JP5375725B2 - 金属パターン製造方法及び金属パターン - Google Patents
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〔触媒前駆体〕
本発明において、パターン形成に用いる金属パターン形成用インク(以下、単にインクともいう)は、触媒前駆体を含有する。
本発明に係るインクに適用可能な錯化剤としては、上記触媒前駆体と錯体形成可能な化合物が挙げられる。化合物としては、カルボシキ基をもつ有機酸があり、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。そしてアミン系化合物または含窒素複素環式化合物であることが好ましい。アミン系化合物とはアンモニアの水素原子の1個またはそれ以上が炭化水素残基Rで置換された化合物であり、Pdイオンに対する錯形成剤である。本発明においてはアンモニアも含むものとする。アミンはN原子上に非共有電子対を保持しており、パラジウムイオンと錯形成しやすい。アミンとしては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、エチレンジアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンテトラ酢酸等の直鎖アミン化合物、環状アミン化合物が挙げられる。含窒素複素環式化合物としては、例えば、ピリジン、ビピリジン、フェナントロリンなどが挙げられる。
本発明に係るインクに適用可能な溶媒としては、上記パラジウム金属塩と錯化剤の溶解性の観点から水性液媒体が好ましく用いられ、水性液媒体としては、水及び水溶性有機溶剤等の混合溶媒が更に好ましく用いられる。これらの溶媒の組成については、上記のパラジウム金属塩と錯化剤で形成された錯体の溶解状態に留意して選択することが好ましい。
本発明に係るインクに適用可能な界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
本発明に係るインクには、必要に応じて、その他の金属パターン形成用インクで従来公知の各種添加剤を含有することができる。例えば、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤、水溶性多価金属塩、酸塩基、緩衝液等pH調整剤、酸化防止剤、表面張力調整剤、非抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料等を挙げることができる。
本発明に係るインクを用いた金属パターン形成において、金属パターンを形成する基板としては、絶縁性を備えたものであれば特に制限はなく、例えば、ガラスやセラミックス等の剛性の強いものから、PET(ポリエチレンテレフタレート)やポリイミドなどの樹脂から構成されるフィルム状のものが挙げられる。
本発明におけるインクを用いた金属パターン形成方法としては、以下のように行う。
2)パターン部を洗浄するために、本発明に係る洗浄液を用いた洗浄工程、
3)触媒前駆体を触媒に変換する活性化処理工程、
4)無電解めっき液にて、金属生成させる無電解めっき処理工程。
本発明において、パターン部の形成方法としては、インクジェットヘッドからインクを基板上に吐出し、パターン部を形成するインクジェット方式が好ましい。吐出させるインク液滴の大きさとしては、特に制限はないが、回路配線等の場合は微細線の形成が必要となるので50pl以下であることが好ましく、更に好ましくは20pl以下のインク液滴量である。インクジェットヘッドとしては、特に制限はなく、ピエゾ型、サーマル型いずれのヘッドを用いることが可能である。
本発明の金属パターン製造方法では、パターン部を洗浄液に浸漬させて、洗浄を行うことを特徴とする。
本発明に係る洗浄液は、水系でも非水系でも構わないが、好ましくは水系溶媒で構成された溶液である。これは、本発明に係るインクには、多量の無機塩やアルカリ化合物が含有される場合があり、これらを除去する効率が高いためである。
本発明に係る活性化処理とは、触媒前駆体を無電解めっきが可能な触媒に変換する処理を意味する。
本発明に係る無電解めっき処理について説明する。
本発明の金属パターン製造方法においては、金属膜厚を厚くする目的などで、無電解めっき処理を施した後、さらに電気めっき処理工程を行っても良い。
[金属パターン1の作製]
〔触媒前駆体インクの調製〕
塩化パラジウムと濃塩酸の質量比が4:1である塩化パラジウムを2.0%含有する水溶液を調製した。この水溶液においては、塩化パラジウムが溶解することを確認した。この塩化パラジウム水溶液を使用して、塩化パラジウム水溶液を0.2%、錯化剤として2−アミノピリジンを0.2%、水溶性有機溶媒として、エチレングリコールを30%、グリセリンを10%、純水を残分として、触媒前駆体インクを調製した。次いで、水酸化ナトリウムを用いて、触媒前駆体インクのpHを14.0に調整した。調製した触媒前駆体インクの外観を目視観察した結果、塩化パラジウムが完全に溶解している状態にあることを確認した。触媒前駆体インクにおける塩化パラジウム(Pd)と2−アミノピリジン(Ch)とのモル比(Pd:Ch)は、1:1.9である。
(パターン部形成工程)
搬送系オプションXY100(コニカミノルタIJ株式会社製)に装着したインクジェットヘッド評価装置EB100(コニカミノルタIJ株式会社製)に、インクジェットヘッドKM256Aq水系ヘッド(コニカミノルタIJ株式会社製)を取り付け、上記調製した触媒前駆体インクが吐出できるようにした。ステージに、非インク吸収性樹脂基板として厚さ75μmのポリイミドシートを取り付け、触媒前駆体インクを吐出して、配線幅100μm、配線間距離100μm、配線長30mmで10本の細線パターンと1画素(1ドットライン)〜3画素(3ドットライン)の幅の異なるパターン部を形成した。
上記形成した触媒前駆体のパターン部を、25℃の下記洗浄液1に30分浸漬して、洗浄を行った。
陽金属イオン化合物として、塩化カリウムを純水に2.5mol/Lの濃度で溶解し、これを洗浄液1とした。調製した洗浄液1と、上記形成した触媒前駆体のパターン部を用いて、前述の方法に従って25℃における溶解度を測定した結果、0.4g/Lであった。
上記洗浄処理を施し、パターン部形成基板を80℃で5分乾燥した後、ホウ素系の還元剤を含有した下記活性化液に浸漬して活性化処理を施した。
下記の各化合物を純水に添加、溶解したのち、純水で1000mlに仕上げて活性化液を調製した。
アルカップMRD2−C(上村工業株式会社製) 60ml
純水 922ml
(無電解めっき処理工程)
50℃の下記無電解銅めっき溶液を用いて、上記活性化処理を施したパターン部形成基板に無電解めっき処理を施し、約0.2μmの膜厚の金属パターン1を形成した。
メルプレートCU−5100A(メルテックス株式会社製) 60ml
メルプレートCU−5100B(メルテックス株式会社製) 55ml
メルプレートCU−5100C(メルテックス株式会社製) 20ml
メルプレートCU−5100M(メルテックス株式会社製) 40ml
純水 825ml
上記調製した無電解銅めっき溶液は、銅濃度として2.5%、ホルマリン濃度が1.0%、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)濃度が2.5%である。また、水酸化ナトリウムを用いて、pHは13.0に調整した。
上記金属パターン1の作製において、洗浄工程で用いる洗浄液として、洗浄液1に代えて、表1に記載の構成(陽金属イオンの化合物種と添加量、洗浄液の温度)及び触媒前駆体に対する溶解度の洗浄液2〜12を用いた以外は同様にして、金属パターン2〜12を形成した。
上記形成した各金属パターンについて、下記の各評価を行った。
上記作製した100μm幅のパターン部を光学顕微鏡で観察し、金属パターン10本の幅を測定し、その平均値を求め、下式に従ってパターン外の析出幅を求め、下記の基準に従って、めっき太り耐性を評価した。
◎:パターン外の析出幅が、5.0μm未満である
○:パターン外の析出幅が、5.0μm以上、10.0μm未満である
△:パターン外の析出幅が、10.0μm以上、20.0μm未満である
×:パターン外の析出幅が、20.0μm以上である
〔めっき性の評価〕
上記作成した1画素(1ドットライン)〜3画素(3ドットライン)の幅の異なる微細線パターンを、光学顕微鏡により観察し、下記の基準に従って、めっき性を評価した。
○:2画素、3画素の微細線パターンではめっきがされているが、1画素の微細線パターンではめっきされなかった
△:3画素の微細線パターンではめっきがされているが、1画素と2画素の微細線パターンではめっきされなかった
×:全ての微細線パターンでめっきされなかった
以上により得られた結果を、表1に示す。
Claims (6)
- 基板上に、無電解めっきの触媒前駆体を含有するインクを用いてパターン部を形成し、活性化処理にて該パターン部の該触媒前駆体を無電解めっきの触媒に変換して、無電解めっき処理によって金属パターンを形成する製造方法において、洗浄液に対する該触媒前駆体の溶解度が0.5g/L以下である洗浄液で洗浄し、前記活性化処理を行うことを特徴とする金属パターン製造方法。
- 前記洗浄液が陽金属イオンを含有し、該陽金属イオンの濃度が2.5mol/L以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属パターン製造方法。
- 前記陽金属イオンが、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+及びBa2+から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の金属パターン製造方法。
- 前記触媒前駆体が、パラジウム金属錯体であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の金属パターン製造方法。
- 温度が10℃以上、50℃以下の前記洗浄液で洗浄することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の金属パターン製造方法。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の金属パターン製造方法を用いて形成されたことを特徴とする金属パターン。
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