JP2011206658A - 排ガス処理装置およびこれを用いた排ガス処理方法 - Google Patents

排ガス処理装置およびこれを用いた排ガス処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 バグフィルタの圧力損失の増大やハンドリング性の悪化を防止するとともに、酸性ガスと中和剤の反応効率を高めることにより中和剤の使用量の低減を図ることができる排ガス処理装置およびこれを用いた排ガス処理方法を提供すること。
【解決手段】 排ガス導入部1、中和剤供給部2、バグフィルタ3、分級部4、粉砕部5、中和剤循環流路Lrおよび排出路Loを有し、粉砕または粉砕された固体成分(飛灰)の一部をバグフィルタ3に還流するとともに、新規に供給された中和剤を含め、バグフィルタ3に導入される固体成分が、3〜10%の平均粒径20〜150μmの大粒径成分と残量として平均粒径20μm以下の小粒径成分を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は排ガス処理装置およびこれを用いた排ガス処理方法に関するものであり、特に、廃棄物焼却炉などから排出される燃焼排ガス中のばいじんや酸性ガス成分の除去処理を行い無害化を図る排ガス処理装置およびこれを用いた排ガス処理方法に関する。
ごみ処理施設など廃棄物焼却炉など、ばいじんや酸性ガス(HCL、SOx等)を含む燃焼排ガスを排出するプロセスにおいては、ばいじんをバグフィルタによって除去するとともに、排ガス中に粉体の消石灰を噴霧し、バグフィルタの濾布上にその消石灰を付着保持させることにより、酸性ガスと消石灰粒子を高効率に接触・除去することが一般的に行われている。
しかし、消石灰粒子はその表面しか十分に酸性ガスと反応せず、未反応消石灰といわれる部分がその中心部付近に存在するため、酸性ガス類の中和反応から想定される化学的な必要量以上の消石灰(例えば当量比1.5〜3程度)を投入することによって酸性ガス成分の除去を図り、排ガス規制値を充足させることが通常行われている。また、バグフィルタにおいて回収された飛灰を再度バグフィルタ前段の排ガス中に噴霧し、循環使用することにより飛灰中の未反応消石灰を有効利用するシステムも提案されている。
例えば、図6に例示するような消石灰を利用して燃焼排ガス中のダストおよび有害ガス成分を効率よく除去処理することができる排ガスの処理方法および処理装置を挙げることができる。具体的には、回収した反応済の消石灰に粉砕処理を施し、この得られた粉砕処理済の消石灰を再び燃焼排ガス中に循環して供給するようにした排ガスの処理方法、および、燃焼炉101と集塵機102との連通路103に消石灰供給用の消石灰供給装置104を設けた排ガスの処理装置において、集塵機102に反応済みの消石灰を回収する消石灰捕集機106を連結して消石灰捕集機106に回収した消石灰を粉砕する粉砕機107を連結し、粉砕機107と連通路103とを循環通路108で連結した排ガスの処理装置を構成する(例えば特許文献1参照)。ここで、105はブロワ、109は廃棄物ピットを示す。
また、図7に例示するような排ガス中の酸性ガスを中和する消石灰の使用量を節約できる燃焼排ガスの処理方法を挙げることができる。具体的には、ごみ焼却炉1の排ガス煙道に消石灰を導入して排ガス中のHClガスを中和し、中和生成物及び未反応消石灰を粉体としてバグフィルタ210で除去し、浄化した排ガスを煙突212から排出する共に、除去した粉体を灰溶融炉218に導入して固化する排ガス処理方法において、消石灰導入点Aの上流のB点とバグハウス209下流のC点で排ガス中のHCl濃度を連続的に測定し(231,234)、B点でのHClガス濃度が上昇した際に消石灰の導入量を一時的に増すと共に、一時的な増量供給の終了後にC点でのHCl濃度が規制値以下となるまで、バグフィルタ210で除去した粉体を消石灰導入点Aに循環させ、未反応消石灰を再利用する(例えば特許文献2参照)。ここで、201はごみ焼却炉,207は消石灰ホッパ,236は循環ラインを示す。
さらに、廃棄物焼却炉から発生する燃焼排ガス中に消石灰を供給して、排ガス中の有害ガス成分を消石灰と吸収反応させながら、該排ガスを集塵機へ導いて集塵処理する排ガスの処理方法を挙げることができる。具体的には、図8に例示するように、焼却炉301は廃棄物を焼却して主灰を得るとともに、発生した排ガスは煙道304に導かれ、そこで消石灰供給機303から消石灰が供給されて、排ガス中に含まれる有害ガス成分を消石灰と吸収反応させる。吸収反応は集塵機302のフイルタ302aまで続けられ、飛灰と反応済み消石灰と未反応消石灰が集塵ダストとして捕集される。集塵ダストは、微粉分級機308にかけられ未反応消石灰が分別される。分別された未反応消石灰は、再び燃焼排ガス中に循環して供給される。従って、安全を見越して大過剰に供給した消石灰の大半を集塵機302で捕集し、それを集塵ダストから分別して、再び燃焼排ガス中に循環して供給するので、供給する消石灰の量を減少し、且つ、排ガスが変動しても有害ガスを確実に安全に除去できる(例えば特許文献3参照)。ここで、305は灰溶融炉、306は誘引送風機、307は煙突を示す。
特開平06−007631号公報 特開平11−248141号公報 特開2001−219030号公報
しかし、上記のような排ガス処理方法や排ガス処理装置では、以下に挙げるような問題点や課題が生じることがあった。
(i)図6に例示するような排ガスの処理方法や処理装置は、バグフィルタにおいて捕集されたばいじんを粉砕機にかけ反応生成物に覆われた表面を更新することにより酸性ガスとの反応を進める方法である。しかし、粉砕された粒子径の小さな消石灰は、濾布に付着し圧力損失増大やハンドリング性の悪化を招来することになり、この処理方法では、かかる点に対する考慮されず、実動面において大きな課題があった。また、この処理装置では、反応済の消石灰を粉砕機にかけ、粒度を小さくして排ガス処理系に投入する。このとき、焼却炉からのばいじんが混入したバグフィルタの捕集飛灰と一緒に粉砕機にかけることとなり、粉砕処理の効率およびエネルギー効率が悪くなるという課題があった。
(ii)また、図7に例示するような排ガスの処理方法は、バグフィルタにおいて捕集された消石灰およびばいじんの循環使用量を、排ガス中のHCL測定濃度によって制御することによって消石灰の使用量の低減を図ることは可能であるが、単に反応済の消石灰を循環使用しても消石灰表面に生成した反応生成物によって反応効率は減少するため、循環使用の技術的効果が期待できないという課題があった。
(iii)さらに、図8に例示するように、小粒径の飛灰のみバグフィルタ前段へ循環させることにより高い反応率を得ることを目的とする排ガスの処理方法においては、循環分を含めた小粒子径の消石灰によってバグフィルタの圧力損失増大やハンドリング性の悪化を招来することになる。また、実際に入手した消石灰の粒度が大きくばらついた場合には適切な対応できないという課題がある。例えば、当初設定した微粉分級機よりも大きな粒径の消石次が多数を占めていた場合、大半が除外され系外に排出されてしまい、所望の反応率を確保することができないという問題が生じることとなる。なお、本処理方法の出願者の実測データでは、小粒子径の消石灰には未反応分が多く、大粒子径には少ないという結果が示されている。
(iv)一般に、排ガス中の酸性ガス成分と中和剤の中和反応は、中和剤表面からその細孔表面あるいは内層への進行によって反応が形成され、単位重量当たりにおいては、中和剤が小粒径の方が大粒径よりも反応効率は高い。一方、小粒径の中和剤は、バグフィルタのフィルタエレメントの細孔や繊維材の内部に入り込み、逆洗時においても容易に払い落とされず、フィルタエレメントの圧力損失の増大につながる。排ガス中の酸性成分の乾式中和処理においては、こうした相矛盾する条件を如何に簡便な方法で解消するかが大きな課題となっている。
(v)さらに、排ガス処理に使用される消石灰は、一般には「JIS特号」という規格品であり、粒度については「28メッシュ(約600μm)全通、100メッシュ(150μm以下)粉末度残分5.0%未満」と規定されているのみである。粒子径が異なると反応効率が異なることは一般に知られていたが、実運転上は消石灰の噴霧量を増やせば対応可能であることや、排ガス中の酸性ガス濃度の変動や施設ごとに濃度が異なるなど濃度が明確でないことなどの理由により、消石灰の粒度が異なることはそれほど問題視されてこなかった。しかし、近年、省資源化や最終処分場の逼迫等の観点から、消石灰等の薬剤使用量の低減は急務である。また、「JIS特号消石灰」のように平均粒径の分散範囲が大きい中和剤がバグフィルタに導入された場合には、実際の反応効率に寄与する領域の粒度とJIS規格が乖離しているため、反応効率の面の十分な品質管理を行うことが難しい。従って、反応効率の向上を目的として製造時に粒度調整がされ比表面積を増大させた「高反応消石灰」などの商品化が進んでいるが、「JIS特号消石灰」よりも高価格であり、実用性に欠けるのが現状である。
そこで、本発明の目的は、例えば消石灰等の中和剤を噴霧しバグフィルタによるばいじんおよび酸性ガス成分の除去処理を行う乾式排ガス処理装置において、後述するような特別な助剤等を用いずに、簡便な手段によって、小粒径の中和剤によるバグフィルタの圧力損失の増大やハンドリング性の悪化を防止するとともに、酸性ガスと中和剤の反応効率を高めることにより中和剤の使用量の低減を図ることができる排ガス処理装置およびこれを用いた排ガス処理方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す排ガス処理装置およびこれを用いた排ガス処理方法によって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は、排ガスが導入される排ガス導入部、中和剤が供給される中和剤供給部、排ガス中のばいじんおよび排ガス中の酸性ガス成分と前記中和剤を反応させて生じた反応済中和剤を捕集するバグフィルタ、該バグフィルタから排出される固体成分を分級処理する分級部、分級処理された固体成分の少なくとも一部を粉砕処理する粉砕部、該粉砕部または粉砕部と前記分級部から排出された固体成分の一部を前記バグフィルタに還流する中和剤循環流路、その残量を排出する排出路を有し、ばいじんおよび酸性ガス成分の除去処理を行う排ガス処理装置において、前記バグフィルタに導入される、前記供給された中和剤と還流された固体成分が、3〜10%の平均粒径20〜150μmの大粒径成分と残量として平均粒径20μm以下の小粒径成分を含むことを特徴とする。
排ガス処理においては、排ガス中の酸性成分との中和処理の反応効率を確保しながらバグフィルタの圧力損失の増大を防止することが重要な課題である。本発明は、その検証過程において、バグフィルタのフィルタエレメント(以下、単に「濾布」ということがある)の目詰まりを低減するために、分級手段や粉砕手段を用いた循環系を形成し、新たに供給された中和剤、排ガス中のばいじんおよび使用済の中和剤を含む飛灰の一部を反応助剤として利用することによって、上記課題を解消することが可能な最適条件を確保することができるという知見を得たものである。また、分級部により分級された大粒径の中和剤のみを粉砕し還流することにより、小粒径の中和剤を繰り返し還流することに伴う粒子の細砕化・微細化による急激な濾布の圧損増大やハンドリング性悪化を防止することができる。こうした構成によって、排ガス中のばいじんおよび酸性ガス成分を除去する乾式排ガス処理装置において、簡便な手段によって小粒径の中和剤によるバグフィルタの圧力損失の増大やハンドリング性の悪化を防止するとともに、酸性ガスと中和剤の反応効率を高めることによって中和剤の使用量の低減を図ることが可能となった。なお、以下「平均粒径」という場合は、原則メディアン径(D50)をいう。
本発明は、上記排ガス処理装置であって、前記中和剤供給部が前記中和剤循環流路に設けられ、該中和剤供給部からの中和剤が、前記粉砕部および/または前記分級部から排出された中和剤と混合された状態で、前記バグフィルタに導入されることを特徴とする。
有害ガスやばいじんを含む排ガスを対象とする排ガス処理装置にあっては、被処理ガスが流通する流路中に、腐蝕あるいはリークの可能性のある滞留箇所や接続部を設けることは好ましくない。排ガス処理装置内の排ガス導入部からバグフィルタまでの排ガス流路がこれに相当し、本発明においては、還流された飛灰(中和剤と反応助剤としての能力を有する)に新規の中和剤を混合してバグフィルタへ導入することによって、該排ガス流路の腐蝕やリークの可能性を未然に防止することが可能となる。
本発明は、上記排ガス処理装置であって、前記中和剤供給部から導入される中和剤が、「JIS特号」相当の消石灰であり、予め該消石灰の粒度分布が測定された薬剤であることを特徴とする。
一般に使用される「JIS特号」消石灰は、そのまま中和剤として使用すると、上記のような種々の問題が生じる可能性がある。しかしながら、大粒径成分を有効に活用する本発明においては、こうした成分が多く含まれる薬剤は、還流される大粒径成分と小粒径成分の比率を制御すれば、最適な条件でバグフィルタに導入される固体成分中の大粒径成分と小粒径成分を調整することが可能となる。つまり、排ガスの性状(例えば酸性ガス成分やばいじんの含有量等)の変動に対しても適切な中和剤および反応助剤の供給量の制御を行うことが可能となる。
本発明は、上記排ガス処理装置であって、前記中和剤供給部から大粒径の中和剤を20%以上含む薬剤を導入し、前記バグフィルタと分級部の中間に、前記バグフィルタから排出される固体成分中のばいじんを分離処理するばいじん分離部を設けるとともに、前記分級部において、ばいじんが分離され、反応済中和剤を主成分とする固体成分を分級処理することを特徴とする。
上記のように、本発明に係る排ガス処理装置であっては、排ガスに含まれるばいじんについても分級処理を行うことによって反応助剤の対象とすることができる一方、ばいじんには数mm以上におよぶオーダの粒径成分も存在し、本装置の効率低下を招くことが懸念されることから、還流される飛灰中におけるこうした粒径成分を、分級前に粗物除去用飾を設けて分離処理を行うことによって、分級機の効率向上を図ることができる。
本発明は、上記排ガス処理装置であって、前記粉砕部からバグフィルタまでの流路および前記分級部からバグフィルタまでの流路に流量調整装置、前記中和剤供給部からバグフィルタまでの流路および/または前記中和剤循環流路に粒度分布測定部、該粒度分布測定部の出力によって前記流量調整装置を制御する制御部を有することを特徴とする。
バグフィルタに導入される物質は、ばいじんと酸性ガス成分等を含む排ガスと、新規の大粒径成分と小粒径成分からなる中和剤、還流される使用済の大粒径成分と小粒径成分からなる中和剤およびばいじんや反応生成物からなる大粒径成分と小粒径成分を含む還流用ガスとなる。このとき、各成分の中和反応に対する活性(以下「反応活性」ということがある)および反応助剤としての機能(以下「助剤機能」ということがある)は、排ガス中のばいじんと酸性ガス成分に大きく依存する。本発明は、例えばこれらを指標として、反応活性や助剤機能が最適条件となるように、基本的なバグフィルタに導入される物質量つまり各流路の流量をシミュレートし、さらに所定の流路における粒度分布を測定するとともに所定の流路の流量制御を行うことによって、精度よく反応活性や助剤機能を管理し制御することができ、新規の中和剤の導入量を減少することができる。
本発明は、上記いずれかの排ガス処理装置を用いた排ガス処理方法であって、バグフィルタにおいて捕集した反応済中和剤を主成分とする固体成分が分級され、反応済中和剤の小粒径成分の一部が前記排出路から排出されるとともに、定常運転状態においてバグフィルタへの小粒径成分の導入量と略等量の中和剤が前記中和剤供給部から導入されることを特徴とする。
後述するように、本発明者の検証によれば、定常運転状態において中和剤の小粒径成分はバグフィルタ内において効率的に反応し、そのまま還流されても〔反応効率〕/〔還流中の中和剤総量〕の向上を図ることは難しい。つまり、バグフィルタでの高い反応効率を確保するためには、バグフィルタに導入される小粒径成分の所定量の確保が必要となる。このとき、還流される中和剤を、大粒径成分が粉砕された小粒径成分を主成分とし、これにバグフィルタへの小粒径成分の導入量と略等量の新たな中和剤が加わるようにすることによって、バグフィルタに導入される小粒径成分の総計は略一定となるとともに、中和反応および反応助剤の機能を果す大粒径成分が新たな中和剤によって略一定量導入されることとなり、小粒径成分と大粒径成分のバランスの取れた定常運転状態を形成することができ、高い反応効率とバグフィルタの圧力損失の増大防止を図ることが可能となる。
また、本発明は、上記排ガス処理方法であって、前記排ガス処理を開始する前に、予め前記バグフィルタに大粒径の中和剤を導入し、該バグフィルタのフィルタエレメント表面に大粒径の中和剤を保持させることを特徴とする。
中和剤の大粒径成分は、反応助剤としての機能を有している。このとき、濾布内部への小粒径成分の付着を防止する機能は、反応助剤が濾布表面付近に所定量存在することが好ましい。本発明は、実際に微細粒子を含む小粒径成分がバグフィルタに導入される前に、予め大粒径成分を濾布に噴霧することによって初期コーティング層を形成することを図ったものであり、こうしたコーティング層によって後から導入される大粒径成分による圧力損失の増大防止機能をさらに効果的にすることができる。また、通常運転時においても全飛灰量の数%相当噴霧することによりポーラス状の通気部を構成し、反応の促進と目詰まりの防止をおこなうことが有効である。
本発明に係る排ガス処理装置の基本構成を例示する全体構成図。 バグフィルタの濾布近傍における中和剤等の状態を例示する拡大図。 本発明に係る排ガス処理装置の第1構成例の機能のシミュレーションを例示する説明図。 本発明に係る排ガス処理装置の第2構成例を示す構成図。 本発明に係る排ガス処理装置の第3構成例を示す構成図。 従来技術に係る排ガスの処理装置の概略を例示する全体構成図。 従来技術に係る燃焼排ガスの処理方法を具現化する装置の構成を示す図。 従来技術に係る排ガスの処理方法の概略を例示する全体構成図。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明に係る排ガス処理装置(以下「本装置」という)は、排ガス導入部、中和剤供給部、バグフィルタ、分級部、粉砕部、中和剤循環流路および排出路を有し、粉砕または粉砕された固体成分(飛灰)の一部をバグフィルタに還流するとともに、新規に供給された中和剤を含め、バグフィルタに導入される固体成分が、3〜10%の平均粒径20〜150μmの大粒径成分と残量として平均粒径20μm以下の小粒径成分を含むことを特徴とする。具体的には、以下の構成によって、バグフィルタの圧力損失の増大やハンドリング性の悪化を防止するとともに、酸性ガスと中和剤の反応効率を高めることによって中和剤の使用量の低減を図ることが可能となった。
<本装置の構成例>
本装置の1つの実施態様として、基本的な概略全体構成を、図1に示す(第1構成例)。本装置10において、排ガス導入部1から、ばいじんおよび酸性ガス成分を含む排ガスが導入される。中和剤供給部2から、所定の粒径分布を有する中和剤、つまり小粒径成分と大粒径成分が所定の比率で含まれる新規の中和剤が供給される。バグフィルタ3には、導入口3aから排ガスと新規の中和剤および還流される固体成分が導入され、その内部に設けられた濾布30によって排ガス中のばいじんを分離し、中和剤によって酸性ガス成分の除去処理が行われる。また、処理された気体成分が排気される排気口3b、使用済みの中和剤やばいじんおよび反応生成物を含む固体成分(合せて「飛灰」という)が排出される排出口3cが設けられる。分級部4は、その内部に基準とする粒径(例えば消石灰を中和剤とした場合の平均粒径20μm)に対応した分級機能(例えば風力式分級機における回転数の制御機能)を有し、排出口3cから排出された飛灰を、基準以上の粒径を有する大粒径成分および基準以下の粒径を有する小粒径成分に分級する。粉砕部5は、分級部4によって分級された大粒径成分が小粒径成分となるように粉砕処理を行う。本装置10では分級された大粒径成分の全てが粉砕部に導入される例を示すが、後述するように(図中の破線の流路Laを設け)、分級部4からの大粒径の飛灰の一部を還流し、その一部のみを粉砕する構成も可能である。中和剤循環流路(以下「流路Lr」という)は、粉砕部5または粉砕部5と分級部4から排出された飛灰の一部をバグフィルタ3に還流するための流路を構成する。本装置10では、分級された小粒径成分や大粒径成分、および粉砕された小粒径成分が流路Lrに還流されることができる構成例を示す。排出路Loは、分級部4から排出された飛灰中の小粒径成分を本装置10の系外に排出するための流路を構成する。本装置10では、還流されなかった粉砕部5から排出された小粒径成分も排出されることがある。
ここで、バグフィルタ3としては、逆洗式などのバグフィルタ装置を用いることができる。なお、こうしたろ過式集塵機以外に中和反応機能を有する電気集塵機などを用いることも可能である。また、分級部4としては、風力式,サイクロン式やエアセパレート式等の乾式分級機、あるいは篩式分級機などを使用することができる。粉砕部5としては、20μm以下の小粒径成分に粉砕できる市販の各種粉砕機(撹拌式,ローラ式や振動式等)を使用できるが、特に、上記分級部4の機能を内蔵した衝撃式微粉砕機(例えば、ホソカワミクロン株式会社製の商品名「ACMパルベライザA型」等)や分散型粉砕機(例えば、ホソカワミクロン株式会社製の商品名「ドライマイスタ」等)を好適に使用できる。薬剤の粒径は、例えばLDV(レーザードップラー流速形)で測定できる。
本装置は、粉砕部4からバグフィルタ3までの流路および分級部5からバグフィルタまでの流路に流量調整装置(図示せず)と、中和剤供給部2からバグフィルタ3までの流路および/または流路Lrに粒度分布測定部(図示せず)を設け、該粒度分布測定部の出力によって流量調整装置を制御する制御部を設けることが好ましい。排ガス処理流量,排ガス中の酸性ガス成分濃度やばいじん量あるいは粒度分布、新規の中和剤の大粒径成分と小粒径成分、還流される飛灰中の大粒径成分と小粒径成分を指標とし、各成分の反応活性および助剤機能が最適条件となるように、基本的なバグフィルタに導入される物質量つまり各流路の流量をシミュレートし、排ガス中の酸性ガス成分濃度やばいじん量等によって、所定の流路における粒度分布を測定するとともに所定の流路の流量制御を行うことによって、精度よく反応活性や助剤機能を管理し制御することができる。
〔中和剤の機能〕
中和剤としては、消石灰を始め、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムあるいは炭酸水素ナトリウムなどが好ましい。酸性ガス成分との反応性が高く、反応生成物のハンドリングが容易であるためである。中和剤は、中和剤供給部2から新規に導入され、小粒径成分が主として排ガス中の酸性ガス成分との中和反応の反応効率に寄与し、大粒径成分が主に反応助剤としての機能に寄与する。こうした機能を確保するために、中和剤の粒径は、後述する実験結果が示すように、平均粒径20μmを基準に、それ以下の小粒径成分とし20〜150μmを大粒径成分とすることが好ましい。また、消石灰を中和剤とした場合、「JIS特号」相当の消石灰であって、予め粒度分布が測定された薬剤を新規に導入することが好ましい。小粒径成分を主成分とするとともに、大粒径成分が多く含まれることから、本装置が課題とする反応効率と反応助剤の機能の両立を確保することができる。
平均粒径20μm以下の小粒径の中和剤を主成分として含有する状態でバグフィルタ3に導入されることによって、酸性ガス成分と中和剤の高い反応効率を確保することができる。つまり、中和反応の多くは粒状中和剤の表面反応が支配的であり、小粒径の中和剤は各粒子の表面積は小さいが、多量の中和剤がバグフィルタに導入されるため、導入された中和剤全体として、非常に高い反応効率を期待することができる。平均粒径20μmを超える中和剤は、後述するように小粒径の中和剤に比べ反応効率が悪く、本件中和処理においては、平均粒径20μmがその臨界的意義を有しているとの知見を得た。また「JIS特号消石灰」のように平均粒径の分散範囲が大きい中和剤がバグフィルタに導入された場合には、実際の反応効率に寄与する領域の粒度とJIS規格が乖離しているため、反応効率の面の十分な品質管理を行うことが難しいが、還流される使用済の中和剤を加えた小粒径成分を所定量に維持することによって、こうした課題を解消することができる。本発明者の検証によれば、実際に製造・販売されている「JIS特号消石灰」は、平均粒子径で4〜40μm程度と、巾広い平均粒径の分散値をもつことが判った。
同様に、平均粒径20〜150μmの大粒径の中和剤およびばいじんからなる飛灰がバグフィルタに導入されることによって、反応助剤として機能し、特別な反応助剤を用いることなく反応の促進と濾布の目詰まりによる圧力損失の増大の防止を図ることができる。また中和反応によって生成した反応生成物も、消石灰のように小粒径成分が凝集し反応性のない大粒径成分となることから、反応助剤として機能する。大粒径の中和剤が多数存在することは、反応効率の面から好ましくない。しかし、本装置においては、最初に系内に投人された時には反応助剤の役目を果たし、バグフィルタの目詰まり防止、およびポーラス状の通気部を構成する。その後、バグフィルタの逆洗時に排出された後、分級機により粉砕機へ送られて微粒化されるため、反応表面積が増え、次回バグフィルタに導入される時には反応に寄与することができる。
〔反応助剤の機能〕
反応助剤の機能について、図2に例示するバグフィルタの濾布30近傍における中和剤等の状態を基に、詳述する。反応助剤31が濾布30の表面付近に所定量存在することによって、濾布30内部への小粒径成分32の付着による目詰まりを防止する機能を確保することができる。ここでいう小粒径成分32には、中和剤の小粒径成分以外に、ばいじんの一部を構成するダスト成分が含まれる。本装置では、中和剤の大粒径成分以外に、ばいじんの一部の大粒径成分、反応生成物33の凝集物あるいはこれらの混合凝縮物などによっても、反応助剤の機能を確保することができる。反応助剤の機能は、排ガス処理を開始する前に、バグフィルタに大粒径の中和剤を導入することによって、一層効果的にすることができる。バグフィルタの濾布30表面に大粒径の中和剤を保持させ、初期コーティング層が形成することから、排ガス処理時に、微細粒子を含む小粒径成分がバグフィルタに導入されても、濾布30の深部への小粒径成分の入り込みや付着を減少させることができるとともに、こうしたコーティング層によって後から導入される大粒径成分による圧力損失の増大防止機能をさらに効果的に維持することができる。また、通常運転時においても全飛灰量の数%相当の大粒径成分を導入することによって、コーティング層にポーラス状の通気部を構成し、反応の促進と目詰まりの防止をおこなうことができる。
〔飛灰の還流〕
バグフィルタからの飛灰は、平均粒径20μmを基準に大粒径成分と小粒径成分に分級されるとともに、基本例としては、小粒径成分は系外に排出され、大粒径成分が粉砕され小粒径成分として還流され、バグフィルタ3に導入される。分級部により分級された大粒径の中和剤のみを粉砕し還流することにより、小粒径の中和剤を繰り返し還流することに伴う粒子の細砕化・微細化による急激な濾布の圧損増大やハンドリング性悪化を防止することができる。また、粉砕部の無用な損耗を防ぐことにつながる。ただし、本装置では、中和剤と酸性ガス成分との反応効率が低い場合や反応速度が遅い場合には、分級された小粒径成分の一部を還流して反応効率を上げ、新規の中和剤の導入量を低減することができる。また、飛灰の大粒径成分を全量粉砕するのではなく、その一部をそのまま還流してバグフィルタ3に導入することができる。さらに、分級された小粒径成分の一部と大粒径成分の一部を同時に還流することもできる。大粒径成分の一部が粉砕され小粒径成分とされ、各々所定量が還流され、粒度分布が既知の新規の中和剤とともにバグフィルタに導入されることによって、さらに反応効率を上げ、新規の中和剤の導入量を低減することができる。
本装置であっては、排ガスに含まれるばいじんについても分級や粉砕処理を行うことによって反応助剤としてバグフィルタに導入することができる。ばいじんには珪素化合物を主成分とする大粒径の無機成分が含まれることから、上記の平均粒径を有するように分級や粉砕処理を行うことによって、反応助剤として利用することができる。従って、新規の中和剤中の大粒径成分を、使用後において、より多く小粒径として粉砕することができることから、新規の中和剤の導入量を低減することができる。
本装置の機能のシミュレーションを、第1構成例の構成を用いて行う。図3に示すように、排ガス中のベースガスの導入量G、酸性ガス成分の導入量A、ばいじんの小粒径成分(20μm以下)の導入量Ds、ばいじんの大粒径成分(20〜150μm)の導入量D、ばいじんの超大粒径(150μm以上)の導入量Du、中和剤の小粒径成分(反応率α)の導入量Ns、中和剤の大粒径成分(反応率β)の導入量N、反応生成物の小粒径成分Rs、反応生成物の大粒径成分の導入量R、還流する固体成分の導入量Rとし、酸性ガス成分の導入量Aが導入された中和剤と全て反応するとすれば、バグフィルタに導入される物質量Bi,そのときの小粒径成分/大粒径成分の比Brおよび各導入量の制御条件は、以下の通りとなる。
(1)飛灰中の大粒径成分の全量を粉砕し、還流する固体成分Rが粉砕された成分のみの場合(大粒径成分の還流比率をaとする:全量を還流する場合a=1となる)
R=a×(N+D+Du+R
Bi=(A+Ds+D+Du)+(Ns+N)+R
Br=(Ds+Ns+R)/(N+D+Du)
A≦α×Ns+β×N+a×α×(1−β)×N
具体的には、新規の中和剤の小粒径成分の供給量単位の反応率100%、大粒径成分の同反応率50%と仮定すると、酸性ガス成分の供給量Aと当量比1以上の各供給量がNs=90,N=10の場合、反応率は、Ns(=90)+N(=10×0.5)=95%を確保することができる。大粒径成分が全量還流される場合、粉砕によって小粒径成分として反応に寄与することから、還流される中和剤の導入量R(N)は、N’=10と同量となり、残存する反応率は、50%と仮定することができる。つまり、定常運転時においてバグフィルタに導入される中和剤の供給量を、理想的に当量比1とすると、反応率は、
[Ns(=90)+N(=10×0.5)+N’(=10×0.5)]/(90+10+10)=91%となる。
このとき、酸性ガス成分の濃度変化や中和剤の反応率の変動リスク等を考慮して、酸性ガス成分に対する当量比を2〜3とすることによって、酸性ガス成分を略全量中和処理することが可能となる。
(2)飛灰中の大粒径成分の一部を粉砕せずに還流し(大粒径成分の還流比率をbとする)、残量を粉砕して還流した場合(大粒径成分の還流比率をcとする:残量の全量を還流する場合c=1−bとなる)、
R=b×(N+D+Du+R)+c×(N+D+Du+R
Bi=(A+Ds+D+Du)+(Ns+N)+R
Br=[(Ds+Ns)+c×(N+D+Du+R)]/[(N+D+Du)+b×(N+D+Du+R)]
A≦α×Ns+β×N+c×α×(1−β)×N+b×β×(1−β)×N
具体的には、上記(1)と同様の条件とすれば、新規の中和剤による反応率は、95%を確保することができる。還流される中和剤の大粒径成分の導入量R(N)は、最大N’=10と同量となり、残存する反応率は殆ど0%となる。つまり、定常運転時においてバグフィルタに導入される中和剤の供給量を、理想的に当量比1とすると、反応率は、
[Ns(=90)+N(=10×0.5)]/(90+10+10)=86%となる。
一方、還流される中和剤の大粒径成分の導入量R(N)が最小値の場合は、上記(1)の場合に相当し、還流比率cのときの反応率は、
[Ns(=90)+N(=10×0.5)+N’(=c×10×0.5)]/(90+10+c×10)<91%となる。
このとき、酸性ガス成分の濃度変化や中和剤の反応率の変動リスク等を考慮して、酸性ガス成分に対する当量比を2〜3とすることによって、酸性ガス成分を略全量中和処理することが可能となる。
〔本装置の他の構成例〕
本装置の第2構成例を、図4に例示する。被処理ガスが流通する流路中に、腐蝕あるいはリークの可能性のある滞留箇所や接続部を設けることは好ましくない。第2構成例においては、中和剤供給部2が流路Lrに設けられ、中和剤供給部2から導入された新規の中和剤が、粉砕部5および/または分級部4から排出された中和剤と混合された状態で、バグフィルタ3に導入される。このとき、排ガスは、新規の中和剤および還流される固体成分とバグフィルタ3内まで全く接触することがないが、反応速度の大きい中和反応においては反応効率に影響することなく、排ガス流路の腐蝕やリークの可能性を未然に防止することができる。特に、反応生成物が吸湿性を有し、溶解性の高い物質の場合には有効である。
〔本装置の第3構成例〕
本装置の第3構成例を、図5に例示する。バグフィルタ3と分級部4の中間に、バグフィルタ3から排出される飛灰中のばいじんを分離処理するばいじん分離部6を設けるとともに、分級部4において、ばいじんが分離され、反応済中和剤を主成分とする飛灰を分級処理することを特徴とする。排ガス中のばいじんには数mm以上におよぶオーダの粒径成分も存在し、中和反応を阻害するとともに、反応助剤の機能が低く、本装置の効率低下を招くことが懸念される。従って、還流される飛灰中のこうした超大粒径成分を、分級前に粗物除去用飾(ばいじん分離部6)を設けて分離処理を行うことによって、分級部4の効率向上を図ることができるとともに、中和剤中の大粒径成分の反応助剤としての機能が向上し、かつ中和反応の反応効率の向上を図ることができる。
<本装置を用いた排ガス処理方法>
次に、本装置を用いた排ガス処理方法を、第1構成例に基づいて詳述する。本装置において、導入される排ガス中の酸性ガス成分が、バグフィルタ3に導入された中和剤と反応して反応生成物として排出されるとともに、捕集されたばいじんが飛灰として抜き出される。つまり、本装置における排ガスの処理は、排ガス中の酸性ガス成分とばいじんの処理に大別される。
〔排ガスの処理〕
排ガスは、排ガス導入部1から、導入口3aを介してバグフィルタ3に導入される。ここで、排ガス中の酸性ガス成分は、バグフィルタ3内において導入された中和剤(新規導入分および還流された使用済み分を含む)と反応し、中和剤表面で反応生成物を生成して濾布30に捕集される。酸性ガス成分としては、HCL、SOx,NOxなどの強酸性成分を対象とし、COなどの有害性の低い弱酸性成分は除かれる。また、反応生成物は、中和剤から離隔して凝集物あるいは非常に小粒径の中和剤と混合した凝集物などを形成し、同様に濾布30に捕集される。ここでいう反応生成物とは、例えば中和剤として消石灰(Ca(OH))を用いた場合、排ガス中のHC1が消石灰と反応し生成されるCaClが該当する。吸湿性を有することから、排ガス中の水分を吸収し、大粒径の凝集物や凝縮物を形成する。捕集された酸性ガス成分は、バグフィルタ3の逆洗等の清浄処理時に、中和剤や凝集物とともに飛灰の一部として排出口3cを介してバグフィルタ3から排出される。排出された酸性ガス成分の多くは、排出路Loから系外に排出され、所定の無害化処理をされた後再利用あるいは廃棄される。排出された酸性ガス成分の一部(主として大粒径の中和剤表面の反応生成物)は、分級部4を介して(一部はさらに粉砕部5を介して)流路Lrに導入され、バグフィルタ3に還流される。
排ガス中のばいじんは、バグフィルタ3内の濾布30に捕集され、バグフィルタ3の逆洗等の清浄処理時に、中和剤や凝集物とともに飛灰の一部として排出口3cを介してバグフィルタ3から排出される。ばいじんには、珪素化合物やアルミニウム化合物などを含む種々の固体成分が該当する。排出されたばいじんの多くは、排出路Loから系外に排出され、所定の無害化処理をされた後再利用あるいは廃棄される。ただし、排出されたばいじんの大粒径成分の一部は、分級部4を介して大粒径成分の中和剤とともに流路Lrに導入され、反応助剤としてバグフィルタ3に還流される。酸性ガス成分およびばいじんが分離された排ガスは、排気口3bを介して系外に排出される。
ここで、本装置の定常運転状態において、バグフィルタ3への小粒径成分の導入量と略等量の中和剤が中和剤供給部2からの導入されることが好ましい。つまり、バグフィルタ3での高い反応効率を確保するためには、バグフィルタ3に導入される中和剤を主とする小粒径成分の所定量の確保が必要となる。このとき、上記シミュレーション(1)に示すように、使用済みの中和剤の大粒径成分が粉砕された小粒径成分を、還流される中和剤の主成分とし、これにバグフィルタへの小粒径成分の導入量と略等量の新たな中和剤が加わるようにすることによって、バグフィルタに導入される小粒径成分の総計は略一定となるとともに、中和反応および反応助剤の機能を果す大粒径成分が新たな中和剤によって略一定量導入されることとなり、小粒径成分と大粒径成分のバランスの取れた定常運転状態を形成することができ、高い反応効率とバグフィルタの圧力損失の増大防止を図ることが可能となる。
また、上述のように、排ガス処理を開始する前に、予めバグフィルタ3に大粒径の中和剤を導入し、バグフィルタ3の濾布30表面に大粒径の中和剤を保持させることが好ましい。予め大粒径成分を濾布30に噴霧することによって、濾布30表面に初期コーティング層を形成し、後から導入される大粒径成分による圧力損失の増大防止機能をさらに効果的にすることができる。と同時に、通常運転時においても全飛灰量の数%相当噴霧することによって、ポーラス状の通気部を構成し、反応の促進と目詰まりの防止を行うことができる。
〔実施例1〕
排ガス処理装置における中和剤の粒径は、中和反応の反応効率(酸性ガス成分の除去率に相当)に対して大きな影響を与える。ここでは、中和剤として用いた消石灰の粒径とSOx除去率の関係を実証し、その技術的効果を検証した。
(1)実験条件
第1構成例に係る排ガス処理装置について、消石灰の小粒径成分と大粒径成分のSOx除去率を実証した。実際に製造・販売されている「JIS特号消石灰」は平均粒子径で4〜40μmを有するが、下表1に例示するような平均粒径を有する消石灰について、当量比3程度の条件下で反応効率を検証した。
(2)検証結果
下表1に例示すように、粒子径が大きいと酸性ガス除去機能(特にSOx)が低下することが実機試験において判明した。特に、平均粒径約20μmを境にSOx除去機能が変化することから、平均粒径約20μmにその臨界的意義があるとの知見が得られた。
Figure 2011206658
〔実施例2〕
排ガス処理装置における中和剤の粒径分布は、バグフィルタの圧力損失に対して大きな影響を与える。つまり、小粒径成分は圧力損失を与える一方、大粒径成分は反応助剤としての役割を果たす。ここでは、中和剤として用いた消石灰の粒径とバグフィルタの圧力損失の関係を実証し、その技術的効果を検証した。
(1)実験条件
第1構成例に係る排ガス処理装置について、消石灰の小粒径成分と大粒径成分の圧力損失を実証した。下表2に例示すような平均粒径を有する消石灰を約数10分〜数時間実動時と同様の条件下で圧力損失を測定した。
(2)実験結果
下表2に例示すように、粒子径約7μm以下において、圧力損失の変化が大きいことが実機試験において判明した。つまり、反応助剤としての機能は、粒子径約7μm以上において大きな効果が期待できることが判明した。既述のように、実際に製造・販売されている「JIS特号消石灰」が4〜40μm程度の平均粒子径の範囲を有するとの知見を得ている。かかる知見を本実験結果と結び付けて考慮すると、「JIS特号消石灰」をそのまま中和剤として使用することによって、酸性ガスの除去機能と合せて反応助剤としての機能を確保することができることが判明した。
Figure 2011206658
1 排ガス導入部
2 中和剤供給部
3 バグフィルタ
3a 導入口
3b 排気口
3c 排出口
4 分級部
5 粉砕部
10 排ガス処理装置(本装置)
30 濾布
Lo 排出路
Lr 流路(中和剤循環流路)

Claims (7)

  1. 排ガスが導入される排ガス導入部、中和剤が供給される中和剤供給部、排ガス中のばいじんおよび排ガス中の酸性ガス成分と前記中和剤を反応させて生じた反応済中和剤を捕集するバグフィルタ、該バグフィルタから排出される固体成分を分級処理する分級部、分級処理された固体成分の少なくとも一部を粉砕処理する粉砕部、該粉砕部または粉砕部と前記分級部から排出された固体成分の一部を前記バグフィルタに還流する中和剤循環流路、その残量を排出する排出路を有し、ばいじんおよび酸性ガス成分の除去処理を行う排ガス処理装置において、
    前記バグフィルタに導入される、前記供給された中和剤と還流された固体成分が、3〜10%の平均粒径20〜150μmの大粒径成分と残量として平均粒径20μm以下の小粒径成分を含むことを特徴とする排ガス処理装置。
  2. 前記中和剤供給部が前記中和剤循環流路に設けられ、該中和剤供給部からの中和剤が、前記粉砕部および/または前記分級部から排出された中和剤と混合された状態で、前記バグフィルタに導入されることを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置。
  3. 前記中和剤供給部から導入される中和剤が、「JIS特号」相当の消石灰であり、予め該消石灰の粒度分布が測定された薬剤であることを特徴とする請求項1または2記載の排ガス処理装置。
  4. 前記中和剤供給部から大粒径の中和剤を20%以上含む薬剤を導入し、前記バグフィルタと分級部の中間に、前記バグフィルタから排出される固体成分中のばいじんを分離処理するばいじん分離部を設けるとともに、前記分級部において、ばいじんが分離され、反応済中和剤を主成分とする固体成分を分級処理することを特徴とする請求項1または2記載の排ガス処理装置。
  5. 前記粉砕部からバグフィルタまでの流路および前記分級部からバグフィルタまでの流路に流量調整装置、前記中和剤供給部からバグフィルタまでの流路および/または前記中和剤循環流路に粒度分布測定部、該粒度分布測定部の出力によって前記流量調整装置を制御する制御部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス処理装置。
  6. 前記請求項1〜5のいずれかの排ガス処理装置を用いた排ガス処理方法であって、バグフィルタにおいて捕集した反応済中和剤を主成分とする固体成分が分級され、反応済中和剤の小粒径成分の一部が前記排出路から排出されるとともに、定常運転状態においてバグフィルタへの小粒径成分の導入量と略等量の中和剤が前記中和剤供給部から導入されることを特徴とする排ガス処理方法。
  7. 前記排ガス処理を開始する前に、予め前記バグフィルタに大粒径の中和剤を導入し、該バグフィルタのフィルタエレメント表面に大粒径の中和剤を保持させることを特徴とする請求項6記載の排ガス処理方法。
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