JP2014126598A - 防眩フィルムおよび防眩性偏光板 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた防眩性能を示し、良好なコントラストを発現しながら、ギラツキの発生による視認性の低下を防止することができる防眩フィルム、ならびに、該防眩フィルムと偏光フィルムとの積層体からなる防眩性積層偏光板を提供する。
【解決手段】樹脂基材フィルムと、その表面上に積層された微細な凹凸表面を有する防眩層を備え、樹脂基材フィルムは、透明バインダ樹脂および透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子を含有する光拡散層を含み、内部ヘイズが0.5%以上5%以下であり、防眩層は、表面ヘイズが0.3%以上5%以下で、内部ヘイズが1%以下であり、凹凸表面は、H1 2/H2 2が2以上15以下の範囲内であり、H1 2/H3 2が1000以上であり、かつ、傾斜角度が5°以下である面を95%以上含む、防眩フィルム。
【選択図】図1
【解決手段】樹脂基材フィルムと、その表面上に積層された微細な凹凸表面を有する防眩層を備え、樹脂基材フィルムは、透明バインダ樹脂および透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子を含有する光拡散層を含み、内部ヘイズが0.5%以上5%以下であり、防眩層は、表面ヘイズが0.3%以上5%以下で、内部ヘイズが1%以下であり、凹凸表面は、H1 2/H2 2が2以上15以下の範囲内であり、H1 2/H3 2が1000以上であり、かつ、傾斜角度が5°以下である面を95%以上含む、防眩フィルム。
【選択図】図1
Description
本発明は、防眩(アンチグレア)フィルムおよびこれを用いた防眩性偏光板に関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、ブラウン管(陰極線管:CRT)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの画像表示装置は、その表示面に外光が映り込むと視認性が著しく損なわれてしまう。従来、このような外光の映り込みを防止するために、画質を重視するテレビやパーソナルコンピュータ、外光の強い屋外で使用されるビデオカメラやデジタルカメラ、および反射光を利用して表示を行なう携帯電話などにおいては、画像表示装置の表面に、外光の映り込みを防止するための防眩フィルムが配置されている。
このような防眩フィルムとして、たとえば、特開2007−101912号公報(特許文献1)には、基材上に透光性微粒子を含有した第1樹脂層と、透光性微粒子を含有しない第2樹脂層とを設けた防眩フィルムが記載されている。しかしながら、第1樹脂層の塗工時に粒子の凝集が発生し、コントラストの低下が発生する可能性があった。
また、特開2009−122645号公報(特許文献2)には、防眩フィルムの基材として、透明樹脂からなる少なくとも1つの透明樹脂層と、透明バインダ樹脂およびバインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子を含有する少なくとも1つの光拡散層とを含む基材を用いることが記載されている。
また、特許2011−209700号公報(特許文献3)には、特定の形状の凹凸表面を有する防眩層を備えた防眩フィルムが記載されている。
防眩フィルムには、防眩性が求められる他、画像表示装置の表面に配置した際に良好なコントラストを発現すること、画像表示装置の表面に配置した際に画像表示装置の画素と防眩フィルムの表面凹凸形状とが干渉し、結果として輝度分布が発生して見えにくくなる、いわゆる「ギラツキ」の発生を抑制することが要望されている。
本発明に目的は、優れた防眩性能を示し、良好なコントラストを発現しながら、ギラツキの発生による視認性の低下を防止することができる防眩フィルム、ならびに、該防眩フィルムと偏光フィルムとの積層体からなる防眩性積層偏光板を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の内部ヘイズを有する樹脂基材フィルムと、特定の形状の凹凸表面を有する防眩層とを組み合わせることにより、良好なコントラストの発現と、ギラツキの抑制とを同時に実現できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づき、さらに種々の検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明は以下を含む。
〔1〕樹脂基材フィルムと、前記樹脂基材フィルム表面上に積層された、微細な凹凸表面を有する防眩層とを備える防眩フィルムであって、
前記樹脂基材フィルムは、透明バインダ樹脂および前記透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子を含有する少なくとも1つの光拡散層を含み、内部ヘイズが0.5%以上5%以下であり、
前記防眩層は、表面ヘイズが0.3%以上5%以下で、内部ヘイズが1%以下であり、
空間周波数0.01μm-1における前記凹凸表面の標高のエネルギースペクトルH1 2と、空間周波数0.02μm-1における前記凹凸表面の標高のエネルギースペクトルH2 2との比H1 2/H2 2が2以上15以下の範囲内であり、
空間周波数0.01μm-1における前記凹凸表面の標高のエネルギースペクトルH1 2と、空間周波数0.1μm-1における標高のエネルギースペクトルH3 2との比H1 2/H3 2が1000以上であり、
前記凹凸表面は、傾斜角度が5°以下である面を95%以上含む、防眩フィルム。
前記樹脂基材フィルムは、透明バインダ樹脂および前記透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子を含有する少なくとも1つの光拡散層を含み、内部ヘイズが0.5%以上5%以下であり、
前記防眩層は、表面ヘイズが0.3%以上5%以下で、内部ヘイズが1%以下であり、
空間周波数0.01μm-1における前記凹凸表面の標高のエネルギースペクトルH1 2と、空間周波数0.02μm-1における前記凹凸表面の標高のエネルギースペクトルH2 2との比H1 2/H2 2が2以上15以下の範囲内であり、
空間周波数0.01μm-1における前記凹凸表面の標高のエネルギースペクトルH1 2と、空間周波数0.1μm-1における標高のエネルギースペクトルH3 2との比H1 2/H3 2が1000以上であり、
前記凹凸表面は、傾斜角度が5°以下である面を95%以上含む、防眩フィルム。
〔2〕前記樹脂基材フィルムは、透明樹脂層と、前記光拡散層とからなる2層構造を有し、
前記防眩層は、前記光拡散層における、前記透明樹脂層側とは反対側の表面上に配置されている、〔1〕に記載の防眩フィルム。
前記防眩層は、前記光拡散層における、前記透明樹脂層側とは反対側の表面上に配置されている、〔1〕に記載の防眩フィルム。
〔3〕前記樹脂基材フィルムは、2つの透明樹脂層と、前記2つの透明樹脂層の間に配置されている前記光拡散層とからなる3層構造を有する、〔1〕または〔2〕に記載の防眩フィルム。
〔4〕〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の防眩フィルムと、前記防眩フィルムの前記基材樹脂フィルムの表面上に配置された偏光フィルムとを備える、防眩性偏光板。
〔5〕前記偏光フィルムにおける、前記防眩フィルム側とは反対側の表面上に配置された光学フィルムとを備え、
前記偏光フィルムと前記光学フィルムとは、エポキシ系樹脂を主成分とする硬化性組成物の硬化物からなる接着剤を介して貼合されている、〔4〕に記載の防眩性偏光板。
前記偏光フィルムと前記光学フィルムとは、エポキシ系樹脂を主成分とする硬化性組成物の硬化物からなる接着剤を介して貼合されている、〔4〕に記載の防眩性偏光板。
〔6〕〔4〕または〔5〕に記載の防眩性偏光板と、画像表示素子とを備え、
前記防眩性偏光板は、前記防眩層側を視認側にして前記画像表示素子の視認側に配置されている、画像表示装置。
前記防眩性偏光板は、前記防眩層側を視認側にして前記画像表示素子の視認側に配置されている、画像表示装置。
本発明の防眩フィルムは、優れた防眩性能を示しながら、ギラツキを発生させずに高いコントラストを発現し得る。かかる本発明の防眩フィルムを偏光フィルムと組み合わせた防眩性偏光板も、同様の効果を発現する。そして、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を配置した画像表示装置は、防眩性能が高く、視認性に優れたものとなる。
以下、本発明に関する実施の形態について詳細に説明する。
<防眩フィルム>
図1は、本発明の防眩フィルムの好ましい例を示す断面模式図である。図1(a)に示される防眩フィルムは、樹脂基材フィルム101aと、樹脂基材フィルム101a表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状(凹凸表面)を有する防眩層102aとを備える。樹脂基材フィルム101aは、2つの透明樹脂層103aと、これら2つの透明樹脂層103aの間に配置される光拡散層104aとの3層構造からなる。光拡散層104aには、光拡散層104aの基材となる透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子105aが分散されている。図1(b)に示される防眩フィルムは、樹脂基材フィルム101bと、樹脂基材フィルム101b表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有する防眩層102bとを備える。樹脂基材フィルム101bは、1つの透明樹脂層103bと、透明樹脂層103b表面上に積層された1つの光拡散層104bとの2層構造を有する。防眩層102bは、光拡散層104bにおける、透明樹脂層103b側とは反対側の表面上に配置される。また、光拡散層104bには、光拡散層104bの基材となる透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子105bが分散されている。
<防眩フィルム>
図1は、本発明の防眩フィルムの好ましい例を示す断面模式図である。図1(a)に示される防眩フィルムは、樹脂基材フィルム101aと、樹脂基材フィルム101a表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状(凹凸表面)を有する防眩層102aとを備える。樹脂基材フィルム101aは、2つの透明樹脂層103aと、これら2つの透明樹脂層103aの間に配置される光拡散層104aとの3層構造からなる。光拡散層104aには、光拡散層104aの基材となる透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子105aが分散されている。図1(b)に示される防眩フィルムは、樹脂基材フィルム101bと、樹脂基材フィルム101b表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有する防眩層102bとを備える。樹脂基材フィルム101bは、1つの透明樹脂層103bと、透明樹脂層103b表面上に積層された1つの光拡散層104bとの2層構造を有する。防眩層102bは、光拡散層104bにおける、透明樹脂層103b側とは反対側の表面上に配置される。また、光拡散層104bには、光拡散層104bの基材となる透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子105bが分散されている。
上記好ましい例によって示されるように、本発明の防眩フィルムは、樹脂基材フィルムと、該樹脂基材フィルム表面上に積層された、微細な凹凸表面を有する防眩層とを備えており、かつ内部散乱機能を樹脂基材フィルムに持たせて良好なコントラストを得る一方、防眩層から内部散乱機能を無くすかまたはほぼ無くし、主に表面反射特性のみを付与した構成としている。かかる構成により、内部散乱特性と反射特性とを独立に制御することが可能となり、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、また、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生させずに高いコントラストを発現する防眩フィルムを容易に得ることができる。以下、樹脂基材フィルムおよび防眩層について詳細に説明する。
(樹脂基材フィルム)
樹脂基材フィルムは、透明バインダ樹脂および該透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子を含有する少なくとも1つの光拡散層を含み、その内部ヘイズは0.5%以上5%以下である。ここで、樹脂基材フィルムの「内部ヘイズ」とは、樹脂基材フィルムの一方の面を光学的に透明な粘着剤またはグリセリンを用いてガラス基板に貼合し、続いてもう一方の面にヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムを光学的に透明な粘着剤またはグリセリンを用いて貼合し、該ガラス基板とトリアセチルセルロースフィルムで挟持された樹脂基材フィルムについて、JIS K 7136に示される方法に準拠して測定されたヘイズと定義される。このように、ガラス基板とトリアセチルセルロースフィルムとで挟持されることにより、樹脂基材フィルムの反りが防止されるとともに、樹脂基材フィルム表面形状に起因するヘイズが考慮されなくなるため、樹脂基材フィルムの内部ヘイズが測定されることとなる。
樹脂基材フィルムは、透明バインダ樹脂および該透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子を含有する少なくとも1つの光拡散層を含み、その内部ヘイズは0.5%以上5%以下である。ここで、樹脂基材フィルムの「内部ヘイズ」とは、樹脂基材フィルムの一方の面を光学的に透明な粘着剤またはグリセリンを用いてガラス基板に貼合し、続いてもう一方の面にヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムを光学的に透明な粘着剤またはグリセリンを用いて貼合し、該ガラス基板とトリアセチルセルロースフィルムで挟持された樹脂基材フィルムについて、JIS K 7136に示される方法に準拠して測定されたヘイズと定義される。このように、ガラス基板とトリアセチルセルロースフィルムとで挟持されることにより、樹脂基材フィルムの反りが防止されるとともに、樹脂基材フィルム表面形状に起因するヘイズが考慮されなくなるため、樹脂基材フィルムの内部ヘイズが測定されることとなる。
樹脂基材フィルムの内部ヘイズは、0.5%以上であり、好ましくは1%以上である。内部ヘイズを0.5%以上にすることにより、ギラツキを抑制することができ、1%以上とすることにより、より効果的にギラツキを抑制することができる。また、樹脂基材フィルムの内部ヘイズは5%以下である。樹脂基材フィルムのヘイズが5%を上回ると、画像表示装置に適用したときに、結果として画面が暗くなり、視認性が損なわれる傾向にある。十分な明るさを確保するためには、内部ヘイズを3%以下とすることが好ましい。なお、本発明の防眩フィルムでは、防眩層の凹凸表面の形状を制御して、散乱によるギラツキを防止しているため、防眩層の内部ヘイズは、本質的には不必要であり、内部散乱特性と反射特性とを独立に制御するためには、実質的にゼロとすることが好ましい。
樹脂基材フィルムは、好ましくは透明樹脂からなる少なくとも1つの透明樹脂層を含む。樹脂基材フィルムを構成する透明樹脂層に用いられる透明樹脂および光拡散層に用いられる透明バインダ樹脂には、実質的に光学的に透明な樹脂を用いる。そのような樹脂の例として、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系化合物をモノマーとする非晶性環状ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂などを挙げることができる。透明樹脂層を構成する透明樹脂と光拡散層に用いられる透明バインダ樹脂とは、同じであってもよいし、異なる材料であってもよい。このような樹脂の中でも、透明性や耐候性に優れ、表面硬度も高いアクリル系樹脂を用いることが好ましい。ここで、本発明においてアクリル系樹脂とは、メタクリル樹脂および必要に応じて添加される添加剤等を混合し、溶融混練して得られた材料のことを意味する。
上記メタクリル樹脂とは、メタクリル酸エステルを主体とする重合体である。メタクリル樹脂は、1種類のメタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステルと他のメタクリル酸エステルやアクリル酸エステル等との共重合体であってもよい。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜
4程度である。また、メタクリル酸エステルと共重合し得るアクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルが好ましく、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等が挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8程度である。これらの他、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物であるスチレンのような芳香族ビニル化合物や、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物等を共重合体中に含んでいてもよい。
4程度である。また、メタクリル酸エステルと共重合し得るアクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルが好ましく、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等が挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8程度である。これらの他、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物であるスチレンのような芳香族ビニル化合物や、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物等を共重合体中に含んでいてもよい。
アクリル系樹脂は、フィルムの耐衝撃性や製膜性の点で、アクリルゴム粒子を含有することが好ましい。アクリル系樹脂に含まれ得るアクリルゴム粒子の量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。アクリルゴム粒子の量の上限は臨界的ではないが、アクリルゴム粒子の量があまり多いと、フィルムの表面硬度が低下し、またフィルムに表面処理を施す場合、表面処理剤中の有機溶剤に対する耐溶剤性が低下する。したがって、アクリル系樹脂に含まれ得るアクリルゴム粒子の量は、80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは60重量%以下である。
上記アクリルゴム粒子は、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を必須成分とする粒子であり、実質的にこの弾性重合体のみからなる単層構造のものであってもよいし、この弾性重合体を1つの層とする多層構造のものであってもよい。この弾性重合体として、具体的には、アクリル酸アルキル50〜99.9重量%と、これと共重合可能な他のビニル系単量体を少なくとも1種類0〜49.9重量%と、共重合性の架橋性単量体0.1〜10重量%とからなる単量体の重合により得られる架橋弾性共重合体が、好ましく用いられる。
上記アクリル酸アルキルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等が挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8程度である。また、上記アクリル酸アルキルと共重合可能な他のビニル系単量体としては、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を1個有する化合物を挙げることができ、より具体的には、メタクリル酸メチルのようなメタクリル酸エステル、スチレンのような芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物等が挙げられる。また、上記共重合性の架橋性単量体としては、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する架橋性の化合物を挙げることができ、より具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートやブタンジオールジ(メタ)アクリレートのような多価アルコールの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリルや(メタ)アクリル酸メタリルのような(メタ)アクリル酸のアルケニルエステル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとはメタクリレートまたはアクリレートをいい、(メタ)アクリル酸とはメタクリル酸またはアクリル酸をいう。
また、フィルムの加工性が良好であることから、光拡散層を構成する透明バインダ樹脂として、ポリカーボネート系樹脂も好ましく用いられる。ここで、ポリカーボネート系樹脂とは、芳香族ポリカーボネートを指す。ポリカーボネート系樹脂は、たとえば、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法または溶融エステル交換法により反応させる方法;カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させる方法;および、環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させる方法などで得ることができる。
上記二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(
4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
なかでも、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種の二価フェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体、ならびに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンから選択される少なくとも1種の二価フェノールとの共重合体が好ましく使用される。
上記カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
透明樹脂層に用いられる透明樹脂および光拡散層に用いられる透明バインダ樹脂には、通常の添加剤、たとえば、紫外線吸収剤、有機系染料、顔料、無機系色素、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤等を含有させてもよい。中でも紫外線吸収剤は、耐候性を高めるうえで好ましく用いられる。紫外線吸収剤の例としては、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールのようなベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロロベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンのような2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤;p−tert−ブチルフェニルサリチル酸エステル、p−オクチルフェニルサリチル酸エステルのようなサリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。アクリル系樹脂に紫外線吸収剤が含まれる場合、その量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上であり、また好ましくは2重量%以下である。
ール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールのようなベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロロベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンのような2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤;p−tert−ブチルフェニルサリチル酸エステル、p−オクチルフェニルサリチル酸エステルのようなサリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。アクリル系樹脂に紫外線吸収剤が含まれる場合、その量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上であり、また好ましくは2重量%以下である。
光拡散層に分散される微粒子は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、硝子、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機粒子、およびこれら無機粒子に脂肪酸等で表面処理を施したものなどの無機系粒子であってもよいが、無機系粒子は、一般的に粒度分布が大きく、透明バインダ樹脂中で十分に分散しにくく、また、透明バインダ樹脂との屈折率差が大きいため光透過性を低下させやすい傾向にあることから、樹脂粒子を用いることが好ましい。当該微粒子の屈折率は、光拡散機能を付与するために、透明バインダ樹脂の屈折率とは異なる値を有していることが必要であり、両者の屈折率差は、0.01以上であるのが好ましい。また、適当な内部ヘイズ値を確保するためには、この屈折率差をあまり大きくしない方が好ましく、たとえば、両者の屈折率差は、0.02未満であるのが好ましい。微粒子の屈折率は、用いられる透明バインダ樹脂の種類等を考慮して適宜選択されるが、上記したような透明バインダ樹脂を用いる場合、微粒子の屈折率は、1.43以上1.6以下の範囲から選択することが好ましい。透明バインダ樹脂に上記アクリル系樹脂を用いる場合には、アクリル系樹脂の屈折率が一般的に1.49程度であることから、微粒子の屈折率は、1.47〜1.51程度の範囲から、上記の条件を満たすように選択することが好ましい。また、透明バインダ樹脂にポリカーボネート系樹脂を用いる場合には、ポリカーボネート系樹脂の屈折率が1.58程度であることから、微粒子の屈折率は1.56〜1.6程度の範囲から、上記の条件を満たすように選択することが好ましい。
上記微粒子は、散乱の等方性、均一性を考慮すると、球形またはほぼ球形であることが好ましい。また、表面に微細な凹凸があるような形状および無定形である粒子は、粒径より小さい表面の微細凹凸などの構造に起因して予期せぬ散乱が発生する可能性があるため、好ましくない。微粒子の重量平均粒子径は、4μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上12μm以下である。微粒子の重量平均粒子径が4μmを下回る場合には、広角側の散乱光強度が上昇し、結果として、画像表示装置に適用したときにコントラストを低下させる傾向にある。また、その重量平均粒子径が20μmを上回る場合には、要求する散乱効果が得られない場合があり、あるいは要求する散乱効果を得るためには樹脂基材フィルムを厚くする必要が生じ得る。
好ましく用いられる微粒子の具体的な例を挙げれば、球形またはほぼ球形の樹脂ビーズであり、かかる好適な樹脂ビーズとしては、たとえば、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率1.50〜1.59)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.59)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.53)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.46)、シリコーン樹脂ビーズ(屈折率1.46)などを挙げることができる。
光拡散層において上記微粒子は、透明バインダ樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上5重量部以下含有されることが好ましい。微粒子の含有量が0.5重量部未満であると、均一な内部散乱が得られず、防眩フィルムとしたときにギラツキが発生する傾向にある。また、微粒子の含有量が5重量部を超えると、内部散乱が大きくなり、結果としてヘイズが高くなって、画像表示装置に適用したときに画面が暗くなり、視認性が損なわれる上に、広角側の散乱光強度も上昇し、画像表示装置に適用したときにコントラストを低下させる傾向にある。
樹脂基材フィルムの厚みは30μm以上250μm以下であることが好ましく、より好ましくは、40μm以上170μm以下である。樹脂基材フィルムの厚みが30μm未満である場合には、本発明で要求する十分な散乱特性を得ることが難しいことがある。また、樹脂基材フィルムの厚みが250μmを上回ることは最近の画像表示装置の薄型化への要求およびコスト等の観点から好ましくない。防眩フィルム全体の厚みを薄くする観点からは、150μm以下、さらには120μm以下とするのがより好ましい。透明樹脂層の厚みは、特に制限されないが、たとえば10μm以上50μm以下とすることができ、好ましくは15μm以上40μm以下である。また、光拡散層の厚みは、特に制限されないが、たとえば20μm以上150μm以下とすることができ、好ましくは30μm以上90μm以下である。
光拡散層を形成するために用いられる樹脂組成物は、上記透明バインダ樹脂(たとえばメタクリル樹脂、アクリルゴム粒子およびその他添加剤など)と上記微粒子とを混合し、溶融混練することにより得ることができる。
透明樹脂層を構成する透明樹脂および光拡散層を構成する上記微粒子を含有する樹脂組成物から、本発明に用いる樹脂基材フィルムを得るための方法としては、たとえば、フィードブロックを用いる方法、マルチマニホールドダイを用いる方法等、一般に知られる種々の方法を用いることができる。中でも、たとえばフィードブロックを介して積層し、Tダイから多層溶融押出成形し、得られる積層フィルム状物の少なくとも片面をロールまたはベルトに接触させて製膜する方法は、表面性状の良好なフィルムが得られる点で好ましい。とりわけ、樹脂基材フィルムの表面平滑性および表面光沢性を向上させる観点からは、上記多層溶融押出成形して得られる積層フィルム状物の両面をロール表面またはベルト表面に接触させてフィルム化する方法が好ましい。この際に用いるロールまたはベルトにおいて、透明樹脂層を構成する透明樹脂と接するロール表面またはベルト表面は、フィルム表面への平滑性付与のために、その表面が鏡面となっているものが好ましい。
樹脂基材フィルムは、図1(a)に示されるように、2つの透明樹脂層によって光拡散層が挟持された3層構造とすることができ、あるいは図1(b)に示されるように、透明樹脂層とその上に積層された光拡散層とからなる2層構造とすることもできる。これらのなかでは、図1(a)に示されるような3層構造とすることが好ましい。2層構造である場合には、樹脂基材フィルムのいずれかの面に光拡散層表面が露出することになり、表面の平滑性が悪化し、防眩層の凹凸表面に予期せぬ影響を与えたり、または、画像表示装置に貼り合わせて使用する際に貼合気泡などの不都合が発生したりする可能性あるためである。また、光拡散層の表面が露出しないように、透明樹脂層と光拡散層とを交互に配置して3層以上の積層体からなる樹脂基材フィルムを得ることも可能であるが、コスト等に鑑みると、3層構造とすることが好ましい。
(防眩層)
本発明の防眩フィルムが備える防眩層102a,102bにおいて、空間周波数0.01μm-1における凹凸表面の標高のエネルギースペクトルをH1 2、空間周波数0.02μm-1における凹凸表面の標高のエネルギースペクトルをH2 2、空間周波数0.1μm-1における凹凸表面の標高のエネルギースペクトルをH3 2とすると、H1 2/H2 2が2以上15以下の範囲内であり、H1 2/H3 2が1000以上である。
本発明の防眩フィルムが備える防眩層102a,102bにおいて、空間周波数0.01μm-1における凹凸表面の標高のエネルギースペクトルをH1 2、空間周波数0.02μm-1における凹凸表面の標高のエネルギースペクトルをH2 2、空間周波数0.1μm-1における凹凸表面の標高のエネルギースペクトルをH3 2とすると、H1 2/H2 2が2以上15以下の範囲内であり、H1 2/H3 2が1000以上である。
従来、防眩フィルムの微細凹凸表面の周期については、JIS B 0601に記載される粗さ曲線要素の平均長さRSm、断面曲線要素の平均長さPSm、およびうねり曲線要素の平均長さWSmなどで評価されていた。しかしながら、このような従来の評価方法では、微細凹凸表面に含まれる複数の周期を正確に評価することができなかった。よって、ギラツキと微細凹凸表面との相関および防眩性と微細凹凸表面との相関についても正確に評価することができず、ギラツキの抑制と十分な防眩性能を兼備する防眩フィルムを作製することが困難であった。
本発明者らは、微細凹凸表面を有する防眩層を、アクリル系樹脂を含む基材フィルム上に積層した防眩フィルムにおいて、その微細凹凸表面が「微細凹凸表面の標高のエネルギースペクトル」を用いて規定される特定の空間周波数分布を示す、すなわち、標高のエネルギースペクトル比H1 2/H2 2が2以上15以下の範囲内であり、H1 2/H3 2が1000以上である防眩フィルムは、優れた防眩性能を示し、かつ、白ちゃけによる視認性の低下を防止することができるとともに、高精細の画像表示装置に適用した場合においても、ギラツキを発生せずに高いコントラストを発現することを見出した。
まず、防眩層が有する微細凹凸表面の標高のエネルギースペクトルについて説明する。図2は、本発明の防眩フィルムの表面を模式的に示す斜視図である。図2に示されるように、本発明の防眩フィルム1は、微細な凹凸2から構成される微細凹凸表面を有する防眩層を備える。ここで、本発明でいう「微細凹凸表面の標高」とは、防眩フィルム1表面の任意の点Pにおける、微細凹凸表面の最低点の高さにおいて当該高さを有する仮想的な平面(標高は基準として0μm)からの防眩フィルムの主法線方向5(上記仮想的な平面における法線方向)における直線距離を意味する。図2に示すように、防眩フィルム面内の直交座標を(x,y)で表示した際には、微細凹凸表面の標高は座標(x,y)の二次元関数h(x,y)で表すことができる。図2には、防眩フィルム全体の面を投影面3で表示している。
微細凹凸表面の標高は、共焦点顕微鏡、干渉顕微鏡、原子間力顕微鏡(AFM)などの装置により測定される表面形状の三次元情報から求めることができる。測定機に要求される水平分解能は、少なくとも5μm以下、好ましくは2μm以下であり、また垂直分解能は、少なくとも0.1μm以下、好ましくは0.01μm以下である。この測定に好適な非接触三次元表面形状・粗さ測定機としては、New View 5000シリーズ(Zygo Corporation社製、日本ではザイゴ(株)から入手可能)、三次元顕微鏡PLμ2300(Sensofar社製)などを挙げることができる。測定面積は、標高のエネルギースペクトルの分解能が0.01μm-1以下である必要があるため、少なくとも200μm×200μm以上とするのが好ましく、より好ましくは、500μm×500μm以上である。
次に、二次元関数h(x,y)より標高のエネルギースペクトルを求める方法について説明する。まず、二次元関数h(x,y)より、下記式(1)で定義される二次元フーリエ変換によって二次元関数H(fx,fy)を求める。
ここで、fxおよびfyは、それぞれx方向およびy方向の空間周波数であり、長さの逆数の次元を持つ。また、式(1)中のπは円周率、iは虚数単位である。得られた二次元関数H(fx,fy)を二乗することによって、標高のエネルギースペクトルH2(fx,fy)を求めることができる。このエネルギースペクトルH2(fx,fy)は、防眩層の微細凹凸表面の空間周波数分布を表している。
以下、防眩層の微細凹凸表面のエネルギースペクトルを求める方法をさらに具体的に説明する。上記の共焦点顕微鏡、干渉顕微鏡、原子間力顕微鏡などによって実際に測定される表面形状の三次元情報は、一般的に離散的な値、すなわち、多数の測定点に対応する標高として得られる。図3は、標高を表す関数h(x,y)が離散的に得られる状態を示す模式図である。図3に示すように、防眩フィルム面内の直交座標を(x,y)で表示し、防眩フィルムの投影面3上にx軸方向にΔx毎に分割した線およびy軸方向にΔy毎に分割した線を破線で示すと、実際の測定では微細凹凸表面の標高は、防眩フィルムの投影面3上の各破線の交点毎の離散的な標高値として得られる。
得られる標高値の数は、測定範囲とΔxおよびΔyによって決まり、図3に示すようにx軸方向の測定範囲をX=MΔxとし、y軸方向の測定範囲をY=NΔyとすると、得られる標高値の数は(M+1)×(N+1)個である。
図3に示すように、防眩フィルムの投影面3上の着目点Aの座標を(jΔx,kΔy)(ここで、jは0以上M以下であり、kは0以上N以下である。)とすると、着目点Aに対応する防眩フィルム表面上の点Pの標高は、h(jΔx,kΔy)と表すことができる。
ここで、測定間隔ΔxおよびΔyは、測定機器の水平分解能に依存し、精度良く微細凹凸表面を評価するためには、上述したとおりΔxおよびΔyともに5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。また、測定範囲XおよびYは上述したとおり、ともに200μm以上が好ましく、ともに500μm以上がより好ましい。
このように、実際の測定では微細凹凸表面の標高を表す関数は(M+1)×(N+1)個の値を持つ離散関数h(x,y)として得られる。したがって、測定によって得られた離散関数h(x,y)と下記式(2)で定義される離散フーリエ変換によって離散関数H(fx,fy)が求まり、離散関数H(fx,fy)を二乗することによってエネルギースペクトルの離散関数H2(fx,fy)が求められる。式(2)中のlは−(M+1)/2以上(M+1)/2以下の整数であり、mは−(N+1)/2以上(N+1)/2以下の整数である。また、ΔfxおよびΔfyは、それぞれx方向およびy方向の空間周波数間隔であり、式(3)および式(4)で定義される。ΔfxおよびΔfyは、標高のエネルギースペクトルの水平分解能に相当する。
図4は、本発明の防眩フィルムが備える防眩層の微細凹凸表面の標高を二次元の離散関数h(x,y)で表した図の一例である。図4に示したように、本発明の防眩フィルムの微細凹凸表面は凹凸がランダムに形成されているため、周波数空間(空間周波数領域)における二次元エネルギースペクトルH2(fx,fy)は、周波数空間における原点からの距離f(単に:μm-1)を変数とする一次元関数H2(f)に変換することができる。本発明の防眩フィルムは、この一次元関数H2(f)で表される一次元エネルギースペクトルが一定の特徴を有するものである。
図5に示す周波数空間を用いて具体的に説明する。まず、図5に示すように周波数空間において、原点O(fx=0,fy=0)から(n−1/2)Δf以上(n+1/2)Δf未満の距離に位置する全ての点(図5中の黒丸の点)の個数Nnを計算する。図5に示した例ではNn=16個である。次に、原点Oから(n−1/2)Δf以上(n+1/2)Δf未満の距離に位置する全ての点のH2(fx,fy)の合計値H2n(図5中の黒丸の点におけるH2(fx,fy)の合計値)を計算し、式(5)に示すように、その合計値H2 nを点の個数Nnで割ったものをH2(f)の値とした。
ここで、M≧Nの場合、nは0以上N/2以下の整数であり、M<Nの場合、nは0以上M/2以下の整数である。なお、MおよびNは、図3に示されるように、それぞれx軸方向の測定点の数およびy軸方向の測定点の数を意味する。また、Δfは(Δfx+Δfy)/2とした。
一般的に前記した方法によって求められる一次元エネルギースペクトルは測定の際の雑音を含んでいる。ここで一次元エネルギースペクトルを求めるのに際して、この雑音の影響を除くためには、防眩フィルム上の複数箇所の微細凹凸表面の標高を測定し、それぞれの微細凹凸表面の標高から求められる一次元エネルギースペクトルの平均値を一次元エネルギースペクトルH2(f)として用いることが好ましい。防眩フィルム上の微細凹凸表面の標高を測定する箇所の数は3箇所以上が好ましく、より好ましくは5箇所以上である。
上述したように、本発明に係る防眩層において、空間周波数0.01μm-1における微細凹凸表面の標高のエネルギースペクトルH1 2と、空間周波数0.02μm-1における標高のエネルギースペクトルH2 2との比H1 2/H2 2は、2以上15以下の範囲内とされる。標高のエネルギースペクトルの比H1 2/H2 2が2を下回ることは、防眩層の微細凹凸表面に含まれる100μm以上の長周期の凹凸形状が少なく、50μm未満の短周期の凹凸形状が多いことを示している。そのような場合には外光の映り込みを効果的に防止することができず、十分な防眩性能が得られない。また、これに対して、標高のエネルギースペクトルの比H1 2/H2 2が15を上回ることは、微細凹凸表面に含まれる100μm以上の長周期の凹凸形状が多く、50μm未満の短周期の凹凸形状が少ないことを示している。そのような場合には、防眩フィルムを高精細の画像表示装置に配置した際にギラツキを発生させる傾向にある。より優れた防眩性能を示しつつ、ギラツキをより効果的に抑制するためには、標高のエネルギースペクトルの比H1 2/H2 2は、2以上15以下の範囲内であることが好ましく、4以上10以下の範囲内であることがより好ましい。
また、本発明に係る防眩層において、空間周波数0.1μm-1における微細凹凸表面の標高のエネルギースペクトルH3 2と、空間周波数0.01μm-1における標高のエネルギースペクトルH1 2との比H1 2/H3 2は、1000以上とされ、好ましくは2000以上とされる。比H1 2/H3 2が1000以上であることは、微細凹凸表面に含まれる10μm未満の短周期成分が十分に低減されていることを示しており、これにより白ちゃけの発生を効果的に抑制することができる。微細凹凸表面に含まれる10μm未満の短周期成分は、防眩性に効果的に寄与しない一方、微細凹凸表面に入射した光を散乱させて白ちゃけの原因となるものである。
このようなパターンを用いて防眩フィルムの微細凹凸表面を形成する方法としては、当該パターンを用いて凹凸面を有する金型を作製し、当該金型の凹凸面を、基材フィルム上に形成された樹脂層の表面に転写する方法(エンボス法)が好ましい。
本発明者らはまた、防眩層の微細凹凸表面が特定の傾斜角度分布を示すようにすることが、優れた防眩性能を示しつつ、白ちゃけを効果的に防止する上で一層有効であることを見出した。すなわち、本発明の防眩フィルムにおいて、防眩層の微細凹凸表面は、傾斜角度が5°以下である面を95%以上含む。傾斜角度が5°以下である面の割合が95%を下回ると、凹凸表面の傾斜角度が急峻になって、周囲からの光を集光し、表示面が全体的に白くなる白ちゃけが発生しやすくなる。このような集光効果を抑制し、白ちゃけを防止するためには、微細凹凸表面の傾斜角度が5°以下である面の割合が高ければ高いほどよく、97%以上であることが好ましく、99%以上であることがより好ましい。
ここで、本発明でいう「微細凹凸表面の傾斜角度」とは、図2を参照して、防眩フィルム1表面の任意の点Pにおいて、防眩フィルムの主法線方向5に対する、そこでの凹凸を加味した局所的な法線6のなす角度(表面傾斜角度)ψを意味する。微細凹凸表面の傾斜角度についても標高と同様に、共焦点顕微鏡、干渉顕微鏡、原子間力顕微鏡(AFM)などの装置により測定される表面形状の三次元情報から求めることができる。
ここで、図6は、微細凹凸表面の傾斜角度の測定方法を説明するための模式図である。具体的な傾斜角度の決定方法を説明すると、図6に示すように、点線で示される仮想的な平面FGHI上の着目点Aを決定し、そこを通るx軸上の着目点Aの近傍に、点Aに対してほぼ対称に点BおよびDを、また点Aを通るy軸上の着目点Aの近傍に、点Aに対してほぼ対称に点CおよびEをとり、これらの点B,C,D,Eに対応する防眩フィルム面上の点Q,R,S,Tを決定する。なお図6では、防眩フィルム面内の直交座標を(x,y)で表示し、防眩フィルム厚み方向の座標をzで表示している。平面FGHIは、y軸上の点Cを通るx軸に平行な直線、および同じくy軸上の点Eを通るx軸に平行な直線と、x軸上の点Bを通るy軸に平行な直線、および同じくx軸上の点Dを通るy軸に平行な直線とのそれぞれの交点F,G,H,Iによって形成される面である。また図6では、平面FGHIに対して、実際の防眩フィルム面の位置が上方にくるように描かれているが、着目点Aのとる位置によって当然ながら、実際の防眩フィルム面の位置が平面FGHIの上方にくることもあるし、下方にくることもある。
傾斜角度は、着目点Aに対応する実際の防眩フィルム面上の点Pと、その近傍にとられた4点B,C,D,Eに対応する実際の防眩フィルム面上の点Q,R,S,Tの合計5点により張られるポリゴン4平面、すなわち、四つの三角形PQR,PRS,PST,PTQの各法線ベクトル6a,6b,6c,6dを平均して得られる平均法線ベクトル(平均法線ベクトルは、図2に示される凹凸を加味した局所的な法線6と同義である)の極角を、測定された表面形状の三次元情報から求めることにより得ることができる。各測定点について傾斜角度を求めた後、ヒストグラムが計算される。
図7は、防眩フィルムが備える防眩層の微細凹凸表面の傾斜角度分布のヒストグラムの一例を示すグラフである。図7に示すグラフにおいて、横軸は傾斜角度であって、0.5°刻みで分割してある。たとえば、一番左の縦棒は、傾斜角度が0〜0.5°の範囲にある集合の分布を示し、以下、右へ行くにつれて角度が0.5°ずつ大きくなっている。図7では、横軸の2目盛毎に値の下限値を表示しており、たとえば、横軸で「1」とある部分は、傾斜角度が1〜1.5°の範囲にある集合の分布を示す。また、縦軸は傾斜角度の分布を表し、合計すれば1(100%)になる値である。この例では、傾斜角度が5°以下である面の割合は略100%である。
本発明は、防眩層の微細凹凸表面の傾斜角度が5°以下である面を95%以上含む。このような防眩フィルムを作製するためには、やはり、パターンを用いて凹凸面を有する金型を作製し、当該金型の凹凸面を、基材フィルム上に形成された樹脂層の表面に転写する方法(エンボス法)を採用することが好ましい。このようなエンボス法においては、防眩層の微細凹凸表面の傾斜角度は凹凸面を有する金型の製造条件によって決定される。具体的には、後述する金型の製造方法におけるエッチング工程のエッチング量を変化させることで制御することができる。すなわち、第1エッチング工程におけるエッチング量を減少させることによって、形成される第1の表面凹凸形状の高低差を小さくし、傾斜角度が5°以下である面の割合を増加させることができる。傾斜角度が5°以下である面を95%以上含む微細凹凸表面を有する防眩フィルムを得るためには、第1エッチング工程におけるエッチング量は、2〜8μmであることが好ましい。エッチング量が2μm未満である場合には、金属表面に凹凸形状がほとんど形成されずに、ほぼ平坦な金型となってしまうので、このような金型を用いて作製される防眩フィルムは、十分な防眩性を示さなくなってしまう。また、エッチング量が8μmを超える場合には、金属表面に形成される凹凸形状の高低差が大きくなり、傾斜角度が5°以下である面が95%未満となる可能性がある。このような金型を使用して作製した防眩フィルムは白ちゃけが生じる虞がある。
また、第2エッチング工程におけるエッチング量によっても防眩層の微細凹凸表面の傾斜角度を制御することができる。第2エッチング工程におけるエッチング量を増加させることによって、第1の表面凹凸形状の表面傾斜が急峻な部分を効果的に鈍らすことが可能となり、傾斜角度が5°以下である面の割合を増加させることができる。傾斜角度が5°以下である面を95%以上含む微細凹凸表面を有する防眩フィルムを得るためには、第2エッチング工程におけるエッチング量は4〜20μmの範囲内とすることが好ましい。エッチング量が小さいと、第1エッチング工程により得られた凹凸の表面形状を鈍らせる効果が不十分であり、その凹凸形状を転写して得られる防眩フィルムの光学特性があまり良くならない。一方で、エッチング量が大きすぎると、凹凸形状がほとんどなくなってしまい、ほぼ平坦な金型となってしまうので、防眩性を示さなくなってしまう。
本発明の防眩フィルムに用いられる、表面に微細凹凸形状を有する防眩層は、その表面ヘイズが0.3%以上5%以下、内部ヘイズが1%以下である。ここで、防眩層の表面ヘイズおよび内部ヘイズは、次のようにして測定される。すなわち、まず、該防眩層をヘイズがほぼ0%であるトリアセチルセルロースフィルム上に形成した後、トリアセチルセルロースフィルム側が接合面となるように、該積層フィルムとガラス基板とを、透明粘着剤を用いて貼合し、JIS K 7136に準拠してヘイズを測定する。当該ヘイズは、防眩層全体のヘイズに相当する。次に、防眩層の凹凸表面に、ヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムをグリセリンを用いて貼合し、再度JIS K 7136に準拠してヘイズを測定する。当該ヘイズは、表面凹凸に起因する表面ヘイズが表面凹凸上に貼合されたトリアセチルセルロースフィルムによってほぼ打ち消されていることから、防眩層の「内部ヘイズ」とみなすことができる。したがって、防眩層の「表面ヘイズ」は、下記式(6)より求められる。
表面ヘイズ=全体のヘイズ−内部ヘイズ 式(6)
上記したように、本発明においては、内部散乱特性が主に樹脂基材フィルムに付与されることから、防眩層の内部ヘイズは1%以下であり、好ましくは実質的に0%である。防眩層の内部ヘイズが実質的に0%である場合、防眩層のヘイズは実質、表面ヘイズのみからなる。防眩層の表面ヘイズは、白ちゃけを抑制する観点から、5%以下とされ、より効果的に白ちゃけを抑えるためには3%以下であることが好ましい。ただし、0.3%を下回る場合には十分な防眩性を示さないことから好ましくない。
上記したように、本発明においては、内部散乱特性が主に樹脂基材フィルムに付与されることから、防眩層の内部ヘイズは1%以下であり、好ましくは実質的に0%である。防眩層の内部ヘイズが実質的に0%である場合、防眩層のヘイズは実質、表面ヘイズのみからなる。防眩層の表面ヘイズは、白ちゃけを抑制する観点から、5%以下とされ、より効果的に白ちゃけを抑えるためには3%以下であることが好ましい。ただし、0.3%を下回る場合には十分な防眩性を示さないことから好ましくない。
<防眩フィルムの製造方法>
本発明の防眩フィルムは、所定のパターンに基づいた表面形状を金型基材の表面に形成する工程を含む方法で、防眩フィルム製造用金型を製造し、製造された金型の凹凸面の形状を透明樹脂フィルムに転写した後、金型の凹凸面の形状が転写された透明樹脂フィルムを金型から剥がすことを含む製造方法により、作製することができる。
本発明の防眩フィルムは、所定のパターンに基づいた表面形状を金型基材の表面に形成する工程を含む方法で、防眩フィルム製造用金型を製造し、製造された金型の凹凸面の形状を透明樹脂フィルムに転写した後、金型の凹凸面の形状が転写された透明樹脂フィルムを金型から剥がすことを含む製造方法により、作製することができる。
上述のような特徴を有する防眩フィルムの微細凹凸表面を精度よく形成するために、上記所定のパターンの一次元エネルギースペクトルを空間周波数に対する強度として表したときのグラフが、空間周波数0.007μm−1以上0.015μm−1以下において1つの極大値を有し、かつ、空間周波数0.05μm−1以上0.1μm−1以下において1つの極大値を有することが好ましい。ここで、「パターン」とは、本発明の防眩フィルムの微細凹凸表面を形成するための画像データや透光部と遮光部を有するマスクなどを意味する。
また、本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法に用いるパターンの空間周波数0.007μm−1以上0.015μm−1以下の第一の極大値の強度は、空間周波数0.05μm−1以上0.1μm−1以下の第二の極大値における強度より小さいことが好ましい。第一の極大値の強度が第二の極大値より大きい場合にはギラツキが強くなる傾向があるため好ましくない。
パターンの二次元エネルギースペクトルは、たとえばパターンが画像データである場合、画像データを2階調の二値化画像データに変換した後、画像データの階調を二次元関数g(x,y)で表し、得られた二次元関数g(x,y)をフーリエ変換して二次元関数G(fx,fy)を計算し、得られた二次元関数G(fx,fy)を二乗することによって求められる。ここで、xおよびyは画像データ面内の直交座標を表し、fxおよびfyはx方向の周波数およびy方向の周波数を表している。
防眩層の微細凹凸表面の標高の二次元エネルギースペクトルを求める場合と同様に、パターンの二次元エネルギースペクトルを求める場合についても、階調の二次元関数g(x,y)は離散関数として得られる場合が一般的である。その場合は、微細凹凸表面の標高の二次元エネルギースペクトルを求める場合と同様に、離散フーリエ変換によって、二次元エネルギースペクトルを計算すれば良い。パターンの一次元エネルギースペクトルは、パターンの二次元エネルギースペクトルから、微細凹凸表面の標高の一次元エネルギースペクトルと同様にして求められる。
図8は、本発明の防眩フィルムを作製するために用いたパターンである画像データの一部を表わした図である。図8に示したパターンである画像データは33mm×33mmの大きさで、12800dpiで作成した。
図9は、図8に示した階調の二次元離散関数g(x,y)を離散フーリエ変換して得られた二次元エネルギースペクトルG2(fx,fy)を微細凹凸表面の標高の一次元エネルギースペクトルと同様に原点からの距離fの関数として表した図である。これより図9に示したパターンは空間周波数0.007μm−1以上0.015μm−1以下に第一の極大値を有し、空間周波数0.05μm−1以上0.15μm−1以下に第二の極大値を有することが分かる。
防眩フィルム(防眩層)を作製するためのパターンの一次元エネルギースペクトルが空間周波数0.007μm−1以上0.015μm−1以下に第一の極大値を有し、空間周波数0.05μm−1以上0.15μm−1以下に第二の極大値を有することによって、微細凹凸表面の標高の一次元エネルギースペクトルの常用対数を空間周波数に対する強度として表したときのグラフが空間周波数0.01μm−1において上に凸の形状を有し、空間周波数0.02μm−1において下に凸の形状を有する防眩フィルムが得られる。
一次元エネルギースペクトルが空間周波数0.007μm−1以上0.015μm−1以下に第一の極大値を有し、空間周波数0.05μm−1以上0.15μm−1以下に第二の極大値を有するパターンを作成するためには、ドットをランダムに配置して作成したパターンや乱数もしくは計算機によって生成された疑似乱数により濃淡を決定したランダムな明度分布を有するパターンから、特定の空間周波数範囲の成分を除去するバンドパスフィルターを通過させれば良い。
本発明の防眩フィルムにおいては、上述したように防眩層の微細凹凸表面の空間周波数分布を適切に形成することが好ましい。よって、本発明の防眩フィルムは、上述したパターンを用いて微細凹凸表面を有する金型を製造し、製造された金型の凹凸面を樹脂基材フィルム上の光硬化性樹脂層等に転写し、次いで凹凸面が転写された防眩層と樹脂基材フィルムとを金型から剥がすことによって、防眩フィルムを製造することを特徴とするエンボス法によって製造されることが好ましい。
ここで、エンボス法としては、光硬化性樹脂を用いるUVエンボス法、熱可塑性樹脂を用いるホットエンボス法が例示され、中でも、生産性の観点から、UVエンボス法が好ましい。
UVエンボス法は、樹脂基材フィルムの表面に光硬化性樹脂層を形成し、その光硬化性樹脂層を金型の凹凸面に押し付けながら硬化させることで、金型の凹凸面が光硬化性樹脂層に転写される方法である。具体的には、樹脂基材フィルム上に紫外線硬化型樹脂を塗工し、塗工した紫外線硬化型樹脂を金型の凹凸面に密着させた状態で樹脂基材フィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させ、その後金型から、硬化後の紫外線硬化型樹脂層が形成された樹脂基材フィルムを剥離することにより、金型の形状を紫外線硬化型樹脂に転写する。
また、UVエンボス法を用いる場合における紫外線硬化型樹脂の種類は特に限定されないが、市販の適宜のものを用いることができる。また、紫外線硬化型樹脂に適宜選択された光開始剤を組み合わせて、紫外線より波長の長い可視光でも硬化が可能な樹脂を用いることも可能である。具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどの多官能アクリレートをそれぞれ単独で、あるいはそれら2種以上を混合して用い、それと、イルガキュアー907(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー184(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、ルシリンTPO(BASF社製)などの光重合開始剤とを混合したものを好適に用いることができる。
一方、ホットエンボス法は、熱可塑性樹脂で形成された樹脂基材フィルムを加熱状態で金型に押し付け、金型の表面形状を樹脂基材フィルムに転写する方法である。ホットエンボス法に用いる樹脂基材フィルムとしては、実質的に透明なものであればいかなるものであってもよく、たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ノルボルネン系化合物をモノマーとする非晶性環状ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂の溶剤キャストフィルムや押出フィルムなどを用いることができる。
<防眩フィルム製造用の金型の製造方法>
以下では、本発明の防眩フィルムの製造に用いる金型を製造する方法について説明する。本発明の防眩フィルムの製造に用いる金型の製造方法については、上述したパターンを用いた所定の表面形状が得られる方法であれば、特に制限されないが、微細凹凸表面を精度よく、かつ、再現性よく製造するために、〔1〕第1めっき工程と、〔2〕研磨工程と、〔3〕感光性樹脂膜形成工程と、〔4〕露光工程と、〔5〕現像工程と、〔6〕第1エッチング工程と、〔7〕感光性樹脂膜剥離工程と、〔8〕第2めっき工程とを基本的に含むことが好ましい。図10は、金型の製造方法の前半部分の好ましい一例を模式的に示す図である。図10には、各工程での金型の断面を模式的に示している。以下、図10を参照しながら、上記各工程について詳細に説明する。
以下では、本発明の防眩フィルムの製造に用いる金型を製造する方法について説明する。本発明の防眩フィルムの製造に用いる金型の製造方法については、上述したパターンを用いた所定の表面形状が得られる方法であれば、特に制限されないが、微細凹凸表面を精度よく、かつ、再現性よく製造するために、〔1〕第1めっき工程と、〔2〕研磨工程と、〔3〕感光性樹脂膜形成工程と、〔4〕露光工程と、〔5〕現像工程と、〔6〕第1エッチング工程と、〔7〕感光性樹脂膜剥離工程と、〔8〕第2めっき工程とを基本的に含むことが好ましい。図10は、金型の製造方法の前半部分の好ましい一例を模式的に示す図である。図10には、各工程での金型の断面を模式的に示している。以下、図10を参照しながら、上記各工程について詳細に説明する。
〔1〕第1めっき工程
本工程では、金型に用いる基材の表面に、銅めっきまたはニッケルめっきを施す。このように、金型用基材の表面に銅めっきまたはニッケルめっきを施すことにより、後の第2めっき工程におけるクロムめっきの密着性や光沢性を向上させることができる。これは、銅めっきまたはニッケルめっきは、被覆性が高く、また平滑化作用が強いことから、金型用基材の微小な凹凸や鬆などを埋めて平坦で光沢のある表面を形成するためである。これらの銅めっきまたはニッケルめっきの特性によって、後述する第2めっき工程においてクロムめっきを施したとしても、基材に存在していた微小な凹凸や鬆に起因すると思われるクロムめっき表面の荒れが解消され、また、銅めっきまたはニッケルめっきの被覆性の高さから、細かいクラックの発生が低減される。
本工程では、金型に用いる基材の表面に、銅めっきまたはニッケルめっきを施す。このように、金型用基材の表面に銅めっきまたはニッケルめっきを施すことにより、後の第2めっき工程におけるクロムめっきの密着性や光沢性を向上させることができる。これは、銅めっきまたはニッケルめっきは、被覆性が高く、また平滑化作用が強いことから、金型用基材の微小な凹凸や鬆などを埋めて平坦で光沢のある表面を形成するためである。これらの銅めっきまたはニッケルめっきの特性によって、後述する第2めっき工程においてクロムめっきを施したとしても、基材に存在していた微小な凹凸や鬆に起因すると思われるクロムめっき表面の荒れが解消され、また、銅めっきまたはニッケルめっきの被覆性の高さから、細かいクラックの発生が低減される。
第1めっき工程において用いられる銅またはニッケルとしては、それぞれの純金属であることができるほか、銅を主体とする合金、またはニッケルを主体とする合金であってもよく、したがって、本明細書でいう「銅」は、銅および銅合金を含む意味であり、また「ニッケル」は、ニッケルおよびニッケル合金を含む意味である。銅めっきおよびニッケルめっきは、それぞれ電解めっきで行なっても無電解めっきで行なってもよいが、通常は電解めっきが採用される。
銅めっきまたはニッケルめっきを施す際には、めっき層が余り薄いと、下地表面の影響が排除しきれないことから、その厚みは50μm以上であるのが好ましい。めっき層厚みの上限は臨界的でないが、コストなどに鑑み、500μm程度までとすることが好ましい。
金型用基材を構成する金属材料としては、コストの観点からアルミニウム、鉄などが挙げられる。さらに取扱いの利便性を考慮すると、軽量なアルミニウムを用いることが好ましい。ここでいうアルミニウムや鉄も、それぞれ純金属であることができるほか、アルミニウムまたは鉄を主体とする合金であってもよい。
また、金型用基材の形状は、当該分野において従来採用されている適宜の形状であってよく、たとえば、平板状のほか、円柱状または円筒状のロールであってもよい。ロール状の基材を用いて金型を作製すれば、防眩フィルムを連続的なロール状で製造することができるという利点がある。
〔2〕研磨工程
続く研磨工程では、上述した第1めっき工程にて銅めっきまたはニッケルめっきが施された基材表面を研磨する。当該工程を経て、基材表面は、鏡面に近い状態に研磨されることが好ましい。これは、基材となる金属板や金属ロールは、所望の精度にするために、切削や研削などの機械加工が施されていることが多く、それにより基材表面に加工目が残っており、銅めっきまたはニッケルめっきが施された状態でも、それらの加工目が残ることがあるし、また、めっきした状態で、表面が完全に平滑になるとは限らないためである。すなわち、このような深い加工目などが残った表面に後述する工程を施したとしても、各工程を施した後に形成される凹凸よりも加工目などの凹凸の方が深いことがあり、加工目などの影響が残る可能性があり、そのような金型を用いて防眩フィルムを製造した場合には、光学特性に予期できない影響を及ぼすことがある。図10(a)には、平板状の金型用基材7が、第1めっき工程において銅めっきまたはニッケルめっきをその表面に施され(当該工程で形成した銅めっきまたはニッケルめっきの層については図示せず)、さらに研磨工程によって鏡面研磨された表面8を有するようにされた状態を模式的に示している。
続く研磨工程では、上述した第1めっき工程にて銅めっきまたはニッケルめっきが施された基材表面を研磨する。当該工程を経て、基材表面は、鏡面に近い状態に研磨されることが好ましい。これは、基材となる金属板や金属ロールは、所望の精度にするために、切削や研削などの機械加工が施されていることが多く、それにより基材表面に加工目が残っており、銅めっきまたはニッケルめっきが施された状態でも、それらの加工目が残ることがあるし、また、めっきした状態で、表面が完全に平滑になるとは限らないためである。すなわち、このような深い加工目などが残った表面に後述する工程を施したとしても、各工程を施した後に形成される凹凸よりも加工目などの凹凸の方が深いことがあり、加工目などの影響が残る可能性があり、そのような金型を用いて防眩フィルムを製造した場合には、光学特性に予期できない影響を及ぼすことがある。図10(a)には、平板状の金型用基材7が、第1めっき工程において銅めっきまたはニッケルめっきをその表面に施され(当該工程で形成した銅めっきまたはニッケルめっきの層については図示せず)、さらに研磨工程によって鏡面研磨された表面8を有するようにされた状態を模式的に示している。
銅めっきまたはニッケルめっきが施された基材表面を研磨する方法については特に制限されるものではなく、機械研磨法、電解研磨法、化学研磨法のいずれも使用できる。機械研磨法としては、超仕上げ法、ラッピング、流体研磨法、バフ研磨法などが例示される。また、切削工具を用いて鏡面切削することによって、金型用基材7の表面8を鏡面としてもよい。その際の切削工具の材質や形状などは特に制限されるものではなく、超硬バイト、CBNバイト、セラミックバイト、ダイヤモンドバイトなどを使用することができるが、加工精度の観点からダイヤモンドバイトを用いることが好ましい。
研磨後の表面粗度は、JIS B 0601の規定に準拠した中心線平均粗さRaが0.1μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。研磨後の中心線平均粗さRaが0.1μmより大きいと、最終的な金型表面の凹凸形状に研磨後の表面粗度の影響が残る可能性がある。また、中心線平均粗さRaの下限については特に制限されず、加工時間や加工コストなどを考慮して適宜決定される。
〔3〕感光性樹脂膜形成工程
続く感光性樹脂膜形成工程では、上述した研磨工程によって鏡面研磨を施した金型用基材7の研磨された表面8に、感光性樹脂を溶媒に溶解した溶液として塗布し、加熱・乾燥することにより、感光性樹脂膜を形成する。図10(b)には、金型用基材7の研磨された表面8に感光性樹脂膜9が形成された状態を模式的に示している。
続く感光性樹脂膜形成工程では、上述した研磨工程によって鏡面研磨を施した金型用基材7の研磨された表面8に、感光性樹脂を溶媒に溶解した溶液として塗布し、加熱・乾燥することにより、感光性樹脂膜を形成する。図10(b)には、金型用基材7の研磨された表面8に感光性樹脂膜9が形成された状態を模式的に示している。
感光性樹脂としては従来公知の感光性樹脂を用いることができる。感光部分が硬化する性質をもったネガ型の感光性樹脂としては、たとえば、分子中にアクリル基またはメタアクリル基を有するアクリル酸エステルの単量体やプレポリマー、ビスアジドとジエンゴムとの混合物、ポリビニルシンナマート系化合物等を用いることができる。また、現像により感光部分が溶出し、未感光部分だけが残る性質をもったポジ型の感光性樹脂としては、たとえば、フェノール樹脂系やノボラック樹脂系等を用いることができる。また、感光性樹脂には、必要に応じて、増感剤、現像促進剤、密着性改質剤、塗布性改良剤等の各種添加剤を配合してもよい。
これらの感光性樹脂を金型用基材7の研磨された表面8に塗布する際には、良好な塗膜を形成するために、適当な溶媒に希釈して塗布することが好ましい。溶媒としては、セロソルブ系溶媒、プロピレングリコール系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、高極性溶媒等を使用することができる。
感光性樹脂溶液を塗布する方法としては、メニスカスコート、ファウンティンコート、ディップコート、回転塗布、ロール塗布、ワイヤーバー塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、およびカーテン塗布等の公知の方法を用いることができる。塗布膜の厚さは乾燥後で1〜6μmの範囲とすることが好ましい。
〔4〕露光工程
続く露光工程では、上記エネルギースペクトルが0μm-1より大きく0.04μm-1以下の範囲内に極大値を持たないパターンを、上述した感光性樹脂膜形成工程で形成された感光性樹脂膜9上に露光する。露光工程に用いる光源は、塗布された感光性樹脂の感光波長や感度等に合わせて適宜選択すればよく、たとえば、高圧水銀灯のg線(波長:436nm)、高圧水銀灯のh線(波長:405nm)、高圧水銀灯のi線(波長:365nm)、半導体レーザ(波長:830nm、532nm、488nm、405nm等)、YAGレーザ(波長:1064nm)、KrFエキシマーレーザ(波長:248nm)、ArFエキシマーレーザ(波長:193nm)、F2エキシマーレーザ(波長:157nm)等を用いることができる。
続く露光工程では、上記エネルギースペクトルが0μm-1より大きく0.04μm-1以下の範囲内に極大値を持たないパターンを、上述した感光性樹脂膜形成工程で形成された感光性樹脂膜9上に露光する。露光工程に用いる光源は、塗布された感光性樹脂の感光波長や感度等に合わせて適宜選択すればよく、たとえば、高圧水銀灯のg線(波長:436nm)、高圧水銀灯のh線(波長:405nm)、高圧水銀灯のi線(波長:365nm)、半導体レーザ(波長:830nm、532nm、488nm、405nm等)、YAGレーザ(波長:1064nm)、KrFエキシマーレーザ(波長:248nm)、ArFエキシマーレーザ(波長:193nm)、F2エキシマーレーザ(波長:157nm)等を用いることができる。
金型の表面凹凸形状、ひいては防眩層の表面凹凸形状を精度良く形成するためには、露光工程において、上記パターンを感光性樹脂膜上に精密に制御された状態で露光することが好ましく、具体的には、コンピュータ上でパターンを画像データとして作成し、その画像データに基づいたパターンを、コンピュータ制御されたレーザヘッドから発するレーザ光によって描画することが好ましい。レーザ描画を行なうに際しては印刷版作成用のレーザ描画装置を使用することができる。このようなレーザ描画装置としては、たとえばLaser Stream FX((株)シンク・ラボラトリー製)等が挙げられる。
図10(c)には、感光性樹脂膜9にパターンが露光された状態を模式的に示している。感光性樹脂膜をネガ型の感光性樹脂で形成した場合には、露光された領域10は露光によって樹脂の架橋反応が進行し、後述する現像液に対する溶解性が低下する。よって、現像工程において露光されていない領域11が現像液によって溶解され、露光された領域10のみ基材表面上に残りマスクとなる。一方、感光性樹脂膜をポジ型の感光性樹脂で形成した場合には、露光された領域10は露光によって樹脂の結合が切断され、後述する現像液に対する溶解性が増加する。よって、現像工程において露光された領域10が現像液によって溶解され、露光されていない領域11のみ基材表面上に残りマスクとなる。
〔5〕現像工程
続く現像工程においては、感光性樹脂膜9にネガ型の感光性樹脂を用いた場合には、露光されていない領域11は現像液によって溶解され、露光された領域10のみ金型用基材上に残存し、続く第1エッチング工程においてマスクとして作用する。一方、感光性樹脂膜9にポジ型の感光性樹脂を用いた場合には、露光された領域10のみ現像液によって溶解され、露光されていない領域11が金型用基材上に残存して、続く第1エッチング工程におけるマスクとして作用する。
続く現像工程においては、感光性樹脂膜9にネガ型の感光性樹脂を用いた場合には、露光されていない領域11は現像液によって溶解され、露光された領域10のみ金型用基材上に残存し、続く第1エッチング工程においてマスクとして作用する。一方、感光性樹脂膜9にポジ型の感光性樹脂を用いた場合には、露光された領域10のみ現像液によって溶解され、露光されていない領域11が金型用基材上に残存して、続く第1エッチング工程におけるマスクとして作用する。
現像工程に用いる現像液については従来公知のものを使用することができる。たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液;および、キシレン、トルエン等の有機溶剤等を挙げることができる。
現像工程における現像方法については特に制限されず、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法を用いることができる。
図10(d)には、感光性樹脂膜9にネガ型の感光性樹脂を用いて、現像処理を行なった状態を模式的に示している。図10(c)において露光されていない領域11が現像液によって溶解され、露光された領域10のみ基材表面上に残りマスク12となる。図10(e)には、感光性樹脂膜9にポジ型の感光性樹脂を用いて、現像処理を行なった状態を模式的に示している。図10(c)において露光された領域10が現像液によって溶解され、露光されていない領域11のみ基材表面上に残りマスク12となる。
〔6〕第1エッチング工程
続く第1エッチング工程では、上述した現像工程後に金型用基材表面上に残存した感光性樹脂膜をマスクとして用いて、主にマスクの無い箇所の金型用基材をエッチングし、研磨されためっき面に凹凸を形成する。図11は、金型の製造方法の後半部分の好ましい一例を模式的に示す図である。図11(a)には第1エッチング工程によって、主にマスクの無い箇所13の金型用基材7がエッチングされる状態を模式的に示している。マスク12の下部の金型用基材7は金型用基材表面からはエッチングされないが、エッチングの進行とともにマスクの無い箇所13からのエッチングが進行する。よって、マスク12とマスクの無い箇所13との境界付近では、マスク12の下部の金型用基材7もエッチングされる。このようなマスク12とマスクの無い箇所13との境界付近において、マスク12の下部の金型用基材7もエッチングされることをサイドエッチングと呼ぶ。
続く第1エッチング工程では、上述した現像工程後に金型用基材表面上に残存した感光性樹脂膜をマスクとして用いて、主にマスクの無い箇所の金型用基材をエッチングし、研磨されためっき面に凹凸を形成する。図11は、金型の製造方法の後半部分の好ましい一例を模式的に示す図である。図11(a)には第1エッチング工程によって、主にマスクの無い箇所13の金型用基材7がエッチングされる状態を模式的に示している。マスク12の下部の金型用基材7は金型用基材表面からはエッチングされないが、エッチングの進行とともにマスクの無い箇所13からのエッチングが進行する。よって、マスク12とマスクの無い箇所13との境界付近では、マスク12の下部の金型用基材7もエッチングされる。このようなマスク12とマスクの無い箇所13との境界付近において、マスク12の下部の金型用基材7もエッチングされることをサイドエッチングと呼ぶ。
第1エッチング工程におけるエッチング処理は、通常、塩化第二鉄(FeCl3)液、
塩化第二銅(CuCl2)液、アルカリエッチング液(Cu(NH3)4Cl2)等を用いて、金属表面を腐食させることによって行なわれるが、塩酸や硫酸などの強酸を用いることもできるし、電解めっき時と逆の電位をかけることによる逆電解エッチングを用いることもできる。エッチング処理を施した際の金型用基材に形成される凹形状は、下地金属の種類、感光性樹脂膜の種類およびエッチング手法等によって異なるため、一概にはいえないが、エッチング量が10μm以下である場合には、エッチング液に触れている金属表面から略等方的にエッチングされる。ここでいうエッチング量とは、エッチングにより削られる基材の厚みである。
塩化第二銅(CuCl2)液、アルカリエッチング液(Cu(NH3)4Cl2)等を用いて、金属表面を腐食させることによって行なわれるが、塩酸や硫酸などの強酸を用いることもできるし、電解めっき時と逆の電位をかけることによる逆電解エッチングを用いることもできる。エッチング処理を施した際の金型用基材に形成される凹形状は、下地金属の種類、感光性樹脂膜の種類およびエッチング手法等によって異なるため、一概にはいえないが、エッチング量が10μm以下である場合には、エッチング液に触れている金属表面から略等方的にエッチングされる。ここでいうエッチング量とは、エッチングにより削られる基材の厚みである。
第1エッチング工程におけるエッチング量は好ましくは1〜50μmであり、より好ましくは2〜10μmである。エッチング量が1μm未満である場合には、金属表面に凹凸形状がほとんど形成されずに、ほぼ平坦な金型となってしまうので、防眩性を示さなくなってしまう。また、エッチング量が50μmを超える場合には、金属表面に形成される凹凸形状の高低差が大きくなり、得られた金型を使用して作製した防眩フィルムを適用した画像表示装置において白ちゃけが生じる虞がある。傾斜角度が5°以下である面を95%以上含む微細凹凸表面を有する防眩フィルムを得るためには、第1エッチング工程におけるエッチング量は、2〜8μmであることがより好ましい。第1エッチング工程におけるエッチング処理は1回のエッチング処理によって行なってもよいし、エッチング処理を2回以上に分けて行なってもよい。エッチング処理を2回以上に分けて行なう場合には、2回以上のエッチング処理におけるエッチング量の合計が上記範囲内とされることが好ましい。
〔7〕感光性樹脂膜剥離工程
続く感光性樹脂膜剥離工程では、第1エッチング工程でマスクとして使用した残存する感光性樹脂膜を完全に溶解し除去する。感光性樹脂膜剥離工程では剥離液を用いて感光性樹脂膜を溶解する。剥離液としては、上述した現像液と同様のものを用いることができる。剥離液のpH、温度、濃度および浸漬時間等を変化させることによって、ネガ型の感光性樹脂膜を用いた場合には露光部の、ポジ型の感光性樹脂膜を用いた場合には非露光部の感光性樹脂膜を完全に溶解して除去する。感光性樹脂膜剥離工程における剥離方法についても特に制限されず、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法を用いることができる。
続く感光性樹脂膜剥離工程では、第1エッチング工程でマスクとして使用した残存する感光性樹脂膜を完全に溶解し除去する。感光性樹脂膜剥離工程では剥離液を用いて感光性樹脂膜を溶解する。剥離液としては、上述した現像液と同様のものを用いることができる。剥離液のpH、温度、濃度および浸漬時間等を変化させることによって、ネガ型の感光性樹脂膜を用いた場合には露光部の、ポジ型の感光性樹脂膜を用いた場合には非露光部の感光性樹脂膜を完全に溶解して除去する。感光性樹脂膜剥離工程における剥離方法についても特に制限されず、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法を用いることができる。
図11(b)は、感光性樹脂膜剥離工程によって、第1エッチング工程でマスク12として使用した感光性樹脂膜を完全に溶解し除去した状態を模式的に示している。感光性樹脂膜からなるマスク12を利用したエッチングによって、第1の表面凹凸形状15が金型用基材表面に形成されている。
〔8〕第2めっき工程
続いて、形成された凹凸面(第1の表面凹凸形状15)にクロムめっきを施すことによって、表面の凹凸形状を鈍らせる。図11(c)には、第1エッチング工程のエッチング処理によって形成された第1の表面凹凸形状15にクロムめっき層16を形成することにより、第1の表面凹凸形状15よりも凹凸が鈍った表面(クロムめっきの表面17)が形成されている状態が示されている。
続いて、形成された凹凸面(第1の表面凹凸形状15)にクロムめっきを施すことによって、表面の凹凸形状を鈍らせる。図11(c)には、第1エッチング工程のエッチング処理によって形成された第1の表面凹凸形状15にクロムめっき層16を形成することにより、第1の表面凹凸形状15よりも凹凸が鈍った表面(クロムめっきの表面17)が形成されている状態が示されている。
クロムめっきとしては、平板やロールなどの表面に、光沢があって、硬度が高く、摩擦係数が小さく、良好な離型性を与え得るクロムめっきを採用することが好ましい。このようなクロムめっきとしては特に制限されないが、いわゆる光沢クロムめっきや装飾用クロムめっきなどと呼ばれる、良好な光沢を発現するクロムめっきを用いることが好ましい。クロムめっきは通常、電解によって行なわれ、そのめっき浴としては、無水クロム酸(CrO3)と少量の硫酸を含む水溶液が用いられる。電流密度と電解時間を調節することにより、クロムめっきの厚みを制御することができる。
なお、第2めっき工程において、クロムめっき以外のめっきを施すことは好ましくない。何故なら、クロム以外のめっきでは、硬度や耐摩耗性が低くなるため、金型としての耐久性が低下し、使用中に凹凸が磨り減ったり、金型が損傷したりする。そのような金型から得られた防眩フィルムでは、十分な防眩機能が得られにくい可能性が高く、また、防眩フィルム上に欠陥が発生する可能性も高くなる。
また、めっき後の表面研磨も好ましくない。すなわち、第2のめっき工程後に表面を研磨する工程を設けることなく、クロムめっきが施された凹凸面を、そのまま基材フィルム上の樹脂層表面に転写される金型の凹凸面として用いることが好ましい。研磨することにより、最表面に平坦な部分が生じるため、光学特性の悪化を招く可能性があること、また、形状の制御因子が増えるため、再現性のよい形状制御が困難になることなどの理由による。
このように、微細表面凹凸形状が形成された表面にクロムめっきを施すことにより、凹凸形状が鈍らせられるとともに、その表面硬度が高められた金型が得られる。この際の凹凸の鈍り具合は、下地金属の種類、第1エッチング工程より得られた凹凸のサイズと深さ、まためっきの種類や厚みなどによって異なるため、一概にはいえないが、鈍り具合を制御する上で最も大きな因子は、やはりめっき厚みである。クロムめっきの厚みが薄いと、クロムめっき加工前に得られた凹凸の表面形状を鈍らせる効果が不十分であり、その凹凸形状を転写して得られる防眩フィルムの光学特性があまり良くならない。一方で、めっき厚みが厚すぎると、生産性が悪くなる上に、ノジュールと呼ばれる突起状のめっき欠陥が発生してしまうため好ましくない。そこで、クロムめっきの厚みは1〜10μmの範囲内であるのが好ましく、3〜6μmの範囲内であるのがより好ましい。
当該第2めっき工程で形成されるクロムめっき層は、ビッカース硬度が800以上となるように形成されていることが好ましく、1000以上となるように形成されていることがより好ましい。クロムめっき層のビッカース硬度が800未満である場合には、金型使用時の耐久性が低下する上に、クロムめっきで硬度が低下することはめっき処理時にめっき浴組成、電解条件などに異常が発生している可能性が高く、欠陥の発生状況についても好ましくない影響を与える可能性が高いためである。
また、本発明の防眩フィルムを作製するための金型の製造方法においては、上述した〔7〕感光性樹脂膜剥離工程と〔8〕第2めっき工程との間に、第1エッチング工程によって形成された凹凸面をエッチング処理によって鈍らせる第2エッチング工程を含むことが好ましい。第2エッチング工程では、感光性樹脂膜をマスクとして用いた第1エッチング工程によって形成された第1の表面凹凸形状15を、エッチング処理によって鈍らせる。この第2エッチング処理によって、第1エッチング処理によって形成された第1の表面凹凸形状15における表面傾斜が急峻な部分がなくなり、得られた金型を用いて製造された防眩フィルムの光学特性が好ましい方向へと変化する。図12には、第2エッチング処理によって、金型用基材7の第1の表面凹凸形状15が鈍化し、表面傾斜が急峻な部分が鈍らされ、緩やかな表面傾斜を有する第2の表面凹凸形状18が形成された状態が示されている。
第2エッチング工程のエッチング処理も、第1エッチング工程と同様に、通常、塩化第二鉄(FeCl3)液、塩化第二銅(CuCl2)液、アルカリエッチング液(Cu(NH3)4Cl2)などを用い、表面を腐食させることによって行なわれるが、塩酸や硫酸などの強酸を用いることもできるし、電解めっき時と逆の電位をかけることによる逆電解エッチングを用いることもできる。エッチング処理を施した後の凹凸の鈍り具合は、下地金属の種類、エッチング手法、および第1エッチング工程により得られた凹凸のサイズと深さなどによって異なるため、一概にはいえないが、鈍り具合を制御する上で最も大きな因子は、エッチング量である。ここでいうエッチング量も、第1エッチング工程と同様に、エッチングにより削られる基材の厚みである。エッチング量が小さいと、第1エッチング工程により得られた凹凸の表面形状を鈍らせる効果が不十分であり、その凹凸形状を転写して得られる防眩フィルムの光学特性があまり良くならない。一方で、エッチング量が大きすぎると、凹凸形状がほとんどなくなってしまい、ほぼ平坦な金型となってしまうので、防眩性を示さなくなってしまう。そこで、エッチング量は1〜50μmの範囲内とすることが好ましく、また、傾斜角度が5°以下である面を95%以上含む微細凹凸表面を有する防眩フィルムを得るために、4〜20μmの範囲内とすることがより好ましい。第2エッチング工程におけるエッチング処理についても、第1エッチング工程と同様に、1回のエッチング処理によって行なってもよいし、エッチング処理を2回以上に分けて行なってもよい。エッチング処理を2回以上に分けて行なう場合には、2回以上のエッチング処理におけるエッチング量の合計が上記範囲内とされることが好ましい。
<防眩性偏光板>
本発明の防眩フィルムは、優れた防眩性を示し、良好なコントラストを発現しながら、「白ちゃけ」および「ギラツキ」の発生による視認性の低下を効果的に防止できるため、画像表示装置に装着したときに視認性に優れたものとなる。画像表示装置が液晶ディスプレイである場合には、この防眩フィルムを偏光板に適用することができる。すなわち、偏光板は一般に、ヨウ素または二色性染料が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合された形態のものが多いが、その一方の保護フィルムを本発明の防眩フィルムで構成する。偏光フィルムと、本発明の防眩フィルムとを、その防眩フィルムの基材フィルム側で貼り合わせることにより、防眩性偏光板とすることができる。この場合、偏光フィルムの他方の面は、何も積層されていない状態でもよいし、保護フィルムまたは他の光学フィルムが積層されていてもよいし、また液晶セルに貼合するための粘着剤層が積層されていてもよい。また、偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合された偏光板の当該保護フィルム上に、本発明の防眩フィルムをその基材フィルム側で貼合して、防眩性偏光板とすることもできる。さらに、偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合された偏光板において、当該保護フィルムとして上記基材フィルムを偏光フィルムに貼合した後、この基材フィルム上に防眩層を形成することにより、防眩性偏光板とすることもできる。
本発明の防眩フィルムは、優れた防眩性を示し、良好なコントラストを発現しながら、「白ちゃけ」および「ギラツキ」の発生による視認性の低下を効果的に防止できるため、画像表示装置に装着したときに視認性に優れたものとなる。画像表示装置が液晶ディスプレイである場合には、この防眩フィルムを偏光板に適用することができる。すなわち、偏光板は一般に、ヨウ素または二色性染料が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合された形態のものが多いが、その一方の保護フィルムを本発明の防眩フィルムで構成する。偏光フィルムと、本発明の防眩フィルムとを、その防眩フィルムの基材フィルム側で貼り合わせることにより、防眩性偏光板とすることができる。この場合、偏光フィルムの他方の面は、何も積層されていない状態でもよいし、保護フィルムまたは他の光学フィルムが積層されていてもよいし、また液晶セルに貼合するための粘着剤層が積層されていてもよい。また、偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合された偏光板の当該保護フィルム上に、本発明の防眩フィルムをその基材フィルム側で貼合して、防眩性偏光板とすることもできる。さらに、偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合された偏光板において、当該保護フィルムとして上記基材フィルムを偏光フィルムに貼合した後、この基材フィルム上に防眩層を形成することにより、防眩性偏光板とすることもできる。
偏光フィルムと、本発明の防眩フィルム、または他の光学フィルムとの貼合においては、光硬化性接着剤が好ましく用いられる。光硬化性接着剤としては、たとえば、光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤との混合物などを挙げることができる。
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を画像表示素子と組み合わせたものである。ここで、画像表示素子は、上下基板間に液晶が封入された液晶セルを備え、電圧印加により液晶の配向状態を変化させて画像の表示を行なう液晶パネルが代表的であるが、その他、プラズマディスプレイパネル、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイなど、公知の各種ディスプレイに対しても、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を適用することができる。本発明の画像表示装置においては、防眩フィルムは、画像表示素子よりも視認側に配置される。この際、防眩フィルムの凹凸面、すなわち防眩層側が外側(視認側)となるように配置される。防眩フィルムは、画像表示素子の表面に直接貼合してもよいし、液晶パネルを画像表示手段とする場合は、たとえば先述のように、偏光フィルムを介して液晶パネルの表面に貼合することもできる。このように、本発明の防眩フィルムを備えた画像表示装置は、防眩フィルムの有する表面の凹凸により入射光を散乱して映り込み像をぼかすことができ、優れた視認性を与える。
本発明の画像表示装置は、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を画像表示素子と組み合わせたものである。ここで、画像表示素子は、上下基板間に液晶が封入された液晶セルを備え、電圧印加により液晶の配向状態を変化させて画像の表示を行なう液晶パネルが代表的であるが、その他、プラズマディスプレイパネル、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイなど、公知の各種ディスプレイに対しても、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を適用することができる。本発明の画像表示装置においては、防眩フィルムは、画像表示素子よりも視認側に配置される。この際、防眩フィルムの凹凸面、すなわち防眩層側が外側(視認側)となるように配置される。防眩フィルムは、画像表示素子の表面に直接貼合してもよいし、液晶パネルを画像表示手段とする場合は、たとえば先述のように、偏光フィルムを介して液晶パネルの表面に貼合することもできる。このように、本発明の防眩フィルムを備えた画像表示装置は、防眩フィルムの有する表面の凹凸により入射光を散乱して映り込み像をぼかすことができ、優れた視認性を与える。
また、本発明の防眩フィルムは、高精細の画像表示装置に適用した場合でも、従来の防眩フィルムに見られたようなギラツキが発生することもなく、十分な映り込み防止、白ちゃけの防止、ギラツキの抑制、コントラストの低下抑制という性能を兼備したものとなる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の例における防眩フィルムおよび防眩フィルム製造用のパターンの評価方法は、次のとおりである。
〔1〕防眩フィルムの表面形状の測定
三次元顕微鏡「PLμ2300」(Sensofar社製)を用いて、防眩フィルムの表面形状を測定した。サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。測定の際、対物レンズの倍率は10倍とした。水平分解能ΔxおよびΔyはともに1.66μmであり、測定面積は850μm×850μmであった。
三次元顕微鏡「PLμ2300」(Sensofar社製)を用いて、防眩フィルムの表面形状を測定した。サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。測定の際、対物レンズの倍率は10倍とした。水平分解能ΔxおよびΔyはともに1.66μmであり、測定面積は850μm×850μmであった。
(標高のエネルギースペクトルの比H1 2/H2 2およびH1 2/H3 2)
上で得られた測定データから、防眩フィルムの微細凹凸表面の標高を二次元関数h(x,y)として求め、得られた二次元関数h(x,y)を離散フーリエ変換して二次元関数H(fx,fy)を求めた。二次元関数H(fx,fy)を二乗してエネルギースペクトルの二次元関数H2(fx,fy)を計算し、fx=0の断面曲線であるH2(0,fy)より、空間周波数0.01μm-1におけるエネルギースペクトルH1 2および空間周波数0.02μm-1におけるエネルギースペクトルH2 2を求め、エネルギースペクトルの比H1 2/H2 2を計算した。また、空間周波数0.1μm-1におけるエネルギースペクトルH3 2を求め、エネルギースペクトルの比H1 2/H3 2についても計算した。
上で得られた測定データから、防眩フィルムの微細凹凸表面の標高を二次元関数h(x,y)として求め、得られた二次元関数h(x,y)を離散フーリエ変換して二次元関数H(fx,fy)を求めた。二次元関数H(fx,fy)を二乗してエネルギースペクトルの二次元関数H2(fx,fy)を計算し、fx=0の断面曲線であるH2(0,fy)より、空間周波数0.01μm-1におけるエネルギースペクトルH1 2および空間周波数0.02μm-1におけるエネルギースペクトルH2 2を求め、エネルギースペクトルの比H1 2/H2 2を計算した。また、空間周波数0.1μm-1におけるエネルギースペクトルH3 2を求め、エネルギースペクトルの比H1 2/H3 2についても計算した。
(微細凹凸表面の傾斜角度)
上で得られた測定データをもとに、前述のアルゴリズムに基づいて計算し、凹凸面の傾斜角度のヒストグラムを作成し、そこから傾斜角度毎の分布を求め、傾斜角度が5°以下である面の割合を計算した。
上で得られた測定データをもとに、前述のアルゴリズムに基づいて計算し、凹凸面の傾斜角度のヒストグラムを作成し、そこから傾斜角度毎の分布を求め、傾斜角度が5°以下である面の割合を計算した。
〔2〕防眩フィルムの光学特性の測定
(1)ヘイズ
2つの透明樹脂層によって光拡散層が挟持された3層構造の樹脂基材フィルムの内部ヘイズは、樹脂基材フィルムの一方の面を光学的に透明な粘着剤を用いてガラス基板に貼合し、続いてもう一方の面にヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムを光学的に透明な粘着剤を用いて貼合し、該ガラス基板とトリアセチルセルロースフィルムで挟持された樹脂基材フィルムについて、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて測定した。透明樹脂層とその上に積層された光拡散層とからなる2層構造の樹脂基材フィルムの内部ヘイズは、樹脂基材フィルムの透明樹脂層側の面を光学的に透明な粘着剤を用いてガラス基板に貼合し、続いて光拡散層側の面にヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムをグリセリンを用いて貼合し、該ガラス基板とトリアセチルセルロースフィルムで挟持された樹脂基材フィルムについて、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて測定した。
(1)ヘイズ
2つの透明樹脂層によって光拡散層が挟持された3層構造の樹脂基材フィルムの内部ヘイズは、樹脂基材フィルムの一方の面を光学的に透明な粘着剤を用いてガラス基板に貼合し、続いてもう一方の面にヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムを光学的に透明な粘着剤を用いて貼合し、該ガラス基板とトリアセチルセルロースフィルムで挟持された樹脂基材フィルムについて、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて測定した。透明樹脂層とその上に積層された光拡散層とからなる2層構造の樹脂基材フィルムの内部ヘイズは、樹脂基材フィルムの透明樹脂層側の面を光学的に透明な粘着剤を用いてガラス基板に貼合し、続いて光拡散層側の面にヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムをグリセリンを用いて貼合し、該ガラス基板とトリアセチルセルロースフィルムで挟持された樹脂基材フィルムについて、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて測定した。
防眩層に関しては、まず、防眩層をヘイズがほぼ0%であるトリアセチルセルロースフィルム上に形成した後、トリアセチルセルロースフィルム側が接合面となるように、該積層フィルムとガラス基板とを、光学的に透明な粘着剤を用いて貼合し、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて全体のヘイズを測定した。次に、防眩層の凹凸表面に、ヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムをグリセリンを用いて貼合し、再度JIS K 7136に準拠して、内部ヘイズを測定した。表面ヘイズは、上記式(6)に基づいて算出した。
〔3〕防眩フィルムの防眩性能の評価
(映り込み、白ちゃけの目視評価)
防眩フィルムの裏面からの反射を防止するために、凹凸面が表面となるように黒色アクリル樹脂板に防眩フィルムを貼合し、蛍光灯のついた明るい室内で凹凸面側から目視で観察し、蛍光灯の映り込みの有無、白ちゃけの程度を目視で評価した。映り込み、白ちゃけは、それぞれ3段階で次の基準により評価した。
(映り込み、白ちゃけの目視評価)
防眩フィルムの裏面からの反射を防止するために、凹凸面が表面となるように黒色アクリル樹脂板に防眩フィルムを貼合し、蛍光灯のついた明るい室内で凹凸面側から目視で観察し、蛍光灯の映り込みの有無、白ちゃけの程度を目視で評価した。映り込み、白ちゃけは、それぞれ3段階で次の基準により評価した。
(a)映り込み
A:映り込みが観察されない。
B:映り込みが少し観察される。
C:映り込みが明瞭に観察される。
A:映り込みが観察されない。
B:映り込みが少し観察される。
C:映り込みが明瞭に観察される。
(b)白ちゃけ
A:白ちゃけが観察されない。
B:白ちゃけが少し観察される。
C:白ちゃけが明瞭に観察される。
A:白ちゃけが観察されない。
B:白ちゃけが少し観察される。
C:白ちゃけが明瞭に観察される。
(コントラスト、ギラツキの評価)
市販の液晶テレビ(商品名:55XS5、東芝(株)製)から表裏両面の偏光板を剥離した。それらオリジナル偏光板の代わりに、背面側および表示面側とも、偏光板「スミカラン SRDB31E」(住友化学(株)製)を、それぞれの吸収軸がオリジナルの偏光板の吸収軸と一致するように粘着剤を介して貼合し、さらに表示面側偏光板の上には、以下の各例に示す防眩フィルムを凹凸面が表面となるように粘着剤を介して貼合した。このように作製した液晶表示装置を用いて、コントラストの程度、ギラツキの程度を次のように評価した。
市販の液晶テレビ(商品名:55XS5、東芝(株)製)から表裏両面の偏光板を剥離した。それらオリジナル偏光板の代わりに、背面側および表示面側とも、偏光板「スミカラン SRDB31E」(住友化学(株)製)を、それぞれの吸収軸がオリジナルの偏光板の吸収軸と一致するように粘着剤を介して貼合し、さらに表示面側偏光板の上には、以下の各例に示す防眩フィルムを凹凸面が表面となるように粘着剤を介して貼合した。このように作製した液晶表示装置を用いて、コントラストの程度、ギラツキの程度を次のように評価した。
(a)コントラスト
暗室内で、輝度計BM−5A(トプコン社製)を用いて、液晶表示装置の黒表示状態及び白表示状態における正面輝度を測定し、正面コントラストを算出した。算出値に基づいて、以下の3段階により評価した。
A:防眩フィルムの無い状態と比較してコントラスト低下が5%未満。
B:防眩フィルムの無い状態と比較してコントラスト低下が5%以上10%未満。
C:防眩フィルムの無い状態と比較してコントラスト低下が10%以上。
暗室内で、輝度計BM−5A(トプコン社製)を用いて、液晶表示装置の黒表示状態及び白表示状態における正面輝度を測定し、正面コントラストを算出した。算出値に基づいて、以下の3段階により評価した。
A:防眩フィルムの無い状態と比較してコントラスト低下が5%未満。
B:防眩フィルムの無い状態と比較してコントラスト低下が5%以上10%未満。
C:防眩フィルムの無い状態と比較してコントラスト低下が10%以上。
(b)ギラツキ
液晶表示装置から約30cm離れた位置から、目視観察することにより、ギラツキの程度を3段階で次の基準により評価した。
A:ギラツキが観察されない。
B:ギラツキが少し観察される。
C:ギラツキが明瞭に観察される。
液晶表示装置から約30cm離れた位置から、目視観察することにより、ギラツキの程度を3段階で次の基準により評価した。
A:ギラツキが観察されない。
B:ギラツキが少し観察される。
C:ギラツキが明瞭に観察される。
<実施例1>
(樹脂基材フィルムの作製)
メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(重量比)の共重合体(屈折率:1.49)70重量部にアクリルゴム粒子を30重量部含有させたアクリル系樹脂組成物、ならびにメタクリル酸メチル/スチレン共重合体ビーズ(屈折率:1.505、重量平均粒子径:8μm)を、該アクリル系樹脂組成物100重量部に対してビーズが2重量部となるようにヘンシェルミキサーで混合した後、第1の押出機(スクリュー径:65mm、一軸、ベント付き(東芝機械(株)製))にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。また、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(重量比)の共重合体(屈折率:1.49)70重量部にアクリルゴム粒子を30重量部含有させたアクリル系樹脂組成物を第2の押出機(スクリュー径:45mm、一軸、ベント付き(日立造船(株)製
))にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。第1の押出機からフィードブロックに供給される樹脂が光拡散層(中間層)となり、第2の押出機からフィードブロックに供給される樹脂が透明樹脂層(表層:両面)となるように、265℃で共押出成形を行ない、85℃に設定したロールユニットを介して、厚さ80μm(中間層:50μm、表層:15μm×2)の3層からなる樹脂基材フィルムを作製した。これを、樹脂基材フィルム(A)とする。
(樹脂基材フィルムの作製)
メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(重量比)の共重合体(屈折率:1.49)70重量部にアクリルゴム粒子を30重量部含有させたアクリル系樹脂組成物、ならびにメタクリル酸メチル/スチレン共重合体ビーズ(屈折率:1.505、重量平均粒子径:8μm)を、該アクリル系樹脂組成物100重量部に対してビーズが2重量部となるようにヘンシェルミキサーで混合した後、第1の押出機(スクリュー径:65mm、一軸、ベント付き(東芝機械(株)製))にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。また、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(重量比)の共重合体(屈折率:1.49)70重量部にアクリルゴム粒子を30重量部含有させたアクリル系樹脂組成物を第2の押出機(スクリュー径:45mm、一軸、ベント付き(日立造船(株)製
))にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。第1の押出機からフィードブロックに供給される樹脂が光拡散層(中間層)となり、第2の押出機からフィードブロックに供給される樹脂が透明樹脂層(表層:両面)となるように、265℃で共押出成形を行ない、85℃に設定したロールユニットを介して、厚さ80μm(中間層:50μm、表層:15μm×2)の3層からなる樹脂基材フィルムを作製した。これを、樹脂基材フィルム(A)とする。
(防眩フィルム製造用の金型の作製)
直径200mmのアルミロール(JISによるA5056)の表面に銅バラードめっきが施されたものを用意した。銅バラードめっきは、銅めっき層/薄い銀めっき層/表面銅めっき層からなるものであり、めっき層全体の厚みは、約200μmとなるように設定した。その銅めっき表面を鏡面研磨し、研磨された銅めっき表面に感光性樹脂を塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成した。ついで、図8に示すパターン(ランダムな明度分布を有するパターンから、特定の空間周波数範囲の成分を除去するバンドパスフィルターを通過させて作成した)を繰り返し並べたパターンを感光性樹脂膜上にレーザ光によって露光し、現像した。レーザ光による露光、および現像はLaser Stream FX((株)シンク・ラボラトリー製)を用いて行った。感光性樹脂膜にはポジ型の感光性樹脂を使用した。
直径200mmのアルミロール(JISによるA5056)の表面に銅バラードめっきが施されたものを用意した。銅バラードめっきは、銅めっき層/薄い銀めっき層/表面銅めっき層からなるものであり、めっき層全体の厚みは、約200μmとなるように設定した。その銅めっき表面を鏡面研磨し、研磨された銅めっき表面に感光性樹脂を塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成した。ついで、図8に示すパターン(ランダムな明度分布を有するパターンから、特定の空間周波数範囲の成分を除去するバンドパスフィルターを通過させて作成した)を繰り返し並べたパターンを感光性樹脂膜上にレーザ光によって露光し、現像した。レーザ光による露光、および現像はLaser Stream FX((株)シンク・ラボラトリー製)を用いて行った。感光性樹脂膜にはポジ型の感光性樹脂を使用した。
その後、塩化第二銅液で第1のエッチング処理を行った。その際のエッチング量は4μmとなるように設定した。第1のエッチング処理後のロールから感光性樹脂膜を除去し、再度、塩化第二銅液で第2のエッチング処理を行った。その際のエッチング量は12μmとなるように設定した。その後、クロムめっき加工を行い、金型を作製した。このとき、クロムめっき厚みが4μmとなるように設定した。このように作製した金型を金型(A)とする。
(防眩層の形成)
光硬化性樹脂組成物GRANDIC 806T(大日本インキ化学工業(株)製)を酢酸エチルにて溶解して、50重量%濃度の溶液とし、さらに、光重合開始剤であるルシリンTPO(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を、硬化性樹脂成分100重量部あたり5重量部添加して塗布液を調製した。樹脂基材フィルム(A)上に、この塗布液を乾燥後の塗布厚みが6μmとなるように塗布し、60℃に設定した乾燥機中で3分間乾燥させた。乾燥後の樹脂基材フィルム(A)を、先に得られた金型(A)の凹凸面に、光硬化性樹脂組成物層が金型側となるようにゴムロールで押し付けて密着させた。この状態で樹脂基材フィルム(A)側より、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で200mJ/cm2となるように照射して、光硬化性樹脂組成物層を硬化させた。この後、樹脂基材フィルム(A)を硬化樹脂ごと金型から剥離して、表面に凹凸を有する硬化樹脂(防眩層)と樹脂基材フィルム(A)との積層体からなる、透明な防眩フィルムを作製した。このようにして得られた防眩フィルムを防眩フィルム(A)とする。
光硬化性樹脂組成物GRANDIC 806T(大日本インキ化学工業(株)製)を酢酸エチルにて溶解して、50重量%濃度の溶液とし、さらに、光重合開始剤であるルシリンTPO(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を、硬化性樹脂成分100重量部あたり5重量部添加して塗布液を調製した。樹脂基材フィルム(A)上に、この塗布液を乾燥後の塗布厚みが6μmとなるように塗布し、60℃に設定した乾燥機中で3分間乾燥させた。乾燥後の樹脂基材フィルム(A)を、先に得られた金型(A)の凹凸面に、光硬化性樹脂組成物層が金型側となるようにゴムロールで押し付けて密着させた。この状態で樹脂基材フィルム(A)側より、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で200mJ/cm2となるように照射して、光硬化性樹脂組成物層を硬化させた。この後、樹脂基材フィルム(A)を硬化樹脂ごと金型から剥離して、表面に凹凸を有する硬化樹脂(防眩層)と樹脂基材フィルム(A)との積層体からなる、透明な防眩フィルムを作製した。このようにして得られた防眩フィルムを防眩フィルム(A)とする。
<実施例2>
樹脂基材フィルムに含まれるメタクリル酸メチル/スチレン共重合体ビーズの含有量を該アクリル系樹脂組成物100重量部に対して3重量部としたこと以外は実施例1と同様にして防眩フィルムを得た。
樹脂基材フィルムに含まれるメタクリル酸メチル/スチレン共重合体ビーズの含有量を該アクリル系樹脂組成物100重量部に対して3重量部としたこと以外は実施例1と同様にして防眩フィルムを得た。
<比較例1>
樹脂基材フィルムのメタクリル酸メチル/スチレン共重合体ビーズの含有量を、該アクリル系樹脂組成物100重量部に対して15重量部とした以外は実施例1と同様にして防眩フィルムを得た。
樹脂基材フィルムのメタクリル酸メチル/スチレン共重合体ビーズの含有量を、該アクリル系樹脂組成物100重量部に対して15重量部とした以外は実施例1と同様にして防眩フィルムを得た。
<比較例2>
直径300mmのアルミロール(JISによるA5056)の表面を鏡面研磨し、研磨されたアルミ面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−SX−17(東ソー(株)製、平均粒径:20μm)を、ブラスト圧力0.1MPa(ゲージ圧)、ビーズ使用量8g/cm2(ロールの表面積1cm2あたりの使用量)でブラストし、表面に凹凸をつけた。得られた凹凸つきアルミロールに対し、無電解ニッケルめっき加工を行ない、金型(B)を作製した。このとき、無電解ニッケルめっき厚みが15μmとなるように設定した。この得られた金型(B)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムを作製した。
直径300mmのアルミロール(JISによるA5056)の表面を鏡面研磨し、研磨されたアルミ面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−SX−17(東ソー(株)製、平均粒径:20μm)を、ブラスト圧力0.1MPa(ゲージ圧)、ビーズ使用量8g/cm2(ロールの表面積1cm2あたりの使用量)でブラストし、表面に凹凸をつけた。得られた凹凸つきアルミロールに対し、無電解ニッケルめっき加工を行ない、金型(B)を作製した。このとき、無電解ニッケルめっき厚みが15μmとなるように設定した。この得られた金型(B)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムを作製した。
<比較例3>
樹脂基材フィルムとして、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして防眩フィルムを得た。
樹脂基材フィルムとして、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして防眩フィルムを得た。
<評価>
実施例および比較例の防眩フィルムについて、上述の測定および評価を行なった。表1にその結果を示す。結果を表1にまとめた。なお、防眩層の内部ヘイズはいずれも0%であった。また、図13は、実施例1および2の防眩フィルムの表面形状より得られたエネルギースペクトルG2(fx,fy)のfx=0における断面を示す。
実施例および比較例の防眩フィルムについて、上述の測定および評価を行なった。表1にその結果を示す。結果を表1にまとめた。なお、防眩層の内部ヘイズはいずれも0%であった。また、図13は、実施例1および2の防眩フィルムの表面形状より得られたエネルギースペクトルG2(fx,fy)のfx=0における断面を示す。
表1に示す結果から、実施例1,2の防眩フィルムは、ギラツキが発生せず、十分な防眩性を示し、白ちゃけも発生しなかった。また、ヘイズも低いため、画像表示装置に配置した際にもコントラスト低下を引き起こすことがなかった。
1 防眩フィルム、2 微細凹凸表面を構成する凹凸、3 防眩フィルムの投影面、5 防眩フィルムの主法線方向、6 凹凸を加味した局所的な法線、6a,6b,6c,6d ポリゴン面の法線ベクトル、ψ 表面傾斜角度、7 金型用基材、8 研磨工程によって研磨された基材の表面、9 感光性樹脂膜、10 露光工程において露光された感光性樹脂膜、11 露光工程において露光されない感光性樹脂膜、12 マスク、13 マスクの無い箇所、15 第1エッチング工程後の基材表面(第1の表面凹凸形状)、16 クロムめっき層、17 クロムめっきの表面、18 第2エッチング工程後の基材表面(第2の表面凹凸形状)、101a,101b 樹脂基材フィルム、102a,102b 防眩層、103a,103b 透明樹脂層、104a,104b 光拡散層、105a,105b 微粒子。
Claims (6)
- 樹脂基材フィルムと、前記樹脂基材フィルム表面上に積層された、微細な凹凸表面を有する防眩層とを備える防眩フィルムであって、
前記樹脂基材フィルムは、透明バインダ樹脂および前記透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子を含有する少なくとも1つの光拡散層を含み、内部ヘイズが0.5%以上5%以下であり、
前記防眩層は、表面ヘイズが0.3%以上5%以下で、内部ヘイズが1%以下であり、
空間周波数0.01μm-1における前記凹凸表面の標高のエネルギースペクトルH1 2と、空間周波数0.02μm-1における前記凹凸表面の標高のエネルギースペクトルH2 2との比H1 2/H2 2が2以上15以下の範囲内であり、
空間周波数0.01μm-1における前記凹凸表面の標高のエネルギースペクトルH1 2と、空間周波数0.1μm-1における標高のエネルギースペクトルH3 2との比H1 2/H3 2が1000以上であり、
前記凹凸表面は、傾斜角度が5°以下である面を95%以上含む、防眩フィルム。 - 前記樹脂基材フィルムは、透明樹脂層と、前記光拡散層とからなる2層構造を有し、
前記防眩層は、前記光拡散層における、前記透明樹脂層側とは反対側の表面上に配置されている、請求項1に記載の防眩フィルム。 - 前記樹脂基材フィルムは、2つの透明樹脂層と、前記2つの透明樹脂層の間に配置されている前記光拡散層とからなる3層構造を有する、請求項1または2に記載の防眩フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の防眩フィルムと、前記防眩フィルムの前記基材樹脂フィルムの表面上に配置された偏光フィルムとを備える、防眩性偏光板。
- 前記偏光フィルムにおける、前記防眩フィルム側とは反対側の表面上に配置された光学フィルムとを備え、
前記偏光フィルムと前記光学フィルムとは、エポキシ系樹脂を主成分とする硬化性組成物の硬化物からなる接着剤を介して貼合されている、請求項4に記載の防眩性偏光板。 - 請求項4または5に記載の防眩性偏光板と、画像表示素子とを備え、
前記防眩性偏光板は、前記防眩層側を視認側にして前記画像表示素子の視認側に配置されている、画像表示装置。
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JP2012281292A JP2014126598A (ja) | 2012-12-25 | 2012-12-25 | 防眩フィルムおよび防眩性偏光板 |
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CN113853538A (zh) * | 2019-10-31 | 2021-12-28 | 株式会社Lg化学 | 偏光板层合体及其制备方法 |
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WO2022247749A1 (zh) * | 2021-05-26 | 2022-12-01 | 华为技术有限公司 | 抗眩光膜及其制造方法,显示设备 |
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-
2012
- 2012-12-25 JP JP2012281292A patent/JP2014126598A/ja active Pending
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