JP2011208375A - 床材結合構造および床材結合用雇い実 - Google Patents

床材結合構造および床材結合用雇い実 Download PDF

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Abstract

【課題】床材収縮時に隙間が形成されない雇い実結合式の床材結合構造を提供する。
【解決手段】本発明は、端面に凹溝を有する複数の床材1が、床下地上に並べて配置されるとともに、隣り合う床材1において対応し合う両凹溝11に、雇い実2の両側縁部21がそれぞれ嵌合固定されることにより、隣り合う床材同士が結合されるようにした床材結合構造を対象とする。雇い実2は、両側縁部21が幅方向外側に拡がるように拡幅弾性変形可能に構成される。
【選択図】図4

Description

この発明は、住宅等の建築物におけるフローリングにおいて隣り合う床材間を雇い実によって結合するようにした床材結合構造および床材結合用雇い実に関する。
住宅等の建築物における木質系の床構造(フローリング)は、床下地上に複数の床材を並べて施工するのが一般的である。
このような床構造において、隣り合う床材を雇い実を用いて結合するようにした雇い実結合方式の床構造(床材結合構造)が周知である。
例えば下記特許文献1に示す雇い実結合方式の床構造は、床下地上に並べて配置される複数の床材の外周端面に凹溝が形成されており、隣り合う床材間において対向し合う両凹溝に、雇い実の両側縁部をそれぞれ嵌合固定することにより、隣り合う床材同士を結合するようにしている。
また近年においては、上記のような雇い実結合方式の床材において、各床材を、接着剤や、釘等で固定せずに、床下地上に載置するだけの非固定式のものが採用されている。
このような非固定式の床構造は、各床材を床下地に対し固定する接着作業や釘打ち作業等の床材固定作業を行う必要がなく、その分、施工作業を簡単かつ効率良く行うことができるため、施工作業の観点から見て好んで使用される傾向にある。
特開2007−85104号公報
ところで、上記従来の床構造に用いられる木質系の床材は、含水率の変化(吸放湿)によって伸縮するものであり、例えば冬季の乾燥や、床暖房等による加熱乾燥によって、床材が放湿して収縮してしまう。
このような背景の下、上記特許文献1のように複数の床材の各間が、雇い実によって強固に結合された床構造において、各床材を床下地に固定しない場合、各床材が放湿により収縮すると、各床材の個々の収縮は僅かではあるものの、床構造の床面全体として見たとき、床面全体が中央に引き寄せられるように大きく収縮し、床面外周(部屋周囲)に顕著な隙間が形成され、美観が低下するという課題があった。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、床材間を雇い実により結合しつつ、床材収縮時に顕著な隙間が形成されるのを防止することができる床材結合構造および床材結合用雇い実を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
[1]端面に凹溝を有する複数の床材が、床下地上に並べて配置されるとともに、隣り合う床材において対応し合う両凹溝に、雇い実の両側縁部がそれぞれ嵌合固定されることにより、隣り合う床材同士が結合されるようにした床材結合構造であって、
前記雇い実は、前記両側縁部のうち、少なくとも一方の側縁部が幅方向外側に拡がるように拡幅弾性変形可能に構成されることを特徴とする床材結合構造。
[1a]前記雇い実の両側に、幅方向外側に弾性変形可能な側枠が設けられるとともに、その側枠が、前記一方の側縁部として構成される前項1に記載の床材結合構造。
[2]前記雇い実は、前記両側縁部が共に幅方向外側に拡がるように拡幅弾性変形可能に構成される前項1に記載の床材結合構造。
[3]前記雇い実の両側に、幅方向外側に弾性変形可能な側枠が設けられるとともに、その両側の側枠が、前記両側縁部として構成される前項2に記載の床材結合構造。
[4]前記雇い実の両側縁部に、雇い実の厚さ方向に突出する係合突起が設けられ、その係合突起が、前記凹溝の内周面に圧接することにより、前記両側縁部が前記凹溝内に固定されるようにした前項1〜3のいずれか1項に記載の床材結合構造。
[5]前記係合突起は、雇い実の長さ方向に間隔をおいて複数設けられる前項4に記載の床材結合構造。
[6]前記係合突起は、前記雇い実の表面および裏面の両側に設けられ、
前記雇い実の表面側の係合突起と、裏面側の係合突起とが、雇い実の長さ方向の位置を一致させて配置される前項4または5に記載の床材結合構造。
[7]前記係合突起は、前記雇い実の表面および裏面の両側に設けられ、
前記雇い実の表面側の係合突起と、裏面側の係合突起とが、雇い実の長さ方向に位置をずらせて配置される前項4または5に記載の床材結合構造。
[7a]前記係合突起における雇い実の幅方向外側に、その外側方に向けて傾斜する嵌合ガイド面が設けられる前項4〜7のいずれか1項に記載の床材結合構造。
[8]前記係合突起における前記雇い実の長さ方向両側に、その両側方に向けて傾斜するスライドガイド面が設けられる前項4〜7のいずれか1項に記載の床材結合構造。
[9]前記雇い実には、両側の側枠間に架橋される複数の横桟が、雇い実の長さ方向に沿って並列に設けられるとともに、
前記側枠が、前記複数の横桟の各間に位置する複数の側枠構成片に区分けされ、
前記複数の側枠構成片が、それぞれ幅方向外側に弾性変形可能に構成される前項3に記載の床材結合構造。
[9a]前記複数の側枠構成片に、厚さ方向に突出する係合突起がそれぞれ設けられ、各係合突起が、前記凹溝の内周面に圧接することにより、前記側枠が前記凹溝内に固定されるようにした前項9に記載の床材結合構造。
[10]隣り合う床材のうち、一方側の床材における対向端面の表面側に、他方側の床材に向けて延びるカバー片が設けられるとともに、他方側の床材における対向端面の表面側に、前記カバー片が配置される表面段部が設けられる前項1〜9のいずれか1項に記載の床材結合構造。
[11]端面に凹溝を有し、かつ床下地上に並べて配置される複数の床材の各間を結合するための床材結合用雇い実であって、
隣り合う床材において対応し合う両凹溝に、両側縁部がそれぞれ嵌合固定されるとともに、
前記両側縁部が幅方向外側に拡がるように拡幅弾性変形可能に構成されることを特徴とする床材結合用雇い実。
発明[1][2]の床材結合構造によれば、隣り合う床材間を結合する雇い実が拡幅弾性変形可能に構成されているため、床材が収縮した際に、各雇い実が拡幅変形することにより、床材は個々に独立して収縮し、各床材間に微細な隙間が形成されるだけで、結合された全床材が一体的に収縮するようなことはない。つまり、床面全体として見たとき、視認できない程度の微細な隙間が分散して形成されるものの、局所に顕著な隙間が形成されるのを防止することができる。
発明[3]の床材結合構造によれば、雇い実を確実に拡幅弾性変形させることができ、上記の効果をより確実に得ることができる。
発明[4]〜[6]の床材結合構造によれば、雇い実を床材に対して、より一層確実に固定でき、床材同士をより確実に結合することができる。
発明[7]の床材結合構造によれば、雇い実を床材にスムーズに嵌合することができ、床材結合操作を簡単かつ確実に行うことができる。
発明[8]の床材結合構造によれば、各床材が幅方向に隣り合う床材に対し長さ方向にスライド可能な状態となり、床材が長さ方向に延伸した際に、床材の長さ方向端部同士が強く突き当たるのを防止でき、その突き当たりにより、床材端部同士が不用意に膨出するのを防止することができる。
発明[9]の床材結合構造によれば、雇い実を、長さ方向の全域にわたって均一に拡幅変形させることができ、各床材の収縮時に、床材の各間に所望の隙間を確実に形成することができる。
発明[10]の床材結合構造によれば、各床材の収縮時に、床材間に多少大きな隙間が形成されたとしても、その隙間がカバー片によって被覆されるため、良好な美観をより確実に維持することができる。
発明[11]の床材結合用雇い実によれば、上記と同様に、顕著な隙間が形成されるのを防止することができる。
図1はこの発明の実施形態である床材結合構造を示す平面図である。 図2は実施形態の床材結合構造を分解して示す斜視図である。 図3は実施形態の床材結合構造を分解して示す模式平面図である。 図4は実施形態の床材結合部周辺を拡大して示す断面図である。 図5は実施形態の床材接合構造に適用された雇い実を示す斜視図である。 図6Aは実施形態の雇い実を示す平面図である。 図6Bは図6Aの一点鎖線で囲まれる部分を拡大して示す平面図である。 図7Aは実施形態の雇い実を示す側面図である。 図7Bは図7Aの一点鎖線で囲まれる部分を拡大して示す側面図である。 図8は実施形態の雇い実を拡大して示す断面図である。 図9はこの発明の変形例としての雇い実を示す側面図である。
図1はこの発明の実施形態である床材結合構造を示す平面図、図2は分解して示す斜視図、図3は分解して示す模式平面図、図4は隣り合う床材の結合部周辺を拡大して示す断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態の床材結合構造(床構造)は、複数の床材1が、床下地G上に多数並べて配置されるとともに、隣り合う床材1,1間が、結合部材としての雇い実2によって結合されている。なお発明の理解を容易にするため、図1〜3においては床材1を2枚のみ示しているが、言うまでもなく実際には、床下地Gの所要領域全域に複数の床材1が敷き詰められるものである。
本実施形態において、各床材1は、基本的には床下地Gに対して、接着剤や釘等によって固定されるものではなく、床下地G上に単に載置されただけの非固定状態となっている。もっとも、本実施形態(本発明)において、床構造を構成する全ての床材1が、非固定状態である必要はなく、床面全域の外周部等の所要部分において、所定の床材1が床下地Gに対して、接着剤や釘等によって固定されていても良い。
床材1は、平面視長方形(矩形状)に形成されており、本実施形態では、厚さが8mm、幅が145mm、長さが909mmの木質系のものが用いられている。なお言うまでもなく、本発明において、床材の形状や大きさは限定されるものではない。
床材1における周囲4辺の全ての端面(外周端面)には、凹溝11が形成されている。凹溝11は断面がコ字状に形成されており、深さは、後に詳述する雇い実2の幅方向の寸法の1/2よりも少し深く形成されている。
図4に示すように、床材1の一方側の長辺部および一方側の短辺部における表面側には、外方へ突出するカバー片12がそれぞれ形成されるとともに、他方側の長辺部および他方側の短辺部における表面側に、上記カバー片12を設置可能な表面段部13がそれぞれ形成されている。そして隣り合う床材1,1のうち、一方側の床材1のカバー片12が、他方側の床材1の表面段部13上に配置されることにより、隣り合う床材1,1間の隙間が隠蔽されるようになっている。
また床材1の表面と外周端面との間には面取り部15が形成されており、隣り合う床材1,1の対応する面取り部15,15によって、V溝が形成されるようになっている。
一方図5〜8に示すように、雇い実2は、細長い棒状の形状を有しており、本実施形態においては、長さが99mm、幅が7mmのものが用いられている。言うまでもなく、本発明において、雇い実2の形状や大きさ(長さ等)は特に限定されるものではなく、床材1の大きさや形状、凹溝11の大きさや形状に合わせて適宜決定すれば良い。
なお、本実施形態の説明において、雇い実2の長さ方向は、図6Aの紙面に向かって左右方向に相当し、雇い実2の幅方向は、同図の上下方向に相当する。さらに雇い実2の厚さ方向は、図7Aの上下方向に相当する。
また本発明において、雇い実2の材質は、限定されるものではないが、所要の位置(側枠等)に弾力性を付与できるものであればどのようなものでも使用することができる。特に、雇い実2として、金属製のものや、合成樹脂製のものを好適に用いることができる。中でも、ナイロン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)からなる合成樹脂製のものをより一層好適に用いることができる。
雇い実2は、長さ方向に延び、かつ幅方向の両側に配置される側枠21,21と、長さ方向に延び、かつ両側の側枠(両側枠)21,21間に配置される中間枠25と、両側枠21,21間に架橋されるように幅方向に延び、かつ長さ方向に所定間隔おきに並列に配置される複数の横桟26…とを一体に有する格子状ないし網目状に形成されている。
さらに雇い実2における両側枠21,21は、横桟26…の各間に位置する複数の側枠構成片22…に区分けされている。そして図6A,図8の想像線に示すように、各側枠構成片22…は、自身が有する弾性力によって、雇い実2の幅方向の外側に湾曲して膨らむように弾性変形可能に構成されている。
また両側枠21,21の外側縁部における横桟26に対応する位置、換言すれば、側枠構成片22の外側縁部における長さ方向両側の位置には、切欠部27がそれぞれ形成されており、この切欠部27によって、各側枠構成片22の弾性変形がスムーズに行われるようになっている。
なお本実施形態においては、両側枠21,21によって雇い実22の両側縁部が構成されている。さらに既述したように、両側枠21,21が雇い実22の幅方向外側に弾性変形することによって、雇い実22が拡幅弾性変形可能に構成されている。
本実施形態において、各側枠構成片22は外側に0.5mm程度弾性変形可能に構成されており、位置的に対応する両側の側枠構成片22,22の弾性変形量を加算した量(弾性拡幅量)は、1.0mmに設定されている。
なお雇い実2における弾性拡幅量は、床材1の収縮度合いに応じて決定されるものである。すなわち、床材1は放湿によって、幅方向に0.5mm、長さ方向1.0mm程度収縮するのが一般的である。本実施形態においては、収縮量の多い床材長さ方向の収縮量(1.0mm)に対応させて、雇い実2の弾性拡幅量(変形量)が設定されている。
雇い実2における各側枠構成片22の表面および裏面には、返り片(抜け止め片)としての係合突起23,23が形成されている。この係合突起23、23は、雇い実2にその厚さ方向に突出するように一体に形成されている。本実施形態では、各側枠構成片22に設けられる表面側の係合突起23と、裏面側の係合突起23とで一対の係合突起23,23が構成されており、この一対の係合突起23,23を合わせた断面形状が、矢尻状に形成されている。
なお一対の係合突起23,23を2つ合わせたものを、抜け止め用の返り片として捉えることも可能である。
各係合突起23は、雇い実2の幅方向外側に向かって傾斜する嵌合ガイド面231を有しており、後述するように、この嵌合ガイド面231が、床材1の凹溝11内周面に沿ってガイドされることによって、雇い実2の側枠21が床材1の凹溝11内にスムーズに嵌合できるようになっている。
また各係合突起23における雇い実2の長さ方向両側に、長さ方向両側に向かって傾斜するスライドガイド面232,232が形成されている。そして、後述するように、雇い実2の側枠21を床材1の凹溝11に嵌め込んだ状態においては、スライドガイド面232が、凹溝11内周面に沿って雇い実2の長さ方向にガイドされることにより、雇い実2が床材1に対し雇い実2の長さ方向にスライドできるようになっている。
本実施形態において、雇い実2の幅方向の寸法は、4〜10mmに設定するのが好ましい。すなわち雇い実2の幅寸法が小さ過ぎる場合には、床材1への嵌合量が少なくなり、床材同士を十分に結合することが困難になるおそれがある。逆に雇い実2の幅寸法が大き過ぎる場合には、床材1への嵌合量も多くなるため、床材結合作業が困難になるおそれがある。なお言うまでもなく、雇い実2の幅寸法に応じて、床材1の凹溝11の深さ寸法が設定される。
また雇い実2の長さ方向の寸法は、30〜150mmに設定するのが好ましい。すなわち雇い実2の長さ寸法が短過ぎる場合には、床材同士を確実に連結するために、多くの雇い実2が必要となり、作業性の低下を来すおそれがある。さらに雇い実2の長さ寸法が長過ぎる場合には、一つ一つの雇い実2を床材1に嵌合するのが困難となり、作業性の低下来すおそれがある。
本実施形態においては、多数の床材1を床下地G上に並べて配置しつつ、隣り合う床材1間を雇い実2によって結合するものである。
具体的には図4に示すように、幅方向に隣り合う床材1,1のうち、一方側の床材1の対向端面における凹溝11内に、雇い実2の一方の側枠21を嵌合して、側枠21における各側枠構成片22の係合突起23…を、凹溝11の内周面に圧接し、これにより、一方の側枠21を一方側の床材1の凹溝11内に固定する。さらにこうして嵌合固定した雇い実2の他方の側枠21を、他方側の床材1の対向端面における凹溝11内に嵌合して、他方の側枠21における各側枠構成片22の係合突起23を、凹溝11の内周面に圧接し、これにより、他方の側枠21を他方側の床材1の凹溝11内に固定する。こうして幅方向に隣り合う床材1,1を雇い実2を介して結合する。
このとき、幅方向に隣り合う床材1,1の対向端部間に、その対向端部(床材長さ方向に)沿って間隔をおいて、2〜3個の雇い実2により結合するのが良い。
また施工性や、結合強度の観点から、床材長さ方向における雇い実2の取付ピッチとしては、300〜450mm程度を目安にするのが良い。
なお、この結合状態においては、一方側の床材1の対向縁部には、カバー片12が配置されるとともに、他方側の床材1の対向縁部には、表面段部13が配置されており、このカバー片12が、表面段部13を覆うように配置される。
一方、長さ方向に隣り合う床材1,1も上記と同様に、雇い実2によって結合される。すなわち長さ方向に隣り合う床材1,1のうち、一方側の床材1における凹溝11内に、雇い実2の一方の側枠21を嵌合するとともに、他方側の床材1における凹溝11内に、雇い実2の他方の側枠21を嵌合する。こうして上記と同様に、長さ方向(縦方向)に隣り合う床材1,1を雇い実2によって結合する。
この結合状態においても、上記と同様に、一方側の床材1のカバー片12が、他方側の床材1の表面段部13上に配置される。
なお、本実施形態では、長さ方向に隣り合う床材1,1の対向端面間には、1個の雇い実2で確実に結合することができる。
さらに施工性や、結合強度の観点から、床材幅方向における雇い実2の取付ピッチとしては、100〜150mm程度を目安にするのが良い。
こうして床下地G上に床材1が設置されつつ、隣り合う床材1,1間が雇い実2によって結合されることにより、床下地Gの全域に床材1が敷き詰められて、本実施形態の床構造が形成されるものである。
なお、本実施形態においては、全ての床材1が床下地Gに対し非固定状態となっているものではなく、一部の床材1、例えば床面の外周部(部屋の周囲)の床材1が接着剤や釘等で固定されている。
本実施形態の床構造(床材結合構造)において、冬季の乾燥や、床暖房等による加熱乾燥によって、各床材1が放湿してそれぞれ収縮したとしても、以下に詳述するように、床面上の局所に顕著な隙間が形成されるようなことはない。
すなわち放湿により床材1が収縮した際には、床材1の各間を結合する各雇い実2が、その側枠構成片22が外側に湾曲して拡幅弾性変形することにより、各床材1は独立して個々に収縮して、各床材間に微細な隙間が形成されるだけで、全ての床材1が一体となって中央に引き寄せられるように収縮することはない。つまり床面全体として見たとき、目視では確認できない程度の微細な隙間が多数分散して形成されてはいるものの、床面外周(部屋周囲)等に大きな隙間が部分的に形成されるのを防止でき、良好な美観を維持することができる。
さらに本実施形態においては、側枠21を長さ方向に区分けして、複数の側枠構成片22を形成するとともに、各側枠構成片22をそれぞれ幅方向外側に弾性変形可能に構成しているため、各側枠構成片22がそれぞれ弾性変形することによって、雇い実2を、長さ方向全域にわたってほぼ均一に拡幅変形させることができる。従って、床材1の収縮時に、各雇い実2がバランス良く拡幅弾性変形し、床材1の各間に所望の微細な隙間を確実に形成することができる。従って、床面全体に、より一層均等に分散させて所望の微細な隙間を形成できるようになり、床面外周等の局所に大きな隙間が形成されるのを、より一層確実に防止することができ、より一層美観を向上させることができる。
なお、雇い実2は弾性復元力によって元の狭幅状態(拡幅変形されていない状態)に復帰できるため、収縮していた床材1が、吸湿等によって延びて初期の状態に戻った際には、雇い実2が拡幅状態から元の狭幅状態に戻ることにより、床材間に隙間のない初期の床構造に戻ることになる。
また本実施形態においては、雇い実2における側枠21の係合突起23に、嵌合ガイド面231を形成しているため、雇い実2を床材1の凹溝11内に嵌合する際に、嵌合ガイド面231が凹溝内周面にガイドされる。このため雇い実2の嵌合操作を簡単かつスムーズに行うことができ、床材施工作業を簡単に行うことができる。
なお本実施形態においては、嵌合ガイド面231は、係合突起23の幅方向ほぼ全域に形成されているが、それだけに限られず、本発明において、嵌合ガイド面231は、少なくとも係合突起23の幅方向外側の一部に形成されていれば良い。
また本実施形態においては、雇い実2における係合突起23の雇い実長さ方向両端に、スライドガイド面232を形成しているため、スライドガイド面232が、凹溝11の内周面にガイドされることによって、雇い実2が床材1に対し長さ方向にスライドできる状態となっている。これにより、幅方向に隣り合う(横隣りの)床材1,1が長さ方向にスライドできる状態となり、以下に詳述するように、長さ方向に隣り合う床材1,1の端部同士が突き当たることによって発生する不用意な突き上げを防止することができる。
すなわち各床材1が横隣りの床材に対し長さ方向にスライドできない床構造では、いずれかの床材1が吸湿等によって長さ方向に延びて、当該床材1の長さ方向端部が、その端部に対向する他の床材1の長さ方向端部に突き当たった際に、当該床材1および他の床材1の端部同士が、互いに強い押圧力で突き当たり、その突き当たりによって、床材端部同士が突き上がってしまうという不具合が発生する。
そこで、本実施形態のように、各床材1が横隣りの床材1に対し長さ方向にスライド可能な状態となっている床構造では、いずれかの床材1が長さ方向に延びて、当該床材1の長さ方向端部が、その端部に対向する他の床材1の長さ方向端部に突き当たった際に、当該床材1および他の床材1が、突き当たり方向とは逆方向にスライドすることによって、床材端部同士の押圧力が緩和される。従って床材端部同士が、強く突き当たることがなく、その突き当たりによって、床材端部同士が突き上がってしまうという不具合を確実に防止することができ、良好な美観を確実に維持することができる。
また本実施形態においては、隣り合う床材1,1のうち、一方側の床材1のカバー片12を、他方側の床材1の表面段部13に配置するものであるため、床材1の収縮時に、床材1,1間に多少大きな隙間が形成されたとしても、床材1,1間の隙間はカバー片12によって被覆されるため、良好な美観をより確実に維持することができる。
なお上記実施形態においては、雇い実2における各側枠構成片22の表裏両面に、位置的に対応させて係合突起23,23を形成するようにしているが、本発明において、係合突起23の位置や、数はそれだけに限られることはない。
例えば図9に示すように、側枠構成片22の表裏両面に設けられる係合突起23,23において、表面側に設けられる係合突起23と、裏面側に設けられる係合突起23とを雇い実2の長さ方向に位置をずらせて形成するようにしても良い。この構成においては、雇い実2を床材1の凹溝11内に嵌合する際に、表面側の係合突起23と、裏面側の係合突起23とが、凹溝内周面における長さ方向に位置をずらせた状態で圧接するため、雇い実2を凹溝11内に嵌合する際の押込力(摩擦力)を小さくできて、雇い実2の嵌合操作をより一層スムーズに行うことができる。
さらに本発明においては、必ずしも、雇い実2における各側枠構成片22の表裏両面に1つずつ係合突起23を形成する必要はない。例えば、一つおきの側枠構成片22に係合突起23を形成するようにしても良いし、側枠21の長さ方向に沿って、表面側と裏面側とに交互に係合突起23を形成するようにしても良い。
また上記実施形態においては、雇い実2の両側に弾性変形可能な側枠21,21を形成するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、雇い実の両側のうち、いずれか一方の側部に、弾性変形可能な側枠(側縁部)を形成し、残り一方の側部に、弾性変形しない側縁部を形成するようにしても良い。
この発明の床材結合構造は、住宅等における床仕上げ用の床構造に適用することができる。
1:床材
11:凹溝
12:カバー片
13:表面段部
2:雇い実
21:側枠
22:側枠構成片
23:係合突起
231:嵌合ガイド面
232:スライドガイド面
26:横桟
G:床下地

Claims (11)

  1. 端面に凹溝を有する複数の床材が、床下地上に並べて配置されるとともに、隣り合う床材において対応し合う両凹溝に、雇い実の両側縁部がそれぞれ嵌合固定されることにより、隣り合う床材同士が結合されるようにした床材結合構造であって、
    前記雇い実は、前記両側縁部のうち、少なくとも一方の側縁部が幅方向外側に拡がるように拡幅弾性変形可能に構成されることを特徴とする床材結合構造。
  2. 前記雇い実は、前記両側縁部が共に幅方向外側に拡がるように拡幅弾性変形可能に構成される請求項1に記載の床材結合構造。
  3. 前記雇い実の両側に、幅方向外側に弾性変形可能な側枠が設けられるとともに、その両側の側枠が、前記両側縁部として構成される請求項2に記載の床材結合構造。
  4. 前記雇い実の両側縁部に、雇い実の厚さ方向に突出する係合突起が設けられ、その係合突起が、前記凹溝の内周面に圧接することにより、前記両側縁部が前記凹溝内に固定されるようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の床材結合構造。
  5. 前記係合突起は、雇い実の長さ方向に間隔をおいて複数設けられる請求項4に記載の床材結合構造。
  6. 前記係合突起は、前記雇い実の表面および裏面の両側に設けられ、
    前記雇い実の表面側の係合突起と、裏面側の係合突起とが、雇い実の長さ方向の位置を一致させて配置される請求項4または5に記載の床材結合構造。
  7. 前記係合突起は、前記雇い実の表面および裏面の両側に設けられ、
    前記雇い実の表面側の係合突起と、裏面側の係合突起とが、雇い実の長さ方向に位置をずらせて配置される請求項4または5に記載の床材結合構造。
  8. 前記係合突起における前記雇い実の長さ方向両側に、その両側方に向けて傾斜するスライドガイド面が設けられる請求項4〜7のいずれか1項に記載の床材結合構造。
  9. 前記雇い実には、両側の側枠間に架橋される複数の横桟が、雇い実の長さ方向に沿って並列に設けられるとともに、
    前記側枠が、前記複数の横桟の各間に位置する複数の側枠構成片に区分けされ、
    前記複数の側枠構成片が、それぞれ幅方向外側に弾性変形可能に構成される請求項3に記載の床材結合構造。
  10. 隣り合う床材のうち、一方側の床材における対向端面の表面側に、他方側の床材に向けて延びるカバー片が設けられるとともに、他方側の床材における対向端面の表面側に、前記カバー片が配置される表面段部が設けられる請求項1〜9のいずれか1項に記載の床材結合構造。
  11. 端面に凹溝を有し、かつ床下地上に並べて配置される複数の床材の各間を結合するための床材結合用雇い実であって、
    隣り合う床材において対応し合う両凹溝に、両側縁部がそれぞれ嵌合固定されるとともに、
    前記両側縁部が幅方向外側に拡がるように拡幅弾性変形可能に構成されることを特徴とする床材結合用雇い実。
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