JP2011198890A - 金属パターン形成方法及びそれを用いて形成された金属パターン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板の上に、触媒を含有するインクをインクジェット方式でパターン部を印字、乾燥し、該パターン部の上に無電解めっき処理によって金属パターンを形成する方法において、該触媒が可溶性パラジウム金属錯体でかつ該触媒を含有するインクpHが10.0〜14.0であり、前記無電解めっき処理前の印字パターン部の表面粗さRaが30nm以上45nm以下であることを特徴とする金属パターン形成方法。
【選択図】なし
Description
こうしたIJ印字部の固体残存物はIJ印字部の表面粗さを増大させる。表面粗さを持たせたほうが、基板との密着性は向上するが、あとから形成する金属膜の表面も同様に粗くなり好ましくない。よって本発明では無電解めっき処理の前にIJ印字部の表面粗さを適度に軽減することが、密着性向上という観点からして重要である。
本発明ではインクジェット方式により、まず金属パターン形成用インクにより、印字パターンが印字される。形成された印字パターン部に従い無電解めっきされた金属パターンは、各種配線板に微細な回路パターンに応用できるもので、電子回路等で要求されている微細な線幅のパターン等に用いることができる。上記印字パターン形成に用いる金属パターン形成用インク(以下、単にインクともいう)は、触媒としてパラジウム金属錯体を含有することを一つの特徴とする。
本発明のインクに適用可能な錯化剤としては、上記パラジウム金属塩と錯体形成可能な化合物が挙げられる。化合物としては、カルボシキ基をもつ有機酸があり、たとえば、シュウ酸、マロン酸、こはく酸、アジピン酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。そしてアミン系化合物または含窒素複素環式化合物であることが好ましい。アミン系化合物とはアンモニアの水素原子の1個またはそれ以上が炭化水素残基で置換された化合物であり、パラジウムイオンに対する錯形成剤である。ここではアンモニアも含むものとする。アミンはN原子上に非共有電子対を保持しており、パラジウムイオンと錯形成しやすい。アミンとしては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンテトラ酢酸等の直鎖アミン化合物、環状アミン化合物が挙げられる。含窒素複素環式化合物としては、例えば、ピリジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、ビピリジン、フェナントロリンなどが挙げられる。
本発明のインクに適用可能な溶媒としては、上記パラジウム金属塩と錯化剤の溶解性の観点から水性液媒体が好ましく用いられ、水性液媒体としては、水及び水溶性有機溶剤等の混合溶媒が更に好ましく用いられる。これらの溶媒の組成については、上記のパラジウム金属塩と錯化剤で形成された錯体の溶解状態に留意して選択することが好ましい。
本発明のインクに適用可能な界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
本発明のインクには、必要に応じて、その他の金属パターン形成用インクで従来公知の各種添加剤を含有することができる。例えば、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤、水溶性多価金属塩、酸塩基、緩衝液等pH調整剤、酸化防止剤、表面張力調整剤、非抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料等を挙げることができる。
本発明のインクを用いた金属パターン形成において、金属パターンを形成する基板としては、絶縁性を備えたものであれば特に制限はなく、例えば、ガラスやセラミックス等の剛性の強いものから、PET(ポリエチレンテレフタレート)やポリイミドなどの樹脂から構成されるフィルム状のものが挙げられる。
本発明のインクを用いた金属パターン形成方法としては、パラジウム金属錯体を含有するインクを、インクジェットヘッドより基板上に吐出してパターン部を印字するパターン印字工程と、前記した前処理工程と、パターン部に無電解めっき処理を施して金属パターンを形成する無電解めっき処理工程とを有し、更には、上記パターン印字工程と、無電解めっき処理工程との間に、触媒活性化工程を設けることが好ましい。
本発明に係る金属パターン形成方法においては、パラジウム金属塩及び錯化剤を含有した本発明のインクは、インクジェットヘッドから基板へ吐出させ、パターン形成させる。吐出させるインク液滴の大きさとしては、特に制限はないが、回路配線等の場合は微細線の形成が必要となるので50pl以下が好ましく、更に好ましくは20pl以下のインク液滴量である。
本発明に係る金属パターン形成方法においては、上記触媒のパラジウム金属塩と錯化剤を含有するインクを基板上に印字する工程と、後述する無電解めっき処理を行う工程の間に、触媒活性化工程を有することが好ましい。
本発明に係る無電解めっき処理について説明する。
本発明においては、無電解めっき処理をおこなった後、さらに電気めっき処理工程をおこなってもよい。
〔インクの調製:本発明〕
触媒として塩化パラジウムと濃塩酸の質量比が4/1である塩化パラジウム2.0質量%である水溶液を作製した。塩化パラジウムが溶解したことを確認後、この塩化パラジウム水溶液を使用して、塩化パラジウム0.2質量%、錯化剤として2−アミノピリジンを0.2質量%、水溶性有機溶媒として、エチレングリコールを30質量%、グリセリン10質量%、純水を残分としてインクを調製した。次いで、水酸化ナトリウムを用いてpHが9.5、12.0および13.5となるように、インクのpHを調整した。調製したインクの外観を目視観察した結果、塩化パラジウムが完全に溶解している状態にあることを確認した。これらのインクにおける塩化パラジウム(Pd)と錯化剤である2−アミノピリジン(Ch)とのモル比(Pd:Ch)は、1:1.9である。
〔金属配線パターンの形成〕
(パターン印字工程)
搬送系オプションXY100(コニカミノルタIJ(株)製)に装着したインクジェットヘッド評価装置EB100(コニカミノルタIJ(株)製)に、インクジェットヘッドKM256Aq水系ヘッド(コニカミノルタIJ(株)製)を取り付け、上記調製したインクが吐出できるようにした。ステージに、非インク吸収性樹脂基板として厚さ75μmのポリイミドシート(基板)を取り付け、表1に記載した試料番号とインクpHが対応するように上記3種のインクを吐出して、配線幅100μm、配線間距離100μm、配線長30mmで100本の細線パターンと10mm×100mmの長方形パターンの2種のパターンを各々形成した。
上記方法でパターン形成した後の各基板を80℃で5分乾燥したのち、ホウ素系の還元剤を含有した下記活性化液に、浸漬した。下記の還元剤溶液は、インク中の中和塩(塩化ナトリウム)に対する溶解性をもち、前処理の水溶液としても有用であるため、前処理工程では、活性化工程も兼用させた。このときの温度は室温あるいは、加温した条件でおこなった。また、この前処理工程は、1000mlビーカーにマグネチックスターラーを用いて、常に溶液が飛散しない程度の撹拌をおこなった。インクpH、前処工程の時間、の組み合わせは表1に記載のごとく変化し、表面粗さを変化させた。(温度が記載のないものは全て室温にておこなった)
〈活性化液〉1000mlに仕上げた。
アルカップMRD2−C(上村工業社製) 60ml
純水 残量
この工程が終了した後、乾燥後の長方形パターン部の表面粗さRaの測定を無電解めっき処理工程直前に、以下のようにしておこなった。
長方形パターンと、細線パターンの各々について、表1に示した試料番号と無電解めっきの種類が対応するように、下記の無電解浴を用いてニッケル/リン(Ni/P)と銅(Cu)の無電解めっき処理を、各試料に対して行った。
下記の組成の無電解ニッケル浴を作製し(1000ml仕上がり)、60℃温度において、約0.2μmの膜厚のNi/Pめっきを形成した。
純水 800ml
(pHを約7.2に調整)
(無電解銅めっき処理)
下記の無電解銅めっき溶液を調製した(1000ml仕上がり)
無電解銅めっき溶液は、銅濃度として2.5質量%、ホルマリン濃度が1質量%、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)濃度が2.5質量%である。また、水酸化ナトリウムで無電解銅めっき溶液のpHは、13.0に調整し、50℃温度において、約0.2μmの膜厚の銅めっきを形成した。
メルプレートCU−5100A(メルテックス社製) 60ml
メルプレートCU−5100B(メルテックス社製) 55ml
メルプレートCU−5100C(メルテックス社製) 20ml
メルプレートCU−5100M(メルテックス社製) 40ml
純水 残量
(電気めっき処理工程)
無電解めっきを行った、10mm×100mmの長方形パターンと細線パターンについて、更に電気めっきを行った。
硫酸 190g
塩素イオン 50mg
純水 残量
陽極として、銅板を電気めっき浴に浸漬し、電流密度1.5A/dm2で電気めっきを行った。10mm×100mmの長方形パターン上に銅膜約10μmの金属メッキを形成させた。
上記形成した2種の金属パターンについて、下記の各評価を行った。
上記形成した、10mm×100mmの長方形パターンに対して、JIS C6481に記載に従って、90度ピール強度試験による密着性の評価を行った。
上記形成した100本の細線パターンを光学顕微鏡にて観察し、下記の基準に従って細線描画性を評価した。
◎:細線の欠け(断線)や細線同士の接触が全くなく、かつ線形状の乱れ(細りや太り)も5%未満である
○:細線の欠け(断線)、細線同士の接触がなく、かつ線形状の乱れ(細りや太り)も5%以上、10%未満である
△:細線の欠け(断線)、細線同士の接触がなく、かつ線形状の乱れ(細りや太り)が10%以上、30%未満である
×:細線の欠け(断線)や細線同士の接触が認められ、かつ線形状の乱れ(細りや太り)が30%以上である
以上により、得られた各評価結果を、表1に示す。
Claims (10)
- 基板の上に、触媒を含有するインクをインクジェット方式でパターン部を印字、乾燥し、該パターン部の上に無電解めっき処理によって金属パターンを形成する方法において、該触媒が可溶性パラジウム金属錯体でかつ該触媒を含有するインクpHが10.0〜14.0であり、前記無電解めっき処理前の印字パターン部の表面粗さRaが30nm以上45nm以下であることを特徴とする金属パターン形成方法。
- 前記触媒を含有するインクに、さらに酸とアルカリの中和塩を含有していることを特徴とする請求項1に記載の金属パターン形成方法。
- 前記無電解めっき処理前の印字パターン部の表面粗さにするために、前記無電解めっき処理の前にパターン部に存在する前記中和塩を除去することを特徴とする請求項2に記載の金属パターン形成方法。
- 前記中和塩を溶解させて除去することを特徴とする請求項2または3のいずれか一項に記載の金属パターン形成方法。
- 前記可溶性パラジウム金属錯体が、パラジウム金属塩と錯化剤で形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の金属パターン形成方法。
- 前記基板が非インク吸収性樹脂であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の金属パターン形成方法。
- 前記非インク吸収性樹脂がポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の金属パターン形成方法。
- 前記無電解めっき処理の後に、さらに電気めっき処理をすることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の金属パターン形成方法。
- 前記無電解めっき処理に用いるめっきが銅とニッケルおよびそれらの合金であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の金属パターン形成方法。
- 請求項1から9のいずれか1項に記載の金属パターン形成方法により形成されたことを特徴とする金属パターン。
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