JP2011208489A - 庇 - Google Patents

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Abstract

【課題】庇のコーナー部分の強度を十分に高めて変形や破損のおそれをなくす。
【解決手段】コーナー部11Pを挟んで隣接する各壁面10A,10Bの同じ高さ位置に一端部がコーナー部11Pに位置するように金属製の保持枠材2A,2Bがそれぞれ固定される。各保持枠材2A,2Bの前面に庇板3A,3Bの基端部が全幅にわたってそれぞれ支持される。各保持枠材2A,2Bのコーナー部11Pに位置する端部には、同じ斜め方向へ延びる金属製のコーナー枠材5A,5Bがそれぞれ連設される。各コーナー枠材5A,5Bはそれぞれの後面が重ねられて一体化されている。各庇板3A,3Bのコーナー部11Pの側の側端部には、各コーナー枠材5A,5Bに向けて側方へ張り出すコーナー庇板30A,30Bがそれぞれ連設される。各コーナー庇板30A,30Bのコーナー枠材5A,5Bに沿う基端部が各コーナー枠材5A,5Bの前面に支持される。
【選択図】図3

Description

この発明は、コーナー部を含む建物の壁面に前方へ張り出すように設けられる庇に関する。
従来、その種の庇として、建物のコーナー部を構成する隣接する壁面のそれぞれに設けられる庇本体の端部をそれぞれトメ切りにし、この2つの庇本体をコーナーブロックを中間に介在させてトメ接合により互いに連結した構造のものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2009−68269号公報
しかしながら、上記した構成の庇は、庇本体のコーナー部分の荷重を庇本体が支える構造であるため、庇本体の張出し長さが例えば1メートル近くもある大きな庇では、コーナー部分の荷重が増して強度が不十分となり、荷重によって変形したり破損したりするおそれがある。したがって、張出し長さが1メートル近くもある大きな庇では、コーナー部分の荷重に耐えられるように、コーナー部分をアームによって吊持することが必要であり、コスト高や見栄えの低下を招くおそれがある。
この発明は、上記した問題に着目してなされたもので、コーナー部分の荷重をしっかりと支えることが可能な構造となすことにより、コーナー部分の強度を十分に高めて変形や破損のおそれをなくし、張出し長さが1メートル近くの大きな庇であっても、アームを用いて吊持する必要がない庇を提供することを目的とする。
また、この発明が他に目的とするところは、張出し長さが1メートルを越える程のさらに大きな庇については、アームによってコーナー部分の荷重をしっかり支えることが可能な庇を提供することにある。
この発明による庇は、コーナー部を含む建物の壁面に前方へ張り出すように設けられるものであって、前記コーナー部を挟んで隣接する各壁面の同じ高さ位置に一端部がコーナー部に位置するようにそれぞれ固定される金属製の保持枠材と、各保持枠材の前面に基端部が全幅にわたってそれぞれ支持される庇板とから成るものである。各保持枠材のコーナー部に位置する端部には、同じ斜め方向へ延びる金属製のコーナー枠材がそれぞれ連設されるとともに、各コーナー枠材はそれぞれの後面が重ねられて一体化されている。各庇板のコーナー部の側の側端部には、各コーナー枠材に向けて側方へ張り出すコーナー庇板がそれぞれ連設されるとともに、各コーナー庇板のコーナー枠材に沿う基端部が各コーナー枠材の前面に支持されている。
上記した構成の庇では、コーナー庇板の荷重は保持枠材に連設されたコーナー枠材により支えられるので、コーナー部分の強度が十分に高められ、変形や破損のおそれがない。
好ましい実施態様においては、前記コーナー枠材は保持枠材に溶接により連設されるものであるが、溶接に限らず、ボルトやナットなどの金具や強力な接着剤を用いて保持枠材にコーナー枠材を連設してもよく、また、1本の金属枠材を曲げてコーナー枠材を形成してもよい。
庇板は、一枚ものであってもよく、また、複数の板材を連結して構成されたものであってもよいが、特に、側端面を互いに突き合わせかつ係合させて庇の幅方向へ連結される複数の板材により構成するようにすれば、庇の施工が容易である。
保持枠材およびコーナー枠材として種々の態様のものが考えられるが、そのひとつの態様は、背板部の前面に背板部と直角をなす支持板部が一体形成されたものである。隣接する各壁面に固定された各保持枠材は、背板部が建物の壁面にボルトにより固定され、各保持枠材に連設された各コーナー枠材は、それぞれの背板部の後面が重ねられて一体化されている。また、保持枠材の背板部に固定される固定枠片と保持枠材の支持板部との間で庇板の基端部が保持されるとともに、コーナー枠材の背板部に固定される固定枠片とコーナー枠材の支持板部との間でコーナー庇板の基端部が保持される。
保持枠材およびコーナー枠材のふたつめの態様は、背板部の前面に背板部と直角をなす上下一対の支持板部が一体形成されたものである。隣接する各壁面に固定された各保持枠材は、背板部が建物の壁面にボルトにより固定され、各保持枠材に連設された各コーナー枠材は、それぞれの背板部の後面が重ねられて一体化されている。また、保持枠材の上下の支持板部間で庇板の基端部が保持されるとともに、コーナー枠材の上下の支持板部間でコーナー庇板の基端部が保持される。
この発明による他の庇は、後面が重ねられて一体化された各コーナー枠材と建物の壁面との間に設けられるアームをさらに備えて成るものである。
上記した構成の庇では、コーナー庇板の荷重は保持枠材に連設されたコーナー枠材により支えられるとともに、コーナー枠材はアームによって支えられるので、張出し長さが1メートルを越える程の大きな庇であっても、コーナー部分の強度がさらに高められる結果、変形や破損のおそれがない。
上記のアームを備えた庇の好ましい実施態様においては、前記アームは、各コーナー枠材の重ねられた各後面に取り付けられた一対の下部基板と、下部基板間に下端部が回動自由に軸支された第1のネジ棒と、建物のコーナー部を挟む各壁面に取り付けられた一対の上部基板と、上部基板間に上端部が回動自由に軸支された第2のネジ棒と、両端面に第1、第2のネジ棒がネジ込まれるネジ穴が形成されたアーム本体とで構成されている。
この実施態様の庇では、一体化された各コーナー枠材に一対の下部基板を、建物のコーナー部を挟む各壁面に一対の上部基板を、それぞれ取り付け、下部基板間に第1のネジ軸を、上部基板間に第2のネジ軸を、それぞれ軸支する。第1のネジ軸をアーム本体の一方の端面のネジ穴にネジ込み、第2のネジ軸をアーム本体の他方の端面のネジ穴にネジ込むことによりアーム本体と第1,第2の各ネジ軸とが接続される。
この発明によると、コーナー部分の荷重を保持枠材に連設されたコーナー枠材により支える構造としたから、コーナー部分の強度が十分に高められ、荷重によって変形したり破損したりするおそれがない。また、張出し長さが1メートル近くもある大きな庇であっても、アームを用いて吊持する必要はない。
また、張出し長さが1メートルを越える程のさらに大きな庇については、アームによってコーナー部分の荷重をしっかり支えるから、コーナー部分の強度がさらに高められる結果、荷重によって変形したり破損したりするおそれがない。
この発明の一実施例である庇の外観を示す平面図である。 図1の庇の側面図である。 図1の庇のコーナー部分を拡大して示す平面図である。 図1の庇のコーナー部分を拡大して示す底面図である。 庇板およびコーナー庇板を構成する板材の連結構造を示す断面図である。 図3のX−X線に沿う断面図である。 庇板の組立構造を示す斜視図である。 コーナー部分を上カバーを外して示した平面図である。 図8のY−Y線に沿う断面図である。 保持枠材およびコーナー枠材の他の実施例を示す断面図である。 庇板の組立構造を示す斜視図である。 庇板が一枚ものの実施例を上カバーを外して示した平面図である。 鈍角をなすコーナー部を挟んで隣接する各壁面に施工された庇の外観を示す平面図である。 鋭角をなすコーナー部を挟んで隣接する各壁面に施工された庇の外観を示す平面図である。 この発明の他の実施例におけるアームの設置状態を示す正面図である。 図15の実施例におけるアームの壁面への取付構造を示す平面図である。 図15の実施例におけるアームのコーナー枠材への取付構造を示す断面図である。
図1および図2は、この発明の一実施例である庇1の外観を示している。
図示例の庇1は、2箇所のコーナー部11P,11Qを含む建物の各壁面10A〜10Cに前方へ張り出すように庇板3A〜3Cが設けられている。一方のコーナー部11Pは隣接する壁面10A,10Bにより構成され、また、他方のコーナー部11Qは隣接する壁面10B,10Cにより構成されている。なお、図3および図4には、一方のコーナー部11Pを挟んで隣接する各壁面10A,10Bへの庇板3A,3Bの設置状態を拡大して示しているが、他方のコーナー部11Qを挟んで隣接する各壁面10B,10Cへの庇板3B,3Cの設置状態も同様であり、ここでは図示を省略する。
図示の建物の各コーナー部11P,11Qはいずれも直角をなしているが、この発明の庇は、図13に示すように、鈍角をなすコーナー部11を挟んで隣接する各壁面10A,10Bにも施工でき、また、図14に示すように、鋭角をなすコーナー部11を挟んで隣接する各壁面10A,10Bにも施工できる。
建物の3壁面10A〜10Cのうち、中央の壁面10Bには保持枠材2Bが所定の高さ位置に水平に固定され、その両端部は建物の各コーナー部11P,11Qにそれぞれ位置している。図1において、中央の壁面10Bに向かって右側の壁面10Aの同じ高さ位置には保持枠材2Aが水平に固定され、その一端部(図面では左端部)は建物の一方のコーナー部11Pに位置している。中央の壁面10Bに向かって左側の壁面10Cの同じ高さ位置には保持枠材2Cが水平に固定され、その一端部(図面では右端部)は建物の他方のコーナー部11Qに位置している。
各保持枠材2A〜2Cは一定間隔毎の複数の箇所がアンカーボルト6(図6に示す)によりそれぞれの各壁面10A〜10Cに固定されている。なお、各保持枠材2A〜2Cは1本の金属枠材により構成してもよく、継ぎ足した複数本の金属枠材により構成してもよい。
各保持枠材2A,2Bの一方のコーナー部11Pに位置する側の端部に、同じ斜め方向(図示例では135度をなす角度方向)へ延びる金属製のコーナー枠材5A,5Bが溶接によりそれぞれ連設されている。各コーナー枠材5A,5Bはそれぞれの後面が重ねられ、その複数個所が後述するボルト60により一体化されている。
また、保持枠材2B,2Cの他方のコーナー部11Qに位置する側の端部に、同じ斜め方向(図示例では135度をなす角度方向)へ延びる金属製のコーナー枠材5B,5Cが溶接によりそれぞれ連設されている。各コーナー枠材5B,5Cはそれぞれの後面が重ねられ、その複数個所が後述するボルト60により一体化されている。
なお、保持枠材2A,2Cの他方の端部は端板20A,20Cにより塞がれている。
各保持枠材2A〜2Cの前面には庇板3A〜3Cの基端部が全幅にわたってそれぞれ支持されている。これらの庇板3A〜3Cのうち、庇板3Aは、コーナー部11Pの側の側端部に、コーナー枠材5Aに向けて側方へ張り出すコーナー庇板30Aが連なっている。このコーナー庇板30Aはコーナー枠材5Aに沿った斜めの基端部が各コーナー枠材5Aの前面に支持されている。
同様に、庇板3Bは、各コーナー部11P,11Qの側の両側端部に、それぞれコーナー枠材5B,5Bに向けて側方へ張り出すコーナー庇板30B,30Bが連なっている。各コーナー庇板30B,30Bはコーナー枠材5B,5Bに沿った斜めの基端部が各コーナー枠材5B,5Bの前面にそれぞれ支持されている。
同様に、庇板3Cは、コーナー部11Qの側の側端部に、コーナー枠材5Cに向けて側方へ張り出すコーナー庇板30Cが連なっている。このコーナー庇板30Cはコーナー枠材5Cに沿った斜めの基端部が各コーナー枠材5Cの前面に支持されている。
なお、図中、4A〜4Cは庇板3A〜3Cとコーナー庇板30Aとの先端縁、庇板3Bと左右のコーナー庇板30B,30Bとの先端縁、および庇板3Cとコーナー庇板30Cとの先端縁に、それぞれ装着される縁板である。この実施例の縁板4A〜4Cはアルミニウムにより形成されているが、必ずしも金属製である必要はなく、たとえば合成樹脂製であってもよい。
庇板3A〜3Cは、側端面を互いに突き合わせかつ係合させて庇の幅方向へ連結される複数枚の中間板材31により構成され、庇板3A,3Cは、さらに、外側の位置において中間板材31に一方の側端面を突き合わせかつ係合させて幅方向へ連結される1枚の側板材32を含んでいる。中間板材31と側板材32とはともに平面形状が矩形であり、全てが同一長さに形成されている。
各コーナー庇板30A〜30Cは、側端面を互いに突き合わせかつ係合させて庇の幅方向へ連結される複数の中間板材33と、外側位置において中間板材33に一方の側端面を突き合わせかつ係合させて幅方向へ連結される1枚の側板材34とで構成されている。中間板材33および側板材34の基端縁は斜めであり、外側のものほど長さが短く、幅方向に連結された平面形状は直角三角形になっている。
上記の各中間板材31,33および各側板材32,34は、内部が中空であり、アルミニウムの押出成形により形成されている。
中間板材31,33は、図5に示すように、一方の側端面に第1の係合部35を、他方の側端面に第2の係合部36を、それぞれ備えたものであり、側板材32,34は、一方の側端面に第1の係合部35または第2の係合部36のいずれかを備えたものである。
中間板材31,33の第1の係合部35は他の中間板材31,33または側板材32,34の第2の係合部36と係脱可能であり、中間板材31,33の第2の係合部36は他の中間板材31,33または側板材32,34の第1の係合部35と係脱可能である。
各中間板材31,33の内部には、補強のためのリブ37と縁板4を庇板3の先端面にネジ止めするためのネジ止め孔38とが設けられている。
前記保持枠材2A〜2Cは各庇板3A〜3Cの基端部の全幅に相当する長さを有し、この保持枠材2A〜2Cの前面に、図6および図7に示すように、庇板3A〜3Cを構成する全ての中間板材31および側板材32の基端部が複数個の固定枠片7によって所定個数づつ(図示例では1個づつ)固定されている。庇板3A〜3Cの固定された基端部には上方および下方から上カバー8と下カバー80とが被せられ、保持枠材2A〜2Cの前面や固定枠片7が外部から見えないようになっている。
保持枠材2A〜2Cは、背板部21の前面に背板部21と直角をなす支持板部22が一体形成されたものである。背板部21は建物の壁面10A〜10Cにアンカーボルト6により止め固定される。支持板部22は庇板3A〜3Cの基端部の下面を支持する。庇板3A〜3Cの基端部は、この支持板部22と、背板部21の前面に固定される固定枠片7との間で保持される。
背板部21の上端部には上カバー8の一端縁を係合させる係合突部23が、下端部には下カバー80の一端縁を係合させる第1の係合溝24が、それぞれ全幅にわたり形成されている。また、支持板部22の先端縁には下カバー80の他端縁を係合させる第2の係合溝25が全幅にわたり形成されている。背板部21の下部位置にはアンカーボルト6が挿入されるボルト挿通孔29が一定間隔毎に設けられている。背板部21の上部位置と支持板部22とには、各固定枠片7の取付位置に合わせてボルト挿通孔27,28が形成されている。
各固定枠片7はL字状に屈曲された形状のものであり、L字の垂直部71に保持枠材2A〜2Cのボルト挿通孔27に連通するボルト挿通孔73が、L字の水平部72に保持枠材2A〜2Cのボルト挿通孔28と対向位置するボルト挿通孔74が、それぞれ形成されている。ボルト挿通孔73には固定枠片7を固定するためのボルト61が挿入され、ボルト挿通孔74には庇板3A〜3Cを構成する各板材を固定するためのボルト62が挿入される。ボルト62は、各中間板材31または側板材32の基端部に形成されたボルト挿通孔26と保持枠材2A〜2Cの支持板部22に形成されたボルト挿通孔28を貫通し、ボルト62の先端部にナット63がネジ止めされる。
なお、図6において、64は上カバー8の上端縁と建物の壁面10A〜10Cとの間に嵌め込まれるコーキング材、65は上カバー8の下端縁と庇板3A〜3Cの上面との間に嵌め込まれるコーキング材である。これらのコーキング材64,65によって雨水の浸入が阻止される。また、81は前記端板20A,20Cをビス止めするために上下の各カバー8,80に設けられたビス止め孔である。
コーナー枠材5A〜5Cは各コーナー庇板30A〜30Cの斜めの側縁の長さに相当する長さを有し、このコーナー枠材5A〜5Cの前面に、図8および図9に示すように、コーナー庇板30A〜30Cを構成する全ての中間板材33および側板材34の斜めをなす基端部が複数個の固定枠片7によって所定個数づつ(図示例では1個づつ)固定されている。コーナー庇板30A〜30Cの固定された基端部には上方および下方から上カバー9と下カバー90とが被せされ、コーナー枠材5A〜5Cの前面や固定枠片7が外部から見えないようになっている。
コーナー枠材5A〜5Cは、背板部51の前面に背板部51と直角をなす支持板部52が一体形成されたものである。コーナー枠材5A,5Cの背板部51は、その背板部51の後面に重ねられるコーナー枠材5Bの背板部51にボルト60およびナット60aによって一体化される。支持板部52はコーナー庇板30A〜30Cの斜めをなす基端部の下面を支持する。コーナー庇板30A〜30Cの斜めをなす基端部は、この支持板部52と、背板部51の前面に固定される固定枠片7との間で保持される。
背板部51の上端部には上カバー9の一端縁を係合させる係合突部53が、下端部には下カバー90の一端縁を係合させる第1の係合溝54が、それぞれ全幅にわたり形成されている。また、支持板部52の先端縁には下カバー90の他端縁を係合させる第2の係合溝55が全幅にわたり形成されている。背板部51の下部位置にはボルト60が挿入されるボルト挿通孔56が一定間隔毎に設けられている。背板部51の上部位置と支持板部52とには、各固定枠片7の取付位置に合わせてボルト挿通孔57,58がそれぞれ形成されている。
各固定枠片7の垂直部71に形成されたボルト挿通孔73はコーナー枠材5A〜5Cのボルト挿通孔57に連通し、水平部72に形成されたボルト挿通孔74はコーナー枠材5A〜5Cのボルト挿通孔58と対向位置する。ボルト挿通孔57には固定枠片7を固定するためのボルト66が挿入され、ボルト挿通孔58には各板材を固定するためのボルト67が挿入される。ボルト67は、各中間板材33または側板材34の斜めをなす基端部に形成されたボルト挿通孔26とコーナー枠材5A〜5Cの支持板部52に形成されたボルト挿通孔58を貫通し、ボルト67の先端部にナット68がネジ止めされる。
なお、図9に図示していないが、上カバー9の上端縁と建物の壁面10A〜10Cとの間および上カバー9の下端縁とコーナー庇板30A〜30Cの上面との間には、それぞれ雨水の浸入を阻止するためのコーキング材が嵌め込まれる。
図10および図11は、保持枠材2A〜2Cの他の実施例を示している。なお、コーナー枠材5A〜5Cも図10の保持枠材2A〜2Cと同様の構成のものであり、ここでは、保持枠材2A〜2Cの各構成を示す符号にコーナー枠材5A〜5Cの対応する構成を示す符号を括弧書きで表すことにより説明を省略する。
図示例の保持枠材2A〜2C(コーナー枠材5A〜5C)は、背板部21(51)の前面に可撓性を有する一対の支持板部22a,22b(55a,55b)が溝を挟んで上下に対向するように庇板3A〜3C(コーナー庇板30A〜30C)の全幅に対応する長さに一体形成されたものである。各支持板部22a,22b(52a,52b)の複数の対向する位置にボルト止め孔28a,28b(58a,58b)が貫通形成されるとともに、庇板3A〜3C(コーナー庇板30A〜30C)の基端部の前記の各ボルト止め孔28a,28b(58a,58b)に対応する位置にボルト止め孔28a,28b(58a,58b)と連通するボルト挿通孔26(56)が貫通形成されている。
前記支持板部22a,22b(52a,52b)により挟まれる溝は、庇板3A〜3C(コーナー庇板30A〜30C)の基端部を差し込むことが可能な溝幅を有し、各支持板部22a,22b(52a,52b)は、前記溝へ庇板3A〜3C(コーナー庇板30A〜30C)の基端部が差し込まれた状態で、連通するボルト止め孔28a,28b(58a,58b)とボルト挿通孔26(56)に対して一方の支持板部22a(52a)の外側よりボルト62を一連に通しかつ他方の支持板部22b(52b)の外側へ突出したボルト62の先端部にナット63をネジ込んで締め付けたとき、撓んで変形することにより庇板3A〜3C(コーナー庇板30A〜30C)の基端部の上下各面に接して庇板3A〜3C(コーナー庇板30A〜30C)の基端部を挟持するように形成されている。
なお、上記した各実施例では、庇板3A〜3Cおよびコーナー庇板30A〜30Cは複数の板材を連ねて構成されているが、図12に示すように、庇板3とコーナー庇板30とが一体の一枚ものであってもよい。
また、上記した各実施例の庇は張出し長さが1メートル未満のものであるが、張出し長さが1メートルを越える程の大きな庇については、図15〜図17に示す実施例のように、コーナー枠材5A,5Bをアーム100によって吊持するようにする。
アーム100は、図15に示すように、アルミニウムなどの金属製の棒材より成るアーム本体101と、アーム本体101の下端部を一体化された各コーナー枠材5A,5Bに接続するための第1のネジ軸110および下部接続金具120と、アーム本体101の上端部を建物の壁面のコーナー部11Pに接続するための第2のネジ軸130おより上部接続金具140とで構成されている。
各コーナー枠材5A,5Bは、図17に示すように、背板部51,51の後面が重ねられてボルト60およびナット60aにより一体化されており、アーム本体101の下端部が接続される部位の各背板部51,51の前面には下部接続金具120を構成する一対の下部基板121,122が2本のボルト123,124により取り付けられている。各下部基板121,122は矩形状の金属板材より成り、各背板51の上方へ突出する部分が所定の間隔を隔てて対向し、その対向する部分に第1のネジ軸110の基端部を回動自由に軸支するボルト125が架設されている。
第1のネジ軸110は、基端部に前記ボルト125の軸部を通す環状部111を有し、先端部には長さのほぼ半分にわたるネジ部112が形成されている。このネジ部112はアーム本体101の下端面に形成されたネジ穴102にねじ込まれるもので、これによりアーム本体101と第1のネジ軸110とが接続される。
建物のコーナー部11Pには、図16に示すように、コーナー部11Pを挟む各壁面10A,10Bに沿うL型形状のベース板12が取り付けられ、ベース板12の直角をなす各板部12A,12Bの前面にそれぞれ2本のアンカーボルト13,13,14,14が突出している。ベース板12の各板部12A,12B上には上部接続金具140を構成する一対の上部基板141,142の基端部が取り付けられている。各上部基板141,142の基端部の前記アンカーボルト13,14に対応する位置にはボルト挿通孔143,144がそれぞれ形成されており、各アンカーボルト13,14をボルト挿通孔143,144に通してナット145,146で締め付けることによりベース板12上に各上部基板141,142が取り付け固定されている。各上部基板141,142は互いに対向する軸止部147,148を有し、その軸止部147,148に第2のネジ軸130の基端部を回動自由に軸支するボルト149が架設されている。
第2のネジ軸130は、基端部に前記ボルト149を通す環状部131を有し、先端部には長さのほぼ半分にわたるネジ部132が形成されている。このネジ部132はアーム本体101の上端面に形成されたネジ穴103にねじ込まれるもので、これによりアーム本体101と第2のネジ軸130とが接続される。第2のネジ軸130およびアーム本体101の上端面のネジ穴103と第1のネジ軸110およびアーム本体101の下端面のネジ穴102とは逆方向のネジが切られており、アーム本体101を一方へ軸回動することで両端部において同時にネジが締まり、反対方向へ軸回動することで両端部において同時にネジが緩むようになっている。なお、この実施例では、アーム本体101として長さ方向に複数本の貫通孔を有するアルミニウム製の棒材が用いてあり、各端面は貫通孔内へ雨水が浸入しないように蓋板104で塞がれ、そのうえに緩み止め用のナット105が装着されている。
上記した構成の庇をコーナー部11P,11Qを含む建物の壁面10A〜10Cに設けるには、まず、建物の各壁面10A〜10Cの同じ高さ位置に保持枠材2A〜2Cをアンカーボルト6により水平に固定する。つぎに、庇板3A〜3Cを構成する全ての中間板材31および側板材32の基端部を保持枠材2A〜2Cに、コーナー庇板30A〜30Cを構成する全ての中間板材32および側板材34の斜めの基端部をコーナー枠材5A〜5Cに、それぞれ固定枠片7により順次固定した後、庇板3A〜3Cおよびコーナー庇板30A〜30Cの基端部に上カバー8,9および下カバー80,90をそれぞれ被せ、先端縁には縁板4A〜4Cを装着する。
上記した構成の庇1では、庇板3A〜3Cの荷重は保持枠材2A〜2Cにより支えられ、コーナー庇板30A〜30Cの荷重は保持枠材2A〜2Cに連設されたコーナー枠材5A〜5Cにより支えられるので、コーナー部分の強度が十分に高められ、変形や破損のおそれがない。
図15〜図17に示す実施例において、庇にアーム100を取り付ける場合、一体化された各コーナー枠材5A,5Bの適所に下部接続金具120の下部基板121,122を、建物のコーナー部11Pを挟む各壁面10A,10Bに上部接続金具140の上部基板141,142を、それぞれ取り付ける。下部基板121,122間に設けられたボルト125に第1のネジ軸110の環状部111を、上部基板141,142間に設けられたボルト149に第2のネジ軸130の環状部131を、それぞれ軸支した後、第1、第2の各ネジ軸110,130のネジ部112,132をアーム本体101の両端のネジ穴102,103に位置合わせし、アーム本体101を所定の方向へ軸回動することによりアーム本体101の両端面のネジ穴102,103に第1、第2の各ネジ軸110,130のネジ部112,132が同時にネジ込まれる。
上記した構成の庇では、コーナー庇板30A,30Bの荷重は保持枠材2A,2Bに連設されたコーナー枠材5A,5Bにより支えられるとともに、コーナー枠材5A,5Bはアーム100によって支えられるので、張出し長さが1メートルを越える程の大きな庇であっても、コーナー部分の強度がさらに高められる結果、変形や破損のおそれがない。
1 庇
2A,2B,2C 保持枠材
3A,3B,3C 庇板
5A,5B,5C コーナー枠材
30A,30B,30C コーナー庇板
31,33 中間板材
32,34 側板材
21,51 背板部
22,52 支持板部
6,60 ボルト
100 アーム
101 アーム本体
102,103 ネジ穴
110 第1のネジ軸
121,122 下部基板
130 第2のネジ軸
141,142 上部基板

Claims (7)

  1. コーナー部を含む建物の壁面に前方へ張り出すように設けられる庇であって、前記コーナー部を挟んで隣接する各壁面の同じ高さ位置に一端部がコーナー部に位置するようにそれぞれ固定される金属製の保持枠材と、各保持枠材の前面に基端部が全幅にわたってそれぞれ支持される庇板とから成り、各保持枠材のコーナー部に位置する端部には、同じ斜め方向へ延びる金属製のコーナー枠材がそれぞれ連設されるとともに、各コーナー枠材はそれぞれの後面が重ねられて一体化されており、各庇板のコーナー部の側の側端部には、各コーナー枠材に向けて側方へ張り出すコーナー庇板がそれぞれ連設されるとともに、各コーナー庇板のコーナー枠材に沿う基端部が各コーナー枠材の前面に支持されて成る庇。
  2. 前記コーナー枠材は保持枠材に溶接により連設されている請求項1に記載された庇。
  3. 前記庇板は、側端面を互いに突き合わせかつ係合させて庇の幅方向へ連結される複数の板材により構成されている請求項1に記載された庇。
  4. 前記保持枠材およびコーナー枠材は、背板部の前面に背板部と直角をなす支持板部が一体形成されたものであり、隣接する各壁面に固定された各保持枠材は、背板部が建物の壁面にボルトにより固定され、各保持枠材に連設された各コーナー枠材は、それぞれの背板部の後面が重ねられて一体化されており、保持枠材の背板部に固定される固定枠片と保持枠材の支持板部との間で庇板の基端部が保持されるとともに、コーナー枠材の背板部に固定される固定枠片とコーナー枠材の支持板部との間でコーナー庇板の基端部が保持されている請求項1〜3のいずれかに記載された庇。
  5. 前記保持枠材およびコーナー枠材は、背板部の前面に背板部と直角をなす上下一対の支持板部が一体形成されたものであり、隣接する各壁面に固定された各保持枠材は、背板部が建物の壁面にボルトにより固定され、各保持枠材に連設された各コーナー枠材は、それぞれの背板部の後面が重ねられて一体化されており、保持枠材の上下の支持板部間で庇板の基端部が保持されるとともに、コーナー枠材の上下の支持板部間でコーナー庇板の基端部が保持されている請求項1〜3のいずれかに記載された庇。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載された庇であって、後面が重ねられて一体化された各コーナー枠材と建物の壁面との間に設けられるアームをさらに備えて成る庇。
  7. 前記アームは、各コーナー枠材の重ねられた各後面に取り付けられた一対の下部基板と、下部基板間に下端部が回動自由に軸支された第1のネジ棒と、建物のコーナー部を挟む各壁面に取り付けられた一対の上部基板と、上部基板間に上端部が回動自由に軸支された第2のネジ棒と、両端面に第1、第2のネジ棒がネジ込まれるネジ穴が形成されたアーム本体とで構成されている請求項6に記載された庇。
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