JP2011209309A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】クリーニングブレードのめくれに起因するクリーニング不良が抑制される電子写真感光体を提供する。
【解決手段】支持体と、前記支持体上に設けられた感光層とを備え、表面にフッ素系樹脂粒子が凝集した凝集体を含有する凸部を有し、前記表面における十点平均粗さ(Rz)が1.0μm以上2.0μm以下である、電子写真感光体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、表面層がフッ素系樹脂粉体とフッ素系グラフトポリマーを含有していることを特徴とする電子写真感光体が開示されている。
特許文献2には、珪素を母体とする非単結晶材料からなる光導電層と、非単結晶材料で構成された表面層とが、円柱状の導電性基体の外周面上に積層されている感光体と、該感光体と表面同士が当接するように配置されている、円柱状の中間転写体と、を有する画像形成装置を用い、前記感光体と前記中間転写体とが当接する部位の温度が15〜60℃であり、前記定常状態において、前記感光体と前記中間転写体との間に生じる動摩擦力の標準偏差である動摩擦偏差が、該動摩擦力の平均値より小さいことを特徴とする画像形成方法が開示されている。
特許文献3には、少なくとも電子写真感光体上の静電荷像をトナーを含有する現像剤で現像する工程、及び該電子写真感光体上のトナーをブレードクリーニングを用いてクリーニングする工程を有する電子写真画像形成方法において、該電子写真感光体の15mm基準長における表面粗さが十点平均粗さRzにて0.01〜2.5μmの範囲内にあり、且つ該トナーの濁度が1〜50であることを特徴とする電子写真画像形成方法が開示されている。
特許文献4には、電子写真感光体の周面がディンプル形状の凹部を複数有し、該電子写真感光体の周面の周方向に掃引して測定した十点平均粗さRzjis(A)が0.3〜2.5μmであり、該電子写真感光体の周面の母線方向に掃引して測定した十点平均粗さRzjis(B)が0.3〜2.5μmであり、該電子写真感光体の周面の周方向に掃引して測定した凹凸の平均間隔RSm(C)が5〜120μmであり、該電子写真感光体の周面の母線方向に掃引して測定した凹凸の平均間隔RSm(D)が5〜120μmであり、該凹凸の平均間隔RSm(D)の該凹凸の平均間隔RSm(C)に対する比の値(D/C)が0.5〜1.5であることを特徴とする電子写真感光体が開示されている。
特許文献5には、有機感光体から成る静電潜像保持体上の残留トナーをブレードクリーニング手段にて除去し、該静電潜像保持体を繰り返し使用して画像を形成する方法に於いて、前記感光体の最表面層がモース高度5以上の無機粒子を含有し、且つ前記感光体の表面粗さ(RZ)を0.05μm以上とした感光体を用い、前記トナーに数平均ドメイン径が0.1〜1.1μmの離型剤を含有するトナーを用いて現像が行われる事を特徴とする画像形成方法が開示されている。
特許文献6には、導電性支持体上に感光層および保護層を有する電子写真感光体において、少なくとも該表面層にはフッ素原子含有樹脂微粒子が含有され、かつ、該表面層の表面を機械研磨したことを特徴とする電子写真感光体が開示されている。
特開昭63−221355号公報 特開2001−318505号公報 特開2001−201881号公報 再表2005/093518号公報 特開平08−262756号公報 特開平05−265243号公報
本発明は、表面における十点平均粗さ(Rz)が下記範囲よりも小さい場合に比較して、クリーニングブレードのめくれに起因するクリーニング不良が抑制される、電子写真感光体を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1の発明は、
支持体と、前記支持体上に設けられた感光層とを備え、
表面にフッ素系樹脂粒子が凝集した凝集体を含有する凸部を有し、
前記表面における十点平均粗さ(Rz)が1.0μm以上2.0μm以下である、電子写真感光体である。
請求項2の発明は、
表面層は、前記フッ素系樹脂粒子と、前記フッ素系樹脂粒子の含有量に対して0.5質量%以上1.0質量%未満の含有量であるフッ化アルキル基含有共重合体と、を含む、請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3の発明は、
前記フッ化アルキル基含有共重合体は、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を含む、請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体である。

上記一般式(A)中、lは1以上の整数を、pは0または1以上の整数を、tは1以上7以下の整数を、Rは水素原子又はアルキル基を、Zは−CO−O−を表す。
請求項4の発明は、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写した後に前記電子写真感光体の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードを有するトナー除去手段と、
を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
請求項5の発明は、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記被転写体に前記トナー像を転写した後、前記電子写真感光体の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードを有するトナー除去手段と、
を備えた画像形成装置である。
請求項1の発明によれば、表面における十点平均粗さ(Rz)が上記範囲よりも小さい場合に比較して、クリーニングブレードのめくれに起因するクリーニング不良が抑制される。
請求項2の発明によれば、フッ化アルキル基含有共重合体の含有量が上記範囲から外れる場合に比較して、クリーニングブレードのめくれに起因するクリーニング不良が抑制される。
請求項3の発明によれば、表面層が上記一般式(A)で表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体を含有しない場合に比較して、クリーニングブレードのめくれに起因するクリーニング不良が抑制される。
請求項4及び請求項5の発明によれば、電子写真感光体の表面における十点平均粗さ(Rz)が上記範囲よりも小さい場合に比較して、クリーニング不良に起因する画質低下が抑制される。
本実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る電子写真感光体の表面に凸部が存在する様子を表す模式図である。 本実施形態に係る画像形成装置の第一の例を示す全体構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の第二の例を示す全体構成図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は適宜省略する。
[電子写真感光体]
本実施形態の電子写真感光体は、支持体と、前記支持体上に形成された感光層と、を備え、電子写真感光体の表面にフッ素系樹脂粒子が凝集した凝集体を含有する凸部を有し、電子写真感光体の表面における十点平均粗さ(Rz)が1.0μm以上2.0μm以下である。
本実施形態の電子写真感光体は、上記構成であるため、表面における十点平均粗さ(Rz)が上記範囲よりも小さい場合に比べて、クリーニングブレードのめくれに起因するクリーニング不良が抑制される。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
転写後に残留した電子写真感光体表面上のトナーを除去する方法として、クリーニングブレードの先端を電子写真感光体表面に接触させ、電子写真感光体表面上のトナーをクリーニングブレードで掻きとる方法が挙げられる。その方式を採用した場合、画像形成装置の運転を開始する際には、電子写真感光体表面とクリーニングブレード先端との接触部に、静止摩擦係数に比例した摩擦力がかかる。そして、その摩擦力によって、クリーニングブレードの先端が電子写真感光体表面の進行方向に向かってめくれてしまう現象(クリーニングブレードのめくれ)が発生する場合があり、このクリーニングブレードのめくれは、上記摩擦力が大きいほど起こりやすくなる。
さらに、クリーニングブレードのめくれが発生すると、電子写真感光体表面上のトナーがクリーニングブレードによって掻きとられずに通り抜けるクリーニング不良が起こってしまう場合がある。そして、クリーニング不良が起こると、通り抜けたトナーが接触帯電方式の帯電器に付着して帯電不良を発生し、画像むらを引き起こしたり、通り抜けたトナーが画像上に移動して色筋等の画像欠陥を引き起こしたりして、画質を低下させる場合がある。
一方、本実施形態では、電子写真感光体の表面における十点平均粗さ(Rz)が上記範囲であるため、上記範囲よりも小さい場合に比べて、表面が粗く、上記静止摩擦係数が小さくなると考えられる。それに加えて、凸部にフッ素系樹脂粒子が凝集した凝集体が存在することにより、凸部の表面における表面エネルギーが低下し、凸部に上記凝集体が存在しない場合に比べて上記静止摩擦係数がさらに小さくなると考えられる。そのため、クリーニングブレードの先端が電子写真感光体表面の凸部に接触した状態で画像形成装置の運転を開始すると、従来の構成に比べて上記摩擦力が小さいため、クリーニングブレードのめくれが発生しにくくなると推測される。そして本実施形態の電子写真感光体を用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジでは、クリーニングブレードのめくれが発生しにくいことによってクリーニング不良が抑制され、例えば接触帯電方式の帯電装置を用いた形態であっても、クリーニング不良に起因する上記画質低下が抑制される。
また、上記十点平均粗さ(Rz)が大きすぎる場合には、凸部と凹部(すなわち、相対的に表面層の厚いところと薄いところ)とで帯電性が異なり、例えば凹部に電荷が集中して部分的に摩耗が促進され、摩耗むらが生じてしまうことが考えられる。そして摩耗むらが生じた電子写真感光体を用いて画像を形成すると、画像濃度むらが生じる場合が考えられる。
一方本実施形態では、十点平均粗さ(Rz)が上記範囲であるため、上記範囲よりも大きい場合に比べて、上記部分的な摩耗の促進は抑制されるため、摩耗むらが抑制される。そして本実施形態の電子写真感光体を用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジでは、上記摩耗むらに起因する画像濃度むらが生じにくくなる。
ここで、上記十点平均粗さ(Rz)とは、JIS−B−0601(1994)で定義される十点平均粗さをいう。即ち、十点平均粗さは、断面曲線から基準長さだけ抜き取った部分において、平均線に平行、且つ断面曲線を横切らない直線から、平均線に垂直な方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差の値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
この十点平均粗さ(Rz)は、例えば、表面粗さ測定装置(SURFCOM 1500DX(東京精密社製))を用いて、測定長4mm、カットオフ波長0.8mm、測定倍率1000倍、測定速度0.3mm/sec、カットオフ種類ガウシアン、傾斜補正最小二乗曲線補正の方法で測定が行われる。
なお、上記十点平均粗さ(Rz)の望ましい範囲としては、例えば1.5μm以上1.9μm以下の範囲が挙げられ、1.6μm以上1.8μm以下の範囲がより望ましい。
また本実施形態では、電子写真感光体の表面における算術平均粗さ(Ra)として、例えば0.3μm以上1.5μm以下の範囲が挙げられ、0.8μm以上1.4μm以下が望ましく、1.0μm以上1.3μm以下がより望ましい。十点平均粗さ(Rz)が上記範囲であることに加えて算術平均粗さ(Ra)が上記範囲であることにより、算術平均粗さ(Ra)が上記範囲から外れる場合に比べて、さらにクリーニングブレードのめくれが抑制される。
ここで算術平均粗さ(Ra)とは、JIS−B−0601(1994)で定義される算術平均粗さをいう。即ち、算術平均粗さは、断面曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線の方向にX軸を、平均線と垂直な方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、下記式によって求められるRaの値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。ただし下記式中「l」は上記基準長さを意味する。
なお上記断面曲線の測定は、上記十点平均粗さと同様の方法で行われる。

また本実施形態では、電子写真感光体の表面層が、上記フッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体を含み、表面層全体に含まれるフッ素系樹脂粒子の量に対し、0.5質量%以上1.0質量%以下の範囲で上記フッ化アルキル基含有共重合体が含まれていることがよい。ここで、上記表面層全体に含まれるフッ素系樹脂粒子の量とは、凸部に含まれる凝集体を構成するフッ素形樹脂粒子だけでなく、表面層に含まれるその他のフッ素系樹脂粒子(凝集体を構成していないフッ素形樹脂粒子等)も含む量である。
上記フッ化アルキル基含有共重合体の含有量が上記範囲であることにより、上記範囲から外れる場合に比べて、クリーニングブレードのめくれに起因するクリーニング不良が抑制される。
本実施形態では、上記フッ化アルキル基含有共重合体の含有量が従来よりも少ないため、例えばフッ化アルキル基含有共重合体を用いない場合や従来のように多く含有させる場合に比べて、凸部に含まれる上記凝集体1個あたりの大きさが大きくなりやすいと考えられる。そのため、十点平均粗さ(Rz)を上記範囲に制御しやすくなるとともに、凸部における表面エネルギーの低下が起こりやすくなり、クリーニングブレードのめくれが発生しにくくなると推測される。
上記フッ化アルキル基含有共重合体の望ましい含有量としては、0.6質量%以上0.9質量%以下の範囲が挙げられ、0.6質量%以上0.7質量%以下の範囲がより望ましい。
本実施形態に係る電子写真感光体においては、層構成等は特に限定されず、電荷輸送能と電荷発生能とを併せ持つ機能一体型の感光層を備えた構成であってもよいし、電荷輸送層と電荷発生層とを含む機能分離型の感光層を備えた構成であってもよい。また本実施形態では、支持体及び感光層の他に、下引き層、中間層、保護層等のその他の層を必要に応じて設けてもよい。
本実施形態に係る電子写真感光体において、上記のように表面層がフッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体を含む形態においては、例えば機能一体型の感光層が表面層である場合は上記機能一体型の感光層に上記フッ素系樹脂粒子等が含有される。また、電荷輸送層と電荷発生層とを含む機能分離型の感光層のうちのいずれかの層が表面層となる場合には、表面層に該当する層にフッ素系樹脂粒子等が含有される。さらに、感光層上に表面層として保護層が設けられる場合には、上記保護層にフッ素系樹脂粒子等が含有される。
ただし、後述するように、例えば保護層の厚みが2.0μm以下である場合は、保護層の下層となる感光層(機能分離型の場合は、例えば電荷輸送層)にフッ素系樹脂粒子等を含有させれば、保護層にフッ素系樹脂粒子等を含有させなくてもよい。その場合は上記保護層及び上記感光層(機能分離型の場合は、例えば電荷輸送層)が上記表面層に相当する。
保護層の厚みが上記範囲であれば、感光層に含まれるフッ素系樹脂粒子の凝集体によって形成された凸部に保護層が被覆されたとしても、表面に形成された凸部にフッ素系樹脂粒子の凝集体が存在する。そして、保護層が被覆されていても厚みが上記範囲であれば、凸部に含まれるフッ素系樹脂粒子の凝集体に起因する表面エネルギーの低下による静止摩擦係数の低下の効果が得られると考えられる。
以下、本実施形態における電子写真感光体の一例として、機能分離型の感光層を有し、保護層を有さない形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の構成の一例を示す概略断面図である。この電子写真感光体21は、支持体22上に下引き層24、電荷発生層25及び電荷輸送層26がこの順序で積層された構造を有しており、電荷発生層25及び電荷輸送層26が機能分離型の感光層23を構成している。ここで、電荷輸送層26は電子写真感光体21における表面層(支持体22から最も遠い側に配置される層)である。
‐電荷輸送層(上記「表面層」に相当する層)‐
まず、上記「表面層」に相当する層である電荷輸送層26について説明する。
電子写真感光体21の表面、すなわち上記表面層に相当する電荷輸送層26の表面では、上記の通り、フッ素系樹脂粒子が凝集した凝集体を含有する凸部が存在し、十点平均粗さ(Rz)が1.0μm以上2.0μm以下となるように構成されている。
図2に、電子写真感光体21の表面に上記凸部が存在する様子を表す模式図を示す。図2に示すように、電子写真感光体21の表面10には、例えば、周辺部11よりも盛り上がった凸部12(12A及び12B)が存在する。具体的には、電子写真感光体21の表面層である電荷輸送層26の表面10が部分的に突出し、凸部12(周辺部11よりも外側、すなわち電子写真感光体21の回転軸から離れる方向に突出した部分)を形成している。
そして凸部12は、例えば、複数のフッ素系樹脂粒子14が集まって形成された凝集体16を含んで構成されている(すなわち表面層の一部である凸部12に凝集体16が存在している)。また凸部12のうち一方(凸部12A)においては、例えば、凝集体16Aが表面から露出しており、他方(凸部12B)においては、例えば、凝集体16Bが結着樹脂18によって覆われて表面から露出していない構成となっている。
なお、図2には、表面から露出した凝集体14Aを含む凸部12Aと露出していない凝集体14Bを含む凸部12Bとが混在した形態を示したがこれに限られず、凝集体14Aが露出した凸部12Aのみを有してもよいし、凝集体14Bが露出しない凸部12Bのみを有してもよい。
ただし、凸部12に含まれるフッ素系樹脂粒子14の凝集体16に起因する表面エネルギーの低下による効果を得る観点から、使用時には凝集体14Aが露出した凸部12Aを含むことが望ましい。一方、凝集体14Bが露出しない凸部12Bにおいても、凝集体14Bを被覆する結着樹脂18の厚みが50μm以下であれば、上記凝集体16に起因する表面エネルギーの低下による効果は得られると考えられる。また、凝集体16Bが露出しない凸部12Bのみを有する形態の電子写真感光体21においても、例えば画像形成装置に装着して運転させ、凝集体16Bが露出した後に画像形成を行うことで、上記凝集体16に起因する表面エネルギーの低下による効果は得られると考えられる。
電荷輸送層26は、上記の通り、少なくとも凸部12にフッ素系樹脂粒子14が存在するが、上記凸部12に加えて、電荷輸送層26における凸部12以外の場所にも、フッ素系樹脂粒子14が存在してもよい。また電荷輸送層26は、フッ素系樹脂粒子14の他に、必要に応じて、例えば結着樹脂18、フッ化アルキル基含有共重合体等のその他の成分を含んでもよく、さらに電荷輸送層26としての本来的機能である電荷輸送能を発現させるために電荷輸送材料を含んでもよい。
(フッ素系樹脂粒子14)
フッ素系樹脂粒子14の材料としては、例えば、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂、及びそれらの共重合体が挙げられ、その中から1種又は2種以上を選択する。これらのうち、例えば、耐摩耗性の観点から4フッ化エチレン樹脂を含んだフッ素系樹脂粒子14を用いてもよい。
フッ素系樹脂粒子14の平均一次粒径としては、例えば0.05μm以上1μm以下の範囲が挙げられ、0.1μm以上0.5μm以下であってもよい。
なお、上記フッ素系樹脂粒子14の平均一次粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所製)を用い、フッ素系樹脂粒子14を溶剤に分散させた測定液を屈折率1.35で測定することで求められる。
凸部12に存在するフッ素系樹脂粒子14の凝集体16の体積平均粒径としては、例えば、100μm以上200μm以下の範囲が挙げられ、150μm以上200μm以下であってもよい。なお、凸部12に存在する凝集体16の体積平均粒径は、例えば、光学顕微鏡を用いて直径が100μm以上200μm以下の凸部の大きさを測定し、凸部の直径(平均値)を求めた
なお、図2においては、1つの凸部12に対して凝集体16が1つのみ有している形態を示したが、これに限られず、1つの凸部12に複数の凝集体16を有してもよい。
また、電荷輸送層26全体に対するフッ素系樹脂粒子14の含有量としては、例えば1質量%以上15質量%以下が挙げられ、2質量%以上12質量%以下であってもよい。
(フッ化アルキル基含有共重合体)
電荷輸送層26は、フッ素系樹脂粒子14の分散助剤であるフッ化アルキル基含有共重合体を含んでもよい。分散助剤は、例えば、上記フッ素系樹脂粒子14の分散性を制御するために用いられる成分であり、例えば、フッ素系樹脂粒子14の表面への吸着性を維持しながら、電荷輸送層26に含まれる結着樹脂18との相溶性を保持する機能を有する。フッ化アルキル基含有共重合体をフッ素系樹脂粒子14の分散性を制御する目的で用いる場合、後述するように、例えば電荷輸送層26を形成するための塗布液に添加される。
フッ化アルキル基含有共重合体としては、例えば、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を含む共重合体が挙げられる。またフッ化アルキル基含有共重合体として、下記一般式(A)で表される繰り返し単位及び下記一般式(B)で表される繰り返し単位を含む共重合体を用いてもよい。

上記一般式(A)中、lは1以上の整数を、pは0または1以上の整数を、tは1以上7以下の整数を、Rは水素原子又はアルキル基を、Zは−CO−O−を表す。
上記一般式(B)中、m及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を、q、r、及びsはそれぞれ独立に0または1以上の整数を、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を、Xはアルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−S−、−O−、−NH−、又は単結合を、Yはアルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−(C2z−1(OH))−、又は単結合を、Zは−CO−O−を表す。zは1以上の整数を表す。
またフッ化アルキル基含有共重合体としては、上記共重合体の中でも、例えば、さらに下記一般式(C)で表される繰り返し単位を含む共重合体も挙げられる。

上記一般式(C)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を、yは1以上の整数を表す。
上記一般式(A)、(B)、及び(C)中、R、R、R、R、R、及びRで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
上記一般式(B)中、nの上限は、特に限定されないが、例えば、nが1以上60以下の範囲が挙げられる。
またフッ化アルキル基含有共重合体が上記一般式(A)で表される繰り返し単位及び上記一般式(B)で表される繰り返し単位を含む共重合体である場合、上記一般式(A)及び上記一般式(B)中のlとmとの比としては、例えば、フッ素系樹脂粒子14の凝集の程度を制御する観点から、l:mが1:9から9:1の範囲が挙げられ、3:7から7:3の範囲であってもよい。
また、上記フッ化アルキル基含有共重合体の重量平均分子量としては、例えば、50000以上100000以下の範囲が挙げられる。
上記重量平均分子量は、例えばゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。GPCによる分子量測定は、例えば、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120を用い、東ソー製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行い、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作製した分子量校正曲線を使用して算出する。
上記フッ化アルキル基含有共重合体は、上記共重合体の中でも、フッ素系樹脂粒子14における凝集を制御して電子写真感光体21の表面10における十点平均粗さ(Rz)を上記範囲にする観点から、例えば、tは6以下が好ましい。
上記フッ化アルキル基含有共重合体としては、例えば、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物等からなるマクロモノマー及びパーフルオロアルキルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等を用いて、例えばグラフト重合により合成される。ここで、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを示す。
(電荷輸送材料)
電荷輸送層26に用いられる電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、及び上記した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて使用される。
(結着樹脂)
電荷輸送層26に用いられる結着樹脂18としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の樹脂、及びポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらの結着樹脂18は、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
なお、電荷輸送材料と上記結着樹脂18との配合比としては、例えば10:1から1:5の範囲が挙げられる。
(その他)
上記フッ化アルキル基含有共重合体は、フッ素系樹脂粒子14の分散性を制御する分散助剤の一種であるが、上記フッ化アルキル基含有共重合体に代えて、又は上記フッ化アルキル基含有共重合体と共に、他の分散助剤を用いてもよい。
他の分散助剤としては、例えば、フッ素含有界面活性剤、上記フッ化アルキル基含有共重合体以外のフッ素含有ポリマー、シリコーン系ポリマー、シリコーンオイル等が挙げられる。
電荷輸送層26は、表面の平滑性を制御する目的で用いられるシリコーンオイル又はフッ素系オイル等のレベリング剤を含んでもよい。
電荷輸送層26中における上記レベリング剤の含有量としては、例えば0.1ppm以上1000ppm以下の範囲が挙げられ、0.5ppm以上500ppm以下の範囲であってもよい。
電荷輸送層26は、後述するように、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液(以下、「塗布液」と称する場合がある)を用いて形成される。電荷輸送層26の形成に使用される溶剤としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状又は直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。また、これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いられる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂18を溶解するものを使用すればよい。
(電荷輸送層26の製造方法)
本実施形態では、電荷輸送層26の表面がフッ素系樹脂粒子14の凝集体16を含む凸部12を有し、かつ、十点平均粗さ(Rz)が上記範囲である。電荷輸送層26の製造において表面が上記構成となるように制御する方法としては、例えば、塗布液中におけるフッ素系樹脂粒子14の分散性を制御して凝集体16を形成させ、凝集体16を含む塗布液を塗布して電荷輸送層26を形成する方法が挙げられる。この方法で電荷輸送層26を形成することにより、表面の凝集体16が凸部を形成し、表面が上記構成となる。
また、塗布液中におけるフッ素系樹脂粒子14の分散性を制御して凝集体16を形成させる方法としては、例えば、フッ素系樹脂粒子14を溶媒に分散させた分散液を、後述する高圧ホモジナイザーを用い、処理条件を制御しながら処理を行う方法が挙げられる。
高圧ホモジナイザーは、媒体(メディア)を使用せずに処理を行うメディアレス機であり、例えば、高圧状態で分散液を液−液衝突又は液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
いずれの方式においても、フッ素系樹脂粒子14の分散性を制御するための処理条件としては、例えば、処理圧力(前記「高圧状態」の圧力)、処理回数、及びジェネレーター(前記高圧状態の圧力を超高速流に変換する部材)の形状や大きさ等が挙げられる。
上記処理圧力及び処理回数は、強く又は多くするほどフッ素系樹脂粒子14の分散性が良好になるが、さらに強く又は多くすると逆に凝集しやすくなる(過分散状態)。よって上記十点平均粗さ(Rz)を上記範囲とするための上記処理圧力としては、例えば300kgf/cm以上1000kgf/cm以下(2.9×10Pa以上9.6×10Pa以下)又は500kgf/cm以上1000kgf/cm以下(4.9×10Pa以上9.6×10Pa以下)の範囲が挙げられ、処理回数としては、例えば1回以上10回以下又は1回以上6回以下の範囲が挙げられる。また上記ジェネレーターの形状及び大きさとしては、例えば上記貫通方式の場合、貫通穴の径が80μm以上200μm以下の範囲のものが挙げられ、例えば貫通穴が1つ又は複数配置されたもの等が挙げられる。
なお、上記処理を行うための装置としては、上記高圧ホモジナイザーに限られず、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル等のメディアレス分散機を用いてもよい。
さらに、上記分散助剤を用いる場合は、例えば、上記分散液に分散助剤を添加した後に、上記処理を行う。そして分散助剤としてフッ化アルキル基含有共重合体を用いる場合は、分散液に含まれるフッ素系樹脂粒子14の質量に対するフッ化アルキル基含有共重合体の添加量を制御することによっても、上記フッ素系樹脂粒子14の分散性が制御される。具体的には、例えば、分散液に含まれるフッ素系樹脂粒子14の質量に対するフッ化アルキル基含有共重合体の添加量として、0.5質量%以上1質量%以下の範囲が挙げられる。
また、上記塗布液には、フッ素系樹脂粒子14及びフッ化アルキル基含有共重合体のほかに、結着樹脂18や電荷輸送材料などのその他の成分が含まれていてもよい。そして上記その他の成分については、例えば、上記分散液にその他の成分を添加した後に上記処理を行ってもよいし、上記処理が行われた後の上記分散液に、そのまま直接又は別途溶媒に溶解又は分散させたその他の成分を添加してもよい。
また、例えば、結着樹脂18を含む溶剤に、フッ素系樹脂粒子14及びフッ化アルキル基含有共重合体を添加し、上記処理を行った後に、別途溶剤に溶解又は分散させた電荷輸送材料をさらに添加してもよい。
上記処理を行う分散液に結着樹脂18とフッ素系樹脂粒子14とが含まれる場合、分散液に含まれる結着樹脂18の量としては、分散液に含まれるフッ素系樹脂粒子14の量に対し、例えば1質量%以上70質量%以下の範囲が挙げられ、5質量%以上30質量%以下の範囲であってもよい。
また、上記塗布液中におけるフッ素系樹脂粒子14の含有量としては、全固形分に対し、例えば1質量%以上15質量%以下が挙げられ、2質量%以上12質量%以下であってもよい。
以上のようにして得られる塗布液を電荷発生層25上に塗布し、乾燥させて溶媒を除去することにより、電荷輸送層26が形成される。塗布液を電荷発生層25に塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層26の膜厚としては、例えば5μm以上50μm以下の範囲が挙げられ、10μm以上40μm以下の範囲であってもよい。
以下、電子写真感光体21における電荷輸送層26以外の層について説明する。
‐支持体‐
支持体22を構成する材料は特に限定されず、例えば導電性を有する材料が挙げられる。ここで「導電性」とは、体積抵抗率で1010Ωcm以下の範囲を意味する。
支持体22を構成する材料としては、具体的には、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、アルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、又は導電性付与剤を塗布もしくは含浸させた紙もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
支持体22の形状はドラム状に限られず、シート状、プレート状でもよい。
支持体22として金属パイプを用いる場合、表面は素管のままであってもよいし、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
‐下引き層‐
下引き層24は、例えば、支持体22の表面における光反射の防止、支持体22から感光層23への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。下引き層24の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、もしくは銀などの金属粉体、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、もしくは酸化亜鉛などの導電性金属酸化物、又はカーボンファイバ、カーボンブラック、もしくはグラファイト粉末などの導電性物質等を、結着樹脂に分散して支持体上に塗布したものが挙げられる。また、金属酸化物粒子は2種以上混合して用いてもよい。さらに、金属酸化物粒子へカップリング剤による表面処理を行うことで、粉体抵抗を制御して用いてもよい。
下引き層24に含まれる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの高分子樹脂化合物、又は電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等が挙げられる。
下引き層24中の金属酸化物粒子と結着樹脂との比率は特に制限されず、所望の電子写真感光体特性が得られる範囲で設定される。
下引き層24の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた塗布液が使用される。
下引き層形成用塗布液中に金属酸化物粒子等を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
このようにして得られる下引き層形成用塗布液を支持体22上に塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。下引き層24の膜厚は例えば15μm以上が挙げられ、20μm上50μm以下であってもよい。下引き層24には、表面粗さ調整のために下引き層中に樹脂粒子を添加してもよい。
また、表面粗さの調整のために下引き層24の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、例えばバフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等が用いられる。
‐中間層‐
図示は省略するが、例えば電気特性の向上、画質の向上、画質維持性の向上、感光層23の接着性の向上などのために、下引き層24上に中間層をさらに設けてもよい。
中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。
中間層の形成においては、例えば、上記結着樹脂等を溶媒に溶かした塗布液を、上記下引き層24に塗布して形成する。塗布方法としては、例えば、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
また中間層の厚さとしては、例えば、0.1μm以上3μm以下の範囲が挙げられる。
‐電荷発生層‐
電荷発生層25は、例えば、電荷発生材料を結着樹脂中に分散して形成される。電荷発生材料としては、例えば、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が使用され、さらに具体的には、例えば、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が挙げられる。また、その他の電荷発生材料としては、例えば、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等が挙げられる。また、これらの電荷発生材料は、単独又は2種以上を混合して使用される。
電荷発生層25における結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が用いられる。これ等の結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、10:1から1:10の範囲が望ましい。
電荷発生層25の形成の際には、上記成分を溶剤に加えた塗布液が使用される。
電荷発生材料を樹脂中に分散させるために、塗布液に分散処理を施してもよい。分散方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル等のメディア分散機や、攪拌機、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
このようにして得られる塗布液を下引き層24上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。電荷発生層25の膜厚は、例えば0.01μm以上5μm以下が挙げられ、0.05μm以上2.0μm以下の範囲であってもよい。
なお、画像形成装置中で発生するオゾンや窒素酸化物、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層23を構成する各層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加してもよい。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機リン化合物等が挙げられる。
光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペン等の誘導体が挙げられる。
以上、機能分離型の感光層23を有し、保護層を有さず電荷輸送層26が表面に露出した形態について説明したが、これに限られず、例えば、機能一体型の感光層を有する形態でもよいし、機能一体型の感光層又は機能分離型の感光層23の上に保護層を設ける形態でもよい。
保護層を設ける場合は、例えば、導電性材料を結着樹脂中に含有させた塗布液を感光層上に塗布することにより、保護層を形成する。
保護層に含まれる導電性材料は特に限定されるものではなく、例えば、N,N’−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモン、硫酸バリウムと酸化アンチモンとの固溶体の担体、上記金属酸化物の混合物、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、もしくは硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を混合したもの、又は、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、もしくは硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を被覆したもの等が挙げられる。
保護層を構成する結着樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。これらは必要に応じて互いに架橋させて使用してもよい。
保護層を形成するための塗布液の塗布方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
保護層の膜厚としては、例えば1μm以上20μm以下が挙げられ、2μm以上10μm以下であってもよい。
[画像形成装置及びプロセスカートリッジ]
以下、本実施形態に係る画像形成装置及びプロセスカートリッジについて説明する。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の第一の例を示す全体構成図である。
この画像形成装置1000は、電子写真方式を採用したモノクロの片面出力プリンタである。
本実施形態に係る画像形成装置1000は、図3に示すように、図の矢印B方向に回転する電子写真感光体(以下、感光体と称する)61と、電源65aから電力の供給を受けて、感光体61に接触しながら回転することで感光体61表面を帯電する帯電手段である帯電部材65とを備えている。
また、この画像形成装置1000には、感光体61に向けてレーザ光を発し、感光体61表面に、周囲より電位の高くなった静電潜像を形成する静電潜像形成手段である露光部67、黒色トナーを含む現像剤を用いて感光体61表面に形成された静電潜像にモノクロ(黒)のトナーを付着させることにより静電潜像を現像することでトナー画像を形成する現像手段である現像器64、トナー画像が形成された感光体61に、搬送されてくる用紙P(被転写体)を押圧することで感光体61表面に形成されたトナー画像を被転写体である用紙P上に転写する転写手段である転写ロール66、用紙P上に転写されたトナー画像に対し熱及び圧力を加えることで転写像の用紙Pへの定着を行う定着手段である定着器70、感光体61に接触し、トナー画像の転写後に感光体61表面に付着したまま残留した残留トナーを除去するクリーニングブレード62aを備えたトナー除去手段であるクリーニング装置62、トナー画像の転写後に感光体61に残留した電荷を除去する除電ランプ67aも備えられている。
この画像形成装置1000では、帯電部材65及び感光体61は、いずれもロール状であってこれらのロールの両端は、いずれも支持部材100aに、ロールが回転する様態で支持されている。また、この支持部材100aには、上記の、クリーニング装置62及び現像器64も接続されており、このように帯電部材65、感光体61、クリーニング装置62、及び現像器64が支持部材100aに一体化されることで、プロセスカートリッジ100が構成されている。
画像形成装置1000にこのプロセスカートリッジが組み込まれることにより、これらのプロセスカートリッジの構成要素である各部が画像形成装置1000に備えられることとなる。このプロセスカートリッジ100が、本実施形態のプロセスカートリッジの一例に相当する。
以下、この画像形成装置1000における画像形成の動作について説明する。
この画像形成装置1000には、黒トナーが蓄えられた不図示のトナーカートリッジが備えられており、このトナーカートリッジにより現像器64にトナーの補給が行われる。また、トナー画像が転写されるために用いられる用紙Pは、用紙蓄積部材80の中に蓄えられており、ユーザから画像形成が指示されると用紙蓄積部材80から搬送されて、転写ロール66においてトナー画像の転写が行われた後、図の左方向に向かって搬送されていく。図3においては、この時の用紙搬送路が、左向きの矢印で示す経路として示されており、用紙Pはこの用紙搬送路を通って定着器70において、用紙P上に転写された転写像の定着が行われた後、左方向に排出される。
帯電部材65が感光体61を帯電させる際には、帯電部材65に電圧が印加される。電圧の範囲としては、直流電圧の場合要求される感光体の帯電電位に応じて、例えば正又は負の50V以上2000V以下が挙げられ、100V以上1500V以下であってもよい。交流電圧を重畳する場合は、例えばピーク間電圧が400V以上1800V以下の範囲が挙げられ、800V以上1600V以下であってもよい。交流電圧の周波数としては、例えば50Hz以上20,000Hz以下が挙げられ、100Hz以上5,000Hz以下であってもよい。
帯電部材65としては、例えば、芯材の外周面に弾性層、抵抗層、保護層等を設けたものが好適に用いられる。帯電部材65は、感光体61に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも感光体61と同じ周速度で回転し、帯電手段として機能するが、帯電部材65に駆動手段を取り付け、感光体61とは異なる周速度で回転させて帯電させてもよい。
露光部67としては、電子写真感光体表面に、半導体レーザ、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光する光学系装置等が適用される。
現像器64としては、一成分系、二成分系等の正規又は反転現像剤を用いた従来より公知の現像装置等が適用される。
転写手段としては、転写ロール66等の接触帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等、が挙げられる。
クリーニング装置62は、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、クリーニングブレード62aにより残存トナーが除去されて清浄面化された電子写真感光体は、上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。
クリーニングブレードの材質としては、例えば、ウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
本実施形態に係る画像形成装置は、除電ランプ67aが備えられているため、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高められる。なお、本実施形態に係る画像形成装置においては必要に応じて除電ランプ67aを備えていればよく、備えていなくてもよい。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の第二の例を示す全体構成図である。
この実施形態の画像形成装置1001は、カラープリンタである。
この画像形成装置1001には、図の矢印Bk,Bc,Bm,By方向にそれぞれ回転する電子写真感光体である感光体61K,61C、61M,61Yが備えられている。ここで、感光体61K,61C、61M,61Yが、本実施形態に係る電子写真感光体の一例に相当する。
また、各感光体の周囲には、各感光体に接触しながら回転することで感光体表面を帯電する帯電手段である帯電部材65K,65C,65M,65Y、帯電した各感光体上にレーザ光の照射によりブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色についての静電潜像を形成する静電潜像形成手段である露光部67K,67C,67M,67Y、各感光体上の静電潜像を各色のトナーを含む現像剤で現像して各色のトナー画像を形成する現像手段である現像器64K,64C,64M,64Y、感光体61K,61C、61M,61Y表面の残留トナーをクリーニングブレードによって除去するトナー除去手段であるクリーニング装置62K,62C,62M,62Yが備えられている。
この画像形成装置1001では、上記の各構成要素のうち、ブラック用の、帯電部材65K、感光体61K、クリーニング装置62K、及び現像器64Kは、一体化されてプロセスカートリッジ100Kの構成要素となっており、同様に、シアン用の、帯電部材65C、感光体61C、クリーニング装置62C、現像器64Cの組、マゼンタ用の、帯電部材65M、感光体61M、クリーニング装置62M、現像器64Mの組、及び、イエロー用の、帯電部材65Y、感光体61Y、クリーニング装置62Y、現像器64Yの組が、それぞれ一体化されてプロセスカートリッジ100C,100M,100Yの構成要素となっている。画像形成装置1001にこれら4つのプロセスカートリッジが組み込まれることにより、これらのプロセスカートリッジの構成要素である各部が画像形成装置1001に備えられることとなる。これらのプロセスカートリッジ100K,100C,100M,100Yそれぞれが、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例に相当する。
また、この画像形成装置1001には、各感光体上で形成された各色のトナー画像の転写(1次転写)を受けて1次転写像を運搬する中間転写体である中間転写ベルト50、中間転写ベルト50への各色のトナー画像の1次転写が行われる1次転写ロール66K,66C,66M,66Y、用紙Pへの2次転写が行われる2次転写ロール対69、用紙P上の2次転写されたトナー画像の定着を行う定着手段である定着器70、4つの現像器にそれぞれの色成分のトナーをそれぞれ補給する、4つのトナーカートリッジ40K,40C,40M,40Y、用紙Pを蓄える用紙蓄積部材80も備えられている。
なお、本実施形態に係る被転写体とは、電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体から直接、紙等の被転写体に転写する場合は、紙等が被転写体である。また、中間転写体を用いる場合には、中間転写体が被転写体である。
ここで、中間転写ベルト50は、駆動ロール50aから駆動力を受けながら2次転写ロール69bと駆動ロール50aとにより張力が付与された状態で図の矢印A方向に循環移動する。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト50を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト50のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合中間転写体の基材として用いる樹脂材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料、及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いてもよい。
次に、この画像形成装置1001における画像形成の動作について説明する。
4つの感光体61K,61C、61M,61Yは、帯電部材65K,65C,65M,65Yによりそれぞれ帯電され、さらに露光部67K,67C,67M,67Yから照射されるレーザ光を受けて各感光体上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器64K,64C,64M,64Yによってそれぞれの色のトナーを含む現像剤で現像されてトナー画像が形成される。このようにして形成された各色のトナー画像は、各色に対応した1次転写ロール66K,66C,66M,66Yにおいて、中間転写ベルト50上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に順次転写(1次転写)されて重ね合わされていき、多色の1次転写像が形成される。
そして、この多色の1次転写像は、中間転写ベルト50により2次転写ロール対69まで運搬されていく。一方、多色の1次転写像の形成と呼応して、用紙Pが用紙蓄積部材80から取り出されて搬送ロール81によって搬送され、さらに位置合せロール対82によって位置を整えられる。そして、2次転写ロール対69によって、上述の多色の1次転写像が、搬送されてきた用紙Pに転写(2次転写)され、さらに定着器70によって用紙P上の2次転写像に定着処理が施される。定着処理後、定着像を有する用紙Pは、送出ロール対83を通過して、排紙受け84に排出される。
以上が、この画像形成装置1001における画像形成の動作についての説明である。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態の電子写真感光体と、転写後における電子写真感光体表面の残留トナーをクリーニングブレードによって除去するクリーニング手段と、を一体に有し、画像形成装置本体から脱着される構成であればよく、その他に、電子写真感光体表面を帯電する帯電手段、帯電した電子写真感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、現像剤を用いて電子写真感光体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段、及び電子写真感光体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写手段からなる群より選択される少なくとも一種を有していてもよい。
以下、実施例及び比較例について説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
酸化亜鉛粒子(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛粒子60質量部と、アリザリン0.6質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)4.0質量部とを添加し、下引き層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mm×365mmLのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、40分間の乾燥硬化を行い、厚さ19μmの下引き層を得た。
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部及びn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層形成用の塗布液を得た。この電荷発生層形成用塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
次に、A:4フッ化エチレン樹脂粒子0.5質量部(平均一次粒径:0.2μm)並びに下記構造式(A−1)で表される繰り返し単位及び下記構造式(B−1)で表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体(重量平均分子量50,000、l:m=1:1、s=1、n=60、)0.04質量部を、テトラヒドロフラン4質量部及びトルエン1質量部に加え、20℃の液温に保ち、30時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液(A液)を得た。
次に、B:電荷輸送物質としてN,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン2質量部、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン2質量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:50,000)6質量部、及び酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1質量部を混合して、テトラヒドロフラン24質量部及びトルエン11質量部の混合溶媒に加え、B液を得た。
このB液に前記A液を加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製、ジェネレーターの形状及び大きさ:貫通穴の径80μm、貫通穴の数100個)を用いて、500kgf/cm(4.9×10Pa)まで昇圧して分散処理を1回行った。前記分散処理を行って得られた液に、ジメチルシリコーンオイル(商品名:KP−340 信越シリコーン社製)を8ppmとなるように添加し、撹拌して電荷輸送層形成用塗布液を得た。

なお、用いるフッ化アルキル基含有共重合体(上記構造式(A−1)で表される繰り返し単位及び上記構造式(B−1)で表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体)は、合成した後、160℃2hrの加熱処理を行い、テトラヒドロフランに溶解させ、100KHzの超音波を30分かけた後、メタノール中に滴下攪拌した。そして、得られた沈殿物を吸引ろ過によりメタノールと分離し、回収した沈殿物を真空乾燥機で80℃24hr乾燥した。そして、再度、テトラヒドロフランに溶解させ、100KHzの超音波を30分かけた後、メタノール中に滴下攪拌し、得られた沈殿物を吸引ろ過によりメタノールと分離し、回収した沈殿物を真空乾燥機で80℃24hr乾燥した。このようにして精製された共重合体を、上記実施例において用いた。
得られた電荷輸送層形成用塗布液を、電荷発生層上に塗布して120℃で40分間乾燥し、膜厚が34μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体を得た。
このようにして得られた電子写真感光体を用いて、以下のテストを行なった。
なお、得られた電子写真感光体の表面における凸部に含まれるフッ素系樹脂粒子の凝集体の体積平均粒径を上述した方法で測定した結果、150μmであった。
(表面におけるフッ素系樹脂粒子の凝集体を含む凸部の評価)
得られた感光体の表面を目視観察した。感光体前面にわたり観察を行い、表面にフッ素系樹脂粒子の凝集体を含む凸部が確認されるかどうか評価した。
(表面粗さ評価)
得られた感光体の表面粗さを、東京精密製サーフコム粗さ測定器により、測定針として0.2μmRのものを用い、引っ張り速度0.3mm/secで、4mmの長さを測定した。他の測定条件は上述したとおりである。測定個所は、感光体の一端から軸方向に35mm、180mm、330mmの位置を測定し、かつ前記測定を周方向に4か所行い、合計で12点の測定を行った。測定によって得られた算術平均粗さの平均値をRa、十点平均粗さの平均値をRzとした。
(M/C評価)
富士ゼロックス社製白黒プリンターDocu Centre III C3300ドラムカートリッジに電子写真感光体を装着し、ハーフトーン画質の画像を形成し、濃度ムラを目視で観察した(初期画質)。さらに、ハーフトーン画質の画像を10000枚形成した後、上記ハーフトーン画質の画像を形成し、濃度ムラを目視で観察した(ランニング後の画質)。画質評価後、ドラムカートリッジをプリンターから取り出し、ブレードのめくれが発生していないか目視で観察した。
濃度ムラ(画質)評価の評価基準は、以下の通りである。
G1:濃度ムラはなく、画質が良好である。
G2:濃度ムラが僅かに発生するが、許容範囲である。
G3:濃度ムラが顕著に発生し、許容範囲を超えている。
以上の実験によって得られた結果を表1に示す。また、得られた電子写真感光体の表面における十点平均粗さ(Rz)及び算術平均粗さ(Ra)を上述した方法で測定した結果、並びに電荷輸送層中に含まれるフッ素系樹脂粒子の量に対するフッ化アルキル基含有共重合体の含有量(表1中においては「共重合体含有量(質量%)」と示す)も、併せて表1に示す。
[実施例2]
上記構造式(A−1)で表される繰り返し単位及び上記構造式(B−1)で表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体の代わりに、下記構造式(C−1)で表される繰り返し単位及び下記構造式(D−1)で表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体(重量平均分子量:50000、l:m=1:1、n=60、)を0.04質量部用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。

[実施例3]
高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製)を用いた分散処理において、500kgf/cm(4.9×10Pa)まで昇圧して分散処理を1回行う代わりに、300kgf/cm(2.9×10Pa)まで昇圧して分散処理を3回行う以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
フッ化アルキル基含有共重合体の添加量を0.003質量部に変え、高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製)の分散処理回数を6回にする以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
高圧ホモジナイザーの分散処理回数を10回にする以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
[実施例6]
高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製、ジェネレーターの形状及び大きさ:貫通穴の径80μm、貫通穴の数50個)にする以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
フッ化アルキル基含有共重合体の添加量を0.005質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
[実施例8]
フッ化アルキル基含有共重合体の添加量を0.0025質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
[実施例9]
高圧ホモジナイザーの昇圧(処理圧力)を1000kgf/cm(9.8×10Pa)にする以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
フッ化アルキル基含有共重合体の添加量を0.012質量部とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
高圧ホモジナイザーの分散処理回数を6回にする以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
フッ化アルキル基含有共重合体の添加量を0.002質量部とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
[比較例4]
高圧ホモジナイザーの昇圧(処理圧力)を1000kgf/cm(9.8×10Pa)、フッ化アルキル基含有共重合体の添加量を0.012質量部とする以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用いて、実施例1と同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
以上の結果から、実施例では、比較例に比べ、クリーニングブレードのめくれが抑制されており、初期画質も良好であることがわかった。また実施例では、比較例に比べ、ランニング後の画質が良好であることが分かった。
21 電子写真感光体、22 支持体、23 感光層、24 下引き層、25 電荷発生層、26 電荷輸送層、40K,40C,40M,40Y トナーカートリッジ、50 中間転写ベルト(被転写体)、50a 駆動ロール、61,61K,61C,61M,61Y 感光体(電子写真感光体)、62,62K,62C,62M,62Y クリーニング装置(トナー除去手段)、62a クリーニングブレード、64,64K,64C,64M,64Y 現像器(現像手段)、65,65K,65C,65M,65Y 帯電部材(帯電手段)、65a 電源、66 転写ロール(転写手段)、66K,66C,66M,66Y 1次転写ロール、67,67K,67C,67M,67Y 露光部(潜像形成手段)、67a 除電ランプ、69 2次転写ロール対、69b 2次転写ロール(転写手段)、70 定着器、80 用紙蓄積部材、81 搬送ロール、82 位置合せロール対、83 送出ロール対、100,100K,100C,100M,100Y プロセスカートリッジ、100a 支持部材、1000,1001 画像形成装置、P 用紙(被転写体)

Claims (5)

  1. 支持体と、前記支持体上に設けられた感光層と、を備え、
    表面にフッ素系樹脂粒子が凝集した凝集体を含有する凸部を有し、
    前記表面における十点平均粗さ(Rz)が1.0μm以上2.0μm以下である、電子写真感光体。
  2. 表面層は、前記フッ素系樹脂粒子と、前記フッ素系樹脂粒子の含有量に対して0.5質量%以上1.0質量%未満の含有量であるフッ化アルキル基含有共重合体と、を含む、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記フッ化アルキル基含有共重合体は、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を含む、請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。


    [上記一般式(A)中、lは1以上の整数を、pは0または1以上の整数を、tは1以上7以下の整数を、Rは水素原子又はアルキル基を、Zは−CO−O−を表す。]
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写した後に前記電子写真感光体の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードを有するトナー除去手段と、
    を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
  5. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記電子写真感光体の表面に形成された潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
    前記被転写体に前記トナー像を転写した後、前記電子写真感光体の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードを有するトナー除去手段と、
    を備えた画像形成装置。
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