する必要がある。4)反応場の提供の目的のためには、ヨウ化物イオンを含む電解液と接触させるために、更に酸化されたヨウ化物イオンを反応場から対極側へ拡散させるために、酸化チタン層の空隙は、ある程度連続している必要がある。更に、5)光拡散の観点からは、光拡散に十分な大きさの空隙が、酸化チタン層に均一に存在することが望ましい。
このように、酸化チタン層の表面積、空隙構造及び連続構造、並びに酸化チタン層における空隙の大きさ及び空隙の分布などは、太陽電池の性能を直接左右する。すなわち、光電変換効率が高く、かつ出力が安定している色素増感太陽電池を製造するためには、酸化チタン層の多孔質構造を制御する必要がある。
従来、多孔質である酸化チタン層は、酸化チタン粒子と有機バインダとを含むペーストを基材上に塗布し、溶剤を揮発させた後、更に高温にて有機バインダを消失させることにより形成されている。しかしながら、有機バインダを消失させて空隙を形成した場合には、酸化チタン層の表面積及び空隙の大きさが小さくなる。表面積を大きく、かつ空隙を大きくするためには、有機バインダの量を増やす必要がある。しかしながら、有機バインダの量を増やすと、ペーストの粘度が高くなって塗布が困難になったり、有機バインダを焼失させた後の酸化チタン層の強度が不足したりする。さらに、溶剤の揮発後に、ペースト中での有機バインダの存在形態は、溶剤乾燥履歴、ペーストの塗布方法及びペースト内の成分比率等による影響を受ける。このため、酸化チタン層における空隙の構造、大きさ及び分布などが安定せず、好ましい多孔質構造を有する酸化チタン層を安定して形成することは困難である。
また、多孔質である酸化チタン層を形成する方法としては、例えば、酸化チタン分散液をスプレー塗布する方法、相分離した酸化チタンペーストを用いる方法、基材上に酸化チタンペーストを塗布した後、該ペーストを凍結乾燥する方法、酸化チタンペーストをガス中に分散させたエアロゾルを、吹き付け等により膜化して、焼成する方法などがある。しかしながら、これらの方法ではいずれも、多孔質構造を精密に制御することが困難であり、空隙の大きさ、空隙の均一性及び酸化チタン層の連続構造などのすべての要件を、安定的に良好にすることは困難である。
また、有機粒子を含む酸化チタンペーストを用いて、焼成時に分解又は酸化等により有機粒子を消失させて、多孔質酸化チタン層を形成する方法が提案されている。
有機粒子を含む酸化チタンペーストの一例として、例えば、下記の特許文献1には、平均粒径30nm以上である不溶性ポリマー粒子を含む酸化チタンペーストが開示されている。ここでは、上記ポリマー粒子が、メチルメタクリレート又はスチレンを構造単位として含有することが好ましいことが記載されている。
下記の特許文献2では、ポリマー又は炭素材料により形成された非増粘性粒子を含む酸化チタンペーストが開示されている。上記ポリマーにより形成された非増粘性粒子として、ポリスチレン粒子、ポリエチレン粒子、ポリエステル粒子、ポリウレタン粒子、ポリプロピレン粒子及びポリメチルメタクリレート粒子が挙げられている。
下記の特許文献3には、有機樹脂粒子を含む酸化チタンペーストが開示されている。上記有機樹脂粒子として、アクリル樹脂(メタクリル酸エステル共重合物)の球状粒子及びPEG(ポリエチレングリコール)のフレークが挙げられている。
特許文献1〜3に記載の有機粒子を用いた場合には、酸化チタン層を形成する際の加熱により、有機粒子が十分に消失しないことがある。
さらに、有機粒子を用いた場合には、4)ヨウ化物イオンから色素への電子移動(還元)反応場を充分に提供することは困難である。すなわち、電解質(ヨウ素イオン)の拡散経路を充分に確保できないことがある。加熱により有機粒子を消滅させて、多孔質構造を形成した場合には、多孔質酸化チタン層における空隙構造は、粒子の形状に対応して、球形の独立空隙構造となることが多い。従って、電解質がこの空隙内に至ったとしても、空隙内のイオン種(たとえば励起色素に電子を注入して生成したI3−イオン)が空隙内から拡散することは困難である。従って、上記有機粒子を用いた多孔質酸化チタン層では、電解質の実質的な拡散効果は高くない。
従って、空隙が連続しており、空隙内の電解質中に含まれるイオンの拡散が十分に起こるようにする必要がある。大量の有機粒子を用いることにより、連続的な空隙構造をある程度形成できる。しかしながら、大量の有機粒子を用いた場合には、空隙構造が崩れたり、電極が破損しやすくなったり、電極内の電気伝導度が低下したりすることがある。このため、有機粒子を用いた場合には、光電変換効率が高い色素増感太陽電池を得ることは困難である。
本発明の目的は、加熱後に高精度に制御された多孔質構造を有する多孔質酸化チタン層を形成できる酸化チタンペースト、該酸化チタンペーストを用いた多孔質酸化チタン積層体の製造方法、多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池を提供することである。
本発明の限定的な目的は、光電変換効率が高い色素増感太陽電池を得ることができる酸化チタンペースト、該酸化チタンペーストを用いた多孔質酸化チタン積層体の製造方法及び多孔質酸化チタン積層体、並びに光電変換効率が高い色素増感太陽電池を提供することである。
本発明の広い局面によれば、多孔質酸化チタン層を形成するために用いられる酸化チタンペーストであって、酸化チタン粒子と、加熱消滅性樹脂繊維と、有機バインダ樹脂と、溶剤とを含む、酸化チタンペーストが提供される。
上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維直径は、好ましくは10nm〜5μm、より好ましくは20nm〜1μmである。上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維長は、上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維直径の5倍以上であることが好ましい。上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維長は、好ましくは50nm〜500μm、より好ましくは100nm〜100μmである。
本発明に係る酸化チタンペーストのある特定の局面では、上記加熱消滅性樹脂繊維は、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において500℃以下の温度で熱分解し、かつ上記加熱消滅性樹脂繊維は、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において500℃まで加熱されると99重量%以上が消滅する。
本発明に係る酸化チタンペーストの他の特定の局面では、上記加熱消滅性樹脂繊維は、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において400℃以下の温度で熱分解し、かつ上記加熱消滅性樹脂繊維は、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において400℃まで加熱されると99重量%以上が消滅する。
本発明に係る酸化チタンペーストの他の特定の局面では、上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂が、ポリオレフィン樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂及びポリオキシアルキレン樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含む。
本発明に係る酸化チタンペーストのさらに他の特定の局面では、上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂は、ポリスチレン及びポリ(メタ)アクリル酸エステルの内の少なくとも1種の樹脂を含む。
本発明に係る酸化チタンペーストの別の特定の局面では、上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂は架橋構造を有する。
本発明に係る酸化チタンペーストのさらに別の特定の局面では、上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂は、上記架橋構造中に、オキシアルキレンユニットを有する。
本発明に係る酸化チタンペーストの他の特定の局面では、上記オキシアルキレンユニットは、オキシプロピレンユニット及びオキシテトラメチレンユニットの内の少なくとも1種のユニットを含む。
本発明に係る酸化チタンペーストのさらに他の特定の局面では、酸化チタンペースト100重量%中、上記加熱消滅性樹脂繊維の含有量は2〜60重量%である。
本発明に係る酸化チタンペーストのさらに他の特定の局面では、分散剤がさらに含まれている。
本発明に係る多孔質酸化チタン積層体の製造方法は、本発明に従って構成された酸化チタンペーストを基材上に塗布し、該基材上に酸化チタンペースト層を形成する工程と、該酸化チタンペースト層を500℃以下で加熱処理することにより、上記酸化チタン粒子を焼結させて、かつ上記加熱消滅性樹脂繊維の一部又は全部を消滅させて、上記基材上に多孔質酸化チタン層を形成する工程とを備える。
本発明に係る多孔質酸化チタン積層体は、基材と、該基材の表面に積層された多孔質酸化チタン層とを備え、該多孔質酸化チタン層が、本発明に従って構成された酸化チタンペーストを用いて、該酸化チタンペーストを加熱することにより形成されている。
本発明に係る色素増感太陽電池は、本発明に従って構成された酸化チタンペーストを用いて、該酸化チタンペーストを加熱することにより形成された多孔質酸化チタン層を色素増感太陽電池用電極材料として有する。
本発明に係る色素増感太陽電池は、本発明に係る多孔質酸化チタン積層体の製造方法により得られた多孔質酸化チタン積層体を備えており、該多孔質酸化チタン積層体を色素増感太陽電池用電極として有する。
本発明に係る色素増感太陽電池は、本発明に従って構成された多孔質酸化チタン積層体を備えており、該多孔質酸化チタン積層体を色素増感太陽電池用電極として有する。
本発明に係る酸化チタンペーストは、酸化チタン粒子と、加熱消滅性樹脂繊維と、有機バインダ樹脂と、溶剤とを含むので、酸化チタンペーストを加熱して焼結させると、加熱消滅性樹脂繊維が十分に消滅して、加熱後に高精度に制御された多孔質構造を有する多孔質酸化チタン層を形成できる。
本発明に係る酸化チタンペーストの使用により、光電変換効率が高い色素増感太陽電池を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.酸化チタンペースト
本発明に係る酸化チタンペーストは、酸化チタン粒子と、加熱消滅性樹脂繊維と、有機バインダ樹脂と、溶剤とを含む。
本発明に係る酸化チタンペーストは、酸化チタン粒子と、加熱消滅性樹脂繊維と、有機バインダ樹脂と、溶剤とを含む。
本発明に係る酸化チタンペーストは、多孔質酸化チタン層を形成するために用いられる。本発明に係る酸化チタンペーストは、基材上に多孔質酸化チタン層を形成するために好適に用いられる。本発明に係る酸化チタンペーストは、基材と該基材上に積層された多孔質酸化チタン層とを備える多孔質酸化チタン積層体を得るためにより好適に用いられる。本発明に係る酸化チタンペーストは、基材上に塗布された後に加熱処理することにより、基材上に多孔質酸化チタン層を形成するために好適に用いられる。
色素増感太陽電池の酸化チタン電極において、空隙を形成するために従来用いられていた有機バインダ樹脂及び有機粒子では、イオン拡散性と電極の堅牢性及び電極の電気伝導性とを両立できないという問題があった。本発明に係る酸化チタンペーストは、加熱消滅性樹脂繊維を含むので、イオン拡散性と電極の堅牢性及び電極の電気伝導性とを両立させることができ、更にイオン拡散が十分に起こるように制御された空隙を有する多孔質酸化チタン層を形成できる。
(1)加熱消滅性樹脂繊維
本発明に係る酸化チタンペーストは、例えば、色素増感太陽電池の電極を形成するための材料として用いられる。上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維直径(繊維径)は、好ましくは10nm〜5μm、より好ましくは20nm〜1μm、更に好ましくは30〜500nmである。繊維直径が10nm以上であると、イオン伝導のためのチャネルとして充分に作用する多孔質構造を形成できる。イオン伝導を効率的に行うためには、上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維直径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは30nm以上である。
本発明に係る酸化チタンペーストは、例えば、色素増感太陽電池の電極を形成するための材料として用いられる。上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維直径(繊維径)は、好ましくは10nm〜5μm、より好ましくは20nm〜1μm、更に好ましくは30〜500nmである。繊維直径が10nm以上であると、イオン伝導のためのチャネルとして充分に作用する多孔質構造を形成できる。イオン伝導を効率的に行うためには、上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維直径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは30nm以上である。
上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維長(繊維長さ)は、好ましくは50nm〜500μm、より好ましくは100nm〜100μmである。繊維長が50nm以上であると、連続孔を形成するために多量の繊維を添加する必要がなくなり、粒子を用いた場合と比較して繊維を用いた場合の優位性を充分に確保できる。連続した空隙を形成するためには、繊維長はある程度長い方が有利である。このため、上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維長は、好ましくは100nm以上である。繊維長が長くなりすぎると酸化チタン電極の強度が低下したり、電気伝導性が低下したりする可能性がある。このため、上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維長は好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。
上記加熱消滅性樹脂繊維は、繊維形状であることに特徴を有する。上記加熱消滅性樹脂繊維では、繊維径と繊維長(長さ)との比(アスペクト比)が5以上であることが好ましい。すなわち、上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維長は、上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維直径の5倍以上であることが好ましい。アスペクト比が5以上であると、粒子を用いた場合と比較して繊維を用いた場合の優位性を充分に確保できる。
上記加熱消滅性樹脂繊維の断面形状は特に限定されず、円形、楕円形又は矩形などの形状であってもよく、複数の繊維が融着したような形状であってもよく、複数の繊維が束状になった形状であってもよい。上記加熱消滅性樹脂繊維の断面形状はこれら以外の形状であってもよい。上記加熱消滅性樹脂繊維の断面形状は、十分な表面積を確保できるように適宜選択される。多孔質酸化チタン層において、イオン伝導が十分に可能であるように連続した空隙を形成する必要があるが、これに上記加熱消滅性樹脂繊維の断面形状はさほど大きな影響を与えない。
上記加熱消滅性樹脂繊維として、繊維径又は繊維長が異なる複数の加熱消滅性樹脂繊維を複合して用いてもよい。繊維径がほぼ同じであり、かつ繊維長が異なる複数の加熱消滅性樹脂繊維を複合して用いてもよく、繊維長がほぼ同じであり、かつ繊維径が異なる複数の加熱消滅性樹脂繊維を複合して用いてもよい。さらに、表面積を重視した空隙を設計するために、繊維径が比較的小さく繊維長が長い加熱消滅性樹脂繊維と、繊維径が比較的大きく繊維長が短い加熱消滅性樹脂繊維とを複合して用いてもよい。イオン伝導経路を重視した空隙を設計するために、繊維径が比較的大きくかつ繊維長が長い加熱消滅性樹脂繊維と、繊維径が比較的小さくかつ繊維長が短い加熱消滅性樹脂繊維とを複合して用いてもよい。空隙の形状設計は、電解質の種類及び色素の種類等により異なるため、それぞれの系にあった加熱消滅性樹脂繊維を用いることにより、多孔質酸化チタン層の性能をより一層向上させることが可能である。
本発明に係る酸化チタンペーストは、加熱消滅性樹脂繊維とともに、アスペクト比が5未満である加熱消滅性樹脂粒子をさらに含んでいてもよい。
色素増感太陽電池の酸化チタン電極においては、多孔質化により表面積を大きくし、色素吸着量及び電子移動反応機会を増加させたり、光散乱により光の利用効率を高めたりする必要がある。多孔質化のためには、有機バインダ樹脂又はその他の樹脂材料である犠牲物質を、酸化チタン電極(多孔質酸化チタン層)の原料となる酸化チタンペーストに添加して、焼結の際、焼き飛ばすプロセスが一般的である。本発明では、必要な空隙構造を設計できる加熱消滅性樹脂繊維を用いる。有機バインダ樹脂のみにより多孔質化する場合と比較して、上記加熱消滅性樹脂繊維を用いた場合には、多孔質構造の制御、特に、連続したイオン伝導経路を充分に確保できる。
加熱消滅性樹脂繊維を含む本発明に係る酸化チタンペーストを用いて、従来と同様の工程により多孔質酸化チタン積層体を製造できる。即ち、本発明に係る酸化チタンペーストを用いても、製造工程の見直し及び新たな製造装置が必要にならず、従来の工程及び装置を有効に利用できる。
従来の製造方法では有機バインダ樹脂等の犠牲物質を焼き飛ばすプロセスがある。本発明に係る酸化チタンペーストは、このプロセスにおいて同様に、加熱消滅性樹脂繊維を焼き飛ばして、消滅させることができる。
犠牲物質を焼き飛ばす工程は、通常、500℃以下で行われることが多い。これは、基材であるガラス表面に設けられた透明電極(例えばFTOなどの透明導電膜)の耐熱限界温度が500℃以下であるためである。
従って、上記加熱消滅性樹脂繊維は、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において500℃以下の温度で熱分解し、かつ上記加熱消滅性樹脂繊維は、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において500℃まで加熱されると99重量%以上が消滅することが好ましい。上記加熱消滅性樹脂繊維は、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において400℃以下の温度で熱分解し、かつ上記加熱消滅性樹脂繊維は、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において400℃まで加熱されると99重量%以上が消滅することが好ましい。
上記加熱消滅性樹脂繊維が空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において500℃以下の温度で熱分解しない場合は、犠牲物質を焼き飛ばすプロセスにおいて、従来の温度以上の高温に温度を上げる必要があり、工程が変える必要が生じ、更に透明電極が劣化する可能性がある。
上記加熱消滅性樹脂繊維の熱分解温度は、一般に低温の方が好ましく、400℃以下であることがより好ましい。これは、低温で焼き飛ばすことが可能であれば、透明電極の材料の選択の幅が広がり、更に加熱工程における時間及びエネルギーを節約することもできる。
このように、500℃以下の温度において、犠牲物質を消滅させるためには、犠牲物質を酸化させるのではなく、熱分解させることが好ましい。また、熱分解により生じる低分子量成分が、分解温度にて揮発することが好ましい。
500℃以下で熱分解する加熱消滅性樹脂繊維の樹脂としては、以下のような樹脂が挙げられる。ただし、上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂は、以下の樹脂に限定されない。
上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂及びポリオキシアルキレン樹脂等が挙げられる。これらはいずれも空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において500℃以下で熱分解し、分解した材料は、ほぼ完全に消滅する。従って、上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂は、ポリオレフィン樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂及びポリオキシアルキレン樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましく、ポリオレフィン樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂及びポリオキシアルキレン樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂であることがより好ましい。
ポリスチレン及びポリ(メタ)アクリル酸エステルは、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において400℃以下で熱分解し、モノマー単位に分解されるとともに揮発し、ほぼ完全に消滅する。従って、上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂は、ポリスチレン及びポリ(メタ)アクリル酸エステルの内の少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましく、ポリスチレン及びポリ(メタ)アクリル酸エステルの内の少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂に含まれ得るポリオレフィン樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂及びポリオキシアルキレン樹脂としては、以下の化合物が挙げられる。ただし、上記樹脂は、以下の化合物に限定されない。
上記ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン及びその水素添加体、並びにポリイソプレン及びその水素添加体などが挙げられる。ポリブタジエン及びポリイソプレンは、結合−構造異性体の全てを含む。また、上記ポリオレフィン樹脂は、複数種の共重合成分を共重合させた共重合体であってもよい。
上記ポリアセタール樹脂として、ポリビニルアルコールにホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド又はベンズアルデヒドを反応させたポリアセタール樹脂が好適に用いられる。
上記ポリオキシアルキレン樹脂として、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン又はポリオキシテトラメチレン等が好適に用いられる。
特に好ましい樹脂である上記ポリスチレン樹脂として、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリp−メトキシスチレン又はポリ4−tert−ブチルスチレンなどが好適に用いられる。
特に好ましい樹脂であるポリ(メタ)アクリル酸エステルとして、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート又はポリブチル(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。
また、(メタ)アクリル酸エステルのなかでも、側鎖の炭素原子連鎖が4以下である(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。側鎖の炭素原子連鎖が4以下であると、転移により解重合以外の反応が進行し難くなり、加熱により加熱消滅性樹脂がより一層効果的に消滅する。なお、解重合はアクリレートよりもメタクリレートの方が容易に起こるため、(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル酸エステルであることが好ましい。
上記加熱消滅性樹脂の樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂が共重合体である場合には、共重合の態様は特に限定されず、ブロックでもランダムでもよい。
酸化チタン含有ペーストを得る際に、上記加熱消滅性樹脂繊維は、有機バインダ樹脂又は溶剤と混合され、撹拌され、分散される。分散の際に、上記加熱消滅性樹脂繊維は酸化チタン粒子等とともに、激しく撹拌される可能性がある。このような撹拌等によって、上記加熱消滅性樹脂繊維が膨潤したり、溶解したり、あるいは破砕されたりすると、多孔質酸化チタン層に適度な空隙構造を形成することが困難になる傾向がある。また、焼結時に比較的低温で多孔質酸化チタン層の形状が崩れたり、多孔質酸化チタン層が溶融したりしても、多孔質酸化チタン層に適度な空隙構造を形成することが困難になる傾向がある。このため、上記加熱消滅性樹脂繊維は、分散の際の撹拌の剪断応力によっても形状が崩れず、更に焼結時に比較的低温の段階で形状が崩れないことが好ましい。すなわち、上記加熱消滅性樹脂繊維は、堅牢性が高いことが好ましい。
上記加熱消滅性樹脂繊維の堅牢性を高くするためには、堅牢性が高い樹脂を選択して用いればよい。高い堅牢性を実現するために、上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂は、架橋構造を有することが好ましい。
上記架橋構造の導入方法は、用いる樹脂に応じて選択すればよく、特に限定されない。上記架橋構造の導入方法として、架橋剤(架橋性反応剤)を用いる方法、光架橋させる方法、及び電子線架橋させる方法など公知の方法を用いることができる。
上記架橋構造を導入する方法の一例として、架橋剤を用いて、該架橋剤に由来する骨格を上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂に導入する方法がある。上記架橋剤としては、例えば、(メタ)アクリル化合物及びスチレンのようなラジカル重合性基を有する単量体に対して反応可能な複数の官能基を有する材料が挙げられる。上記架橋剤の具体例としては、複数の重合可能な(メタ)アクリロイル基を有するポリオキシアルキレン等が挙げられる。該ポリオキシアルキレンの具体例としては、ポリオキシプロピレン及びポリオキシテトラメチレンが挙げられる。このような架橋剤を用いて、架橋基間に熱分解可能な基を配置することにより、架橋した場合でも熱分解温度を十分低くすることができ、加熱処理による空隙形成に有利になる。従って、上記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂は、上記架橋構造中に、オキシアルキレンユニットを有することが好ましい。上記オキシアルキレンユニットは、オキシプロピレンユニット及びオキシテトラメチレンユニットの内の少なくとも1種のユニットを含むことが好ましく、オキシプロピレンユニット及びオキシテトラメチレンユニットの内の少なくとも1種のユニットであることがより好ましい。
繊維状の加熱消滅性樹脂繊維を得る方法として、公知の方法を用いることができる。一般的にナノレベルの繊維を形成するために、繊維原料となる樹脂を溶媒等に溶かしておき、樹脂と溶媒との相溶性及び極性を調整して相分離させる方法が用いられ、更にセルフアセンブリ法、並びにエレクトロスピニング法を用いることもできる。また、ナノサイズの金型を用いた延伸紡糸法を用いてもよい。
前述した方法を含む方法の中から、繊維形状、繊維径及び繊維長などに応じて、適宜の方法を用いることができる。繊維径及び形状を制御する場合には、エレクトロスピニング法がより好ましい。エレクトロスピニング法とは、加熱消滅性樹脂繊維の原料である樹脂を溶媒に溶かした溶液に、かなり高い電圧をかけることにより、紡糸口より電界に沿ってナノサイズの繊維が飛び出す現象を利用する方法である。エレクトロスピニング法では、多くの研究がなされており、繊維の太さの制御、製造できる繊維の量などを、溶媒の種類、ノズル形状及び電極配置などにより制御できる。エレクトロスピニング装置は市販されている。エレクトロスピニング法では、市販の装置を用いてもよく、比較的簡易な構成であるため自作した装置を用いてもよい。
得られた繊維は、所望の長さに切断して用いることが好ましい。切断方法として、公知の方法を用いることができる。切断方法としては、例えば、レーザー切断、超音波切断、ボールミル又はビーズミルなどのよる切断等が挙げられる。ただし、切断方法はこれらの方法に限定されない。
(2)酸化チタン粒子
本発明に係る酸化チタンペーストに含まれている酸化チタン粒子は特に限定されない。酸化チタン粒子は、酸化チタンペーストの加熱処理(焼成)により、多孔質酸化チタン層となる原料である。多孔質酸化チタン層は、表面積が大きいほど色素を効率よく吸着する。このため、原料である酸化チタン粒子の表面積もできるだけ大きいことが好ましい。
本発明に係る酸化チタンペーストに含まれている酸化チタン粒子は特に限定されない。酸化チタン粒子は、酸化チタンペーストの加熱処理(焼成)により、多孔質酸化チタン層となる原料である。多孔質酸化チタン層は、表面積が大きいほど色素を効率よく吸着する。このため、原料である酸化チタン粒子の表面積もできるだけ大きいことが好ましい。
酸化チタン粒子の表面積を大きくするためには、酸化チタンの一次粒径はできるだけ小さい方が好ましい。このため、酸化チタン粒子の一次粒径は、3〜500nmであることが好ましく、3〜200nmであることがより好ましい。酸化チタン粒子100重量%中、一次粒径3〜500nmである酸化チタン粒子の含有量は60重量%以上であることが好ましい。一次粒径が3nm以上であると、粒子界面での相互作用が小さくなり、粒子の分散が容易になり、更に粒子の合成が容易になって、粒子が安価になる。一次粒径が500nm以下であると、多孔質酸化チタン層の表面積がより一層大きくなる。一次粒径は小さいほどよいが、例えば粒径3〜5nmの小さな酸化チタン粒子のみでは粒子同士が密に合着し、多孔質酸化チタン層の表面積が十分に大きくならない可能性がある。このため、粒径5〜50nmの酸化チタン粒子を主として用いてもよいし、粒径3〜50nmの酸化チタン粒子と、粒径50〜500nmの酸化チタン粒子との2種を混合して用いてもよいし、更に3種以上の異なる粒径の酸化チタン粒子を混合して用いてもよい。
酸化チタン粒子の結晶型として、アナターゼ、ルチル及びブルカイトの3種類が知られている。酸化チタン粒子の結晶型は、アナターゼ型であることが好ましい。アナターゼ型酸化チタンはルチル型酸化チタンよりも反応活性が高く、色素からの電子注入が効率的に起こる。このため、色素増感太陽電池用途において、アナターゼ型酸化チタンは好適に用いられる。
酸化チタン粒子の形状としては、特に限定されず、球状又はその類似形、正八面体状又はその類似形、星状又はその類似形、針状、板状、並びに繊維状等が挙げられる。特に、球形又は正八面体状の類似形の酸化チタン粒子は、入手が容易である。
光散乱効果及び光閉じこめ効果をより一層高める観点からは、酸化チタンの結晶型は、ルチル型であることが好ましい。ルチル型酸化チタンは屈折率が高いため、光散乱効果及び光閉じこめ効果をより一層高めることができ、従って多孔質酸化チタン層における光利用効率を高めることができる。この結果、色素増感太陽電池における光電変換効率を高めることができる。また、長繊維状等の繊維状の酸化チタンを用いて、光散乱効果の向上と電子移動の効率化との双方を、より一層高くすることも可能である。
酸化チタン粒子の市販品としては、例えば、日本アエロジル社製P25及びP90等が挙げられる。ただし、本発明で用いられる酸化チタン粒子は、これらの市販品に限定されない。また、繊維状の酸化チタン粒子は、例えば特開2005−162584号公報に示された方法等により合成できる。さらに、繊維状の酸化チタン粒子の市販品を用いてもよい。
(3)有機バインダ樹脂
本発明に係る酸化チタンペーストは、有機バインダ樹脂を含む。該有機バインダ樹脂は、溶剤に溶解して、酸化チタンペーストの粘度を調整する役割を有する。さらに、上記有機バインダ樹脂は、酸化チタン粒子及び上記加熱消滅性樹脂繊維の分散状態を安定化する役割を有する。上記有機バインダ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る酸化チタンペーストは、有機バインダ樹脂を含む。該有機バインダ樹脂は、溶剤に溶解して、酸化チタンペーストの粘度を調整する役割を有する。さらに、上記有機バインダ樹脂は、酸化チタン粒子及び上記加熱消滅性樹脂繊維の分散状態を安定化する役割を有する。上記有機バインダ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機バインダ樹脂は、上記加熱消滅性樹脂繊維と同様に、酸化チタンペーストの加熱処理時に、消失する性能を有することが好ましい。上記有機バインダ樹脂は、酸化チタン粒子が良好に分散する性能、及び極性溶剤に溶けやすい性能を有することも好ましい。このような観点から、上記有機バインダ樹脂は適宜選択して用いられる。
上記有機バインダ樹脂としては、特に限定されず、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルコールアセタール変性物、ゼラチン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド及びデキストリン等が挙げられる。これらの中でも、色素増感太陽電池の酸化チタン電極を形成するためのペーストの原料として、更に種々のペースト及びインク類の原料として、実績があるのはエチルセルロースである。エチルセルロースは、入手が容易である。エチルセルロースの市販品としては、米国ダウケミカルカンパニーから種々のグレートで販売されている「エトセル(登録商標)」等がある。
エチルセルロースのグレードは、トルエン:エタノール=80:20の溶剤に5%濃度で溶解した際の粘度にて表される。エチルセルロースを用いる場合、該エチルセルロースのグレードは、酸化チタン粒子の粒径又は配合量、上記加熱消滅性樹脂繊維の繊維直径及び繊維長又は配合量、溶剤の種類、及び界面活性剤の配合の有無などにより適宜選択される。上記グレード(粘度)で7〜100cPのエチルセルロースが好適に用いられ、10〜45cPのエチルセルロースがより好適に用いられる。
(4)溶剤
本発明に係る酸化チタンペーストに含まれている溶剤は、特に限定されない。上記溶剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る酸化チタンペーストに含まれている溶剤は、特に限定されない。上記溶剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶剤は、適度な極性と、適度な沸点及び蒸気圧とを有することが好ましい。このような観点から、上記溶剤は適宜選択して用いられる。
上記溶剤の極性は、酸化チタン粒子を分散性に影響する。酸化チタン粒子の表面には酸素原子が配置しているため、上記溶剤は、水素結合可能な水酸基を有するアルコール類又はアミド類であることが好ましい。酸化チタンペーストの保存時に各成分の濃度が大きく変化しないように、溶剤はある程度沸点が高く、飽和蒸気圧が低いことが好ましい。また、焼成時に、揮発するように、酸化チタンペーストの焼成温度(例えば400℃)以下の沸点を有し、かつ、揮発前に分解等により残渣を形成しない溶剤が好ましい。
上記溶剤としては、例えば、アルコール類、アミド類、スルホキシド類、アミン類、環状エーテル類、エステル類、天然アルコール類及び水等が挙げられる。上記アルコール類としては、ブチルアルコール、ベンジルアルコール及びブチルカルビトール等が挙げられる。上記アミド類としては、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等が挙げられる。上記スルホキシド類としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。上記アミン類としては、n−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。上記環状エーテル類としては、ジオキサン等が挙げられる。上記グリコールエーテル類としては、エチルセロソルブ及びメチルセロソルブ等が挙げられる。上記エステル類としては、ジブチルフタレート等が挙げられる。上記天然アルコール類としては、テルピネオール等が挙げられる。これらの中でも、ペーストの溶剤として実績があり、本発明の目的に合致したものとして、テルピネオールが挙げられる。テルピネオールは市販されており、安価であり、かつ大量に容易に入手できる。
(5)添加剤
本発明に係る酸化チタンペーストは、必要に応じて、酸化チタン粒子、上記加熱消滅性樹脂繊維、上記有機バインダ樹脂、及び溶剤以外の添加剤を含んでいてもよい。
本発明に係る酸化チタンペーストは、必要に応じて、酸化チタン粒子、上記加熱消滅性樹脂繊維、上記有機バインダ樹脂、及び溶剤以外の添加剤を含んでいてもよい。
上記添加剤としては、界面活性剤などの分散剤、分散安定剤、消泡剤、酸化防止剤、着色剤及び粘度調整剤等が挙げられる。
酸化チタンペーストを安定化させるためには、本発明に係る酸化チタンペーストは、分散剤をさらに含むことが好ましい。
塩などの強イオン性の分散剤は、酸化チタンへのアルカリ金属等の付着による性能変化を引き起こす可能性が高い。このため、非アルカリ金属性の分散剤が好ましい。ノニオン性又はイオン性であっても、非アルカリ金属性の分散剤は好適に用いられる。
上記分散剤としては、特に限定されず、例えば、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸類、及びポリエチレングリコール脂肪酸エステル類等が挙げられる。
酸化チタン粒子、加熱消滅性樹脂繊維及び添加剤の種類及び濃度により、分散性を高めるために、上記分散剤は適宜選択される。高い分散性を得る観点からは、上記分散剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸類であることが好ましい。
(6)酸化チタンペーストの詳細
本発明に係る酸化チタンペーストは、酸化チタン粒子と、加熱消滅性樹脂繊維と、有機バインダ樹脂と、溶剤とを含む。酸化チタンペーストは、好ましくは、分散剤をさらに含む。
本発明に係る酸化チタンペーストは、酸化チタン粒子と、加熱消滅性樹脂繊維と、有機バインダ樹脂と、溶剤とを含む。酸化チタンペーストは、好ましくは、分散剤をさらに含む。
酸化チタンペースト100重量%中、酸化チタン粒子の含有量は5〜40重量%であることが好ましい。酸化チタンペースト100重量%中、酸化チタン粒子の含有量のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は30重量%である。酸化チタン粒子の含有量が上記下限を満たすと、適度な膜厚にペーストを塗布でき、また、粘度調整のために有機バインダ樹脂等を過剰に加える必要がなくなる。酸化チタン粒子の含有量が上記上限を満たすと、ペーストの粘度が適度になり、ペーストの塗布が容易になり、更にペーストの塗布後の膜厚が厚くなりすぎない。上記酸化チタン粒子の含有量が10〜30重量%であると、全体の濃度調整が比較的容易になり、また、適度な厚みの多孔質酸化チタン層を形成できる。
酸化チタンペースト100重量%中、上記加熱消滅性樹脂繊維の含有量は2〜60重量%であることが好ましい。酸化チタンペースト100重量%中、上記加熱消滅性樹脂繊維の含有量のより好ましい下限は2.5重量%、より好ましい上限は40重量%である。上記加熱消滅性樹脂繊維の含有量の更に好ましい下限は3重量%、更に好ましい上限は20重量%である。上記加熱消滅性樹脂繊維の含有量が上記下限を満たすと、多孔質酸化チタン層に適度な空隙構造を形成でき、多孔質酸化チタン層の表面積を十分に大きくすることができる。上記加熱消滅性樹脂繊維の含有量が上記上限を満たすと、焼成後に得られる多孔質酸化チタン層の密度が十分に高くなり、電極としての電導性が高くなり、更に多孔質酸化チタン層の強度がより一層高くなる。上記加熱消滅性樹脂繊維の含有量が3〜40重量%であると、上記加熱消滅性樹脂繊維の添加による効果が顕著に高くなり、焼成後に得られる多孔質酸化チタン層の表面積が大きくなり、より一層好ましい多孔質構造となり、光電変換効率がより一層高い色素増感太陽電池を提供することが可能になる。
酸化チタンペースト100重量%中、上記有機バインダ樹脂の含有量は3〜30重量%であることが好ましい。上記有機バインダ樹脂の含有量が上記下限を満たすと、ペーストの分散安定性がより一層高くなる。上記有機バインダ樹脂の含有量が上記上限を満たすと、ペーストの粘度が高くなりすぎず、ペーストを基材に容易に塗布できる。
酸化チタンペースト100重量%中、溶剤の含有量は30〜89重量%であることが好ましい。酸化チタンペースト100重量%中、溶剤の含有量のより好ましい上限は85重量%である。溶剤の含有量が上記下限を満たすと、ペーストの流動性が適度になり、基材にペーストを塗布することが容易になる。上記溶剤の含有量が上記上限を満たすと、ペーストの粘度が適度になり、適度な膜厚にペーストを容易に塗布でき、更にペーストの粘度が適度になり、ペーストの分散安定性がより一層高くなる。
本発明に係る酸化チタンペーストが分散剤を含む場合に、該分散剤の含有量は、酸化チタン、加熱消滅性樹脂繊維、有機バインダ樹脂及び溶剤の濃度及び種類により、適宜選択される。酸化チタン粒子100重量部に対して、上記分散剤の含有量は、好ましい範囲の一例を挙げると、1〜30重量部である。
また、分散剤以外の他の添加剤の含有量も、添加の目的に応じて、適宜選択される。
酸化チタンペーストを調製する際に、ペースト成分の混合順は特に限定されない。酸化チタン粒子及び加熱消滅性樹脂繊維が良好な分散状態となるように、適宜の混合順でペースト成分は混合される。
ペースト成分を混合する際に、分散機を用いることが好ましい。該分散機として、公知の分散機を用いることができる。上記分散装置としては、特に限定されず、ボールミル、ビーズミル、ブレンダーミル、超音波ミル、ペイントシェイカー、ホモジナイザー、ディスパー、撹拌羽根式ミキサー、3本ロール、ヘンシェルミキサー及び自転公転型ミキサー等が挙げられる。また、混合時に、加熱、冷却、加圧又は減圧を行ってもよい。
酸化チタンペーストは、例えば、以下のようにして得ることができる。ただし、酸化チタンペーストの調製方法は、以下の方法に限定されない。
酸化チタン粒子を、低粘度及び低沸点である溶剤(例えばエタノール)に添加し、混合し、自転公転型ミキサー又は撹拌羽根式ミキサーにて分散させ、分散液を得る。得られた分散液を、ボールミル又はビーズミルなどにて、より激しく更に撹拌し、一次粒子レベルまで分散を行う。分散の程度をレーザー散乱又は回折方式等の粒度分布計等にて確認して、撹拌条件、温度及び時間をそれぞれ好ましい範囲にて、分散を行う。次に、分散液に、有機バインダ樹脂(例えばエチルセルロース)を溶解させた溶剤(例えばターピネオール)を添加し、分散機(例えば自転公転型ミキサー)にて混合する。その後、分散液を撹拌しながら減圧し、低沸点溶剤を除去し、分散安定性に優れた酸化チタンペーストを得る。
酸化チタンペースト中に分散剤を添加する場合は、該分散剤は、最初の低粘度及び低沸点である溶剤と酸化チタンの混合時に添加してもよいし、高沸点溶剤の混合時に添加してもよい。また、低粘度及び低沸点である溶剤中に、有機バインダ樹脂を予め溶解させてもよいし、低粘度及び低沸点である溶剤を用いずに、酸化チタン粒子を高沸点溶剤に添加してもよい。
2.多孔質酸化チタン積層体及びその製造方法
図1に、本発明の一実施形態に係る酸化チタンペーストを用いた多孔質酸化チタン積層体の一例を模式的に断面図で示す。
図1に、本発明の一実施形態に係る酸化チタンペーストを用いた多孔質酸化チタン積層体の一例を模式的に断面図で示す。
図1に示す多孔質酸化チタン積層体1は、基材2と、基材2の一方の表面2aに積層された多孔質酸化チタン層3とを備える。基材2は、基材本体4と、該基材本体4の一方の表面4aに積層された導電層5とを有する。導電層5の基材本体4が積層されている一方の表面5aとは反対側の他方の表面5bに、多孔質酸化チタン層3が積層されている。多孔質酸化チタン層3は、多孔質であり、空隙構造を有する。なお、図1では、多孔質酸化チタン層3は略図的に示されており、多孔質構造及び空隙構造の図示は省略されている。
本発明に係る酸化チタンペーストは、基材と該基材の表面に積層された多孔質酸化チタン層とを備える多孔質酸化チタン積層体を得るために好適に用いられる。
上記多孔質酸化チタン積層体を得る際には、例えば、先ず、上記酸化チタンペーストを基材上に塗布し、基材上に酸化チタンペースト層を形成する。
次に、上記酸化チタンペースト層を、例えば500℃以下で加熱処理することにより、上記酸化チタン粒子を焼結させて、かつ上記加熱消滅性樹脂繊維の一部又は全部を消滅させて、基材上に多孔質酸化チタン層を形成する。上記酸化チタン粒子を焼結させるための上記加熱処理の時間は1時間以上であることが好ましい。このようにして、上記多孔質酸化チタン積層体を得ることができる。なお、上記酸化チタンペースト層を加熱する際に、上記加熱消滅性樹脂繊維の大部分は消滅する。上記多孔質酸化チタン層を形成する工程において、上記加熱消滅性樹脂繊維を99重量%以上消滅させるように加熱処理することが好ましく、99.5重量%以上消滅させるように加熱処理することがより好ましく、99.9重量%以上消滅させるように加熱処理することが更に好ましい。
(1)基材
上記多孔質酸化チタン積層体の用途は特に限定されない。上記多孔質酸化チタン積層体の有用な用途の1つとして、色素増感太陽電池の光電極が挙げられる。
上記多孔質酸化チタン積層体の用途は特に限定されない。上記多孔質酸化チタン積層体の有用な用途の1つとして、色素増感太陽電池の光電極が挙げられる。
上記多孔質酸化チタン積層体を、色素増感太陽電池の光電極として用いる場合、多孔質酸化チタン層に可視光が入射する必要がある。このため、多孔質酸化チタン積層体において用いられる基材は、可視光を透過する透明基材であることが好ましい。上記基材の材料は、ガラスであることが好ましく、上記基材はガラス基材であることが好ましい。特に、色素増感太陽電池の光電変換効率を高めるためには、基材の可視光透過率が高いほどよく、基材の可視光透過率は、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましく、85%以上であることが特に好ましい。基材として、可視光を85%以上透過する透明基材を用いることが好ましい。可視光は、波長400〜780nmの光を意味する。積分球付きの透過率光度計にて、上記可視光透過率を測定できる。紫外−可視分光光度計の透過光強度の平均値から、上記可視光透過率の概略値を求めることも可能である。
上記基材の材料は、特に限定されない。上記基材の材料は、可視光を透過する材料であることが好ましい。上記基材の材料としては、プラスチック及びガラス等が挙げられる。
上記基材の材料であるプラスチックとしては、特に限定されず、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂及びポリアミド樹脂等が挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(PET)は、透明耐熱フィルムとして大量に生産及び使用されている。薄く、軽く、かつフレキシブルな色素増感太陽電池を製造する観点からは、上記基材はPETフィルムであることが好ましい。
上記基材の材料であるガラスとしては、特に限定されず、ソーダライムガラス、硼珪酸ガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、バイコールガラス、無アルカリガラス、青板ガラス及び白板ガラスなどの一般的なガラスが挙げられる。
上記多孔質酸化チタン層を形成する際には、基材上に上記酸化チタンペーストを塗布し、焼結させる方法が一般的である。酸化チタンの加熱処理温度(焼成温度)は後述するが、一般に300℃以上の焼成温度が好ましいことから、耐熱性の劣るプラスチック基材よりもガラス基材の方が好ましい。低温焼成可能な酸化チタンペーストを用いる場合には、プラスチック基材を用いてもよい。
上記基材は、導電性を有することが好ましく、導電性基材であることが好ましい。上記多孔質酸化チタン積層体を色素増感太陽電池に用いる場合、光電極材料である多孔質酸化チタン層において光反応により生じた電子を外部に取り出すためには、多孔質酸化チタン層が導電材料と接しており、この導電材料を通じて電子が外部に取り出される必要がある。
導電性を有するように、上記基材は、表面に導電層を有することが好ましく、基材本体と、該基材本体の表面に積層された導電層とを有することが好ましい。上記基材は、基材本体と、該基材本体の表面に積層された導電層とを有する導電性基材であることが好ましい。多孔質酸化チタン層が接する基材の表面層全体が導電性を有すると、内部抵抗が減少し、この結果色素増感太陽電池において、トータルとしての光電変換効率が向上する。
上記導電層の材料としては、金属、金属酸化物及び導電性高分子等が挙げられる。上記多孔質酸化チタン積層体を色素増感太陽電池に用いる場合などには、導電層を有する基材は透明であることが好ましい。従って、上記導電層の材料は、金属酸化物又は導電性高分子等の透明導電材料であることが好ましい。上記多孔質酸化チタン積層体を形成する際に、上記酸化チタンペーストを焼成させるため、上記導電層の材料は、金属酸化物であることが好ましい。金属酸化物は、導電性高分子よりも耐熱性が高い。
金属酸化物である透明導電材料としてよく知られている材料としては、酸化インジウム/酸化スズ(ITOと呼ぶことがある)、フッ素ドープ酸化スズ(FTOと呼ぶことがある)、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO呼ぶことがある)、酸化インジウム/酸化亜鉛(IZOと呼ぶことがある)、酸化ガリウム/酸化亜鉛(GZOと呼ぶことがある)及び酸化チタン等が挙げられ、これらが好適に用いられる。これらの中でも、伝導度が高いITOと耐熱性及び耐候性に優れたFTOとが特に好適に用いられる。上記導電層の材料は、ITO及びFTOの内のいずれか1種を含むことが好ましい。上記導電層は、単層であってもよく、複数層であってもよい。耐熱性の向上を目的として、ITO導電層上にATO導電層を積層した積層透明導電層等を使用できる。
(2)多孔質酸化チタン層の形成方法
上記多孔質酸化チタン層を形成する際には、上記基材上に、酸化チタンペーストを塗布する。塗布方法は特に限定されず、塗布方法として公知の方法が用いられる。塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、スピンコート法、スキージ法及びドクターブレード法等が挙げられる。基材本体と、基材本体の表面に導電層とを有する基材を用いる場合には、上記酸化チタンペーストは、導電層上に塗布されることが好ましい。
上記多孔質酸化チタン層を形成する際には、上記基材上に、酸化チタンペーストを塗布する。塗布方法は特に限定されず、塗布方法として公知の方法が用いられる。塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、スピンコート法、スキージ法及びドクターブレード法等が挙げられる。基材本体と、基材本体の表面に導電層とを有する基材を用いる場合には、上記酸化チタンペーストは、導電層上に塗布されることが好ましい。
多孔質酸化チタン層の厚みは、酸化チタンの多孔度により適宜選択される。多孔質酸化チタン積層体を色素増感太陽電池に用いることを考慮すると、焼結後の多孔質酸化チタン層の厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは3〜20μmである。多孔質酸化チタン層の厚みが1μm以上であると、光を十分に活用することができ、色素増感太陽電池における光電変換効率がより一層高くなる。多孔質酸化チタン層の厚みが30μm以下であると、光を有効利用でき、酸化/還元反応種の拡散抵抗が小さくなり、電極自体の抵抗が小さくなるため、色素増感太陽電池における光電変換効率がより一層高くなる。多孔質酸化チタン層の厚みは、焼結後における厚みである。焼結前の上記酸化チタンペースト層の厚み、すなわち塗布厚みは、一般的に焼結後の多孔質酸化チタン層の厚みよりも厚くされる。焼結前の上記酸化チタンペースト層の厚みと、焼結後の多孔質酸化チタン層の厚みとは、酸化チタンペーストにおける各成分の濃度及び各成分の配合比により適宜選択される。実際に塗布及び焼結して、厚みを調整することが好ましい。
基材上に酸化チタンペーストを塗布した後、加熱処理して、酸化チタン粒子を焼結させる。加熱処理の温度は、好ましくは200〜500℃であり、より好ましくは300〜450℃である。加熱温度が200℃以上であると、酸化チタンを十分に焼結させることができ、多孔質酸化チタン層に有機バインダ樹脂の残渣等の不純物が残り難くなり、電極抵抗が低くなる。加熱温度が500℃以下であると、導電層が劣化し難くなり、更に基材と多孔質酸化チタン層との熱線膨張係数の差が小さくなり、多孔質酸化チタン層が破断し難くなる。加熱時に減圧することが好ましく、更に酸素を除くことが好ましい。減圧により、上記加熱消滅性樹脂繊維の分解物(解重合モノマー)及び有機バインダ樹脂の分解物を効率的に除去でき、更に導電層の酸化劣化を防止できる。酸素を除き、窒素又はアルゴン等の不活性ガス中で焼成することにより、導電層の酸化劣化を防止できる。脱酸素プロセスは、減圧プロセスと比較して、安価に実現可能であり、かつ多孔質酸化チタン積層体の連続生産にも適している。一般的に、低酸素状態では焼結時の有機物の分解及び除去が不完全になりやすい。上記加熱消滅性樹脂繊維は不活性ガス(例えば窒素)雰囲気下においても効率的に消滅するため、低酸素濃度で焼結を行うことがより有効である。
焼結に用いる熱源及び装置として、公知の熱源及び装置を使用きる。熱源として、電熱ヒーター、遠赤外線、誘導加熱又はマイクロ波等を用いた熱源が挙げられる。上記装置として、通常のオーブン等を用いることができる。上記装置は、ガス置換により酸素を低減できる機構、又は減圧できる機構を有することが好ましい。上記オーブンは、金属又は他の不純物のコンタミネーションを防止できるクリーンなオーブン等であることが好ましい。
加熱処理時間(焼結時間)は、酸化チタンペーストに含まれている各成分、用いる装置等により、適宜選択される。加熱処理時間は、通常10分から10時間、好ましくは30分から3時間である。加熱処理時間は、1時間以上であることが特に好ましい。加熱処理時間が10分未満であると、多孔質酸化チタン層に有機バインダ樹脂等が残りやすくなる。さらに、酸化チタン粒子同士の溶融接合等も起こりにくくなる可能性がある。加熱処理時間が10時間を超えると、多孔質酸化チタン積層体の生産性が大きく低下し、製造コストが高くなりすぎる可能性がある。
酸化チタン粒子を焼結させるために、特定の温度にて一定時間加熱処理(焼成)してもよいし、連続的又は段階的に温度を上げて加熱処理してもよい。酸化チタンペーストの性状に応じて、好ましい加熱処理方法が適宜採用される。連続的又は段階的に温度を上げて加熱処理する方法が特に好ましい。この方法により、多孔質酸化チタン層と基材との線膨張係数の違いによる多孔質酸化チタン層の剥離及び割れなどを生じ難くすることができる。
段階的に温度を挙げて加熱処理する方法としては、例えば、100℃〜180℃程度の温度まで加熱する第一のステップの後、更に20℃ずつ昇温する中間ステップを経て、200℃〜450℃程度の温度まで加熱する最終ステップを経る方法を例示できる。中間ステップの昇温の度合いは、例えば、20〜100℃の範囲で適宜調整される。更に、連続的な温度上昇と段階的な温度上昇とを組み合わせて加熱処理してもよい。
加熱処理後は、温度が十分に下がってから、多孔質酸化チタン積層体を取り出すことが好ましい。これは酸素による透明性又は導電性の低下を防止するためである。多孔質酸化チタン積層体を得る各工程を、真空中又は不活性ガス中で行う場合には、比較的温度が高い状態にて、多孔質酸化チタン積層体を外部に取り出すこともできる。
上記多孔質酸化チタン層を形成するために、基材上に、同一の酸化チタンペーストを複数回重ねて塗布してもよいし、異なる酸化チタンペーストを複数回重ねて塗布してもよい。異なる酸化チタンペーストを重ねて塗布する際には、1回の塗布が終了した後に加熱処理して、加熱処理後にさらに塗布が行われてもよいし、加熱処理前にまとめて塗布してもよい。また、1回の塗布が終了した後に加熱焼成する際にも、塗布された複数の酸化チタンペースト層をそれぞれ、異なる温度で加熱処理してもよい。このように複数回の塗布を行うと、数μm以上の厚みの多孔質酸化チタン層を形成する際に、剥離及び割れを抑制できる。さらに、異なる酸化チタンペーストを複数重ねて塗布する際には、例えば、多孔質酸化チタン層における多孔度、密度及び表面積等を傾斜構造にすることができる。たとえば、基材に近い多孔質酸化チタン層を緻密な層とし、基材から遠ざかるにつれて、徐々に粗い層とすることにより、光電変換効率が高い色素増感太陽電池を得ることができる。
上記酸化チタン粒子は、四塩化チタン及びチタンアルコキシド等で表面処理されていてもよい。また、基材上に塗布された酸化チタンペースト層は、四塩化チタン及びチタンアルコキシド等で表面処理されていてもよい。これらの処理により、加熱処理時に、酸化チタン粒子同士の結合を促進でき、多孔質酸化チタン層の表面積を大きくすることができる。
3.色素増感太陽電池
図2に、本発明の他の実施形態に係る酸化チタンペーストを用いた色素増感太陽電池の一例を模式的に断面図で示す。
図2に、本発明の他の実施形態に係る酸化チタンペーストを用いた色素増感太陽電池の一例を模式的に断面図で示す。
図2に示す色素増感太陽電池11は、多孔質酸化チタン積層体1Aを備える。多孔質酸化チタン積層体1Aは、多孔質酸化チタン積層体1における多孔質酸化チタン層3に増感色素を吸着させて、増感色素が吸着された多孔質酸化チタン層3Aを形成した多孔質酸化チタン積層体である。多孔質酸化チタン積層体1Aは、基材2と、該基材の表面2aに積層された増感色素が吸着された多孔質酸化チタン層3Aとを有する。多孔質酸化チタン層3Aは、上記酸化チタンペーストを用いて形成されている。従って、色素増感太陽電池11は、酸化チタンペーストを用いて形成された多孔質酸化チタン層3Aを色素増感太陽電池用電極材料として有する。多孔質酸化チタン層3Aは、色素増感太陽電池用電極材料である。また、色素増感太陽電池11は、多孔質酸化チタン積層体1Aを色素増感太陽電池用電極として有する。多孔質酸化チタン積層体1Aは色素増感太陽電池用電極である。なお、図2では、多孔質酸化チタン層3Aは略図的に示されており、多孔質構造及び空隙構造の図示は省略されている。
色素増感太陽電池11は、色素増感太陽電池用電極である多孔質酸化チタン積層体1Aの対向電極として、基材12と、該基材の一方の表面12aに積層された導電層13とを備える積層体を有する。多孔質酸化チタン層3Aと、導電層13との間に、電解質溶液14が配置されている。導電層5と導電層13とに、外部の回路に光電変換により生じた電力を供給するためのリード線15が接続されている。
色素増感太陽電池11により発電を行う際には、例えば、基材2の多孔質酸化チタン層3Aが積層されている一方の表面2aとは反対側の他方の表面2b側から、図2に矢印Xを付して示すように光が照射される。
このように上記多孔質酸化チタン積層体の一つの用途として、色素増感太陽電池用電極が挙げられる。色素増感太陽電池は、次世代のエネルギー源として期待されているデバイスである。本発明に係る酸化チタンペースト、及び該酸化チタンペーストを用いた多孔質酸化チタン積層体は、色素増感太陽電池に好適に用いることができる。
上記多孔質酸化チタン積層体を用いて、色素増感太陽電池を製造する方法としては、以下の方法が挙げられる。ただし、色素増感太陽電池の製造方法は、以下の方法に限定されない。
上記多孔質酸化チタン積層体を光電極とするために、該多孔質酸化チタン層に色素を吸着させる。上記色素は特に限定されない。上記色素として、一般的に色素増感太陽電池に使用されている色素を用いることができる。上記色素としては、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)(N3と呼ばれることがある)、該シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウムのビス−テトラブチルアンモニウム塩(N719と呼ばれることがある)、トリ(チオシアナト)−(4,4’,4’’−トリカルボキシ−2,2’:6’,2’’−ターピリジン)ルテニウム(ブラックダイと呼ばれることがある)などのルテニウム色素系等が挙げられる。また、上記色素として、クマリン系、ポリエン系、シアニン系、ヘミシアニン系、チオフェン系、インドリン系、キサンテン系、カルバゾール系、ペリレン系、ポルフィリン系、フタロシアニン系、メロシアニン系、カテコール系及びスクアリリウム系等の各種有機色素等が挙げられる。さらに、これらの色素を組み合わせたドナー−アクセプター複合色素等を、上記色素として用いることともできる。
上記色素をアルコールなどの溶剤に溶かした溶液中に、多孔質酸化チタン積層体を浸漬する。浸漬時の溶液温度は特に限定されない。該溶解温度は10〜90℃であることが好ましい。浸漬時間は、30分〜50時間であることが好ましい。浸漬温度と浸漬時間との組み合わせは、用いる色素と多孔質酸化チタン層の組合せに応じて設定できる。
浸漬後に多孔質酸化チタン積層体を上記溶液から取り出し、必要に応じてアルコール洗浄する。このようにして色素を吸着させた多孔質酸化チタン積層体を用いて、該多孔質酸化チタン積層体と対向電極との間に、多孔質酸化チタン層に接するように電解質溶液を配置することにより、色素増感太陽電池を得ることができる。また、必要に応じて電解質溶液は封止される。
上記電解質溶液としては、アセトニトリル又はプロピオニトリルなどの非水系電解質溶剤等が挙げられる。また、上記電解質溶液としては、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム又はヨウ化ブチルメチルイミダゾリウムなどのイオン液体などの液体成分に、ヨウ化リチウム等の支持電解質と、ヨウ素とが混合された溶液等が挙げられる。なお、上記電解質溶液は、上述の電解質溶液に限定されない。逆電子移動反応を防止するために、上記電解質溶液は、t−ブチルピリジンを含むことがある。近年、色素増感太陽電池の耐久性を向上させるため、疑固体又は固体電解質が用いられることもある。上記電解質溶液の材料として、疑固体及び固体電解質を用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
(材料)
本実施例にて使用した材料は、特に断りのない限り、和光純薬社製の材料を精製せずに用いた。
本実施例にて使用した材料は、特に断りのない限り、和光純薬社製の材料を精製せずに用いた。
(製造例1)加熱消滅性樹脂繊維の製造:
メタクリル酸イソブチル90gとスチレン10gとを混合したモノマー合計100gをTHF(テトラヒドロフラン)300gに溶かした後、重合器に入れた。重合器内を減圧し、重合器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内を窒素雰囲気とした。この重合器内の温度を60℃まで昇温した。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1gとTHF100gとを含む溶液を重合器内に添加し、4時間重合した。得られた重合液を室温まで冷却し、大量のメタノールに入れ、真空乾燥することにより、白色のポリマー塊を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は59,000、コンバージョンは85%であった。これをポリマーAと呼ぶ。
メタクリル酸イソブチル90gとスチレン10gとを混合したモノマー合計100gをTHF(テトラヒドロフラン)300gに溶かした後、重合器に入れた。重合器内を減圧し、重合器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内を窒素雰囲気とした。この重合器内の温度を60℃まで昇温した。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1gとTHF100gとを含む溶液を重合器内に添加し、4時間重合した。得られた重合液を室温まで冷却し、大量のメタノールに入れ、真空乾燥することにより、白色のポリマー塊を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は59,000、コンバージョンは85%であった。これをポリマーAと呼ぶ。
上記ポリマーA15重量%とTHF85重量%とを含む溶液を用意した。この溶液を用いてエレクトロスピニング法により、エレクトロスピニング装置にて、電場強度1.0kV/cmとなるように、印加電圧を10kV及び電極間距離を10cmに調整して、繊維堆積物を得た。
得られた繊維堆積物をエタノールに分散し、ビーズミル(アイメックス社製;ビーズ径0.05mm)にて15分間分散し、切断し、加熱消滅性樹脂繊維を得た。
得られた加熱消滅性樹脂繊維を電子顕微鏡(日本電子社製、JMS6700F)にて確認したところ、平均繊維直径が60nm、平均繊維長が800nmであった。得られた加熱消滅性樹脂繊維を繊維Aと呼ぶ。
なお、後述の製造例2〜6でも、平均繊維直径及び平均繊維長は、電子顕微鏡(日本電子社製、JMS6700F)にて確認した。
(製造例2)
製造例1と同様にして得られた繊維堆積物をエタノールに分散し、ビーズミル(ビーズ径0.10mm)にて15分間分散し、切断し、加熱消滅性樹脂繊維を得た。
製造例1と同様にして得られた繊維堆積物をエタノールに分散し、ビーズミル(ビーズ径0.10mm)にて15分間分散し、切断し、加熱消滅性樹脂繊維を得た。
得られた加熱消滅性樹脂繊維では、平均繊維直径が60nm、平均繊維長が500nmであった。得られた加熱消滅性樹脂繊維を繊維Bと呼ぶ。
(製造例3)
モノマーとして、メチルメタクリレート80gとスチレン20gとを混合したモノマー合計100gを用いたこと以外は製造例1と同様にして重合を行ったところ、得られたポリマーの重量平均分子量は146,000、コンバージョンは88%であった。これをポリマーBと呼ぶ。
モノマーとして、メチルメタクリレート80gとスチレン20gとを混合したモノマー合計100gを用いたこと以外は製造例1と同様にして重合を行ったところ、得られたポリマーの重量平均分子量は146,000、コンバージョンは88%であった。これをポリマーBと呼ぶ。
上記ポリマーB15重量%とTHF85重量%とを含む溶液を用意した。この溶液を用いてエレクトロスピニング法により、エレクトロスピニング装置にて、電場強度1.0kV/cmとなるように、印加電圧を10kV及び電極間距離を10cmに調整して、繊維堆積物を製造した。
得られた繊維堆積物をエタノールに分散し、ビーズミル(ビーズ直径0.05mm)にて10分間分散し、切断した。
得られた加熱消滅性樹脂繊維では、平均繊維直径が120nm、平均繊維長が1.4μmであった。得られた加熱消滅性樹脂繊維を繊維Cと呼ぶ。
(製造例4)
製造例3と同様にして得られた繊維堆積物をエタノールに分散し、ビーズミル(ビーズ径0.10mm)にて15分間分散し、切断した。
製造例3と同様にして得られた繊維堆積物をエタノールに分散し、ビーズミル(ビーズ径0.10mm)にて15分間分散し、切断した。
得られた加熱消滅性樹脂繊維では、平均繊維直径が120nm、平均繊維長が1.0μmであった。得られた加熱消滅性樹脂繊維を繊維Dと呼ぶ。
(製造例5)
製造例3と同様にして得られた繊維堆積物100重量部を、エタノール80重量%とTHF20重量%とポリオキシプロピレンジメタクリレート(日本油脂社製ブレンマーPDP−400)10重量%とを含む溶液100重量部に入れ、膨潤させた後、乾燥させ、更に60℃にて4時間加熱した。得られた繊維堆積物を、エタノール80重量%とTHF20重量%とを含む混合溶媒に入れ、十分に洗浄した後、60℃及び1.33kPaにて12時間乾燥した。
製造例3と同様にして得られた繊維堆積物100重量部を、エタノール80重量%とTHF20重量%とポリオキシプロピレンジメタクリレート(日本油脂社製ブレンマーPDP−400)10重量%とを含む溶液100重量部に入れ、膨潤させた後、乾燥させ、更に60℃にて4時間加熱した。得られた繊維堆積物を、エタノール80重量%とTHF20重量%とを含む混合溶媒に入れ、十分に洗浄した後、60℃及び1.33kPaにて12時間乾燥した。
樹脂中に架橋構造を有する得られた繊維堆積物をエタノールに分散し、ビーズミル(ビーズ直径0.05mm)にて10分間分散し、切断した。
得られた加熱消滅性樹脂繊維では、平均繊維直径が140nm、平均繊維長が1.3μmであった。得られた加熱消滅性樹脂繊維を繊維Eと呼ぶ。
(製造例6)
ポリオキシプロピレングリコールジメタクリレートをテトラメチレングリコールジメタクリレート(日立化成工業社製FA−124M)に変更したこと以外は製造例5と同様にして、加熱消滅性樹脂繊維を得た。
ポリオキシプロピレングリコールジメタクリレートをテトラメチレングリコールジメタクリレート(日立化成工業社製FA−124M)に変更したこと以外は製造例5と同様にして、加熱消滅性樹脂繊維を得た。
得られた加熱消滅性樹脂繊維では、平均繊維直径が140nm、平均繊維長が1.4μmであった。得られた加熱消滅性樹脂繊維を繊維Fと呼ぶ。
(比較製造例1)
モノマー成分として、ジビニルベンゼン5重量部とスチレン95重量部とを混合したモノマー100重量部全量を、アニオン系界面活性剤ネオゲンS−20F(第一工業製薬社製)1重量%水溶液100重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
モノマー成分として、ジビニルベンゼン5重量部とスチレン95重量部とを混合したモノマー100重量部全量を、アニオン系界面活性剤ネオゲンS−20F(第一工業製薬社製)1重量%水溶液100重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた2リットルの重合器を用意した。この重合器内を減圧し、重合器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内を窒素雰囲気とした。この重合器内に、水200重量部を入れ、重合器内の温度を70℃まで昇温した。その後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5重量部と上記乳化懸濁液のうち8重量部をシードモノマーとして、重合器内に添加し、重合を開始した。30分熟成させた後に、残りの乳化懸濁液を2時間かけて滴下した。さらに2時間熟成させた後、重合器内の温度を室温まで冷却して、樹脂粒子を含むスラリーを得た。得られた樹脂粒子の粒子径は132nmであった。
得られた分散液であるスラリーを、遠心分離にて水で5回洗浄し、さらに遠心分離機を用いてエタノールに置換し、樹脂粒子を含むエタノール分散液を得た。得られた樹脂粒子を粒子Xと呼ぶ。
(繊維A〜F及び粒子Xの熱物性)
上記製造例1〜6及び比較製造例1にて得られた繊維A〜F及び粒子Xの熱物性を下記の表1に示す。
上記製造例1〜6及び比較製造例1にて得られた繊維A〜F及び粒子Xの熱物性を下記の表1に示す。
熱物性は熱重量分析計(DSC−6200、セイコーインスツルメンツ社製)を用い、昇温速度5℃にて測定を行い、空気及び窒素下における熱重量分析を行い、重量が0となる温度を示した。
(酸化チタンペースト)
(実施例1)
酸化チタン粒子(日本アエロジル社製;P25)15gと、繊維A5gと、有機バインダ樹脂(ダウケミカル社製;エトセルEC−100)10gと、溶剤(ヤスハラケミカル社製;テルピネオール)80gとを混合し、混合物を得た。得られた混合物を、撹拌式ホモジナイザーで10分間撹拌し、更にビーズミル(アイメックス社製RMB、ビーズ直径0.05mm)にて、20分間分散させた。得られたペーストをペーストAと呼ぶ。
(実施例1)
酸化チタン粒子(日本アエロジル社製;P25)15gと、繊維A5gと、有機バインダ樹脂(ダウケミカル社製;エトセルEC−100)10gと、溶剤(ヤスハラケミカル社製;テルピネオール)80gとを混合し、混合物を得た。得られた混合物を、撹拌式ホモジナイザーで10分間撹拌し、更にビーズミル(アイメックス社製RMB、ビーズ直径0.05mm)にて、20分間分散させた。得られたペーストをペーストAと呼ぶ。
(実施例2)
繊維Aを繊維Bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペーストを得た。得られたペーストをペーストBと呼ぶ。
繊維Aを繊維Bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペーストを得た。得られたペーストをペーストBと呼ぶ。
(実施例3)
繊維Aを繊維Cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペーストを得た。得られたペーストをペーストCと呼ぶ。
繊維Aを繊維Cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペーストを得た。得られたペーストをペーストCと呼ぶ。
(実施例4)
繊維Aを繊維Dに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペーストを得た。得られたペーストをペーストDと呼ぶ。
繊維Aを繊維Dに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペーストを得た。得られたペーストをペーストDと呼ぶ。
(実施例5)
繊維Aを繊維Eに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペーストを得た。得られたペーストをペーストEと呼ぶ。
繊維Aを繊維Eに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペーストを得た。得られたペーストをペーストEと呼ぶ。
(配合例6)
繊維Aを繊維Fに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペーストを得た。得られたペーストをペーストFと呼ぶ。
繊維Aを繊維Fに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペーストを得た。得られたペーストをペーストFと呼ぶ。
(比較例1)
繊維Aを粒子Xに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペーストを得た。得られたペーストをペーストXと呼ぶ。
繊維Aを粒子Xに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペーストを得た。得られたペーストをペーストXと呼ぶ。
(評価)
(1)多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池の作製
透明導電性膜(FTO)を有するガラス基材の透明導電性膜上に、酸化チタンペースト(ソラロニクス社製;T/SP)をスクリーン印刷法にて塗布し、150℃で3分間乾燥した。約5μmの酸化チタン膜を形成した。この酸化チタン膜上に重ねて、ペーストA〜F及びペーストXをそれぞれスクリーン印刷法にて、塗布し、積層体を得た。得られた積層体を窒素雰囲気下で450℃にて加熱し、焼成し、多孔質酸化チタン層を形成し、多孔質酸化チタン積層体を得た。多孔質酸化チタン層の厚みは20μmであった。
(1)多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池の作製
透明導電性膜(FTO)を有するガラス基材の透明導電性膜上に、酸化チタンペースト(ソラロニクス社製;T/SP)をスクリーン印刷法にて塗布し、150℃で3分間乾燥した。約5μmの酸化チタン膜を形成した。この酸化チタン膜上に重ねて、ペーストA〜F及びペーストXをそれぞれスクリーン印刷法にて、塗布し、積層体を得た。得られた積層体を窒素雰囲気下で450℃にて加熱し、焼成し、多孔質酸化チタン層を形成し、多孔質酸化チタン積層体を得た。多孔質酸化チタン層の厚みは20μmであった。
得られた多孔質酸化チタン積層体を、色素(ソラロニクス社製;N719)の0.3mM アルコール溶液に室温にて24時間浸した。多孔質酸化チタン層に色素吸着された多孔質酸化チタン積層体の周りに、30μm厚みのシリコンゴムシートをスペーサーとして設置した。ここに、電解液(ソラロニクス社製;Iodolyte50)を注入し、その上に、気泡を巻き込まないように、対極として白金コーティング付きガラスを重ねて、ダブルクリップにて圧着させ、色素増感太陽電池の簡易セルを得た。有効面積は5mm角とした。
また、比較例1のペーストXについては、加熱焼成温度を450℃として上記のようにして作製された色素増感太陽電池の簡易セルに加えて、上記加熱焼成温度を500℃に変更したこと以外は同様にして得られた色素増感太陽電池の簡易セルも作製した。
ソーラーシミュレーター及びIV特性測定装置を接続した評価装置にて、AM1.5及び100mW/cm2にて、得られた簡易セルの光電変換効率を評価した。
結果を下記の表2に示す。
上記表2に示す結果から、繊維A〜Fを用いた実施例1〜6では、連続した電解質溶液の経路を光電極に形成したことにより、高い光電変換効率を得ることができた。粒子Xを用いた比較例1では、光電変換効率が低く、かつ繊維A〜Fを用いた実施例1〜6との差異が明らかにあった。また、比較例1の加熱焼成温度を450℃とした簡易セルにおける光電変換効率が特に低いが、これは焼成温度が十分に高くなかったためであると考えられる。
1,1A…多孔質酸化チタン積層体
2…基材
2a,2b…表面
3,3A…多孔質酸化チタン層
4…基材本体
4a…表面
5…導電層
5a,5b…表面
11…色素増感太陽電池
12…基材
12a…表面
13…導電層
14…電解質溶液
15…リード線
2…基材
2a,2b…表面
3,3A…多孔質酸化チタン層
4…基材本体
4a…表面
5…導電層
5a,5b…表面
11…色素増感太陽電池
12…基材
12a…表面
13…導電層
14…電解質溶液
15…リード線
Claims (20)
- 多孔質酸化チタン層を形成するために用いられる酸化チタンペーストであって、
酸化チタン粒子と、加熱消滅性樹脂繊維と、有機バインダ樹脂と、溶剤とを含む、酸化チタンペースト。 - 前記加熱消滅性樹脂繊維の繊維直径が10nm〜5μmである、請求項1に記載の酸化チタンペースト。
- 前記加熱消滅性樹脂繊維の繊維直径が20nm〜1μmである、請求項2に記載の酸化チタンペースト。
- 前記加熱消滅性樹脂繊維の繊維長が、前記加熱消滅性樹脂繊維の繊維直径の5倍以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化チタンペースト。
- 前記加熱消滅性樹脂繊維の繊維長が50nm〜500μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸化チタンペースト。
- 前記加熱消滅性樹脂繊維の繊維長が、100nm〜100μmである、請求項5に記載の酸化チタンペースト。
- 前記加熱消滅性樹脂繊維が、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において500℃以下の温度で熱分解し、かつ前記加熱消滅性樹脂繊維は、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において500℃まで加熱されると99重量%以上が消滅する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸化チタンペースト。
- 前記加熱消滅性樹脂繊維が、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において400℃以下の温度で熱分解し、かつ前記加熱消滅性樹脂繊維は、空気及び窒素の内のいずれかの雰囲気下において400℃まで加熱されると99重量%以上が消滅する、請求項7に記載の酸化チタンペースト。
- 前記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂が、ポリオレフィン樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂及びポリオキシアルキレン樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の酸化チタンペースト。
- 前記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂が、ポリスチレン及びポリ(メタ)アクリル酸エステルの内の少なくとも1種の樹脂を含む、請求項9に記載の酸化チタンペースト。
- 前記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂が架橋構造を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の酸化チタンペースト。
- 前記加熱消滅性樹脂繊維の樹脂が、前記架橋構造中に、オキシアルキレンユニットを有する、請求項11に記載の酸化チタンペースト。
- 前記オキシアルキレンユニットが、オキシプロピレンユニット及びオキシテトラメチレンユニットの内の少なくとも1種のユニットを含む、請求項12に記載の酸化チタンペースト。
- 酸化チタンペースト100重量%中、前記加熱消滅性樹脂繊維の含有量が2〜60重量%である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の酸化チタンペースト。
- 分散剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の酸化チタンペースト。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載の酸化チタンペーストを基材上に塗布し、該基材上に酸化チタンペースト層を形成する工程と、
前記酸化チタンペースト層を500℃以下で1時間以上加熱処理することにより、前記酸化チタン粒子を焼結させて、かつ前記加熱消滅性樹脂繊維の一部又は全部を消滅させて、前記基材上に多孔質酸化チタン層を形成する工程とを備える、多孔質酸化チタン積層体の製造方法。 - 基材と、該基材の表面に積層された多孔質酸化チタン層とを備え、
前記多孔質酸化チタン層が、請求項1〜15のいずれか1項に記載の酸化チタンペーストを用いて、該酸化チタンペーストを加熱することにより形成されている、多孔質酸化チタン積層体。 - 請求項1〜15のいずれか1項に記載の酸化チタンペーストを用いて、該酸化チタンペーストを加熱することにより形成された多孔質酸化チタン層を色素増感太陽電池用電極材料として有する、色素増感太陽電池。
- 請求項16に記載の多孔質酸化チタン積層体の製造方法により得られた多孔質酸化チタン積層体を備え、
前記多孔質酸化チタン積層体を色素増感太陽電池用電極として有する、色素増感太陽電池。 - 請求項17に記載の多孔質酸化チタン積層体を備え、
前記多孔質酸化チタン積層体を色素増感太陽電池用電極として有する、色素増感太陽電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010077560A JP2011210553A (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | 酸化チタンペースト、多孔質酸化チタン積層体の製造方法、多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010077560A JP2011210553A (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | 酸化チタンペースト、多孔質酸化チタン積層体の製造方法、多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011210553A true JP2011210553A (ja) | 2011-10-20 |
Family
ID=44941385
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010077560A Pending JP2011210553A (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | 酸化チタンペースト、多孔質酸化チタン積層体の製造方法、多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011210553A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014040557A (ja) * | 2012-03-30 | 2014-03-06 | Sekisui Chem Co Ltd | 酸化チタンペースト |
JP2016119467A (ja) * | 2014-12-17 | 2016-06-30 | 株式会社リコー | 光電変換素子 |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000281314A (ja) * | 1998-02-16 | 2000-10-10 | Sumitomo Chem Co Ltd | 塩素の製造方法 |
JP2001248024A (ja) * | 2000-02-28 | 2001-09-14 | Keio Gijuku | 中空セラミックス繊維製品とその製造方法 |
JP2003084467A (ja) * | 2001-09-14 | 2003-03-19 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体及びその製造方法 |
JP2005330124A (ja) * | 2004-05-18 | 2005-12-02 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 多孔質酸化チタンおよびその製造方法 |
JP2006324011A (ja) * | 2005-05-17 | 2006-11-30 | Sony Corp | 多孔質構造体の製造方法及び光電変換素子の製造方法 |
JP2007009398A (ja) * | 2005-06-16 | 2007-01-18 | Korea Inst Of Science & Technology | 酸化チタンナノロッド及びその製造方法 |
JP2011181282A (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-15 | Sekisui Chem Co Ltd | 多孔質層含有積層体の製造方法 |
JP2011181281A (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-15 | Sekisui Chem Co Ltd | 加熱消滅性樹脂粒子、酸化チタン含有ペースト、多孔質酸化チタン積層体の製造方法、多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池 |
JP2011210554A (ja) * | 2010-03-30 | 2011-10-20 | Sekisui Chem Co Ltd | 多孔質層含有積層体の製造方法、多孔質層含有積層体及び色素増感太陽電池 |
-
2010
- 2010-03-30 JP JP2010077560A patent/JP2011210553A/ja active Pending
Patent Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000281314A (ja) * | 1998-02-16 | 2000-10-10 | Sumitomo Chem Co Ltd | 塩素の製造方法 |
JP2001248024A (ja) * | 2000-02-28 | 2001-09-14 | Keio Gijuku | 中空セラミックス繊維製品とその製造方法 |
JP2003084467A (ja) * | 2001-09-14 | 2003-03-19 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体及びその製造方法 |
JP2005330124A (ja) * | 2004-05-18 | 2005-12-02 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 多孔質酸化チタンおよびその製造方法 |
JP2006324011A (ja) * | 2005-05-17 | 2006-11-30 | Sony Corp | 多孔質構造体の製造方法及び光電変換素子の製造方法 |
JP2007009398A (ja) * | 2005-06-16 | 2007-01-18 | Korea Inst Of Science & Technology | 酸化チタンナノロッド及びその製造方法 |
JP2011181282A (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-15 | Sekisui Chem Co Ltd | 多孔質層含有積層体の製造方法 |
JP2011181281A (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-15 | Sekisui Chem Co Ltd | 加熱消滅性樹脂粒子、酸化チタン含有ペースト、多孔質酸化チタン積層体の製造方法、多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池 |
JP2011210554A (ja) * | 2010-03-30 | 2011-10-20 | Sekisui Chem Co Ltd | 多孔質層含有積層体の製造方法、多孔質層含有積層体及び色素増感太陽電池 |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014040557A (ja) * | 2012-03-30 | 2014-03-06 | Sekisui Chem Co Ltd | 酸化チタンペースト |
KR20140141569A (ko) * | 2012-03-30 | 2014-12-10 | 세키스이가가쿠 고교가부시키가이샤 | 산화티탄 페이스트 |
EP2837599A4 (en) * | 2012-03-30 | 2015-12-09 | Sekisui Chemical Co Ltd | titanium oxide paste |
KR102030862B1 (ko) * | 2012-03-30 | 2019-10-10 | 세키스이가가쿠 고교가부시키가이샤 | 산화티탄 페이스트 |
JP2016119467A (ja) * | 2014-12-17 | 2016-06-30 | 株式会社リコー | 光電変換素子 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6716637B2 (ja) | 透明導電体およびその製造方法 | |
CN103035410B (zh) | 染料敏化光电转换器件及其制造方法,以及金属氧化物浆料 | |
CN1841786B (zh) | 氧化物半导体电极、色素增感型太阳能电池及它们的制造方法 | |
JP6387221B2 (ja) | 高アスペクト比銀ナノワイヤを製造する方法 | |
US20140295102A1 (en) | Sintering process of metal oxide based formulations | |
KR101364332B1 (ko) | 광 전극, 및 그 광 전극을 구비한 색소 증감 태양 전지 | |
JP2012072234A (ja) | 酸化チタン含有ペースト、多孔質酸化チタン積層体の製造方法、多孔質酸化チタン積層体、色素増感型太陽電池用電極及び色素増感型太陽電池 | |
JP2011073912A (ja) | ナノ構造体形成方法 | |
JP2011181281A (ja) | 加熱消滅性樹脂粒子、酸化チタン含有ペースト、多孔質酸化チタン積層体の製造方法、多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池 | |
JP2011210553A (ja) | 酸化チタンペースト、多孔質酸化チタン積層体の製造方法、多孔質酸化チタン積層体及び色素増感太陽電池 | |
TW201251070A (en) | Method of fabricating photoanode for dye-sensitized solar cell | |
KR101166515B1 (ko) | 염료감응 태양전지용 광전극, 상기 광전극의 제조 방법 및 상기 광전극을 포함하는 염료감응 태양전지 | |
JP2011181282A (ja) | 多孔質層含有積層体の製造方法 | |
JP5422960B2 (ja) | 光電変換用酸化物半導体電極、その作製方法及びこれを備えた色素増感太陽電池 | |
JP2012094434A (ja) | 多孔質層含有積層体の製造方法及び色素増感太陽電池 | |
JP5703088B2 (ja) | 色素増感太陽電池電極形成用ペースト | |
JP2006210229A (ja) | 色素増感型太陽電池およびその製造方法 | |
JP6527417B2 (ja) | 光電変換素子およびその製造方法、ならびに多孔質電極形成用分散液 | |
JP5703087B2 (ja) | 色素増感太陽電池用光電極 | |
JP2012059601A (ja) | 色素増感太陽電池用電極とその製造方法、色素増感太陽電池 | |
JP2012226830A (ja) | 色素増感太陽電池および色素増感太陽電池の製造方法 | |
JP6641667B2 (ja) | 塗工液、太陽電池用構造体、太陽電池、及び太陽電池用構造体の製造方法 | |
JP6391334B2 (ja) | 多孔質酸化チタン積層体の製造方法 | |
CN104797417A (zh) | 多孔氧化钛层叠体的制造方法 | |
KR20140139162A (ko) | 그라핀 상태전극의 제조 및 이를 이용한 염료감응태양전지 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120903 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20140318 |