JP2011195948A - 金属回収方法及び透析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
煩雑な工程を使用せず、かつ、比較的簡便な設備によって、リチウムイオン電池から金属を回収する有価金属回収方法を提供する。
【解決手段】
リチウム及び遷移金属元素とを含むリチウムイオン電池の正極材を酸性溶液に溶解させてリチウムイオンと遷移金属イオンとを酸性溶液内に生成させ、その酸性溶液と回収液とを陰イオン透過膜を挟んで流してリチウムイオンを酸性溶液から回収溶液へ透析させ、透析でリチウムイオンが溶解した回収液から、リチウムイオンを回収する金属回収方法。
【選択図】 図1
煩雑な工程を使用せず、かつ、比較的簡便な設備によって、リチウムイオン電池から金属を回収する有価金属回収方法を提供する。
【解決手段】
リチウム及び遷移金属元素とを含むリチウムイオン電池の正極材を酸性溶液に溶解させてリチウムイオンと遷移金属イオンとを酸性溶液内に生成させ、その酸性溶液と回収液とを陰イオン透過膜を挟んで流してリチウムイオンを酸性溶液から回収溶液へ透析させ、透析でリチウムイオンが溶解した回収液から、リチウムイオンを回収する金属回収方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電池から金属を簡便に回収する金属回収方法に関する。
近年、電子機器の携帯化が進むにつれて2次電池の使用量が急激に増大している。携帯電話や携帯型音楽プレイヤーなどの比較的小電力の機器に限らず、電動工具、電動自転車、電気自動車などの高出力を要する機器へも2次電池の適用が広がるに至り、高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池に注目が集まっている。高出力機器への適用が増えたことにより、使用済み電池からの有価物回収の必要性が高まっており、リチウムイオン電池からの有価金属を回収するためのさまざまな技術が提案されている。
例えば、非特許文献1(第1の先行技術文献)には、リチウムイオン電池のリサイクル技術が特集されており、リチウムイオン電池を構成する有価金属類を回収する方法が系統的に説明されている。非特許文献1に掲載された典型的なリサイクル方法によると、例えば、使用済みリチウムイオン電池は開封・解体・粉砕などの機械的な処理の後に、酸滲出によって有価金属を溶解させ、そこから、所望成分毎の溶解特性の差を利用して、成分毎に分別して沈殿形成させる、あるいは所望成分を優先的に溶媒抽出するなどの処理によって所望成分毎に分別回収される。
また、特許文献1(第2の先行技術)には、酸滲出によって得られる有価金属を溶解した液を陰極液とし、陽イオン交換膜を隔膜とする隔膜電解法を用いてCuおよびCoを回収する技術が開示されている。
Jinqiu Xu et al.,"A review of processes and technologies for the recycling of lithium‐ion secondary batteries",Journal of Power Sources,vol.177,pp.512‐527(2008)
非特許文献1(第1の先行技術文献)においては、さまざまな工夫により有価物の回収率向上と回収物の高純度化の両立を目指しているが、工程が煩雑であるうえ、多量の廃電池を処理するには莫大な設備投資が必要という点で改善の余地が大きい。
また、特許文献1(第2の先行技術文献)は、具体的には、陽イオン交換膜が有するイオン選択特性を利用した設備(特許文献1の図2に示す隔膜電解槽)と陰イオン選択膜の陰イオン選択性を利用した拡散透析設備(説明図なし)を用いる。より具体的に説明すると、隔膜電解によるCuの電析回収→pH調整→隔膜電解によるCoの電析回収→pH調整→Fe(OH)3およびAl(OH)3の沈殿回収→炭酸塩添加によるLi2CO3回収という一連の処理により主要有価金属を回収できる。この技術によると、Cu(2価イオン)およびCo(3価イオン)を電気化学的に還元して回収するので高純度な金属を得ることができるが、多量の廃電池を処理する場合には莫大な電気量の印加が必要という点で改善の余地がある。
例えば、約100kgのCoを回収するためには、1アンペアの電流を約100時間流し続ける必要があるが、その前にCuの電析でもほぼ同等の電気量を印加するのであるから、隔膜電解だけで全ての金属を回収することは案外な手間を要する。さらに、多段のpH調整を経るごとに液量が増大するために一連の処理の最終段階でLi2CO3を回収する際にはLiの濃度が低下しており、炭酸塩を添加してもLiの回収率は必ずしも高くならないと考えられる。これは、炭酸リチウムの飽和溶解度は20℃で1.3wt%もあるので液量が多くなるほど未回収成分が増えるためである。これを避けるためには濃縮工程を追加するなどの処理が必要である。さらに、Fe(OH)3やAl(OH)3は弱酸性〜中性の水溶液中でゲル状化しやすい傾向があるため、上記特許文献1の技術に基づいてFe(OH)3やAl(OH)3を濾別回収する工程の操作は容易ではなく、一方、濾別操作を容易化するために液を希釈するとLiの回収率が低下する。また、Fe(OH)3やAl(OH)3のゲル状沈殿の表面はLiイオンを吸着する特性もあるので、この観点でもLi回収率を大幅に改善することは難しい。
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば次のとおりである。
リチウムと遷移金属元素とを含む正極材を、リチウムを選択的に透過させる陰イオン選択透過膜と酸性溶液とを入れた槽にて透析処理する工程を有する金属回収方法である。
本発明によれば、電池から有価金属を簡便に回収する有価金属回収方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。なお、図を用いて説明する場合には図面を構成する各部品にはそれぞれ符号を付して説明を施すが、同一機能の場合には符号や説明を省略する場合がある。また、図中に示した各部品の寸法は実際の部品寸法を反映した縮尺には必ずしも一致していない場合がある。
本願発明者は、上記公報に記載された技術(第1の特許技術)の改善策を探るために上記第1の特許技術を追試する過程で、リチウムイオンは1価陽イオンであるにもかかわらず、特定の条件下で陰イオン選択透過膜を選択的に透過させられることを見出し、その現象を応用して本発明に至った。
すなわち本発明の方法では、まず、廃リチウムイオン電池に粉砕および篩い分け処理を施して、筐体、パッキン・安全弁、回路素子類、セパレータ、集電体などをあらかじめ除去した後に、ハロゲン化物イオンを含む鉱酸を用いてリチウムイオン電池を構成している有価金属類を溶解(酸滲出)する。このようにして得られるハロゲン化物イオンと有価金属が溶解した酸溶液は、必要に応じてろ過した後に、陰イオン選択透過膜を用いたイオン透析処理を行なうことにより、陰イオン選択透過膜を透過して出てくる酸の一部およびリチウムイオンを回収する。1価陽イオンであるリチウムイオンが陰イオン選択透過膜を透過できるという現象が発生する原理は解明されていないが、ハロゲン化物イオンが含まれる水溶液中のリチウムイオンには複数のハロゲン化物イオンとの間に何らかの相互作用が働いたためではないかと推測している。リチウムイオンは、イオン半径が小さく電荷密度が高いため、分極が大きなイオン種であるハロゲン化物イオンが近傍に存在することによって水和構造が安定化する傾向が現れたのではないかということである。なお、本願発明では、酸とLiの分別は陰イオン交換樹脂カラムのドナン膜効果を利用して分離する、いわゆるアシッドリターデーション法を用いる。イオン透析処理の過程ではCoも一部漏出することがあるが、Coの濃度はLiの濃度に比べて小さいので、アシッドリターデーション処理の過程でCo/Liの溶出時間差を用いて分離される。
イオン透析によってLiを選択的に除去された後の残液には、Co、Mn、Niなど、リチウムイオン電池の構成部材として使われていた多価遷移金属が透析前よりも濃縮された状態で溶解している。この残液から、それぞれの元素毎に分離回収するにはさまざまな方法が使用できるが、隔膜電解法、中和(pH=6〜9)による水酸化物沈殿回収、あるいはこれらを組み合わせた方法を用いることができる。
本発明に係る有価金属回収方法について図1および図2を用いて説明する。図1は本発明に係る有価金属回収装置の実施形態の一例の構成図で、図2は本発明に係る有価金属回収方法を示すフロー図である。
図2は、本発明に係る廃リチウム電池(以下、廃電池)から有価金属を回収するための概略の工程フローである。まず始めに廃電池を解体(図2(a))して得られる各構成部材を部材毎に分別(図2(b))し、有価金属を高濃度で含有する電極活物質のみを取り出す。こうして取り出した電極活物質を酸溶液で処理(酸滲出;図2(c))して有価金属が溶解した酸性溶液とし、この酸性溶液を透析装置(図1)に供給することにより、Liおよび酸が相対的に濃縮された濃縮液(A液)と遷移金属イオン(Co)が相対的に濃縮された濃縮液(B液)に分離する(図2(d))。Liおよび酸を含むA液からは更に酸を回収(図2(e))した後に、残液に炭酸塩を混合すれば炭酸リチウムLi2CO3としてLiを回収することができる(図2(f))。図2(e)の酸回収工程で回収された酸は酸滲出(図2(c))工程へ再利用することができる。Coが相対的に濃縮されたB液は、pH調整するだけの簡便な操作により、Coが水酸化物として析出・沈降するのでこれを濾別回収(図2(g))する。この一連の操作により、廃電池からの有価金属類および過剰の酸をそれぞれ回収することができる。ここで、図2(e)においてA液から酸を回収する際、十分に酸を回収することができていれば、図2(f)において残液に炭酸ガスを混合することによってもLiを回収することができる。
以下、図2に示す工程に従って有価金属回収フローを詳しく説明する。
廃リチウム電池(以下、廃電池)から有価金属を回収するためには、まず電池を解体する必要があるが、解体に先立ち、電池内に残っているかもしれない電荷を放電する。本発明では、電解質を含有する導電性液体中に電池を浸漬することによって電池内に残っている電荷を放電させる。
本実施形態においては、電解質を含有する導電性液体として硫酸/γブチロラクトン混合溶液を用いた。この混合溶液中では硫酸が電解質として作用するので硫酸濃度を調節することによって導電率(抵抗値の逆数)を調整することができる。本実施例では、放電槽の右端〜左端までの溶液の電気抵抗を実測したところ100kΩであった。溶液の抵抗値が小さすぎると放電が急速に進みすぎて危険であるし、逆に、抵抗値が大きすぎると放電に時間がかかりすぎて実用性が低下する。本発明では、溶液抵抗が1〜1000kΩ程度の範囲にあることが望ましく、この抵抗値範囲に入るように電解質濃度を調整すると良い。
本発明で好適な電解質としては、硫酸のほか、塩酸や硝酸、蟻酸などの酸類、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸カルシウム、硫酸マグネシウムなどの塩類、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの塩基類などである。また、これらの電解質を溶解して導電性液体となすための溶媒としては、γブチロラクトンの他、スルホラン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、NMP(N−メチルピロリジノン)、ジメトキシエタン、テトラメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホン、水、アセトニトリル、あるいはこれらの混合物などが使用できる。
ここで、本発明の廃電池としては、所定の充放電回数の限界に達して充電容量が低下してしまったいわゆる使用済み電池の他に、電池製造工程内での不具合などで発生する半製品、製品仕様変更に伴って発生する旧型式在庫整理品なども含む。
図2(a)にて放電処理後の廃電池を解体する。適当な方法を用いて筐体、パッキン・安全弁、回路素子類、スペーサ、集電体、セパレータ、正極および負極の電極活物質などの放電処理後の廃電池の電池構成部材をそれぞれ部材毎に解体分別する(図2(a))。
なお、廃リチウムイオン電池は内部にガスが充満して加圧状態になっていることが多いので、作業安全上の配慮が必要であることは言うまでも無い。本実施例では、上記の電解質を含有する導電性液体に浸漬した状態で冷却しながら湿式粉砕した。冷却下での湿式粉砕を採用したことにより、電池内部に充満しているガスを大気中に飛散させることなく安全に破砕することができた。
また、集電体表面に塗工・成形された正極活物質および負極活物質をそれぞれの集電体表面からの剥離を促進するために、電解質を溶解する上記電解質を含有する導電性液体の組成を調整することは差し支えない。尚、放電工程に使用する導電性液体では導電性が留意すべき特性であり、湿式粉砕工程に使用する導電性液体では粘度や誘電率が留意すべき特性である。
放電工程と湿式粉砕工程では要求仕様が異なるので、工程毎に使用する導電性液体の組成を換えても良いが、その場合には2種類以上の導電性液体を準備する必要がある。本実施例では、簡便化や手間・コストの抑制の観点から、同一の組成とした。
本発明で使用可能な湿式粉砕法としては、例えばボールミルなどの方法があるが、かならずしもこれに限るわけではない。筐体、パッキン・安全弁、回路素子類、スペーサ、集電体、セパレータ、電極活物質などの構成部材のうち、正極の電極活物質(以下正極活物質)と負極の電極活物質(負極活物質)が優先的に破砕する条件で破砕した後に、篩い分け処理を施す。これにより、正極活物質と負極活物質は篩い下、それ以外の部材は篩い上に分別回収される(図2(b))。
本実施例においては篩い分けを用いたが、もともと湿式にて粉砕しているのであるから、湿式粉砕によって得られたスラリーをそのまま比較的目の粗いフィルターを用いて濾別処理にて分別しても良い。湿式粉砕〜濾別の連続処理を導入することにより、回収率が向上する可能性もある。尚、筐体、パッキン・安全弁、集電体(アルミ箔、銅箔)などは、正極活物質(典型的にはLiCoO2)や負極活物質(典型的にはグラファイト)よりも延展性が大きく、従って破断強度も大きい。この特性のために、電極活物質の破砕物はそれ以外の部材から得られる破砕物よりもサイズが小さくなり、その結果として、篩い分けあるいは濾別によって容易に分別回収することができる。
上記処理によって得られた篩い下物は、ハロゲン化物イオンを含む鉱酸を用いて溶解(酸滲出;図2(c))する。本実施例においては、塩酸(12規定;36%)にγブチロラクトン、スルホラン、NMPのいずれかを添加した処理液をゆっくり滴下したところ、正極活物質であるLi化合物は迅速に溶解する一方、負極活物質である炭素成分は不溶であった。処理液に添加した上記の溶媒(γブチロラクトン、スルホラン、NMP)は電池内に含まれている樹脂性バインダーの溶解を促進する効果が認められる。
本実施例で使用した廃リチウムイオン電池の正極活物質はLiCoO2を主成分とするリチウム化合物であるが、他組成の正極活物質を含んでいても構わない。なお、塩酸を含有する処理液をゆっくり滴下するのではなく一気に混合する場合には、リチウム化合物が激しく反応して溶解すると共に塩素ガスを副生しやすい傾向があるが、γブチロラクトンなどの溶媒に更にメチルアルコールやジメチルスルホンなどをあらかじめ混合してから塩酸に添加して得られる処理液を用いるか、あるいはCu2O、CuCl、SnCl2、シリカゲルなどを篩い下物にあらかじめ添加しておいてから酸滲出処理すると、塩素ガス副生が少なくなりやすく、あるいは副生した塩素ガスの放出量が少なくなりやすい傾向があった。
尚、本実施例では塩酸(12規定;36%)を用いたが、2倍希釈(6規定)よりも濃い範囲であれば特に問題なく使用できる。6規定以下、例えば3〜6規定では塩素ガス副生を抑える効果は高いが、リチウム化合物を溶解する速度が遅くなりやすい傾向がある。また、リチウムイオンが陰イオン選択透過膜を透過する現象は、ハロゲン化物イオン濃度が低い領域では起こりにくい傾向があるので2倍希釈(6規定)よりも濃い範囲で使用することが望ましい。
本発明で使用できるハロゲン化物イオンを含む鉱酸としては、塩酸(12規定;36%)のほか、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸あるいはこれらの混合酸と塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化銅などのハロゲン化物イオンを含む塩類との混合物である。リチウムとの分離が困難なリチウム以外のアルカリ金属類(ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム)を含有する鉱酸は使わないものとする。リチウム化合物の種類や組成、処理量、処理時間、コストなどを考慮して、これらの中から適宜選択できる。上記の酸滲出処理が終了した後、溶け残っている負極活物質(炭素材)は滲出液をろ過することによって除去できる。得られたろ液は陰イオン交換膜を用いた圧力透析槽へ運ばれて圧力透析原理に基づいて透析分離(図2(d))される。
本発明に係る有価金属回収装置に用いる透析槽8の概略構造を図1に示す。
図1に示した透析槽8には、ろ過処理後の酸滲出液を供給するための酸滲出液流入口2および透析を受けた酸滲出液が流出する酸滲出液流出口3を備えた透析用加圧タンク6と、酸およびリチウムを透析回収するための回収液を供給するための回収液流入口4および透析膜1を透過して出てきた酸およびリチウムを溶かし込んでいる回収液が流出する回収液流出口5を備えた回収液タンク7が備え付けられている。また、上記透析用加圧タンク6と回収液タンク7とは透析膜1を介して接続された構造となっている。
本実施例では透析膜1として旭硝子製の拡散透析用の陰イオン交換膜であるセレミオンDSVを加工して、透析用加圧タンク6と回収液タンク7との間にはめ込んで使用した。
本発明では他の陰イオン交換膜を使用することもできるが、その場合、イオン輸率や耐酸化性を考慮して選定することが望ましい。
ここに示した図1は概略図であるため詳細が省略されているが、各流入口・流出口にはそれぞれ流量計、圧力計が設けられ、また、透析用タンク6や回収液タンク7には液量計が設けられている。改めて指摘するまでも無いが、導電率計、pH計、イオン濃度計などのセンサ類のほか、液の流れを整流するための整流機構、加圧するための加圧機構、全体を制御するための制御機構など、透析槽8の機能を実現するために必要な機器・装備は過不足なく備え付けられている。また、透析機能を最大限発揮することを目的に、酸滲出液の流れと回収液の流れが透析膜の両面でほぼ向流となるような流路配置となっている。
上記のような一連の工程(図2(a)〜(c))によって得られる酸滲出後のろ過液は、透析槽8の酸滲出液流入口2から供給されて酸滲出液流出口3に向かって流れ、流入口2から流出口3に至る間に透析膜1の表面を通過するように工夫されている。透析膜1の表面を通過する際に、酸滲出液中に溶解しているリチウムイオン、酸などが透析膜1の表面に吸着し、透析膜1の内部を拡散していくことにより、回収液側とイオン交換する仕組みである。
本実施例では使用済みデジタルカメラ用リチウムイオン電池を解体して得られた酸滲出液をこのような透析槽8に供給した。その結果、透析前の酸滲出液中に溶解しているLi/Co濃度比は約0.1であったが、1段の透析によって回収された回収液中に溶解しているLi/Co濃度比は約0.7となっており、リチウムが濃縮回収されていることが判った。従って、本実施例で使用した透析膜(旭硝子製セレミオンDSV)中のリチウムイオンの輸率はコバルトイオンの輸率の約7倍ということである。ただし、セレミオンは陰イオン交換膜であるから、リチウムの1価カチオン、コバルトの2価あるいは3価カチオンの状態で透過しているのではなく、膜内部でどのようなイオン種の形で透過しているのであるかは現時点では確認できていない。
尚、酸滲出液中に溶解している酸もLiと共に回収されてくるが、酸の透析回収は陰イオン交換膜を用いた透析処理において通常観察される現象である。いずれにせよ、本願発明ではリチウムイオンの輸率が約7倍なので、少なくとも3段以上連結して多段循環することが望ましい。このような多段循環を利用することにより、Li/Co濃度比が少なくとも100倍以上に濃縮された回収液(Liおよび酸の濃縮液)が得られる(計算上は300倍超)。なお、後ほど述べるアシッドリターデーション技術によってCoを除去してLi/Co濃度比を高めることができるので、過大に多段化する必要はない。
尚、本実施例においては圧力透析条件にて透析を実施したが、拡散透析や電気透析を併用しても良い。ただし、拡散透析だけでは透析終了までに長時間を要するので、多量の廃電池の処理には適さない。加圧機構が不要で、また加圧に要するエネルギーも節約できるなどのメリットもあるため、小規模なリサイクルを低コストで実現したい場合であれば拡散透析だけでも対応できる。一方、特許文献1などに記載されている電気透析法を使えば、1段の透析処理で濃縮回収液を得ることができるが、濃縮には電気エネルギーが必要となるので、電気透析だけで莫大な量の酸滲出液を処理することは現実的とは言えず、圧力透析との併用することが望ましいと考えられる。
上記のような透析によって得られる回収液には、LiおよびCoの他、酸滲出の際に過剰に添加した酸も同時に回収されている。そこで、本発明では、過剰の酸を酸滲出工程に再利用するために回収する工程を設ける。具体的には、アシッドリターデーション(Acid Retardation)とよばれる技術を用いて余剰となった酸を回収する(図2(e))。なお、アシッドリターデーションの際、CoはLiよりも先に溶出することを利用すれば、回収液中に含まれる少量のCoを除去することができる。
このようにして不純物や過剰の酸が除去された回収液からは、高純度なLiが回収できる(図2(f))。具体的には、pH調整して水酸化リチウムとして沈殿回収するか、あるいは炭酸ナトリウムを添加して炭酸リチウムとして沈殿回収する、電気透析しながらCO2ガスを吹き込む、などの方法がある。一方、酸滲出液流出口3から回収された透析処理後の酸滲出液からはLiが除去されている。本実施例で透析処理した後の酸滲出液を分析したところ、主な有価金属成分はCoのみであり、その観点で言えばCoが選択的に濃縮された液であるといえる。本実施例で処理した廃リチウムイオン電池の正極活物質はLiCoO2であったと推測される。この透析処理後の酸滲出液からのCo回収には、pH調整によって水酸化物として沈殿回収法が使用できる(図2(g))。正極活物質がLiCoO2以外のリチウム化合物を含有する場合、例えば、LiNiO2、LiMnO2などを含有する場合も液のpH調整によってCo、Ni、Mnを水酸化物として沈殿回収できる。
次に実施例2について、図2、図3を用いて説明する。実施例2においても、図2に示す工程フローに従って有価金属回収フローを行う。
図2(a)にて廃電池を解体する。本実施例2では実施例1と同じ方法(導電液体浸漬放電)を用いて電池内に残っているかもしれない電荷を放電する。本実施例では、放電させるための導電性液体(放電媒体)には、実施例1の硫酸/γブチロラクトンに替わる低粘度液体として、0.1%硫酸のアセトン-水混合溶液を用いた。アセトンは室温において水の約1/3の粘性という代表的な低粘度液体であるため、導電性液体の液撹拌に要するエネルギー損失が抑制できる。また、低粘度液体中では荷電体(電解質分子)の移動速度が一般的に高いので、低濃度の電解質でも比較的容易に溶液の高導電率を確保できるので、その結果として、所望の導電率を得るために必要な電解質の使用量を削減できる。
上記以外に導電性液体用材料に用いることができる材料としては、エタノール、メチルエチルケトン、メタノール、2プロパノールなどがある。導電性液体は、目安として粘度が約1mPa・s(室温における純水の粘度)よりも小さいことが望ましく、必要に応じて少し加温することによって粘度を調整しても良い。例えば、2プロパノールは50℃程度、アニソールでは40℃程度かそれ以上の温度まで加温することによって所望の粘度が得られる。ただし、引火点を有する導電性液体を加温する場合には、適切な防爆措置が必要となることに留意する。加温以外の粘度調整方法としては、界面活性剤の添加がある。イオン性の界面活性剤の少量添加により、導電率と粘度調整を同時に実現できる。
なお、廃電池内部に残っていた電荷の放電が始まると、ジュール熱によって導電性液体の液温が上昇するので、適宜、冷却する必要がある。水-アセトン混合液など揮発性を有する導電性液体を用いた場合には、混合蒸気(必ずしも共沸とは限らない;例 水とアセトンの場合)を発生するので、この混合気を回収・結露させることによって、廃電池内に残留していた電力を蒸発潜熱として回収することが可能である。
廃電池の自発的な放電が終了すると、ジュール熱の発生が止まって導電性液体の液温が下がり始めるので、廃電池を回収し、次の図2(b)の廃電池解体・粉砕工程、および篩い分け工程を行う部材分別へ進む。本実施例2では、廃電池解体・粉砕工程、および篩い分け工程は上記実施例1と同じ方法によって実施した。
次は図2(c)の正極活物質の酸滲出工程である。本実施例2では、数種類の廃リチウムイオン電池の混合物を、ハロゲン化物イオンを含まない酸を用いて酸滲出処理を実施した。リチウムイオン電池の正極活物質には、樹脂製バインダーが付着していてそれを引き剥がしながら酸溶解させる必要があるので、メカニカルな撹拌を行ないながら酸を用いて正極活性物質を溶解させる。適切な撹拌により、正極活物質の表面を覆っている樹脂製バインダーに亀裂やピンホールが生じ、その結果として、正極活物質に酸滲出液が接触するようになって酸溶解が進む。廃電池の処理量、電池内のバインダー材料やその含有量、正極活物質の種類(コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムなど)やそれらの含有量を考慮して適切な撹拌工程・撹拌方法を選択することによって、急激な酸溶解反応をひき起すことなく、また、十分な速度で正極活物質の酸溶解が進行する。本実施例2では、ハロゲン化物イオンを含まない酸でも、酸溶出及び透析分離に使用できることが確認できた。また、鉱酸のみならず有機酸も使用可能である。使用できるハロゲン化物イオンを含まない酸としては、硫酸、発煙硫酸、リン酸、硝酸、発煙硝酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸やそれらの混合物、モリブデン酸化合物、チオシアン酸化合物、タングステン酸化合物などがあるが、安価で比較的低粘度、かつ比較的安全性も高いという観点から、硫酸や硝酸が好ましい。いずれも少なくとも約10vol%以上であることが望ましく、さらに望ましくは約30vol%以上の濃度である。また、硫酸イオンや硝酸イオンはイオンサイズが比較的小さいため、後述する透析工程における透過速度の観点から考えても、本発明にとって使いやすいハロゲン化物イオンを含まない酸と言える。
改めて指摘するまでもないが、正極活物質に付着しているバインダーを引き剥がしながら十分な速度で酸溶解を進行させるためには、溶解させる篩い下物(正極活性物質と他の物質の混合物)は溶解工程に先立って、その組成を分析することが望ましい。本実施例2ではハロゲン化物イオンを含まない酸を用いて酸滲出を実施しているので、廃電池内に含まれるバインダーや正極活物質の種類や量の組み合わせ次第では正極活物質の酸滲出速度が遅くなって、正極活物質が完全に溶解しない場合がある。このような場合でも、次工程である圧力透析にかける前に、ろ過・ろ別処理によって上澄み液を分離すれば、溶け残っている正極活物質と負極活物質の混合物を除去することは容易であるので、特段の問題は発生しない。また、本実施例2においては、遠心式ろ過方式を採用すれば、後段の透析工程との装置およびプロセスの整合性が良い。
本実施例2では、図2(d)の透析分離において、図3に概略構造を示す遠心透析装置19を使用して有価金属であるリチウムを回収する。この遠心透析装置19には、本実施例2の上記までの工程で得られた酸滲出液を供給するための酸滲出液流入口12、および透析を受けてリチウムの濃度が低下した透析済み酸滲出液流出口13を供えた透析用タンク(内槽)16と、酸およびリチウムを透析回収するための回収液(例えば、純水)を供給するための回収液流入口14、および透析膜11を通過して出てきた酸およびリチウムを溶かしこんでいる回収液が流出する回収液流出口15を備えた回収液タンク(外槽)17が備え付けられている。透析用タンク16と回収液タンク17は、回転軸を共有してそれぞれ独立して回転可能になっている。
透析膜(陰イオン選択透過膜)11は、回収液タンク17の内側に設けられた円筒形状の透析用タンク16の側筒部に取り付けられており、透析膜11の内側面は透析用タンク16内で回転層流を形成している被透析液(酸滲出液)に接し、透析膜11の外側面は回収液タンク17内で回転層流を形成している回収液に接している。また、透析膜11に内側から接している被透析液(酸滲出液)の流れている液の流れの向きと、透析膜11に外側から接している回収液が流れている液の流れの向きが円周方向において互いに逆回転になるように、透析用タンク16と回収液タンク17とは、互いに逆方向に回転する。
さらに、本実施例2で採用した図3の遠心透析装置19の構造においては、透析用タンク16内部の酸滲出液自身の回転に起因する遠心力によって透析膜11に対して膜面を貫通する垂直な方向に力が作用し、その結果として、リチウム回収効率に直接的な影響を与えるイオン透析が促進される。具体的には、透析用タンク16内部の酸滲出液の回転層流の流速の2乗に比例する遠心力が作用し、その水力学的ポテンシャル相当分の透過速度が増大する。このような遠心力作用を付加できる装置を使用することによって、より短い時間範囲内でリチウムイオン透析回収を実現できるのである。さらに言えば、透析膜11の外側面には、回収液の回転層流に起因する回収タンク7の外周方向に向かう遠心力が作用している。その結果として、透析膜11の回収液タンク17側に向いた面(つまり膜の外面側)では膜表面に滲み出してきたイオン種(リチウムイオンおよび溶解酸の陰イオン)に対してはタンク外周側に向かって引き剥がされる力が働くことによって透析促進されることになる。
滑らかで均一な層流を実現するためには、透析用タンク16と回収液タンク17はいずれも円筒形であり、回転軸を共有していることが機械的な面で好ましい。なお、透析用タンク16を回転可能としていれば、回収液タンク17を回転せず固定としても、遠心透析の効果は得られるが、回収液タンク17を回転させるようにしたほうが効果は大きい。
なお、図3では、酸滲出液は透析用タンク16の上部から流入して透析用タンク16下部から流出し、回収液は回収液タンク17の下部から流入して回収液タンク7の上部から流出する形態で記載しているが、その配置は上下逆であってもよいが、酸性溶液と回収溶液が流れる回転軸方向(上下方向)は反対になっていることが望ましい。透析膜表面で回転軸方向について、酸性溶液と回収液とが反対向きに流れる(向流する)ので、透析速度が向上するからである。つまり、酸滲出液は透析用タンク16の下部から流入して透析用タンク16上部から流出し、回収液は回収液タンク17の上部から流入して回収液タンク17の下部から流出してもよい。
また、回転軸に垂直な平面方向では、酸滲出液流入口12と酸滲出液流出口13が回転軸に対しほぼ逆側に設けられているが、図1に示すように、酸滲出液流入口12と酸滲出液流出口13がタンクの同じ側に設けられていてもよい。
また、それぞれのタンクに繋がっている流入口(酸滲出液流入口12および回収液流入口14)は、それぞれのタンクの回転軸に対し流入液が外側へ流れるように少し斜めに繋がっていることが望ましい。流入口が斜めに繋がっていることにより、流入した液体は、その流入圧力によってそれぞれのタンク内で外壁に沿って回転する層流を自発的に形成するからである。
いずれにせよ、タンク内に流入した液体が外壁に沿って回転する層流を形成するように工夫されている。
また、安定した回転層流を維持するためや、流速や流れの向きを調整するためなどの目的で、透析用タンク16内部には撹拌はね20や整流板(図示せず)などが取り付けてもよい。回収液タンク17内部にも撹拌はね(図示せず)を併用することもできる。このように相対的に逆向きの安定した回転層流となっていることにより、透析膜11の内側面と外側面で相対的な向流が形成でき、その相対的な流速差を稼ぐことができるので、透析効率を向上できる。
すなわち、回収液タンク17の内側に透析用タンク16を設けた上で、互いに向流となる安定した回転層流を実現できる配置としたことにより、透析膜11の内側面および外側面には常に膜面に対して水平な高速の流れが発生しており、膜表面への異物付着に起因する透過性の劣化が抑制されているので、長期間の安定使用に耐えるのである。
本発明の透析は、いわゆる溶解-拡散機構に基づく現象であり、透析膜11の内部でのイオン拡散が律速段階となっていて、リチウムイオン選択透過性、例えば、コバルト酸リチウムからのリチウム回収においては、リチウムイオン/コバルトイオンの透過選択比は、それぞれのイオンの透析膜内拡散挙動の差異に起因する。本実施例2で採用した遠心力による透析促進作用は、ゲル状固体である透析膜の内部分子構造(高分子鎖の配向など)には顕著な影響を及ぼさない。本実施例2では、実施例1と同じ透析膜(旭硝子製陰イオン交換膜セレミオンDSV)を用いて検討した範囲では回収液タンクに回収されたリチウム/コバルトの濃度比は実施例1とほぼ同じ(約0.7)であった。実施例1ではリチウムイオンは、透析膜1中に取り込まれているハロゲン化物イオン(ストークス半径が小さく比較的疎水的なイオン種)との間でなんらかの相互作用を及ぼしあっていてその作用がリチウムイオン選択透過性に影響していることが想定されるが、本実施例2では透析膜11内にはハロゲン化物イオンが実質的に含まれていない状態であるため、今後、さらに検討範囲を広げることによってリチウムイオンの透析選択比をさらに改善できる可能性がある。具体的には、透析膜1に使用される材料の分子構造、透析膜1の膜厚、回転層流の流速などである。
なお、ここに示した図3は遠心透析装置19の概略図であるため詳細が省略されているが、各流入口・流出口にはそれぞれ流量計、圧力計が設けられ、また、透析用タンク16や回収液タンク17には液量計が設けられている。改めて指摘するまでも無いが、導電率計、pH計、イオン濃度計などのセンサ類のほか、液の流れを整流するための整流機構、処理液を加圧送液する為の加圧機構、全体を制御するための制御機構など、遠心透析槽19の機能を実現するために必要な機器・装備は過不足なく備え付けられている。
本実施例2では、回収液タンク17から流出して回収された回収液へは、上記実施例1と同様に、リチウム回収の処理(図2(f))を施せば、高純度なリチウムが回収でき、また酸も回収できる(図2(e))。
一方、酸滲出液流出口13から回収された透析処理後の酸滲出液はリチウム濃度が完全に除去されてはいなかったが、酸滲出直後の液組成と比べて確実にリチウム含量が減少していた。本実施例2で透析処理した後の酸滲出液を分析したところ、主な有価金属成分として、低濃度のリチウムのほか、コバルト、マンガン、ニッケルが検出された。本実施例2で処理した廃リチウムイオン電池の正極活物質はコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム等のリチウムと遷移金属と含む複合酸化物であったと推測される。この透析処理後の酸滲出液からのコバルト、ニッケル、マンガンの分別回収には、pH調整によって水酸化物として沈殿回収法や溶媒抽出などの工法が使用できる(図2(g))。
なお、実施例2では、実施例1に対して、電池溶解工程(図2(a))、酸滲出工程(図2(c))、透析分離工程(図2(d))が異なるが、これらの工程について、適宜選択し、実施例1の工程と実施例2の工程とを組み合わせることが可能である。すなわち、塩酸を用いて正極活性物質を溶解させた酸性溶液を、実施例2の遠心透析装置19を用いて透析工程を行ったり、硫酸や硝酸を用いた酸性溶液を実施例1の透析装置(透析槽)8を用いて透析工程を行なうことも可能である。
図4を用いて、実施例3を説明する。実施例3では、透析分離工程(図2(d))以外は、実施例2と同じであり、詳細は割愛する。
実施例3では、コバルト酸リチウム以外のスピネル型結晶構造を持つリチウム化合物を含む廃電池の処理を実施した。放電、解体分別、粉砕、篩い分け、酸滲出までは上記実施例2と同じ方法にて処理した。
本実施例3では、上記実施例2で用いた遠心透析槽19に替えて、図4に示す長軸円筒2重管構造の遠心透析装置29を使用した。実施例2で使用した扁平な透析槽では、槽内の液流は水平的な回転層流になっているが、本実施例3のように長軸円筒形状の透析槽を使用する場合には、スパイラル状の回転層流(スパイラルフロー)となる。長軸円筒内の管長全域にわたって安定的にスパイラル(らせん)形状の回転層流を維持するために、円筒壁に整流機構が設けられている。図3に示した構造例では、円筒壁に刻まれたらせん溝がその整流機構にあたる。
本実施例3で使用した長軸円筒2重管構造の透析槽は、上記実施例2で使用した扁平円筒状透析槽と比べて、透析膜1の透析断面積が大きく、従って、単位時間当たりに透析回収できるリチウムイオン量も増加する。ちなみに、遠心透析回収槽を用いる場合に得られる透析回収速度は、透析膜21の透析断面積、透析膜21表面における被透析液の流速、および透析膜21表面における回収液の流速(被透析液と回収液の相対流速)、透析膜21の膜面を貫通する向きに作用する圧力、などの影響を受ける。
なお、本実施例3では長軸円筒2重管構造の透析槽を使用したが、実施例2に例示した扁平円筒状透析槽を上下に多数連結してもほぼ同等の効果が得られる。その場合には、設置面積が増大したり、あるいは、配管系が複雑になってメンテナンス性が犠牲になったり、という課題が生じないように工場内のレイアウトに工夫することが肝要である。
本実施例3では、回収液タンク27から流出して回収された回収液に対して、上記実施例2と同様の処理を施して高純度なリチウムを得ると共に、酸滲出液流出口23から流出して回収された酸滲出液にも上記実施例2と同様の処理を施すことによってコバルト、ニッケル、マンガンをそれぞれ分別回収することができた。
1、11、21…透析膜、2、12、22…酸滲出液流入口、3、13、23…酸滲出液流出口、4、14、24…回収液流入口、5、15、25…回収液流出口、6、16、26…透析用加圧タンク、7、17、27…回収液タンク、8…透析槽、9…透析装置、19、29…遠心透析装置。
Claims (18)
- リチウム及び遷移金属元素とを含むリチウムイオン電池の正極材から金属を回収する金属回収方法において、
前記正極材を、酸性溶液に溶解させ、リチウムイオンと遷移金属イオンとを前記酸性溶液内に生成させる酸滲出工程と、
前記リチウムイオンと前記遷移金属イオンとを含む酸性溶液と回収液とを、陰イオン透過膜を挟んで流し、前記リチウムイオンを前記酸性溶液から前記回収溶液へ透析させる透析工程と、
前記透析したリチウムイオンを含む回収液から、前記リチウムイオンを回収するリチウム回収工程とを含む金属回収方法。 - 請求項1において、
前記酸性溶液は、ハロゲン化物イオンを含む鉱酸であることを特徴とする金属回収方法。 - 請求項2において、
前記ハロゲン化物イオンを含む鉱酸は、塩酸であることを特徴とする金属回収方法。 - 請求項1において、
前記酸性溶液は、硫酸または硝酸であることを特徴とする金属回収方法。 - 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記遷移金属元素は、コバルトであることを特徴とする金属回収方法。 - 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記透析工程では、槽内で、前記酸性溶液と前記回収液とを、前記陰イオン透過膜を挟んで向流させることを特徴とする金属回収方法。 - 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記透析工程を行った前記酸性溶液から前記遷移金属イオンを回収させることを特徴とする金属回収方法。 - 請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記透析工程では、
前記リチウムイオンが透析した回収液と、他の回収液とを、陰イオン透過膜を挟んで流し、前記リチウムイオンを前記回収液から前記他の回収液へさらに透析させるにより、複数回透析を行うことを特徴とする金属回収方法。 - 請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記透析工程では、前記酸性溶液を加圧する加圧透析を行うことを特徴とする金属回収方法。 - 請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記透析工程では、前記酸溶液中の酸も前記回収液に透析されており、
前記リチウム回収工程では、前記回収液中の酸を回収し、
当該回収した酸を、前記酸滲出工程に用いることを特徴とする金属回収方法。 - 請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記透析工程では、遠心透析を行うことを特徴とする金属回収方法。 - 請求項11において、
前記透析工程では、
回転の外周に前記陰イオン透過膜を有する内槽内に前記酸性溶液を流し、
前記内層の外側に位置する外槽と、前記内層との間に前記回収液を流し、
前記内層を回転させながら透析を行うことを特徴とする金属回収方法。 - 請求項12において、
前記透析工程では、
前記外槽を、前記内槽とは反対向きに回転させることを特徴とする金属回収方法。 - 請求項12または請求項13において、
前記内槽または前記外層の回転軸方向について、前記酸性溶液と前記回収液とは反対方向に流れることを特徴とする金属回収方法。 - 請求項12乃至14のいずれかにおいて、
前記内槽内に前記酸性溶液を流入させる酸性溶液流入口または前記外槽内に前記回収液を流入させる回収液流口は、前記酸性溶液または前記回収液が外周側に流れるように、前記内槽または外槽の回転軸に対して傾斜して配置されていることを特徴とする金属回収方法。 - 請求項1乃至15のいずれかにおいて、
前記酸性溶液または前記回収液を攪拌する攪拌手段を有することを特徴とする金属回収方法。 - 第一の槽と、
第二の槽と、
前記第一の槽にリチウムイオンと遷移金属イオンとを含む酸性溶液を流入させる酸性溶液流入口と、
前記第二の槽に回収液を流入させる回収液流入口と、
前記第一の槽と前記第二の槽との間に設けられ、前記第一の槽側の表面にある前記酸性溶液から前記第二の槽側の表面にある前記回収溶液へ前記リチウムイオンを透析させる陰イオン透過膜と、
前記第一の槽から前記酸性溶液を流出させる酸性溶液流出口と、
前記透析により前記リチウムイオンが溶入した回収液を前記第二の槽から流出させる回収液流出口とを備えた透析装置。 - 請求項17において、
前記第一の槽は、前記第二の槽の内側に設けられ、前記第二の槽に対して相対的に回転可能なことを特徴とする透析装置。
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