JP2011207983A - 重合体の分子量の制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】単量体成分を重合させる際に、得られる重合体の分子量を容易に制御することができる重合体の分子量の制御方法および分子量が制御された重合体を容易に製造することができる重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】連鎖移動剤としてメルカプト化合物の存在下で単量体成分を重合させる際に、生成する重合体の分子量を制御するための方法であって、単量体成分を重合させる際に当該単量体成分の酸価を0.01〜20mgKOH/gに調整することにより、生成する重合体の分子量を制御することを特徴とする重合体の分子量の制御方法、および分子量が制御された重合体の製造方法であって、連鎖移動剤としてメルカプト化合物の存在下で単量体成分を重合させる際に、当該単量体成分の酸価を0.01〜20mgKOH/gに調整した後、当該単量体成分を重合させることを特徴とする分子量が制御された重合体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、重合体の分子量の制御方法に関する。さらに詳しくは、例えば、粘着剤組成物などに有用な重合体の分子量の制御方法、および分子量が制御された重合体の製造方法に関する。
メタクリル酸メチルを主体とする単量体成分を重合させる際に、連鎖移動剤として直鎖アルキルメルカプタンを添加することは、旧来から行なわれている(例えば、特許文献1参照)。この直鎖アルキルメルカプタンを用いてメタクリル酸メチルを主体とする単量体成分を重合させたときに生成する硫化水素による臭気を低減させる方法として、アクリルモノマーと、メルカプト化合物からなる連鎖移動剤と、溶剤とを含むモノマー溶液中のアクリルモノマーを重合させることによって得られた重合体溶液から、加熱操作および減圧操作によって溶剤を除去する重合体の製造方法において、重合開始前、重合後かつ脱溶剤前または脱溶剤後に、塩基性化合物またはフェノール系酸化防止剤を添加することが提案されている(例えば、特許文献2の[要約]参照)。
しかし、前記方法によれば、加熱操作および減圧操作によって溶剤を除去する際に同時に硫化水素も除去されるので、得られる重合体から発生する硫化水素による臭気が低減されるが(例えば、特許文献2の段落[0011]参照)、得られる重合体の分子量を所定値に制御することが困難である。
特開昭55−5950号公報 特開2008−101120号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、単量体成分を重合させる際に、得られる重合体の分子量を容易に制御することができる重合体の分子量の制御方法および分子量が制御された重合体を容易に製造することができる重合体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、
〔1〕 連鎖移動剤としてメルカプト化合物の存在下で単量体成分を重合させる際に、生成する重合体の分子量を制御するための方法であって、単量体成分を重合させる際に当該単量体成分の酸価を0.01〜20mgKOH/gに調整することにより、生成する重合体の分子量を制御することを特徴とする重合体の分子量の制御方法、
〔2〕 単量体成分が、酸基を有しない単量体からなる前記〔1〕に記載の重合体の分子量の制御方法、
〔3〕 炭素数1〜8の飽和脂肪族カルボン酸を用いて単量体成分の酸価を調整する前記〔1〕または〔2〕に記載の重合体の分子量の制御方法、
〔4〕 分子量が制御された重合体の製造方法であって、連鎖移動剤としてメルカプト化合物の存在下で単量体成分を重合させる際に、当該単量体成分の酸価を0.01〜20mgKOH/gに調整した後、当該単量体成分を重合させることを特徴とする分子量が制御された重合体の製造方法、および
〔5〕 単量体成分が、酸基を有しない単量体からなる前記〔4〕に記載の重合体の製造方法、
〔6〕 炭素数1〜8の飽和脂肪族カルボン酸を用いて単量体の酸価を調整する前記〔4〕または〔5〕に記載の重合体の製造方法、および
〔7〕 前記〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載の製造方法によって得られた重合体を含有してなる粘着剤組成物
に関する。
本発明の重合体の分子量の制御方法によれば、単量体成分を重合させる際に、得られる重合体の分子量を容易に制御することができるという効果が奏される。また、本発明の重合体の製造方法によれば、分子量が制御された重合体を容易に製造することができるという効果が奏される。
本発明の重合体の分子量の制御方法は、前記したように、連鎖移動剤としてメルカプト化合物の存在下で単量体成分を重合させる際に、生成する重合体の分子量を制御するための方法であって、単量体成分を重合させる際に当該単量体成分の酸価を0.01〜20mgKOH/gに調整することにより、生成する重合体の分子量を制御することを特徴とする。また、本発明の重合体の製造方法は、前記したように、分子量が制御された重合体の製造方法であって、連鎖移動剤としてメルカプト化合物の存在下で単量体成分を重合させる際に、当該単量体成分の酸価を0.01〜20mgKOH/gに調整した後、当該単量体成分を重合させることを特徴とする。
本発明者は、連鎖移動剤としてメルカプト化合物の存在下で単量体成分を重合させたとき、得られる重合体の分子量が変動することから、分子量を容易に制御することができる重合体の分子量の制御方法および分子量が制御された重合体の製造方法を開発するべく鋭意研究を重ねたところ、驚くべきことに、重合する際に用いられる単量体成分の酸価を特定の範囲内となるように調整した場合には、得られる重合体の分子量を容易に制御することができることが見出された。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
なお、本明細書にいう重合体とは、重量平均分子量が10000〜1000000である重合体を意味する。
本発明においては、連鎖移動剤としてメルカプト化合物が用いられる。メルカプト化合物としては、例えば、メルカプト安息香酸、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酪酸、メルカプトオクタン酸、メルカプトステアリン酸、メルカプトニコチン酸、メルカプトチアゾール酢酸、チオリンゴ酸、システイン、N−アセチルシステインなどのカルボキシル基含有メルカプト化合物;メルカプトプロピオネートなどのエステル基含有メルカプト化合物;メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトペンタノール、メルカプト1−オクタノール、メルカプトドデカノール、メルカプトシクロペンタノール、メルカプトシクロヘキサノール、1,3−ジメルカプトプロパノール、チオグリセロール、メルカプトフェノール、アミノチオフェノールなどの水酸基含有メルカプト化合物;ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、セチルメルカプタンなどのアルキルメルカプタンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのメルカプト化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのメルカプト化合物のなかでは、得られる重合体の分子量の制御が容易であることから、式(I):
HO−R1−SH (I)
(式中、R1は、炭素数1〜8のアルキレン基またはフェニレン基を示す)
で表わされる水酸基含有メルカプト化合物が好ましく、前記式(I)において、R1が炭素数1〜6のアルキレンまたはフェニレン基である水酸基含有メルカプト化合物がより好ましく、R1が炭素数1〜4のアルキレンまたはフェニレン基である水酸基含有メルカプト化合物がさらに好ましい。式(I)で表わされる水酸基含有メルカプト化合物の好適な例としては、例えば、2−メルカプトエタノール、1−チオグリセロール、p−メルカプトフェノールなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、メルカプト化合物がカルボキシル基含有メルカプト化合物である場合、当該カルボキシル基含有メルカプト化合物は、酸価が所定値となるように調整するための酸成分として用いることができる。この場合、得られる重合体の分子量の制御が容易であることから、炭素数1〜8のカルボキシル基含有メルカプト化合物が好ましく、炭素数1〜8のカルボキシル基含有飽和脂肪族メルカプト化合物がより好ましい。
単量体成分としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド基含有(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有モノマー、ビニルエステル系モノマー、スチレン系モノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリ」とは、「アクリ」または「メタクリ」を意味する。
前記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数は、基材に対する粘着力を高める観点から、好ましくは4〜12、より好ましくは4〜10、さらに好ましくは4〜9である。なお、前記アルキル基は、シクロアルキル基を含む概念のものである。アルキル(メタ)アクリレートのなかでは、重合性に優れ、基材に対する粘着力を任意に調整することができることから、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよびイソノニル(メタ)アクリレートが好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートがより好ましい。
前記アルキレンオキサイド基含有(メタ)アクリレートが有するアルキレンオキサイド基としては、例えば、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基などが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。アルキレンオキサイド基含有(メタ)アクリレートが有するアルキレンオキサイド基の末端は、水酸基であってもよく、あるいはメチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などの基であってもよい。
前記アルキレンオキサイド基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシ基の炭素数が1〜4であるアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアリールオキシ基の炭素数が6〜12であるアリールオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルキレンオキサイド基の炭素数が1〜4であるポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルキレンオキサイド基含有(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。水酸基含有(メタ)アクリレートのなかでは、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートがさらに好ましい。
前記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボキシル基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリメチル酢酸ビニル、ピバル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、トリクロロ酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのビニルエステル系モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−(2−クロロエチル)スチレンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのスチレン系モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体成分のなかでは、得られる重合体の粘度を低く抑えたり、架橋剤を配合した後のポットライフが長くなることから、酸基を有しない単量体が好ましく、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド基含有(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、ビニルエステル系モノマーおよびスチレン系モノマーがより好ましく、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド基含有(メタ)アクリレートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートがさらに好ましく、アルキル(メタ)アクリレートおよびアルキレンオキサイド基含有(メタ)アクリレートがさらに一層好ましい。これらの酸基を有しない単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
メルカプト化合物の量は、特に限定されないが、通常、単量体成分100質量部あたり、分子量を任意に制御する観点から、好ましくは0.05質量部以上であることが好ましく、重合体の分子量が低くなりすぎることを防止する観点から、1質量部以下であることが好ましい。なお、メルカプト化合物として、カルボキシル基含有メルカプト化合物を用いる場合には、前記したように、当該カルボキシル基含有メルカプト化合物の量は、単量体成分が以下で説明する
酸価を有するように調整される。
本発明においては、単量体成分の酸価を0.01〜20mgKOH/gに調整する。なお、本明細書にいう酸価とは、単量体成分1gを中和させるのに必要な水酸化カリウム(分子量:56.105)の量(mg)を意味する。単量体成分の酸価は、JIS K0070に準拠して、電位差滴定法または中和滴定法によって測定することができる。
単量体成分の酸価は、得られる重合体の分子量を容易に制御することができるようにする観点から、0.01mgKOH/g以上、好ましくは0.03mgKOH/g以上、より好ましくは0.1mgKOH/g以上、さらに好ましくは0.2mgKOH/g以上、さらに一層好ましくは0.3mgKOH/g以上であり、得られる重合体の架橋性を高める観点から、20mgKOH/g以下、好ましくは15mgKOH/g以下、さらに好ましくは10mgKOH/g以下である。
単量体成分の酸価は、単量体成分に酸成分を添加することによって制御することができる。酸成分としては、単量体成分との反応を回避する観点から、飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、得られる重合体の分子量を容易に制御する観点から、炭素数1〜8の飽和脂肪族カルボン酸がより好ましい。好適な炭素数1〜8の飽和脂肪族カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの酸成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、単量体成分の酸価を所定値に調整した後、当該単量体成分を重合させる。単量体成分の重合方法としては、重合熱の除去が容易であることから、溶液重合法が好ましい。溶液重合法によって単量体成分を重合させる際には、有機溶媒が用いられる。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの脂肪酸エステル;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物;ヘキサン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。有機溶媒の量は、特に限定されず、溶液重合に適した量が選択される。
単量体成分の重合温度、重合時間などの反応条件は、単量体成分の種類などによって異なるので一概には決定することができないことから、それらの種類などに応じて適宜決定することが好ましい。また、単量体成分を重合させる際の雰囲気は、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気であることが好ましい。また、その雰囲気の圧力は、常圧(大気圧)、減圧および加圧のいずれであってもよい。
単量体成分を重合させる際には、必要により、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシオクトエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、m−トルオイルパーオキサイドとベンゾイルパーオキサイドの混合物〔日油(株)製、商品名:ナイパーBMTERT−K40〕などの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。重合開始剤の量は、特に限定されないが、通常、単量体成分100質量部あたり0.01〜5質量部程度であることが好ましい。
また、単量体成分を重合させる際には、必要により、重合禁止剤を適量で用いることができる。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、p−メトキシフェノールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
以上のようにして単量体成分を重合させることにより、重合体が得られる。重合体の重量平均分子量は、重合体が使用された被着体をオートクレーブなどによって加熱処理を施したときに粘着力が強くなりすぎるのを抑制する観点、および例えば基材などに塗布したときに基材とのなじみ性を向上させる観点から、好ましくは10000〜1000000、より好ましくは20000〜700000である。重合体の重量平均分子量は、前記メルカプト化合物の量を調整することによって容易に調節することができる。
また、必要により、前記で得られた重合体を架橋させてもよい。重合体を架橋させる際には、架橋剤を用いることができる。架橋剤としては、重合体が有する官能基に対して反応性を有する官能基を1分子中に2個以上有する化合物を用いることができる。架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート、多官能エポキシ化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、前記芳香族ポリイソシアネートの水素添加物などの脂肪族または脂環族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの2量体または3量体、これらのポリイソシアネートとトリメチロールプロパンなどのポリオールとからなるアダクト体などが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を併用することができる。
ポリイソシアネートは、例えば、「コロネートL」、「コロネートL−55E」、「コロネートHX」、「コロネートHL」、「コロネートHL−S」、「コロネート2234」、「アクアネート200」、「アクアネート210」〔以上、日本ポリウレタン工業(株)製、「コロネート」および「アクアネート」は登録商標〕、「デスモジュールN3400」〔住友バイエルウレタン(株)(現バイエルA.G.社)製、「デスモジュール」は登録商標)、「デュラネートD−201」、「デュラネートTSE−100」、「デュラネートTSS−100」、「デュラネート24A−100」、「デュラネートE−405−80T」〔以上、旭化成(株)製、「デュラネート」は登録商標〕、「タケネートD−110N」、「タケネートD−120N」、「タケネートM−631N」、「MTERT−オレスターNP1200」〔以上、三井武田ケミカル(株)(現三井化学ポリウレタン(株))製、「タケネート」および「オレスター」は登録商標)などとして商業的に容易に入手することができる。これらのポリイソシアネートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
多官能エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジンなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を併用することができる。
架橋剤のなかでは、ポリイソシアネートの2量体、ポリイソシアネートの3量体、ポリイソシアネートの2官能プレ重合体およびポリイソシアネートのアダクト体などが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートの2量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(3量体)、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体などがより好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体がさらに好ましい。ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体は、例えば、旭化成ケミカルズ(株)製、商品名:デュラネート(登録商標)TSE−100、商品名:デュラネート(登録商標)TSS−100などが挙げられる。
架橋剤の量は、単量体成分が有する官能基の合計量を1当量としたとき、好ましくは0.1〜2当量、より好ましくは0.3〜1.5当量である。
また、本発明においては、架橋促進剤を適量で用いてもよい。架橋促進剤としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、2−エチルヘキサノエート鉛、チタン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサノエート鉄、2−エチルヘキサノエートコバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、テトラ−n−ブチル錫などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
なお、本発明においては、本発明の目的が阻害されない範囲内で、必要により、前記重合体には、その他の重合体を含有させてもよい。また、前記重合体には、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、カチオン性帯電防止剤、アニオン性帯電防止剤、両性帯電防止剤、ノニオン性帯電防止剤、イオン導電性重合体などの帯電防止剤、架橋促進剤、粘着付与剤、改質剤、顔料、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などの添加剤を含有させてもよい。
以上説明したように、本発明の重合体の分子量の制御方法によれば、得られる重合体の分子量を容易に制御することができる。また、本発明の重合体の製造方法によれば、分子量が制御された重合体を容易に製造することができる。
前記で得られた重合体は、例えば、塗料、接着剤、粘着剤、シーリング剤などの原料として好適に用いることができる。前記重合体が用いられた製品としては、例えば、粘着テープ、粘着シート、離型紙などの基材の片面に粘着剤層が形成されている粘着製品、基材の両面に粘着剤層が形成されている粘着製品、基材を有しない粘着剤層のみを有する粘着製品などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の粘着剤組成物は、前記重合体を含有するものである。本発明の粘着剤組成物には、前記重合体に加えて、凝集力や架橋密度を制御するために、架橋剤を含有させることができる。
架橋剤としては、例えば、多官能エポキシ化合物、多官能ポリイソシアネート化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
多官能エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能エポキシ化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多官能ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート化合物、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物などがあげられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能ポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物とジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールとを反応させることによって得られるアダクト化合物;これら芳香族ポリイソシアネート化合物の2量体または3量体であるウレトジオン化合物、ビウレット化合物、イソシアヌレート化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの芳香族ポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族ポリイソシアネート化合物および脂環族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、前記芳香族ポリイソシアネートの水素添加物などの脂肪族リイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネート;これらのポリイソシアネート化合物とジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールを反応させることによって得られるアダクト化合物;これらのポリイソシアネート化合物の2量体または3量体であるウレトジオン化合物、ビウレット化合物、イソシアヌレート化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの脂肪族ポリイソシアネート化合物および脂環族ポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の量は、前記重合体1当量あたり、凝集力を高める観点から、好ましくは0.1当量以上、より好ましくは0.2当量以上であり、なじみ性(濡れ性)を向上させる観点から、好ましくは2当量以下、より好ましくは1.5当量以下である。
本発明の粘着剤組成物における不揮発分量は、塗布後の乾燥時間を短縮させ、生産性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上であり、また本発明の粘着剤組成物の高粘度化を抑制し、操作性や塗布性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましく60質量%以下、より一層好ましくは50質量%以下である。
本発明の粘着剤組成物における不揮発分量は、有機溶媒を用いて調整することができる。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの脂肪酸エステル;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物;ヘキサン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の粘着剤組成物には、必要により、例えば、架橋促進剤、粘着付与剤、改質剤、顔料、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の目的を阻害しない範囲で添加してもよい。
本発明の粘着剤組成物は、例えば、基材の上に塗布し、乾燥させることによって用いることができる。基材としては、例えば、上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙などの紙類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、セロファンなどの樹脂からなるフィルムやプレートなど;織布、不織布などの繊維製品;これらの積層体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の粘着剤組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、ロールコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
基材上に形成された粘着剤の表面には、必要により、離型紙を貼着してもよい。このように剥離紙を貼着した場合には、粘着剤の表面を保護することができる。なお、この剥離紙は、使用時に粘着剤の表面から引き剥がされる。
以上のようにして、本発明の粘着剤組成物は、例えば、基材に塗布することにより、粘着シート、粘着テープなどに好適に使用することができる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
なお、各実施例などで用いられる化合物の分子量は、以下のとおりである。
・ギ酸の分子量:46.025
・酢酸の分子量:60.052
・プロピオン酸の分子量:74.079
実施例1〜7および比較例1〜3
単量体成分として、2−エチルへキシルアクリレート208部(質量部、以下同じ)、ブチルアクリレート20部、メトキシトリエチレングリコールアクリレート〔共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートMTG−A〕160部および2−ヒドロキシエチルアクリレート12部、表1に示すメルカプト化合物、表1に示す酸成分および溶媒として酢酸エチル384部を十分に混合した後、得られた混合物を、温度計、撹拌機、不活性ガス導入管および還流冷却器を備えたフラスコ内に添加した。
フラスコ内の内容物を撹拌しながら窒素ガスをフラスコ内に流通させながら、フラスコの内温を92℃まで上昇させたところでサンプリングを行ない、前記混合物の酸価を測定した。混合物の酸価の理論値および実測値を表1に示す。
なお、混合物の酸価の理論値は、混合物の組成に基づいて計算によって求められる混合物の酸価であり、混合物の酸価の実測値は、JIS K0070に準拠して、中和滴定法によって測定された混合物の酸価である。
次に、フラスコ内に、重合開始剤として、酢酸エチル0.9部で希釈した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)〔日本ファインケム(株)製、品番:ABN−E〕0.1部をフラスコ内に添加し、沸点(実施例1では84℃)で重合反応を開始させた。
重合反応の開始から1時間経過した後、重合開始剤として、酢酸エチル1.8部で希釈した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)〔日本ファインケム(株)製、品番:ABN−E〕0.2部をフラスコ内に添加した。
反応開始から3.5時間経過した時点およびその時点から30分間経過ごとに、ブースターとして酢酸エチル7.2部で希釈した2,2’−アゾビスイソブチロニトリル〔日本ファインケム(株)製、品番:ABN−R〕0.8部を4度に分割して反応開始から5時間が経過するまで添加した。その後、さらにフラスコの内温を78℃に調整して2時間熟成した。得られた重合体の物性を以下の方法に基づいて測定した。その結果を表1に記載する。
(1)重合体の重量平均分子量
(A)期待値
重合体の重量平均分子量の期待値を式:
[重合体の重量平均分子量の期待値]
=[〔(メルカプト化合物の分子量)×(メルカプト化合物1分子中のチオール基の個数)〕
÷〔単量体成分100部あたりのメルカプト化合物の量(部)〕]×100
に基づいて求めた。
(B)実測値
得られた重合体の重量平均分子量は、以下の測定方法に基づいて測定した。
〔重量平均分子量の測定方法〕
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)の測定装置として、東ソー(株)製、品番:HLC−8220GPCを用い、以下の測定条件で測定し、標準ポリスチレン〔東ソー(株)製〕による換算値を重量平均分子量とした。
(測定条件)
・分離カラム:東ソー(株)製、品番:TSKgel Super HZM−M
・溶出溶媒:テトラヒドロフラン
・流量:0.35mL/min
・注入量:10μL/回
・試料濃度:0.2質量%
次に、重合体の重量平均分子量の理論値と実測値とから、式:
[分子量制御の安定性]
=(重合体の重量平均分子量の実測値)÷(重合体の重量平均分子量の理論値)
に基づいて分子量制御の安定性を求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
○:分子量制御の安定性が0.8〜1.2の範囲内である。
×:分子量制御の安定性が0.8〜1.2の範囲外であるか、または測定不能である。
(2)不揮発分量
重合体溶液約0.5gを直径50mm程度のアルミニウム箔製の平底皿で秤量し、酢酸エチル約1gで希釈したものを150℃の熱風循環式乾燥機で15分間乾燥させた後の質量を秤量し、乾燥後の質量を乾燥前の質量で除した値に100を乗じた値を不揮発分量(質量%)とした。
(3)粘度
粘度は、B型粘度計を用い、重合体溶液の温度を25℃に調整し、ローター番号と回転数を測定粘度ごとに最適な条件となるように設定することによって測定した。
(4)粘着力
重合体100部(不揮発分量)と、架橋促進剤としてジブチル錫ジラウレート2.5×10-4部および架橘剤としてトリレンジイソシアネート〔日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートL−55E、3官能アダクト体〕2.6部(不揮発分量)とを十分に混合することにより、粘着剤組成物を得た。
支持基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔東レ(株)製、品番:T60、厚さ:38μm〕の表面上に、前記で得られた粘着剤組成物を乾繰後の塗膜の厚さが20μmとなるように塗布した後、100℃で2分間乾燥することにより、粘着フィルムを作製した。粘着剤が塗布された面に離型処理を施したPETフィルム〔東洋紡績(株)製、品番:K1504、厚さ:38μm〕を貼着して保護した後、23℃、相対湿度50%の雰囲気中で1週間養生した。
養生後の粘着フィルムを23℃、相対湿度50%の雰囲気中で24時間調湿した後、25mm幅で適当な長さに切断することにより、試験テープを作製した。なお、離型フィルムは、試験を実施する際に引き剥がした。
23℃、相対湿度65%の雰囲気中で、市販のアクリル樹脂板〔三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリライト〕に、前記で得られた試験テ―プの粘着面を貼り合わせ、質量2kgのゴムローラを試験テープの上で1往復させて圧着した後、24時間試験テープを放置した、その後、この試験テープについて、23℃、相対湿度50%の雰囲気中にて剥離速度0.3m/minでJIS K6854に準じて180°剥離による粘着力を測定した。
(5)塗工性
前記(4)粘着力において、粘着力を調べるために支持基材に粘着剤組成物を塗布する際の塗工性を調べ、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
○:粘度が十分に低く、塗工性が良好である。
×:粘度が高く、塗工性が良好でないか、または塗工性が良好であっても塗膜が荒れている。
(6)粘着力の安定性
重量平均分子量が期待どおりの値であるときの粘着力の実測値を基準とし、重量平均分子量が前記基準とした粘着力の実測値から振れているかどうかを調べ、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
○:粘着力が触れておらず、安定している。
×:粘着力が振れており、安定していない。
なお、表1中の各略号は、以下のことを意味する。
MP:p−メルカプトフェノール
AT:2−アミノチオフェノール
TG:1−チオグリセロール
ME:2−メルカプトエタノール
MPA:3−メルカプトプロピオン酸
表1に示された結果から、各実施例によれば、単量体成分を重合させる際に単量体の酸価が所定の範囲内となるように調整されているので、得られる重合体の分子量を安定して制御することができることがわかる。さらに、各実施例によれば、粘着力に優れ、塗工性および粘着力の安定性にも優れた塗膜を形成する重合体が得られることがわかる。

Claims (7)

  1. 連鎖移動剤としてメルカプト化合物の存在下で単量体成分を重合させる際に、生成する重合体の分子量を制御するための方法であって、単量体成分を重合させる際に当該単量体成分の酸価を0.01〜20mgKOH/gに調整することにより、生成する重合体の分子量を制御することを特徴とする重合体の分子量の制御方法。
  2. 単量体成分が、酸基を有しない単量体からなる請求項1に記載の重合体の分子量の制御方法。
  3. 炭素数1〜8の飽和脂肪族カルボン酸を用いて単量体成分の酸価を調整する請求項1または2に記載の重合体の分子量の制御方法。
  4. 分子量が制御された重合体の製造方法であって、連鎖移動剤としてメルカプト化合物の存在下で単量体成分を重合させる際に、当該単量体成分の酸価を0.01〜20mgKOH/gに調整した後、当該単量体成分を重合させることを特徴とする分子量が制御された重合体の製造方法。
  5. 単量体成分が、酸基を有しない単量体からなる請求項4に記載の重合体の製造方法。
  6. 炭素数1〜8の飽和脂肪族カルボン酸を用いて単量体の酸価を調整する請求項4または5に記載の重合体の製造方法。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法によって得られた重合体を含有してなる粘着剤組成物。
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