JP2011195080A - 車両用外装樹脂パネル - Google Patents

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一成 播摩
Shinji Kasami
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Abstract

【課題】軽量で外観品質が良い樹脂製外装パネルを提供する。
【解決手段】表面側を構成する樹脂密度が高いソリッド樹脂からなる外面樹脂層11と、外面樹脂層11の裏面に一体に成形され、ソリッド樹脂からなるスキン層15の内部に該スキン層15に比べて樹脂密度が低い発泡層17が一体に形成された基材樹脂層13とを備え、基材樹脂層13の裏面側のスキン層15に、ソリッド樹脂からなるリブ19を略全体に亘って網状に一体に突設する。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車などの外装を形成する樹脂製外装パネルに関するものである。
特許文献1には、燃費向上を目的として車体の軽量化を図るべく、発泡樹脂からなる基材樹脂層の表面にソリッド樹脂からなる外面樹脂層が設けられた車両用のボンネットフードが開示されている。
この樹脂製のボンネットフードは、予め用意した外面樹脂層(表皮フィルム)を固定型にセットして該固定型と可動型との間に挟んで型付けし、その後、該外面樹脂層を保持する可動型を所定寸法だけ型開きすると共に、該可動型の型開きにより外面樹脂層と固定型との間に形成されたキャビティ内にグラスファイバーが混入された溶融樹脂を充填し、該溶融樹脂の表層部がやや硬化し始めたときに、可動型をさらに型開きすると共に溶融樹脂内部にガスを注入して、該溶融樹脂中のグラスファイバーのスプリングバック現象およびガス圧の作用で溶融樹脂内部を発泡させることにより上記基材樹脂層を外面樹脂層と一体に成形する、いわゆるコアバック法(Moving Cavity法)により成形される。
このようにして成形された基材樹脂層の表面全体には、樹脂密度が高いソリッド樹脂からなるスキン層が形成され、そのスキン層の内部には、多数の空隙を有し上記スキン層に比べて樹脂密度が低い発泡層が一体に形成されている。
特開2003−11156号公報
しかしながら、上述のような基材樹脂層の表面に外面樹脂層が一体に成形された構造では、樹脂密度の低い発泡層を有する基材樹脂層の線膨張率に比べて樹脂密度の高いソリッド樹脂からなる外面樹脂層の線膨張率のほうが高いので、上述の如くコアバック法により成形したボンネットフードから余熱を取り除いた際に、外面樹脂層が基材樹脂層よりも収縮することに起因してボンネットフードに曲げモーメントが作用し、当該ボンネットフードに反りなどの変形が生じて、外観品質が損なわれてしまう。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軽量で外観品質が良い樹脂製外装パネルを提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、外装パネルの基材樹脂層である第2樹脂層の裏面構造を工夫したものであり、具体的には以下の解決手段を講じた。
すなわち、第1の発明は、表面側を構成する樹脂密度が高いソリッド樹脂からなる第1樹脂層と、上記第1樹脂層の裏面に一体に成形され、ソリッド樹脂からなるスキン層の内部に該スキン層に比べて樹脂密度が低い発泡層が一体に形成された第2樹脂層とを備えた車両用樹脂製外装パネルであって、上記第2樹脂層の裏面側の上記スキン層には、ソリッド樹脂からなるリブが略全体に亘って網状に一体に突設されていることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明の車両用樹脂製外装パネルにおいて、上記第2樹脂層は、長繊維を含む熱可塑性樹脂で成形されていることを特徴とする。
第3の発明は、第1又は第2の発明の車両用樹脂製外装パネルにおいて、車体へ取り付けるための締結部材の一部が裏面に露出した取付部を有し、上記取付部は、上記第1樹脂層と、該第1樹脂層の裏面に上記第2樹脂層の成形時に上記スキン層と共に一体に成形されたソリッド層とで構成され、該ソリッド層に上記締結部材が一体にインサートされていることを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明の車両用樹脂製外装パネルにおいて、上記締結部材は、上記第1樹脂層の裏面に接していることを特徴とする。
第5の発明は、第3又は第4の発明の車両用樹脂製外装パネルにおいて、上記締結部材は延出部を有し、該延出部は上記取付部から上記第2樹脂層側に延出していることを特徴とする。
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれか1つの車両用樹脂製外装パネルにおいて、当該外装パネルはボンネットフードであり、該ボンネットフードを閉じた状態で上記リブがエンジンと対向していることを特徴とする。
第1の発明によれば、樹脂密度の高いソリッド樹脂からなる第1樹脂層により平滑な外表面が得られると共に、樹脂密度の高いスキン層の内部に樹脂密度の低い発泡層を有する外殻構造の第2樹脂層を主体として樹脂製外装パネルが構成されているため、同一厚さの単純な板材で構成された樹脂製外装パネルに比べて、軽量化を図ることができる。また、第2樹脂層は樹脂密度の低い発泡層を含むことで熱変化による寸法変化を小さくすることができる。そして、第2樹脂層の裏面にソリッド樹脂からなるリブが略全体に亘って網状に突設されていることにより、樹脂製外装パネルに熱変化が作用した際、ソリッド樹脂からなる第1樹脂層が発泡層を有する第2樹脂層より大きく収縮または膨張しても、上記第1樹脂層と同様なソリッド樹脂からなるリブも上記第1樹脂層の体積変化に応じて該リブを除く第2樹脂層本体より大きく収縮または膨張するので、該第2樹脂層の表面側と裏面側とで収縮または膨張がバランス良く生じ、当該樹脂製外装パネルに作用する曲げモーメントが相殺される。これらにより、樹脂製外装パネルの熱変化による寸法変化を小さくした上で該樹脂製外装パネルに反りなどの変形が生じることを防止でき、外観品質を良くすることができる。したがって、軽量化を図りながらも、外観品質を良くすることができる。それに加え、発泡層を有する第2樹脂層が上記リブにより補強されるので、樹脂製外装パネルの剛性を高めることもできる。
第2の発明によれば、第2樹脂層が長繊維を含むため、樹脂製外装パネルの剛性を高めることができ、さらに第2樹脂層の熱変化による寸法変化をより小さくすることができる。また、当該第2樹脂層を成形型で成形する場合には、該第2樹脂層の裏面側を成形する成形面にリブを成形するための幅狭の溝部を有する成形型が使用されるが、上記長繊維は短繊維に比べて長いため成形型の溝部内に進入しにくく、その結果、リブ内部に含まれにくいので、該リブの線膨張率を長繊維を含まない状態に保つことができる。したがって、樹脂製外装パネルの剛性を高めることができると共に熱変化による寸法変化をより小さくでき、その上で樹脂製外装パネル全体に対して第1樹脂層とリブとで熱変化による収縮または膨張をバランス良く生じさせることができ、樹脂製外装パネルの変形をより一層良好に防止できる。
第3の発明によれば、第2樹脂層を成形する際にソリッド層に締結部材がインサートされる。この締結部材のインサート時には第1樹脂層は先に成形されてソリッド状態になっているので、第1樹脂層の締結部材に対応する箇所にひけが発生せず、外観品質を損なうことがない。また、内部に発泡層を有する第2樹脂層に比べて堅いソリッド層に締結部材がインサートされているため、当該締結部材の樹脂製外装パネルへの取付強度を高くすることができる。
第4の発明によれば、ソリッド層にインサートされた締結部材と第1樹脂層とは固着していないので、この締結部材が接する第1樹脂層部分を起点として第1樹脂層をソリッド層から簡単に剥がすことができ、リサイクル時の処理を容易にできる。
第5の発明によれば、締結部材の延出部が取付部に対して発泡層を有する分厚く成形された第2樹脂層側に延出しているので、当該締結部材の樹脂製外装パネルへの取付強度をさらに高くすることができる。
第6の発明によれば、ボンネットフードに人が衝突するなどして、当該ボンネットフードに対していわゆるヘッドインパクトなどの大きな衝撃が加わった場合には、当該箇所でボンネットフードが変形し、上記リブが対向するエンジンに突き当たって座屈すると共に発泡層が潰れることにより、衝撃エネルギーを効率的に吸収でき、乗員に対する衝撃を緩和することができる。
実施形態1に係るボンネットフードを裏面側から示す平面図である。 図1のII−II線における断面図である。 (a)は図1のIII−III線における断面図であり、(b)は締結部材を裏返して示す斜視図である。 ボンネットフードの成形における前半工程図であり、(a)は外面樹脂層成形用の熱可塑性樹脂の射出充填状態、(b)は基材樹脂層およびソリッド層成形用の熱可塑性樹脂の射出充填状態を示し、各々図3(a)対応箇所における断面図である。 ボンネットフードの成形における後半工程図であり、(a)は基材樹脂層およびソリッド層成形用の熱可塑性樹脂におけるスキン層、リブ及びソリッド層の生成開始状態、(b)は基材樹脂層成形用キャビティの容積拡大状態を示し、各々図3(a)対応箇所における断面図である。 変形例に係るボンネットフードを裏面側から示す平面図である。 図6のVII−VII線における断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
《発明の実施形態》
図1は、この実施形態の車両用樹脂製外装パネルであるボンネットフード1を裏面側から示す平面図である。
ボンネットフード1は、車体前後方向および車幅方向に延びる板状の部品であり、車体前方のエンジンルームを覆うように取り付けられる。このボンネットフード1は、車体前方に向かって徐々に幅が狭くなる左右対称の略台形形状であり、幅方向中央部分が両側部分よりも車体前方に位置するように幅方向になだらかに湾曲している。
このボンネットフード1裏面の車体後側幅方向両端近傍には、車体に取り付けるための後側取付部3がそれぞれ設けられている。これら各後側取付部3には、締結部材5が固設されており、例えば、後に参照する図3(a)に二点鎖線で示すように該締結部材5に車体へ取り付けるための取付部材であるヒンジブラケットBがナットNで締結され、該ヒンジブラケットBがヒンジ(不図示)を介して車体に取り付けられることにより、該車体にボンネットフード1の後端側部分を回動可能に固定できるようになっている。
また、ボンネットフード1裏面の車体前側幅方向中央部には、車体に取り付けるための前側取付部9が設けられている。この前側取付部9にも、締結部材5が固設されており、例えば、図示しないが、該締結部材5に車体へ取り付けるための取付部材であるストライカがナットで締結され、該ストライカを車体に取り付けられたラッチ機構に係止することにより、ボンネットフード1を車体に固定可能になっている。
上記ボンネットフード1の断面構造を図2及び図3(a)に示す。図2は、図1のII−II線における断面図であり、図3(a)は、図1のIII−III線における断面図である。
このボンネットフード1は、表面側を構成する第1樹脂層である外面樹脂層11と、該外面樹脂層11の裏面に一体に成形された第2樹脂層である基材樹脂層13とを備えている。
上記外面樹脂層11は、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂やポリプロピレンなどからなる熱可塑性樹脂からなり、樹脂密度が高いソリッド樹脂で構成されている。この外面樹脂層11は、ボンネットフード1の平滑な外表面を形成するためのものであり、後に述べる断面変化などによる影響が表面に及ばない厚さで、且つ、軽量化のためにできるだけ薄く形成されており、射出成形で成形可能な例えば1.8mm〜2.3mm程度の厚さである。当該外面樹脂層11の外周縁部には、裏面側に周壁部11aが突設されており、図1に示すように該周壁部11aがボンネットフード1の外縁を形成している。
上記基材樹脂層13は、ガラス繊維やカーボン繊維、植物系繊維などの例えば1mm〜5mm長の長繊維を含むABS樹脂やポリプロピレンなどからなる熱可塑性樹脂からなり、長繊維を含む点以外は上記外面樹脂層11と同様な樹脂で構成されている。この基材樹脂層13は、ボンネットフード1の剛性を確保するためのものであって、例えば2.5mm〜4.5mm程度の厚さであり、上記周壁部11aの内側であってボンネットフード1の上記後側および前側取付部3,9を除く外面樹脂層11の裏面全体に設けられている。当該基材樹脂層13の表面全体には、樹脂密度が高いソリッド樹脂からなるスキン層15が形成され、該スキン層15の内部には、多数の空隙を有し上記スキン層15に比べて樹脂密度が低い発泡層17が一体に形成されて線膨張率が低く抑えられていると共に軽量化が図られている。これらスキン層15及び発泡層17は上記長繊維を含むことで、剛性がさらに高められ、且つ線膨張率がさらに低く抑えられている。
そして、基材樹脂層13の裏面側の上記スキン層15には、ソリッド樹脂からなるリブ19が略全体に亘って網状に突設されており、該リブ19は、ボンネットフード1を閉じた状態でエンジンと対向するようになっている。このリブ19は、後述する成形過程で上記長繊維が含まれ難い例えば10mm〜20mm程度の高さで0.5mm〜2.5mm程度の幅を有し、詳細には、図1に示すように、基材樹脂層13の外周縁部に沿う枠状、且つ該枠内に前後方向に対して左右斜め方向に延びる線状体が組み合わされた格子状に形成されている。当該リブ19内部には、上記長繊維が含まれていないか、含まれていても少量である。
上記スキン層15及びリブ19は、後に詳細に説明するが、外面樹脂層11をセットした成形型のキャビティ内に射出充填した熱可塑性樹脂が外面樹脂層11及び型成形面に接触して外面樹脂層11の表面温度及び型温により冷却されることで形成され、上記発泡層17は、上記熱可塑性樹脂の外面樹脂層11近傍及び型成形面近傍にスキン層15が生成され始めた時点で、キャビティ容積を拡大して熱可塑性樹脂を発泡させることにより形成されるのである。
また、ボンネットフード1の後側および前側取付部3,9は、図3(a)に示すように、外面樹脂層11と、該外面樹脂層11の裏面に設けられたソリッド層21とで構成されている。このソリッド層21は、上記基材樹脂層13の成形時にスキン層15と共に一体に成形されており、該ソリッド層21の内部には上記締結部材5が一体にインサートされている。このように、内部に発泡層17を有する基材樹脂層13よりも堅いソリッド層21に締結部材5がインサートされていることにより、当該締結部材5のボンネットフード1への取付強度を高めることができる。
上記締結部材5は、図3(b)に示すように、長方形状の固定板6を備えている。この固定板6の長辺方向両端部には上方に隆起する隆起部6aが設けられており、これら各隆起部6aは裏面側に下方および一側方に開放された凹部を形成し、各隆起部6aの中央部には貫通孔が形成されている。この固定板6には、雄ねじが切られた軸部7bが上記各貫通孔を介して表面側に突出するように一対のボルト7が裏面側からそれぞれ挿通されており、これら各ボルト7の軸部7bに繋がる頭部7aは、隆起部6a裏面の凹部に位置して固定板6に溶接されている。
この締結部材5は、固定板6及びボルト7の頭部7aがソリッド層21に埋設されると共に、ボルト7の軸部7bがソリッド層21からフード裏面側に突出している。また、上記固定板6は、ソリッド層21内部に完全には埋め込まれておらず、ソリッド層21の表面(外面樹脂層11側の面)に露出して、外面樹脂層11の裏面に接している。この固定板6と外面樹脂層11とは固着していないので、固定板6が接する外面樹脂層11部分を起点として外面樹脂層11をソリッド層21から簡単に剥がすことができ、リサイクル時の処理を容易にできる。
−ボンネットフード1の成形方法−
上述の如きボンネットフード1は、図4及び図5に示すような成形型101を用いて成形することができる。これら図4及び図5は、図3(a)に対応する箇所を示し、図中左側がボンネットフード1の表面側、図中右側がボンネットフード1の裏面側である。
成形型101は、ボンネットフード1の外面樹脂層11を成形するための固定型103及び第1可動型105を備えている(図4(a)参照)。また、ボンネットフード1の基材樹脂層13を上記固定型103とで射出成形するための第2可動型107をも備えている(図4(b)参照)。
上記固定型103は、一部に凹んだ凹部103aを有し、該凹部103a内面で外面樹脂層11の表面形状に対応した成形面103bが構成されている(図4(a)参照)。上記第1可動型105は、上記固定型103の凹部103aに対応するように固定型103に向かって突出する凸部105aを有し、該凸部105a表面およびその近傍周囲の面で外面樹脂層11の裏面形状に対応した成形面105bが構成されている(図4(a)参照)。この第1可動型105は、型閉じ状態で、凸部105aが固定型103における凹部103aの側壁および下壁から離間する中途部まで該凹部103aに嵌入し、且つその成形面103bが固定型の成形面103bとの間に外面樹脂層11成形用のキャビティ109を形成するようになっている。
また、上記第2可動型107は、基材樹脂層13に対応する箇所に配置され型開き方向にスライド可能なコア部111と、後側および前側取付部3,9に対応する箇所に配設された固定ブロック113とを備えている(図4(b)参照)。
上記コア部111は、基材樹脂層13の裏面形状に対応した成形面111aを有し、該成形面111aにリブ19を成形するための幅狭の溝部111bが形成されている。上記固定ブロック113は、後側および前側取付部3,9を構成するソリッド層21の裏面形状に対応した成形面113aを有し、該成形面113aに縦長の保持凹部113bが一対に形成されている。これら各保持凹部113bには環状の磁石115が挿着されており、該磁石115の内径は上記締結部材5のボルト7の軸部7b直径に対応する大きさである。これら各保持凹部113bは、各ボルト7の軸部7bを嵌入することで、締結部材5を磁力によって保持するようになっている。この固定ブロック113は、反固定型103側がピストンロッド116に連結されて図外のシリンダに支持されている。
そして、この第2可動型107は、型閉じ状態で、コア部111及び固定ブロック113が固定型103の凹部103a直上に位置し、それらコア部111及び固定ブロック113の成形面111a,113aと固定型103に先に成形した外面樹脂層11の裏面との間に基材樹脂層13及びソリッド層21成形用のキャビティ117を形成する。そして、当該第2可動型107は、基材樹脂層13成形時に、図示しない油圧シリンダなどの作動によりコア部111を型開き方向に移動して、キャビティ容積を拡大可能に構成されている。
上記成形型101を用いてボンネットフード1を成形するには、まず、図4(a)に示すように、第1可動型105を固定型103に接近させて成形型101を型閉じする。この型閉じ状態で、固定型103の成形面103bと第1可動型105の成形面105bとの間に外面樹脂層11を成形するためのキャビティ109が形成される。
次いで、上記キャビティ109内に射出機(不図示)から外面樹脂層11成形用の熱可塑性樹脂R1(例えばポリプロピレン)をゲート(不図示)を経て射出充填する。図4(a)はこの射出充填状態を示している。
その後、上記キャビティ109内で熱可塑性樹脂R1が固化して外面樹脂層11が成形される。そして、外面樹脂層11が成形されると、図4(b)に示すように、該外面樹脂層11を固定型103に残した状態で、第1可動型105を第2可動型107に取り換える。すなわち、第1可動型105を固定型103から型開きして取り外し、該第1可動型105に代えて第2可動型107を固定型103に接近させて成形型101を型閉じする。このとき、第2可動型107の固定ブロック113には予め各保持凹部13bによって締結部材5が保持されており、該締結部材5の固定板6が外面樹脂層11に当接する。この型閉じ状態で、第2可動型107の成形面111a,113aと外面樹脂層11の裏面との間に基材樹脂層13及びソリッド層21を成形するためのキャビティ117が形成される。
続いて、上記キャビティ117内に射出機(不図示)から基材樹脂層13及びソリッド層21成形用の熱可塑性樹脂R2(例えばガラス長繊維入りのポリプロピレン)をゲート(不図示)を経て射出充填する。図4(b)はこの射出充填状態を示している。このとき、熱可塑性樹脂R2に含まれるガラス長繊維は、幅狭の溝部111b内には進入しにくく殆ど入らないので、該溝部111b内に成形されるリブ19の線膨張率がガラス繊維の混入に起因して低下することを防止できる。上記基材樹脂層13及びソリッド層21成形用の熱可塑性樹脂R2は、例えば、化学反応によりガスを発生させる化学的発泡剤や、MuCell(ミューセル:登録商標)Processのように二酸化炭素ガス及び窒素ガスなどの不活性ガス(物理的発泡剤)などが超臨界状態で混入された熱可塑性樹脂である。
上記キャビティ117内に射出充填された熱可塑性樹脂R2における外面樹脂層11の裏面近傍および第2可動型107(コア部111及び固定ブロック113)の成形面111a,113a近傍部分は、外面樹脂層11の表面温度および第2可動型107の型温により冷却されて早期に固化し始め、図5(a)に示すように、スキン層15’、リブ19’及びソリッド層21’が生成されるが、これらスキン層15’、リブ19’及びソリッド層21’は未だ完全に固化しきっていない。またこの段階では、後に発泡層17を構成する熱可塑性樹脂R2の内側部分は外面樹脂層11の表面温度および型温の影響を受けにくく、粘度の高いゲル状態になっている。
そして、上記熱可塑性樹脂R2における外面樹脂層11の表面近傍および第2可動型107の成形面111a,113a近傍部分にスキン層15’、リブ19’及びソリッド層21’が生成され始めた時点で(熱可塑性樹脂R2が固化する過程で)、図5(b)に示すように、第2可動型107のコア部111と外面樹脂層11との間隔が基材樹脂層13の厚さとなるようにコア部111を型開き方向Xに後退移動させて、キャビティ容積を例えば1.25倍〜4.5倍程度に拡大する。
これにより、それまで外面樹脂層11と第2可動型107のコア部111との間で圧縮(膨張が規制)されていた熱可塑性樹脂R2がコア部111の成形面111aに引っ張られると共に、熱可塑性樹脂R2中の化学反応により発生したガスや不活性ガス等により発泡膨張する。このとき、当該熱可塑性樹脂R2中に含まれるガラス繊維も上記圧縮が軽減されて弾性的に復元し、この弾性復元力(スプリングバック現象)によっても熱可塑性樹脂R2が膨張する。その結果、表面全体にスキン層15が形成されると共に、該スキン層15の内部に発泡層17が一体に形成された基材樹脂層13が上記外面樹脂層11の裏面に一体に成形される。また、コア部111の溝部111b内の熱可塑性樹脂R2はそのまま固化し、上記基材樹脂層13裏面側のスキン層15にリブ19が成形される。
一方、後側および前側取付部3,9に対応する箇所の熱可塑性樹脂R2は、固定ブロック113が締結部材5を外面樹脂層11に押し付けた状態で移動せず、キャビティ容積が変化しないので、外面樹脂層11の表面温度および固定ブロック113の型温により冷却されてそのまま固化し、締結部材5がインサートされたソリッド層21が成形される。この締結部材5のインサート時には先に成形された外面樹脂層11は既にソリッド状態になっているので、外面樹脂層11の締結部材5や断面の厚さが変化する基材樹脂層13のリブ19及びソリッド層21と基材樹脂層13との境界部に対応する箇所にひけが発生せず、外観品質が損なわれない。
以上のようにして、ボンネットフード1を成形することができる。しかる後、第2可動型107を固定型103から型開きし、ボンネットフード1を固定型103から脱型し、成形型101のゲートに残留して固化し外面樹脂層11及び基材樹脂層13に付着しているゲート残留固化物を切除して、ボンネットフード1が得られる。
このようにして得られたボンネットフード1では、外面樹脂層11により平滑な外表面が得られると共に、樹脂密度の高いスキン層15の内部に樹脂密度の低い発泡層17を有する外殻構造の基材樹脂層13を主体として構成されているため、同一厚さの単純な板材で構成されたボンネットフードに比べて、軽量化を図ることができる。
また、基材樹脂層13が樹脂密度の低い発泡層17を有しさらに長繊維を含んでいることにより、熱変化による寸法変化を小さくすることができる。そして、基材樹脂層13の裏面にソリッド樹脂からなるリブ19が略全体に亘って網状に突設されていることにより、ボンネットフード1に熱変化が作用した際(例えば成形後のボンネットフード1から余熱を取り除いた際)、ソリッド樹脂からなる外面樹脂層11が発泡層17を有する基材樹脂層13より大きく収縮または膨張しても、上記外面樹脂層11と同様なソリッド樹脂からなるリブ19も同様に該リブ19を除く基材樹脂層13本体より大きく収縮または膨張するので、該基材樹脂層13の表面側と裏面側とで収縮または膨張がバランス良く生じ、当該ボンネットフード1に作用する曲げモーメントが相殺される。これらにより、ボンネットフード1の熱変化による寸法変化を小さくした上で該ボンネットフード1に反りなどの変形が生じることを防止でき、外観品質を良くすることができる。
さらに、発泡層17を有する基材樹脂層13が上記リブ19により補強されるので、ボンネットフード1の剛性を高めることができる。したがって、軽量化を図りながらも外観品質を良くすることができ、且つ車両用のボンネットフード1に必要な剛性を得ることができる。
また、ボンネットフード1に人が衝突するなどして、当該ボンネットフード1に対していわゆるヘッドインパクトなどの大きな衝撃が加わった場合には、当該箇所でボンネットフード1が変形し、上記リブ19が対向するエンジンに突き当たって座屈すると共に発泡層17が潰れることにより、衝撃エネルギーを効率的に吸収でき、乗員に対する衝撃を緩和することができる。
なお、本実施形態では、リブ19が枠状且つ該枠内に格子状に形成されているとし、ここでの格子状は前後方向に対して左右斜め方向に延びる線状体が組み合わされた格子状であるとしたが、本発明はこれに限らず、リブ19は、前後方向および左右方向に沿って延びる格子状を有していてもよいし、ハニカム状などのその他の網状に形成されていてもよい。
また、本実施形態では、外面樹脂層11を固定型103に残した状態で、第1可動型105を第2可動型107に取り換え、上記外面樹脂層11の裏面に基材樹脂層13を成形するようにしたが、別途成形した外面樹脂層11を用意して固定型103にセットし、該外面樹脂層11の裏面に基材樹脂層13を成形するようにしてもよい。
またその他に、本実施形態では、基材樹脂層13及びソリッド層21が長繊維を含んでいるとし、これら基材樹脂層13及びソリッド層21成形用の熱可塑性樹脂R2としてガラス長繊維入りの熱可塑性樹脂を例示したが、基材樹脂層13及びソリッド層21は必ずしも長繊維を含んでいなくてもよい。
《発明の実施形態2》
図6は、この実施形態2に係るボンネットフード1を示す平面図である。図7は、図6のVII−VII線における断面図である。この実施形態2では、締結部材の構成が実施形態1と異なる他は実施形態1と同様に構成されているので、構成の異なる締結部材5A,5B及び該締結部材5A,5Bが取り付けられる後側および前側取付部3,9についてのみ説明し、同一の構成箇所は、図1〜図5に基づく実施形態1の説明に譲ることにして、その詳細な説明は省略する。
後側取付部3の各締結部材5Aは、固定板6がボンネットフード1の幅方向内側に向かって該取付部3から基材樹脂層13側に延出する延出部6cを有し、該延出部6cの先端側部分が外面樹脂層11と基材樹脂層13との間に位置するように基材樹脂層13及びソリッド層21にインサートされている。また、前側取付部9の締結部材5Bは、固定板6がボンネットフード1の幅方向両外側および後側に向かって該取付部9から基材樹脂層13側に延出する延出部6cを有し、それら各延出部6cの先端側部分が外面樹脂層11と基材樹脂層13との間に位置するように基材樹脂層13及びソリッド層21にインサートされている。
このように構成されていれば、各締結部材5A,5Bの固定板6の延出部6cが各取付部3,9に対して発泡層17を有する分厚く成形された基材樹脂層13側に延出しているので、これら各締結部材5A,5Bのボンネットフード1への取付強度を高くすることができる。
以上、上記実施形態1,2では、ボンネットフードに本発明を適用した場合を例示したが、本発明は、フェンダーパネル、リア側面のパネル等、自動車の他の樹脂製外装パネルにも適用可能である。また、上記各実施形態が例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせに、さらにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
以上説明したように、本発明は、自動車の外装を形成するボンネットフードなどの樹脂製外装パネルについて有用であり、特に、軽量で外観品質が良く、さらには充分な剛性が要望される車両用の樹脂製外装パネルに適している。
1 ボンネットフード(車両用樹脂製外装パネル)
3 後側取付部
5 締結部材
6c 延出部
9 前側取付部
11 外面樹脂層(第1樹脂層)
13 基材樹脂層(第2樹脂層)
15 スキン層
17 発泡層
19 リブ
21 ソリッド層

Claims (6)

  1. 表面側を構成する樹脂密度が高いソリッド樹脂からなる第1樹脂層と、
    上記第1樹脂層の裏面に一体に成形され、ソリッド樹脂からなるスキン層の内部に該スキン層に比べて樹脂密度が低い発泡層が一体に形成された第2樹脂層とを備えた車両用樹脂製外装パネルであって、
    上記第2樹脂層の裏面側の上記スキン層には、ソリッド樹脂からなるリブが略全体に亘って網状に一体に突設されている
    ことを特徴とする車両用樹脂製外装パネル。
  2. 請求項1に記載の車両用樹脂製外装パネルにおいて、
    上記第2樹脂層は、長繊維を含む熱可塑性樹脂で成形されている
    ことを特徴とする車両用樹脂製外装パネル。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用樹脂製外装パネルにおいて、
    車体へ取り付けるための締結部材の一部が裏面に露出した取付部を有し、
    上記取付部は、上記第1樹脂層と、該第1樹脂層の裏面に上記第2樹脂層の成形時に上記スキン層と共に一体に成形されたソリッド層とで構成され、該ソリッド層に上記締結部材が一体にインサートされている
    ことを特徴とする車両用樹脂製外装パネル。
  4. 請求項3に記載の車両用樹脂製外装パネルにおいて、
    上記締結部材は、上記第1樹脂層の裏面に接している
    ことを特徴とする車両用樹脂製外装パネル。
  5. 請求項3又は4に記載の車両用樹脂製外装パネルにおいて、
    上記締結部材は延出部を有し、該延出部は上記取付部から上記第2樹脂層側に延出している
    ことを特徴とする車両用樹脂製外装パネル。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用樹脂製外装パネルにおいて、
    当該外装パネルはボンネットフードであり、該ボンネットフードを閉じた状態で上記リブがエンジンと対向している
    ことを特徴とする車両用樹脂製外装パネル。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014004893A (ja) * 2012-06-22 2014-01-16 Mazda Motor Corp 樹脂製リッド構造
JP2014004894A (ja) * 2012-06-22 2014-01-16 Mazda Motor Corp 樹脂製リッド構造
US9616842B2 (en) 2014-10-06 2017-04-11 Toyota Jidosha Kabuhsiki Kaisha Vehicle hood structure

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