JP2011184592A - アモルファスパラミロン - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、結晶状態のパラミロンをアモルファス化し、結晶状態のパラミロンよりも有用効果を向上させたアモルファスパラミロンを提供することにある。
【解決手段】ユーグレナ由来のアモルファスパラミロンに関する。
ユーグレナ由来の結晶性パラミロンをアモルファス化することにより得られるアモルファスパラミロンは、X線回折法による結晶性パラミロンの結晶度に対する相対結晶度が20%以下の物質である。
【選択図】図1
【解決手段】ユーグレナ由来のアモルファスパラミロンに関する。
ユーグレナ由来の結晶性パラミロンをアモルファス化することにより得られるアモルファスパラミロンは、X線回折法による結晶性パラミロンの結晶度に対する相対結晶度が20%以下の物質である。
【選択図】図1
Description
本発明は、パラミロンの結晶構造を変化させた物質であるアモルファスパラミロンに関するものである。
パラミロン(paramylon)とは、約700個のグルコースが、β−1,3−結合により重合した高分子体であり、ユーグレナ(Euglena)が含有する貯蔵多糖である。
このパラミロンは、ユーグレナから単離されて、様々な用途に使用されている。
このパラミロンは、ユーグレナから単離されて、様々な用途に使用されている。
このような単離されたパラミロン粒は、体に有効な作用が認められており、食用として活用されている。
例えば、パラミロン粒は、多孔質であることから、コレステロール等を吸着して大対外へ排出するという効果があると言われている。
また、パラミロン粒は、粒子が細かいことから、化粧品や日用品等への応用も期待されている。
例えば、パラミロン粒は、多孔質であることから、コレステロール等を吸着して大対外へ排出するという効果があると言われている。
また、パラミロン粒は、粒子が細かいことから、化粧品や日用品等への応用も期待されている。
更に、β−1,3−グルカンは、身体の免疫機構に作用し、抗菌作用、抗ウイルス作用、代謝改善作用、抗腫瘍性、抗アレルギー性等の様々な効能が確認されており、このような機能を活用する研究も進められている。
このような状況下、ユーグレナよりパラミロンを単離し、このパラミロンを含有した健康食品やサプリメント等が開発されているとともに、薬剤等様々な用途に利用する技術が開発されている。
その一例として、例えば、特許文献1には、パラミロンを含有する凍結乾燥した薬剤の技術が開示されている。
特許文献1に記載の技術では、培養したユーグレナ細胞からパラミロンを単離し、このパラミロンを含有させた非経口投与又は経口投与の薬剤を製造する。
そして、その薬剤は、生体用マトリックス、特にプラスター、栄養補助剤としての使用、化粧品成分、医薬成分の投与のため使用される。
特許文献1に記載の技術では、培養したユーグレナ細胞からパラミロンを単離し、このパラミロンを含有させた非経口投与又は経口投与の薬剤を製造する。
そして、その薬剤は、生体用マトリックス、特にプラスター、栄養補助剤としての使用、化粧品成分、医薬成分の投与のため使用される。
このように、ユーグレナより単離されたパラミロンは、様々な用途に使用され実績をあげている。
一方、出願人は、このようにユーグレナより単離されたパラミロンを更に有効に活用するために鋭意研究を重ねた。
つまり、パラミロンが奏する有用な機能を更に大きく発現させるべく、パラミロン自体に改良を加え、有用な知見を得たものである。
一方、出願人は、このようにユーグレナより単離されたパラミロンを更に有効に活用するために鋭意研究を重ねた。
つまり、パラミロンが奏する有用な機能を更に大きく発現させるべく、パラミロン自体に改良を加え、有用な知見を得たものである。
本発明においては、パラミロンはアモルファス化され、「アモルファスパラミロン」となっている。
「アモルファス」(amorphous)とは、非晶質のことであり、これは、結晶のような長距離秩序は無いが、短距離秩序を有する物質の状態を指す。
熱力学的には、自由エネルギーの極小(非平衡準安定状態)にある状態のことをいう。
同じ物質であっても、結晶状態とアモルファス状態とでは、同じ材料でも物性が大幅に変わることがある。
例えば、電気伝導性、熱伝導性、光透過性、物理的強度、耐触性、超伝導性等が大幅に変わってしまうことがあることが報告されている。
「アモルファス」(amorphous)とは、非晶質のことであり、これは、結晶のような長距離秩序は無いが、短距離秩序を有する物質の状態を指す。
熱力学的には、自由エネルギーの極小(非平衡準安定状態)にある状態のことをいう。
同じ物質であっても、結晶状態とアモルファス状態とでは、同じ材料でも物性が大幅に変わることがある。
例えば、電気伝導性、熱伝導性、光透過性、物理的強度、耐触性、超伝導性等が大幅に変わってしまうことがあることが報告されている。
本発明の目的は、上記各問題点を解決することにあり、結晶状態のパラミロンをアモルファス化し、結晶状態のパラミロンよりも有用効果を向上させたアモルファスパラミロンに関する。
上記課題は、請求項1に係る発明によれば、ユーグレナ由来の結晶性パラミロンをアモルファス化ことにより解決される。
また、このとき、このアモルファスパラミロンの特性としては、X線回折法による、前記結晶性パラミロンの結晶度に対する相対結晶度が20%以下である。
また、このとき、このアモルファスパラミロンの特性としては、X線回折法による、前記結晶性パラミロンの結晶度に対する相対結晶度が20%以下である。
このように、本発明においては、有効効果を向上させるべく、結晶性パラミロンをアモルファス化し、「アモルファスパラミロン」とした。
なお、「結晶性パラミロン」とは、培養されたユーグレナより公知の方法で精製されたパラミロンを指し、通常粉末体として提供される。
つまり、「アモルファス」との物質的区別を図るべく「結晶性」という文言を使用したものである。
このように、本発明によれば、結晶性パラミロンをアモルファス化し、非晶性とした(ただし、「全く結晶構造を持たない」という意味合いではなく、「結晶性パラミロンと比して結晶性が低くなっている」という意味合いで「非晶性」という文言を使用する)。
なお、「結晶性パラミロン」とは、培養されたユーグレナより公知の方法で精製されたパラミロンを指し、通常粉末体として提供される。
つまり、「アモルファス」との物質的区別を図るべく「結晶性」という文言を使用したものである。
このように、本発明によれば、結晶性パラミロンをアモルファス化し、非晶性とした(ただし、「全く結晶構造を持たない」という意味合いではなく、「結晶性パラミロンと比して結晶性が低くなっている」という意味合いで「非晶性」という文言を使用する)。
このように、アモルファス化することにより、本発明に係るアモルファスパラミロンにおいては、X線回折法による、結晶性パラミロンの結晶度に対する相対結晶度が20%以下となっている。
このように、アモルファス化されたアモルファスパラミロンは、結晶性パラミロン粉末体とは異なった物性を示し(比重、結晶の大きさ等)、特に、皮膚炎抑制効果を有する有効な物質となる。
このように、アモルファス化されたアモルファスパラミロンは、結晶性パラミロン粉末体とは異なった物性を示し(比重、結晶の大きさ等)、特に、皮膚炎抑制効果を有する有効な物質となる。
また、請求項1及び請求項2に記載の発明において、アモルファスパラミロンは、前記結晶性パラミロンを溶媒に溶解した後、再結晶させることにより製造される。
更に、前記溶媒としては、アルカリ溶液が使用されるとよい。
つまり、本発明においては、アルカリ溶媒(例えば、水酸化ナトリウム水溶液を使用)に結晶性パラミロンを溶解して、酸(例えば、塩化水素水溶液)により中和することにより再結晶を行う。
なお、再結晶は、ジメチルスルフォキシドを用いて行うこともできる。
更に、前記溶媒としては、アルカリ溶液が使用されるとよい。
つまり、本発明においては、アルカリ溶媒(例えば、水酸化ナトリウム水溶液を使用)に結晶性パラミロンを溶解して、酸(例えば、塩化水素水溶液)により中和することにより再結晶を行う。
なお、再結晶は、ジメチルスルフォキシドを用いて行うこともできる。
上記のような特性を有し、上記のように製造された、本発明に係るアモルファスパラミロンは、食品、薬品、緩衝材、飼料から選択される少なくとも一の製品に含有させることにより、有効な効果を奏する。
「含有」という文言は、「少なくとも一部に成分として含まれる」という意味であり、「全てがアモルファスパラミロンで構成される」こともその概念に含む。
再結晶されたアモルファスパラミロンは、結晶性パラミロンに比して相対的に比重が軽く、結晶サイズが大きい。
よって、体積が大きくなるので、満腹感の得やすい食品素材として有効に使用される。
また、カロリーも極めて低いため、健康食品としての利用が大きく期待される。
再結晶されたアモルファスパラミロンは、結晶性パラミロンに比して相対的に比重が軽く、結晶サイズが大きい。
よって、体積が大きくなるので、満腹感の得やすい食品素材として有効に使用される。
また、カロリーも極めて低いため、健康食品としての利用が大きく期待される。
更に、結晶性パラミロンに比して、比重が小さく、体積の大きく軽い疎な素材であるため、緩衝材としての用途も期待できる。
この場合、アモルファスパラミロンは生物由来(ユーグレナ由来)の素材であるため、環境面においても有用な素材であるといえる。
この場合、アモルファスパラミロンは生物由来(ユーグレナ由来)の素材であるため、環境面においても有用な素材であるといえる。
本発明に係るアモルファスパラミロンには、結晶性パラミロンをアモルファス化したものである。
このアモルファスパラミロンの特性としては、X線回折法による、結晶性パラミロンの結晶度に対する相対結晶度が20%以下となっている。
このアモルファスパラミロンは、結晶性パラミロンと異なった外観及び性質を有するとともに、皮膚炎抑制効果等も有しており、食品、薬品、緩衝材、飼料等への有効な利用が期待される。
このアモルファスパラミロンの特性としては、X線回折法による、結晶性パラミロンの結晶度に対する相対結晶度が20%以下となっている。
このアモルファスパラミロンは、結晶性パラミロンと異なった外観及び性質を有するとともに、皮膚炎抑制効果等も有しており、食品、薬品、緩衝材、飼料等への有効な利用が期待される。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、結晶性パラミロンをアモルファス化し、結晶性パラミロンよりも有用効果を向上させたアモルファスパラミロンに関するものである。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、結晶性パラミロンをアモルファス化し、結晶性パラミロンよりも有用効果を向上させたアモルファスパラミロンに関するものである。
図1はアモルファスパラミロンの製造工程を示す工程図、図2はアモルファスパラミロンの回折ピーク位置確認フルスキャン結果を示すスキャンチャート、図3はアモルファスパラミロンの回折強度測定用詳細スキャン結果を示すスキャンチャート、図4はアモルファスパラミロンを撮像した写真である。
図1により、アモルファスパラミロンの製造方法について説明する。
なお、本製造方法は、約40gのアモルファスパラミロンを製造するための例であり、アモルファスパラミロンの製造量を増減させるためには、適宜スケールを変更することにより対応する。手順は同様である。
なお、本製造方法は、約40gのアモルファスパラミロンを製造するための例であり、アモルファスパラミロンの製造量を増減させるためには、適宜スケールを変更することにより対応する。手順は同様である。
まず、工程1で、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を調整する。
本実施形態においては、水酸化ナトリウム水溶液を2リットル調整した。
次いで、工程2で、1N水酸化ナトリウム水溶液に結晶性パラミロン粉末を50g添加して溶解させる。
結晶性パラミロン粉末は、1〜2時間スターラで撹拌することにより、1N水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた。
この結晶性パラミロン粉末は、培養したユーグレナより、公知の方法で分離精製されたものである。
本実施形態においては、水酸化ナトリウム水溶液を2リットル調整した。
次いで、工程2で、1N水酸化ナトリウム水溶液に結晶性パラミロン粉末を50g添加して溶解させる。
結晶性パラミロン粉末は、1〜2時間スターラで撹拌することにより、1N水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた。
この結晶性パラミロン粉末は、培養したユーグレナより、公知の方法で分離精製されたものである。
次いで、工程3で、1N塩酸により、パラミロン粉末が溶解した1N水酸化ナトリウム水溶液を中和した。
なお、1N塩酸を滴下するに従い、滴下部分がゲル化するが、このゲルをスパーテル等で崩しながら、中和が確認されるまで中和反応を継続した。
中和が完了した時点では、水分がゲルに完全に抱き込まれ、全体がゼリー状となる。
なお、1N塩酸を滴下するに従い、滴下部分がゲル化するが、このゲルをスパーテル等で崩しながら、中和が確認されるまで中和反応を継続した。
中和が完了した時点では、水分がゲルに完全に抱き込まれ、全体がゼリー状となる。
次いで、工程4で、水分を分離すべく、遠心分離を行った。
この遠心分離は、水分が分離し、沈殿を回収することができる条件で行えばよい。
本実施形態においては、100ml遠沈管で2500rpm、10分間の遠心分離を行った。
この遠心分離は、水分が分離し、沈殿を回収することができる条件で行えばよい。
本実施形態においては、100ml遠沈管で2500rpm、10分間の遠心分離を行った。
次いで、工程5で、上清を捨て、沈殿の洗浄を行う。
この工程では、蒸留水を沈殿に添加して撹拌し、遠心分離を行う。
つまり、上清廃棄→蒸留水添加→撹拌→遠心分離という工程を繰り返し実施することにより沈殿を洗浄し、沈殿したゲルを回収する。
本実施形態においては、4回の上記洗浄工程を繰り返した。
この工程では、蒸留水を沈殿に添加して撹拌し、遠心分離を行う。
つまり、上清廃棄→蒸留水添加→撹拌→遠心分離という工程を繰り返し実施することにより沈殿を洗浄し、沈殿したゲルを回収する。
本実施形態においては、4回の上記洗浄工程を繰り返した。
次いで、工程6で、回収したゲルをバットに広げ、冷凍庫で凍結させ、工程7で凍結乾燥機により凍結乾燥させ、アモルファスパラミロンを得た。
このようにして回収したアモルファスパラミロンは、吸湿性が高いため、ある程度手でほぐした後、乾燥剤を入れたデシケータで保存する。
この操作で、約40gのアモルファスパラミロンを作成することができた。
このようにして回収したアモルファスパラミロンは、吸湿性が高いため、ある程度手でほぐした後、乾燥剤を入れたデシケータで保存する。
この操作で、約40gのアモルファスパラミロンを作成することができた。
次いで、本発明に係るアモルファスパラミロンについて説明する。
アモルファスパラミロンの結晶度を測定するために、各パラミロンサンプルのX線回折を行った。
サンプルとしては、以下のサンプルを準備した。
(1)サンプル
1.サンプルA 結晶性パラミロン
2.サンプルB アモルファスパラミロン(30g生産スケール)
3.サンプルC アモルファスパラミロン(15g生産スケール)
4.サンプルD アモルファスパラミロン(5g生産スケール)
これらのサンプルは、粉砕機により粉砕された後、X線回折装置により分析される。
なお、サンプルAは、結晶性パラミロン粉末であるが、サンプルB乃至サンプルDを粉砕するため、前処理条件を同一とする目的で粉砕処理を実施した。
また、サンプルAは対照であり、アモルファス化されたパラミロンであるサンプルB乃至サンプルDのサンプルAに対する相対結晶度を算定する。
アモルファスパラミロンの結晶度を測定するために、各パラミロンサンプルのX線回折を行った。
サンプルとしては、以下のサンプルを準備した。
(1)サンプル
1.サンプルA 結晶性パラミロン
2.サンプルB アモルファスパラミロン(30g生産スケール)
3.サンプルC アモルファスパラミロン(15g生産スケール)
4.サンプルD アモルファスパラミロン(5g生産スケール)
これらのサンプルは、粉砕機により粉砕された後、X線回折装置により分析される。
なお、サンプルAは、結晶性パラミロン粉末であるが、サンプルB乃至サンプルDを粉砕するため、前処理条件を同一とする目的で粉砕処理を実施した。
また、サンプルAは対照であり、アモルファス化されたパラミロンであるサンプルB乃至サンプルDのサンプルAに対する相対結晶度を算定する。
(2)前処理
1.粉砕器
Retsh社製ボールミルMM400
粉砕条件:振動数20回/秒、粉砕時間5分
2.X線回折装置
スペクトリス社製H’PertPRO
測定条件:管電圧45KV、管電流40mA
測定範囲:2θ 5〜70°(回折ピーク位置確認フルスキャン)
2θ 5〜30°(強度測定用詳細スキャン)
1.粉砕器
Retsh社製ボールミルMM400
粉砕条件:振動数20回/秒、粉砕時間5分
2.X線回折装置
スペクトリス社製H’PertPRO
測定条件:管電圧45KV、管電流40mA
測定範囲:2θ 5〜70°(回折ピーク位置確認フルスキャン)
2θ 5〜30°(強度測定用詳細スキャン)
(3)分析
1.ピーク位置確認
フルスキャンで回折ピーク位置を確認し、回折ピーク強度測定に用いる角度を決定した。
2.回折ピーク強度測定
上記ピーク位置確認で決定した角度で詳細スキャンを実施し、回折ピーク強度を測定した。
その結果を基に、回折ピーク強度比を相対結晶度として算出した。
1.ピーク位置確認
フルスキャンで回折ピーク位置を確認し、回折ピーク強度測定に用いる角度を決定した。
2.回折ピーク強度測定
上記ピーク位置確認で決定した角度で詳細スキャンを実施し、回折ピーク強度を測定した。
その結果を基に、回折ピーク強度比を相対結晶度として算出した。
(4)結果
1.ピーク位置確認
回折ピーク位置確認フルスキャンの結果を図2に示す。
図2に示すとおり、サンプルAにおいて、2θ=20°の付近に顕著なピークを観測することができた。
よって、強度測定用詳細スキャンを行う範囲を2θが5°乃至30°の範囲と決定した。
2.強度測定結果
強度測定用詳細スキャンの結果を図3に示す。
図3に示すように、サンプルB乃至サンプルDにおける2θ=20°の付近の回折ピークが、サンプルAの回折ピークに比して小さくなっていることが認められ、このことより、サンプルB乃至サンプルDの結晶度がサンプルAの結晶度に比して小さくなっていることがわかる。
3.結晶度算出
強度測定結果とアモルファスパラミロンのサンプルであるサンプルB乃至サンプルDの相対結晶度の算出結果を表1に示す。
1.ピーク位置確認
回折ピーク位置確認フルスキャンの結果を図2に示す。
図2に示すとおり、サンプルAにおいて、2θ=20°の付近に顕著なピークを観測することができた。
よって、強度測定用詳細スキャンを行う範囲を2θが5°乃至30°の範囲と決定した。
2.強度測定結果
強度測定用詳細スキャンの結果を図3に示す。
図3に示すように、サンプルB乃至サンプルDにおける2θ=20°の付近の回折ピークが、サンプルAの回折ピークに比して小さくなっていることが認められ、このことより、サンプルB乃至サンプルDの結晶度がサンプルAの結晶度に比して小さくなっていることがわかる。
3.結晶度算出
強度測定結果とアモルファスパラミロンのサンプルであるサンプルB乃至サンプルDの相対結晶度の算出結果を表1に示す。
相対結晶度は、強度測定結果に基づき下式にて算出する。
相対結晶度(%)=(サンプル回折ピーク強度/対照回折ピーク強度)×100
つまり、対照である結晶性パラミロンの結晶度を100%とし、アモルファス化したアモルファスパラミロンの結晶度を算出したものである。
このように、アモルファスパラミロンの相対結晶度は、相対結晶度20%以下程度であると考えられ、より詳しくは、相対結晶度16%以下となっていることがわかる。
相対結晶度(%)=(サンプル回折ピーク強度/対照回折ピーク強度)×100
つまり、対照である結晶性パラミロンの結晶度を100%とし、アモルファス化したアモルファスパラミロンの結晶度を算出したものである。
このように、アモルファスパラミロンの相対結晶度は、相対結晶度20%以下程度であると考えられ、より詳しくは、相対結晶度16%以下となっていることがわかる。
なお、回折ピーク位置確認フルスキャンの結果である図2には、その他、2θ=20°付近のピークの他に、数本のシャープなピークが存在する。
これは、サンプルB乃至サンプルDに共通に現れていることから、同様の構造によるものであると考えられ、このことからも、アモルファス化によって、結晶構造が変化し、結晶性パラミロンとは異なる構造となったことがわかる。
これは、サンプルB乃至サンプルDに共通に現れていることから、同様の構造によるものであると考えられ、このことからも、アモルファス化によって、結晶構造が変化し、結晶性パラミロンとは異なる構造となったことがわかる。
これは、元は3重螺旋であったβ−1,3−グルカンの結晶構造が、アモルファス化を行うことによって無くなり、β−1,3−グルカンの螺旋構造ではない立体構造のピーク若しくはノーマルな一本鎖のβ−1,3−グルカンのピーク等が現れている可能性があると推測される。
以上のように、パラミロンをアモルファス化し、アモルファスパラミロンを形成することによって、パラミロンの結晶構造を変化させ、これに伴う有用な効果を創出することができる。
つまり、通常の結晶構造のパラミロンには無い若しくは通常構造のパラミロンにおいては低い効能を、アモルファスパラミロンは高く発揮することができるものである。
つまり、通常の結晶構造のパラミロンには無い若しくは通常構造のパラミロンにおいては低い効能を、アモルファスパラミロンは高く発揮することができるものである。
このように作成されたアモルファスパラミロンの写真を図4に示す。
図4は、結晶性パラミロン及びアモルファスパラミロン共に1gを撮像したものであるが、アモルファスパラミロンは結晶性パラミロンに比して見かけ上、かさが多くなっていることがわかる。これは、後述するかさ比重の違いによるものである。
このように、アモルファス化されたパラミロン(アモルファスパラミロン)は、結晶性パラミロンとは、異なった外観を有するとともに、物性も変化している。
以下、アモルファスパラミロンの物性について説明する。
図4は、結晶性パラミロン及びアモルファスパラミロン共に1gを撮像したものであるが、アモルファスパラミロンは結晶性パラミロンに比して見かけ上、かさが多くなっていることがわかる。これは、後述するかさ比重の違いによるものである。
このように、アモルファス化されたパラミロン(アモルファスパラミロン)は、結晶性パラミロンとは、異なった外観を有するとともに、物性も変化している。
以下、アモルファスパラミロンの物性について説明する。
次いで、アモルファスパラミロンの物性について説明する。
(1)アモルファスパラミロンのかさ比重
結晶性パラミロン及びアモルファスパラミロンのかさ比重を測定する。
「かさ比重」とは、見かけ密度と同義であり、一定体積の容器中に披検試料を一定状態で入れたときに、その容器内に入る被検試料の量で表される値のことである。
このかさ比重は、以下の式で表される。
かさ比重(g/ml)=試料重量(g)÷試料体積(ml)
(1)アモルファスパラミロンのかさ比重
結晶性パラミロン及びアモルファスパラミロンのかさ比重を測定する。
「かさ比重」とは、見かけ密度と同義であり、一定体積の容器中に披検試料を一定状態で入れたときに、その容器内に入る被検試料の量で表される値のことである。
このかさ比重は、以下の式で表される。
かさ比重(g/ml)=試料重量(g)÷試料体積(ml)
A.測定方法
まず、かさ比重用ステンレスカップ(100ml容量)の重量を測定する(144.79g)。これが空重量となる。
次いで、エンビロート台(240mm×95mm×450mm)の下端が、かさ比重用ステンカップの上面から5cmの高さになるように設置する。
この状態で、測定する被検物をステンレスロート(120mmΦ、足太15mmΦ)側面にゆっくり注ぐ。
かさ比重用ステンレスカップから被検物がこぼれるようになった時点で注ぐのを止める。
次いで、ステンレススプーンでかさ比重用ステンレスカップ上縁部より盛り上がっている被検物部分をすり切る。
すり切ったかさ比重用ステンレスカップの重量を測定し、予め測定しておいた空重量を減算する。
このように算出した値は100ml中の被検物の重量であり、この値よりかさ比重を上記式で算出する。
まず、かさ比重用ステンレスカップ(100ml容量)の重量を測定する(144.79g)。これが空重量となる。
次いで、エンビロート台(240mm×95mm×450mm)の下端が、かさ比重用ステンカップの上面から5cmの高さになるように設置する。
この状態で、測定する被検物をステンレスロート(120mmΦ、足太15mmΦ)側面にゆっくり注ぐ。
かさ比重用ステンレスカップから被検物がこぼれるようになった時点で注ぐのを止める。
次いで、ステンレススプーンでかさ比重用ステンレスカップ上縁部より盛り上がっている被検物部分をすり切る。
すり切ったかさ比重用ステンレスカップの重量を測定し、予め測定しておいた空重量を減算する。
このように算出した値は100ml中の被検物の重量であり、この値よりかさ比重を上記式で算出する。
B.結果
上記、かさ比重測定方法により、結晶性パラミロンとアモルファスパラミロンのかさ比重の測定を行った結果を表2に示す。
上記、かさ比重測定方法により、結晶性パラミロンとアモルファスパラミロンのかさ比重の測定を行った結果を表2に示す。
C.評価
上記結果より、結晶性パラミロンをアモルファス化し、アモルファスパラミロンとすることにより、かさ比重が約6倍程度減少することがわかった。
このように、結晶性パラミロンに比してアモルファスパラミロンのかさ比重が減少するために、このアモルファスパラミロンは、結晶性パラミロンに比べ、食品への加工が容易となり、満腹感を得やすくなると考えられる。
上記結果より、結晶性パラミロンをアモルファス化し、アモルファスパラミロンとすることにより、かさ比重が約6倍程度減少することがわかった。
このように、結晶性パラミロンに比してアモルファスパラミロンのかさ比重が減少するために、このアモルファスパラミロンは、結晶性パラミロンに比べ、食品への加工が容易となり、満腹感を得やすくなると考えられる。
(2)アモルファスパラミロンの吸油性及び吸水性
結晶性パラミロン及びアモルファスパラミロンの吸油性及び吸水性を調べた。
方法は、文献(市川ら、1991年、FRAGRANCE JOURNAL、1991−5、84−92)による。
結晶性パラミロン及びアモルファスパラミロンの吸油性及び吸水性を調べた。
方法は、文献(市川ら、1991年、FRAGRANCE JOURNAL、1991−5、84−92)による。
A.測定方法
a)吸油性
まず、被検物3gをガラスシャーレに取る。
次いで、亜麻仁油をピペットで少量ずつ被検物に滴下し、その都度ヘラで混合する。
全体が硬いパテ状の一塊となり、螺旋状に巻き取れる程度となった時点を終点とし、それまでに使用した亜麻仁油の量を測定する。
b)吸水性
まず、被検物3gをガラスシャーレに取る。
次いで、蒸留水をピペットで少量ずつ被検物に滴下し、その都度ヘラで混合する。
全体が硬いパテ状の一塊となり、螺旋状に巻き取れる程度となった時点を終点とし、それまでに使用した蒸留水の量を測定する。
a)吸油性
まず、被検物3gをガラスシャーレに取る。
次いで、亜麻仁油をピペットで少量ずつ被検物に滴下し、その都度ヘラで混合する。
全体が硬いパテ状の一塊となり、螺旋状に巻き取れる程度となった時点を終点とし、それまでに使用した亜麻仁油の量を測定する。
b)吸水性
まず、被検物3gをガラスシャーレに取る。
次いで、蒸留水をピペットで少量ずつ被検物に滴下し、その都度ヘラで混合する。
全体が硬いパテ状の一塊となり、螺旋状に巻き取れる程度となった時点を終点とし、それまでに使用した蒸留水の量を測定する。
B.結果
以下の表3に結果を示す。
以下の表3に結果を示す。
C.評価
このように、結晶性パラミロンをアモルファス化し、アモルファスパラミロンとすることによって、吸油性が約7倍向上することが確認された。
このため、油の多い食事とアモルファスパラミロンを共に摂取することにより、体内への余分な油の吸収が抑制される可能性が示唆される。
また、結晶性パラミロンをアモルファス化し、アモルファスパラミロンとすることによって、吸水性も約3倍以上増加することが確認された。
このため、アモルファスパラミロンを食品へ添加すると、添加されたアモルファスパラミロンが水分を吸収してしっとり感が創出され、満腹感を得やすくなることが示唆される。
このように、結晶性パラミロンをアモルファス化し、アモルファスパラミロンとすることによって、吸油性が約7倍向上することが確認された。
このため、油の多い食事とアモルファスパラミロンを共に摂取することにより、体内への余分な油の吸収が抑制される可能性が示唆される。
また、結晶性パラミロンをアモルファス化し、アモルファスパラミロンとすることによって、吸水性も約3倍以上増加することが確認された。
このため、アモルファスパラミロンを食品へ添加すると、添加されたアモルファスパラミロンが水分を吸収してしっとり感が創出され、満腹感を得やすくなることが示唆される。
以上のように、結晶性パラミロンは、かさ比重が大きく、結晶も細かいが、アモルファス化して再結晶させたアモルファスパラミロンは、結晶性パラミロンに比して相対的にかさ比重が小さく、結晶が大きくなる。
このため、食品として使用すれば、体積が大きくなるため、満腹感を得やすい素材として健康食品等に有効に使用することができる。
また、その吸油性及び吸水性により、健康食品等の用途が更に広がることとなる。
更に、結晶性パラミロンに比して、軽く緩衝性があるため、生物由来の緩衝材として有効に使用することができる。
また、皮膚炎を抑制し、薬品としての利用も期待される。
このため、食品として使用すれば、体積が大きくなるため、満腹感を得やすい素材として健康食品等に有効に使用することができる。
また、その吸油性及び吸水性により、健康食品等の用途が更に広がることとなる。
更に、結晶性パラミロンに比して、軽く緩衝性があるため、生物由来の緩衝材として有効に使用することができる。
また、皮膚炎を抑制し、薬品としての利用も期待される。
このように、アモルファスパラミロンは、アモルファス化することにより通常の結晶性パラミロンにはない効果を奏する物質となる。
つまり、健康食品や薬品等として幅広い用途を想定することができる。
また、生物由来の緩衝材として、環境に優しい素材を提供することもできる。
以上のように、アモルファスパラミロンは、用途の広い有用な物質として期待することができる物質であると言える。
つまり、健康食品や薬品等として幅広い用途を想定することができる。
また、生物由来の緩衝材として、環境に優しい素材を提供することもできる。
以上のように、アモルファスパラミロンは、用途の広い有用な物質として期待することができる物質であると言える。
Claims (5)
- ユーグレナ由来の結晶性パラミロンをアモルファス化したことを特徴とするアモルファスパラミロン。
- X線回折法による、前記結晶性パラミロンの結晶度に対する相対結晶度が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載のアモルファスパラミロン。
- 前記結晶性パラミロンを溶媒に溶解した後、再結晶させることにより製造される請求項1及び請求項2に記載のアモルファスパラミロン。
- 前記溶媒は、アルカリ溶液であることを特徴とする請求項3に記載のアモルファスパラミロン。
- 食品、薬品、緩衝材、飼料から選択される少なくとも一の製品に含有されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のアモルファスパラミロン。
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