JP5789952B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータを目標回転角度へ回転駆動する際に目標回転角度に対して所定角度以内に近付いてからモータの回転速度を減速する機能を備えたモータ制御装置に関する発明である。
従来より、各種切換装置の駆動源として用いられるモータの制御は、フィードバック制御又はオープンループ制御によってモータを目標回転角度まで回転駆動することで切換装置を目標位置に切り換えるようにしている。このような切換装置の切換応答性を高めるには、モータの回転速度を高速化する必要があるが、モータの回転速度を高速化すると、駆動終了時にモータのロータが慣性により目標回転角度を越えてオーバーシュートしやすくなり、ロータを正確に目標回転角度で停止させることが難しくなる。
そこで、特許文献1(特許第3888278号公報)では、モータを目標回転角度へ回転駆動する際に目標回転角度に対して所定角度以内に近付いてから、モータの回転速度に応じてモータの通電相の位相進み量を補正することで、モータの回転速度を減速するようにしている。
特許第3888278号公報
ところで、モータの電源電圧が変動すると、モータの駆動電流が変動してモータの回転速度が変動するが、モータの回転速度が変動しても、モータを正確に目標回転角度で停止できれば、さほど問題にならない。しかし、実際には、モータを高速駆動してから減速して目標回転角度で停止させるため、モータの電源電圧が低下してモータの駆動電流が減少すると、減速中のモータの制動力が低下してモータが目標回転角度を越えてオーバーシュートしてしまい、停止位置精度が低下する(図9参照)。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、モータの電源電圧の変動や巻線温度の上昇等によってモータの駆動電流が変動しても、モータを精度良く目標回転角度で停止できるモータ制御装置を提供することである。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、制御対象を回転駆動するモータと、前記モータの回転に同期してパルス信号を出力するエンコーダとを備え、前記エンコーダのパルス信号に基づいて前記モータの回転角度を検出して前記モータの通電相を順次切り換えることで前記モータを目標回転角度へ回転駆動し、前記モータの回転角度が前記目標回転角度に対して所定角度以内に近付いてから前記モータの回転速度を減速する制御手段を備えたモータ制御装置において、前記モータの電源電圧を検出又は推定する電源電圧判定手段を備え、前記制御手段は、前記電源電圧判定手段で検出又は推定した電源電圧を前記モータの駆動電流の流れにくさの情報として用いて、前記電源電圧が低いほど減速中のモータの減速度合を設定する回転速度閾値を小さくするように設定している。このようにすれば、モータの駆動電流の流れにくさに応じて減速開始点を変更できるため、例えば、モータの駆動電流が減少して減速中のモータの制動力が低下する場合は、減速中のモータの回転速度を低くするという制御が可能となる。これにより、モータの駆動電流が変動しても、モータを精度良く目標回転角度で停止できる。
請求項1に係る発明では、電源電圧判定手段で検出又は推定した電源電圧をモータの駆動電流の流れにくさの情報として用いているが、この理由は、モータの電源電圧が低下するに従って、モータの駆動電流が減少するという関係があるためである。
また、請求項2のように、モータの巻線温度を検出又は推定する巻線温度判定手段を備え、前記巻線温度判定手段で検出又は推定した巻線温度を前記モータの駆動電流の流れにくさの情報として用いて、前記巻線温度が高いほど減速中のモータの減速度合を設定する回転速度閾値を小さくするように設定しても良い。モータの巻線温度が高くなるほど、巻線の抵抗値が大きくなって、モータの駆動電流が減少するという関係があるためである。
また、請求項のように、モータとしてスイッチトリラクタンスモータを使用するようにしても良い。スイッチトリラクタンスモータは、永久磁石が不要で構造が簡単であるため、安価であり、温度環境等に対する耐久性・信頼性も高いという利点がある。
以上説明した請求項1〜に係る発明は、スイッチトリラクタンスモータ等の同期モータを駆動源とする各種の位置切換装置に適用でき、例えば、請求項のように、車両の自動変速機のレンジを切り換えるレンジ切換機構を駆動するモータの制御装置に適用しても良い。これにより、信頼性の高いモータ駆動式のレンジ切換装置を構成することができる。
図1は本発明の実施例1の自動変速機の制御システム全体の構成を概略的に示す図である。 図2はレンジ切換機構を示す斜視図である。 図3はモータの構成を説明する図である。 図4はモータを駆動する回路構成を説明する図である。 図5はレンジ切換装置の制御システム全体の構成を概略的に示す図である。 図6はエンコーダのロータリマグネットの構成を説明する平面図である。 図7はエンコーダの側面図である。 図8(a)はエンコーダのA相信号とB相信号の波形を示すタイムチャート、同(b)は通電相切り換えパターンを示すタイムチャートである。 図9は電源電圧変動時のレンジ切換動作特性を説明するタイムチャートである。 図10は実施例1のF/B制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 図11は実施例1の通電相設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 図12は実施例1のロータ回転速度演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 図13は実施例1の減速制御時速度位相進み補正量設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 図14は実施例1の閾値C1,C2を設定するマップの一例を概念的に示す図である。 図15は実施例2の減速制御時速度位相進み補正量設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 図16は実施例2の減速領域判定用の閾値SP1,SP2を設定するマップの一例を概念的に示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を車両のレンジ切換装置に適用して具体化した2つの実施例1,2を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図14に基づいて説明する。
まず、図1に基づいて自動変速システム全体の概略構成を説明する。
エンジン11の出力軸(クランク軸)には自動変速機12の入力軸が連結されている。この自動変速機12内部の構成は図示しないが、エンジン11の出力軸によって回転駆動されるトルクコンバータと、このトルクコンバータの出力軸(タービン軸)に連結された変速歯車機構と、この変速歯車機構を構成する複数の歯車の中から動力を伝達する歯車の組み合わせ(変速比)を切り換える摩擦係合装置と、この摩擦係合装置の動作状態を油圧で切り換える油圧制御回路等が自動変速機12内に設けられている。また、油圧制御回路には、摩擦係合装置を構成するクラッチ、ブレーキ等の各摩擦係合要素に供給する油圧を制御する油圧制御弁13と、シフトレバーのシフト操作に連動してモータ14によって切り換えられるレンジ切換機構15(図2参照)のスプール弁16が設けられている。このスプール弁16は、シフトレバーのシフト操作に連動して切り換えられるいわゆるマニュアルバルブとして機能する。
自動変速機12の変速動作を制御する変速制御ECU17は、摩擦係合装置に供給する油圧を油圧センサ18で検出して、その検出油圧と車速センサ19の出力信号等に基づいて油圧制御回路の各油圧制御弁13の開閉動作を制御して各摩擦係合要素に供給する油圧を制御することで変速段を目標変速段に切り換える。
一方、レンジ切換ECU20は、シフトレバーの操作位置を検出するシフトレンジ検出装置21の出力信号に基づいてモータ14を駆動制御することで、運転者のレンジ切換操作に応じてレンジ切換機構15のスプール弁16の切換動作を制御する。このレンジ切換ECU20と、変速制御ECU17と、エンジン11の運転状態を制御するエンジンECU22と、表示装置41の表示を制御するメータECU42は、車両に搭載されたバッテリ23(電源)から電源ライン47を介して電力が供給される。また、通信ライン24を通じて、各ECU20,17,22,42は、スロットル開度、点火時期など、必要な情報を相互に送受信する。エンジンECU22には、エンジン11の運転状態を検出する各種センサ(例えばエンジン回転速度を検出するクランク角センサ48等)が接続されている。
エンジン11には、始動時にクランク軸を回転駆動(クランキング)するスタータ43が設けられ、運転者がイグニッションキースイッチ44をON位置(IG位置)からSTART位置に操作すると、エンジンECU22によってスタータリレー45がオンされてバッテリ23からスタータ43に通電され、スタータ43が回転してエンジン11がクランキングされて始動され、その後、運転者がイグニッションキースイッチ44をSTART位置からON位置に戻すと、スタータリレー45がオフされ、スタータ43への通電が停止される。
次に、図2に基づいてレンジ切換機構15の構成を説明する。
レンジ切換機構15は、自動変速機12のシフトレンジを、例えばパーキングレンジ(P)、リバースレンジ(R)、ニュートラルレンジ(N)、ドライブレンジ(D)に切り換えるためのものである。このレンジ切換機構15の駆動源となるモータ14は、減速機構50(図5参照)を内蔵し、この減速機構50の回転軸に嵌合連結された出力軸25の回転位置を検出する出力軸センサ46が設けられ、この出力軸センサ46の出力信号に基づいてシフトレンジが検出される。
このモータ14の出力軸25には、自動変速機12の油圧制御回路のスプール弁16を切り換えるためのディテントレバー28が固定されている。このディテントレバー28にはL字形のパーキングロッド29が固定され、このパーキングロッド29の先端部に設けられた円錐体30がロックレバー31に当接している。このロックレバー31は、円錐体30の位置に応じて軸32を中心にして上下動してパーキングギヤ33をロック/ロック解除するようになっている。このパーキングギヤ33は、自動変速機12の出力軸に設けられ、このパーキングギヤ33がロックレバー31によってロックされると、車両の駆動輪が回り止めされた状態(パーキング状態)に保持される。
また、ディテントレバー28には、スプール弁16のスプール34が連結され、モータ14の出力軸25によってディテントレバー28を回動させることで、スプール弁16の操作量(スプール34の操作位置)を切り換えて、自動変速機12のシフトレンジを、Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ等のいずれかに切り換える。ディテントレバー28には、スプール弁16のスプール34を上記各レンジに対応する位置に保持するための複数の凹部35が形成されている。
一方、ディテントレバー28を各レンジに対応する位置に保持するためのディテントバネ36がスプール弁16に固定され、このディテントバネ36の先端に設けられた係合部37がディテントレバー28の目標レンジの凹部35に嵌まり込むことで、ディテントレバー28が目標レンジの回転角で保持されて、スプール弁16のスプール34の位置が目標レンジの位置で保持されるようになっている。これらディテントレバー28とディテントバネ36とからスプール弁16の操作量(スプール34の操作位置)を各レンジの位置に係合保持するためのディテント機構38(節度機構)が構成されている。
Pレンジでは、パーキングロッド29がロックレバー31に接近する方向に移動して、円錐体30の太い部分がロックレバー31を押し上げてロックレバー31の凸部31aがパーキングギヤ33に嵌まり込んでパーキングギヤ33をロックした状態となり、それによって、自動変速機12の出力軸(駆動輪)がロックされた状態(パーキング状態)に保持される。
一方、Pレンジ以外のレンジでは、パーキングロッド29がロックレバー31から離れる方向に移動して、円錐体30の太い部分がロックレバー31から抜け出てロックレバー31が下降し、それによって、ロックレバー31の凸部31aがパーキングギヤ33から外れてパーキングギヤ33のロックが解除され、自動変速機12の出力軸が回転可能な状態(走行可能な状態)に保持される。
次に、図3及び図4に基づいてモータ14の構成を説明する。本実施例1では、モータ14として、例えばスイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)が用いられている。このモータ14は、ステータコア51とロータ52が共に突極構造を持つモータで、永久磁石が不要で構造が簡単であるという利点がある。円筒状のステータコア51の内周部には、例えば12個の突極51aが等間隔に形成され、これに対して、ロータ52の外周部には、例えば8個の突極52aが等間隔に形成され、ロータ52の回転に伴い、ロータ52の各突極52aがステータコア51の各突極51aと微小ギャップを介して順番に対向するようになっている。ステータコア51の12個の突極51aには、2系統(a系統とb系統)の駆動コイル53,54のU相、V相、W相の各巻線が対称な位置に巻回されている。尚、ステータコア51とロータ52の突極51a,52aの数は適宜変更しても良いことは言うまでもない。以下の説明では、一方の系統(a系統)の駆動コイル53の「U相」、「V相」、「W相」をそれぞれ「Ua相」、「Va相」、「Wa相」と表記し、他方の系統(b系統)の駆動コイル54の「U相」、「V相」、「W相」をそれぞれ「Ub相」、「Vb相」、「Wb相」と表記する。
2系統の駆動コイル53,54の各相の巻線の巻回順序は、ステータコア51の12個の突極51aに対して、例えば、Ua相→Va相→Wa相→Ua相→Va相→Wa相→Ub相→Vb相→Wb相→Ub相→Vb相→Wb相の順序で巻回されている。図4に示すように、Ua相、Va相、Wa相の合計6個の巻線と、Ub相、Vb相、Wb相の合計6個の巻線は、2系統の駆動コイル53,54を構成するように結線されている。一方の駆動コイル53は、Ua相、Va相、Wa相の合計6個の巻線をY結線して構成され(同じ相の2個の巻線はそれぞれ直列に接続されている)、他方の駆動コイル54は、Ub相、Vb相、Wb相の合計6個の巻線をY結線して構成されている(同じ相の2個の巻線はそれぞれ直列に接続されている)。2つの駆動コイル53,54は、Ua相とUb相が同時に通電され、Va相とVb相が同時に通電され、Wa相とWb相が同時に通電される。
図4に示すように、2系統の駆動コイル53,54は、車両に搭載されたバッテリ23を電源として、それぞれ別個のモータドライバ55,56によって駆動される。このように、駆動コイル53,54とモータドライバ55,56をそれぞれ2系統ずつ設けることで、一方の系統が故障しても、他方の系統でモータ12を回転させることができるようになっている。
図4に示すモータドライバ55,56の回路構成例では、各相毎にトランジスタ等のスイッチング素子57を1個ずつ設けたユニポーラ駆動方式の回路構成としているが、各相毎にスイッチング素子を2個ずつ設けたバイポーラ駆動方式の回路構成を採用しても良い。尚、本発明は、駆動コイルとモータドライバをそれぞれ1系統ずつ設けた構成としても良いことは言うまでもない。
モータ14には、ロータ52の回転位置を検出するためのエンコーダ61(図5参照)が設けられている。このエンコーダ61は、例えば磁気式のロータリエンコーダにより構成されており、その具体的な構成は、図6及び図7に示すように、N極とS極が円周方向に交互に等ピッチで着磁された円環状のロータリマグネット62がロータ52の側面に同軸状に固定され、このロータリマグネット62に対向する位置に、2個のホールIC等の磁気検出素子63,64が配置された構成となっている。
本実施例1では、ロータリマグネット62のN極とS極の着磁ピッチが7.5°に設定されている。このロータリマグネット62の着磁ピッチ(7.5°)は、モータ12の励磁1回当たりのロータ52の回転角度と同じに設定されている。例えば、1−2相励磁方式でモータ12の通電相の切り換えを6回行うと、全ての通電相の切り換えが一巡してロータ52とロータリマグネット62が一体的に7.5°×6=45°回転する。このロータリマグネット62の45°の回転角度範囲に存在するN極とS極の数は、合計6極となっている。
このロータリマグネット62に対して2個の磁気検出素子63,64が次のような位置関係で配置されている。A相信号を出力する磁気検出素子63とB相信号を出力する磁気検出素子64は、ロータリマグネット62の着磁部分(N,S)に対向し得る位置の同一円周上に配置されている。A相信号とB相信号を出力する2個の磁気検出素子63,64の間隔は、図8(a)に示すように、A相信号とB相信号の位相差が、電気角で90°(機械角で3.75°)となるように設定されている。ここで、“電気角”はA相・B相信号の発生周期を1周期(360°)とした場合の角度で、“機械角”は機械的な角度(ロータ52の1回転を360°とした場合の角度)であり、A相信号の立ち下がり(立ち上がり)からB相信号の立ち下がり(立ち上がり)までにロータ52が回転する角度がA相信号とB相信号の位相差の機械角に相当する。
各磁気検出素子63,64の出力は、N極と対向したときにハイレベル“1”となり、S極と対向したときにローレベル“0”となる。
本実施例1では、レンジ切換ECU20がA相信号とB相信号の立ち上がり/立ち下がりの両方のエッジをカウントして、そのエンコーダカウント値に応じてモータ14の通電相を切り換えることでロータ52を回転駆動する。この際、A相信号とB相信号の発生順序によってロータ52の回転方向を判定し、正回転(Pレンジ→Dレンジの回転方向)ではエンコーダカウント値をカウントアップし、逆回転(Dレンジ→Pレンジの回転方向)ではエンコーダカウント値をカウントダウンする。これにより、ロータ52が正回転/逆回転のいずれの方向に回転しても、エンコーダカウント値とロータ52の回転位置との対応関係が維持されるため、正回転/逆回転のいずれの回転方向でも、エンコーダカウント値によってロータ52の回転角度(回転位置)を検出して、その回転角度に対応した相の巻線に通電してロータ52を回転駆動する。
図8(b)は、1−2相励磁方式でロータ52を逆回転方向(Dレンジ→Pレンジの回転方向)に回転させたときのエンコーダ61の出力波形と通電相の切換パターンを示している。逆回転方向(Dレンジ→Pレンジの回転方向)と正回転方向(Pレンジ→Dレンジの回転方向)のいずれの場合も、ロータ52が7.5°回転する毎に1相通電と2相通電とを交互に切り換えるようになっており、ロータ52が45°回転する間に、例えば、U相通電→UW相通電→W相通電→VW相通電→V相通電→UV相通電の順序で通電相の切り換えを一巡するようになっている。この際、2系統の駆動コイル53,54の各相の巻線は、同時に通電される。
そして、この通電相の切り換え毎に、ロータ32が7.5°ずつ回転して、A相、B相信号用の磁気検出素子63,64に対向するロータリマグネット62の磁極がN極→S極又はS極→N極に変化してA相信号とB相信号のレベルが交互に反転し、それによって、ロータ52が7.5°回転する毎に、エンコーダカウント値が2ずつカウントアップ(又はカウントダウン)する。尚、本明細書では、A相、B相信号がハイレベル“1”となることを、A相、B相信号が出力されると言う場合がある。
このようなエンコーダ61付きのモータ14でレンジ切換制御を行う場合は、目標レンジがPレンジからDレンジ方向又はその反対方向に切り換えられる毎に、ロータ52を回転駆動して、エンコーダカウント値に基づいてモータ14の通電相を順次切り換えることでロータ52を目標回転角度に向かって回転駆動するフィードバック制御(以下「F/B制御」と表記する)を実行し、エンコーダカウント値が目標回転角度に応じて設定された目標カウント値に到達した時点で、ロータ52が目標回転角度に到達したと判断してF/B制御を終了し、ロータ52を目標回転角度で停止させるようにしている。
この際、F/B制御中のロータ52の回転速度を高速化すると、F/B制御終了時にロータ52が慣性により目標回転角度を越えてオーバーシュートしやすくなり、ロータ52を正確に目標回転角度で停止させることが難しくなる。
そこで、本実施例1では、F/B制御中に、ロータ52の回転角度(エンコーダカウント値)と目標回転角度(目標カウント値)との差が所定値以下になった段階(つまり目標回転角度に対して所定角度以内に近付いた段階)で、減速制御に移行し、ロータ52の回転速度に応じて該ロータ52の回転位相に対する通電相の位相進み量を補正することで、ロータ52の回転速度に応じた適度な制動力をロータ52に作用させる。具体的には、減速制御時に、ロータ52の回転速度が低下するに従って、ロータ52に作用させる制動力を小さくする方向に通電相の位相進み量を補正する。これにより、減速制御時に、ロータ52を目標位置に向かってスムーズに減速する。
更に、本実施例1では、減速制御時にロータ52の回転速度の他に、ロータ52の現在の回転角度(エンコーダカウント値)から目標回転角度(目標カウント値)までの回転角度も考慮して、通電相の位相進み量を補正するようにしている。このようにすれば、何等かの原因で、ロータ52の減速が遅れた場合でも、目標回転角度の手前でロータ52に作用させる制動力を増大させてロータ52を確実に減速させることができ、ロータ52を精度良く目標回転角度で停止させることができる。
ところで、図9に示すように、モータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)が通常電圧(12V)から例えば10Vに低下すると、モータ14の駆動電流が減少してモータ14の回転速度が少し低下するが、モータ14の回転速度が少し低下しても、モータ14を正確に目標回転角度で停止できれば、さほど問題にならない。しかし、実際には、モータ14を高速駆動してから減速して目標回転角度で停止させるため、モータ14の電源電圧が低下してモータ14の駆動電流が減少すると、減速制御中のモータ14の制動力が低下してモータ14が目標回転角度を越えてオーバーシュートしてしまい、停止位置精度が低下する。
そこで、本実施例1では、モータ14の回転角度が目標回転角度に対して所定角度以内に近付いてからモータ14の回転速度を減速する際に、モータ14の駆動電流の流れにくさに応じて前記所定角度(減速開始点)を変更して、モータ14を精度良く目標回転角度で停止させるのに必要な減速区間(制動距離)を確保するようにしている。
本実施例1では、モータ14の駆動電流の流れにくさの情報としてモータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)を用いる。モータ14の電源電圧が低下するに従って、モータ14の駆動電流が減少するという関係があるためである。モータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)は、電源電圧判定手段として設けた電圧センサ65(図5参照)によって検出するようにしている。
以下、レンジ切換ECU20(制御手段)が実行する図10乃至図13のレンジ切換制御用の各ルーチンの処理内容を説明する。
[F/B制御ルーチン]
図10のF/B制御ルーチンは、AB相割り込み処理により実行され、F/B制御実行条件が成立しているときに、ロータ52の回転角度(エンコーダカウント値Ncnt)が目標回転角度(目標カウント値Acnt)から所定角度以内に到達するまで、エンコーダカウント値Ncntに基づいて通電相を切り換えてロータ52を回転させる。ここで、エンコーダカウント値Ncntは、電源投入時の初期駆動により学習した初期位置ずれ学習値で補正した値を用いる(以下、同じ)。
本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、F/B許可フラグがONにセットされているか否か(F/B制御実行条件が成立しているか否か)を判定し、F/B許可フラグがOFF(F/B制御実行条件が不成立)であれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
これに対し、上記ステップ101で、F/B許可フラグがONにセットされていると判定されれば、ステップ102に進み、後述する図11の通電相設定ルーチンを実行して、現在のエンコーダカウント値Ncnt等に基づいて通電相を設定し、次のステップ603で、通電処理を実行する。
[通電相設定ルーチン]
図11の通電相設定ルーチンは、図10のF/B制御ルーチンのステップ102で起動されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ111で、目標回転角度への回転方向を指示する回転方向指示値Dが正回転(Pレンジ→Dレンジの回転方向)を意味する「1」であるか否かを判定する。その結果、回転方向指示値D=1(正回転)と判定されれば、ステップ112に進み、ロータ52の回転方向が回転方向指示に反して逆転したか否か(エンコーダカウント値Ncntが減少したか否か)を判定し、逆転していなければ、ステップ113に進み、現在のエンコーダカウント値Ncnt、正回転方向位相進み量K1、速度位相進み補正量Ksを用いて通電相判定値Mptnを次式により更新する。
Mptn=Ncnt+K1+Ks
ここで、正回転方向位相進み量K1は、ロータ52を正回転させるのに必要な通電相の位相進み量(ロータ52の現在の回転位相に対する通電相の位相進み量)であり、例えばK1=4に設定されている。
また、速度位相進み補正量Ksは、ロータ52の回転速度に応じて設定される位相進み補正量であり、例えば、低速域では、速度位相進み補正量Ksが0に設定され、高速になるに従って、速度位相進み補正量Ksが例えば1又は2に増加される。これにより、ロータ52の回転速度に適した通電相となるように通電相判定値Mptnが補正される。
更に、F/B制御中に、ロータ52の回転角度(エンコーダカウント値Ncnt)と目標回転角度(目標カウント値Acnt)との差が所定値以下になった段階で減速制御に移行すると、後述する図13の減速制御時速度位相進み補正量設定ルーチンによってロータ52の回転速度に応じて速度位相進み補正量Ksが設定される。
一方、上記ステップ112で、ロータ52の回転方向が回転方向指示に反して逆転したと判定された場合は、逆転防止のために通電相判定値Mptnを更新しない。この場合は、逆転直前の通電相(前回の通電相)に通電され、ロータ52の逆転を抑制する方向に制動トルクが発生する。
また、上記ステップ111で、回転方向指示値D=−1(逆回転)、つまりDレンジ→Pレンジの回転方向と判定された場合は、ステップ114に進み、ロータ52の回転方向が回転方向指示に反して逆転したか否か(エンコーダカウント値Ncntが増加したか否か)を判定し、逆転していなければ、ステップ115に進み、現在のエンコーダカウント値Ncnt、逆回転方向位相進み量K2、速度位相進み補正量Ksを用いて通電相判定値Mptnを次式により更新する。
Mptn=Ncnt−K2−Ks
ここで、逆回転方向位相進み量K2は、ロータ52を逆回転させるのに必要な通電相の位相進み量(ロータ52の現在の回転位相に対する通電相の位相進み量)であり、例えばK2=3に設定されている。速度位相進み補正量Ksは正回転の場合と同じように設定される。
一方、上記ステップ114で、ロータ52の回転方向が回転方向指示に反して逆転したと判定された場合は、逆転防止のために通電相判定値Mptnを更新しない。この場合は、逆転直前の通電相(前回の通電相)に通電され、ロータ52の逆転を抑制する方向に制動トルクが発生する。
以上のようにして、今回の通電相判定値Mptnを決定した後、通電処理を実行し、F/B制御中は、通電相判定値Mptnに対応する通電相を選択し、その通電相の巻線に通電する。
尚、F/B制御中に、1相通電と2相通電とを交互に切り換える1−2相励磁方式で駆動しても良いし、1相通電のみで駆動する1相励磁方式、又は、2相通電のみで駆動する2相励磁方式を採用しても良い。
[ロータ回転速度演算ルーチン]
図12のロータ回転速度演算ルーチンは、AB相割り込み処理により実行され、次のようにしてロータ52の回転速度SPを演算する。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ121で、F/B許可フラグがON(F/B制御実行中)であるか否かを判定し、F/B許可フラグがOFF(F/B制御禁止)であれば、ロータ52の回転速度SPに応じた通電相の位相進み補正を行わないため、ステップ124に進み、ロータ52の回転速度SP,SPaの記憶値をリセットして、本ルーチンを終了する。
これに対して、上記ステップ121で、F/B許可フラグがON(F/B制御実行中)と判定されれば、次のようにしてロータ52の回転速度SPを演算する。まず、ステップ122で、エンコーダ61のA相信号とB相信号の立ち上がり/立ち下がりエッジ間の時間間隔ΔT(n) (すなわちエンコーダカウント値が増減する時間間隔)を計測して、その時間間隔ΔT(n) の過去N回分の平均値ΔTavを算出する。そして、回転速度演算値SPaを次式により算出する。
SPa=60/(ΔTav×Kp) [rpm]
ここで、Kpは、ロータ52の1回転当たりの時間間隔ΔT(n) の数(ロータ52の1回転当たりのエンコーダカウント値の変化量)であり、図6の構成のエンコーダ61の場合は、Kp=96となる。ΔTav×Kpは、ロータ52が1回転するのに要する時間[sec]である。
この後、ステップ123に進み、回転速度演算値SPaを用いて、ロータ52の回転速度SPを次式によりなまし処理して求める。
SP(i) =SP(i-1) +{SPa−SP(i-1) }/R
ここで、SP(i) は今回の回転速度、SP(i-1) は前回の回転速度、Rはなまし係数である。
[減速制御時速度位相進み補正量設定ルーチン]
図13の減速制御時速度位相進み補正量設定ルーチンは、所定周期(例えば1ms周期)で起動され、減速制御時にロータ52の回転速度SPに応じて速度位相進み補正量Ksを次のようにして設定する。
本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、電圧センサ65で検出したモータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)を読み込み、次のステップ202で、図14の閾値C1,C2設定マップを参照して、現在の電源電圧に応じた閾値C1,C2を設定する。この閾値C1,C2は、減速区間の長さを決める判定値であり、電源電圧が低下すると、減速制御中のモータ14の制動力が低下してモータ14が目標回転角度を越えてオーバーシュートしやすくなることを考慮して、電源電圧が所定電圧以下の領域では、電源電圧が低くなるほど、閾値C1,C2が大きくなって減速区間が長くなるように設定される。
この後、ステップ203に進み、目標カウント値Acntとエンコーダカウント値Ncntとの差の絶対値|Acnt−Ncnt|が閾値C1よりも小さいか否かで、ロータ52の回転角度が目標回転角度に近付いたか否か(停止のための減速制御領域に入ったか否か)を判定する。その結果、|Acnt−Ncnt|が閾値C1以上(つまり減速制御領域ではない)と判定されれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ203で、|Acnt−Ncnt|が閾値C1より小さいと判定された場合は、減速制御領域と判断して、ステップ204〜208の処理により、ロータ52の回転速度SPに応じて速度位相進み補正量Ksを次のようにして設定する。まず、ステップ204、205で、ロータ52の現在の回転速度SPが高速領域(例えば1500rpm以上)、中速領域(例えば1500〜500rpm)、低速領域(例えば500rpm以下)のいずれに該当するか判別し、高速領域(例えば1500rpm以上)であれば、ステップ206に進み、減速制御時の速度位相進み補正量Ksを例えば「−2」に設定し、中速領域(例えば1500〜500rpm)であれば、ステップ207に進み、減速制御時の速度位相進み補正量Ksを例えば「−1」に設定し、低速領域(例えば500rpm以下)であれば、ステップ208に進み、減速制御時の速度位相進み補正量Ksを例えば「0」に設定する。これにより、減速制御時には、ロータ52の回転速度SPが高速領域→中速領域→低速領域へと速度低下するに従って、速度位相進み補正量Ksの絶対値が小さくなり、ロータ52に作用させる制動力が小さくなる。
この後、ステップ209に進み、ロータ52の減速が遅れているか否かを判定する。具体的には、目標カウント値Acntとエンコーダカウント値Ncntとの差の絶対値|Acnt−Ncnt|が閾値C2よりも小さくなっている(つまりロータ52の現在の回転角度が目標回転角度にかなり近付いている)にも拘らず、ロータ52の回転速度SPが高速領域(例えば1500rpm以上)であれば、ロータ52の減速が遅れていると判断して、ステップ210に進み、減速制御時の速度位相進み補正量Ksを例えば「−3」に設定して、ロータ52に作用させる制動力を最大限に増大させて、ロータ52の回転速度SPを急速に低下させる。これにより、ロータ52が慣性により目標回転角度を越えてオーバーシュートすることを防止する。
以上説明した本実施例1では、モータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)に応じてモータ14の駆動電流が変化して減速制御中のモータ14の制動力が変化することを考慮して、モータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)に応じて減速開始点(閾値C1,C2)を変更するようにしたので、例えば、モータ14の電源電圧の低下によりモータ14の駆動電流が減少して減速制御中のモータ14の制動力が低下する場合は、減速開始点を早めて減速区間を長くするという制御が可能となる。これにより、モータ14の電源電圧の変動によりモータ14の駆動電流が変動しても、F/B制御終了時にロータ52が慣性により目標回転角度を越えてオーバーシュートすることを防止できて、ロータ52を精度良く目標回転角度で停止できる。
しかも、本実施例1では、減速制御中にロータ52の回転速度に応じて通電相の位相進み量に対する速度位相進み補正量Ksを設定するようにしたので、モータ14の回転速度に応じてロータ52に作用させる制動力を適度に変化させて、ロータ52を目標回転角度に向かってスムーズに減速することができ、F/B制御終了時のオーバーシュートを防止する効果を高めることができる。
更に、本実施例1では、減速制御中に、ロータ52の回転速度の他に、ロータ52の現在の回転角度から目標回転角度までの回転角度(|Acnt−Ncnt|)も考慮して、速度位相進み補正量Ksを設定するようにしたので、何等かの原因で、モータ14の減速が遅れた場合でも、目標回転角度の手前でロータ52に作用させる制動力を増大させてロータ52を確実に減速させることができ、F/B制御終了時のオーバーシュートを防止する効果を高めることができる。
ところで、モータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)が変化しなくても、モータ14の巻線温度が変化すると、巻線の抵抗値が変化して、モータ14の駆動電流が変化する。この点を考慮して、モータ14の巻線温度を検出又は推定する巻線温度判定手段(温度センサ等)を設け、モータ14の巻線温度に応じて減速開始点(閾値C1,C2)を変更するようにしても良い。
この場合、モータ14の巻線温度が高くなるほど、巻線の抵抗値が大きくなって、モータ14の駆動電流が減少するため、巻線温度が所定温度以上の領域で、巻線温度が高くなるほど、閾値C1,C2が大きくなって減速区間が長くなるように設定すれば良い。
前記実施例1では、モータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)に応じて減速開始点(閾値C1,C2)を変更するようにしたが、本発明の実施例2では、モータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)に応じて減速制御中のモータ14の目標回転速度を変更するようにしている。
このような制御を実現するために、本実施例2では、図13のルーチンに代えて、図15の減速制御時速度位相進み補正量設定ルーチンを実行し、減速制御中の高速領域、中速領域、低速領域を判定する減速領域判定用の閾値SP1,SP2をモータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)に応じて変更することで、減速制御中のモータ14の目標回転速度を変更するようにしている。その他の事項は、前記実施例1と同じである。
図15の減速制御時速度位相進み補正量設定ルーチンは、所定周期(例えば1ms周期)で起動され、まず、ステップ301で、電圧センサ65で検出したモータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)を読み込み、次のステップ302で、図16の減速領域判定用の閾値SP1,SP2設定マップを参照して、現在の電源電圧に応じた減速領域判定用の閾値SP1,SP2を設定する。この減速領域判定用の閾値SP1,SP2は、減速中のモータ14の減速度合を設定する回転速度閾値に相当し、電源電圧が低下すると、減速制御中のモータ14の制動力が低下してモータ14が目標回転角度を越えてオーバーシュートしやすくなることを考慮して、電源電圧が所定電圧以下の領域では、電源電圧が低くなるほど、減速領域判定用の閾値SP1,SP2が小さくなって減速制御中の回転速度が低くなるように設定される。
この後、ステップ303に進み、目標カウント値Acntとエンコーダカウント値Ncntとの差の絶対値|Acnt−Ncnt|が所定値(例えば100)よりも小さいか否かで、ロータ52の回転角度が目標回転角度に近付いたか否か(停止のための減速制御領域に入ったか否か)を判定する。その結果、|Acnt−Ncnt|が所定値以上(つまり減速制御領域ではない)と判定されれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ303で、|Acnt−Ncnt|が所定値より小さいと判定された場合は、減速制御領域と判断して、ステップ304〜308の処理により、ロータ52の回転速度SPに応じて速度位相進み補正量Ksを次のようにして設定する。まず、ステップ304、305で、ロータ52の現在の回転速度SPが閾値SP1以上の高速領域、閾値SP1〜SP2の中速領域、閾値SP2以下の低速領域のいずれに該当するか判別し、閾値SP1以上の高速領域であれば、ステップ306に進み、減速制御時の速度位相進み補正量Ksを例えば「−2」に設定し、閾値SP1〜SP2の中速領域であれば、ステップ307に進み、減速制御時の速度位相進み補正量Ksを例えば「−1」に設定し、閾値SP2以下の低速領域であれば、ステップ308に進み、減速制御時の速度位相進み補正量Ksを例えば「0」に設定する。これにより、減速制御時には、ロータ52の回転速度SPが高速領域→中速領域→低速領域へと速度低下するに従って、速度位相進み補正量Ksの絶対値が小さくなり、ロータ52に作用させる制動力が小さくなる。
この後、ステップ309に進み、ロータ52の減速が遅れているか否かを判定する。具体的には、目標カウント値Acntとエンコーダカウント値Ncntとの差の絶対値|Acnt−Ncnt|が所定値(例えば50)よりも小さくなっている(つまりロータ52の現在の回転角度が目標回転角度にかなり近付いている)にも拘らず、ロータ52の回転速度SPが閾値SP1以上の高速領域であれば、ロータ52の減速が遅れていると判断して、ステップ310に進み、減速制御時の速度位相進み補正量Ksを例えば「−3」に設定して、ロータ52に作用させる制動力を最大限に増大させて、ロータ52の回転速度SPを急速に低下させる。これにより、ロータ52が慣性により目標回転角度を越えてオーバーシュートすることを防止する。
以上説明した本実施例2では、減速制御中の高速領域、中速領域、低速領域を判定する減速領域判定用の閾値SP1,SP2をモータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)に応じて変更するようにしたので、例えば、モータ14の電源電圧の低下によりモータ14の駆動電流が減少して減速制御中のモータ14の制動力が低下する場合は、減速制御中のロータ52の回転速度を低下させるという制御が可能となる。これにより、モータ14の電源電圧の変動によりモータ14の駆動電流が変動しても、F/B制御終了時にロータ52が慣性により目標回転角度を越えてオーバーシュートすることを防止できて、ロータ52を精度良く目標回転角度で停止できる。
尚、モータ14の電源電圧(バッテリ23の電圧)に代えて、モータ14の巻線温度を検出又は推定する巻線温度判定手段(温度センサ等)を設け、モータ14の巻線温度に応じて減速領域判定用の閾値SP1,SP2を変更するようにしても良い。この場合、モータ14の巻線温度が高くなるほど、巻線の抵抗値が大きくなって、モータ14の駆動電流が減少するため、巻線温度が所定温度以上の領域で、巻線温度が高くなるほど、減速領域判定用の閾値SP1,SP2が小さくなって減速制御中の回転角度が低くなるように設定すれば良い。
以上説明した実施例2を前記実施例1と組み合わせて実施しても良い。つまり、モータ14の電源電圧(又は巻線温度)に応じて減速開始点(閾値C1,C2)と減速領域判定用の閾値SP1,SP2の両方を変更しても良い。
また、本発明に用いるエンコーダは、磁気式のエンコーダに限定されず、例えば、光学式のエンコーダやブラシ式のエンコーダを用いても良い。
また、本発明に用いるモータは、SRモータに限定されず、エンコーダの出力信号のカウント値に基づいてロータの回転角度を検出してモータの通電相を順次切り換えるブラシレス型の同期モータであれば、SRモータ以外の同期モータを用いても良い。
その他、本発明は、レンジ切換装置に限定されず、SRモータ等のブラシレス型の同期モータを駆動源とする各種の位置切換装置に広く適用して実施できることは言うまでもない。
11…エンジン、12…自動変速機、13…油圧制御弁、14…モータ、15…レンジ切換機構、16…スプール弁、17…変速制御ECU、20…レンジ切換ECU(制御手段)、21…シフトレンジ検出装置、22…エンジンECU、23…バッテリ(電源)、28…ディテントレバー、29…パーキングロッド、31…ロックレバー、33…パーキングギヤ、35…凹部、36…ディテントバネ、37…係合部、38…ディテント機構、43…スタータ、51…ステータコア、52…ロータ、53,54…駆動コイル、55,56…モータドライバ、61…エンコーダ、62…ロータリマグネット、63…A相信号用の磁気検出素子、64…B相信号用の磁気検出素子、65…電圧センサ(電源電圧判定手段)

Claims (4)

  1. 制御対象を回転駆動するモータと、前記モータの回転に同期してパルス信号を出力するエンコーダとを備え、前記エンコーダのパルス信号に基づいて前記モータの回転角度を検出して前記モータの通電相を順次切り換えることで前記モータを目標回転角度へ回転駆動し、前記モータの回転角度が前記目標回転角度に対して所定角度以内に近付いてから前記モータの回転速度を減速する制御手段を備えたモータ制御装置において、
    前記モータの電源電圧を検出又は推定する電源電圧判定手段を備え、
    前記制御手段は、前記電源電圧判定手段で検出又は推定した電源電圧を前記モータの駆動電流の流れにくさの情報として用いて、前記電源電圧が低いほど減速中の前記モータの減速度合を設定する回転速度閾値を小さくするように設定することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 制御対象を回転駆動するモータと、前記モータの回転に同期してパルス信号を出力するエンコーダとを備え、前記エンコーダのパルス信号に基づいて前記モータの回転角度を検出して前記モータの通電相を順次切り換えることで前記モータを目標回転角度へ回転駆動し、前記モータの回転角度が前記目標回転角度に対して所定角度以内に近付いてから前記モータの回転速度を減速する制御手段を備えたモータ制御装置において、
    前記モータの巻線温度を検出又は推定する巻線温度判定手段を備え、
    前記制御手段は、前記巻線温度判定手段で検出又は推定した巻線温度を前記モータの駆動電流の流れにくさの情報として用いて、前記巻線温度が高いほど減速中の前記モータの減速度合を設定する回転速度閾値を小さくするように設定することを特徴とするモータ制御装置。
  3. 前記モータは、スイッチトリラクタンスモータであることを特徴とする請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記モータは、車両の自動変速機のレンジを切り換えるレンジ切換機構を駆動することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のモータ制御装置。
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