JP2011207110A - 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】帯状の金属板を酸性電解液中に搬送しつつ交番波形電流により連続的に交流電解処理する際に、チャターマークの発生を効果的に抑制できる平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法を提供する。
【解決手段】帯状のアルミニウムウェブWを、カソード電解槽1において酸性水溶液中でカソード反応を行い、次にアノード電解槽2において酸性水溶液中でアノード反応を行った後、交流電解槽3において酸性水溶液中で交番波形電流により連続的に交流電解粗面化処理を行なう。
【選択図】図1

Description

本発明は、平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法に係り、特に、連続したアルミニウム板を電解粗面化する際のチャターマークの発生を効果的に抑制できる平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法に関する。
平版印刷版の原版である平版印刷原版は、一般的に、純アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、「アルミニウム等」ということがある。)の板の表面を粗面化処理することにより作成される。そして、この平版印刷版用支持体に感光性樹脂又は感熱性樹脂を塗布して感光性又は感熱性の製版層を形成するという手順に従って作製される。
このような平版印刷版用アルミニウム支持体の製造工程において、長尺なアルミニム板であるアルミニウムウェブは、ブラシローラや研磨ローラ等による機械的粗面化処理、アルカリで化学的に粗面化する化学的エッチング粗面化処理、及びアルミニウムウェブを電極の一方として電解処理する電解粗面化処理等により粗面化される。
電解粗面化処理は、通常、酸性電解液中でアルミニウムウェブに正弦波電流、矩形波電流、又は台形波電流等の交番波形電流を印加して行なうので、電解槽の入口において、アルミニウムウェブに正電圧及び負電圧が交互に印加される。アルミニウムウェブに正電圧が印加されるとアノード反応が起き、負電圧が印加されるとカソード反応が起きる。カソード反応時には水酸化アルミニウムを主体とする析出物が生成する。アノード反応時には酸化皮膜が形成され、皮膜欠陥部が溶解し、ピットと称する蜂の巣状の小孔が生じる。
したがって、電解槽内を通過するアルミニウムウェブは、電解槽の入口において正電圧が印加されると先ずアノード反応をし、負電圧が印加されると先ずカソード反応をする。そして、蜂の巣状の小孔のうちでも、アノード反応から交流電解処理を開始すると大きさの不均一な孔が形成されやすく、カソード反応から交流電解処理を開始すると大きさの均一な孔が形成され易い。
電解粗面化に用いる電流は交流であるため、電流の流れる向きは入れ替わっており、このため、ウエブが電解槽の入口に来た時アノード反応から交流電解処理を開始した箇所とカソード反応から交流電解処理を開始した箇所では表面状態が異なるため、アルミニウムウェブの表面には、図5に示すうように、濃く見える部分1と薄く見える部分2とがアルミニウムウェブの搬送方向に0.5〜3cm程度の間隔で順番に現れる縞状の濃淡ムラ、即ちチャターマークが生じる。なお、図5では、チャターマークを説明するために濃淡を誇張して示している。
これらを解決するための手段として、例えば特許文献1及び特許文献2がある。特許文献1では、電解槽の入口部に、電解槽内部において印加される交番波形の電流密度よりも低い電流密度で電解処理するソフトスタート部を備えた電解処理装置が開示されている。
また、特許文献2では、アノード反応により金属板表面に予め酸化膜を形成してから交流電解処理することでチャターマークを抑制できるとされている。
特開2003−003299号公報 特開2007−270217号公報
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2では、チャターマークの抑制効果が不十分である。また、交流電解槽の内部に発明の装置が設置されているため、制御が難しいという問題もある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、帯状の金属板を酸性電解液中に搬送しつつ交番波形電流により連続的に交流電解処理する際に、チャターマークの発生を効果的に抑制できる平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法の提供を目的とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 帯状のアルミニウム板を、カソード電解槽において酸性水溶液中でカソード反応を行い、次にアノード電解槽において酸性水溶液中でアノード反応を行った後、交流電解槽において酸性水溶液中で交番波形電流により連続的に交流電解粗面化処理を行なうことを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
<2> 前記カソード電解槽の酸性水溶液中とアノード電解槽の酸性水溶液中とがどちらも硝酸水溶液であることを特徴とする<1>に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
<3> 前記交流電解槽中の酸性水溶液とカソード電解槽の酸性水溶液中とアノード電解槽の酸性水溶液中とがいずれも同一組成の硝酸水溶液であることを特徴とする<2>に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
<4> 前記カソード反応を行う電流とアノード反応を行う電流とでは、前者の方が絶対値が高い電流密度にて反応が行われることを特徴とする<1>に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
<5>前記カソード反応を行う電流とアノード反応を行う電流とは、いずれも直流電流であることを特徴とする<1>乃至<4>に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
本発明によれば、帯状のアルミニウム板を、交流電解槽において酸性水溶液中で交番波形電流により連続的に交流電解粗面化処理を行なう前に、予め、交流電解槽とは別のカソード電解槽においてカソード反応を行い、次にアノード電解槽においてアノード反応を行うことで、アルミニウム金属板の表面に大きさの不均一な孔が形成されにくく、アルミニウムウェブの孔の大きさが均一化されるので、チャターマークの発生を十分に抑制することができる。すなわち、交流電解粗面化を行なう前に、まずカソード反応により基板表面に予め水酸化物イオンを分布させた後、アノード反応を行って基板表面に薄い均一な酸化アルミニウム層を形成させておくことで、交流電解処理の開始反応が異なっても、同じように電解が行なわれ、チャターマークの発生を効果的に抑制できると考えられる。
また、前処理工程を交流電解槽の外で行うことができるので、前記水酸化物イオンの分布や前記酸化アルミニウム層の形成における制御が容易で、均一な処理が可能となる。
本発明の電解処理においては、カソード反応を行う電流密度とアノード反応を行う電流密度とでは、電流密度の絶対値は前者の方が高いことが好ましい。
平版印刷版の電解粗面化処理に本発明の製造方法を用いると、チャターマークの発生を効果的に抑制できる。尚、アルミニウム板は、アルミニウム合金板も含まれる。
本発明によれば、帯状のアルミニウム板を酸性電解液中に搬送しつつ交番波形電流により連続的に交流電解処理する際に、交流電解処理がアノード反応から開始した箇所においてもカソード反応から開始した箇所においても同程度の大きさの孔となる。その結果、チャターマークの発生を効果的に抑制でき、良質な粗面化処理を行うことができる。
本発明の実施形態におけるカソード電解槽とアノード電解槽とを独立させた態様の模式図 本発明の実施形態におけるカソード電解とアノード電解とを同一の槽内で行なう態様の模式図 交流電解処理がアノード反応から開始された場合にアルミニウム板表面に形成される小孔の模式図 交流電解処理がカソード反応から開始された場合にアルミニウム板表面に形成される小孔の模式図 チャターマークの説明する模式図 本発明の実施形態における電解粗面化に好適に用いられるラジアル型交流電解槽を備える電解粗面化処理装置の一例の断面模式図
以下、本発明の実施形態における平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法の詳細について説明する。
図1及び図2は、平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法のうち、電解粗面化の前処理装置の詳細について説明する図である。
図1、2における左方からカソード反応を行う電解槽1に案内されたアルミニウムウェブWは、最初に電流部1Aから負の電圧が印加され、カソード反応が起こる。これによりアルミニウムウェブWの電流部1Aに向いた側の面に水酸化物イオンが多数発生し、アルミニウムウェブWの表面に分布する。
次に上記アルミニウムウェブWは、アノード反応行う電解槽2に送られる。案内されたアルミニウムウェブWには電流部2Aから正の電圧が印加されてアノード反応が起こり、薄い均一な陽極酸化皮膜が生成する。この薄い均一な陽極酸化皮膜を有するアルミニウムウェブWが次の交流電解槽3で交流電解粗面化されることで、この交流電解のスタートがアノード反応であろうがカソード反応であろうが、アルミニウムウェブWの表面に形成される孔の大きさを均一にすることができる。これにより、チャターマークの発現を効果的に抑制できる。
図3は、アルミニウムウェブWに形成される孔の大きさが不均一な従来の場合であり、図4はアルミニウムウェブWに形成される孔の大きさが均一な本発明の場合である。また、図5は、チャターマークを説明する図であり、図3及び図4に示す表面形状の差により、光が当たったときに濃く見える部分Aと薄く見える部分BとがアルミニウムウェブWの搬送方向に交互に形成される。
なお、図2は、カソード電解とアノード電解とを1つの電解槽5で行うものであり、作用は図1と同様である。
本発明においては、通常の交流電解槽3の前にカソード電解槽1およびアノード電解槽2を設けることを特徴とするが、上記カソード電解槽1およびアノード電解槽2は、図1、図2で示したような間接給電方式が好ましく用いられる。
本発明のカソード電解槽1およびアノード電解槽2においては、アルミニウムウェブWに5〜20mmの極間距離で電圧を印加して反応を行うことが好ましい。
カソード電解およびアノード電解で使用される酸性水溶液としては、硝酸を主体とする水溶液もしくは塩酸を主体とする水溶液が好ましい。硝酸を主体とする水溶液の場合は、硝酸濃度が3〜20g/Lであるのが好ましく、5〜15g/Lであるのがより好ましい。 塩酸を主体とする水溶液の場合は、塩酸濃度が3〜15g/Lであるのが好ましく、5〜10g/Lであるのがより好ましい。また、電解粗面化処理に用いている酸性水溶液をそのまま用いて循環させれば、新たな送調液設備が不要であるため便利である。
本発明のカソード反応を行う電流は負電流であれば直流でも脈流でもよく、波形には限定されないが、直流が好ましい。アノード反応を行う電流も正電流であれば波形には限定されないが、直流が好ましい。
本発明においては、カソード反応の電流密度とアノード反応の電流密度の絶対値は、前者の方が高いことが好ましいが、さらにカソード反応の電流密度は−10A/dm以下であることが好ましく、より好ましくは−30A/dm以下であり、−50A/dm以下が特に好ましい(負の直流電圧であることから、「−10A/dm以下」と表現)。電気量は0.1〜30C/dmで行うことが好ましい。
アノード反応の電流密度は1A/dm〜40A/dmの範囲が好ましく、より好ましくは2A/dm〜20A/dmである。電気量は0.1〜30C/dmで行うことが好ましい。
以下に、本発明の平版印刷版用支持体を製造する方法の例について説明する。
<アルミニウムウェブ(圧延アルミ)>
本実施形態のアルミニウムウェブとして使用されるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属の連続した帯状のシート材又は板材である。アルミニウム板には、既述したように、アルミニウム合金板も含まれており、以下、これらを総称してアルミニウム板という。
アルミニウム板は、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A1050、JIS A1100、JIS A3003、JISA3004、JIS A3005、国際登録合金3103A等のアルミニウム板を適宜利用することができる。
また、アルミニウム板の製造方法は、連続鋳造方式及びDC鋳造方式のいずれでもよく、DC鋳造方式の中間焼鈍や、均熱処理を省略したアルミニウム板も用いることができる。最終圧延においては、積層圧延や転写等により凹凸を付けたアルミニウム板を用いることもできる。また、アルミニウム板の厚さは、通常、0.05〜1mm程度であり、0.1mm〜0.5mmであるのが好ましい。この厚さは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザの希望により適宜変更することができる。
本実施形態における平版印刷版原版の製造方法においては、上記アルミニウム板に、酸性水溶液の中での電解粗面化処理を含む各種表面処理を施して平版印刷版原版を得るが、この表面処理には、更に各種の処理が含まれていてもよい。
電解粗面化処理の前には、アルカリエッチング処理又はデスマット処理を施すのが好ましく、また、アルカリエッチング処理とデスマット処理とをこの順に施すのも好ましい。また、電解粗面化処理の後には、アルカリエッチング処理又はデスマット処理を施すのが好ましく、また、アルカリエッチング処理とデスマット処理とをこの順に施すのも好ましい。また、電解粗面化処理後のアルカリエッチング処理は、省略することもできる。本発明においては、これらの処理の前に機械的粗面化処理を施すのも好ましい。また、電解粗面化処理を2回以上行ってもよい。また、これらの後に、陽極酸化処理、封孔処理、親水化処理等を施すのも好ましい。
以下、機械的粗面化処理、第1アルカリエッチング処理、第1デスマット処理、電解粗面化処理、第2アルカリエッチング処理、第2デスマット処理、陽極酸化処理、封孔処理及び親水化処理のそれぞれについて、詳細に説明する。尚、本実施形態においては、電解粗面化処理の前に行う処理に「第1」という序数をつけて呼び、電解粗面化処理の後に行う処理に「第2」という序数をつけて呼ぶ場合がある。
<機械的粗面化処理>
機械的粗面化処理は、電解粗面化処理の前に行うのが好ましい。機械的粗面化処理は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン(登録商標)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有するスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニウムウェブの表面の一方又は両方を擦ることにより行う。研磨剤は例えば、パミストン、ケイ砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、火山灰、カーボランダム、金剛砂等の研磨剤、又はこれらの混合物を用いることができる。また、機械的粗面化処理においては、まず、ブラシグレイニングを行うに先立ち、所望により、アルミニウムウェブの表面の圧延油を除去するための脱脂処理、例えば、界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われてもよい。
<第1アルカリエッチング処理>
第1アルカリエッチング処理は、上記アルミニウムウェブをアルカリ溶液に接触させることにより、エッチングを行う。アルミニウムウェブをアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、アルカリ溶液を入れた槽の中にアルミニウムウェブを通過させる方法、アルカリ溶液を入れた槽の中にアルミニウムウェブを浸漬させる方法、アルカリ溶液をアルミニウムウェブの表面に噴き付ける方法等が挙げられる。エッチング量は、次の工程で電解粗面化処理を施す面については、1〜15g/m2 であるのが好ましく、電解粗面化処理を施さない面については、0.1〜5g/m2 (電解粗面化処理を施す面の約10〜40%)であるのが好ましい。アルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。
<第1デスマット処理>
第1デスマット処理は、例えば、上記アルミニウムウェブを塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。
<電解粗面化前処理>
ここでは、本発明に係る前記した電解粗面化の前処理すなわち、酸性水溶液中でカソード反応を行い、次に酸性水溶液中でアノード反応を行う処理を実施する。
<電解粗面化処理>
前記の前処理を行なった後、チャターマークを発生することなく、電解粗面化処理が行なわれる。
電解粗面化処理で使用される酸性水溶液としては、特に限定されないが、硝酸を主体とする水溶液及び塩酸を主体とする水溶液が好ましい。硝酸を主体とする水溶液は、硝酸濃度が3〜20g/Lであるのが好ましく、5〜15g/Lであるのがより好ましく、また、アルミニウムイオン濃度が3〜15g/Lであるのが好ましく、3〜7g/Lであるのがより好ましい。硝酸を主体とする水溶液におけるアルミニウムイオンの濃度は、硝酸濃度の硝酸水溶液に硝酸アルミニウムを添加することにより調整することができる。塩酸を主体とする水溶液は、塩酸濃度が3〜15g/Lであるのが好ましく、5〜10g/Lであるのがより好ましく、また、アルミニウムイオン濃度が3〜15g/Lであるのが好ましく、3〜7g/Lであるのがより好ましい。塩酸を主体とする水溶液におけるアルミニウムイオンの濃度は、上記塩酸濃度の塩酸水溶液に塩化アルミニウムを添加することにより調整することができる。
電界粗面化を行なう装置は、例えば、図6に示したようなラジアル型交流電解槽を備える電解粗面化処理装置が好ましい。
図6において、11はアルミニウムウェブWであり、12は送りローラであり、13aおよび13bは主極であり、14は電解処理液であり、15は電解液供給口であり、16はスリットであり、17は電解液通路であり、18は補助陽極であり、19aおよび19bはサイリスタであり、20は交流電源であり、30は電解槽であり、40は電解槽本体であり、50は補助陽極槽である。
図6に示されるように、電解粗面化処理装置は、酸性電解液が貯留される電解槽30が内部に設けられた電解槽本体40と、電解槽30内部に、水平方向に伸びる軸線の周りに回転可能に配設され、帯状に連続した薄板であるアルミニウムウェブWを矢印aの方向、即ち図6における右方から左方に向かって送る送りローラ12と、を備えている。
電解槽30の内壁面は送りローラ12を囲むように略円筒状に形成され、電解槽30の内壁面上には、半円筒状の電極が送りローラ12を挟んで設けられている。電極13a,13bはそれぞれ円周方向に沿って複数の小電極に分割され、各小電極の間にはそれぞれ絶縁層が介装されている。
電源ACは、交番波形電流を供給する機能を有する。電解槽30の上部には、連続帯状のアルミニウムウェブWが導入及び導出される開口部が形成され、開口部における電極の下流側末端近傍には、電解槽30に酸性電解液を補充する酸性電解液の電解液供給口15が設けられている。
交流の周波数は、特に限定されないが、40〜120Hzであるのが好ましく、40〜80Hzであるのがより好ましく、50〜60Hzであるのが更に好ましい。また、アルミニウムウェブWに対して、アノード反応の時に流れる電気量Qaとカソード反応の時に流れる電気量Qcとの比Qc/Qaが0.9〜1であることが好ましく、0.95〜0.99であるよりことがより好ましい。これにより、アルミニウムウェブWの表面に均一なハニカムピットを形成することができる。
交流における電流値がゼロから正又は負のピークに達するまでの時間TPは、台形波電流である場合においては、0.5〜6msecであるのが好ましく、0.6〜5msecであるのがより好ましい。これにより、アルミニウムウェブWの表面に、より均一なクレーター状の凹部(ピット)を形成できる。
電解粗面化処理における開始時から終了時までの電気量は、アルミニウムウェブWがアノードの時の総和で、10〜1000C/dmであるのが好ましく、10〜800C/dmであるのがより好ましく、40〜500C/dmであるのが更に好ましい。
交流におけるアノードサイクル側のピーク時の電流Iap、及びカソードサイクル側のピーク時の電流Icpは、それぞれ10〜100A/dmであるのが好ましく、20〜80A/dmであるのがより好ましく、30〜60A/dmであるのが更に好ましい。また、Icp/Iapは、0.9〜1.5であるのが好ましく、0.9〜1.0であるのがより好ましい。
電解粗面化処理においては、1又は2以上の電解槽30において、アルミニウムウェブWに交流が流れない休止期間を1回以上設け、休止期間の長さを0.001〜0.6秒とすると、ハニカムピットがアルミニウムウェブWの表面全体に均一に形成されるので好ましい。
<第2アルカリエッチング処理>
第2アルカリエッチング処理は、上記アルミニウムウェブをアルカリ溶液に接触させることにより、エッチングを行う。アルカリの種類、アルミニウムウェブをアルカリ溶液に接触させる方法は、第1アルカリエッチング処理の場合と同様のものが挙げられる。エッチング量は、0.001〜5g/m2であるのが好ましく、0.01〜3g/m2であることがより好ましく、0.05〜2g/m2であることがさらに好ましい。
<第2デスマット処理>
第2デスマット処理は、例えば、上記アルミニウムウェブをリン酸、塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。
<陽極酸化処理>
上記の如く処理されたアルミニウムウェブには、更に、陽極酸化処理が施されるのが好ましい。陽極酸化処理は酸性水溶液の中で、アルミニウムウェブに直流、脈流又は交流を流すことで、アルミニウムウェブの表面に陽極酸化皮膜を形成する。
電解液として硫酸溶液を用いるのが好ましい。電解液中の硫酸濃度は、10〜300g/L(1〜30質量%)であるのが好ましい。
アルミニウムウェブに直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dmであるのが好ましく、5〜40A/dmであるのがより好ましい。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度1〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10〜300秒であるのが適当である。陽極酸化処埋は、陽極酸化皮膜量が1〜5g/m2になるように行うのが、平版印刷版の耐刷性の点から好ましい。また、アルミニウムウェブの中央部と縁部近傍との間の陽極酸化皮膜量の差が1g/m2以下になるように行うのが好ましい。
<親水化処理>
陽極酸化処理後又は封孔処理後、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸せきさせる方法、親水性ビニルポリマー又は親水性化合物を塗布して親水性の下塗り層を形成させる方法等により、親水化処理を行うのが好ましい。
<中間層>
上記の親水化処理した平版印刷版用支持体、あるいは親水化処理後さらに酸性水溶液処理した平版印刷版用支持体の上に直接感光層を設けることができるが、必要に応じて、上記各支持体上に中間層を設け、該中間層上に感光層を設けることもできる。
<感光層>
上記中間層が形成される前の平版印刷版用支持体又は上記中間層が形成された平版印刷版用支持体に感光層を設けることにより、平版印刷版原版を得ることができる。
感光層は、特に限定されないが、例えば、通常の可視光で露光する可視光露光型製版層、赤外線レーザ光等のレーザ光で露光するレーザ露光型製版層が挙げられる。
レーザ露光型製版層としては、例えば、レーザ光を照射した部分が残存するネガ型レーザ製版層、レーザ光を照射した部分が除去されるポジ型レーザ製版層、レーザ光を照射すると光重合する光重合型レーザ製版層が主なものとして挙げられる。感光層形成液に使用される溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アミド系溶剤、炭酸エステル系溶剤が挙げられ、塗布方法は、特に限定されず、回転塗布法、ワイヤーバー塗布法、ディップ塗布法、エアーナイフ塗布法、ロール塗布法、ブレード塗布法等の従来公知の方法を用いることができる。
このようにして得られた平版印刷版原版を、必要に応じて、適当な大きさに裁断して、露光し現像して製版することにより、平版印刷版が得られる。可視光露光型製版層(感光性製版層)を設けた平版印刷版原版の場合には、印刷画像が形成された透明フイルムを重ねて通常の可視光を照射することにより露光し、その後、現像を行うことにより製版することができる。レーザ露光型製版層を設けた平版印刷版原版の場合には、各種レーザ光を照射して印刷画像を直接書き込むことにより露光し、その後、現像することにより製版することができる。
次に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚み0.24mm、巾1030mmのJISA1050アルミウエブをライン速度50m/分で搬送しつつ、苛性ソーダを用いて化学的溶解処理を溶解量5g/mで行い、次に50℃の1%硝酸液に20秒浸漬してデスマット処理した。
次に、図1に示す、カソード反応を行う電解反応槽とアノード反応を行う電解反応槽とを分離した間接給電方式処理装置を用い、アルミニウムウェブと直流電流部との極間距離Lは10mmで、カソード電解槽では硝酸1%、アルミニウムイオン0.5%を含む電解液で35℃で電流密度-30A/dm直流、電気量2C/dmにてカソード電解を行った。
次にアノード電解槽では上記カソード電解槽と同じ条件の電解液で、電流密度2A/dm、電気量2C/dmで直流アノード電解を行なった。
次に上記処理の5秒後、交流電解槽にて、上記電解液と同じ条件の電解液を用いて周波数60Hz、TP(電流値がゼロから台形波の正又は負のピークに達するまでの時間)が1msecの台形波を用いて、平均電流密度を35A/dm、Iap(アノードサイクル側のピーク時の電流値)を50A/dm、Icp(カノードサイクル側のピーク時の電流値)を50A/dm、電気量250C/dm、Qc/Qa(アノード反応の時に流れる電気量Qaとカソード反応の時に流れる電気量Qcとの比)を0.95として交流電解を行って、電解粗面化処理を施した。
上記電解粗面化されたアルミニウムウェブについて、チャターマークの有無を目視で評価した。
その結果、実施例1のアルミニウムウェブにおいては、チャターマークが全く見られず、改良効果が非常に大きいことがわかった。
(実施例2)
本発明の電解反応槽を、図2に示すようなカソード反応とアノード反応とを共通の槽とした処理装置を用いた以外は、実施例1と同様の条件でアルミニウムウェブを処理し、上記のような評価を行なった。その結果、実施例2のアルミニウムウェブにおいては、チャターマークが全く見られなかった。
(実施例3)
カソード反応の電解水溶液とアノード反応の電解水溶液とをいずれも塩酸1%、アルミニウムイオン0.5%を含む液とした以外は、実施例1と同様の条件でアルミニウムウェブを処理し、上記のような評価を行なった。その結果、実施例3のアルミニウムウェブにおいては、チャターマークが全く見られなかった。
(実施例4)
カソード反応の電流とアノード反応の電流とを、いずれも直流からパルス波形に変えた以外は、実施例1と同様の条件でアルミニウムウェブを処理し、上記のような評価を行なった。その結果、実施例4のアルミニウムウェブにおいては、チャターマークが全く見られなかった。
(比較例1)
カソード反応およびアノード反応を行わずに電解粗面化を行なった以外は、実施例1と同様の条件でアルミニウムウェブを処理し、上記のような評価を行なった。その結果、比較例1のアルミニウムウェブにおいては、強いチャターマークが見られた。
(比較例2)
カソード反応を行わずにアノード反応を行ってから電解粗面化を行なった以外は、実施例1と同様の条件でアルミニウムウェブを処理し、上記のような評価を行なった。その結果、比較例2のアルミニウムウェブにおいては、弱いチャターマークが見られた。
11… アルミニウム板、 12… ラジアルドラムローラ、 13a、13b…主極、14…電解処理液、15…電解液供給口、16…スリット、17…電解液通路、18…補助陽極、19a、19b…サイリスタ、20…交流電源、30…電解槽、40…電解槽本体、50…補助陽極槽

Claims (5)

  1. 帯状のアルミニウム板を、カソード電解槽において酸性水溶液中でカソード反応を行い、次にアノード電解槽において酸性水溶液中でアノード反応を行った後、交流電解槽において酸性水溶液中で交番波形電流により連続的に交流電解粗面化処理を行なうことを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  2. 前記カソード電解槽の酸性水溶液中とアノード電解槽の酸性水溶液中とがどちらも硝酸水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  3. 前記交流電解槽中の酸性水溶液とカソード電解槽の酸性水溶液中とアノード電解槽の酸性水溶液中とがいずれも同一組成の硝酸水溶液であることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  4. 前記カソード反応を行う電流とアノード反応を行う電流とでは、前者の方が絶対値が高い電流密度にて反応が行われることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  5. 前記カソード反応を行う電流とアノード反応を行う電流とは、いずれも直流電流であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
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