JP2011208230A - 電池ケース用アルミニウム合金板および電池ケース - Google Patents

電池ケース用アルミニウム合金板および電池ケース Download PDF

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Abstract

【課題】JISA1000系アルミニウム材を対象として、パルスレーザー溶接する際に、パルスレーザー溶接の高速化に対応できるパルスレーザー溶接用の電池ケース用アルミニウム合金板、および、この電池ケース用アルミニウム合金板を用いた電池ケースを提供する。
【解決手段】Fe:0.1〜2.0質量%、Si:0.05〜0.5質量%、Mn:0.05〜0.5質量%を含有し、Cu:0.5質量%以下、Mg:1.0質量%以下に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる電池ケース用アルミニウム合金板において、前記電池ケース用アルミニウム合金板の導電率が62IACS%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車に搭載されるリチウム電池ケース用のアルミニウム合金板およびこのアルミニウム合金板を使用してパルスレーザー溶接により製造された電池ケースに係り、特に、パルスレーザー溶接における封止溶接作業の高速処理に好適なパルスレーザー溶接用のアルミニウム合金板およびこのアルミニウム合金板を使用してパルスレーザー溶接により製造された電池ケースに関する。
自動車用燃料電池としては、従来、ニッケル水素電池が主として使用されてきたが、近年、携帯電話およびパーソナルコンピュータ等で使用されているリチウムイオン電池が、その軽量であることおよび動作電圧が高いこと等の理由で採用を検討されている。
リチウムイオン電池は、その構成上、胴体および蓋を含めた電池ケースに電極としての作用を持たせており、電池ケース用材料には、導電性が高いアルミニウム材が使用されている。また、アルミニウム材は、深い絞り加工が可能であるため、電池ケース用としての角形または丸形の容器を成型加工にて製造することができる。
ここで、携帯電話等の電池を単体で使用する場合は、膨れ防止のため、電池ケースの胴体および蓋に高強度なJISA3000系アルミニウム合金が使用されている。この電池ケースは、アルミニウム合金材からなる胴体と蓋とを、蓋の周縁に沿ってレーザー溶接することにより接合されている。
例えば、特許文献1には、JISA3003アルミニウム合金からなる有底角筒形の外装缶の開口部に、JISA3003アルミニウム合金からなる蓋体をレーザー溶接により接合して、リチウムイオン二次電池を製造する方法が開示されている。なお、特許文献1には、電池ケースの材質として、JISA1050アルミニウム材も記載されている。
前記のごとく、従来のリチウムイオン電池は、携帯電話およびパーソナルコンピュータに使用されており、ケースの膨れ防止のために、電池ケース用材料としては、高強度のJISA3000系アルミニウム合金が使用されている。しかし、自動車用燃料電池は、複数個の燃料電池をその間に樹脂スペーサを介在させて積層するように配置されているので、高強度の素材でなくても膨れ等の問題が生じない。このため、自動車用燃料電池用のリチウムイオン電池では、JISA3000系に比べて低強度ではあるが、高導電率のJISA1000系アルミニウム材(純アルミニウム材)の使用が検討されている。
例えば、特許文献2には、JISA1000系のアルミニウム合金からなる電池ケース材において、Ti含有量を0.01質量%以下に規制することにより、パルスレーザー溶接により溶接した場合の局所的な異常部(イレギュラー・ビード)の形成を防止することができる電池ケースが開示されている。また、特許文献3には、JISA1000系のアルミニウム合金からなる電池ケース材において、粘性パラメータを適性範囲とするためにB等の不純物含有量を規制することにより、同様の作用を発現できることが開示されている。
さらに、これら特許文献2、3に記載されるJISA1000系のアルミニウム合金材は、電池封印時に内容物と局所的な異常部とが熱反応することによる爆発を回避するためのアルミニウム板の厚肉化が必要ないので、薄肉化によるコストダウン効果が得られるものと予想される。
特開2000−123822号公報(段落0022、0051〜0061) 特開2009−127075号公報(段落0017〜0020) 特開2009−287116号公報(段落0020〜0025)
しかしながら、従来の電池ケース用アルミニウム合金板および電池ケースでは、以下に示す問題がある。
近年では、ハイブリッド自動車や電気自動車の需要が堅調なことから、電池ケースの生産数量も著しく増加する傾向にあり、そのため、電池ケースの大量の連続生産が行われるようになってきた。しかし、連続生産のためにパルスレーザー溶接での封止溶接作業を高速化すると、十分なビードの溶け込み深さを得ることができず、継手強度が低下するという問題がある。よって、パルスレーザー溶接での封止溶接作業において、高速処理へ対応できるアルミニウム合金板が要求されている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、JISA1000系アルミニウム材を対象として、パルスレーザー溶接する際に、パルスレーザー溶接の高速化に対応できるパルスレーザー溶接用の電池ケース用アルミニウム合金板、および、この電池ケース用アルミニウム合金板を用いた電池ケースを提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板(以下、適宜、アルミニウム合金板という)は、Fe:0.1〜2.0質量%、Si:0.05〜0.5質量%、Mn:0.05〜0.5質量%を含有し、Cu:0.5質量%以下、Mg:1.0質量%以下に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる電池ケース用アルミニウム合金板において、前記電池ケース用アルミニウム合金板の導電率が62IACS(International Annealed Copper Standard)%以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、Fe,Si,Mnを所定量含有し、また、Cu,Mgを含有する場合に所定量以下に規制することによって、それぞれの元素がアルミニウム中に固溶し、アルミニウム合金板の熱伝導性が低下すると共に、アルミニウム合金板の強度が向上する。また、導電率が所定以下であることによって、パルスレーザー溶接における溶け込み深さが所定以上となり、継手強度が向上する。
また、本発明に係るアルミニウム合金板は、さらに、Ti:0.1質量%以下を含有することを特徴とする。
このような構成によれば、アルミニウム合金鋳造組織が微細化、均質化(安定化)され、圧延用スラブの造塊時の鋳造割れが防止される。
本発明に係る電池ケースは、前記記載の電池ケース用アルミニウム合金板を用いたことを特徴とする。
このような電池ケースは、本発明のアルミニウム合金板を使用して製造されたものであるため、ビードの溶け込み深さが深くなることで十分な継手強度を有し、また、電池ケース自体の強度が向上したものとなる。
本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板によれば、電池ケースを製造する際のパルスレーザー溶接を高速化しても、十分なビードの溶け込み深さとすることができ、継手強度が向上する。そのため、パルスレーザー溶接での封止溶接作業において、高速処理を行うことができる。また、パルスレーザー溶接において、優れた耐溶接割れ性を有すると共に、電池ケースに成形される際に優れた成形性(しごき加工性)を有する。さらに、JISA1000系アルミニウム材を用いたものとしては、優れた強度を有する電池ケースとすることができる。
また、本発明に係る電池ケースは、本発明の電池ケース用アルミニウム合金板を使用するため、十分な継手強度を有するものとなる。また、JISA1000系アルミニウム材を用いたものとしては、優れた強度を有する。
以下、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板(以下、適宜、アルミニウム合金板という)を実現するための形態について説明する。
〔アルミニウム合金板の構成〕
本発明に係るアルミニウム合金板は、Fe,Si,Mnを所定量含有し、Cu,Mgを所定量以下に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金板であり、アルミニウム合金板の導電率を所定に規定したものである。また、さらにTiを所定量含有してもよい。
以下、各成分の限定理由および導電率の規定理由について説明する。
(Fe:0.1〜2.0質量%)
Feは、アルミニウム中に固溶することにより導電性を低下させる、すなわち熱伝導性を低下させる効果を有する。また、アルミニウム合金板の強度を高める効果も有する。Fe含有量が0.1質量%未満では、前記効果が小さい。一方、Fe含有量が2.0質量%を超えると、Al、Si、Mnらと粗大なAl−Fe−Mn系、Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物を形成し、成形時の割れの起点となりやすいため、アルミニウム合金板の成形性が低下する。したがって、Fe含有量は、0.1〜2.0質量%とし、好ましくは0.65〜2.0質量%とする。
(Si:0.05〜0.5質量%)
Siは、アルミニウム中に固溶することにより導電性を低下させる、すなわち熱伝導性を低下させる効果を有する。また、アルミニウム合金板の強度を高める効果も有する。Si含有量が0.05質量%未満では、前記効果が小さい。一方、Si含有量が0.5質量%を超えると融点が低下するので、パルスレーザー溶接において、溶接割れが生じる。したがって、Si含有量は、0.05〜0.5質量%とし、好ましくは0.1〜0.4質量%とする。
(Mn:0.05〜0.5質量%)
Mnは、アルミニウム中に固溶することにより導電性を低下させる、すなわち熱伝導性を低下させる効果を有する。また、アルミニウム合金板の強度を高める効果も有する。Mn含有量が0.05質量%未満では、前記効果が小さい。一方、Mn含有量が0.5質量%を超えると、Al、Fe、Siらと粗大なAl−Fe−Mn系、Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物を形成し、成形時の割れの起点となりやすいため、アルミニウム合金板の成形性が低下する。したがって、Mn含有量は、0.05〜0.5質量%とし、好ましくは0.1〜0.4質量%とする。
(Cu:0.5質量%以下)
Cuは、アルミニウム中に固溶することにより導電性を低下させる、すなわち熱伝導性を低下させる効果を有する。また、アルミニウム合金板の強度を高める効果も有する。しかし、Cu含有量が0.5質量%を超えると融点が低下するので、パルスレーザー溶接において、溶接割れが生じる。したがって、Cu含有量は、0.5質量%以下とする。なお、Cuは0質量%でもよいが、前記の効果をより発揮させるため、0.1質量%以上添加することが好ましい。
(Mg:1.0質量%以下)
Mgは、アルミニウム中に固溶することにより導電性を低下させる、すなわち熱伝導性を低下させる効果を有する。また、アルミニウム合金板の強度を高める効果も有する。しかし、Mg含有量が1.0質量%を超えると、アルミニウム合金板の加工硬化性が高くなって成形性が低下する。また、融点が低下するため、パルスレーザー溶接において、溶接割れが生じると共に、Mg原子が突発的に蒸気化飛散する割合が増加して溶接異常部が発生する。したがって、Mg含有量は、1.0質量%以下とする。なお、Mgは0質量%でもよいが、前記の効果をより発揮させるため、0.02質量%以上添加することが好ましい。
(Ti:0.1質量%以下)
Tiは、アルミニウム合金鋳造組織を微細化、均質化(安定化)する効果があり、圧延用スラブの造塊時の鋳造割れを防止する効果がある。しかし、含有量が0.1質量%超えるとその効果が飽和するため、それ以上の含有は不要である。したがって、Tiを添加する場合は、Ti含有量は、0.1質量%以下とする。
(残部:Alおよび不可避的不純物)
アルミニウム合金板の成分は前記の他、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものである。なお、不可避的不純物として、例えば、地金や中間合金に含まれている、通常知られている範囲内のZn、Ga、V、Ni等は、本発明の効果を妨げるものではないため、このような不可避的不純物の含有は許容される。
(導電率:62IACS%以下)
パルスレーザー溶接において、アルミニウム板は鋼板やステンレス板に比べて熱伝導性、すなわち導電性が良好であるため、同じ深さの溶け込みを得るためには大きなレーザーエネルギーが必要になる。しかしながら、純アルミニウムの他元素、例えばFe、Si、Mn、Cu、Mgを含有させて合金化すると、それら元素が固溶することにより導電性が低下し、熱伝導性も低下するため、パルスレーザー溶接における溶け込み深さも所定以上の深さが確保可能となる。導電率が62IACS%以下であれば、パルスレーザー溶接を高速化しても、パルスレーザー溶接における溶け込み深さが十分なものとなり、優れた継手強度を得ることができる。したがって、導電性を示す指標である導電率を62IACS%以下とし、好ましくは58IACS%未満とする。
そして、導電率は、前記Fe,Si,Mn,Cu,Mgの各含有量により制御する。また、後記するように、アルミニウム鋳塊を鋳造する鋳造条件範囲を適正化することによって、含有元素の内、Fe、Si、Mn、Cu、Mgの晶出を抑制して導電率を低く抑えることができる。
アルミニウム合金板の導電率の測定は、例えば、フェルスター社製シグマテスタ(型番2.068)を用いて行うことができる。
〔アルミニウム合金板の製造方法〕
次に、本発明に係るアルミニウム合金板の製造方法の一例について説明する。
まず、前記組成を有するアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製し、この鋳塊に面削を施した後に、480℃以上かつ前記アルミニウム合金の融点未満の温度で均質化熱処理を施す。次に、この均質化熱処理された鋳塊を、熱間圧延および冷間圧延して圧延板を作製する。そして、この圧延板を、300〜400℃の温度範囲内で焼鈍を施すことでアルミニウム合金板を製造する。
さらに、前記本発明に係るアルミニウム合金板の製造方法の内、アルミニウム鋳塊を鋳造する鋳造条件範囲を適正化することによって、含有元素の内、Fe、Si、Mn、Cu、Mgの晶出を抑制して導電率を低く抑えることが好ましく、これにより溶接性が優れたものとなる。その場合の鋳造条件は、鋳造速度は60mm/min以下、鋳込み温度は710℃以下の鋳造条件で行うことが好ましい。なお、鋳込み温度は690℃以上で行うことにより、鋳造時のトラブルの発生を防止することもできる。
〔電池ケース〕
次に、本発明に係る電池ケースについて説明する。本発明に係る電池ケースは、前記アルミニウム合金板を用いて作製したものである。
以下、本発明に係るアルミニウム合金板から電池ケースおよび二次電池を作製する方法の一例を説明する。
<電池ケースおよび二次電池の作製方法>
ケース本体部とする本発明に係るアルミニウム合金板は、最終冷間圧延にて0.5〜1.5mm程度の板厚とする。このアルミニウム合金板を、所定の形状に切断し、絞り加工またはしごき加工により有底筒形状に成形する。さらにこの加工を複数回繰り返して徐々に側壁面を高くして、トリミング等の加工を必要に応じて施すことで、所定の底面形状および側壁高さに成形してケース本体部とする。電池ケースの形状は特に限定されるものではなく、円筒形、偏平形の直方体等、二次電池の仕様に従い、ケース本体部は上面が開放された有底筒形状とする。
また、ケース本体部と同じアルミニウム合金で、1.0〜2.5mm程度の板厚とした本発明に係るアルミニウム合金板で蓋部を作製する。このアルミニウム合金板をケース本体部の上面に対応した形状に切断し、注入口等を形成して蓋部とする。前記ケース本体部に二次電池材料(正極材料、負極材料、セパレータ等)を格納し、上面に前記蓋部を溶接する。ケース本体部と蓋部との溶接は、波形制御されたパルスレーザーによる溶接が一般的である。そして、電池ケースに注入口から電解液を注入して、注入口を封止して二次電池とする。
以上、本発明を実施するための形態について述べてきたが、以下に、本発明の効果を確認した実施例を、本発明の要件を満たさない比較例と対比して具体的に説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
〔供試材作製〕
表1に示す組成のアルミニウム合金を、溶解、鋳造(鋳込温度:700℃、鋳造速度:50mm/min)して鋳塊とし、この鋳塊に面削を施した後に、所定温度にて4時間の均質化熱処理を施した。この均質化した鋳塊に、熱間圧延、さらに冷間圧延を施して、板厚1.0mm程度の圧延板とした。そして、この圧延板360℃に加熱して焼鈍を行い、アルミニウム合金板を作製した。
成分組成を表1に示す。なお、表中、本発明の範囲を満たさないものは、数値等に下線を引いて示し、成分を含有しないものは、「−」で示す。
Figure 2011208230
〔導電率〕
次に、アルミニウム合金板の導電率をフェルスター社製シグマテスタ(型番2.068)を用いて測定した。
〔評価〕
得られたアルミニウム合金板にて以下の評価を行い、結果を表2に示す。なお、表中、導電率が本発明の範囲を満たさないものは、数値に下線を引いて示す。
(強度)
アルミニウム合金板から、引張方向が圧延方向と平行になるようにJIS5号による引張試験片を切り出した。この試験片で、JISZ2241による引張試験を実施し、引張強さ、耐力(0.2%耐力)、および伸びを測定した。
(パルスレーザー溶接性)
板厚1.0mmのアルミニウム合金板の表面上にレーザー照射を移動させ、連続的に溶融させる、いわゆるビードオンプレート溶接を行った。この溶接においては、1個のパルスレーザーにより溶融池が形成されて、この溶融池が固化した円状の溶接部が、レーザーの移動により連続的に溶接線に沿って重なり合いながら形成される。溶接機は、パルス発振のYAGレーザーを使用し、ピーク出力4000w、溶接速度10mm/秒にて行った。
評価については、溶接割れの有無を肉眼および光学顕微鏡にて観察し、割れの無い健全なビードが得られたものを「○」、割れが生じたものを「×」と判定した。
また、溶接ビード断面を切り出して光学顕微鏡観察することにより、ビードの溶け込み深さを測定して、深さ140μm以上の場合に非常に高い継手強度が得られるものとして「◎」、深さ120μm以上の場合に実用上十分な継手強度が得られるものとして「○」深さ120μm未満の場合に溶け込み不足により十分な継手強度が得られないものとして「×」と評価した。
(成形性)
アルミニウム合金板から、プレス加工機を使用して、側壁のしごき加工率を20%として、底面が縦15mm×横120mm、側壁の高さ80mmの箱体の角型電池ケース本体を成形した。この際、割れがなく成形可能であったものを「○」、成形時に割れが発生したもの、または著しい肌荒れが発生したものを成形性が不良であるとして「×」と評価した。
Figure 2011208230
表2に示すように、実施例であるNo.1〜23は、本発明の範囲を満たすため、パルスレーザー溶接性、成形性のいずれにおいても優れていた。
一方、比較例であるNo.24〜41は、本発明の範囲を満たさないため、以下の結果となった。
No.24は、Fe含有量が下限値未満のため、導電性が高くなり、ビードが溶け込み不足となって、パルスレーザー溶接性に劣った。No.25は、Fe含有量が上限値を超えるため、粗大な金属間化合物を形成して、成形性に劣った。
No.26は、Si含有量が下限値未満のため、導電性が高くなり、ビードが溶け込み不足となって、パルスレーザー溶接性に劣った。No.27は、Si含有量が上限値を超えるため、ビードに割れが生じ、パルスレーザー溶接性に劣った。
No.28は、Cu含有量が上限値を超えるため、ビードに割れが生じ、パルスレーザー溶接性に劣った。No.29は、Mn含有量が下限値未満のため、導電性が高くなり、ビードが溶け込み不足となって、パルスレーザー溶接性に劣った。No.30は、Mn含有量が上限値を超えるため、粗大な金属間化合物を形成して、成形性に劣った。
No.31は、Mg含有量が上限値を超えるため、ビードに割れが生じ、パルスレーザー溶接性に劣った。また、成形性に劣った。No.32は、Mn含有量、Mg含有量が上限値を超えるため、粗大な金属間化合物を形成したこと等により、成形性に劣り、またビードに割れが生じ、パルスレーザー溶接性に劣った。
No.33〜35は、Fe含有量が上限値を超えるため、粗大な金属間化合物を形成して、成形性に劣った。No.36は、Si含有量が上限値を超えるため、ビードに割れが生じ、パルスレーザー溶接性に劣った。No.37〜39は、Fe含有量が上限値を超えるため、粗大な金属間化合物を形成して、成形性に劣った。No.40、41は、Mnを含有していないため、導電性が高くなり、ビードが溶け込み不足となって、パルスレーザー溶接性に劣った。
なお、No.40、41のアルミニウム合金板は、それぞれ特許文献2、特許文献3に記載された従来のアルミニウム合金板を想定したものである。本実施例で示すように、これら従来のアルミニウム合金板は、前記の評価において一定の水準を満たさないものである。従って、本実施例によって、本発明に係るアルミニウム合金板が従来のアルミニウム合金板と比較して、優れていることが客観的に明らかとなった。
以上、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板および電池ケースについて実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて改変・変更等することができることはいうまでもない。

Claims (3)

  1. Fe:0.1〜2.0質量%、Si:0.05〜0.5質量%、Mn:0.05〜0.5質量%を含有し、Cu:0.5質量%以下、Mg:1.0質量%以下に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる電池ケース用アルミニウム合金板において、
    前記電池ケース用アルミニウム合金板の導電率が62IACS%以下であることを特徴とする電池ケース用アルミニウム合金板。
  2. さらに、Ti:0.1質量%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の電池ケース用アルミニウム合金板。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電池ケース用アルミニウム合金板を用いたことを特徴とする電池ケース。
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