JP2023058122A - パルス信号生成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】PWM通信において、同期を要する複数の情報を1つの信号線によって送信することが可能にする。【解決手段】パルス信号を生成して外部と通信する制御装置において、次のようにパルス信号を生成する。まず、周期的に発生する所定事象が発生するごとに、前記パルス信号の電圧レベルを第1レベルから第2レベルに切り替える。そして、前記所定事象とともに生じる相互に排他的な複数の状態のそれぞれに対応させて異なる長さで設定された期間のうち現在の状態に対応する期間が経過するまで電圧レベルを前記第2レベルで維持する。そして、当該期間の経過後に電圧レベルを前記第1レベルに戻す。【選択図】図8
Description
本発明は、PWM通信において送受信されるパルス信号の生成装置に関する。
車両の内燃機関の吸気弁または排気弁の開閉タイミングを調整する電動可変バルブタイミング(VVT:Variable Valve Timing)機構では、モータを駆動することによってクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変化させる。このようなVVT機構の一例では、モータの回転角信号及び回転方向信号をモータのドライバ(下位コントローラ)から電子制御装置(上位コントローラ)に送信する。そして、電子制御装置においてモータの目標回転速度を演算してドライバにフィードバックし、モータの制御を行う。
ここで、VVT機構のコストを低減させるため、モータ側の下位コントローラの機能を上位コントローラに集中させる機能集中型の構成を採用することがある。この場合、上位コントローラと下位コントローラとの通信は、PWM(Pulse Width Modulation)通信のような低機能通信とすることが多い。このようなPWM通信における従来の方法では、回転角信号及び回転方向信号を別々に送信することから、信号線を多く設けることとなる。その結果、これらの信号情報の同期のずれによる制御性の悪化や、コストアップといった問題が発生し得る。また、このような問題は、VVT機構のみならず、複数の情報をPWM通信によって送受信する他の制御機器においても生じ得る。
そこで、本発明の一側面では、PWM通信において、同期を要する複数の情報を1つの信号線によって送信することが可能にすることを目的とする。
本発明の一側面は、パルス信号を生成して外部と通信する制御装置であって、周期的に発生する所定事象が発生するごとに、前記パルス信号の電圧レベルを第1レベルから第2レベルに切り替え、前記所定事象とともに生じる相互に排他的な複数の状態のそれぞれに対応させて異なる長さで設定された期間のうち現在の状態に対応する期間が経過するまで電圧レベルを前記第2レベルで維持し、当該期間の経過後に電圧レベルを前記第1レベルに戻すように構成される。
本発明の一側面によれば、同期を要する複数の情報を1つの信号線によって送信することが可能となる。
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1は本実施形態に係るVVT機構を示す一部縦断面図、図2は図1のA-A線断面図、図3は図1のB-B線断面図である。なお、本実施形態では、VVT機構を内燃機関の吸気側に適用したものについて説明をするが、排気側に適用することも可能である。
図1は本実施形態に係るVVT機構を示す一部縦断面図、図2は図1のA-A線断面図、図3は図1のB-B線断面図である。なお、本実施形態では、VVT機構を内燃機関の吸気側に適用したものについて説明をするが、排気側に適用することも可能である。
VVT機構100は、駆動回転体であるタイミングスプロケット1(以下、スプロケット1という)と、シリンダヘッド上に軸受を介して回転自在に支持されたカムシャフト2と、スプロケット1とカムシャフト2との間に配置され、エンジンの駆動状態に応じてスプロケット1とカムシャフト2との相対回転位相を変更する位相変更機構3と、を備えている。
スプロケット1は、鉄系金属によって環状一体に形成されており、円環状のスプロケット本体1aと、このスプロケット本体1aの外周に一体に設けられて、外周に巻き回された図外のタイミングチェーンを介してエンジンのクランクシャフトから回転力を受ける歯車部1bと、を備えている。
スプロケット本体1aの前端側には、後述する減速機構13の一部を構成する円環状の内歯車5が一体に設けられている。この内歯車5は、スプロケット本体1aに回転軸方向から一体に結合されていると共に、内周に波形状の複数の内歯5aが形成されている。
スプロケット本体1aは、その内周面とカムシャフト2の回転軸方向の一端部2aに固定された従動回転体である従動部材9の外周面との間に滑り軸受機構6が設けられている。この滑り軸受機構6は、従動部材9の外周でスプロケット1を相対回転可能に軸受けしている。
スプロケット本体1aの前端側には、後述する減速機構13の一部を構成する円環状の内歯車5が一体に設けられている。この内歯車5は、スプロケット本体1aに回転軸方向から一体に結合されていると共に、内周に波形状の複数の内歯5aが形成されている。
スプロケット本体1aは、その内周面とカムシャフト2の回転軸方向の一端部2aに固定された従動回転体である従動部材9の外周面との間に滑り軸受機構6が設けられている。この滑り軸受機構6は、従動部材9の外周でスプロケット1を相対回転可能に軸受けしている。
さらに、スプロケット本体1aの内歯車5と軸方向で反対側の後端面には、円環状に形成された保持プレート8が固定されている。保持プレート8は、中央に中央孔8aが貫通形成されて、この中央孔8a側の内周部8bが滑り軸受機構6の軸受凹部10のカムシャフト2側の一端開口を覆うように配置されている。
また、保持プレート8は、中央孔8aの内周縁の所定位置に、径方向内側、つまり中心軸方向に向かって突出したストッパ凸部8cが一体に設けられている。このストッパ凸部8cは、ほぼ逆台形状に形成されて、先端面がアダプタ4のストッパ凹溝4bの円弧状内周面に沿った円弧状に形成されている。
また、保持プレート8は、中央孔8aの内周縁の所定位置に、径方向内側、つまり中心軸方向に向かって突出したストッパ凸部8cが一体に設けられている。このストッパ凸部8cは、ほぼ逆台形状に形成されて、先端面がアダプタ4のストッパ凹溝4bの円弧状内周面に沿った円弧状に形成されている。
アダプタ4は、外径が保持プレート8の中央孔8aの内径よりも僅かに小さい円盤状に形成されて、中央孔8aに嵌合している。また、アダプタ4は、中央に従動部材9の円筒部9bが挿入される挿入孔4aが貫通形成されていると共に、外周面の所定位置にストッパ凹溝4bが設けられている。このストッパ凹溝4bは、アダプタ4の外周に沿って所定範囲の円弧状に形成されており、これによって、スプロケット1に対する従動部材9(カムシャフト2)の最大進角側、あるいは最大遅角側の相対回転位置を機械的に規制するようになっている。
また、スプロケット1の内歯車5側の前端面には、プレート部材であるフロントプレート15が設けられている。このフロントプレート15は、偏心軸21が挿入配置される挿入孔15aが貫通形成されている。なお、内歯車5を含むスプロケット本体1a、フロントプレート15及び保持プレート8は、ボルト7によって固定されている。
カムシャフト2は、外周に図外の吸気弁を開作動させる一気筒当たり2つの駆動カムを有している。また、カムシャフト2は、一端部2aの先端面から内部軸心方向に沿って形成された挿入孔2bを有している。この挿入孔2bには、カムボルト14が締結される。
従動部材9は、中央位置にカムボルト14が挿入されるボルト挿入孔9aが貫通形成されており、カムボルト14によってカムシャフト2に軸方向から締結固定されている。また、このボルト挿入孔9aの孔縁には、カムシャフト2方向へ突出した円筒部9bが一体に設けられている。また、従動部材9は、外周面に滑り軸受機構6の一部を構成するジャーナル部11が一体に設けられている。
従動部材9は、中央位置にカムボルト14が挿入されるボルト挿入孔9aが貫通形成されており、カムボルト14によってカムシャフト2に軸方向から締結固定されている。また、このボルト挿入孔9aの孔縁には、カムシャフト2方向へ突出した円筒部9bが一体に設けられている。また、従動部材9は、外周面に滑り軸受機構6の一部を構成するジャーナル部11が一体に設けられている。
滑り軸受機構6は、前述のように、スプロケット本体1aの内周面に形成された円環状の軸受凹部10と、従動部材9の外周面に設けられ、軸受凹部10の内部に配置されたジャーナル部11と、を有している。ジャーナル部11は、環状の外周面が軸受凹部10の滑り軸受面10a全体に摺動可能になっている。
位相変更機構3は、従動部材9の前端側に配置された電動モータ12と、この電動モータ12からオルダム継手を介して伝達された回転速度を減速してカムシャフト2に伝達する減速機構13と、から主として構成されている。
電動モータ12は、3相のブラシレスモータであって、チェーンケースに固定される有底円筒状のモータハウジング16と、このモータハウジング16の内周面に固定されたステータ(固定子)17と、ステータ17の内周側に配置されたモータ出力軸18と、当該モータ出力軸18の外周に固定されたロータ19と、モータハウジング16のスプロケット1と反対側に設けられた制御機構20と、を有している。
モータハウジング16は、内部にステータ17などを収容する収容空間が形成されている。また、減速機構13側の底壁16aのほぼ中央にモータ出力軸18が挿通する貫通孔16bが形成されている。モータハウジング16と制御機構20のケーシング40とは、各ボルト26によって共締め固定されると共に、図外のチェーンケースに固定される。ステータ17は、鉄芯17aの外周に3相のコイル17bが巻き付けられてモールドされている。
モータ出力軸18は、回転軸方向の減速機構13側の一端部18aがオイルシール28を介して貫通孔16bから突出している。一方、モータ出力軸18の他端部18bは、制御機構20のケーシング40に設けられた軸受である第1、第2ボールベアリング42,43によって回転可能に支持されている。また、モータ出力軸18の一端部18aには、中間部材27が設けられている。この中間部材27は、減速機構13に接続される継手であるオルダム継手の一部を構成するものであって、モータ出力軸18の一端部18aに固定される。
ロータ19は、円柱形状に形成され、複数の永久磁石19aがそれぞれ固定されている。また、ケーシング40内の基板収容空間には回路基板41が固定されている。また、基板収容空間には、回路基板41と導通して電動モータ12の駆動を制御するモータ制御装置120(図1において図示省略)や、回転角センサをはじめとした電子部品が収容配置されている。モータ制御装置120による制御については後で詳述する。
減速機構13は、電動モータ12とは軸方向から分離独立して設けられ、各構成部材が保持プレート8とフロントプレート15との間のスプロケット1の内部に収容配置されている。具体的には、減速機構13は、スプロケット本体1aの内部に一部が配置された入力軸である円筒状の偏心軸21と、当該偏心軸21の外周に設けられたベアリングであるボールベアリング22と、当該ボールベアリング22の外周に設けられ、内歯車5の各内歯5a内に転動自在に保持された複数のローラ23と、従動部材9の外周側に一体に設けられ、複数のローラ23を転動方向に保持しつつ径方向の移動を許容する保持器24と、から主として構成されている。
偏心軸21は、カムボルト14の外周に設けられた軸受であるニードルベアリング25の外周に配置された偏心軸部21aと、当該偏心軸部21aの電動モータ12側に一体に有する円筒状の連結部21bと、を有している。
偏心軸部21aは、軸方向の長さがニードルベアリング25の軸方向の長さよりも長い円筒状に形成されている。また、偏心軸部21aは、周方向全体の肉厚が厚薄変化して軸心がカムボルト14の軸心に対して僅かに偏心している。
偏心軸部21aは、軸方向の長さがニードルベアリング25の軸方向の長さよりも長い円筒状に形成されている。また、偏心軸部21aは、周方向全体の肉厚が厚薄変化して軸心がカムボルト14の軸心に対して僅かに偏心している。
連結部21bは、スプロケット本体1aの内部からフロントプレート15の挿入孔15aを介して電動モータ12方向へ突出している。この連結部21bは、中間部材27と共にオルダム継手を構成している。
ニードルベアリング25は、カムボルト14の外周面を転動する複数のニードルローラ25aと、偏心軸部21aの内周面に形成された段差面に固定されて、内周面にニードルローラ25aを転動可能に保持する複数の溝部を有する円筒状のシェル25bと、を有している。
ニードルベアリング25は、カムボルト14の外周面を転動する複数のニードルローラ25aと、偏心軸部21aの内周面に形成された段差面に固定されて、内周面にニードルローラ25aを転動可能に保持する複数の溝部を有する円筒状のシェル25bと、を有している。
ボールベアリング22は、ニードルベアリング25の径方向位置で全体がほぼオーバーラップする状態に配置され、内輪22aと、外輪22b、内輪22a及び外輪22bの間に介装されたボール22cと、当該ボール22cを保持するケージ22dと、から構成されている。内輪22aは、外輪22bよりも肉厚幅が大きく形成されて偏心軸部21aの外周面に圧入固定されている。これに対して、外輪22bは、軸方向で固定されることなくフリーな状態になっている。外輪22bは、外周面に各ローラ23の外周面が転動可能に当接している。また、外輪22bの外周面と保持器24の内面との間には、円環状のクリアランスが形成されている。したがって、ボールベアリング22は、クリアランスを介して全体が偏心軸部21aの偏心回転に伴って径方向へ偏心動可能になっている。
保持器24は、円筒状に形成されて、従動部材9の外周部に一体に設けられている。また、保持器24は、複数のローラ23をそれぞれ転動自在に保持するほぼ長方形状の複数のローラ保持孔24bが軸方向に沿って形成されている。また、ローラ保持孔24bは、その全体の数(ローラ23の数)が内歯車5の内歯5aの全体の歯数よりも少なくなっており、これによって、所定の減速比を得るようになっている。
各ローラ23は、ボールベアリング22の偏心動に伴って径方向へ移動しつつ内歯車5の内歯5aに嵌入している。また各ローラ23は、各ローラ保持孔24bの両側縁によって周方向にガイドされつつ径方向へ揺動運動するようになっている。
各ローラ23は、ボールベアリング22の偏心動に伴って径方向へ移動しつつ内歯車5の内歯5aに嵌入している。また各ローラ23は、各ローラ保持孔24bの両側縁によって周方向にガイドされつつ径方向へ揺動運動するようになっている。
以下、本実施形態におけるバルブタイミング制御装置の作用及び効果について説明する。
クランクシャフトの回転駆動に伴ってタイミングチェーンを介してスプロケット1が回転すると、この回転力が内歯車5に伝達される。この内歯車5の回転力が、各ローラ23から保持器24及び従動部材9を経由してカムシャフト2に伝達される。これによって、カムシャフト2の駆動カムが各吸気弁を開閉作動させる。
クランクシャフトの回転駆動に伴ってタイミングチェーンを介してスプロケット1が回転すると、この回転力が内歯車5に伝達される。この内歯車5の回転力が、各ローラ23から保持器24及び従動部材9を経由してカムシャフト2に伝達される。これによって、カムシャフト2の駆動カムが各吸気弁を開閉作動させる。
このとき、モータ制御装置120が電動モータ12の各コイル17bに通電し、これによってモータ出力軸18が回転駆動している。モータ出力軸18がスプロケット1と同じ方向に同じ速度かつ回転しているとき、カムシャフト2のスプロケット1に対する相対回転位相、すなわち、カムシャフト2のクランクシャフトに対する相対回転位相は保持される。
一方、モータ出力軸18がスプロケット1よりも高速又は低速で回転するとき、若しくは、モータ出力軸18がスプロケット1に対して逆回転するとき、モータ出力軸18の回転に伴い偏心軸部21aが偏心回転する。そして、各ローラ23がモータ出力軸18の1回転ごとに、保持器24により径方向にガイドされながら、内歯5aを乗り越えて隣接する他の内歯5aに転動しながら移動する。そして、各ローラ23が、これを順次繰り返しながら円周方向へと転接し、モータ出力軸18の回転が、減速されつつ従動部材9に伝達される。これにより、カムシャフト2のクランクシャフトに対する相対回転位相が進角側又は遅角側に変更され、吸気弁の開閉タイミングが変更される。なお、モータ出力軸18の回転が従動部材9に伝達されるときの減速比は、ローラ23の個数などによって任意に設定することができる。
図4は、電動モータ12の一例の概略構成を示す図である。
ステータ17は、12個の鉄芯17aと、それぞれの鉄芯17aに巻き付けられたコイル17bと、を有する。鉄芯17aは、相互に30°の間隔をあけて等間隔で設けられている。コイル17bは、3相のU相コイル、V相コイル、W相コイルを有する。U相コイル、V相コイル、W相コイルは、この順序で時計回りに隣接するように鉄芯17aに巻き付けられている。すなわち、U相コイル、V相コイル、W相コイルはそれぞれ4つずつ配置され、その4つは相互に90°の間隔をあけて設けられている。これらのU相コイル、V相コイル、W相コイルに電流が流れることによって、電流が流されたコイルから磁束が発せられる。
ステータ17は、12個の鉄芯17aと、それぞれの鉄芯17aに巻き付けられたコイル17bと、を有する。鉄芯17aは、相互に30°の間隔をあけて等間隔で設けられている。コイル17bは、3相のU相コイル、V相コイル、W相コイルを有する。U相コイル、V相コイル、W相コイルは、この順序で時計回りに隣接するように鉄芯17aに巻き付けられている。すなわち、U相コイル、V相コイル、W相コイルはそれぞれ4つずつ配置され、その4つは相互に90°の間隔をあけて設けられている。これらのU相コイル、V相コイル、W相コイルに電流が流れることによって、電流が流されたコイルから磁束が発せられる。
ロータ19は、円柱形状の鉄芯に埋め込まれた8つの永久磁石19aを有する。永久磁石19aは、ロータ19の軸回りにおいてN極とS極とが隣接するように相互に45°の間隔をあけて配置されている。すなわち、永久磁石19aによって発生され、コイル17bとの間で作用する磁束は、ロータ19が90°回転する毎に周期的に変化する。
また、電動モータ12には、永久磁石19aに対向する位置に回転角センサとして3つのホールセンサ50u、50v、50wが配置されている。これらのホールセンサ50u、50v、50wのホール素子は、相互に120°の間隔をあけて等間隔で設けられている。
また、電動モータ12には、永久磁石19aに対向する位置に回転角センサとして3つのホールセンサ50u、50v、50wが配置されている。これらのホールセンサ50u、50v、50wのホール素子は、相互に120°の間隔をあけて等間隔で設けられている。
コイル17bに電流が流されると、U相コイル、V相コイル、W相コイルから発せされる磁束がロータ19の永久磁石19aに作用することによって、ロータ19に回転トルクが発生する。これによりロータ19に固定されたモータ出力軸18が回転する。ロータ19が回転すると、ホールセンサ50u、50v、50wが永久磁石19aにより発せられる磁界の変化を検出し、センサ信号を出力する。当該センサ信号を用いた電動モータ12の駆動制御について、後で詳述する。
図5は、本実施形態に係るVVT機構100の制御処理に関連する機構の一例を示すブロック図である。
エンジン制御モジュール(ECM)110は、車両に搭載されたエンジン(例えば直列4気筒のガソリンエンジン)200の制御を行う。ECM110は、マイクロコンピュータ(図示せず)を内蔵しており、VVT機構100の制御に関連する構成要素として、目標回転速度演算部111及び回転角演算部112を備える。
エンジン制御モジュール(ECM)110は、車両に搭載されたエンジン(例えば直列4気筒のガソリンエンジン)200の制御を行う。ECM110は、マイクロコンピュータ(図示せず)を内蔵しており、VVT機構100の制御に関連する構成要素として、目標回転速度演算部111及び回転角演算部112を備える。
目標回転速度演算部111は、エンジン200に設けられたカム角センサ201及びクランク角センサ202によってそれぞれ検出されたカムシャフト2及びクランクシャフトの回転角情報を受信する。また、目標回転速度演算部111は、エンジン回転速度をはじめ、各気筒の吸気流量やアクセル開度等、トルクと関連する情報を各種センサから取得する。さらに、目標回転速度演算部111は、後述する回転角演算部112から、電動モータ12の現在の回転角情報及び回転方向情報を取得する。そして、目標回転速度演算部111は、これらの情報に基づいてVVT機構100において目標とする相対回転位相を演算するとともに、当該相対回転位相にするための電動モータ12の目標回転速度及び目標回転方向を演算する。そして、目標回転速度演算部111は、これらの目標回転速度及び目標回転方向の情報をモータ制御装置120に送信する。
回転角演算部112は、後述するモータ制御装置120の回転信号生成部122から、電動モータ12の現在の回転角と回転方向の両方の情報を含んだパルス信号である回転信号を受信する。回転角演算部112は、当該回転情報のパルス信号に基づいて、電動モータ12の現在の回転角及び回転方向を演算する。当該演算方法については、後で詳述する。そして、回転角演算部112は、演算した電動モータ12の現在の回転角及び回転方向を目標回転速度演算部111に通知する。
電動モータ12は、ステータ17及びロータ19(図5ではモータ本体12aとして図示している)と、ロータ19の回転を制御するモータ制御装置120と、を有する。電動モータ12には、前述したように、回転角センサとしてホールセンサ50u、50v、50wが設けられている。
モータ制御装置120は、マイクロコンピュータ(図示せず)を内蔵したドライバであり、ECM110から受信する電動モータ12の目標回転速度情報及び目標回転方向情報に基づいてロータ19の回転を制御する。そして、ロータ19の現在の回転角情報及び回転方向情報をECM110に対して送信する。このとき、ECM110とモータ制御装置120とは、PWM(Pulse Width Modulation)通信を行う。
モータ制御装置120は、マイクロコンピュータ(図示せず)を内蔵したドライバであり、ECM110から受信する電動モータ12の目標回転速度情報及び目標回転方向情報に基づいてロータ19の回転を制御する。そして、ロータ19の現在の回転角情報及び回転方向情報をECM110に対して送信する。このとき、ECM110とモータ制御装置120とは、PWM(Pulse Width Modulation)通信を行う。
モータ制御装置120は、回転制御部121及び回転信号生成部122を有する。
回転制御部121は、ECM110から受信する信号に含まれる目標回転速度及び目標回転方向と、ホールセンサ50u、50v、50wからの検出信号に基づいた現在のロータ19の回転角及び回転方向に基づいて、電動モータ12の回転トルクの増減値を演算する。回転制御部121は、インバータ回路123を介し、コイル17bのU相コイル、V相コイル、W相コイルにそれぞれ電気的に接続されている。回転制御部121は、演算した回転トルクの増減値に基づき、インバータ回路123が備えるU相、V相、W相のそれぞれのスイッチング素子のオンとオフを制御することによってU相コイル、V相コイル、W相コイルへの通電を制御し、これによりロータ19の回転制御を行う。
回転制御部121は、ECM110から受信する信号に含まれる目標回転速度及び目標回転方向と、ホールセンサ50u、50v、50wからの検出信号に基づいた現在のロータ19の回転角及び回転方向に基づいて、電動モータ12の回転トルクの増減値を演算する。回転制御部121は、インバータ回路123を介し、コイル17bのU相コイル、V相コイル、W相コイルにそれぞれ電気的に接続されている。回転制御部121は、演算した回転トルクの増減値に基づき、インバータ回路123が備えるU相、V相、W相のそれぞれのスイッチング素子のオンとオフを制御することによってU相コイル、V相コイル、W相コイルへの通電を制御し、これによりロータ19の回転制御を行う。
回転信号生成部122は、ホールセンサ50u、50v、50wから出力される検知信号に基づいて、ロータ19の回転角と回転方向の両方の情報を含んだパルス信号である回転信号を生成し、ECM110に対して出力する。
以下、回転信号生成部122における処理について詳細に説明する。図6及び図7は、ホールセンサ50u、50v、50wにおいて検知された磁界に基づいて生成されたU相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号と、回転信号生成部122によって生成される回転信号との一例を示すタイミングチャートである。ホールセンサ50u、50v、50wでは、ホール素子において磁界が検知されることにより出力された電圧に基づき、二値化処理を経てU相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号のパルス信号を生成する。
ここで、前述したように、本実施形態の電動モータ12では、8つの永久磁石19aが、ロータ19の軸回りにおいてN極とS極とが隣接するように相互に45°の間隔をあけて配置されている。これにより、ホールセンサ50u、50v、50wによって生成されるU相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号のそれぞれは、ロータ19が電気角で180°回転すると、電圧レベルがHighレベルからLowレベル、若しくは、LowレベルからHighレベルに切り替わる。
一方で、前述したように、ホールセンサ50u、50v、50wはロータ19の軸周りにおいて120°の間隔で設置されている。これにより、ホールセンサ50u、50v、50wにおいて検出される永久磁石19aの磁界は、相互に電気角で120°ずれる。そして、ホールセンサ50u、50v、50wから出力される検知信号の位相も、相互に電気角で120°ずれる。したがって、ロータ19の回転角が電気角で60°進むごとに、ホールセンサ50u、50v、50wにおいて生成されるU相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号のうちのいずれか1つの電圧レベルが切り替わる。これらのU相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号のうちのいずれか1つの電圧レベルの変化、すなわちこれらのセンサ信号のパルスのエッジを検出することで、ロータ19が電気角で60°回転したことを検出することができる。なお、このようにロータ19が電気角で60°回転することが、所定事象が周期的に発生することの一例である。
また、回転信号生成部122は、前述したU相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号の電圧レベルの切り替わりに基づいて、ロータ19の回転方向を検出する。図6に示すセンサ信号は、ロータ19が正回転をしている際のセンサ信号の一例のタイミングチャートを示している。この例では、時間がT1からT7へと経過する際に、U相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号の順序で電圧レベルがLowレベルからHighレベルに切り替わり、エッジが立ち上がっている。回転信号生成部122は、U相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号のエッジがこの順序で立ち上がるパターンのときに、ロータ19が正回転していると判別する。一方、図7に示すセンサ信号は、ロータ19が逆回転をしている際のセンサ信号の一例のタイミングチャートを示している。この例では、時間がT1からT7へと経過する際に、W相センサ信号、V相センサ信号、U相センサ信号の順序で電圧レベルがLowレベルからHighレベルに切り替わり、エッジが立ち上がっている。回転信号生成部122は、U相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号のエッジがこの順序で立ち上がるパターンのときに、ロータ19が逆回転していると判別する。なお、このようにロータ19が正回転又は逆回転することが、所定事象とともに生じる相互に排他的な複数の状態の一例である。
そして、回転信号生成部122は、前述のようにして検出したロータ19の回転角及び回転方向に基づいて、回転角と回転方向の両方の情報を含んだパルス信号である回転信号を生成する。具体的には、回転信号生成部122は、図6及び図7に示すように、U相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号のいずれか1つのパルス信号のエッジが検出されたときに、回転信号のパルス信号の電圧レベルをLowレベルからHighレベルに切り替える。なお、この場合、Lowレベルが第1レベルに相当し、Highレベルが第2レベルに相当する。
このとき、回転信号生成部122は、当該回転信号の1周期におけるHighレベルの期間(パルス幅)を、モータの回転方向に応じて異なる長さとする。モータ制御装置120では、マイコンのメモリにおいて、モータの回転方向、すなわち正回転及び逆回転のそれぞれに対応する、異なる長さの期間が予め設定されている。本実施形態では、一例として、正回転に対応する第1期間(t1)として250マイクロ秒、逆回転に対応する第2期間(t2)として125マイクロ秒が設定されているものとする。回転信号生成部122は、ロータ19が正回転しているときには、図6に示すように、Highレベルを維持する期間を、正回転に対応する第1期間(t1)の250マイクロ秒とする。そして、回転信号生成部122は、当該第1期間が経過した後、電圧レベルをLowレベルに戻す。さらに、回転信号生成部122は、次にいずれかのホールセンサによって出力されるセンサ信号のパルスのエッジが検出されたときに、再び電圧レベルをLowレベルからHighレベルに切り替える。回転信号生成部122は、この電圧レベルの切り替えの反復によって回転信号のパルス信号を継続して生成する。一方、回転信号生成部122は、ロータ19が逆回転しているときには、図7に示すように、Highレベルを維持する期間を、逆回転に対応する第2期間(t2)の125マイクロ秒とする。そして、回転信号生成部122は、当該第2期間が経過した後、電圧レベルをLowレベルに戻す。回転信号生成部122は、このようにして生成した回転信号を、ECM110に対して出力する。
一方、ECM110の回転角演算部112は、モータ制御装置120から当該回転信号を受信し、そのパルス信号の矩形波における電圧レベルの切り替わりに基づいて、ロータ19の回転角を演算することができる。また、ECM110側においても、正回転及び逆回転に対応する期間の長さが予め設定されており、回転角演算部112は、当該パルス信号におけるHighレベルの期間の長さに基づいて、電動モータ12の回転方向が正回転か逆回転かを判別することができる。
次に、前述したVVT機構100の制御処理に関連する機構のうち、電動モータ12の現在の回転角及び回転方向を示す回転信号を生成するモータ制御装置120の回転信号生成部122において実行される処理について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
ステップ101(図ではS101と表記している。以下同様)で、回転信号生成部122は、ホールセンサ50u、50v、50wにおいて生成されるU相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号のうちのいずれか1つの電圧レベルの切り替わり(エッジ)を検出する。
ステップ102で、回転信号生成部122は、前述したようなU相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号の電圧レベルの切り替わりの順序(切り替わりのパターン)に基づいて、電動モータ12の回転方向を判別する。
ステップ103で、回転信号生成部122は、ステップ102で判別した電動モータ12の回転方向が正回転か逆回転かのいずれであるかを判定する。回転方向が正回転のときにはステップ104に進み、回転方向が逆回転のときにはステップ105に進む。
ステップ102で、回転信号生成部122は、前述したようなU相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号の電圧レベルの切り替わりの順序(切り替わりのパターン)に基づいて、電動モータ12の回転方向を判別する。
ステップ103で、回転信号生成部122は、ステップ102で判別した電動モータ12の回転方向が正回転か逆回転かのいずれであるかを判定する。回転方向が正回転のときにはステップ104に進み、回転方向が逆回転のときにはステップ105に進む。
ステップ104で、回転信号生成部122は、パルス信号における電圧レベルがHighレベルである期間を第1期間(t1)として回転信号を生成し、ECM110に出力する。具体的には、回転信号生成部122は、パルス信号の電圧レベルをLowレベルからHighレベルに切り替え、第1期間が経過するまで電圧レベルをHighレベルで維持し、第1期間の経過後に再度電圧レベルをLowレベルに切り替える。
ステップ105で、回転信号生成部122は、パルス信号における電圧レベルがHighレベルである期間を第2期間(t2)として回転信号を生成し、ECM110に出力する。具体的には、回転信号生成部122は、パルス信号の電圧レベルをLowレベルからHighレベルに切り替え、第2期間が経過するまで電圧レベルをHighレベルで維持し、第2期間の経過後に再度電圧レベルをLowレベルに切り替える。
ステップ105で、回転信号生成部122は、パルス信号における電圧レベルがHighレベルである期間を第2期間(t2)として回転信号を生成し、ECM110に出力する。具体的には、回転信号生成部122は、パルス信号の電圧レベルをLowレベルからHighレベルに切り替え、第2期間が経過するまで電圧レベルをHighレベルで維持し、第2期間の経過後に再度電圧レベルをLowレベルに切り替える。
回転信号生成部122は、これらのステップ101~105の処理の反復により、ECM110に対して回転信号を継続して出力する。前述したように、本実施形態の電動モータ12では、ロータ19が電気角で60°回転したときにU相センサ信号、V相センサ信号、W相センサ信号のうちのいずれか1つの電圧レベルが切り替わる。このため、回転信号生成部122が生成する回転信号におけるパルスの1周期は、電動モータ12が電気角で60°回転したことを示す。
次に、前述したVVT機構100の制御処理に関連する機構のうち、モータ制御装置120から電動モータ12の現在の回転角及び回転方向を示す回転信号を受信するECM110側の回転角演算部112において実行される処理について、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
ステップ201で、回転角演算部112は、電動モータ12の回転信号生成部122から、電動モータ12の現在の回転角及び回転方向を示す回転信号のパルス信号を受信する。
ステップ202で、回転角演算部112は、受信した回転信号のパルス信号の1周期におけるHighレベルの期間が第1期間であるか第2期間であるかを判定する。Highレベルの期間が第1期間であるときにはステップ203に進み、Highレベルの期間が第2期間であるときにはステップ204に進む。
ステップ201で、回転角演算部112は、電動モータ12の回転信号生成部122から、電動モータ12の現在の回転角及び回転方向を示す回転信号のパルス信号を受信する。
ステップ202で、回転角演算部112は、受信した回転信号のパルス信号の1周期におけるHighレベルの期間が第1期間であるか第2期間であるかを判定する。Highレベルの期間が第1期間であるときにはステップ203に進み、Highレベルの期間が第2期間であるときにはステップ204に進む。
ステップ203で、回転角演算部112は、電動モータ12の回転方向が正回転であると判別する。
ステップ204で、回転角演算部112は、電動モータ12の回転方向が逆回転であると判別する。
ステップ205で、回転角演算部112は、回転信号に基づいて、電動モータ12の現在の回転角を演算する。前述したように、回転信号生成部122から受信する回転信号のパルスの1周期は、電動モータ12が電気角で60°回転したことを示す。これに基づき、回転角演算部112は、電動モータ12の現在の回転角を演算することが可能である。そして、回転角演算部112は、電動モータ12の現在の回転角と回転方向とを示す情報を、目標回転速度演算部111に通知する。
ステップ204で、回転角演算部112は、電動モータ12の回転方向が逆回転であると判別する。
ステップ205で、回転角演算部112は、回転信号に基づいて、電動モータ12の現在の回転角を演算する。前述したように、回転信号生成部122から受信する回転信号のパルスの1周期は、電動モータ12が電気角で60°回転したことを示す。これに基づき、回転角演算部112は、電動モータ12の現在の回転角を演算することが可能である。そして、回転角演算部112は、電動モータ12の現在の回転角と回転方向とを示す情報を、目標回転速度演算部111に通知する。
ECM110の目標回転速度演算部111は、回転角演算部112から通知された電動モータ12の現在の回転角と回転方向とを示す情報に基づいて、現在の電動モータ12の回転速度を演算する。目標回転速度演算部111は、単位時間当たりの回転信号の角度の変化を検出することで、電動モータ12の回転速度を演算することができる。なお、当該回転速度の演算までを回転角演算部112側で行ってもよい。目標回転速度演算部111は、電動モータ12の回転速度及び回転方向と、エンジン200から受信したカム角センサ201及びクランク角センサ202の回転角情報をはじめとした駆動情報を用いて、電動モータ12の目標回転速度及び目標回転方向を演算する。そして、目標回転速度演算部111は、当該目標回転速度及び目標回転方向を、モータ制御装置120の回転制御部121に送信する。
[本実施形態による効果、変形例等]
このように、本実施形態によれば、VVT機構100における電動モータ12の制御において、モータ制御装置120が電動モータ12の回転角及び回転方向をECM110に送信するときに、次のように回転信号が生成される。すなわち、1周期におけるHighレベルの期間の長さが、電動モータ12の回転方向(正回転又は逆回転)に応じて異なるようにパルス信号が生成される。これにより、当該パルス信号を受信したECM110側では、当該パルス信号に基づき、電動モータ12の回転角とともに、当該パルス信号のHighレベルの期間の長さに基づいて電動モータ12の回転方向も判別することが可能となる。したがって、電動モータ12の回転角情報と回転方向情報を、PWM通信における1本の信号線によって送信することが可能となる。その結果、複数の信号線で回転角情報と回転方向情報を別々に送信する場合と比較して、それぞれの信号線における通信のずれに起因する両情報の同期のずれを低減させることが可能となる。これにより、ECM110側における電動モータ12の回転角の演算や、これを用いた目標回転速度の演算において発生し得る誤差を抑制することが可能となる。また、このように信号線の数を減らすことができることにより、コストダウンを実現することもできる。
このように、本実施形態によれば、VVT機構100における電動モータ12の制御において、モータ制御装置120が電動モータ12の回転角及び回転方向をECM110に送信するときに、次のように回転信号が生成される。すなわち、1周期におけるHighレベルの期間の長さが、電動モータ12の回転方向(正回転又は逆回転)に応じて異なるようにパルス信号が生成される。これにより、当該パルス信号を受信したECM110側では、当該パルス信号に基づき、電動モータ12の回転角とともに、当該パルス信号のHighレベルの期間の長さに基づいて電動モータ12の回転方向も判別することが可能となる。したがって、電動モータ12の回転角情報と回転方向情報を、PWM通信における1本の信号線によって送信することが可能となる。その結果、複数の信号線で回転角情報と回転方向情報を別々に送信する場合と比較して、それぞれの信号線における通信のずれに起因する両情報の同期のずれを低減させることが可能となる。これにより、ECM110側における電動モータ12の回転角の演算や、これを用いた目標回転速度の演算において発生し得る誤差を抑制することが可能となる。また、このように信号線の数を減らすことができることにより、コストダウンを実現することもできる。
なお、図6及び図7に示した回転信号の具体例では、電動モータ12が正回転しているときに対応する第1期間(t1)が、逆回転しているときに対応する第2期間(t2)よりも短い。しかし、これらの期間は相互に異なる長さであればどのように設定されてもよい。例えば、電動モータ12が逆回転しているときのHighレベルの期間のほうが正回転しているときのHighレベルの期間よりも長くなるようにパルス信号を生成してもよい。なお、いずれの場合であっても、電動モータ12が最高回転速度で回転する状態、すなわち、センサ信号の切り替えが最も高い頻度で発生し回転情報のパルス信号の1周期が最も短くなる状態に備え、この状態における1周期の長さよりも第1期間及び第2期間の両方が短くなるように設定しておくことが望ましい。さらに、第1期間及び第2期間は、モータ制御装置120やECM110における回路の応答遅れや信号の検知遅れを考慮しても、ECM110において確実に電動モータ12の回転方向の判別が可能となるような期間を設定することが望ましい。
また、本実施形態では、回転信号生成部122が、センサ信号のエッジが検出されたときに、回転信号の電圧レベルをLowレベルからHighレベルに切り替えているが、逆に、HighレベルからLowレベルに切り替えるようにしてもよい。この場合、電動モータ12の回転方向に対応する期間が経過するまでLowレベルを維持した後、Highレベルに戻し、これを反復して繰り返すこととなる。なお、この場合は、Highレベルが第1レベルに相当し、Lowレベルが第2レベルに相当する。
また、電動モータ12が正回転しているときに対応する第1期間及び逆回転しているときに対応する第2期間には、図6及び図7に示した例のような時間の長さ(250マイクロ秒、125マイクロ秒)の代わりに、それぞれ異なるデューティ比が設定されていてもよい。デューティ比が設定されている場合には、電動モータ12が最高速度で回転しているときに第1期間又は第2期間がパルス信号の周期よりも長くなってしまうリスクを回避することができる。
また、回転信号生成部122は、ホールセンサ50u、50v、50wのセンサ信号のエッジが検出されたときに回転信号の電圧レベルを切り替えるのではなく、次のように制御してもよい。すなわち、回転信号生成部122は、電動モータ12のU相コイル、V相コイル、W相コイルにおいて通電していない開放相と、通電している相とを検出し、この通電パターンに基づいて電動モータ12が所定角度回転したことを検出してもよい。そして、当該検出結果に基づいて、回転信号の電圧レベルを切り替えるようにしてもよい。このような制御によれば、電動モータ12がホールセンサ50u、50v、50wを備えていないセンサレスモータである場合においても、同様の回転信号を生成することが可能である。
なお、エンジン200の停止時に、VVT機構100においてカムシャフトをストッパに押し当てるように電動モータ12を制御し、遅角側においてストッパにロックさせる制御を行うことができる。この状態においてクランクシャフトが逆回転した場合、電動モータ12も連動して逆回転することとなる。このとき、ECM110では、電動モータ12のモータ制御装置120から送信される回転信号に基づいて電動モータ12の回転方向が変わったことを検知することにより、クランクシャフトが逆回転していることを判別可能となる。本実施形態によれば、モータ制御装置120において前述したような回転信号のパルス信号が生成されることにより、回転角情報と回転方向情報との同期のずれが低減され、ECM110ではより正確なタイミングで電動モータ12の回転方向の変化を検知することができる。したがって、クランク角センサ202に逆転検知機能が搭載されていなくても、エンジン200の逆回転を高精度で検知することが可能となる。
なお、本実施形態で説明したパルス信号の生成方法は、VVT機構における制御装置間の通信に限定して適用されるものではない。このようなパルス信号の生成方法は、所定事象が周期的に発生し、当該所定事象に関連する複数の情報、特に相互に同期していることを要する複数の情報をPWM通信によって1つの信号線で通信する様々な装置において適用可能である。
さらに、当業者であれば、上記実施形態の技術的思想について、その一部を省略したり、その一部を適宜組み合わせたり、その一部を周知技術に置換したりすることで、新たな実施形態を生み出せることを容易に理解できるであろう。
100…VVT機構、110…ECM、111…目標回転速度演算部、112…回転角演算部、120…モータ制御装置、121…回転制御部、122…回転信号生成部、12…電動モータ、17…ステータ、19…ロータ、50v・50w・50u…ホールセンサ
Claims (5)
- パルス信号を生成して外部と通信する制御装置であって、
所定事象が周期的に発生するごとに、前記パルス信号の電圧レベルを第1レベルから第2レベルに切り替え、前記所定事象とともに生じる相互に排他的な複数の状態のそれぞれに対応させて異なる長さで設定された期間のうち現在の状態に対応する期間が経過するまで電圧レベルを前記第2レベルで維持し、当該期間の経過後に電圧レベルを前記第1レベルに戻すように構成された、
制御装置。 - 前記期間には、前記所定事象が最も高い頻度で発生する場合における発生周期よりも短い期間が設定される、請求項1記載の制御装置。
- 前記所定事象は電動モータが所定角度回転することであり、前記複数の状態は前記電動モータの回転方向が正回転であるか逆回転であるかであり、前記電動モータが正回転しているときには電圧レベルを前記第2レベルで第1期間維持する一方、前記電動モータが逆回転しているときには電圧レベルを前記第2レベルで前記第1期間とは異なる第2期間維持する、請求項1又は2に記載の制御装置。
- 前記電動モータはブラシレスモータであり、当該ブラシレスモータに設置された回転角センサによって出力される検知信号の電圧レベルが切り替わったときに前記電動モータが所定角度回転したことを検出して、前記パルス信号の電圧レベルを前記第1レベルから前記第2レベルに切り替える、請求項3に記載の制御装置。
- 前記期間には、前記複数の状態のそれぞれに対応する時間の長さ又はデューティ比のいずれかが設定される、請求項1~4のいずれか1項に記載の制御装置。
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-
2021
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