JP2011194811A - 防眩フィルム製造用金型の製造方法および防眩フィルムの製造方法 - Google Patents

防眩フィルム製造用金型の製造方法および防眩フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた防眩性を示しながら、良好なコントラストを発現し、視認性の低下が防止された防眩フィルムを製造するための金型を製造する方法を提供する。
【解決手段】金型用基材1の表面2にめっき3を施すめっき工程と、金型用基材の表面に施された合金めっきを切削加工および/または研磨加工することによって表面粗さが0.1μm以下の鏡面を形成する鏡面4加工工程と、形成された鏡面に複数の微細凹部5を切削加工によって形成する微細凹部形成工程とを含み、上記微細凹部形成工程における複数の微細凹部の切削加工が、切削工具によって行なわれ、切削される微細凹部間の平均最隣接距離をa(μm)とし、切削深さをd(μm)とした時に特定の条件を満たすことを特徴とする防眩フィルム製造用金型の製造方法、ならびに得られた金型を用いた防眩フィルムの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、防眩フィルムを得るための金型の製造方法や、防眩性に優れた防眩(アンチグレア)フィルムの製造方法に関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネル、ブラウン管(陰極線管:CRT)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの画像表示装置は、その表示面に外光が映り込むと視認性が著しく損なわれてしまう。このような外光の映り込みを防止するために、画質を重視するテレビやパーソナルコンピュータ、外光の強い屋外で使用されるビデオカメラやデジタルカメラ、反射光を利用して表示を行なう携帯電話などにおいては、画像表示装置の表面に防眩フィルムが配置されている。
このような防眩フィルムの製造方法として、例えば、特開2007−187952号公報(特許文献1)には、基材に銅めっきまたはニッケルめっきを施した後、研磨し、サンドブラスト加工を施した後、クロムめっきを施すことによって、表面に微細な凹凸を有するロールを製造し、かかるロールの凹凸形状を透明樹脂フィルムに転写した後、該フィルムを剥離する方法が記載されている。
特開2007−187952号公報
防眩フィルムには、防眩性が求められる他、画像表示装置の表面に配置した際に良好なコントラストを発現すること、画像表示装置の表面に配置した際に散乱光によって表示面全体が白っぽくなり、表示が濁った色になる、いわゆる「白ちゃけ」の発生を抑制すること、及び、画像表示装置の表面に配置した際に画像表示装置の画素と防眩フィルムの表面凹凸形状とが干渉し、結果として輝度分布が発生して見えにくくなる、いわゆる「ギラツキ」の発生を抑制することが要望されている。しかしながら、特許文献1に記載された方法では、サンドブラスト加工によって凹凸形状を形成した金型を使用して防眩フィルムを製造するため、得られる防眩フィルムにおける凹凸形状の精度の点で充分でなく、特に、50μm以上の周期を持つ比較的大きな凹凸形状を有する場合があるため、「ギラツキ」が発生しやすかった。
そこで、本発明の目的は、優れた防眩性を示しながら、良好なコントラストを発現し、「白ちゃけ」や「ギラツキ」の発生による視認性の低下が防止された防眩フィルムを製造するための金型を製造する方法を提供することにある。
本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法は、金型用基材の表面にニッケルを含み、かつ、ホウ素、コバルトおよびタングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む合金めっきを施すめっき工程と、金型用基材の表面に施された合金めっきを切削加工および/または研磨加工することによって表面粗さが0.1μm以下の鏡面を形成する鏡面加工工程と、形成された鏡面に複数の微細凹部を切削加工によって形成する微細凹部形成工程とを含み、上記微細凹部形成工程における複数の微細凹部の切削加工が、前記鏡面加工工程で形成された鏡面と平行な方向に相対的に直線移動し、かつ直線移動と同時に前記鏡面加工工程で形成された鏡面と垂直な方向に微小往復移動する切削工具によって行なわれ、切削される微細凹部間の平均最隣接距離をa(μm)とし、切削深さをd(μm)とした時に以下の条件を満たすことを特徴とする。
Figure 2011194811
Figure 2011194811
本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法において、上記微細凹部形成工程における上記切削工具の前記鏡面加工工程で形成された鏡面と垂直な方向への微小往復移動が圧電素子により行なわれることが好ましい。
本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法は、上記微細凹部形成工程において形成される複数の微細凹部は球面の一部で形成されており、球面の半径をR(μm)とした時に以下の条件を満たすことが好ましい。
Figure 2011194811
Figure 2011194811
本発明はまた、上述した本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法によって製造された金型の微細凹部が形成された面を透明樹脂フィルムに転写し、次いで微細凹部が形成された面が転写された透明樹脂フィルムを金型から剥がすことを特徴とする防眩フィルムの製造方法についても提供する。
本発明によれば、優れた防眩性を示しながら、良好なコントラストを発現し、「白ちゃけ」や「ギラツキ」の発生による視認性の低下が防止された防眩フィルムを製造するための金型を製造することができる。加えて、前記めっき工程において、ニッケルを含み、かつ、ホウ素、コバルトおよびタングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む合金めっきを使用することによって、より耐摩耗性に優れた防眩フィルム製造用金型を製造し得るという効果も発揮される。また、この金型の微細凹部が形成された面(凹凸面)を透明樹脂フィルムに転写し、次いで凹凸面が転写された透明樹脂フィルムを金型から剥がすことにより、前述した光学性能に優れた防眩フィルムを得ることが可能となる。
本発明の金型の製造方法の好ましい一例を模式的に示す図である。 金型用基材の表面と平行な方向に相対的に直線移動し、かつ直線移動と同時に金型用基材の表面と垂直な方向に微小往復移動する切削工具の様子を模式的に示す図である。 平板状の金型用基材に微細凹部を切削加工を行なうための装置を模式的に示す図である。 円筒状の金型用基材に微細凹部を切削加工を行なうための装置を模式的に示す図である。 微細凹部間の最隣接距離aおよび切削深さdを説明するための模式図である。 微細凹部が球面の一部で形成される場合の、微細凹部形状を模式的に示す図である。 微細凹部を規則的に配置した状態を模式的に示す図である。 微細凹部をランダムに配置した状態を模式的に示す図である。 実施例1の微細凹部の配置を示す図である。 実施例2の微細凹部の配置を示す図である。
<防眩フィルム製造用金型の製造方法>
図1は、本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法の好ましい一例を模式的に示す図である。図1には各工程での金型の断面を模式的に示している。本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法は、〔1〕めっき工程と、〔2〕鏡面加工工程と、〔3〕微細凹凸形成工程を基本的に含む。以下、図1を参照しながら、各工程について詳細に説明する。
〔1〕めっき工程
本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法ではまず、金型に用いる基材(金型用基材)1の表面2に、ニッケルを少なくとも有し、ホウ素、コバルトおよびタングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む合金めっき3を施す。このように、金型用基材の表面2に合金めっき3を施すことにより、金型用基材1に存在していた微小な凹凸や鬆が解消される。また、ホウ素、コバルト、タングステンなどを含有させた合金めっき3とすることで、切削性がよく、後の鏡面加工工程における鏡面加工や、微細凹部形成工程における微細凹部の切削が容易となる。さらに、形成される合金めっきは上述した成分に加えて、その他の成分を含んでいても構わない。
本発明における合金めっき3において、ニッケルの含有率は80〜99重量%の範囲内であるのが好ましく、83〜97重量%の範囲内であることがより好ましい。合金めっき3においてニッケルの含有率が80重量%未満であると、ニッケルめっきの特性である平滑性や切削性が低下するという傾向にあるためであり、ニッケルの含有率が99重量%を超えると、合金めっきとしての十分な表面硬度や耐摩耗性が発現しないという傾向にあるためである。
本発明に好適に採用され得る合金めっき3としては、たとえばNi−B、Ni−B−W、Ni−B−P、Ni−W−P、Ni−Co−Pなどが挙げられる。いずれのめっきも高硬度で耐摩耗性に優れており、使用中に凹凸が磨り減ったり、金型が損傷したりすることが防止でき、金型としての耐久性を向上させる効果がある。合金めっき3は、電解めっきで行なっても無電解めっきで形成してもよいが、通常は無電解めっきが採用される。
本発明の製造方法で得られる金型は、上述したような合金めっきが施されていることによって、十分な表面硬度と耐摩耗性を有しているが、合金めっきの皮膜中に微粒子を分散させることで、さらに金型の硬度や潤滑性などを向上させ、金型としての耐久性を向上させることができる。分散させる微粒子の材質としては、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属硫化物、炭素結晶、ホウ素化合物およびフッ素化合物などが好ましい。このような微粒子としては、例えば金属酸化物としては二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、三酸化タングステン、ジルコニア、二酸化チタンなどが、金属炭化物としては炭化ケイ素、炭化クロム、炭化タングステンなどが、金属窒化物としては窒化チタン、窒化ケイ素などが、金属硫化物としては二硫化モリブデンなどが、炭素結晶としては黒鉛、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドなどが、ホウ素化合物としては炭化ホウ素、窒化ホウ素などが、フッ素化合物としてはフッ素樹脂、フッ化黒鉛などが挙げられる。
合金めっきに含有させてもよい微粒子は、その形状については特に制限はなく、粒状、球状、フレーク状、鱗片状、板状、樹枝状など様々な形状であってよい。微粒子の粒径は、好ましくは0.01〜100μmの範囲内、より好ましくは0.1〜10μmの範囲内である。微粒子の粒径が0.01μm未満である場合には、微粒子の分散が困難となりめっき浴の調整が困難となる虞があり、また、十分な表面硬度や耐摩耗性が得られない場合がある。一方、微粒子の粒径が100μmを超える場合には、得られるめっき層の表面が大粒子の影響によって荒れる可能性があり、また、十分な表面硬度や耐摩耗性が得られない場合がある。微粒子の粒径は、たとえばめっき層を切断し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察し、観察画像中の粒子の大きさを測定することによって得られる。
合金めっきを施す際には、めっき層が余り薄いと、下地表面の影響が排除しきれないことから、その厚みは50μm以上であるのが好ましい。めっき層厚みの上限は臨界的でないが、コストなどとのからみから、一般的には500μm程度までで十分である。
なお、本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法において、基材の形成に好適に用いられる金属材料としては、コストの観点からアルミニウム、鉄母材などが挙げられ、さらに低熱伝導率の観点から、ステンレス鋼やチタンなどが挙げられる。ここでいうアルミニウム、鉄、チタンなどは純金属であることもできるが、コスト、硬度、切削性などの観点から、アルミニウム、鉄、チタンなどを主体とする合金であることが好ましい。
また、金型用基材1の形状は、当分野において従来より採用されている適宜の形状であれば特に制限されず、平板状であってもよいし、円柱状または円筒状のロールであってもよい。ロール状の基材を用いて金型を作製すれば、防眩フィルムを連続的なロール状で製造することができるという利点がある。
〔2〕鏡面加工工程
続く鏡面加工工程では、上述しためっき工程にて金型用基材1の表面2に形成された合金めっき3を切削加工および/または研磨加工によって表面粗さが0.1μm以下の鏡面4を形成する。これは、基材となる金属板や金属ロールは、所望の精度にするために、切削や研削などの機械加工が施されていることが多く、それにより基材表面に加工目が残っており、合金めっきが施された状態でも、それらの加工目が残ることがあるし、また、めっきしたままの状態では、表面にうねりが存在し完全に平滑な面が得られないためである。すなわち、このような深い加工目が残ったり、表面にうねりが存在した表面に後述する微細凹部形成加工を施した場合には、加工目やうねりの影響によって、設計通りの微細凹部を切削加工によって形成することができない。図1(a)には、平板状の金型用基材1の表面2にめっき工程において合金めっき3が施され、さらに鏡面加工工程において鏡面研磨された表面4を有するようにされた状態を模式的に示している。
合金めっき3に鏡面研磨された表面(鏡面)4を形成する方法については特に制限されるものではなく、切削加工および/または研磨加工を用いることができる。切削加工によって鏡面加工を行なう場合には、超精密旋盤を用い、切削工具を用いて鏡面切削することによって、合金めっき3に鏡面4を形成することが好ましい。切削工具の材質や形状などは特に制限されるものではなく、超硬バイト、CBNバイト、セラミックバイト、ダイヤモンドバイトなどを使用することができるが、加工精度の観点からダイヤモンドバイトを用いることが好ましい。また、研磨加工によって鏡面加工を行なう場合には、機械研磨法、電解研磨法、化学研磨法などの従来公知の方法を使用することができる。機械研磨法としては、超仕上げ法、ラッピング、流体研磨法、バフ研磨法などが例示される。さらに、所定の表面粗さをえるために切削加工と研磨加工を組み合わせて行なうこともできる。加工後の鏡面の表面粗さは、JIS B 0601の規定に準拠した中心線平均粗さRaが0.1μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。研磨後の中心線平均粗さRaが0.1μmより大きいと、微細凹部形成工程における切削加工に表面粗さの影響が残るため好ましくない。また、中心線平均粗さRaの下限については特に制限されず、加工時間や加工コストの観点から、おのずと限界があるので、特に指定する必要性はない。
〔3〕微細凹部形成工程
続く微細凹部形成工程では、前記鏡面加工工程によって形成された鏡面4に、切削工具を用いて複数の微細凹部5を切削加工によって形成する。図1(b)には、基材1の表面4に微細凹部5が形成された状態を模式的に示している。
微細凹部形成工程における複数の微細凹部の切削加工は、前記鏡面加工工程によって形成された鏡面4と平行な方向6に相対的に直線移動し、かつ、直線移動と同時に前記鏡面加工工程によって形成された鏡面4と垂直な方向7に微小往復移動する切削工具8によって行なわれることが好ましい。図2に鏡面4と平行な方向6に相対的に直線移動し、かつ直線移動と同時に鏡面4と垂直な方向7に微小往復移動する切削工具8の様子を模式的に示した。図2においては、金型用基材1を固定して図示したため、切削工具8のみが直線移動と垂直方向への微小往復移動を行なっている。このような切削加工を行なうことによって、金型用基材1上に所望のピッチ、深さで微細凹部5を高精度に形成することができる。
このような切削加工を行なうための装置を図3および図4に模式的に示した。図3は、金型用基材が平板状である場合の装置であり、設置された金型用基材1上に形成された合金めっきに形成された鏡面4と平行な第1の方向(以下、X方向とする)と、前記鏡面4と平行でX方向に垂直な第2の方向(以下、Y方向とする)に移動可能な加工テーブル9と、金型用基材の表面と垂直な方向(以下、Z方向とする)に移動可能なZ軸駆動部10と、Z軸駆動部10に取り付けられた微小往復移動用駆動機構部11と、微小往復移動用駆動機構部11に取り付けられた切削工具8を有する。この加工テーブル9に金型用基材1を設置し、加工装置のZ軸駆動部10を用いて微小往復移動用駆動機構部11をZ軸方向に移動させて、切削工具8と金型用基材1とを加工可能である所定量まで近づける。次に、加工テーブルのX方向への駆動により金型用基材1を一定速度で移動させる。その際、微小往復移動用駆動機構部11を用いて切削工具8をZ方向に所定の微小量だけ往復移動させる。これにより、切削工具8の先端部は金型用基材1に対して、図2に示す工具移動軌跡12を描くように移動し、高精度に微細凹部5を形成することができる。
図4には、金型用基材1が円筒状である場合の装置を模式的に示した。図4の装置は、円筒状の金型用基材であるロールの両端を支持する支持機構13と、円筒状の金型用基材であるロールをその長手方向軸線を中心に回転させるモータ14(回転方向を以下ではX方向とする)と、その長手方向(以下、Y方向とする)に移動可能なY軸駆動部15と、Y軸駆動部に取り付けられた金型用基材の表面と垂直な方向(以下、Z方向とする)に移動可能なZ軸駆動部10と、Z軸駆動部10に取り付けられた微小往復移動用駆動機構部11と、微小往復移動用駆動機構部11に取り付けられた切削工具8を有する。この支持機構13に円筒状の金型用基材1を設置し、加工装置のZ軸駆動部10を用いて微小往復移動用駆動機構部11をZ軸方向に移動させて、切削工具8と金型用基材1とを加工可能である所定量まで近づける。次に、モータ14の駆動により金型用基材1をX方向に一定速度で回転させる。その際、微小往復移動用駆動機構部11を用いて切削工具8をZ方向に所定の微小量だけ往復移動させる。これにより、切削工具8の先端部は金型用基材1に対して、図2に示す工具移動軌跡12を描くように移動し、高精度に微細凹部5を形成することができる。
微小往復移動用駆動機構部11の駆動源としては切削工具を微小駆動できるものであれば特に制限されず、圧電素子、磁歪素子、超音波発振機などを使用することができるが、加工精度、加工速度の観点から圧電素子を用いることが好ましい。微小往復移動用駆動機構部11に取り付ける切削工具の材質は特に制限されるものではなく、超硬バイト、CBNバイト、セラミックバイト、ダイヤモンドバイトなどを使用することができるが、加工精度の観点からダイヤモンドバイトを用いることが好ましい。
本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法においては、切削加工によって形成される複数の微細凹部間の平均最隣接距離a(μm)と、切削深さd(μm)が下記条件を満たすことを特徴の1つとする。
Figure 2011194811
Figure 2011194811
ここで、微細凹部間の平均最隣接距離とは、一つ微細凹部に注目した時に、該微細凹部の最深部と、該微細凹部に最隣接する微細凹部の最深部間の距離の平均値である。図5に微細凹部間の最隣接距離を模式的に示した。注目した微細凹部Aに最隣接する微細凹部Bの最深部17間の距離aABが、微細凹部Aの最隣接距離となる。また、微細凹部の切削深さdとは、微細凹部形成工程によって複数の微細凹部が形成された表面の最高部16から、微細凹部最深部17までの距離である。
ここで、後述するように微細凹部が形成された金型の凹凸面が転写された防眩フィルムの微細な凹凸を有する表面(微細凹凸表面)は、当該微細凹凸表面によって発生するギラツキを抑制するという観点から、50μm以上の長周期成分を含まないことが好ましい。しかしながら、10μm以下の短周期成分のみを含む微細凹凸表面では優れた防眩性能が発現しない。よって、防眩フィルムの微細凹凸表面は、十分な防眩効果を発現しつつ、ギラツキを十分に防止するために、10〜50μmの周期を持つ表面形状を主成分として含むことが好ましい。よって、十分な防眩効果を発現しつつ、ギラツキを十分に防止する防眩フィルムを製造するための金型は、10〜50μmの周期を持つ表面形状を主成分として含むことが好ましい。平均最隣接距離aが40μmを上回る場合には、得られる金型に周期が50μm以上である微細凹凸表面形状が形成されやすくなり、結果として、得られる防眩フィルムを高精細の画像表示装置の表面に配置したときにギラツキが発生することとなる。また、平均最隣接距離aが10μmを下回る場合には、得られる金型に周期が10μm以下の短周期成分が多く含まれるようになり、得られる防眩フィルムに優れた防眩性能が発現しない。
Figure 2011194811
Figure 2011194811
よって、切削深さdと平均最隣接距離aの比d/aはtan(0.5°)/2=0.0044以上が好ましく、tan(3°)/2=0.026以下が好ましい。比d/aが0.0044を下回る場合は得られる金型の平均傾斜角度が0.5°未満となり、得られる防眩フィルムが十分な防眩効果を発現しないため好ましくない。また、比d/aが0.026を上回る場合には、得られる金型の平均傾斜角度が3°を上回ることとなり、得られる防眩フィルムが白ちゃけるため好ましくない。
また、防眩フィルムが白ちゃけを抑制しつつ、優れた防眩性を発現するためには、微細凹部形成工程において形成される複数の微細凹部は球面の一部で形成されていることが好ましい。微細凹部が球面の一部で形成される場合の、微細凹部形状は模式的には図6のように表すことができる。このときの球面の半径をR(μm)とした場合に、前記平均傾斜角度θは、次式で推算することができる。
Figure 2011194811
Figure 2011194811
よって、切削深さdと球面の半径Rの比d/Rは1−cos(1°)=0.00015以上が好ましく、1−cos(6°)=0.0055以下が好ましい。比d/Rが0.00015を下回る場合は得られる金型の平均傾斜角度が0.5°未満となり、得られる防眩フィルムが十分な防眩効果を発現しないため好ましくない。また、比d/Rが0.0055を上回る場合には、得られる金型の平均傾斜角度が3°を上回ることとなり、得られる防眩フィルムが白ちゃけるため好ましくない。
また、得られる防眩フィルムは平坦面、すなわち傾斜角度が略0°である面は5%以下であることが好ましい。平坦面が5%を超える場合には十分な防眩性を発現しないためである。平坦面の割合αは、前記平均傾斜角度θと球面の半径R、および平均最隣接距離aより、次式で推算することができる。
Figure 2011194811
Figure 2011194811
よって、平均最隣接距離aと球面の半径Rの比a/Rは以下の条件を満たすことが好ましい。
Figure 2011194811
微細凹部形成工程において形成される複数の微細凹部を半径Rの球面の一部で形成するためには、ノーズ半径がRの切削工具を用いて、X方向の移動速度もしくは回転速度と、Z方向の微小往復移動を制御し、切削工具先端部の移動軌跡が半径Rの円弧の一部を描くように設定して加工すればよい。
微細凹部形成工程において形成される複数の微細凹部は規則的に配列させて形成してもよいし、ランダムに配置してもよいが、規則的に微細凹部を形成した場合には、規則的な微細凹部配置に起因する干渉色が発生する可能性があるため、ランダムに配置することが好ましい。図7は微細凹部を規則的に配置した場合を模式的に示した。また、図8は微細凹部をランダムに配置した場合を模式的に示した。
本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法においては、微細凹部形成した後、そのまま防眩フィルムの製造に使用してよく、また、微細凹部形成後に、さらに熱処理を施したり、保護膜形成処理に供するようにしてもよい。
本発明の製造方法で製造された防眩フィルム製造用金型は合金めっきが施されているために、十分な表面硬度と耐摩耗性を有しているが、微細凹部が形成された面5に熱処理をおこなうことによって、さらに金型の表面硬度および耐摩耗性を向上させ、金型としての耐久性を向上させることができる。これによって、得られた金型を用いて防眩性フィルムを製造するに際し、使用中に金型表面の凹凸が磨り減ったり、金型が損傷したりすることを防止でき、1つの金型を用いてより多くの防眩フィルムを製造することができるようになる。
熱処理工程をさらに行なう場合、熱処理温度は200〜600℃であることが好ましく、250〜550℃であることがより好ましい。熱処理温度が200℃未満である場合には、熱処理工程による表面硬度および耐摩耗性の向上の効果が不十分となる可能性がある。一方、熱処理温度が600℃を超える場合には、熱処理工程による表面硬度の向上の効果が十分に得られない可能性があり、また、金型が変形する可能性もある。
熱処理工程をさらに行なう場合、熱処理時間は、処理環境や処理温度によって変化するが、30分間〜10時間であることが好ましく、1時間〜5時間であることがより好ましい。熱処理時間が30分間未満である場合には、十分な表面硬度および耐摩耗性が得られない可能性があり、10時間を超えて熱処理工程を行なっても効果は変化しないため、生産性が低下する。
熱処理工程を酸素が存在する雰囲気で行なうと、酸化により金型に錆ができて変色する可能性があり、これを用いて製造された防眩フィルムにおいてムラが発生する虞がある。したがってこのような熱処理中の酸化の影響を低減するためには、熱処理工程は、脱気した状態もしくは窒素、アルゴンなどの不活性気体雰囲気下で行なうことが好ましい。
また、本発明の製造方法で製造された防眩フィルム製造用金型は合金めっきが施されているために、十分な表面硬度と耐摩耗性を有しているが、微細凹部が形成された面に保護膜を形成することによって、金型の表面硬度および耐摩耗性を向上させ、金型としての耐久性を向上させることができる。これによっても、得られた金型を用いて防眩性フィルムを製造するに際し、使用中に金型表面の凹凸が磨り減ったり、金型が損傷したりすることを防止でき、1つの金型を用いてより多くの防眩フィルムを製造することができるようになる。
保護膜の形成材料としては、平板やロールなどの表面に、光沢があって、硬度が高く、摩擦係数が小さく、良好な離型性を与え得ることから、クロムめっきを採用することが好ましい。クロムめっきの種類は特に制限されないが、いわゆる光沢クロムめっきや装飾用クロムめっきなどと呼ばれる、良好な光沢を発現するクロムめっきを用いることが好ましい。クロムめっきは通常、電解によって行なわれ、そのめっき浴としては、無水クロム酸(CrO3)と少量の硫酸を含む水溶液が用いられる。電流密度と電解時間を調節することにより、クロムめっきの厚みを制御することができる。
なお、保護膜として、クロムめっき以外のめっきを施すことは好ましくない。何故なら、クロム以外のめっきでは、硬度や耐摩耗性が低くなるため、金型としての耐久性が低下し、使用中に凹凸が磨り減ったり、金型が損傷したりする。そのような金型から得られた防眩フィルムでは、十分な防眩機能が得られにくい可能性が高く、また、フィルム上に欠陥が発生する可能性も高くなる。形成されるクロムめっきの厚みは1〜10μmの範囲内であることが好ましく、3〜6μmの範囲内であることがより好ましい。クロムめっき厚みが薄いと、金型としての耐久性が不十分となる可能性がある。一方で、めっき厚みが厚すぎると、生産性が悪くなるうえに、ノジュールと呼ばれる突起状のめっき欠陥が発生してしまうため好ましくない。また、形成されるクロムめっき層は、ビッカース硬度が800以上となるように形成されていることが好ましく、1000以上となるように形成されていることがより好ましい。クロムめっき層のビッカース硬度が800未満である場合には、金型使用時の耐久性が低下するうえに、クロムめっきで硬度が低下することはめっき処理時にめっき浴組成、電解条件などに異常が発生している可能性が高く、欠陥の発生状況についても好ましくない影響を与える可能性が高いためである。
また、複数の微細凹部が形成された面に炭素を主成分とする保護膜を蒸着によって形成するようにしてもよい。光沢があって、硬度が高く、摩擦係数が小さく、良好な離型性を与え得る炭素を主成分とする炭素膜も保護膜として好ましく採用される。炭素を主成分とする膜としては、たとえばダイヤモンド薄膜、ダイヤモンド状炭素膜、水素化アモルファス炭素膜(以下、「DLC膜」という)が挙げられる。該炭素膜の形成方法として各種の蒸着法が用いられ、たとえば、ダイヤモンド薄膜は、マイクロ波プラズマCVD法、熱フィラメントCVD法、プラズマジェット法、ECRプラズマCVD法などにより、ダイヤモンド状炭素膜およびDLC膜はプラズマCVD法、イオンビーム・スパッタ法、イオンビーム蒸着法、プラズマ・スパッタ法などにより形成される。また、前記形成方法に不活性ガス、窒素、炭素から選ばれる少なくとも一種のイオンを成膜と同時に注入するIBM(イオンビームミキシング)あるいは注入する金型基材にパルスバイアスをかけて行なうPBII(プラズマ・ベースド・イオン・インプランテーション)と成膜方法を組み合わせることにより、膜と金型基材との間に明瞭な界面が無くなり密着性を向上することができる。これらの炭素膜の厚みは0.1〜5μmの範囲内であることが好ましく、0.5〜3μmの範囲内であることがより好ましい。炭素膜の厚みが0.1μm未満であると、金型としての耐久性が不十分となる可能性がある。一方で、炭素膜の厚みが5μmを超えると、生産性が悪くなるため好ましくない。
<防眩フィルムの製造方法>
本発明はまた、上述した本発明の金型の製造方法で得られた金型を用いた防眩フィルムの製造方法についても提供する。すなわち、本発明の防眩フィルムの製造方法は、本発明の金型の製造方法で製造された金型の微細凹部が形成された面を透明樹脂フィルムに転写する工程と、金型の微細凹部が形成された面が転写された透明樹脂フィルムを金型から剥がす工程とを含む。このような本発明の防眩フィルムの製造方法によって、好ましい光学特性を示す防眩フィルムが好適に製造される。
金型形状のフィルムへの転写は、エンボスにより行なうことが好ましい。エンボスとしては、光硬化性樹脂を用いるUVエンボス法、熱可塑性樹脂を用いるホットエンボス法が例示され、中でも、生産性の観点から、UVエンボス法が好ましい。
UVエンボス法は、透明樹脂フィルムの表面に光硬化性樹脂層を形成し、その光硬化性樹脂層を金型の微細凹部が形成された面に押し付けながら硬化させることで、金型の微細凹部が形成された面が光硬化性樹脂層に転写される方法である。具体的には、透明樹脂フィルム上に紫外線硬化型樹脂を塗工し、塗工した紫外線硬化型樹脂を金型の微細凹部が形成された面に密着させた状態で透明樹脂フィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させ、その後金型から、硬化後の紫外線硬化型樹脂層が形成された透明樹脂フィルムを剥離することにより、金型の形状を紫外線硬化型樹脂に転写する。
UVエンボス法を用いる場合、透明樹脂フィルムとしては、実質的に光学的に透明なフィルムであればよく、たとえばトリアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系化合物をモノマーとする非晶性環状ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂の溶剤キャストフィルムや押出フィルムなどの樹脂フィルムが挙げられる。
またUVエンボス法を用いる場合における紫外線硬化型樹脂の種類は特に限定されないが、市販の適宜のものを用いることができる。また、紫外線硬化型樹脂に適宜選択された光開始剤を組み合わせて、紫外線より波長の長い可視光でも硬化が可能な樹脂を用いることも可能である。具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどの多官能アクリレートをそれぞれ単独で、あるいはそれら2種以上を混合して用い、それと、イルガキュアー907(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー184(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、ルシリンTPO(BASF社製)などの光重合開始剤とを混合したものを好適に用いることができる。
一方、ホットエンボス法は、熱可塑性樹脂で形成された透明樹脂フィルムを加熱状態で金型に押し付け、金型の表面形状を透明樹脂フィルムに転写する方法である。ホットエンボス法に用いる透明樹脂フィルムとしては、実質的に透明なものであればいかなるものであってもよく、たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ノルボルネン系化合物をモノマーとする非晶性環状ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂の溶剤キャストフィルムや押出フィルムなどを用いることができる。これらの透明樹脂フィルムはまた、上で説明したUVエンボス法における紫外線硬化型樹脂を塗工するための基材フィルムとしても好適に用いることができる。
本発明の製造方法によって得られた金型を用いて製造される防眩フィルムは、微細凹凸表面を精度よく制御されて形成されるため、十分な防眩性を発現し、かつ、白ちゃけが発生せず、画像表示装置の表面に配置した際にもギラツキが発生せず、高いコントラストを示すものとなる。
このように本発明の防眩フィルム用金型の製造方法では、優れた防眩性を示しながら、良好なコントラストを発現し、「白ちゃけ」や「ギラツキ」の発生による視認性の低下が防止された防眩フィルムを製造するための金型を製造することができる。加えて、前記めっき工程において、ニッケルを含み、かつ、ホウ素、コバルトおよびタングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む合金めっきを使用することによって、より耐摩耗性に優れた防眩フィルム製造用金型を製造し得るという効果も発揮される。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ない限り重量基準である。
<実施例1>
縦100mm×幅100mmのステンレス(ウッデホルム(株)社製のSTAVAX(商品名))の表面に、ニッケル、リン、およびホウ素をそれぞれ97重量%、2重量%、および1重量%含有してなる合金めっき(日本カニゼン(株)の表面処理カニボロン)が施されたものを用意した。合金めっきの厚みは、約100μmとなるように設定した。その合金めっき表面を切削加工によって鏡面加工した。この鏡面加工された合金めっき表面に、微細凹部間の最隣接距離が25μm、切削深さが0.6μmとなるように図9に示す配置で複数の微細凹部を切削加工して金型Aを作製した。ここで切削加工は、金型用基材をX方向およびY方向に移動する加工テーブルに設置し、ノーズ半径143μmのダイヤモンドバイトを圧電素子によって駆動する微小往復移動用駆動機構部に取り付け、金型用基材をX方向に一定速度で移動させると同時に、切削工具をZ方向に所定の微小量だけ往復移動させることによって行なった。また、微細凹部は半径が143μmの球面の一部となるように切削加工を行なった。
光硬化性樹脂組成物GRANDIC 806T(大日本インキ化学工業(株)製)を酢酸エチルにて溶解して、50重量%濃度の溶液とし、さらに、光重合開始剤であるルシリンTPO(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を、硬化性樹脂成分100重量部あたり5重量部添加して塗布液を調製した。厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に、この塗布液を乾燥後の塗布厚みが10μmとなるように塗布し、60℃に設定した乾燥機中で3分間乾燥させた。乾燥後のフィルムを、先に得られた金型Aの微細凹部が形成された面に、光硬化性樹脂組成物層が金型側となるようにゴムロールで押し付けて密着させた。この状態でTACフィルム側より、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で200mJ/cm2となるように照射して、光硬化性樹脂組成物層を硬化させた。この後、TACフィルムを硬化樹脂ごと金型から剥離して、微細凹凸表面を有する硬化樹脂とTACフィルムとの積層体からなる、透明な防眩フィルムAを作製した。
<実施例2>
微細凹部間の最隣接距離が40μm、切削深さが0.6μmとなるように図10に示す配置で複数の微細凹部を切削加工したこと以外は実施例1と同様にして金型Bを作製した。得られた金型Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムBを作製した。
<比較例1>
直径200mmの鉄ロール(JISによるSTKM13A)の表面に銅バラードめっきが施されたものを用意した。銅バラードめっきは、銅めっき層/薄い銀めっき層/表面銅めっき層からなるものであり、めっき層全体の厚みは、約200μmとなるように設定した。その銅めっき表面を鏡面研磨し、研磨された銅めっき表面にブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−SX−17(東ソー(株)製、平均粒径:20μm)を、ブラスト圧力0.09MPa(ゲージ圧、以下同じ)、ビーズ使用量8g/cm2(ロールの表面積1cm2あたりの使用量、以下同じ)でブラストし、表面に凹凸をつけた。得られた凹凸つき銅めっき鉄ロールにクロムめっき加工を行ない、金属金型Cを作製した。このとき、クロムめっき厚みが6μmとなるように設定した。得られた金型Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムCを作製した。
<比較例2>
ニッケルとリンのみからなる合金めっきを用いたこと以外は実施例1と同様にして金型Dを作製した。
<評価試験1>
実施例1、実施例2および比較例1で得られた各金型についての表面形状について評価した。表面形状の測定は、共焦点顕微鏡PLμ2300(Sensofar社製)を用いた。測定の際、対物レンズの倍率は50倍とした。測定データをもとに、JIS B 0601に準拠した方法で計算することにより、算術平均高さPa、平均長さPSmおよび最大断面高さPtを算出した。また、測定によって得られた断面曲線より、各金型表面の平均傾斜角度θおよび最大傾斜角度θmaxを算出した。結果を金型の作製条件と共に表1に示す。
Figure 2011194811
<評価試験2>
得られた各防眩フィルムについて、以下のような光学特性および防眩性能の評価を行なった。
(1)光学特性の評価1:ヘイズの測定
防眩フィルムのヘイズは、JIS K 7136に規定される方法で測定した。具体的には、この規格に準拠したヘイズメータHM−150型(村上色彩技術研究所製)を用いてヘイズを測定した。防眩フィルムの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。一般的にヘイズが大きくなると、画像表示装置に適用したときに画像が暗くなり、その結果、正面コントラストが低下しやすくなる。それ故に、ヘイズは低い方が好ましい。
(2)光学特性の評価2:透過鮮明度の測定
透過鮮明度は、JIS K 7105に規定される方法で測定した。具体的には、この規格に準拠した写像性測定器ICM−IDP(スガ試験機(株)製)を用いて、防眩フィルムの透過鮮明度を測定した。この規格では、像鮮明度測定に用いる光学くしとして、暗部と明部の幅の比が1:1で、その幅が0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類が規定されている。これら4種類の光学くしを用いて測定された像鮮明度の和をもって透過鮮明度と呼ぶことにした。この定義による場合の透過鮮明度の最大値は400%である。この定義による透過鮮明度は大きい方が好ましい。透過鮮明度が小さくなると、画像表示装置に配置した際に像が不鮮明となる傾向があり、また、ギラツキが発生しやすくなる傾向があるため好ましくない。よって、透過鮮明度は200%以上であることが好ましく、300%以上であることがさらに好ましい。評価の際には、ヘイズ測定の場合と同様に、防眩フィルムの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。この状態でガラス基板側から光を入射させ、測定を行なった。
(3)光学特性の評価3:60度光沢度の測定
60度光沢度は、JIS Z 8741に規定される方法で測定した。具体的には、この規格に準拠した光沢計PG−1M(日本電色工業(株)製)を用いて、防眩フィルムの光沢度を測定した。この場合も、防眩フィルムの反りを防止するため、および裏面からの反射を防止するために、光学的に透明な粘着剤を用いて、防眩フィルムを凹凸面が表面となるように2mm厚みの黒色アクリル樹脂板に貼合してから、測定に供した。この状態で防眩フィルム側から光を入射させ、測定を行なった。一般的に60度光沢度が小さいことは、サンプル表面が曇っていることを意味し、その結果、白ちゃけが発生しやすくなる。それ故に、光沢度は高い方が好ましいが、光沢度が高すぎると映り込みが生じ、防眩性が低下するため、30〜90%程度の値が好ましい。
(4)防眩性能の評価1:映り込みの目視評価
防眩フィルムの裏面からの反射を防止するために、凹凸面が表面となるように黒色アクリル樹脂板に防眩フィルムを貼合し、蛍光灯のついた明るい室内で凹凸面側から目視で観察し、蛍光灯の映り込みの有無を、目視にて次の基準で3段階に評価した。
1:映り込みが観察されない
2:映り込みが少し観察される
3:映り込みが明瞭に観察される
(5)防眩性能の評価2:白ちゃけの目視評価
防眩フィルムの裏面からの反射を防止するために、凹凸面が表面となるように黒色アクリル樹脂板に防眩フィルムを貼合し、蛍光灯のついた明るい室内で凹凸面側から目視で観察し、白ちゃけの程度を、目視にて次の基準で3段階に評価した。
1:白ちゃけが観察されない
2:白ちゃけが少し観察される
3:白ちゃけが明瞭に観察される
結果を表2に示す。なお、表2中、たとえば実施例1の透過鮮明度の内訳は次のとおりである。
透過鮮明度
0.125mm光学くし: 48.5%
0.5mm光学くし : 74.1%
1.0mm光学くし : 80.5%
2.0mm光学くし : 81.2%
合計 284.3%
Figure 2011194811
表1に示す結果から、本発明の製造方法によって作製された金型は、表面凹凸形状の傾斜角度が適切に制御されて形成されていることが分かった。また、表2に示す結果から、本発明の製造方法から得られる防眩フィルムは優れた防眩性能を示した。本発明の好ましい要件を全て満たす防眩フィルムAは、十分な防眩性能と白ちゃけの防止が達成されていた。また、透過鮮明度も高いため画像表示装置に配置した際にもギラツキが発生しない。一方、比a/Rが本発明の好ましい要件を満たさない防眩フィルムBは白ちゃけの防止と高い透過鮮明度を示したが、わずかに映り込みが発生していた。これは上述したように比a/Rが本発明の要件を満たさないために、金型Bおよびそれより得られる防眩フィルムBに平坦面が多く存在したためである。一方、本発明と異なる製法によって作製した金型Cは表面凹凸形状の傾斜角度が制御できておらず、白ちゃけが明瞭に観察された。
<評価試験3>
実施例1、実施例2および比較例2で得られた各金型の耐摩耗性を以下の手順で評価した。厚み80μmのTACフィルムを幅5cm、長さ5cmで切り出し、荷重5kgで金型表面に押し付けた後、その状態で10往復させた。その後、TACフィルムを金型表面から離し、金型表面の状態を目視で確認した。結果は以下の通りであった。
実施例1:金型表面に損傷は確認されなかった
実施例2:金型表面に損傷は確認されなかった
比較例2:金型表面に多数の傷が観察された
以上の結果から、ホウ素を含有する合金めっきを用いた実施例1、2で作製された金型Aおよび金型Bは、ホウ素を含有する合金めっきを用いていることから高い硬度と耐摩耗性を有しており、耐久性が向上し、凹凸が磨り減りや金型が損傷のリスクが低減される。
1 金型用基材、2 金型用基材の表面、3 合金めっき、4 鏡面、5 微細凹部、6 鏡面と平行な方向、7 鏡面と垂直な方向、8 切削工具、8a 切削工具の刃先、9 加工テーブル、10 Z軸駆動部、11 微小往復移動用駆動機構部、12a 切削工具の先端部の移動軌跡、12b 切削工具の移動軌跡、13 円筒状金型の支持機構、14 円筒状金型を回転させるためのモータ、15 Y軸駆動部、16 微細凹部が形成された表面の最高部、17 微細凹部の最深部、A 着目する一つの微細凹部、B 微細凹部Aに最隣接する微細凹部、aAB 微細凹部Aと微細凹部Bの最深部間の距離。

Claims (4)

  1. 金型用基材の表面にニッケルを含み、かつ、ホウ素、コバルトおよびタングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む合金めっきを施すめっき工程と、
    金型用基材の表面に施された合金めっきを切削加工および/または研磨加工することによって表面粗さが0.1μm以下の鏡面を形成する鏡面加工工程と、
    形成された鏡面に複数の微細凹部を切削加工によって形成する微細凹部形成工程とを含み、
    上記微細凹部形成工程における複数の微細凹部の切削加工が、前記鏡面加工工程で形成された鏡面と平行な方向に相対的に直線移動し、かつ直線移動と同時に前記鏡面加工工程で形成された鏡面と垂直な方向に微小往復移動する切削工具によって行なわれ、
    切削される微細凹部間の平均最隣接距離をa(μm)とし、切削深さをd(μm)とした時に以下の条件を満たすことを特徴とする防眩フィルム製造用金型の製造方法。
    Figure 2011194811
    Figure 2011194811
  2. 上記微細凹部形成工程における上記切削工具の前記鏡面加工工程で形成された鏡面と垂直な方向への微小往復移動が圧電素子により行なわれる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記微細凹部形成工程において形成される複数の微細凹部は球面の一部で形成されており、球面の半径をR(μm)とした時に以下の条件を満たす請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
    Figure 2011194811
    Figure 2011194811
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法によって製造された金型の微細凹部が形成された面を透明樹脂フィルムに転写し、次いで微細凹部が形成された面面が転写された透明樹脂フィルムを金型から剥がすことを特徴とする防眩フィルムの製造方法。
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