JP2011185278A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

バルブタイミング調整装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2011185278A
JP2011185278A JP2011146493A JP2011146493A JP2011185278A JP 2011185278 A JP2011185278 A JP 2011185278A JP 2011146493 A JP2011146493 A JP 2011146493A JP 2011146493 A JP2011146493 A JP 2011146493A JP 2011185278 A JP2011185278 A JP 2011185278A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
energization
motor
determination
torque
motor shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011146493A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5104983B2 (ja
Inventor
Motoi Uehama
基 上濱
Taishi Morii
泰詞 森井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2011146493A priority Critical patent/JP5104983B2/ja
Publication of JP2011185278A publication Critical patent/JP2011185278A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5104983B2 publication Critical patent/JP5104983B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D13/00Controlling the engine output power by varying inlet or exhaust valve operating characteristics, e.g. timing
    • F02D13/02Controlling the engine output power by varying inlet or exhaust valve operating characteristics, e.g. timing during engine operation
    • F02D13/0203Variable control of intake and exhaust valves
    • F02D13/0215Variable control of intake and exhaust valves changing the valve timing only
    • F02D13/0219Variable control of intake and exhaust valves changing the valve timing only by shifting the phase, i.e. the opening periods of the valves are constant
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L1/00Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear
    • F01L1/02Valve drive
    • F01L1/022Chain drive
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L1/00Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear
    • F01L1/34Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift
    • F01L1/344Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift changing the angular relationship between crankshaft and camshaft, e.g. using helicoidal gear
    • F01L1/352Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift changing the angular relationship between crankshaft and camshaft, e.g. using helicoidal gear using bevel or epicyclic gear
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L2201/00Electronic control systems; Apparatus or methods therefor
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L2800/00Methods of operation using a variable valve timing mechanism
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L2800/00Methods of operation using a variable valve timing mechanism
    • F01L2800/01Starting
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L2800/00Methods of operation using a variable valve timing mechanism
    • F01L2800/03Stopping; Stalling
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L2820/00Details on specific features characterising valve gear arrangements
    • F01L2820/03Auxiliary actuators
    • F01L2820/032Electric motors
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Abstract

【課題】内燃機関の始動性を確保するバルブタイミング調整装置の提供。
【解決手段】モータ軸を有し、磁気保持トルク及び通電によるモータトルクをモータ軸に発生する電動モータと、電動モータへの通電を制御することによりモータトルクを調整する制御部としての通電制御系と、カム軸の回転に応じて正負に交番するカムトルクをモータ軸へ伝達しつつ、モータ軸におけるトルクバランスに応じてクランク軸及びカム軸間の相対位相を調整する位相調整機構とを備えたバルブタイミング調整装置の前記通電制御系は、内燃機関が停止したとする機関停止判定を機関判定手段が下した場合に(S603)、電動モータへの通電量を一旦減少させてから増大させた後に電動モータへの通電を停止する通電制御を行う(S604,S607,S611)。
【選択図】図22

Description

本発明は、クランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方のバルブタイミングを調整する内燃機関のバルブタイミング調整装置に関する。
従来、電動モータや電磁ブレーキ装置等の電磁アクチュエータが発生するトルクを位相調整機構へ与えて、バルブタイミングを決めるクランク軸及びカム軸間の相対位相(以下、「機関位相」という)を調整するようにしたバルブタイミング調整装置が知られている。この種のバルブタイミング調整装置としては、内燃機関の停止状態における機関位相を内燃機関の始動を許容する始動位相に保持することで内燃機関の始動性を確保するようにしたものが、特許文献1に開示されている。
具体的に特許文献1の装置では、内燃機関の停止状態において作動することによりブレーキ軸から位相調整機構へブレーキトルクを与える電磁ブレーキ装置を設けている。これにより内燃機関の停止状態においては、ブレーキ軸へ作用する電磁ブレーキ装置のブレーキトルクと位相調整機構のスプリングトルクとをバランスさせて、機関位相を始動位相に保持することが可能となっている。
特開2005−146993号公報
上記特許文献1の装置では、内燃機関の運転状態においてブレーキ軸から位相調整機構へブレーキトルクを与えることで機関位相を調整させる電磁ブレーキ装置とは別に、内燃機関の停止状態において作動する電磁ブレーキ装置を設けている。そのため、装置構造の複雑化や大型化を招いてしまう。また、特許文献1の装置では、内燃機関の運転状態においてカム軸の回転に応じて正負に交番するカムトルクが位相調整機構を通じてブレーキ軸へ伝達されるが、当該カムトルクは、内燃機関の停止状態においても正又は負のトルクとしてブレーキ軸へ作用する。そのため、カムトルクの正負や大小によっては、ブレーキ軸におけるトルクバランスが崩れてしまい、機関位相が始動位相から大きくずれるおそれがある。
さて、こうした特許文献1の装置に対して本発明者らは、内燃機関の停止に伴う通電の停止状態にあってもモータ軸にコギングトルク等の磁気保持トルクを発生する電動モータを電磁アクチュエータとして利用する技術について、鋭意研究を行ってきた。この技術では、内燃機関の運転状態においては、電動モータへの通電によりモータ軸に発生するモータトルクを位相調整機構へ与えることで機関位相を調整する。一方、内燃機関の停止状態においては、電動モータに発生の磁気保持トルクをカムトルクとバランスさせることで機関位相を始動位相に保持する。このように、内燃機関の運転状態における機関位相の調整と内燃機関の停止状態における機関位相の保持とが同一の電動モータにより実現されることによれば、装置構造の簡素化や小型化を図ることができるのである。
ところが、本発明者らが研究を進めた結果、磁気保持トルクはモータ軸の回転に応じて正負に交番することになるため、通電停止によるモータトルクの消失時点においてカムトルク及び磁気保持トルクの方向(正負)が一致すると、それらトルクのバランスが困難になるとの知見が得られた。しかも、このように磁気保持トルク及びカムトルクがバランスし得ない状態では、モータ軸が回転してしまうため、磁気保持トルクが正負に交番して平均化されることで当該回転の減衰を期待し得なくなることも、本発明者らは見出したのである。
本発明は、以上説明した研究並びに知見に基づいてなされたものであって、その目的は、内燃機関の始動性を確保するバルブタイミング調整装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、クランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方のバルブタイミングを調整する内燃機関のバルブタイミング調整装置であって、モータ軸を有し、磁気保持トルク及び通電によるモータトルクをモータ軸に発生する電動モータと、電動モータへの通電を制御することによりモータトルクを調整する制御部と、カム軸の回転に応じて正負に交番するカムトルクをモータ軸へ伝達しつつ、モータ軸におけるトルクバランスに応じて機関位相を調整する位相調整機構と、を備え、制御部は、内燃機関の運転状態を判定する機関判定手段と、内燃機関が停止したとする機関停止判定を機関判定手段が下した場合に、電動モータへの通電量を一旦減少させてから増大させた後に電動モータへの通電を停止する通電制御を行う通電制御手段と、を有することを特徴とする。
このような請求項1に記載の発明によると、位相調整機構において回転系の構成要素に歪みエネルギーが蓄積されると、当該歪みエネルギーの解放によりモータ軸におけるトルクバランスが崩れ易くなる。しかし、電動モータへの通電量を一旦減少させる請求項23に記載の発明によれば、モータ軸をカムトルクの方向に敢えて回転させて、位相調整機構における歪みエネルギーを解放させることができる。しかも、請求項23に記載の発明では、運転状態の判定のうち内燃機関が停止したとする機関停止判定が下された場合に通電量を一旦減少させるので、内燃機関の回転に伴うモータ軸の回転によって歪みエネルギーの解放が阻害される事態を、回避することもできる。
さらに、請求項1に記載の発明によると、電動モータへの通電量を一旦減少させてから増大させることで、磁気保持トルク及びカムトルクとバランスするモータトルクを発生させてモータ軸を停止させ、当該トルクバランスに応じた機関位相を実現することができる。また、通電量の増大後に電動モータへの通電自体を停止する請求項23に記載の発明によると、磁気保持トルク及びカムトルクとバランスしたモータトルクを通電停止により消失させることで、それら磁気保持トルク及びカムトルクを容易にバランスさせることができる。故に、通電停止前に実現されていた機関位相からの位相ずれが抑制されることになる。しかも、通電停止時点及び通電停止後においては、上述した歪みエネルギーの解放に起因するモータ軸の回転、ひいては機関位相のずれを抑制することもできる。以上によれば、通電停止後に始動位相となる機関位相を保持して、内燃機関の始動性を確保することが可能となるのである。
請求項2に記載の発明によると、制御部は、モータ軸の動作態様を判定するモータ判定手段を有し、通電制御手段は、電動モータへの通電量の一旦減少を開始してからモータ軸の回転角度が変化したとする角度変化判定をモータ判定手段が下した場合に、当該通電量を増大させる。これによれば、動作態様の判定のうち通電量の一旦減少の開始からモータ軸の回転角度が変化したとする角度変化判定が下された場合に、通電量を増大させることになるので、歪みエネルギーの解放を確固たるものとすることができるのである。
請求項3に記載の発明によると、通電制御手段は、モータ判定手段が角度変化判定を下した場合に、モータ軸にブレーキをかける通電方向に電動モータへの通電量を増大させる。これによれば、通電量の一旦減少によりモータ軸がカムトルクの方向に回転して角度変化判定が下された場合には、モータ軸にブレーキをかける通電方向に通電量が増大するので、モータ軸に発生するモータトルクは、カムトルクと対抗して磁気保持トルク及びカムトルクとバランスし易くなる。したがって、磁気保持トルク及びカムトルクをバランスさせるための通電停止前に、それら磁気保持トルク及びカムトルクとバランスさせることが必要なモータトルクを発生させて、機関位相のずれの抑制効果を発揮させることができる。
請求項4に記載の発明によると、制御部は、電動モータへの通電量を一旦減少させることにより現出するモータ軸の動作態様に基づいて、モータ軸の回転角度の変化方向を判別する変化方向判別手段を有し、通電方向は、変化方向判別手段による判別方向とは反対にブレーキをかける方向である。これによれば、モータ軸は、その動作態様に基づいて判別された回転角度の変化方向と反対にブレーキをかけられることになるので、モータ軸に発生するモータトルクは、当該変化方向のカムトルクと確実に対抗して磁気保持トルクと共にバランスし易くなる。したがって、磁気保持トルク及びカムトルクをバランスさせるための通電停止前に、それら磁気保持トルク及びカムトルクとバランスさせることが必要なモータトルクを正しく発生させて、機関位相のずれの抑制効果を高めることができる。
請求項5に記載の発明によると、変化方向判別手段は、モータ軸の動きを検出することにより、モータ軸の回転角度の変化方向を判別する。これによれば、モータ軸の動きの検出によりモータ軸の回転角度変化を直接的に把握して、その変化方向を正確に判別することができるのである。
上述したように、位相調整機構がモータ軸におけるトルクバランスに応じて機関位相を調整するバルブタイミング調整装置では、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の動きと、モータ軸の動きとの間に相関が生じる。そこで、請求項6に記載の発明によると、変化方向判別手段は、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の動きを検出することにより、モータ軸の動きを推定して変化方向を判別する。これによれば、モータ軸の動きによる回転角度変化を、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の動きの検出により間接的に推定して、その変化方向を正確に判別することが可能になる。
請求項7に記載の発明によると、制御部は、電動モータへの通電量を増大させることにより現出するモータ軸の動作態様に基づいて、変化方向判別手段による判別方向の正誤を判定する正誤判定手段を有する。これによれば、モータ軸の回転角度の変化方向について判別方向が正しい場合、通電量の増大によって現出するモータ軸の動作態様は、回転角度の変化速度、即ち回転数の低下となる。したがって、通電量増大によるモータ軸の動作態様に基づいて、判別方向の正誤を判定することができるのである。
請求項8に記載の発明によると、正誤判定手段は、モータ軸の動きを検出することにより、変化方向判別手段による判別方向の正誤を判定する。これによれば、モータ軸の動きの検出によりモータ軸の回転角度変化を直接的に把握して、その変化方向の判別方向について正確に正誤判定することができるのである。
上述したように、位相調整機構がモータ軸におけるトルクバランスに応じて機関位相を調整するバルブタイミング調整装置では、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の動きと、モータ軸の動きとの間に相関が生じる。そこで、請求項9に記載の発明によると、正誤判定手段は、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の動きを検出することにより、モータ軸の動きを推定して変化方向判別手段による判別方向の正誤を判定する。これによれば、モータ軸の動きによる回転角度変化を、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の動きの検出により間接的に推定して、その変化方向の判別方向について正確に正誤判定することが可能になるのである。
請求項10に記載の発明によると、通電制御手段は、正誤判定手段が変化方向判別手段による判別方向を誤りとする判定を下した場合に、通電方向を反転させる。これによれば、判別方向に誤りがある場合には、即座に通電方向を反転させてモータトルクを磁気保持トルク及びカムトルクとバランスさせることができる。したがって、誤った通電方向への通電量増大によりモータ軸が回転して機関位相のずれが生じるようなことがあっても、そのずれ量は小さく抑えられることになる。
請求項11に記載の発明によると、通電制御手段は、電動モータへの通電量の増大を開始してからモータ判定手段が角度変化判定を再度下した場合に、当該通電量をさらに増大させる。これによれば、通電量の増大に拘らずモータ軸の回転が継続して角度変化判定が再度下されるような場合には、通電量のさらなる増大によってモータトルクを磁気保持トルク及びカムトルクとバランスさせて、当該回転継続に起因する機関位相のずれ量を小さく抑えることが可能になる。
請求項12に記載の発明によると、モータ判定手段は、モータ軸の動きを検出することにより、角度変化判定を下す。これによれば、モータ軸の動きの検出によりモータ軸の回転角度変化を直接的に把握して、正確な角度変化判定を下すことができる。
クランク軸及びカム軸間の相対位相である機関位相を位相調整機構がモータ軸におけるトルクバランスに応じて調整するバルブタイミング調整装置では、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の動きと、モータ軸の動きとの間に相関が生じる。そこで、請求項13に記載の発明によると、モータ判定手段は、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の動きを検出することにより、モータ軸の動きを推定して角度変化判定を下す。これによれば、モータ軸の動きによる回転角度変化を、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の動きの検出により間接的に推定して、正確な角度変化判定を下すことが可能となる。
請求項14に記載の発明によると、通電制御手段は、電動モータへの通電量の一旦減少を開始してから設定時間が経過した場合に、当該通電量を増大させる。これによれば、通電量の一旦減少の開始から設定時間が経過して歪みエネルギーが解放された状態下、通電量を自動的に増大させることが可能になるので、当該解放のために必要な処理が簡素化され得る。
請求項15に記載の発明によると、通電制御手段は、設定時間が経過した場合に、カムトルクと対抗するモータトルクを発生させる通電方向にモータ軸への通電量を増大させる。これによれば、通電量の一旦減少の開始から設定時間が経過した場合には、カムトルクと対抗するモータトルクを発生させる通電方向に通電量が増大するので、磁気保持トルクと共にモータトルクがカムトルクとバランスし易くなる。したがって、磁気保持トルク及びカムトルクをバランスさせるための通電停止前に、それら磁気保持トルク及びカムトルクとバランスさせることが必要なモータトルクを発生させて、機関位相のずれの抑制効果を発揮させることができるのである。
請求項16に記載の発明によると、制御部は、モータ軸へ作用するカムトルクの正負であるカムトルク方向を判別するトルク方向判別手段を有し、通電方向は、トルク方向判別手段による判別方向とは反対にモータトルクを発生させる方向である。これによれば、モータ軸へのカムトルクの作用方向として判別されたカムトルク方向と反対に発生するモータトルクは、当該カムトルクと確実に対抗して磁気保持トルクと共にバランスし易くなる。したがって、磁気保持トルク及びカムトルクをバランスさせるための消失前に、それら磁気保持トルク及びカムトルクとバランスさせることが必要なモータトルクを正しく発生させて、機関位相のずれの抑制効果を高めることができるのである。
請求項17に記載の発明によると、通電制御手段は、通電制御において電動モータへの通電量を一旦減少させるのに先立ち、機関位相の実位相及び目標位相間の位相差に基づいて電動モータへの通電をフィードバック制御し、トルク方向判別手段は、実位相及び実位相に相関する物理量のうち少なくとも一つの物理量に通電制御手段のフィードバック制御により現出する偏りに基づいて、カムトルク方向を判別する。これによれば、電動モータへの通電が実位相及び目標位相間の位相差に基づきフィードバック制御された状態においては、カムトルク方向に応じた偏りを実位相及びその相関物理量に現出させることができる。したがって、そうした実位相及び相関物理量の偏りに基づくことでカムトルク方向を正確に判別することができるのである。
請求項18に記載の発明によると、制御部は、モータ軸の動作態様を判定するモータ判定手段を有し、通電制御手段は、電動モータへの通電量の増大を開始してからモータ軸が停止したとするモータ停止判定をモータ判定手段が下した場合に、電動モータへの通電を停止する。これによれば、動作態様の判定のうち通電量増大が開始されてからモータ軸が停止したとするモータ停止判定が下された場合に、通電停止させることになるので、モータトルクが磁気保持トルク及びカムトルクとバランスしたことによるモータ軸の停止状態が、確実に得られる。したがって、機関位相のずれ抑制効果を高めることができるのである。
請求項19に記載の発明によると、モータ判定手段は、モータ軸の停止を検出することにより、モータ停止判定を下す。これによれば、モータ軸の停止をその検出により直接的に把握して、正確なモータ停止判定を下すことができるのである。
上述したように、位相調整機構がモータ軸におけるトルクバランスに応じて機関位相を調整するバルブタイミング調整装置では、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の動きと、モータ軸の動きとの間に相関が生じる。そこで、請求項20に記載の発明によると、モータ判定手段は、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の停止を検出することにより、モータ軸の停止を推定して停止判定を下す。これによれば、モータ軸の停止を、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の停止の検出により間接的に推定して、正確なモータ停止判定を下すことが可能となる。
請求項21に記載の発明によると、通電制御手段は、電動モータへの通電量の増大を開始してから設定時間が経過した場合に、電動モータへの通電を停止する。これによれば、通電量増大の開始から設定時間が経過してモータトルクが磁気保持トルク及びカムトルクとバランスした状態下、自動的に通電停止させることが可能になるので、当該バランスのために必要な処理が簡素化され得るのである。
請求項22に記載の発明によると、制御部は、モータ軸の動作態様を判定するモータ判定手段を有し、通電制御手段は、電動モータへの通電を停止してからモータ軸の回転角度が変化したとする角度変化判定をモータ判定手段が下した場合に、当該通電の停止を電動モータへの通電量の一旦減少に代替させた通電制御を繰り返す。これによれば、通電の停止状態においてトルクバランスの崩れたモータ軸が回転して角度変化判定が下される場合には、通電量の一旦減少に代替する当該通電停止状態から通電量を増大させて、モータトルクの磁気保持トルク及びカムトルクとのバランスを再度図ることができる。したがって、磁気保持トルク及びカムトルクとバランスさせたモータトルクの通電停止に伴う消失によって、それら磁気保持トルク及びカムトルクが確実にバランスするようになるまで、通電制御を繰り返すことができるので、内燃機関の始動性の確保を確固たるものとなし得るのである。
請求項23に記載の発明によると、通電制御手段は、電動モータへの通電量を零値にまで一旦減少させてから増大させる。これによれば、通電量が零値にまで一旦減少することで、歪みエネルギーを確実に解放させることができるので、通電停止時点及び通電停止後におけるモータ軸の回転抑制効果が高められることとなる。
請求項24に記載の発明によると、通電制御手段は、電動モータへの通電量を零値よりも大きな所定値にまで一旦減少させてから増大させる。これによれば、通電量を零値よりも大きな所定値にまで一旦減少させることで、歪みエネルギーを解放させつつも当該解放に伴うモータ軸の急回転を抑制できるので、機関位相がずれ難くなるのである。
請求項25に記載の発明によると、通電制御手段は、電動モータへの通電量を一旦漸次減少させてから増大させる。これによれば、通電量を一旦漸次減少させることで、歪みエネルギーを解放させつつも当該解放に伴うモータ軸の急回転を確実に抑制できるので、機関位相がずれ難くなるのである。
請求項26に記載の発明によると、通電制御手段は、電動モータへの通電量を一旦減少させてから漸次増大させる。このように、通電量を一旦減少させてから漸次増大させることによれば、当該一旦減少により歪みエネルギーの解放された位相調整機構について、モータトルクが過度に増大して歪みエネルギーが再蓄積される事態が惹起され難くなる。したがって、通電停止時点及び通電停止後におけるモータ軸の回転抑制効果を高めることができる。
請求項27に記載の発明によると、通電制御手段は、増大させた通電量を零値にまで漸次減少させることにより、電動モータへの通電を停止する。このように、増大させた通電量を零値にまで漸次減少させることによれば、モータ軸においてトルクバランスが急変することを抑制しつつ電動モータへの通電を停止させることができる。したがって、トルクバランスの急変によりモータ軸が急回転して通電停止時点に磁気保持トルク及びカムトルクがバランスし得なくなる事態を、回避することができるのである。
請求項28に記載の発明によると、位相調整機構は、モータ軸の回転により弾性歪みが生じる弾性部材を有する。これによれば、位相調整機構においては、モータ軸の回転により弾性歪みが弾性部材に生じるため、当該弾性歪みによる歪みエネルギーが蓄積され易い。しかし、電動モータへの通電量を一旦減少させることで、弾性部材の弾性歪みに起因する歪みエネルギーを解放することができるので、通電停止時点及び通電停止後における機関位相のずれは抑制されることになる。
請求項29に記載の発明によると、機関判定手段は、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の停止を検出することにより、機関停止判定を下す。これによれば、クランク軸及びカム軸のうち少なくとも一方の停止検出により内燃機関の停止を直接的に把握して、正確な機関停止判定を下すことができるのである。
請求項30に記載の発明によると、機関判定手段は、内燃機関の停止に必須の条件を検出することにより、内燃機関の停止時を推定して機関停止判定を下す。これによれば、内燃機関の停止時を、その停止に必須の条件の検出により間接的に推定することができるので、機関停止判定を下すための構成を簡素化することが可能になる。
請求項31に記載の発明によると、磁気保持トルクのピーク値は、内燃機関の停止状態においてモータ軸へ作用するカムトルクの絶対値よりも大きくなるように設定される。これにより、電動モータへの通電の停止時点及び停止後においては、カムトルクと確実にバランスする磁気保持トルクを発生することが可能となる。
請求項32に記載の発明によると、電動モータは、通電により磁界を形成するモータステータと、モータステータの内周側に配置されたモータ軸の外周壁に設けられ、モータステータの形成磁界が作用することによりモータ軸と共に回転する永久磁石と、を有する。これによれば、モータステータ内周側に配置されたモータ軸の外周壁において永久磁石が形成する磁界をモータステータへ直接的に作用させることができるので、当該磁界の作用によって磁気保持トルクを効率的に発生可能となる。尚、モータステータの形成磁界が作用することによりモータ軸と共に回転する永久磁石については、例えばモータ軸の内部に埋設されるようにしてもよい。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づき説明する。
(第一実施形態)
図2は、本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置1を示している。バルブタイミング調整装置1は、車両に搭載される内燃機関のクランク軸(図示しない)からカム軸2へ機関トルクを伝達する伝達系に設けられている。
(基本構成)
以下、バルブタイミング調整装置1の基本構成について説明する。バルブタイミング調整装置1は、電動モータ4、通電制御系6及び位相調整機構8を組み合わせてなり、バルブタイミングを決めるクランク軸及びカム軸2間の機関位相を調整する。尚、本実施形態においてカム軸2は内燃機関の吸気弁(図示しない)を開閉するものであり、バルブタイミング調整装置1は当該吸気弁のバルブタイミングを調整する。
図2,3に示すように、電動モータ4はブラシレスモータであり、ハウジング100、軸受101、モータ軸102、オイルシール107及びモータステータ103を備えている。ハウジング100は、ステー(図示しない)を介して内燃機関に固定される。ハウジング100内には、二つの軸受101及びモータステータ103が収容固定されている。各軸受101は、モータ軸102においてオイルシール107によりハウジング100との間をシールされた軸本体104を回転自在に支持している。モータ軸102において軸本体104から外周側へ突出するロータ部105には、その回転方向に等間隔に並ぶ形態で複数の永久磁石106が設けられており、それら永久磁石106がモータ軸102と共に回転可能となっている。回転方向において隣り合う永久磁石106同士は、相反する極性の磁極をロータ部105の外周側に形成している。モータステータ103はロータ部105の外周側に同心的に配置されており、コア108及びコイル109を有している。コア108は鉄片を積層して形成され、モータ軸102の回転方向に等間隔に複数設けられている。各コア108には、それぞれ個別にコイル109が巻装されている。
通電制御系6は、電動モータ4の各コイル109に電気接続されており、それらコイル109への通電を内燃機関の運転状態等に応じて制御する。この通電制御を受けて電動モータ4は、各永久磁石106へ作用する回転磁界を各コイル109の励磁により形成することで、当該形成磁界に応じた正又は負方向のモータトルクTmをモータ軸102に発生させる。尚、本実施形態では、図3の反時計方向がモータ軸102の正方向(+)に定義され、図3の時計方向がモータ軸102の負方向(−)に定義されている。
図2に示すように位相調整機構8は、駆動側回転体10、従動側回転体20、遊星キャリア40及び遊星歯車50を備えている。
図2,4,5に示す駆動側回転体10は、歯車部材12とスプロケット13とを同軸上に螺子止めしてなる。筒状の歯車部材12において周壁部は、歯底円の内周側に歯先円を有する駆動側内歯車部14を形成している。筒状のスプロケット13には、外周側へ突出する複数の歯19が設けられている。スプロケット13は、それら歯19とクランク軸の複数の歯との間で環状のタイミングチェーン(図示しない)が巻き掛けられることにより、クランク軸と連繋する。したがって、クランク軸から出力された機関トルクがタイミングチェーンを通じてスプロケット13へ入力されるときには、駆動側回転体10はクランク軸と連動して、当該クランク軸に対する相対位相を保ちつつ回転する。尚、本実施形態では、図4,5の反時計方向が駆動側回転体10の回転方向である。
図2,5に示すように、従動側回転体20は有底筒状あり、駆動側回転体10の内周側に同心的に配置されている。従動側回転体20の底壁部は、カム軸2に同軸上に螺子止めされて連繋する連繋部21を形成している。この連繋により従動側回転体20は、カム軸2と連動して当該カム軸2に対する相対位相を保ちつつ回転可能となっており、また駆動側回転体10に対して相対回転可能となっている。尚、本実施形態では、図5の時計方向が駆動側回転体10に対して従動側回転体20が遅角する相対回転方向であり、図5の反時計方向が駆動側回転体10に対して従動側回転体20が進角する相対回転方向である。
従動側回転体20の周壁部は、歯底円の内周側に歯先円を有する従動側内歯車部22を形成している。ここで、従動側内歯車部22の内径は駆動側内歯車部14の内径よりも小さく設定され、また従動側内歯車部22の歯数は駆動側内歯車部14の歯数よりも少なく設定されている。従動側内歯車部22は、駆動側内歯車部14に対して軸方向へずれて隣接する形態でスプロケット13の内周側に嵌合している。
図2,4,5に示すように、遊星キャリア40は全体として筒状であり、内周面部により入力部41を形成している。入力部41は、回転体10,20及びモータ軸102に対して同心的に配置されている。入力部41には溝部42が開口しており、この溝部42に嵌合する継手43を介して遊星キャリア40がモータ軸102の軸本体104と連結されている。この連結により遊星キャリア40は、モータ軸102と共に回転可能となっており、また駆動側回転体10に対してモータ軸102と共に相対回転可能となっている。
遊星キャリア40はさらに、外周面部により偏心部44を形成している。偏心部44は内歯車部14,22に対し偏心して配置され、遊星歯車50の中心孔51の内周側にベアリング45を介して嵌合している。この嵌合により遊星歯車50は、偏心部44の偏心中心周りに自転しつつ遊星キャリア40の回転方向へ公転する遊星運動を実現可能となっている。偏心部44に開口する一つの凹部46には、U字状の板ばねからなる弾性部材48が収容されており、当該弾性部材48の復原力が遊星歯車50の中心孔51の内周面に作用するようになっている。
遊星歯車50は二段の筒状であり、歯底円の外周側に歯先円を有する駆動側外歯車部52及び従動側外歯車部54をそれぞれ大径部分及び小径部分によって形成している。ここで、駆動側外歯車部52の歯数は駆動側内歯車部14の歯数よりも所定数N(ここでは一つ)少なく設定され、また従動側外歯車部54の歯数は従動側内歯車部22よりも所定数N少なく設定されている。したがって、従動側外歯車部54の歯数は駆動側外歯車部52の歯数よりも少なくなっている。駆動側外歯車部52は駆動側内歯車部14の内周側に配置されて、当該歯車部14と噛み合っている。また、駆動側外歯車部52よりも連繋部21側の従動側外歯車部54は従動側内歯車部22の内周側に配置されて、当該歯車部22と噛み合っている。
以上の構成により回転体10,20の内部には、駆動側内歯車部14と従動側内歯車部22とが遊星歯車50を介して連繋してなる差動歯車機構60が形成されている。そして、このような差動歯車機構60を備えた位相調整機構8は、カム軸2の回転に応じて正負に交番するカムトルクTcaをモータ軸102へ伝達しつつ、モータ軸102におけるトルクバランスに応じて機関位相を調整することとなる。
具体的には、モータ軸102においてトルクバランスが保持されること等により、駆動側回転体10に対してモータ軸102が相対回転しないときには、遊星歯車50が内歯車部14,22との噛合位置を保ちつつ回転体10,20と共に回転する。その結果、機関位相が変化しないため、バルブタイミングが一定に保たれる。
モータ軸102においてモータトルクTmが正方向へ増大すること等により、駆動側回転体10に対してモータ軸102が正方向へ相対回転するときには、遊星歯車50が内歯車部14,22との噛合位置を変化させつつ遊星運動する。その結果、駆動側回転体10に対して従動側回転体20が遅角するため、機関位相がクランク軸に対するカム軸2の遅角側(以下、単に「遅角側」という)へ変化する。このように本実施形態では、モータ軸102の正方向が機関位相の遅角側と対応している。
モータ軸102においてモータトルクTmが負方向へ増大すること等により、駆動側回転体10に対してモータ軸102が負方向へ相対回転するときには、遊星歯車50が内歯車部14,22との噛合位置を変化させつつ遊星運動する。その結果、駆動側回転体10に対して従動側回転体20が進角するため、機関位相がクランク軸に対するカム軸2の進角側(以下、単に「進角側」という)へ変化する。このように本実施形態では、モータ軸102の負方向が機関位相の進角側と対応している。
次に、第一実施形態の特徴的部分について詳細に説明する。
(電動モータ)
以下、電動モータ4の特徴的構成を説明する。図2,3に示すように電動モータ4の各永久磁石106は、モータステータ103の内周側に配置されたロータ部105の外周壁110に装着されている。これにより各永久磁石106とモータステータ103とは、モータ軸102の径方向において磁気ギャップ112を挟んで向き合っている。したがって、モータトルクTmが発生しない電動モータ4への通電停止状態においては、各永久磁石106の形成磁界が磁気ギャップ112を通じて直接的に各コア108へ作用することで、それらコア108が磁化される。これにより、図6に示すようにモータ軸102には、その回転に応じて正及び負方向に交番する磁気保持トルクThを効率的に発生させることができるのである。
そして、本実施形態の磁気保持トルクThは、内燃機関の停止状態においてモータ軸102へ作用するカムトルクTcaの絶対値よりもピーク値Thpk(図6参照)が大きくなるように、より好ましくは下記の式(1)を満たすように設定される。ここで式(1)のTcamaxは、カムトルクTcaの絶対値のうち双方について予測される最大値を表している。
Thpk>Tcamax ・・・(1)
以上の他に本実施形態では、電動モータ4及び位相調整機構8の可動要素間、例えばモータ軸102の軸本体104とその接触要素101,107との間、ベアリング45とその接触要素40,48との間には、摩擦力が不可避的に生じることとなる。
(通電制御系)
以下、通電制御系6の特徴的構成を説明する。図2に示すように通電制御系6は、制御回路120及び駆動回路130を備えている。本実施形態において制御回路120は電動モータ4の外部に、また駆動回路130は電動モータ4の内部に配置されているが、それら回路120,130の双方を電動モータ4の外部及び内部の一方に配置するようにしてもよい。
制御回路120はマイクロコンピュータを主体に構成されており、図7に示すように駆動回路130と電気接続されている。制御回路120は、内燃機関を制御する機能と共に、電動モータ4への通電(以下、「モータ通電」ともいう)を制御する機能を備えている。ここで特に制御回路120は、モータ通電の制御モードとして、フィードバック(FB)制御モードとオープンループ(OR)制御モードとを実現する。
具体的には、FB制御モードにおいて制御回路120は、駆動回路130から与えられる電動モータ4の実回転方向Dr及び実回転数Sr等に基づいて機関位相の実位相Prを算出すると共に、内燃機関の運転状態等に基づいて機関位相の目標位相Ptを算出する。さらに制御回路120は、算出した実位相Pr及び目標位相Pt間の位相差ΔP(図8(a)参照)に基づいて電動モータ4の目標回転方向Dt、目標回転数St及び目標駆動方式Ftをそれぞれ設定し、それらの設定結果をFB制御値として駆動回路130へ出力する。尚、本実施形態において目標駆動方式Ftとしては、目標回転方向DtのモータトルクTmをモータ軸102に発生させる通常駆動と、モータ軸102に目標回転方向Dtのブレーキをかけるブレーキ駆動とが用意されている。
OR制御モードにおいて制御回路120は、制御内容に応じて予め決められている値に目標回転数St、目標回転方向Dt及び目標駆動方式Ftをそれぞれ設定し、それらの設定結果をOR制御値として駆動回路130へ出力する。
図7に示すように駆動回路130には、信号生成ブロック132及び通電ブロック134が設けられている。尚、本実施形態において各ブロック132,134は、専用の電気回路要素によってハード的に構成されている。
信号生成ブロック132は、電動モータ4の回転角度センサ114、制御回路120及び通電ブロック134に電気接続されている。ここで、回転角度センサ114はモータ軸102の回転方向に複数設けられ、それぞれモータ軸102の磁極が所定角度範囲内に位置するときと位置しないときとで電圧変化する検出信号を出力する。これを受けて信号生成ブロック132では、各回転角度センサ114の検出信号に基づいて電動モータ4の実回転方向Dr及び実回転数Srを算出し、制御回路120及び通電ブロック134へ出力するようになっている。
図9に示すように通電ブロック134は、インバータ部136及び駆動部138を有している。ブリッジ回路からなるインバータ部136は、上段スイッチング素子FU,FV,FWと下段スイッチング素子GU,GV,GWを有している。上段スイッチング素子FU,FV,FWと下段スイッチング素子GU,GV,GWとは、符号の末尾が同じもの同士で電気接続されており、それらの接続点間において電動モータ4の各コイル109がスター結線されている。各スイッチング素子FU,FV,FW,GU,GV,GWは、電圧レベルがハイの駆動信号によりオン且つ電圧レベルがローの駆動信号によりオフする特性を有している。
駆動部138は、制御回路120、信号生成ブロック132及びインバータ部136の各スイッチング素子FU,FV,FW,GU,GV,GWに電気接続されている。駆動部138は、制御回路120から与えられるFB又はOR制御値(以下、「FB/OR制御値」と記載)と、信号生成ブロック132から与えられる実回転方向Dr及び実回転数Srとに基づいて、各スイッチング素子FU,FV,FW,GU,GV,GWをオンオフ駆動する。その結果、モータ通電が実現されてモータトルクTmがモータ軸102に発生することになる。
ここで、図10,11に示すように駆動部138は、モータトルクTmを調整するために、各スイッチング素子FU,FV,FW,GU,GV,GWへ与える駆動信号の電圧レベルによって各コイル109への通電量(例えば電流)を制御する。尚、図10,11においてi〜viは、各スイッチング素子FU,FV,FW,GU,GV,GWへ与える駆動信号の電圧レベルのパターン(以下、「通電パターン」という)を表している。また、図10,11の各通電パターンi〜viでは、駆動信号の電圧レベルをハイにする場合をH、駆動信号の電圧レベルをローにする場合をL、駆動信号の電圧レベルをパルス幅変調させる場合をPとして、表している。
具体的には、目標回転方向Dt及び目標駆動方式Ftが正方向及び通常駆動のFB/OR制御値が与えられる場合に駆動部138は、図10に示す通電パターンi〜viの順方向への切換により、モータ軸102に正方向のモータトルクTmを発生させる。方向Dt及び方式Ftが負方向及び通常駆動のFB/OR制御値が与えられる場合に駆動部138は、図11に示す通電パターンi〜viの順方向への切換により、モータ軸102に負方向のモータトルクTmを発生させる。方向Dt及び方式Ftが正方向及びブレーキ駆動のFB/OR制御値が与えられる場合に駆動部138は、図10に示す通電パターンi〜viの逆方向への切換により、モータ軸102に正方向のブレーキをかけるようにモータトルクTmを調整する。方向Dt及び方式Ftが負方向及びブレーキ駆動のFB/OR制御値が与えられる場合に駆動部138は、図11に示す通電パターンi〜viの逆方向への切換により、モータ軸102に負方向のブレーキをかけるようにモータトルクTmを調整する。
そして、方向Dt及び方式Ftに拘らずFB制御値が与えられる場合に駆動部138は、目標回転数St及び実回転数Sr間の回転数差に基づくPI又はPID制御演算により、各通電パターンi〜viでのパルス幅変調のオンデューティ比(以下、「駆動デューティ比」という)Rdを設定する。一方、方向Dt及び方式Ftに拘らずOR制御値が与えられる場合に駆動部138は、目標回転数Stに従う値に駆動デューティ比Rdを設定する。
(停止時制御)
以下、通電制御系6の特徴的作動として、内燃機関の停止に伴って実施される停止時制御のフローを、図1に基づき説明する。
まず、内燃機関のアイドル回転状態においてイグニッションスイッチのオフ指令等の停止指令を受けたか否かを、制御回路120により判定する(S101)。
停止指令を受けた場合には、機関位相が所定位相Phとなるように制御回路120がFB制御モードを実現しつつ(S102)、内燃機関が停止するのを待つ(S103)。尚、本実施形態において位相Phは、内燃機関の始動を許容すると共に燃費を向上させる範囲の始動位相のうち最適な位相(以下、「最適始動位相」という)に設定される。また、本実施形態において最適始動位相は、最遅角位相及び最進角位相間の中間位相とされるが、最遅角位相又は最進角位相であってもよい。
内燃機関が停止した場合には、制御回路120がFB制御モードを実現しつつ、現在のカムトルク方向Dcaを判別する(S104)。ここでカムトルク方向Dcaとは、内燃機関の停止状態においてモータ軸102へ作用するカムトルクTcaの正負、即ちモータ軸102におけるカムトルクTcaの正及び負方向(図3の+,−)である。
カムトルク方向Dcaの判別が完了すると、制御回路120がOR制御モードを実現して、カムトルクTcaと対抗させたモータトルクTmをカムトルクTca及び磁気保持トルクThとバランスさせつつ、消失させる(S105)。このとき制御回路120は、カムトルク方向Dcaの判別結果である判別方向Dca0について正誤判定し、判別方向Dca0を誤りとする判定を下した場合には、モータトルクTmを方向反転させてから消失させる機能も発揮する(S105)。
(方向判別処理)
以下、停止時制御のS104により実行される方向判別処理について、図8に基づき詳細を説明する。尚、図8は、カムトルク方向Dcaが負方向の場合の例を示している。また、図8(c)では、通常駆動において「正方向」のモータトルクTmを発生させる図10の順方向の通電パターン切換形態を「+」、「負方向」のモータトルクTmを発生させる図11の順方向の通電パターン切換形態を「−」として表している。
方向判別処理において制御回路120は、制御モードをFB制御モードとする。そして、制御回路120は、まず、図8(a)に示すように最適始動位相Phを目標位相Ptに設定し、当該目標位相Ptに対する実位相Prの位相差ΔPを算出する。続いて制御回路120は、図8(b)に示すように目標回転方向Dt(+,−)及び目標回転数Stを位相差ΔPに基づき設定すると共に、目標駆動方式Ftを通常駆動に設定し、それらの設定結果をFB制御値として駆動回路130の通電ブロック134へ出力する。
制御回路120からFB制御値を受けた通電ブロック134の駆動部138は、当該制御値に従って通電パターン切換形態(+,−)及び駆動デューティ比Rdを図8(c)の如く設定することで、目標回転方向DtにモータトルクTmを発生させる。その結果、モータトルクTmがカムトルクTca及び磁気保持トルクThとバランスする位置へモータ軸102が回転し、それによって実位相Prが最適始動位相Phの近傍位相に調整されることとなる。
以上のFB制御により、カムトルク方向Dcaが負方向の図8の例では、目標位相Ptよりも進角側の実位相Prに対して目標回転方向Dtを正方向にして発生させたモータトルクTmによっては、駆動デューティ比Rdが十分に大きくなるまで、実位相Prが変化しない。即ち、モータ軸102においてモータトルクTmがカムトルクTcaとの対抗方向に十分に大きくなるまで、実位相Prは変化しない。一方、目標位相Ptよりも遅角側の実位相Prに対して目標回転方向Dtを負方向にして発生させたモータトルクTmによっては、駆動デューティ比Rdが比較的小さくても実位相Prが変化する。即ち、モータ軸102においてモータトルクTmがカムトルクTcaと同方向に作用するため、実位相Prが容易に変化する。
したがって、位相Pt,Pr間の位相差ΔPに基づくFB制御によりモータトルクTmが発生することによれば、目標位相Ptに対して実位相Prは、遅角側及び進角側のうち方向Dcaに対応する側、即ち図8(a)の例では進角側に偏ることとなる。そこで、本実施形態の方向判別処理では、設定時間ts内において実位相Prに現出する偏りに基づきカムトルク方向Dcaを判別する。
尚、本実施形態の方向判別処理において、目標回転方向Dt及び目標回転数Stは実位相Prに応じて決まる物理量であり、また駆動デューティ比Rdは目標回転数Stに応じて決まる物理量である。即ち、目標回転方向Dt及び駆動デューティ比Rdは実位相Prに相関する物理量であるので、位相差ΔPに基づくFB制御によりモータトルクTmが発生することによれば、図8(b),(c)に示すように、それら物理量の双方にも設定時間ts内に偏りが現出する。ここで、目標回転方向Dt及び駆動デューティ比Rdの偏りは、カムトルク方向Dcaと逆方向に現出することとなるので、それら物理量のいずれかに基づくことによっても、カムトルク方向Dcaを判別することができる。また、実位相Pr、目標回転方向Dt及び駆動デューティ比Rdの偏りのうち少なくとも二つに基づくことによって、カムトルク方向Dcaの判別精度を高めることもできる。尚、駆動デューティ比Rdの偏りに基づくカムトルク方向Dcaの判別については、駆動デューティ比Rdを駆動回路130から制御回路120へ随時出力させることにより、実現可能となる。
(正誤判定付トルク消失処理)
以下、停止時制御のS105により実行される正誤判定付トルク消失処理について、図12〜14に基づき詳細を説明する。尚、図12は、カムトルク方向Dcaが負方向の場合に、モータ軸102に作用するトルクTm,Tca,Thの合成トルクTaを駆動デューティ比Rdの増減により変化させた結果Ta1,Ta2,Ta3を示している。また、図12においてWsは、合成トルクTaの作用と共に、位相調整機構8及び電動モータ4に発生する摩擦力の影響を受けることによって、モータ軸102がバランスするトルク領域を表している。
正誤判定付トルク消失処理において制御回路120は、制御モードをOR制御モードとする。そして、制御回路120は、まず、方向判別処理によるカムトルク方向Dcaの判別方向Dca0とは逆方向に目標回転方向Dtを設定する。それと共に制御回路120は、目標回転数St及び目標駆動方式Ftをそれぞれ初期値及び通常駆動に設定し、それらの設定結果並びに上記目標回転方向Dtの設定結果をOR制御値として、駆動回路130の通電ブロック134へ出力する。ここで目標回転数Stの初期値は、判別方向Dca0が正しい場合に、当該初期値に従う駆動デューティ比RdによってカムトルクTca及び磁気保持トルクThとバランスするモータトルクTmを発生させるための値である。
制御回路120からOR制御値を受けた通電ブロック134の駆動部138は、当該制御値に従って通電パターン切換形態並びに駆動デューティ比Rdを設定することで、目標回転方向DtにモータトルクTmを発生させる。
その結果、判別方向Dca0が正しい場合、即ちモータトルクTmがカムトルクTcaと正しく対抗している場合には、モータ軸102が回転することなく又は目標回転方向Dtと逆方向へ僅かに回転したところで、モータトルクTmがトルクTca,Thとバランスする(例えば、図12のTa1上に黒丸にて示すバランス点)。したがって、この場合の実位相Prは、保持される又は遅角側及び進角側のうち目標回転方向Dtの逆方向に対応する側へ変化することとなる。
ここで具体的には、図13(a)に示すようにカムトルク方向Dca及び判別方向Dca0が共に正方向の場合、モータトルクTmが目標回転方向Dtとしての負方向に発生することで、実位相Prが保持される又は遅角側へ変化する。また、図13(b)に示すようにカムトルク方向Dca及び判別方向Dca0が共に負方向の場合、モータトルクTmが目標回転方向Dtとしての正方向に発生することで、実位相Prが保持される又は進角側へ変化する。
一方、判別方向Dca0に誤りがある場合、即ちモータトルクTmがカムトルクTcaを同方向にアシストしている場合には、モータトルクTmがトルクTca,Thとバランスし得なくなり、モータ軸102が目標回転方向Dtへ回転する。したがって、この場合の実位相Prは、遅角側及び進角側のうち目標回転方向Dtに対応する側へ変化することとなる。
ここで具体的には、図13(c)に示すようにカムトルク方向Dcaが正方向且つ判別方向Dca0が負方向の場合、モータトルクTmが目標回転方向Dtとしての正方向に発生することで実位相Prが遅角側へ変化する。また、図13(d)に示すようにカムトルク方向Dcaが負方向且つ判別方向Dca0が正方向の場合、モータトルクTmが目標回転方向Dtとしての負方向に発生することで実位相Prが進角側へ変化する。
これらのことから本実施形態の制御回路120は、判別方向Dca0と逆方向にモータトルクTmを発生させることで現出させた実位相Prの変化態様と、当該モータトルクTmの方向である目標回転方向Dtとの相関に基づいて、判別方向Dca0の正誤を判定する。その結果、判別方向Dca0を誤りとする判定を下した場合には、目標回転方向Dtを切り換えることにより、モータトルクTmを方向反転させてトルクTca,Thとバランスさせる。したがって、判別方向Dca0に誤りがあった場合においても、正誤判定に伴うモータ軸102の回転を僅かに抑えることができるのである。尚、ここで、判別方向Dca0を正しいとする判定を下した場合には、目標回転方向Dtを保持して、トルクTm,Tca,Thのバランス状態を継続的に実現する。
このようにしてトルクTm,Tca,Thをバランスさせた後に制御回路120は、通電ブロック134へ出力するOR制御値のうち、目標回転方向Dt及び目標駆動方式Ftについては保持しつつ、目標回転数Stについては正誤判定時の初期値から漸次減少させる。また、通電ブロック134の駆動部138は、制御回路120から受けるOR制御値に従って通電パターン切換形態並びに駆動デューティ比Rdを設定する。ここで特に、電動モータ4への通電量を決める駆動デューティ比Rdは、目標回転数Stに従うことより、図14(a)の如く漸次減少させられる。これにより、カムトルクTcaと対抗したまま図14(b)の如く漸次減少するモータトルクTmを発生させることができるので、トルクTm,Tca,Thのバランス(例えば、図12のTa2上に黒丸にて示すバランス点)が随時実現されて、モータ軸102の急回転が抑制されることとなる。尚、ここで、急回転の抑制効果を左右するモータトルクTm(目標回転数St、駆動デューティ比Rd)の時間減少率については、本実施形態では一定としているが、時間経過に従って漸次減少、漸次増大又はステップ状に変化させてもよい。
以上により、目標回転数St及び駆動デューティ比Rdが零値に設定されてモータトルクTmが完全に消失した時点においては、消失直前まで急回転の抑制作用を受けていたモータ軸102において、磁気保持トルクThとカムトルクTcaとが確実にバランスすることとなる(例えば、図12のTa3上に黒丸にて示すバランス点)。このとき機関位相は、正誤判定付トルク消失処理の開始直前に方向判別処理によって実現されていた最適始動位相Phの近傍位相に対して、図14(c)の如く始動位相の範囲内でずれるに留まる。これは、判別方向Dca0の正誤判定時にモータ軸102の回転が僅かに抑えられると共に、それ以降のトルク消失時にモータ軸102の急回転が抑制されるからである。したがって、モータトルクTmの消失後においては、カムトルクTcaの絶対値よりもピーク値Thpkが大きい磁気保持トルクThによりモータ軸102の回転を防止して、図14(c)の如く機関位相を始動位相の範囲内のまま保持することができる。このような本実施形態によれば、内燃機関の始動性が確実に確保されるのである。
(第二実施形態)
図15に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例である。第二実施形態のS105による正誤判定付トルク消失処理では、第一実施形態に準じて判別方向Dca0の正誤を判定した後、モータ軸102にブレーキをかけることによりモータトルクTmを漸次減少させて消失させる。
具体的に制御回路120は、判別方向Dca0を正誤判定してトルクTm,Tca,Thをバランスさせた後、まず、OR制御値として、電動モータ4の目標回転数St、目標回転方向Dt及び目標駆動方式Ftをそれぞれ設定し、それらの設定結果を駆動回路130の通電ブロック134へ出力する。このとき目標回転数Stについては、正誤判定時の初期値及び零値の間となる所定の中間値に設定する。目標回転方向Dt及び目標駆動方式Ftについては、第一実施形態と同様に保持する。
制御回路120からOR制御値を受けた通電ブロック134の駆動部138は、当該制御値に従って通電パターン切換形態並びに駆動デューティ比Rdを設定する。ここで特に本実施形態では、図15(a)の如く駆動デューティ比Rdが目標回転数Stの上記中間値に対応する値まで減少するので、カムトルクTcaに対抗するモータトルクTmが図15(b)の如く一旦大きく減少する。その結果、モータ軸102におけるトルクTm,Tca,Thのバランスが一旦崩れて、モータ軸102が目標回転方向Dtとは逆方向へ回転し始める。
そこで、次に本実施形態では、制御回路120から通電ブロック134へ出力するOR制御値のうち、目標回転方向Dt及び目標回転数Stについては保持しつつ、目標駆動方式Ftについてはブレーキ駆動に設定する。これにより駆動部138は、制御回路120から受けるOR制御値に従って通電パターン切換形態並びに駆動デューティ比Rdを設定することで、目標回転方向Dtの逆方向へと回転し始めたモータ軸102に目標回転方向Dtのブレーキをかける。その結果、カムトルクTcaに対抗するモータトルクTmの減少が図15(b)の如く抑えられて当該トルクTmの漸次減少状態となるので、トルクTm,Tca,Thのバランスが再度実現され、モータ軸102の急回転が抑制される。尚、ここで、急回転の抑制効果を左右するブレーキ効率については、本実施形態では目標回転数St及び駆動デューティ比Rdを保持することで一定としているが、時間経過に従って変化させてもよい。
このようにして漸次減少するモータトルクTmは、上記ブレーキ効率に応じた時間tb(図15(c)参照)が経過すると、略零値となる。そこで、本実施形態では、目標回転数Stを上記中間値に設定してから時間tbが経過すると、制御回路120から通電ブロック134へ出力するOR制御値のうち、目標回転方向Dt及び目標駆動方式Ftについては保持しつつ、目標回転数Stを零値に設定する。これにより駆動部138は、制御回路120から受けるOR制御値に従って通電パターン切換形態並びに駆動デューティ比Rdを設定することで、モータトルクTmを完全に消失させる。
以上により、モータトルクTmが完全に消失した時点においては、消失直前まで急回転の抑制作用を受けていたモータ軸102において、磁気保持トルクThとカムトルクTcaとが確実にバランスすることとなる。このとき機関位相は、第一実施形態に準じた原理により、図15(c)の如く始動位相の範囲内でずれるに留まる。したがって、モータトルクTmの消失後においては、磁気保持トルクThによりモータ軸102の回転を防止して図15(c)の如く機関位相を始動位相の範囲内のまま保持することができるので、内燃機関の始動性が確実に確保されるのである。
(第三実施形態)
図16に示すように、本発明の第三実施形態は第一実施形態の変形例である。第三実施形態の停止時制御では、S101〜S103の実行後、S104を実行しないと共に、第一実施形態のS105とは異なるS204として方向判別付きトルク消失処理を実行する。
具体的にS204では、まず、予め決められた設定方向Dsに目標回転方向Dtを設定することを除き、第一実施形態の判別方向Dca0の正誤判定に準じて、目標回転数Stの初期値に対応したモータトルクTmを発生させる。
これにより、モータトルクTmが設定方向Dsに発生してカムトルクTcaと正しく対抗した場合には、モータ軸102が回転することなく又は設定方向Dsと逆方向へ僅かに回転したところで、モータトルクTmがトルクTca,Thとバランスする。したがって、この場合の実位相Prは、保持される又は遅角側及び進角側のうち設定方向Dsの逆方向に対応する側へ変化する。一方、モータトルクTmが設定方向Dsに発生することでカムトルクTcaをアシストする状態となった場合には、モータトルクTmがトルクTca,Thとバランスし得なくなるので、モータ軸102が設定方向Dsへ回転する。したがって、この場合の実位相Prは、遅角側及び進角側のうち設定方向Dsに対応する側へ変化する。
これらのことから本実施形態の制御回路120は、設定方向DsのモータトルクTmを発生させることで現出させた実位相Prの変化態様と、当該設定方向Dsとの相関に基づいて、現在のカムトルク方向Dcaを判別する。即ち、実位相Prが保持される又は設定方向Dsの逆方向の対応側へ変化する場合には、カムトルク方向Dcaは設定方向Dsの逆方向であると判断する。一方、実位相Prが設定方向Dsの対応側へ変化する場合には、カムトルク方向Dcaは設定方向Dsと同方向であると判断して、目標回転方向Dtを設定方向Dsから反転させることによりトルクTm,Tca,Thをバランスさせる。したがって、以上の方向判別に伴うモータ軸102の回転を僅かに抑えることができるのである。
そして、このようにしてトルクTm,Tca,Thをバランスさせた後においては、第一実施形態に準ずる方法によりモータトルクTmを漸次減少させて消失させることで、内燃機関の始動性が確保されることになるのである。
(第四実施形態)
図17に示すように、本発明の第四実施形態は第一実施形態の変形例である。第四実施形態のS105による正誤判定付トルク消失処理では、第一実施形態に準じて判別方向Dca0の正誤を判定した後、モータトルクTmを漸次減少させるに先立って、モータトルクTmの加減を行う。
具体的に制御回路120は、判別方向Dca0を正誤判定してトルクTm,Tca,Thをモータ軸102にてバランスさせた後には、駆動回路130の通電ブロック134へ出力するOR制御値として、目標回転方向Dt及び目標駆動方式Ftを保持しつつ、目標回転数Stを零値に設定する。これにより通電ブロック134の駆動部138は、制御回路120からのOR制御値に従って駆動デューティ比Rdを図17(a)の如く零値に設定することにより、モータトルクTmを図17(b)の如く零値にまで減少させる。その結果、モータ軸102でのトルクバランスが崩れるため、モータ軸102が実際のカムトルク方向Dcaへ回転し始める。
こうしてモータ軸102がカムトルク方向Dcaへの回転を開始すると、位相調整機構8及び電動モータ4に発生する摩擦力が、トルクバランス状態での静摩擦力から、より小さな動摩擦力へと変化する。故に、トルクバランスを再度実現してモータ軸102の回転を止めるようにするには、モータトルクTmとして、目標回転数Stの初期値に対応する回転前のトルクよりも小さなトルクを発生させればよい。
そこで、モータトルクTmを零値にまで減少させた後に制御回路120は、通電ブロック134へ出力するOR制御値のうち、目標回転方向Dt及び目標駆動方式Ftについては保持しつつ、目標回転数Stについては初期値よりも小さなバランス実現値に設定する。これにより駆動部138は、制御回路120からのOR制御値に従って通電パターン切換形態を設定することで、カムトルクTcaと正確に対抗するモータトルクTmを再発生させる。また、駆動部138は、OR制御値に従って駆動デューティ比Rdを、図17(a)の如く上記バランス実現値の対応値に設定することで、図17(b)の如きモータ軸102回転前よりも小さなモータトルクTmにて、トルクTca,Thとの再バランスを実現する。尚、図17(c)に示すように、モータトルクTmを一旦零値にしてから再発生させるまでの時間t1は、モータ軸102の回転によっても機関位相が始動位相の範囲内となるように、モータ軸102の予測最大回転数等を考慮して予め設定されている。
こうして実現される再バランス状態において位相調整機構8及び電動モータ4に発生する静摩擦力は、モータ軸102の回転前のトルクバランス状態における静摩擦力よりも小さくなる。したがって、この後、第一実施形態に準ずる方法にて、モータトルクTmの漸次減少による消失を実現することによれば、位相調整機構8及び電動モータ4において当該消失に遅れて静摩擦力が減少することでモータ軸102が回転してしまう事態を回避できる。即ち、第四実施形態によれば、位相調整機構8及び電動モータ4に不可避的に発生する摩擦力の影響をも考慮して、内燃機関の始動性の確保エラーを十分に防止することができるのである。
(第五実施形態)
図18に示すように、本発明の第五実施形態は第四実施形態の変形例である。第五実施形態の停止時制御では、S101〜S103の実行後、S104を実行しないと共に、第四実施形態のS105と異なるS304として方向判別付きトルク消失処理を実行する。尚、本実施形態の方向判別付きトルク消失処理の実行開始時には、S103の実行終了直後であることにより、図19(b),(c)の如く機関位相を始動位相の範囲内とするモータトルクTmの発生状態となっている。
具体的にS304では、制御回路120は制御モードをOR制御モードとして、まず、OR制御値としての目標回転数Stを零値に設定し、駆動回路130の通電ブロック134へ出力する。これにより通電ブロック134の駆動部138は、制御回路120からのOR制御値に従って駆動デューティ比Rdを図19(a)の如く零値に設定することにより、モータトルクTmを図19(b)の如く零値にまで減少させる。その結果、モータ軸102が実際のカムトルク方向Dcaへ回転し始める。
こうしてモータ軸102がカムトルク方向Dcaへの回転を開始した場合の実位相Prは、遅角側及び進角側のうち、実際のカムトルク方向Dcaに対応する側へ変化する。そこで、本実施形態の制御回路120は、モータトルクTmを零値にまで減少させることによって現出させた実位相Prの変化態様に基づき、現在のカムトルク方向Dcaを判別する。
また、モータ軸102がカムトルク方向Dcaへの回転を開始した場合には、第四実施形態の場合と同様に、位相調整機構8及び電動モータ4に発生する摩擦力が静摩擦力から動摩擦力へ変化する。そこで、本実施形態の制御回路120は、通電ブロック134へ出力するOR制御値のうち、目標回転数Stについては第四実施形態と同じバランス実現値に設定する。それと共に制御回路120は、通電ブロック134へ出力するOR制御値のうち、目標回転方向Dtについて、モータトルクTmの減少により判別されたカムトルク方向Dca(即ち、判別方向Dca0)と逆方向に設定すると共に、目標駆動方式Ftについて、通常駆動に設定する。
このように設定されたOR制御値を受けて駆動部138は、第四実施形態に準じて通電パターン切換形態並びに図19(a)の如き駆動デューティ比Rdを設定することで、カムトルクTcaと対抗し且つ図19(b)の如くモータ軸102回転前よりも小さなモータトルクTmにて、トルクTca,Thとの再バランスを実現する。尚、図19(c)に示すように、モータトルクTmを一旦零値にしてから方向判別を経て当該トルクTmを再発生させるまでの時間t2は、モータ軸102の回転によっても機関位相が始動位相の範囲内となるように、モータ軸102の予測最大回転数等を考慮して予め設定されている。
こうして実現される再バランス状態においても、位相調整機構8及び電動モータ4に発生する静摩擦力がモータ軸102の回転前よりも小さくなる。したがって、この後、第一実施形態に準ずる方法にて、モータトルクTmの漸次減少による消失を実現することによれば、当該消失に遅れて摩擦力が減少することによるモータ軸102の回転を回避することができる。即ち、第五実施形態によっても、内燃機関の始動性の確保エラーを十分に防止することができるのである。
(第一〜第五実施形態の変形形態)
以上説明した第一〜第五実施形態に特有の変形形態について、以下に説明する。
第一及び第二実施形態のS105において、モータトルクTmの漸次減少中に判別方向Dca0の正誤判定を随時行うようにしてもよい。また、第三実施形態のS204、第四実施形態のS105及び第五実施形態のS304において、第二実施形態に準ずる方法によりモータトルクTmを漸次減少させて消失させるようにしてもよい。さらにまた、第四実施形態のS105において、第三実施形態に準ずる方法によりカムトルク方向Dcaを判別するようにしてもよい。
(第六実施形態)
図20に示すように、本発明の第六実施形態は第一実施形態の変形例である。第六実施形態の遊星キャリア640では、弾性部材48を収容する凹部646が、偏心部44の内歯車部14,22に対する偏心側に偏って一対設けられている。これにより遊星キャリア640は、駆動側回転体10に対してモータ軸102と共に相対回転することで、各弾性部材48に弾性歪みを生じさせ、それら部材48の復原力によって遊星歯車50の外歯車部52,54をそれぞれ内歯車部14,22に押し付けるようになっている。
また、図21に示すように第六実施形態の制御回路620には、クランク軸の回転角度θcrを検出するクランクセンサ622と、カム軸2の回転角度θcaを検出するカムセンサ624とが電気接続されている。これにより制御回路620は、内燃機関の運転状態を各センサ622,624から受ける検出信号から判定すると共に、モータ軸102の動作態様を各回転角度センサ114から受ける検出信号から判定して、それら判定結果に基づく正確なモータ通電の制御を実現するようになっている。
詳細に第六実施形態の停止時制御では、第一実施形態のS101〜S105に代えて、図22に示す通電制御処理S601〜S612を実行する。以下、本実施形態の通電制御処理について、図22のフローに従って説明する。
まず、通電制御処理のS601において制御回路620は、内燃機関の停止に必須の条件(以下、「機関停止条件」という)を検出したか否かを判定する。ここで具体的に、機関停止条件としては、内燃機関のイグニッションスイッチのオフ、内燃機関への燃料噴射の停止、アイドルストップシステムによる内燃機関の停止条件(例えば車両のブレーキのオン且つ車両のアクセルのオフ)等のうち、少なくとも一つとされる。そして、こうした機関停止条件を検出した場合には、S602へ移行し、それ以外の場合には、S601を繰り返すことになる。
S602において制御回路620は、第一実施形態のS102に準ずるFB制御モードを開始して機関位相を最適始動位相Ph又はその近傍位相に調整する。また、続くS603において制御回路620は、S602のFB制御モードを継続しつつ、内燃機関が完全に停止したか否かを各センサ622,624からの検出信号に基づき判定する。ここで具体的には、クランクセンサ622からの検出信号が回転角度θcrの変化のないクランク軸の停止を表し且つカムセンサ624からの検出信号が回転角度θcaの変化のないカム軸2の停止を表す場合には、内燃機関が停止したとする機関停止判定を下してS604へ移行し、それ以外の場合には、S603を繰り返す。尚、S603において内燃機関の停止は、クランクセンサ622からの検出信号及びカムセンサ624からの検出信号のうち一方に基づいて、判定するようにしてもよい。
S604において制御回路620は、制御モードをOR制御モードとして、OR制御値たる目標回転数Stを零値に設定し、駆動回路130の通電ブロック134へ出力する。これにより通電ブロック134の駆動部138は、制御回路620からのOR制御値に従って駆動デューティ比Rdを零値に設定する。これにより、電動モータ4への通電量である電流値が図23の如く零値にまでステップ状に一旦減少し、モータトルクTmも零値にまで一旦減少する。
この機関停止直後における位相調整機構8では、通常、機関停止前の弾性歪みに起因した歪みエネルギーが各弾性部材48に蓄積されている。したがって、モータトルクTmの減少によりトルクバランスの崩れたモータ軸102は、各弾性部材48に蓄積された歪みエネルギーを解放しながら、実際のカムトルク方向Dcaへ回転することになる。
そこで、続くS605において制御回路620は、S604のOR制御モードを継続しつつ、モータ軸102の回転角度θmが変化したか否かを各回転角度センサ114からの検出信号に基づき判定する。ここで具体的には、各回転角度センサ114からの検出信号により表されるモータ軸102の回転角度θmが直前のS604の開始時から設定角度以上変化した場合には、回転角度θmが変化したとする角度変化判定を下してS606へ移行し、それ以外の場合には、S605を繰り返す。尚、S605の判定条件となる設定角度については、車両振動等の外乱によって偶発的に生じるモータ軸102の僅かな動きは無視できるように、且つ後述するS612に至るまでのモータ軸102の回転により歪みエネルギーは確実に解放されるが機関位相は始動位相の範囲を超えないように、設定される。
S606において制御回路620は、S604のOR制御モードを継続しつつ、各回転角度センサ114からの検出信号に基づく電動モータ4の実回転方向Drを、通電量減少によって現出する回転角度θmの変化方向Dmとして判別する。
続くS607において制御回路620は、制御モードをOR制御モードとして、S606による変化方向Dmの判別方向Dm0と逆方向に、目標回転方向Dtを設定する。それと共に制御回路620は、目標回転数St及び目標駆動方式Ftをそれぞれ設定値及びブレーキ駆動に設定した後、それらの設定結果並びに上記目標回転方向Dtの設定結果をOR制御値として駆動回路130の通電ブロック134へと出力する。ここで目標回転数Stの設定値は、それに従う駆動デューティ比Rdによって、モータ軸102に判別方向Dm0とは反対にブレーキをかけてトルクTm,Tca,Thをバランスさせるための値である。
S607では、このようにして制御回路620からOR制御値を受けた通電ブロック134の駆動部138が、通電パターン切換形態並びに駆動デューティ比Rdを設定する。これにより、判別方向Dm0が正しい場合には、電動モータ4への通電量である電流値が、モータ軸102にブレーキをかける通電方向へ図23の如きステップ状に増大する。故に、モータトルクTmがカムトルクTcaと確実に対抗してモータ軸102の回転角度θmの変化速度が低下し、トルクTm,Tca,Thがバランスすることになる。一方、判別方向Dm0に誤りがある場合には、通電により発生するモータトルクTmがカムトルクTcaとは対抗せず、モータ軸102の回転角度θmの変化速度が増大することになる。
そこで、続くS608において制御回路620は、S607のOR制御モードを継続しつつ、判別方向Dm0の正誤を各回転角度センサ114からの検出信号に基づき判定する。ここで具体的には、通電量増大により電動モータ4の実回転数Srとして現出するモータ軸102の回転角度θmの変化速度が、判別方向Dm0に増大した場合には、判別方向Dm0を誤りとする判定を下して、S609へと移行する。そして、このS609において制御回路620は、OR制御値のうち目標回転方向Dtを切り換えて電動モータ4への通電方向を反転させることで、トルクTm,Tca,Thのバランスを実現させることになる。したがって、判別方向Dm0に誤りがあった場合においても、S609の迅速な実行によって、正誤判定に伴うモータ軸102の回転量を僅かに抑えることができるのである。
以上により、S609の実行後と、S608にて判別方向Dm0を正しいとする判定が下された場合とには、トルクTm,Tca,Thがバランスした状態でS610へと移行する。このS610において制御回路620は、S609,S608のOR制御モードのうち直前のものを継続しつつ、モータ軸102が停止したか否かを各回転角度センサ114からの検出信号に基づき判定する。ここで具体的には、各回転角度センサ114からの検出信号により表される回転角度θmが所定時間以上変化しない場合には、モータ軸102が停止したとするモータ停止判定を下してS611へ移行し、それ以外の場合には、S610を繰り返す。
S611において制御回路620は、S604に準じたOR制御モードを実施することにより、電動モータ4への通電量である電流値を図23の如く零値にまでステップ状に減少させる。これにより、電動モータ4への通電が停止するので、モータトルクTmが完全に消失する。ここで、上述の如くブレーキ作用によってモータ軸102が停止させられる本実施形態では、モータトルクTmの消失時点までにモータトルクTmが小さくなるので、当該消失時点において磁気保持トルクThとカムトルクTcaとがバランスし易くなる。
そこで、S612において制御回路620は、S611により通電を停止してからモータ軸102の回転角度θmが変化したか否かを、S605に準じて判定する。但し、S612では、所定時間内に角度変化判定が下されない場合には、トルクTh,Tcaが確実にバランスすることでモータ軸102が完全に停止したとして、停止時制御を終了する。この制御終了時の機関位相は、S604の実行直前に実現されている最適始動位相Ph又はその近傍位相に対して、始動位相の範囲でずれるに留まったものとなる。これは、通電量減少によるモータ軸102の回転がS605,S612の判定により上述の設定角度程度に抑えられると共に、S608の判定時にもモータ軸102の回転量が僅かに抑えられるからである。
一方、S612において角度変化判定が下された場合には、トルクTh,Tcaのバランスが崩れてモータ軸102が回転状態にあるとして、S606へ戻る。これにより、S611,S612がS604,S605に代替されて、トルクTh,Tcaが確実にバランスするまでS606〜S612が繰り返され、最終的にモータ軸102が完全に停止した状態で停止時制御が終了することになる。
以上、第六実施形態の停止時制御の終了後においては、カムトルクTcaの絶対値よりもピーク値Thpkが大きい磁気保持トルクThによりモータ軸102の回転が防止されることで、機関位相が始動位相の範囲内のまま保持され得る。また特に、第六実施形態の停止時制御の終了後においては、機関停止直後の位相調整機構8に蓄積されていた歪みエネルギーが解放された状態となっているので、そうした歪みエネルギーの解放に起因するモータ軸102の回転、ひいては機関位相のずれも抑制され得る。したがって、第六実施形態によれば、内燃機関の始動性の確保を確固たるものとすることができるのである。
尚、ここまで説明した第六実施形態では、停止時制御の通電制御処理のうち、S602,S604,S607,S609,S611を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「通電制御手段」に相当し、S603を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「機関判定手段」に相当し、S605,S610,S612を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「モータ判定手段」に相当し、S606を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「変化方向判別手段」に相当し、S608を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「正誤判定手段」に相当する。
(第七実施形態)
図24に示すように、本発明の第七実施形態は第六実施形態の変形例である。第七実施形態の停止時制御では、通電制御処理のS602,S603,S605〜S606,S607〜S609,S610の代わりに、S702,S703,S705,S707,S710をそれぞれ実行する。
具体的にS702において制御回路620は、第一実施形態で説明したS104に準ずる方向判別処理を実行することにより、FB制御モード下にてカムトルク方向Dcaを正確に判別する。
また、続くS703において制御回路620は、S702のFB制御モードを継続しつつ、内燃機関が完全に停止したか否かを、当該完全停止時についての推定結果に基づき判定する。ここで内燃機関の完全停止時については、具体的には、内燃機関の完全停止に必要な時間として予め設定される停止必要時間(例えば2s程度)が、S601による機関停止条件の検出から経過した否かにより、推定する。そして、停止必要時間が経過した場合には機関停止判定を下してS604へと移行し、それ以外の場合には、S703を繰り返すのである。
さらに、電動モータ4への通電量を図25の如く一旦減少させるS604から移行のS705では、制御回路620がS604のOR制御モードを継続しつつ、S604の実行開始から設定時間が経過したか否かを判定する。その結果、肯定判定が下されまでは、S705が繰り返され、肯定判定が下されると、S707へ移行する。尚、S705の判定条件となる設定時間については、モータ軸102の回転により歪みエネルギーは確実に解放されるが機関位相は始動位相の範囲を超えないように、例えば100ms程度に設定される。
S707において制御回路620は、制御回路620は、制御モードをOR制御モードとして、S702によるカムトルク方向Dcaの判別方向Dca0と逆方向に、目標回転方向Dtを設定する。それと共に制御回路620は、目標回転数St及び目標駆動方式Ftをそれぞれ設定値及び通常駆動に設定し、それらの設定結果並びに上記目標回転方向Dtの設定結果をOR制御値として、駆動回路130の通電ブロック134へ出力する。ここで目標回転数Stの設定値は、それに従う駆動デューティ比Rdにより、判別方向Dca0と反対にモータトルクTmを発生させてトルクTm,Tca,Thをバランスさせるための値である。
S707では、このようにして制御回路620からOR制御値を受けた通電ブロック134の駆動部138が、通電パターン切換形態並びに駆動デューティ比Rdを設定する。これにより、電動モータ4への通電量である電流値が、判別方向Dca0とは反対にモータトルクTmを発生させる通電方向へ図25の如きステップ状に増大する。故に、モータトルクTmがカムトルクTcaと確実に対抗してモータ軸102の回転角度θmの変化速度が低下し、トルクTm,Tca,Thが容易にバランスし得るのである。
以上のS707に続くS710において制御回路708は、S707のOR制御モードを継続しつつ、S707の実行開始から設定時間が経過したか否かを判定する。その結果、肯定判定が下されまでは、S710が繰り返され、肯定判定が下されると、図25の如く通電停止させるS611へと移行する。尚、S710の判定条件となる設定時間については、S707にて開始される通電量増大によりトルクTm,Tca,Thがバランスしてモータ軸102が停止するのに必要な時間、例えば300ms程度に設定される。また、S710からS611へ移行して電動モータ4への通電を停止した後においては、トルクTh,Tcaのバランスによりモータ軸102が完全停止した状態下、停止時制御が終了することとなる。
以上の第七実施形態によると、機関停止条件の検出を利用した間接的な推定により機関停止判定を下すことができるので、当該判定の上ではセンサ622,644や、それらセンサ622,624を制御回路620に電気接続するための構成が不要となる。また、第七実施形態によると、通電量を一旦減少させた後の通電量増大と通電停止とをシーケンス制御によって自動的に実行しつつ、歪みエネルギーの解放とモータ軸102の完全停止とを実現できるので、簡素な通電制御処理となるのである。したがって、第七実施形態によれば、内燃機関の始動性を低コストにて確保することが可能となる。
尚、ここまで説明した第七実施形態では、停止時制御の通電制御処理のうち、S702を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「トルク方向判別手段」に相当し、S702,S604,S705,S707,S710,S611を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「通電制御手段」に相当し、S601,S703を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「機関判定手段」に相当する。
(第八実施形態)
図26に示すように、本発明の第八実施形態は第六実施形態の変形例である。第八実施形態の停止時制御では、通電制御処理のS605,S606,S608,S610,S612の代わりに、S805,S806,S808,S810,S812をそれぞれ実行する。
具体的にS805において制御回路620は、S604のOR制御モードを継続しつつ、モータ軸102の回転角度θmが変化したか否かを、クランクセンサ622及びカムセンサ624から受ける検出信号に基づき判定する。ここで具体的には、クランクセンサ622及びカムセンサ64からの検出信号によってそれぞれ表されるクランク軸及びカム軸2の回転角度θcr,θcaに基づき、機関位相の実位相Prを算出し、当該実位相Prが直前のS604の開始時から設定範囲以上変化した場合に、回転角度θmが変化したと推定する。そして、このようにして回転角度θmの変化が推定された場合には、角度変化判定を下してS806へ移行し、それ以外の場合には、S805を繰り返す。尚、S805の判定条件となる実位相Prの設定範囲については、偶発的に生じるモータ軸102やクランク軸、カム軸2の僅かな動きは無視できるように、且つモータ軸102の回転により歪みエネルギーは確実に解放されるが機関位相は始動位相の範囲を超えないように、設定される。また、機関停止後のS805においては、カムセンサ624からの検出信号のみに基づいて、回転角度θmの変化を判定することも可能である。
S806において制御回路620は、S604のOR制御モードを継続しつつ、モータ軸102の回転角度θmの変化方向Dmをセンサ622,624からの検出信号に基づき判別する。ここで具体的には、第五実施形態で説明したS304のカムトルク方向Dcaの判別に準じ、当該方向Dcaが変化方向Dmに等しいものとして、実位相Prの変化態様に基づく判別を行う。但し、上述したように本実施形態の実位相Prは、回転角度θcr,θcaに基づき算出される。したがって、S806では、回転角度θcr,θcaに基づき算出される実位相Prの変化態様に応じて変化方向Dmが推定され、当該推定結果が判別方向Dm0として採用されることになるのである。尚、機関停止後のS806においては、カムセンサ624からの検出信号のみに基づいて、変化方向Dmを判別することも可能である。
以上のS805,S806実行後のS607によって電動モータ4への通電量が図27の如く増大された状態下、S808では、制御回路620がS607のOR制御モードを継続しつつ、判別方向Dm0の正誤をセンサ622,624からの検出信号に基づき判定する。ここで具体的には、回転角度θcr,θcaに基づき算出される実位相Prから回転速度θmの変化速度を推定し、当該推定速度が判別方向Dm0に増大した場合には、判別方向Dm0を誤りとする判定を下してS609へ移行する。
その結果、S609により電動モータ4への通電方向を反転させた後と、S808で判別方向Dm0を正しいとする判定が下された場合とには、S810へ移行する。このS810において制御回路620は、S609,S808のOR制御モードのうち直前のものを継続しつつ、モータ軸102が停止したか否かをセンサ622,センサ624からの検出信号に基づき判定する。ここで具体的には、回転角度θcr,θcaに基づき算出される実位相Prが所定時間以上変化しない場合には、モータ軸102が停止したと推定してモータ停止判定を下し、図27の如く通電停止させるS611へと移行するが、それ以外の場合には、S810を繰り返すことになる。
S611への移行により電動モータ4への通電が停止された状態下、S812において制御回路620は、モータ軸102の回転角度θmが変化したか否かをS805に準じて判定する。但し、S812では、所定時間内に角度変化判定が下されない場合には停止時制御を終了し、角度変化判定が下された場合にはS806へと戻ることになるのである。
以上の第八実施形態によると、クランク軸及びカム軸2の回転検出を利用した推定により、モータ軸102に関して角度変化判定、変化方向判別及びその正誤判定、並びにモータ停止判定を正確に行うことができる。これは、クランク軸及びカム軸2が位相調整機構8を介してモータ軸102と連繋している構成の場合、通常、クランク軸及びカム軸2の動きとモータ軸102の動きとの間に相関が生じるからである。したがって、第八実施形態によっても確実に、内燃機関の始動性を確保することができるのである。
尚、ここまで説明した第八実施形態では、停止時制御の通電制御処理のうち、S805,S810,S812を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「モータ判定手段」に相当し、S806を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「変化方向判別手段」に相当し、S808を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「正誤判定手段」に相当する。
(第九実施形態)
図28に示すように、本発明の第九実施形態は第六実施形態の変形例である。第九実施形態の停止時制御では、通電制御処理のS602,S604の代わりに、S902,S904をそれぞれ実行する。
具体的にS902において制御回路620は、第一実施形態で説明したS104に準ずる方向判別処理を実行することにより、FB制御モード下にてカムトルク方向Dcaを正確に判別する。
また、続くS603により機関停止判定が下されて移行するS904では、制御モードをOR制御モードとして、S902によるカムトルク方向Dcaの判別方向Dca0と逆方向に、目標回転方向Dtを設定する。それと共に制御回路620は、目標回転数St及び目標駆動方式Ftをそれぞれ所定値及び通常駆動に設定し、それらの設定結果並びに上記目標回転方向Dtの設定結果をOR制御値として、駆動回路130の通電ブロック134へ出力する。ここで、目標回転数Stとして設定される所定値は、それに従う駆動デューティ比Rdにより、電動モータ4への通電量である電流値及びモータトルクTmがそれぞれ零値よりも大きな所定値となることで、歪みエネルギーを解放しながらモータ軸102を実際のカムトルク方向Dcaへ回転させるための値である。
S904では、このようにして制御回路620からOR制御値を受けた通電ブロック134の駆動部138が、通電パターン切換形態並びに駆動デューティ比Rdを設定する。これにより、図29の如く電動モータ4への通電量が、零値よりも大きな所定値にまでステップ状に一旦減少し、それに応じてモータトルクTmも所定値にまで一旦減少するので、歪みエネルギーの解放を伴ってモータ軸102が回転することになる。尚、このようなS904に続くS605,S606では、S904のOR制御モードの維持下において、回転角度θmの変化の判定及び変化方向Dmの判別が実施されることになるのである。
以上、第九実施形態によると、通電量を一旦減少させる幅が抑えられるので、歪みエネルギーの解放に伴うモータ軸102の急回転が生じ難くなる。これによれば、モータ軸102の急回転に起因して機関位相がずれる事態を抑制して、内燃機関の始動性を確保することができるのである。
尚、ここまで説明した第九実施形態では、停止時制御の通電制御処理のうち、S902,S904,S607,S609,S611を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「通電制御手段」に相当する。
(第十実施形態)
図30に示すように、本発明の第十実施形態は第九実施形態の変形例である。第十実施形態の停止時制御では、通電制御処理のS904,S611の代わりに、S1004,S1011をそれぞれ実行する。
具体的にS1004において制御回路620は、制御モードをOR制御モードとして、第九実施形態と同様に目標回転方向Dtを判別方向Dca0の逆方向に設定且つ目標駆動方式Ftを通常駆動に設定する。その一方で、本実施形態のS1004において制御回路620は、目標回転数Stを、直前のS603終了時の値から漸次減少させる。
S1004では、このようにして設定されたDt,Ft,Stを制御回路620からOR制御値として受ける駆動回路130の通電ブロック134の駆動部138が、通電パターン切換形態並びに駆動デューティ比Rdを設定する。ここで特に、駆動デューティ比Rdは、目標回転数Stに従って漸次減少するように設定される。これにより、電動モータ4への通電量が図31の如く一旦漸次減少し、それに応じてモータトルクTmも一旦漸次減少するので、モータ軸102が歪みエネルギーの解放を伴いつつ回転することになるのである。尚、このようなS1004に続くS605,S606では、S1004のOR制御モードの維持下において、回転角度θmの変化の判定及び変化方向Dmの判別が実施されることになる。但し、S605においてモータ軸102の回転角度θmが変化してS606へ移行する前に、電動モータへの通電量が零値に達した場合には、制御回路620が目標回転数Stを零値に保持することにより、当該通電量がS607の実行開始まで零値に保持されるようになっている。
また、こうした通電量の一旦漸次減少後に通電量の増大を経て移行するS1011では、S1004に準じたOR制御モードを制御回路620が実施することにより、電動モータ4への通電量である電流値を図31の如く漸次減少させる。但し、S1011では、通電量が零値に達するまで漸次減少を継続することにより、電動モータ4への通電を停止してモータトルクTmを完全に消失させることになる。
以上、第十実施形態によると、歪みエネルギーの解放及び通電停止に伴うモータ軸102の急回転が通電量の漸次減少により確実に抑制され得る。これによれば、モータ軸102の急回転に起因して機関位相がずれる事態を回避して、内燃機関の始動性を確保することができるのである。
尚、ここまで説明した第十実施形態では、停止時制御の通電制御処理のうち、S602,S1004,S607,S609,S1011を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「通電制御手段」に相当する。
(第十一実施形態)
図32に示すように、本発明の第十一実施形態は第十実施形態の変形例である。第十一実施形態の停止時制御では、通電制御処理のS605の代わりにS1105を実行する。
具体的に、S1105において制御回路620は、S1004のOR制御モードを継続して、漸次減少中の電動モータ4への通電量である電流値が零値に達したか否かを判定する。ここで、具体的にS1105の判定は、電動モータ4に電気接続された通電ブロック134のインバータ部136に流れる電流値の検出値を駆動回路130から制御回路620が与えられることによって行ってもよいし、制御回路620がOR制御値として設定する目標回転数Stに基づいて行ってもよい。
そして、電動モータ4への通電量が零値に達したと判定された場合には、モータ軸102の回転角度θmの変化方向Dmを判別するS606及び電動モータ4への通電量を図33の如く増大させるS607へと順次移行し、それ以外の場合には、S1105を繰り返す。したがって、本実施形態では、S1004の開始からS1105により通電量が零値に達するまでの漸次減少時間について、モータ軸102の回転角度θmが確実に変化して歪みエネルギーが解放されるが機関位相が始動位相の範囲を超えないように、設定されることになるのである。
以上、第十一実施形態の如く、漸次減少中の通電量が零値となったことによりモータ軸102の回転角度θmの変化を推定的に判断するようにしても、変化方向判別及び通電量増大を行ってモータ軸102の急回転を確実に抑制することが可能である。したがって、第十一実施形態によっても、機関位相のずれを抑制して内燃機関の始動性を確保することができるのである。
尚、ここまで説明した第十一実施形態では、停止時制御の通電制御処理のうち、S602,S1004,S1105,S607,S609,S1011を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「通電制御手段」に相当し、S610,S612を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「モータ判定手段」に相当する。
(第十二実施形態)
図34に示すように、本発明の第十二実施形態は第七実施形態の変形例である。第十二実施形態の停止時制御では、通電制御処理のS604,S611の代わりに、S1204,S1211をそれぞれ実行する。
具体的にS1204において制御回路620は、第十実施形態で説明したS1004に準じて電動モータ4への通電量を図35の如く一旦漸次減少させて、モータトルクTmも一旦漸次減少させることにより、歪みエネルギーの解放を伴いつつモータ軸102を回転させる。尚、このようなS1204に続くS705では、S1204の実行開始から第七実施形態と同様な設定時間が経過したか否かの判定が、実施されることになる。
また、こうした通電量の漸次減少後に通電量の増大を経て移行するS1211では、第十実施形態で説明したS1011に準じて電動モータ4への通電量を図35の如く漸次減少させることにより、電動モータ4への通電を停止させてモータトルクTmを完全に消失させる。
以上、第十二実施形態によると、歪みエネルギーの解放及び通電停止に伴うモータ軸102の急回転を通電量の漸次減少により確実に抑制できると共に、通電量増大と通電停止とをシーケンス制御によって自動的に実行できる。したがって、モータ軸102の急回転に起因して機関位相がずれる事態を簡素な通電制御処理により抑制して、内燃機関の始動性を低コストにて確保することが可能となる。
尚、ここまで説明した第十二実施形態では、S702,S1204,S705,S707,S710,S1211を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「通電制御手段」に相当する。
(第十三実施形態)
図36に示すように、本発明の第十三実施形態は第六実施形態の変形例である。第十三実施形態の停止時制御では、通電制御処理のS607の代わりにS1307を実行する。
具体的にS1307において制御回路620は、制御モードをOR制御モードとして、第六実施形態と同様に目標回転方向Dtを判別方向Dm0と逆方向に設定且つ目標駆動方式Ftをブレーキ駆動に設定する。その一方で、本実施形態のS1307において制御回路620は、目標回転数Stを、直前のS606終了時の値(ここでは零値)から第六実施形態と同様な設定値まで漸次増大させる。
S1307では、このようにして設定されたDt,Ft,Stを制御回路620からOR制御値として受ける駆動回路130の通電ブロック134の駆動部138が、通電パターン切換形態並びに駆動デューティ比Rdを設定する。ここで特に、駆動デューティ比Rdは、目標回転数Stに従って漸次増大するように設定される。これにより、判別方向Dm0が正しい場合には、モータ軸102にブレーキをかける通電方向に電動モータ4への通電量が図37の如く漸次増大し、カムトルクTcaと対抗するモータトルクTmも漸次増大するため、モータ軸102の回転角度θmの変化速度が漸次低下することになるのである。
以上、第十三実施形態によると、通電量の一旦減少により歪みエネルギーの解放された位相調整機構8について、モータトルクTmの過度な増大により各弾性部材48に弾性歪みが生じて歪みエネルギーが再蓄積される事態を、通電量の漸次増大によって抑制することが可能となる。したがって、停止時制御の終了後におけるモータ軸102の回転及び機関位相のずれの抑制効果を、高めることができるのである。
尚、ここまで説明した第十三実施形態では、停止時制御の通電制御処理のうち、S602,S604,S1307,S609,S611を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「通電制御手段」に相当する。
(第十四実施形態)
図38に示すように、本発明の第十四実施形態は第六実施形態の変形例である。第十四実施形態の停止時制御では、通電制御処理においてS610の実行に先立って、S1410a,S1410bを実行する。
具体的に、S609の実行後と、S608にて判別方向Dm0を正しいとする判定が下された場合とに移行するS1410aにおいて制御回路620は、S609,S608のOR制御モードのうち直前のものを継続しつつ、通電量の増大開始からモータ軸102の回転角度θmが変化したか否かを、第六実施形態で説明したS605に準じて判定する。但し、S1401aでは、所定時間内に角度変化判定が下されない場合には、トルクTm,Tca,ThがバランスしたとしてS610へ移行し、S1401aのOR制御モードを継続しつつモータ軸102の停止を判定することになる。一方、S1401aにおいて所定時間内に角度変化判定が下された場合には、S1410bへ移行するのである。
S1401bにおいて制御回路620は、制御モードをOR制御モードとして、S607の場合と同様に目標回転方向Dtを判別方向Dm0の逆方向に設定且つ目標駆動方式Ftをブレーキ駆動に設定する。その一方で、S1410bでは、制御回路620が目標回転数Stを、S607の場合の設定値よりもさらに大きな値に設定する。
S1401bでは、このようにして設定されたDt,Ft,Stを制御回路620からOR制御値として受ける駆動回路130の通電ブロック134の駆動部138が、通電パターン切換形態並びに駆動デューティ比Rdを設定する。ここで特に、駆動デューティ比Rdは、目標回転数Stに従って増大するように設定される。これにより、電動モータ4への通電量が、モータ軸102にブレーキをかける通電方向へ図39の如くさらにステップ状に増大して、カムトルクTcaと対抗するモータトルクTmもさらに増大することになる。したがって、先の通電量増大ではなし得なかった回転角度θmの変化を、確実に止めることができる。またこの作用により、先の通電量増大では回転角度θmの変化を止めることができなかった状況にあっても、当該変化によるモータ軸102の回転量を僅かに抑えることができるのである。尚、S1401bの実行後はS1401aへと戻って、再度トルクTm,Tca,Thのバランスが確認される。
以上、第十四実施形態によると、通電量について一旦減少後の増大によってもトルクTm,Tca,Thがバランスし得ず、モータ軸102が回転し続けたとしても、さらなる通電量増大を即座に行って機関位相のずれを抑制することができるのである。
尚、ここまで説明した第十四実施形態では、停止時制御の通電制御処理のうち、S602,S604,S607,S609,S1410b,S611を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「通電制御手段」に相当し、S605,S1410a,S610,S612を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「モータ判定手段」に相当する。
(第十五実施形態)
図40に示すように、本発明の第十五実施形態は第十四実施形態の変形例である。第十五実施形態の停止時制御では、通電制御処理のS1410bの代わりにS1510bを実行する。
具体的に、S1410aにおいて角度変化判定が下された場合に移行するS1510bでは、制御回路620が制御モードをOR制御モードとして、S1410bの場合と同様に目標回転方向Dtを判別方向Dm0の逆方向に設定且つ目標駆動方式Ftをブレーキ駆動に設定する。その一方で、S1510bでは、制御回路620が目標回転数Stを、S607の場合と同じ設定値から、当該設定値よりも大きな値まで漸次増大させる。
S1510bでは、このようにして設定されたDt,Ft,Stを制御回路620からOR制御値として受ける駆動回路130の通電ブロック134の駆動部138が、通電パターン切換形態並びに駆動デューティ比Rdを設定する。ここで特に、駆動デューティ比Rdは、図41の如く目標回転数Stに従ってさらに漸次増大するように、設定される。これにより、電動モータ4への通電量が、モータ軸102にブレーキをかける通電方向へ図41の如くさらに漸次増大し、カムトルクTcaと対抗するモータトルクTmもさらに漸次増大することになる。したがって、先の通電量増大ではなし得なかった回転角度θmの変化止めについて、当該変化の速度を漸次低下させつつ且つモータトルクTmの過度な増大による歪みエネルギーの再蓄積を抑制しつつ、実現可能となる。またこの作用により、先の通電量増大では回転角度θmの変化を止めることができなかった状況にあっても、当該変化によるモータ軸102の回転量を抑えることも可能となる。
以上、第十五実施形態によると、通電量について一旦減少後の増大によってもトルクTm,Tca,Thがバランスし得ず、モータ軸102が回転し続けたとしても、さらなる通電量増大を行って機関位相のずれを抑制することが可能となるのである。
尚、ここまで説明した第十五実施形態では、停止時制御の通電制御処理のうち、S602,S604,S607,S609,S1510b,S611を実行する通電制御系6が特許請求の範囲に記載の「通電制御手段」に相当する。
(第六〜第十五実施形態の変形形態)
以上説明した第六〜第十五実施形態に特有の変形形態について、以下に説明する。
第八実施形態の通電制御処理において、モータ軸102の回転角度θmの変化判定、回転角度θmの変化方向Dmの方向判別、判別方向Dm0の正誤判定並びにモータ軸102の停止判定については、クランク軸やカム軸の動きを表す回転角度θcr,θca以外の物理量を検出した値、例えばクランク軸及びスプロケット13の間で巻き掛けられるタイミングチェーンの張力、又はカム軸に作用するトルク等の検出値に基づき、行うようにしてもよい。また、第九〜第十五実施形態の通電制御処理において、モータ軸102の回転角度θmの変化判定、回転角度θmの変化方向Dmの方向判別、判別方向Dm0の正誤判定並びにモータ軸102の停止判定のうち対応するものについて、第八実施形態又は上記変形形態に準じて、回転角度θcr,θca又はそれ以外のクランク軸やカム軸の動きを表す物理量の検出値に基づき、行うようにしてもよい。
第八〜第十一並びに第十三〜第十五実施形態の通電制御処理については、第七実施形態に準じて、機関停止条件の検出を利用した間接的な推定によって機関停止判定を下すようにしてもよい。また、第九実施形態の通電制御処理については、第七実施形態に準じて、通電量増大や通電停止をシーケンス制御によって自動的に実行するようにしてもよい。さらにまた、第十三実施形態の通電制御処理については、第七又は第十二実施形態に準じて、通電量増大や通電停止をシーケンス制御によって自動的に実行するようにしてもよい。
第十三〜第十五実施形態の通電制御処理については、第九実施形態に準じて、電動モータ4への通電量を零値よりも大きな値まで一旦減少させるようにしてもよい。また、第十三〜第十五実施形態の通電制御処理については、第十実施形態に準じて、電動モータ4への通電量を角度変化判定が下るまで一旦漸次減少させるようにしてもよい。さらにまた、第十三〜第十五実施形態の通電制御処理については、第十一実施形態に準じて、電動モータ4への通電量を零値となるまで一旦漸次減少させるようにしてもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明はそれらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
具体的には、通電制御系6としては、電動モータ4への通電を制御することによりモータトルクTmを調整するものであれば、上述したように二つの制御回路120,620と駆動回路130とを組み合わせるもの以外を適宜採用してもよい。ここで例えば、一つの電気回路によって制御回路120,620と駆動回路130との双方の機能を果たすようにしてもよい。また、駆動回路130において、その一部の機能をマイクロコンピュータにより実現するようにしてもよい。
電動モータ4としては、磁気保持トルクTh及び通電によるモータトルクTmを発生するモータであれば、上述したブラシレスモータ以外を適宜採用してもよい。また、電動モータ4における永久磁石106の配設形態については、モータ軸102の例えばロータ部105内部に永久磁石106が埋設される形態であってもよい。さらにまた、電動モータ4の磁気保持トルクThについては、モータ軸102及びモータステータ103の一方に設けられた永久磁石の形成磁界が、モータ軸102及びモータステータ103の他方に設けられた磁性体に作用して、それら永久磁石及び磁性体の間に磁気吸引力が働くことにより、モータ軸102に発生するトルクであればよい。ここで、磁気保持トルクThを発生させるための永久磁石は、上述の如く通電によりモータトルクTmを発生させるために設けられる磁石160以外にも、回転角度センサ114により感知されるモータ軸102の磁極を形成するための磁石であってもよいし、通電停止状態で磁気保持トルクThを発生させるための専用の磁石等であってもよい。また一方、磁気保持トルクThを発生させるための磁性体は、上述の如く通電によりモータトルクTmを発生させるためのコイル109が巻装されるコア108以外にも、通電停止状態で磁気保持トルクThを発生させるための専用のコア等であってもよい。
電動モータ4に組み合わされる位相調整機構8としては、カムトルクTcaをモータ軸102へ伝達しつつモータ軸102におけるトルクバランスに応じて機関位相を調整する機構であれば、上述した差動歯車機構60を備える機構以外を適宜採用してもよい。
そして、本発明は、上述した吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外にも、排気弁のバルブタイミングを調整する装置や、吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置に適宜適用することができる。
本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置の全体構成を示す図であって、図4のII−II線断面図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2のIV−IV線断面図である。 図2のV−V線断面図である。 図2の電動モータの特性を示す模式図である。 図2の通電制御系の構成を示すブロック図である。 図1のS104による方向判別処理について説明するための模式図である。 図7の通電ブロックの構成を示すブロック図である。 図9の駆動部の作動を説明するための模式図である。 図9の駆動部の作動を説明するための模式図である。 図1のS105による正誤判定付トルク消失処理について説明するための模式図である。 図1のS105による正誤判定付トルク消失処理について説明するための模式図である。 図1のS105による正誤判定付トルク消失処理について説明するための模式図である。 本発明の第二実施形態による正誤判定付トルク消失処理について説明するための模式図である。 本発明の第三実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 本発明の第四実施形態による正誤判定付トルク消失処理について説明するための模式図である。 本発明の第五実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 図18のS304の方向判別付トルク消失処理について説明するための模式図である。 本発明の第六実施形態によるバルブタイミング調整装置の位相調整機構の構成を示す図であって、図4に対応する断面図である。 本発明の第六実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の構成を示す図であって、図7に対応するブロック図である。 本発明の第六実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 図22に示す停止時制御の通電制御処理について説明するための模式図である。 本発明の第七実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 図24に示す停止時制御の通電制御処理について説明するための模式図である。 本発明の第八実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 図26に示す停止時制御の通電制御処理について説明するための模式図である。 本発明の第九実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 図28に示す停止時制御の通電制御処理について説明するための模式図である。 本発明の第十実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 図30に示す停止時制御の通電制御処理について説明するための模式図である。 本発明の第十一実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 図32に示す停止時制御の通電制御処理について説明するための模式図である。 本発明の第十二実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 図34に示す停止時制御の通電制御処理について説明するための模式図である。 本発明の第十三実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 図36に示す停止時制御の通電制御処理について説明するための模式図である。 本発明の第十四実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 図38に示す停止時制御の通電制御処理について説明するための模式図である。 本発明の第十五実施形態によるバルブタイミング調整装置の通電制御系の停止時制御を示すフローチャートである。 図40に示す停止時制御の通電制御処理について説明するための模式図である。
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、4 電動モータ、6 通電制御系(制御部、トルク方向判別手段、正誤判定手段)、8 位相調整機構、40,640 遊星キャリア、46,646 凹部、48 弾性部材、60 差動歯車機構、100 ハウジング、101 軸受、102 モータ軸、103 モータステータ、104 軸本体、105 ロータ部、106 永久磁石、107 オイルシール、108 コア、109 コイル、110 外周壁、114 回転角度センサ、120,620 制御回路、130 駆動回路、132 信号生成ブロック、134 通電ブロック、136 インバータ部、138 駆動部、622 クランクセンサ、624 カムセンサ、FU,FV,FW 上段スイッチング素子、GU,GV,GW 下段スイッチング素子、Dca カムトルク方向、Dca0 カムトルク方向の判別方向、Dr 実回転方向、Ds 設定方向、Dt 目標回転方向、Dm 変化方向、Dm0 変化方向の判別方向、Ft 目標駆動方式、Ph 最適始動位相、Pr 実位相、Pt 目標位相、Rd 駆動デューティ比、Sr 実回転数、St 目標回転数、Tca カムトルク、Th 磁気保持トルク、Thpk ピーク値、Tm モータトルク、Ta,Ta1,Ta2,Ta3 合成トルク、i,ii,iii,iv、v,vi 通電パターン、tb 時間、θcr クランク軸の回転角度、θca カム軸の回転角度、θm モータ軸の回転角度

Claims (32)

  1. クランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方のバルブタイミングを調整する内燃機関のバルブタイミング調整装置であって、
    モータ軸を有し、磁気保持トルク及び通電によるモータトルクを前記モータ軸に発生する電動モータと、
    前記電動モータへの通電を制御することにより前記モータトルクを調整する制御部と、
    前記カム軸の回転に応じて正負に交番するカムトルクを前記モータ軸へ伝達しつつ、前記モータ軸におけるトルクバランスに応じて前記クランク軸及び前記カム軸間の相対位相を調整する位相調整機構と、を備え、
    前記制御部は、
    前記内燃機関の運転状態を判定する機関判定手段と、
    前記内燃機関が停止したとする機関停止判定を前記機関判定手段が下した場合に、前記電動モータへの通電量を一旦減少させてから増大させた後に前記電動モータへの通電を停止する通電制御を行う通電制御手段と、を有することを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 前記制御部は、前記モータ軸の動作態様を判定するモータ判定手段を有し、
    前記通電制御手段は、前記電動モータへの通電量の一旦減少を開始してから前記モータ軸の回転角度が変化したとする角度変化判定を前記モータ判定手段が下した場合に、当該通電量を増大させることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記通電制御手段は、前記モータ判定手段が前記角度変化判定を下した場合に、前記モータ軸にブレーキをかける通電方向に前記電動モータへの通電量を増大させることを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 前記制御部は、前記電動モータへの通電量を一旦減少させることにより現出する前記モータ軸の動作態様に基づいて、前記モータ軸の回転角度の変化方向を判別する変化方向判別手段を有し、
    前記通電方向は、前記変化方向判別手段による判別方向とは反対にブレーキをかける方向であることを特徴とする請求項3に記載のバルブタイミング調整装置。
  5. 前記変化方向判別手段は、前記モータ軸の動きを検出することにより、前記変化方向を判別することを特徴とする請求項4に記載のバルブタイミング調整装置。
  6. 前記変化方向判別手段は、前記クランク軸及び前記カム軸のうち少なくとも一方の動きを検出することにより、前記モータ軸の動きを推定して前記変化方向を判別することを特徴とする請求項4に記載のバルブタイミング調整装置。
  7. 前記制御部は、前記電動モータへの通電量を増大させることにより現出する前記モータ軸の動作態様に基づいて、前記判別方向の正誤を判定する正誤判定手段を有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  8. 前記正誤判定手段は、前記モータ軸の動きを検出することにより、前記判別方向の正誤を判定することを特徴とする請求項7に記載のバルブタイミング調整装置。
  9. 前記正誤判定手段は、前記クランク軸及び前記カム軸のうち少なくとも一方の動きを検出することにより、前記モータ軸の動きを推定して前記判別方向の正誤を判定することを特徴とする請求項7に記載のバルブタイミング調整装置。
  10. 前記通電制御手段は、前記正誤判定手段が前記判別方向を誤りとする判定を下した場合に、前記通電方向を反転させることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  11. 前記通電制御手段は、前記電動モータへの通電量の増大を開始してから前記モータ判定手段が前記角度変化判定を再度下した場合に、当該通電量をさらに増大させることを特徴とする請求項2〜10のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  12. 前記モータ判定手段は、前記モータ軸の動きを検出することにより、前記角度変化判定を下すことを特徴とする請求項2〜11のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  13. 前記モータ判定手段は、前記クランク軸及び前記カム軸のうち少なくとも一方の動きを検出することにより、前記モータ軸の動きを推定して前記角度変化判定を下すことを特徴とする請求項2〜11のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  14. 前記通電制御手段は、前記電動モータへの通電量の一旦減少を開始してから設定時間が経過した場合に、当該通電量を増大させることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  15. 前記通電制御手段は、前記設定時間が経過した場合に、前記カムトルクと対抗する前記モータトルクを発生させる通電方向に前記モータ軸への通電量を増大させることを特徴とする請求項14に記載のバルブタイミング調整装置。
  16. 前記制御部は、前記モータ軸へ作用する前記カムトルクの正負であるカムトルク方向を判別するトルク方向判別手段を有し、
    前記通電方向は、前記トルク方向判別手段による判別方向とは反対に前記モータトルクを発生させる方向であることを特徴とする請求項15に記載のバルブタイミング調整装置。
  17. 前記通電制御手段は、前記通電制御において前記電動モータへの通電量を一旦減少させるのに先立ち、前記相対位相の実位相及び目標位相間の位相差に基づいて前記電動モータへの通電をフィードバック制御し、
    前記トルク方向判別手段は、前記実位相及び前記実位相に相関する物理量のうち少なくとも一つの物理量に前記通電制御手段の前記フィードバック制御により現出する偏りに基づいて、前記カムトルク方向を判別することを特徴とする請求項16に記載のバルブタイミング調整装置。
  18. 前記制御部は、前記モータ軸の動作態様を判定するモータ判定手段を有し、
    前記通電制御手段は、前記電動モータへの通電量の増大を開始してから前記モータ軸が停止したとするモータ停止判定を前記モータ判定手段が下した場合に、前記電動モータへの通電を停止することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  19. 前記モータ判定手段は、前記モータ軸の停止を検出することにより、前記モータ停止判定を下すことを特徴とする請求項18に記載のバルブタイミング調整装置。
  20. 前記モータ判定手段は、前記クランク軸及び前記カム軸のうち少なくとも一方の停止を検出することにより、前記モータ軸の停止を推定して前記停止判定を下すことを特徴とする請求項18に記載のバルブタイミング調整装置。
  21. 前記通電制御手段は、前記電動モータへの通電量の増大を開始してから設定時間が経過した場合に、前記電動モータへの通電を停止することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  22. 前記制御部は、前記モータ軸の動作態様を判定するモータ判定手段を有し、
    前記通電制御手段は、前記電動モータへの通電を停止してから前記モータ軸の回転角度が変化したとする角度変化判定を前記モータ判定手段が下した場合に、当該通電の停止を前記電動モータへの通電量の一旦減少に代替させた前記通電制御を繰り返すことを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  23. 前記通電制御手段は、前記電動モータへの通電量を零値にまで一旦減少させてから増大させることを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  24. 前記通電制御手段は、前記電動モータへの通電量を零値よりも大きな所定値にまで一旦減少させてから増大させることを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  25. 前記通電制御手段は、前記電動モータへの通電量を一旦漸次減少させてから増大させることを特徴とする請求項1〜24のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  26. 前記通電制御手段は、前記電動モータへの通電量を一旦減少させてから漸次増大させることを特徴とする請求項1〜25のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  27. 前記通電制御手段は、増大させた通電量を零値にまで漸次減少させることにより、前記電動モータへの通電を停止することを特徴とする請求項1〜26のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  28. 前記位相調整機構は、前記モータ軸の回転により弾性歪みが生じる弾性部材を有することを特徴とする請求項1〜27のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  29. 前記機関判定手段は、前記クランク軸及び前記カム軸のうち少なくとも一方の停止を検出することにより、前記機関停止判定を下すことを特徴とする請求項1〜28のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  30. 前記機関判定手段は、前記内燃機関の停止に必須の条件を検出することにより、前記内燃機関の停止時を推定して前記機関停止判定を下すことを特徴とする請求項1〜28のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  31. 前記磁気保持トルクのピーク値は、前記内燃機関の停止状態において前記モータ軸へ作用する前記カムトルクの絶対値よりも大きくなるように設定されることを特徴とする請求項1〜30のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  32. 前記電動モータは、
    通電により磁界を形成するモータステータと、
    前記モータステータの内周側に配置された前記モータ軸の外周壁に設けられ、前記モータステータの形成磁界が作用することにより前記モータ軸と共に回転する永久磁石と、を有することを特徴とする請求項1〜31のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
JP2011146493A 2007-06-04 2011-06-30 バルブタイミング調整装置 Active JP5104983B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011146493A JP5104983B2 (ja) 2007-06-04 2011-06-30 バルブタイミング調整装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007148607 2007-06-04
JP2007148607 2007-06-04
JP2011146493A JP5104983B2 (ja) 2007-06-04 2011-06-30 バルブタイミング調整装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008130009A Division JP4952653B2 (ja) 2007-06-04 2008-05-16 バルブタイミング調整装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011185278A true JP2011185278A (ja) 2011-09-22
JP5104983B2 JP5104983B2 (ja) 2012-12-19

Family

ID=40355146

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011146493A Active JP5104983B2 (ja) 2007-06-04 2011-06-30 バルブタイミング調整装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5104983B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015034476A (ja) * 2013-08-07 2015-02-19 株式会社デンソー エンジン自動停止始動制御装置
JP2015071966A (ja) * 2013-10-02 2015-04-16 本田技研工業株式会社 内燃機関の制御装置
JP2015071965A (ja) * 2013-10-02 2015-04-16 本田技研工業株式会社 内燃機関の制御装置

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003129805A (ja) * 2001-10-22 2003-05-08 Hitachi Unisia Automotive Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2004132323A (ja) * 2002-10-15 2004-04-30 Hitachi Unisia Automotive Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2004156508A (ja) * 2002-11-06 2004-06-03 Hitachi Unisia Automotive Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2005054754A (ja) * 2003-08-07 2005-03-03 Hitachi Unisia Automotive Ltd 可変バルブタイミング機構の制御装置
JP2005076518A (ja) * 2003-08-29 2005-03-24 Hitachi Unisia Automotive Ltd 可変バルブタイミング機構の制御装置
JP2005146993A (ja) * 2003-11-17 2005-06-09 Hitachi Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2005291200A (ja) * 2004-03-12 2005-10-20 Hitachi Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2005307910A (ja) * 2004-04-23 2005-11-04 Denso Corp バルブ特性調整装置
JP2006257959A (ja) * 2005-03-17 2006-09-28 Hitachi Ltd 可変動弁機構の制御装置
JP2006274959A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Hitachi Ltd ヒステリシスブレーキ及びこれを用いた内燃機関のバルブタイミング制御装置

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003129805A (ja) * 2001-10-22 2003-05-08 Hitachi Unisia Automotive Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2004132323A (ja) * 2002-10-15 2004-04-30 Hitachi Unisia Automotive Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2004156508A (ja) * 2002-11-06 2004-06-03 Hitachi Unisia Automotive Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2005054754A (ja) * 2003-08-07 2005-03-03 Hitachi Unisia Automotive Ltd 可変バルブタイミング機構の制御装置
JP2005076518A (ja) * 2003-08-29 2005-03-24 Hitachi Unisia Automotive Ltd 可変バルブタイミング機構の制御装置
JP2005146993A (ja) * 2003-11-17 2005-06-09 Hitachi Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2005291200A (ja) * 2004-03-12 2005-10-20 Hitachi Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2005307910A (ja) * 2004-04-23 2005-11-04 Denso Corp バルブ特性調整装置
JP2006257959A (ja) * 2005-03-17 2006-09-28 Hitachi Ltd 可変動弁機構の制御装置
JP2006274959A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Hitachi Ltd ヒステリシスブレーキ及びこれを用いた内燃機関のバルブタイミング制御装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015034476A (ja) * 2013-08-07 2015-02-19 株式会社デンソー エンジン自動停止始動制御装置
JP2015071966A (ja) * 2013-10-02 2015-04-16 本田技研工業株式会社 内燃機関の制御装置
JP2015071965A (ja) * 2013-10-02 2015-04-16 本田技研工業株式会社 内燃機関の制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5104983B2 (ja) 2012-12-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4952653B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP4506817B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP4552902B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP5126028B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP5789952B2 (ja) モータ制御装置
JP4349454B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP5104983B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP6090178B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP4305953B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP5472044B2 (ja) モータ制御装置
US7802545B2 (en) Valve timing controller
JP5907008B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP4811302B2 (ja) バルブタイミング調整装置
WO2020230495A1 (ja) モータ制御装置およびモータ制御方法、並びにこれらを用いた可変バルブタイミング制御装置及び可変バルブタイミング制御方法
JP2008286076A (ja) バルブタイミング調整装置のモータ駆動回路
JP6958129B2 (ja) バルブタイミング調整装置
US10920627B2 (en) Adjusting unit of an internal combustion engine
JP2023058122A (ja) パルス信号生成装置
JP4915620B2 (ja) モータ用駆動制御装置、モータシステム、並びに、モータ内蔵ローラシステム
JP2022012430A (ja) 弁開閉時期制御装置
JP2007285183A (ja) エンジンの位相可変装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110702

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120831

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120904

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120917

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5104983

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151012

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250