JP2011202266A - 嵌合型接続部品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】相手側部品との接触側最表面に、適正で制御可能な平面視形状を有するSn被覆層及びCu−Sn合金被覆層を有し、端子の小型化にも対応可能な嵌合型接続部品を提供する。
【解決手段】表面被覆層として複数の平行線として観察されるSn被覆層群Xを含み、該Sn被覆層群Xを構成する個々のSn被覆層1a〜1dの両側にCu−Sn合金被覆層2が隣接して存在する。部品挿入方向の最大高さ粗さRzが10μm以下である。銅板材の打抜き加工時にプレス加工により表面粗化処理を行い、銅板材表面に複数の平行線として観察される凹部を形成し、次いで銅板材にCuめっき及びSnめっきを行い、リフロー処理して製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として自動車・民生機器等の電気配線に使用されるコネクタ用端子やバスバー等の嵌合型接続部品及びその製造方法に関し、特にオス端子とメス端子の挿抜に際しての摩擦や摩耗の低減が求められる嵌合型接続部品及びその製造方法に関する。
特許文献1には、電気的信頼性が高く(低接触抵抗)、摩擦係数が低く、嵌合型コネクタ用端子として好適な接続部品用導電材料が記載されている。特許文献1の発明では、通常の銅合金板条より表面粗さを大きくした銅合金板条を母材として用い、母材表面にNiめっき層、Cuめっき層及びSnめっき層をこの順に、又はCuめっき層及びSnめっき層をこの順に、あるいはSnめっき層のみを形成し、Snめっき層をリフロー処理して、Cuめっき層とSnめっき層から、あるいは銅合金母材とSnめっき層からCu−Sn合金層を形成するとともに、リフロー処理により平滑化したSnめっき層の間からCu−Sn合金層の一部を表面に露出させる(母材表面に形成された凹凸の凸の部分でCu−Sn合金層の一部が露出する)。
特許文献1においてリフロー処理後に形成された接続部品用導電材料は、表面被覆層として、Cu−Sn合金層及びSn層、又はNi層、Cu−Sn合金層及びSn層をこの順に有し、場合によっては母材表面とCu−Sn合金層の間、又はNi層とCu−Sn合金層の間にCu層が残留している。特許文献1では、最表面にCu−Sn合金層とSn層が形成され(Cu−Sn合金層の表面露出面積率が3〜75%)、平均の厚さが0.1〜3.0μm、Cu含有量が20〜70at%、Sn層の平均の厚さが0.2〜5.0μmと規定され、母材表面について少なくとも一方向の算術平均粗さRaが0.15μm以上で、全ての方向の算術平均粗さRaが4.0μm以下が望ましく、Cu−Sn合金層の表面露出間隔について少なくとも一方向において0.01〜0.5mmが望ましいことが記載されている。
特許文献2には、特許文献1の下位概念に相当する接続部品用導電材料及びその製造方法が記載されている。そのめっき層構成及びリフロー処理後の被覆層構成自体は、特許文献1のものと同じである。特許文献2においてリフロー処理後に形成された接続部品用導電材料は、最表面にCu−Sn合金層とSn層が形成され(表面被覆層のうちCu−Sn合金層の表面露出面積率が3〜75%)、Cu−Sn合金層の平均の厚さが0.2〜3.0μm、Cu含有量が20〜70at%、Sn層の平均厚さが0.2〜5.0μm、材料表面の少なくとも一方向の算術平均粗さRaが0.15μm以上で、全ての方向の算術平均粗さRaが3.0μm以下と規定され、母材表面について少なくとも一方向の算術平均粗さRaが0.3μm以上で、全ての方向の算術平均粗さRaが4.0μm以下が望ましく、さらにCu−Sn合金層の表面露出間隔について少なくとも一方向において0.01〜0.5mmが望ましいことが記載されている。
特許文献3には、基本的に特許文献1,2の技術思想を継承しながら、同時にはんだ付け性を改善した接続部品用導電材料及びその製造方法が記載されている。この発明において、めっき層構成及びリフロー処理後の被覆層構成自体は、特許文献1,2のものと基本的に同じであるが、この発明は特許文献1,2と異なり、Cu−Sn合金層が露出していない場合(最表面にSn層のみ)を含み得る。この出願においてリフロー処理後に形成された接続部品用導電材料は、表面被覆層のうちNi層の平均の厚さが3.0μm以下、Cu−Sn合金層の平均の厚さが0.2〜3.0μm、材料の垂直断面におけるSn層の最小内接円の直径[D1]が0.2μm以下、最大内接円の直径[D2]が1.2〜20μm、材料の最表点とCu−Sn合金層の最表点との高度差[Y]が0.2μm以下と規定され、さらに[D1]が0μmのとき(Cu−Sn合金層が一部露出し、最表面がCu-Sn合金層とSn層からなるとき)、材料表面におけるCu−Sn合金層の最大内接円の直径[D3]が150μm以下又は/及び材料表面におけるSn層の最大内接円直径[D4]が300μm以下が望ましいことが記載されている。
一方、特許文献4〜6には、銅合金板条に打抜き加工を施した後、全体にSnめっきを施す、いわゆる後めっきを施すことにより、打抜き端面にもSnめっき層を形成し、打抜き加工の前に銅合金板条にSnめっきを施す(先めっき)場合に比べて、端子等のはんだ付け性を向上させることが記載されている。
さらに、特許文献7、8には、後めっきが施される端子において、電気的信頼性が高く(低接触抵抗)、嵌合部の摩擦係数が低く、かつはんだ付け部のはんだ付け性を向上させることが記載されている。
特許文献7の発明では、端子成形加工時に嵌合部分のみ表面粗度を大きくし、Niめっき層、Cuめっき層及びSnめっき層をこの順に、又はCuめっき層及びSnめっき層をこの順に、あるいはSnめっき層のみを形成し、Snめっき層をリフロー処理して、Cuめっき層とSnめっき層から、あるいは銅合金母材とSnめっき層からCu−Sn合金層を形成するとともに、リフロー処理により平滑化したSnめっき層の間からCu−Sn合金層の一部を表面に露出させる(母材表面に形成された凹凸の凸の部分でCu−Sn合金層の一部が露出する)。この際、めっき厚は全面同じとする。嵌合部においては、最表面にCu−Sn合金層とSn層が形成され(Cu−Sn合金層が表面に露出)ているため、はんだ濡れ性に問題があるが、嵌合部以外は凹凸が無いためCu−Sn合金層が露出しておらず(最表面にSn層のみ)、はんだ濡れ性は良好である。
特許文献8の発明では、表面粗さの大きい銅合金材料に打ち抜き加工を施して端子素材を形成した後、Niめっき層、Cuめっき層及びSnめっき層をこの順に、又はCuめっき層及びSnめっき層をこの順に、あるいはSnめっき層のみを形成し、Snめっき層をリフロー処理して、Cuめっき層とSnめっき層から、あるいは銅合金母材とSnめっき層からCu−Sn合金層を形成するとともに、リフロー処理により平滑化したSnめっき層の間からCu−Sn合金層の一部を表面に露出させる(母材表面に形成された凹凸の凸の部分でCu−Sn合金層の一部が露出する)。この際、はんだ付け部のSnめっき層は厚く形成することで、はんだ付け部においてはCu−Sn合金層が表面に露出しておらず、はんだ濡れ性は良好である。
特許3926355号公報 特許4024244号公報 特開2007−258156号公報 特開2004−300524号公報 特開2005−105307号公報 特開2005−183298号公報 特開2008−269999号公報 特開2008−274364号公報
特許文献1〜3及び特許文献7,8に記載された接続部品用導電材料は、表面粗化処理した銅板材を母材として用い、その表面に例えばNiめっき層、Cuめっき層及びSnめっき層をこの順に形成し、Snめっき層をリフロー処理して、Cuめっき層とSnめっき層からCu−Sn合金被覆層を形成するとともに、リフロー処理により平滑化したSn被覆層の間からCu−Sn合金被覆層の一部を表面に露出させている。
従来、Sn被覆層及びCu−Sn被覆層の露出形態の指標として、Cu−Sn合金被覆層の露出面積率と平均露出間隔(特許文献1,2)、及びSn被覆層の最大内接円直径及び最大外接円直径(特許文献3)が規定されている。
一方、個々のSn被覆層又はCu−Sn合金被覆層の形状については、これまで特に注目されていない。しかし、端子のさらなる小型化に対応するには、前記のようにやや抽象的な指標に留まらず、個々のSn被覆層又はCu−Sn合金被覆層の具体的形状について、適正で制御可能な平面視形状が必要になると考えられる。
従って、本発明は、適正で制御可能な平面視形状を有するSn被覆層又はCu−Sn合金被覆層を有し、端子の小型化にも対応可能な嵌合型接続部品を提供することを目的とする。
本発明に係る嵌合型接続部品は、所定形状に打抜き加工した銅板材に後めっき及びリフロー処理して製造され、相手側部品との接触側最表面にCu−Sn合金被覆層とSn被覆層が混在し、前記Sn被覆層がリフロー処理により平滑化されているものであり、次の点を特徴とする。
(1)前記Sn被覆層は複数の平行線として観察されるSn被覆層群を含み、前記Sn被覆層群を構成する個々のSn被覆層の両側に前記Cu−Sn合金被覆層が隣接して存在し、前記表面の部品挿入方向の最大高さ粗さRzが10μm以下であること、又は、
(2)前記Sn被覆層は複数の平行線として観察されるSn被覆層群と、同じく複数の平行線として観察される別のSn被覆層群を1又は2以上含み、各Sn被覆層群は格子状に交差し、各Sn被覆層群を構成する個々のSn被覆層の両側にCu−Sn合金被覆層が隣接して存在し、前記表面の端子挿入方向の最大高さ粗さRzが10μm以下であること。
上記嵌合型接続部品において、各Sn被覆層群に属するSn被覆層の幅が1〜500μm、各Sn被覆層群に属するSn被覆層のうち隣接するSn被覆層同士の間隔が1〜2000μmであることが望ましい。
なお、各Sn被覆層群に属する個々のSn被覆層は、上記のとおり、相手側部品との接触(摺動)側最表面において、複数の平行線として観察されるものをいうが、個々のSn被覆層は必ずしも数学的な意味で平行線状である必要はない。各Sn被覆層群に属する個々のSn被覆層が、ほぼ同形状で湾曲、波打ち、あるいは屈曲している場合も本発明に含まれる。
上記嵌合型接続部品は、銅板材(母材)の表面被覆層として、最表面にCu−Sn合金被覆層と、Sn被覆層が形成される。Cu−Sn合金被覆層とSn被覆層からなる表面被覆層の具体的形態として、例えば前記特許文献1〜3に記載されたように、Cu−Sn合金被覆層とSn被覆層がこの順に形成され、リフロー処理により平滑化されたSn被覆層の間から、Cu−Sn合金被覆層の一部が最表面に露出している形態が考えられる。この場合、最表面に露出したCu−Sn合金被覆層が、粗さ曲線の山として測定され、この山が前記最大高さ粗さRzの大きさに反映される。
Cu−Sn合金被覆層とSn被覆層がこの順に形成されている場合において、前記Cu−Sn合金被覆層の平均厚さが0.1〜3μm、前記Sn被覆層の平均厚さが0.2〜5.0μmであることが望ましい。各被覆層の上記平均厚さは、従来技術(前記特許文献1〜3)のものと同等の数値である。
上記嵌合型接続部品の表面被覆層の一部として、銅板材(母材)の表面と前記Cu−Sn合金被覆層の間にNi被覆層が形成されていてもよく、また、前記Ni被覆層と前記Cu−Sn合金被覆層の間にさらにCu被覆層が形成されていてもよい。さらに、前記接続部品用銅板材の表面とNi被覆層の間にCu被覆層が形成されていてもよい。
なお、本発明において、Sn被覆層、Ni被覆層及びCu被覆層は、それぞれSn、Ni、Cu金属のほか、Sn合金、Ni合金及びCu合金を含む。
本発明によれば、低挿入力でかつ電気的信頼性に優れた嵌合型接続部品を提供することができる。
本発明で規定されたSn被覆層及びCu−Sn合金被覆層の平面視形状は、端子の小型化にも対応可能であり、かつ銅板材の表面粗化処理を適正に行うことでその平面視形状の制御を容易に行うことができる。
本発明に係る嵌合型接続部品の表面被覆層の形態を説明する平面模式図である。 本発明に係る嵌合型接続部品の表面被覆層の形態を説明する別の平面模式図である。 本発明に係る嵌合型接続部品の表面被覆層の形態を説明する断面模式図である。 本発明に係る嵌合型接続部品に用いる銅板材の表面粗化処理を説明する断面模式図である。 実施例における粗面化処理後の銅板材の平面図である。 実施例のNo.1試験片の表面SEM(組成像)及び粗さ曲線である。 実施例における摩擦係数評価試験に用いる治具の概念図である。
以下、本発明に係る嵌合型接続部品について、具体的に説明する。
本発明の嵌合型接続部品は、所定形状に打抜き加工した銅板材に後めっき及びリフロー処理して製造されるもので、相手側部品との接触側最表面にCu−Sn合金被覆層とSn被覆層が混在し、Sn被覆層がリフロー処理により平滑化されている。Cu−Sn合金被覆層とSn被覆層からなる表面被覆層について、より具体的な形態をいえば、銅板材(母材)の表面にCu−Sn合金被覆層とSn被覆層がこの順に形成され、リフロー処理により平滑化されたSn被覆層の間から、Cu−Sn合金被覆層の一部が最表面に露出している。相手側部品との接触(摺動)側最表面に硬いCu−Sn合金被覆層が露出することにより、端子挿入力が低減する。
最表面に露出したCu−Sn合金被覆層は、JISB0601に基づく粗さ曲線の山として測定され、この山が最大高さ粗さRzの大きさに反映される。
本発明に係る嵌合型接続部品において、相手側部品との接触側最表面に存在する前記Sn被覆層及びCu−Sn合金被覆層は、下記(1)又は(2)の形態をとる。
(1)複数の平行線として観察されるSn被覆層群を含み、該Sn被覆層群を構成する個々のSn被覆層(このSn被覆層を、特に平行Sn被覆層という場合がある)の両側にCu−Sn合金被覆層が隣接して存在する。
(2)複数の平行線として観察されるSn被覆層群と、同じく複数の平行線として観察される別のSn被覆層群を1又は2以上含み、各Sn被覆層群は格子状に交差し、各Sn被覆層群を構成する個々のSn被覆層(このSn被覆層を、特に平行Sn被覆層という場合がある)の両側にCu−Sn合金被覆層が隣接して存在する。
平行Sn被覆層及びCu−Sn合金被覆層の上記(1),(2)の形態を、図1,2の模式図を参照して説明する。なお、図1,2は嵌合型接続部品の最表面の一部を略正方形に抜き出して示す平面模式図である。
まず、図1(a),(b)は、上記(1)の形態の典型例を示す。図1(a)に示す例では、所定幅を有する複数の平行Sn被覆層1a〜1d(まとめて平行Sn被覆層1という場合がある)が略等間隔で平行線状に形成され、各平行Sn被覆層1a〜1dの両側にCu−Sn合金被覆層2が隣接して存在する。Cu−Sn合金被覆層2も所定幅を有し、同じく略等間隔で平行線状に形成されている。平行線状に形成された複数の平行Sn被覆層1a〜1dにより、本発明でいうSn被覆層群Xが構成される。
図1(b)に示す例では、所定幅を有する複数の平行Sn被覆層1a〜1dが略等間隔で平行線状に形成され、その両側にCu−Sn合金被覆層2が隣接して存在する。Cu−Sn合金被覆層2も所定幅を有し、同じく略等間隔で平行線状に形成されているが、Cu−Sn合金被覆層2の中にSn被覆層3が島状に存在する点で、図1(a)の例と異なる。平行線状に形成された複数の平行Sn被覆層1により、本発明でいうSn被覆層群Xが構成される。
なお、図1(b)において島状に存在するSn被覆層3が連続して、Cu−Sn合金被覆層2が分断される場合、あるいはSn被覆層3の中にさらにCu−Sn合金被覆層が小さく島状に存在する場合等、種々の他の形態が生じ得る。
図2(a),(b)は、上記(2)の形態の典型例を示す。図2(a)に示す例では、所定幅を有する複数の平行Sn被覆層1a〜1dが略等間隔で平行線状に形成され、かつ、それに直角に交差して、所定幅を有する複数の平行Sn被覆層4a〜4d(まとめて平行Sn被覆層4という場合がある)が略等間隔で平行線状に形成されている。平行線状に形成された複数の平行Sn被覆層1a〜1dにより、本発明でいうSn被覆層群Xが構成され、同じく平行線状に形成された複数の平行Sn被覆層4a〜4dにより、本発明でいうSn被覆層群Yが構成される。2つのSn被覆層群X、Yは格子状に交差し、各格子に囲まれたエリアにCu−Sn合金被覆層2が存在する。この場合も、Cu−Sn合金被覆層2は各平行Sn被覆層1,4の両側に隣接して存在するということができる。
図2(b)に示す例では、所定幅を有する複数の平行Sn被覆層1a〜1dが略等間隔で平行線状に形成され、かつ、それに直角に交差して、所定幅を有する複数の平行Sn被覆層4a〜4dが略等間隔で平行線状に形成されている。平行線状に形成された複数の平行Sn被覆層1a〜1dにより、本発明でいうSn被覆層群Xが構成され、同じく平行線状に形成された複数の平行Sn被覆層4a〜4dにより、本発明でいうSn被覆層群Yが構成される。2つのSn被覆層群X、Yは格子状に交差し、各格子に囲まれたエリアにCu−Sn合金被覆層2が存在する。この例ではCu−Sn合金被覆層2の中にSn被覆層3が島状に存在し、この点で、図2(a)の例と異なる。この場合も、Cu−Sn合金被覆層2は各平行Sn被覆層1,4の両側に隣接して存在するということができる。
なお、図2(b)において島状に存在するSn被覆層3の中にさらにCu−Sn合金被覆層が小さく島状に存在する場合等、種々の他の形態が生じ得る。
図1,2に示す嵌合型接続部品において、表面に露出したCu−Sn合金被覆層2は、リフロー処理により平滑化した平行Sn被覆層1(Sn被覆層3,平行Sn被覆層4も)の水準より、高さ方向に突出している。このような両被覆層の断面形態について、図3に示す断面模式図を参照して説明する。
図3において、銅板材(母材)5には、比較的深い凹部6が略等間隔で形成され、凹部6の両側に凸部7が形成され、凹部6を挟まない隣接する凸部7,7間は比較的平らである。このような表面構造はプラトー構造といわれている。凹部6は、銅板材5の表面に複数の平行線として観察される。
図3(a)は図1(a)(又は図2(a))に対応するもので、銅板材5の表面全体にCu−Sn合金被覆層2が形成され、前記凹部6においてCu−Sn合金被覆層2の上に平行Sn被覆層1が形成されている。この凹部6に形成された平行Sn被覆層1が、図1(a)又は図2(a)において平行線状に観察された平行Sn被覆層1a〜1d(又は平行Sn被覆層4a〜4d)に相当する。
図3(b)は図1(b)(又は図2(b))に対応するもので、銅板材5の表面全体にCu−Sn合金被覆層2が形成され、前記凹部6においてCu−Sn合金被覆層2の上に平行Sn被覆層1が形成されている。プラトー部でもCu−Sn合金被覆層2の上にSn被覆層3が形成されている。この凹部6に形成された平行Sn被覆層1が、図1(b)又は図2(b)において平行線状に観察された平行Sn被覆層1a〜1d(又は平行Sn被覆層4a〜4d)に相当し、プラトー部に形成されたSn被覆層3が、図1(b)又は図2(b)において島状に観察されたSn被覆層3に相当する。
ここで、Cu−Sn合金被覆層2と平行Sn被覆層1(及び平行Sn被覆層4)からなる表面被覆層の上記形態について、その形成手段の一例を具体的に説明する。
部品形状に打抜き後、又は打抜き前あるいは打抜きと同時に、銅板材5に対しプレス加工による表面粗化処理が施される。この表面粗化処理は、図4(a)に示すように、押圧面にごく細かい凹凸がほぼ一定ピッチで形成された金型8をプレス機にセットし、該金型8で銅板材5の表面をプレスすることで行われる。このプレス加工により、銅板材5の表面に金型8の押圧面の凸部(刃先)が押し込まれ、銅板材5の表面に凹部6が平行線状に転写され、同時に、凹部6から押し出された材料が凹部6の両側に盛り上がり、必然的に凸部7が形成される。凹部6を間に挟まない隣接する凸部7,7間の銅板材表面は、仕上げ圧延のままの比較的平ら(プラトー)な状態を保っている。
続いて、部品形状に打ち抜いたこの銅板材5の表面に、特許文献1〜3等と同様に、例えばCuめっき及びSnめっきが施され、さらにリフロー処理が施される。このリフロー処理により、Cuめっき層のCuとSnめっき層のSnからCu−Sn合金被覆層が形成され、溶融Snが凹部6等に流動する。その結果、図3(a)に示すように、平滑化した平行Sn被覆層1がCu−Sn合金被覆層2の上に形成され、Cu−Sn合金被覆層2の一部が平行Sn被覆層1の両側に、該平行Sn被覆層1に隣接して露出する。このときCuめっき層の一部がCu−Sn合金被覆層2の下に残留することもある。
なお、本発明に関しては、リフロー処理後の表面被覆層を構成する各層について「被覆層」と表現し、リフロー処理前の表面めっき層を構成する各層について「めっき層」と表現している。
リフロー処理後に残留するSn量が比較的多ければ、銅合金板表面のプラトー部に前記Sn被覆層3が形成され(図1(b),図2(b),図3(b)参照)、あるいは前記Sn被覆層3の被覆エリアが増える。図3(b)に示すように、Sn被覆層3は平行Sn被覆層1に比べて薄肉である。
Sn被覆層群Xを構成する平行Sn被覆層1、及びSn被覆層群Yを構成する平行Sn被覆層4は、いずれも幅a,b(図1,2参照)が1〜500μm、隣接する平行Sn被覆層同士の間隔c,d(図1,2参照)が1〜2000μmに設定される。なお、平行Sn被覆層の幅と、隣接する平行Sn被覆層同士の間隔を上記のように設定するのは、この範囲内であれば平行Sn被覆層とCu−Sn合金被覆層が最表面に適度に混在して、低摩擦係数による挿入力の低減と電気的信頼性の両方が確保できるからである。
より具体的に説明すると、平行Sn被覆層の幅を1μm以上とするのは、それより狭い幅の平行Sn被覆層を形成することは、銅板材の表面粗化処理に困難が伴うためである。一方、平行Sn被覆層の幅が大きくなりすぎると、相手側端子の接点部が平行Sn被覆層に入り込み、挿入力が高くなるため、平行Sn被覆層の幅は500μm以下とする。近年の端子の小型化を考慮すると、平行Sn被覆層の幅は200μm以下が望ましく、50μm以下がより望ましい。
また、隣接する平行Sn被覆層同士の間隔を1μm以上とするのは、銅板材の表面粗化処理に困難が伴うためである。一方、隣接する平行Sn被覆層同士の間隔が大きくなりすぎると、当初のSnめっき層の厚さによって、相手側端子とCu−Sn合金被覆層との接触面積が大きくなりすぎるか、小さくなりすぎる傾向があり、その場合、いずれにしても挿入力の上昇(低挿入力効果の低下)を招く。従って、隣接する平行Sn被覆層同士の間隔は2000μm以下とする。近年の端子の小型化を考慮すると、平行Sn被覆層の幅は1000μm以下が望ましく、250μm以下がより望ましい。平行Sn被覆層の幅、及び隣接する平行Sn被覆層同士の間隔はほぼ一定であることが望ましいが、それは必須ではない。
図3に示すように、最表面に露出したCu−Sn合金被覆層2は、平行Sn被覆層1及びSn被覆層3の水準から高さ方向に突出している。このため、例えば端子挿入方向(図1,2に白抜き矢印で示す)に表面粗さを測定すると、JISB0601に基づく粗さ曲線の山として測定される。
本発明では、部品(端子)挿入方向の最大高さ粗さRzが10μm以下(0μmを含む)と規定されている。この最大高さ粗さRzが大きいと、最表面に露出するCu−Sn合金被覆層の表面積が広くなり、部品表面の耐食性が低下して酸化物量などが増え、接触抵抗が増加しやすく、電気的信頼性を維持することが困難となる。また、銅板材の表面粗化処理において銅板材5に凹部6を幅広く深く形成すると、最大高さ粗さRzが大きくなるが、これは銅板材5の変形を伴いやすい。従って、最大高さ粗さRzは10μm以下とし、望ましくは0超(多少とも突出している)〜5μm以下である。
図2の例では、2つの平行Sn被覆層群X,Yが互いに直角に交差していたが、この交差角度は適宜に設定できる。2つの平行Sn被覆層群X,Yを交差させた場合、Cu−Sn合金被覆層のコーナー部がより高く盛り上がり(表面粗化処理において2つの凹部が交差した箇所のコーナーが盛り上がる)、低挿入力効果が向上する。しかし、平行Sn被覆層の幅及び隣接する平行Sn被覆層同士の間隔が同じであれば、交差角度が小さいほど盛り上がり間隔が広がり、低挿入力効果が小さくなる。このため、この交差角度は望ましくは10°〜90°とする。
3群以上のSn被覆層群を格子状に交差させることも本発明に含まれる。この場合も、各Sn被覆層群を構成する平行Sn被覆層は、幅が1〜500μm、同じSn被覆層群に含まれる隣接する平行Sn被覆層同士の間隔が1〜2000μmに設定される。同じく、各Sn被覆層群の交差角度は望ましくは10〜90°とする。
本発明に係る嵌合型接続部品において、部品(端子)挿入方向とSn被覆層群の長さ方向のなす角度は、0°〜90°の範囲で適宜設定すればよい。Sn被覆層群が1つの場合、上記角度は0°超〜90°が望ましく、この角度は大きいほど望ましく20°〜90°、さらに90°が望ましい。Sn被覆層群が複数の場合、少なくともいずれか1つのSn被覆層群について、挿入方向との角度が上記のようになるようにする。
銅板材表面に形成する表面被覆層のうちCu−Sn合金被覆層は、CuSnとCuSnのいずれか一方又は双方からなり、平均厚さは0.1〜3.0μmとされる。これは、従来技術(前記特許文献1,2)のものと同等の数値である。Cu−Sn合金被覆層の平均厚さが0.1μm未満では、材料表面の耐食性が低下して酸化物量などが増え、接触抵抗が増加しやすく、電気的信頼性を維持することが困難となる。一方、3.0μmを超えると、コスト面で不利であり、生産性も悪くなる。従って、Cu−Sn合金被覆層の平均厚さは0.1〜3.0μmとし、望ましくは0.2〜1.0μmとする。
Sn被覆層は、Sn金属又はSn合金からなる。Sn合金の場合、合金元素としてCu、Ag、Ni、Bi、Zn等が挙げられ、これらの元素は10質量%以下であることが望ましい。Sn被覆層の平均厚さは0.2〜5.0μmとされる。これは、従来技術(前記特許文献1,2)のものと同等の数値である。Sn被覆層の平均厚さが0.2μm未満では、高温酸化などの熱拡散により材料表面のCuの酸化物が多くなり、接触抵抗が増加しやすく、耐食性も悪くなることから、電気的信頼性を維持することが困難となる。一方、5.0μmを超えると、コスト面で不利であり、生産性も悪くなる。従って、Sn被覆層の平均厚さは0.2〜5.0μmとし、望ましくは0.5〜3.0μmとする。
上記嵌合型接続部品の表面被覆層の一部として、銅板材の表面とCu−Sn合金被覆層の間にNi被覆層が形成されていてもよく、また、前記Ni被覆層と前記Cu−Sn合金被覆層の間にさらにCu被覆層が形成されていてもよい。さらに、前記接続部品用銅板材の表面とNi被覆層の間にCu被覆層が形成されていてもよい。これらの被覆層はいずれもめっきで形成されるものであり、Ni被覆層と前記Cu−Sn合金被覆層の間のCu被覆層は、先に述べたように、リフロー処理後にCu−Sn合金被覆層の下に残留したCuめっき層である。
Ni被覆層は金属Ni又はNi合金からなる。Ni合金の場合、合金元素としてCu、P、Coなどが挙げられ、Cuは40質量%以下、P、Coは10質量%以下が望ましい。Ni被覆層の平均厚さは0.1〜10μmが望ましい。また、Cu被覆層は金属Cu又はCu合金からなる。Cu合金の場合、合金元素としてSn、Znなどが挙げられ、Snは50質量%未満、他の元素は5質量%以下が望ましい。Cu被覆層の平均厚さは3.0μm以下が望ましい。
次に上記嵌合型接続部品の製造方法について補足説明する。
表面粗化処理方法として、特許文献1〜3には、イオンエッチング等の物理的方法、エッチングや電解研磨等の化学的方法、圧延(研磨やショットブラスト等により粗面化したワークロールを使用)、研磨、ショットブラスト等の機械的方法が開示されている。しかし、このような方法で、上記のような複数の平行線として観察されるSn被覆層群と、その両側に隣接するCu−Sn合金被覆層を形成することはできない。
一方、特許文献7,8には、端子形状加工時に銅板材表面を表面粗化処理する技術が記載されている。すなわち、銅板材に打抜き加工を施し端子素材が帯状の連結部を介して長さ方向に連鎖状に連なった銅板材を形成するとともに、前記打抜き加工と同時にあるいは打抜き加工の前又は後に、前記銅板材にプレス加工を施し、端子素材板面(銅板材表面)の表面粗さを増大させる、というものである。しかし、特許文献7,8にはプレス加工の具体的手段についての記載はない。
Cu−Sn合金被覆層は、表面粗化処理(人為的に凹凸を形成)された銅板材表面の凸の部分でリフロー処理後に露出する。従って、Cu−Sn合金被覆層又はSn被覆層の露出形態は、表面粗化処理において銅板材表面に形成される凹凸の形態を反映したものとなる。
本発明では、表面粗化処理として、先に図4を参照して説明したように、押圧面にごく細かい凹凸が平行線状に形成された金型をプレス機にセットし、該金型で銅板材の表面をプレスし、凸部(刃先)を銅板材表面に打ち込む、という方法が適用できる。この方法であれば、本発明で規定するCu−Sn合金被覆層又はSn被覆層の露出形態を実現可能であり、Sn被覆層の幅、Sn被覆層同士の間隔についても自在に制御可能である。
なお、金型1の押圧面に細かい凹凸を付ける方法は、放電加工、研削加工、レーザー加工などがあり、必要とする寸法精度、加工形状により任意に選択できる。凸部の形状、形成ピッチは一定である必要はない。
部品形状への打抜き及び表面粗化処理の後、銅板材にいわゆる後めっきを行う。銅板材に対し表面粗化処理及び後めっきを行う領域は、銅板材の片面又は両面全体に及んでいてもよいし、片面又は両面の一部のみを占めているのでもよい。銅板材の少なくとも相手側部材との嵌合時に摺動面となる面に行えばよい。
後めっきは、必要に応じてNiめっきを行った後、Cuめっき層と、Snめっき層をこの順に形成した後、リフロー処理を行うことにより製造することができる。また、必要に応じてNiめっき層の下に、Niめっきの密着性改善のため、Cuめっき層を形成することもできる。あるいは、銅板材表面に直接Snめっき層のみを形成してもよい。
後めっき後の銅板材にリフロー処理を施すと、Cuめっき層とSnめっき層のCuとSnが相互拡散してCu−Sn合金被覆層が形成され、その際にSnめっき層が残留し、Cuめっき層は全て消滅する場合と一部残留する場合の両方があり得る。Cuめっき層の一部が残留するとき、銅板材表面(Niめっき層を形成したときはNi被覆層表面)とCu−Sn合金被覆層の間にCu被覆層が形成される。Niめっき層を形成しない場合、Cuめっき層の厚さによっては、銅板材(母材)からもCuが供給される場合がある。銅板材表面に直接Snめっき層のみを形成する場合、銅板材(母材)中のCuとSnめっき層中のSnが相互拡散してCu−Sn合金被覆層が形成される。
Cuめっき層の平均厚さは0.1〜1.5μm、Snめっき層の平均厚さは0.3〜8.0μm、Niめっき層の平均厚さは0.1〜10μmが望ましい。
なお、本発明において、Cuめっき層、Snめっき層及びNiめっき層は、それぞれCu、Sn、Ni金属のほか、Cu合金、Sn合金及びNi合金を含む。Cuめっき層、Snめっき層及びNiめっき層が、Cu合金、Sn合金及びNi合金の場合、各合金の合金元素は、Cu被覆層、Sn被覆層及びNi被覆層の各合金と同じでよい。
以下の実施例により、要点を絞り、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[銅板材(めっき母材)の作製]
本実施例においては、Cu中に1.8質量%のNi、0.40質量%のSi、1.1質量%のZn、0.10質量%のSnを含有し、ビッカース硬さ180、厚さ0.25mmtの銅合金条を製作した。
上記銅合金条から100mm×40mm(圧延長手方向×直角方向)の試験片を切り出し、ピン端子を成形する順送金型内の所定位置(ピン端子成形加工後の位置)に、押圧面に所定凹凸を付けたパーツを取り付け、1mmw×22mmLのピン端子形状を5mmピッチで成形加工すると同時に、各ピン端子の1mmw×10mmLの範囲に表面粗化処理を行った。成形加工及び表面粗化処理後の銅板材の概略図を図5に示す。図5において11が銅板材、12がピン端子部、両矢印の範囲が表面粗化処理した部分である。凹凸形状の異なるパーツを用いたり、複数回打ちを行うこと等により、種々の表面形態を得ることができる。
続いて、No.1〜16の銅板材に対し、Niめっきを施し(一部は施さず)、次いでCuめっき及びSnめっきを施した後、280℃×10secのリフロー処理を行うことにより試験片を得た。
No.1の表面SEM(組成像)を図6に示す。図中の白色部がSn被覆層、黒色部がCu−Sn合金被覆層である。Sn被覆層には、それぞれ複数の平行線として観察される2つのSn被覆層群が含まれ、一方のSn被覆層群と他方のSn被覆層群は90°の角度で交差し、全体として格子状をなしている。なお、この例において表面粗化処理後、めっき前のピン端子表面には、複数の平行線として観察される細かい溝(谷)が90°の角度で交差して形成され、これらの溝が全体として格子状をなしている。
表1に、各試験片の表面形態及び各被覆層の平均厚さを示す。表1において、直線Xとは一方のSn被覆層群を構成するSn被覆層を指し、直線Yとは他方のSn被覆層群を構成するSn被覆層を指し、一方のSn被覆層群しか存在しない場合、直線Yの欄を空欄としている。各試験片の表面形態を示す各パラメータ及び各被覆層の平均厚さの測定方法は、次のとおりである。
[最大高さ粗さRz]
接触式粗さ計(株式会社東京精密製;サーフコム1400)を用いて、JIS B0601:2001に基づいて測定した。表面粗さ測定条件は、カットオフ値を0.8mm、基準長さを0.8mm、評価長さを4.0mm、測定速度を0.3mm/s、接触針先端半径を5μmRとして、測定はピン端子挿入方向に複数箇所で行い、得られた各粗さ曲線から最大高さ粗さRzを求め、その最大値を試験片の最大高さ粗さRzとした。なお、最大高さ粗さRzはどの測定箇所でもほぼ同じ値が得られた。図6にNo.1で測定した粗さ曲線の一例を示す。
[Sn層の幅等]
試験片の表面を操作電子顕微鏡を用いて観察し、その組成像からSn被覆層(X,Y)の幅、直線X,Yの間隔を測定した。なお、X,Yの交差角度、Xと挿入方向交差角度は表面粗化処理の段階で設定した。
[被覆層厚さ]
試験片を平行線状に観察されるSn被覆層に垂直な断面で切断し、その断面の中央部を走査型電子顕微鏡を用いて観察し、その組成像を画像解析処理してNi被覆層、Cu−Sn合金被覆層及びSn被覆層の平均厚さを算出した。いずれもCu被覆層は消滅していた。
続いて、得られた試験片について、摩擦係数評価試験及び高温放置後の接触抵抗評価試験を下記の要領で行った。その結果を、表2に示す。なお、表2の摩擦係数のエンボス1.5の欄はメス試験片の半球の内径が1.5mmのときの摩擦係数、エンボス1.0の欄はメス試験片の半球の内径が1.0mmのときの摩擦係数を記載している。また、表2の舌片の欄はメス試験片が幅10mmの湾曲した(曲率半径2mm)舌片のときの摩擦係数を記載している。
[摩擦係数評価試験]
嵌合型接続部品における電気接点のインデント部の形状を模擬し、図7に示すような装置を用いて評価した。まず、各試験材(No.1〜16)から切り出したピン端子形状のオス試験片14を水平な台15に固定し、その上に、表面粗化処理を行っていない銅板材にめっき加工(Cu:0.15μm、Sn:1.0μm、リフロー処理)した材料から切り出した半球加工材(内径をφ1.5mm及びφ1.0mmとした)又は舌片に成形したメス試験片16をおいて被覆層同士を接触させた。続いて、メス試験片6に3.0Nの荷重(錘17)をかけてオス試験片14を押さえ、横型荷重測定器(アイコーエンジニアリング株式会社;Model−2152)を用いて、オス試験片14を端子挿入方向に水平方向に引っ張り(摺動速度を80mm/minとした)、摺動距離5mmまでの最大摩擦力F(単位:N)を測定した。摩擦係数を下記式(1)により求めた。なお、18はロードセル、矢印は摺動方向である。
摩擦係数=F/3.0 …(1)
[高温放置後の接触抵抗評価試験]
各試験材に対し、大気中にて160℃×500hrの熱処理を行った後、接触抵抗を四端子法により、開放電圧20mV、電流10mA、無摺動の条件にて測定した。160℃×500hr加熱後の接触抵抗が1.0mΩ未満のものを耐熱性がよい(○)、1.0mΩ以上のものを耐熱性が劣る(×)と評価した。
表2に示すようにNo.1〜13は、Sn被覆層の幅と間隔、及び最大高さ粗さRzに関して本発明に規定する要件を満たし、少なくとも相手材が舌片の場合は、摩擦係数が0.4未満と低い値を示している。特に各パラメーターが望ましい範囲内、すなわち最大高さ粗さRzが0.1〜5μm、Sn被覆層(直線X,Y)の幅が50μm以下、隣接するSn被覆層同士の間隔(隣接する直線X,Xの間隔、直線Y,Yの間隔)が250μm以下のとき、エンボス1.0mmでも摩擦係数が0.4未満と低い値を示している。
一方、No.14は最大高さ粗さRzが大きすぎるため、加熱後接触抵抗が高く、No.15はSn被覆層の幅が大きすぎるため、摩擦係数が高く、No.16はSn被覆層同士の間隔(隣接する直線X,Xの間隔、直線Y,Yの間隔)が大きすぎるため、摩擦係数が高い。
1,1a〜1d 平行Sn被覆層
2 Cu−Sn合金被覆層
3 Sn被覆層
4,4a〜4d 平行Sn被覆層
5 銅板材
6 凹部
7 凸部
8 金型
11 銅板材
12 ピン端子部

Claims (11)

  1. 所定形状に打抜き加工した銅板材に後めっき及びリフロー処理して製造され、相手側部品との接触側最表面にCu−Sn合金被覆層とSn被覆層が混在し、前記Sn被覆層がリフロー処理により平滑化されている嵌合型接続部品において、前記Sn被覆層は複数の平行線として観察されるSn被覆層群を含み、前記Sn被覆層群を構成する個々のSn被覆層の両側に前記Cu−Sn合金被覆層が隣接して存在し、部品挿入方向の最大高さ粗さRzが10μm以下であることを特徴とする嵌合型接続部品。
  2. 前記Sn被覆層群に属するSn被覆層の幅が1〜500μm、前記Sn被覆層群に属するSn被覆層のうち隣接するSn被覆層同士の間隔が1〜2000μmであることを特徴とする請求項1に記載された嵌合型接続部品。
  3. 所定形状に打抜き加工した銅板材に後めっき及びリフロー処理して製造され、相手側端子との接触側最表面にCu−Sn合金被覆層とSn被覆層が混在し、前記Sn被覆層がリフロー処理により平滑化されている嵌合型接続部品において、前記Sn被覆層は複数の平行線として観察されるSn被覆層群と、同じく複数の平行線として観察される別のSn被覆層群を1又は2以上含み、各Sn被覆層群は格子状に交差し、各Sn被覆層群を構成する個々のSn被覆層の両側にCu−Sn合金被覆層が隣接して存在し、部品挿入方向の最大高さ粗さRzが10μm以下であることを特徴とする嵌合型接続部品。
  4. 前記Sn被覆層群に属するSn被覆層の幅が1〜500μm、同じSn被覆層群に属するSn被覆層のうち隣接するSn被覆層同士の間隔が1〜2000μmであることを特徴とする請求項3に記載された嵌合型接続部品。
  5. 前記銅板材は後めっきの前に表面粗化処理が行われており、表面に複数の平行線として観察される凹部がプレス加工で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された嵌合型接続部品。
  6. 前記銅板材表面に、表面めっき層として前記Cu−Sn合金被覆層とSn被覆層がこの順に形成され、前記Cu−Sn合金被覆層の一部が最表面に露出していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された嵌合型接続部品。
  7. 前記Cu−Sn合金被覆層の平均厚さが0.1〜3μm、前記Sn被覆層の平均厚さが0.2〜5.0μmであることを特徴とする請求項6に記載された嵌合型接続部品。
  8. 前記銅板材の表面と前記Cu−Sn合金被覆層の間にNi被覆層を有することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載された嵌合型接続部品。
  9. 前記Ni被覆層と前記Cu−Sn合金被覆層の間にさらにCu被覆層を有することを特徴とする請求項8に記載された嵌合型接続部品。
  10. 前記銅板材の表面と前記Ni被覆層の間にさらにCu被覆層を有することを特徴とする請求項8又は9に記載された嵌合型接続部品。
  11. 銅板材を打抜き加工すると同時に又はその前後に、前記銅板材の表面にプレス加工により表面粗化処理を行って複数の平行線として観察される凹部を形成し、続いて表面粗化処理を行った銅板材の表面に後めっきを行い、さらにリフロー処理を行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載された嵌合型接続部品の製造方法。
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