JPH05308987A - β−1,3−グルカンの精製法 - Google Patents

β−1,3−グルカンの精製法

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JPH05308987A
JPH05308987A JP13060292A JP13060292A JPH05308987A JP H05308987 A JPH05308987 A JP H05308987A JP 13060292 A JP13060292 A JP 13060292A JP 13060292 A JP13060292 A JP 13060292A JP H05308987 A JPH05308987 A JP H05308987A
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晃 土師
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一樹 三柳
Yoshihiko Tanaka
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Abstract

(57)【要約】 【目的】土木工業、化学工業あるいは食品工業等におい
て有用なβ−1,3−グルカンを製造する。 【構成】微生物が生産したβ−1,3−グルカンを含む
アルカリ性の水・親水性有機溶媒混合溶媒の熱溶解液を
冷却し、必要に応じさらに親水性有機溶媒を加え、析出
したグルカンを含む混合液を中和することを特徴とする
β−1,3−グルカンの精製法。 【効果】本発明は、β−1,3−グルカンの精製プロセ
スにおいて、粘度が上がりにくいため、取り扱いが良く
工業的に優れた精製法である。かつ、本発明で精製され
たβ−1,3−グルカンは、各種物質に優れた増粘性、
保水性あるいは膨潤性や可塑性を付与し、化学工業およ
び食品工業等の分野で有利に利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は土木工業、化学工業ある
いは食品工業等において有用なβ−1,3−グルカンの
精製法に関する。
【0002】
【従来の技術】天然界には、β−1,3−グルカンを生
産する微生物が種々存在する。例えば、アルカリゲネス
属あるいはアグロバクテリウム属などの微生物によって
菌体外に産出されるβ−1,3−グルカンとしてカード
ランが知られている(ニューフード インダストリー,
20,49,(1978),特公昭43−7000号,
同48−32673号および同48−32674号公
報)。β−1,3−グルカンの精製または製造法とし
て、例えば、β−1,3−グルカンをアルカリ水で処理
し、不溶物を分離後、酸で中和し該グルカンを析出させ
る方法(特公昭48−32673号および同48−32
674号公報)、親水性高分子物質(例えばカードラン
等)の水和ゲルまたは水和ゾルを凍結させ、該凍結物を
親水性有機溶媒に浸漬・解凍する方法(特開平2−58
542号公報)あるいは加熱凝固性を有しないβ−1,
3−グルカンをアルカリで溶解後、pH10以下に調整
して該グルカンを析出させる方法(特開平3−1631
02号公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】加熱凝固性を有するβ
−1,3−グルカン(カードラン)は、精製プロセスに
おいて、アルカリ溶解液およびその中和液の取り扱い
時、高粘性を示し、非常に取り扱いが困難であった。こ
のため希薄溶液として取り扱うなど操作がきわめて煩雑
であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな状況より、増粘性,保水性あるいは膨潤性を有する
β−1,3−グルカン粉末を工業的に有利に精製する方
法について、種々研究を重ねた結果、本発明を完成させ
たものである。すなわち、本発明は、微生物が生産した
β−1,3−グルカンを含むアルカリ性の水・親水性有
機溶媒混合溶媒の熱溶解液を冷却し、必要に応じさらに
親水性有機溶媒を加え、析出したグルカンを含む混合液
を中和することを特徴とするβ−1,3−グルカンの精
製法に関する。
【0005】本発明で用いられる微生物は、β−1,3
−グルカンを生産するものであればいずれのものでもよ
い。たとえば、前記のアルカリゲネス属またはアグロバ
クテリウム属の微生物あるいは原生動物の一種であるユ
ーグレナなどが使用し得る。ユーグレナ属に属する原生
動物としては、ユーグレナ・グラシリス(Euglenagracil
is)、ユーグレナ・グラシリス・バラエティ・バチラリ
ス(Euglena gracilis var. bacillaris)などが例示され
る。さらに、具体的な菌株例としては、ユーグレナ・グ
ラシリス・クレブス(Euglena gracilis klebs)NIES
−47、ユーグレナ・グラシリス・クレブスNIES−
48あるいはユーグレナ・グラシリス・バラエティ・バ
チラリス・プリンシェイン(Euglena gracilis var. bac
illaris Pringsheim)NIES−49などがあげられ
る。これらの菌株は、(財)地球人間環境フォーラムに
保管されている公知株である。また、ユーグレナは自然
的あるいはX線照射,紫外線照射,放射線照射,人工変
異剤を用いる人工変異手段などで容易に変異しうる。こ
のような変異株であっても、β−1,3−グルカンを細
胞内に蓄積する能力のあるものは、いずれも本発明に使
用しうる。
【0006】本発明のβ−1,3−グルカンは、微生物
の該グルカンを含有する細胞等を培養して調製される。
該β−1,3−グルカンとしては、たとえばD−グルコ
ースを構成糖としてβ−1,3−グリコシド結合してな
り、重合度約5〜6000、好ましくは約100〜10
00のものが用いられる。具体例として、カードラン、
パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラ
ン、酵母グルカン等があげられる。このうち、カードラ
ンが好ましい。上述のグルカンは単離されたものを用い
てもよいし、あるいは培養液のまま用いてもよい。通常
は、培養液を使用する方法が作業上有利である。たとえ
ば、培養液を用いる場合、該培養液はそのまま、もしく
は遠心分離機で濃縮された培養液として用いてもよく、
水で希釈して用いてもよい。アルカリの種類は特に限定
されないが、たとえば無機塩基が用いられる。このう
ち、たとえば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウムなど
の水酸化アルカリ金属塩、水酸化マグネシウム,水酸化
カルシウムなどの水酸化アルカリ土類金属塩、炭酸水素
ナトリウム,炭酸カリウムなどのアルカリ金属塩あるい
は水酸化アンモニウム等が、通常好ましく用いられる。
このうちさらに好ましくは水酸化ナトリウム,水酸化カ
リウムなどの水酸化アルカリ金属塩である。β−1,3
−グルカンを含むアルカリ性の水・親水性有機溶媒混合
溶媒の熱溶解液中のアルカリの濃度は単にβ−1,3−
グルカンを、見掛上溶解するだけで良い。たとえばアル
カリゲネス属等のβ−1,3−グルカンを使用する場
合、約0.2N以上であれば良い。通常約0.2〜1N、
好ましくは約0.3〜0.5Nである。
【0007】本発明の親水性有機溶媒は、水に混和する
有機性の溶媒であれば、いずれでも用いられる。たとえ
ば、メチルアルコール,エチルアルコール,イソプロピ
ルアルコール等のアルコール類、アセトン,メチルエチ
ルケトン等のケトン類、アセトニトリル,プロピオニト
リルなどのニトリル類、ジメチルスルフォキシド等のス
ルフォキシド類、ジメチルホルムアミド等のアミド類等
が用いられる。好ましくはアルコール類が用いられる。
さらに好ましくはメタノール,エタノールが用いられ
る。特に好ましくはメタノールである。本発明のβ−
1,3−グルカンを含むアルカリ性の水・親水性有機溶
媒混合溶媒の熱溶解液を調製する方法としては、たとえ
ば、β−1,3−グルカン水分散液にアルカリおよび親
水性有機溶媒を加え加熱に付す方法、β−1,3−グル
カン水分散液にアルカリを添加し、該液を加熱後親水性
有機溶媒を添加する方法あるいは加熱中に親水性有機溶
媒を添加する方法など何れの方法を採用してもよい。す
なわち、次工程の冷却操作以前に、β−1,3−グルカ
ンを含むアルカリ性の水・親水性有機溶媒混合溶媒の熱
溶解液になるように調製すればよい。このうち好ましく
はβ−1,3−グルカン水分散液にアルカリおよび親水
性有機溶媒を加え加熱に付す方法である。また、該加熱
下、撹拌槽またはニーダー等の混合機を用いてもよい。
上述の混合溶媒を加熱に付す際、その温度は約40℃以
上であれば良い。通常約40℃〜80℃、好ましくは約
50〜65℃である。上述の熱溶解液中の親水性有機溶
媒としてアルコール類を使用する場合、その使用量は、
該熱溶液中の水に対して、約0.1〜3倍量(v/v)の範
囲で適宜用いられる。たとえばメタノールを使用する場
合、その使用量は、該熱溶液中の水に対して、好ましく
は約0.2〜3倍量(v/v)である。さらに好ましくは約
0.2〜2.5倍量(v/v)である。さらに詳しく
は、下限は約0.2倍量(v/v),望ましくは約0.3倍
量(v/v)である。0.2倍量(v/v)より少ないと、加
熱溶解時の操作性が困難となる。上限は約2.5倍量(v
/v),望ましくは約当倍量(v/v),さらに望ましくは約
0.6倍量(v/v)である。次に、この混合液を冷却する
際の温度は室温であればよく、通常、約10〜30℃、
好ましくは約15〜25℃である。冷却終了後、後述す
る遠心脱水工程における脱水分離性を良くする為に、さ
らに親水性有機溶媒を添加してもよい。この添加量は、
最初のβ−1,3−グルカンを含む水溶液に対して約0.
5倍量(v/v)以上、好ましくは約1.2倍量(v/v)以
上であり、特に上限はないが、約5倍量(v/v)程度ま
でである。
【0008】次に析出したグルカンを含む混合液をpH
約8以下に中和する。この時のpHはβ−1,3−グル
カンの安定性を考慮すると、pH約5〜7、好ましくは
pH約5〜6に中和するのが好ましい。pH調整剤は適
宜、選択されるが一般的に無機酸が用いられる。たとえ
ば塩酸等の鉱酸が好ましく用いられる。
【0009】上記の析出したβ−1,3−グルカンを含
む中和された混合液(β−1,3−グルカンスラリー)
は、工業的用途面からは、脱塩・濃縮さらには乾燥処理
した後粉末物としておく方が使用に際して有利である。
たとえば、上記の析出したβ−1,3−グルカンスラリ
ーから遠心脱水法により、脱水物(固型分β−1,3−
グルカン10〜30%w/wを含む)とする。本脱水物
はさらにアルコールあるいはアセトン等と接触させて溶
媒脱水させた後、再度遠心脱水法により、より乾燥し易
い脱水物(固型分β−1,3−グルカン30〜50%w/
wを含む)とする。このものを減圧乾燥した後、得られ
た固形物を粉砕することにより乾燥粉末が得られる。本
発明により得られたβ−1,3−グルカンはセメントろ
液に対する可溶化度が3%以上である。一方、培養液を
直接スプレードライ法(熱風200℃で行う)に付して
得られるβ−1,3−グルカンのセメント濾液に対する
可溶化度は通常1%程度であり、たかだか3%未満であ
る。
【0010】本発明で用いられる、セメント濾液に対す
る可溶化度を以下に説明する。普通ポルトランドセメン
ト50g,水50mlおよびβ−1,3−グルカン粉末1
gを30分間混合し、遠心分離機で遠心沈降して得られ
た上澄液中の全糖濃度をフェノール硫酸法を用いて求
め、この上澄液中の全糖をx%とし、可溶化度を次式
〔I〕より算出する。
【化1】 本発明で得られるβ−1,3−グルカン粉末でセメント
ろ液に対する可溶化度が約3〜30%のもの、好ましく
は約3〜6%のものは、種々の土木工業あるいは化学工
業分野で使用できる。例えばメチルセルロースに見られ
る溶液あるいはペーストのレオロジー特性の調整剤とし
て利用できる。食品工業では本発明のβ−1,3−グル
カンの何れも使用し得る。食品に用いる場合、親水性有
機溶媒として、エタノールが特に好ましい。対象食品と
しては、特に限定されないが、例えば魚肉加工品類
(例、蒲鉾、ちくわ、はんぺん、てんぷら、蟹足蒲鉾、
魚肉ソーセージ等)、畜肉加工品類(例、ソーセージ、
コンビーフ、ロースハム、ハンバーグ、肉だんご等)、
調理加工食品類(例、ギョウザ、シューマイ等)、めん
類(例、生・蒸し・茹で中華めん、うどん、即席めん、
そば、焼きそば、はるさめ、ビーフン、マカロニ、スパ
ゲッティ、ギョウザの皮、シュウマイの皮等)、大豆加
工品類(例、豆腐、凍り豆腐、油揚、がんもどき等)、
調味料類(例、味噌、ソース類、ケチャップ、たれ
等)、飲料類、ペースト食品類(例、ジャム、マーマレ
ード、ピーナッツバター、フラワーペースト等)、あん
類、珍味食品類、乳製品類(例、バター、マーガリン、
チーズ等)、餅・団子類(例、わらび餅、みたらし団
子、ぼた餅類)、米飯類、菓子類(例、あられ、おか
き、せんべい、キャンディー、クッキー、羊羹、和生菓
子、油揚げ菓子、ババロア、ムース、シュークリーム、
マシュマロ、チューインガム、アイスクリーム、アスピ
ックゼリー等)が挙げられる。本発明によって得られた
β−1,3−グルカンはそれ自体または他の食品素材と
組み合わせることにより、種々のタイプの食品を作るこ
とができる。該食品としては、例えばこんにゃく様食
品、くらげ様食品、各種ゼリー類、シート状・ソーメン
状等の各種成型食品、煮こごり様食品、米飯の成型品、
食用フィルム、低カロリー食品、食物繊維含有食品等が
挙げられる。
【0011】親水性有機溶媒を用いる本発明により得ら
れるβ−1,3−グルカンスラリーは、親水性有機溶媒
を用いないβ−1,3−グルカンの中和析出液に比べて
粘度が低く、また親水性有機溶媒のスラリーである。こ
のため遠心脱水し易いので本発明方法は、工業的生産に
非常に有利な精製法である。また、本発明の精製法を用
いると、種々の加熱凝固性の度合を持つβ−1,3−グ
ルカンを製造、精製することができる。加熱凝固性の強
いもの(ゲル強度の強いもの)を得るためには、β−
1,3−グルカンの溶解を十分行う必要があるが、この
溶解については、一般的に次のことが確められている。
溶液中のβ−1,3−グルカン濃度は低い程、アルカリ
濃度は高い程、加熱温度は高い程、加熱時間は長い程ま
た親水性有機溶媒の添加量は少ない程β−1,3−グル
カンの溶解は容易に行われる。しかしながら、溶解をし
すぎるとβ−1,3−グルカンのポリマーのアルカリ分
解が生じるため、ゲル強度は低下してしまう。従って、
上記条件は適宜選択される。
【0012】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。 実施例1 常法により得られたアルカリゲネス・フェカリス・バラ
エティ・ミクソゲネスNTK−u株(ATCC−216
80)培養液500ml(β−1,3−グルカン(カード
ラン)約4%w/v含有)に10N水酸化ナトリウム2
0.8mlを添加して培養液のアルカリ溶液が0.4N水酸
化ナトリウム濃度になるように調整した。この操作をそ
れぞれ別個に2回行い、得られた2つの培養液のアルカ
リ溶液を50℃および60℃で各々2時間加熱し、溶解
液を得た。上記の水酸化ナトリウム濃度が0.4Nであ
る溶解液に対 してメタノール(〔表1〕において、溶
解後のメタノールと略記)を0.5倍量 v/v(即ち2
50ml),0.75倍量v/v(即ち375ml)および1
倍量v/v(即ち500ml)ずつ冷却・撹拌下、滴下し
た(滴下終了温度:20℃)。ついでメタノールを〔表
1〕に示す分量(750ml,625ml,500ml)ずつ
添加しついで12N塩酸を用いて中和した。該中和液を
バスケット遠心分離機で脱水した後、得られる脱水物に
さらにメタノールを1000mlずつ添加し、同様のバス
ケット遠心分離機で溶媒脱水を行なった。得られた脱水
物を60℃で、真空乾燥を行ない、β−1,3−グルカ
ン粉末を得た。
【0013】この様にして得られたβ−1,3−グルカ
ンの評価結果を〔表1〕に示す。 評価方法 (1)ゲル強度 β−1,3−グルカン0.2gをホモジナイザーに入れ、
水10mlを添加した後、30分間放置した。小型撹拌機
モーター(2000rpm)を用いて、5分間懸濁させ
た。この懸濁液(β−1,3−グルカン粉末2%水分散
液)を試験管に移し、減圧下で脱気を行った。ついで沸
騰水浴中で10分間加熱を行った。流水中で10分間冷
却し、30分間室温で放置した。その後長さ10mmの試
験片を作製し、カードメーターでゲル強度を測定した。 (2)水膨潤度 β−1,3−グルカン粉末2%水分散液を上記(1)に記
載の方法と同様にして調製した。この水分散液を100
mlメスシリンダーに入れ、膨潤したβ−1,3−グルカ
ン粉末の体積を測定した。水膨潤度を次式
【化2】 より算出した比で表した。 (3)セメントろ液に対する膨潤度 普通ポルトランドセメント100gに水90gを加え、
1時間撹拌後、このセメントペーストをろ紙(No. 2)
で減圧ろ過した。得られたろ液に1%(w/w)濃度とな
るようにβ−1,3−グルカン粉末を加え、これを10
0mlメスシリンダーに入れ、膨潤したβ−1,3−グル
カン粉末の体積を測定した。セメントろ液に対する膨潤
度を次式
【化3】 より算出した比で表した。 (4)モルタルフロー値 普通ポルトランドセメント100g,高炉スラグ100
g,フライアッシュ133.3g,砂(試験用)465.
3g,水107g,高性能減水剤5gおよびβ−1,3
−グルカン粉末1gを万能混合機で2分間混合後、JI
Sモルタルフロー測定機で測定した。 (5)セメントろ液に対する可溶化度 普通ポルトランドセメント50g,水50mlおよびβ−
1,3−グルカン粉末1gを30分間混合した後、遠心
分離機で遠心沈降して上澄液を得、該上澄液中の全糖濃
度をフェノール硫酸法を用いて求め、前述の式〔I〕よ
り可溶化度を算出した。
【0014】
【表1】
【0015】実施例2 実施例1で用いた培養液500mlに、10N水酸化ナト
リウムを〔表2〕に示す分量で添加して、培養液のアル
カリ溶液を0.4N水酸化ナトリウム濃度とし、同時に
メタノール(〔表2〕において、溶解前のメタノールと
略記)を培養液に対して0.5倍量v/v(即ち250m
l),0.6倍量v/v(即ち300ml)および0.75倍
量v/v(即ち375ml)ずつ添加した。この操作をそ
れぞれ別個に2回行い、得られた2つのβ−1,3−グ
ルカンを含むアルカリ性水・親水性有 機溶媒混合溶媒
の各々を50℃および60℃にて2時間加熱溶解した。
本溶解液を冷却したところ、30〜40℃で微細結晶が
発生した。20℃に冷却した状態で、メタノール(〔表
2〕において、冷却後のメタノールと略記)を〔表2〕
に示す分量(750ml,625ml及び500ml)ずつ加
え、12N塩酸を用いて中和した。本中和液は実施例1
と全く同様の操作で遠心脱水し、真空乾燥を行ない、β
−1,3−グルカンの粉末を得た。本粉末について実施
例1と同様の評価を行なった。その結果を〔表2〕に示
す。
【0016】
【表2】
【0017】実施例3 実施例1で用いた培養液500mlに10N水酸化ナトリ
ウムを〔表3〕に示す分量ずつ添加して、各々0.4
N,0.6N,0.8N水酸化ナトリウム濃度とし、同時
にメタノールを375mlずつ添加後、60℃で2時間加
熱溶解した。本溶解液を冷却したところ、30〜40℃
で微細結晶が発生した。20℃に冷却した状態で、メタ
ノールを625mlずつ加え、12N塩酸を用いて中和し
た。本中和液は実施例1と全く同様の操作で遠心脱水
し、真空乾燥を行ない、β−1,3−グルカンの粉末を
得た。本粉末について実施例1と同様の評価を行なっ
た。その結果を〔表3〕に示す。
【表3】
【0018】実施例4 実施例1で用いた培養液500mlに対してメタノール
(以下、〔表4〕等において、溶解前のメタノールと略
記)を〔表4〕に示す分量、0.2倍量v/v(即ち10
0ml),0.3倍量v/v(即ち150ml),0.4倍量
v/v(即ち200ml),0.5倍量v/v(即ち250m
l),0.6倍量v/v(即ち300ml),0.75倍量v
/v(即ち375ml)および1.0倍量v/v(即ち50
0ml)ずつ添加した。均一に撹拌した後に〔表4〕に示
す量の水酸化ナトリウムを各々加え、β−1,3−グル
カンを含む水・親水性有機溶媒混合溶媒の水酸化ナトリ
ウム濃度を0.4Nとした。60℃で2時間加熱溶解し
た後、本溶解液を冷却したところ、20〜30℃で微細
結晶が発生し、15℃に冷却した状態で、メタノールを
〔表4〕に示す分量ずつ加え、12N塩酸を用いて中和
した。本中和液は実施例1と全く同様の操作で遠心脱水
し、真空乾燥を行い、β−1,3−グルカンの粉末を得
た。本粉末について、ゲル強度およびジメチルスルホキ
シド(DMSO)への溶解性を測定し、その結果を〔図
1〕および〔図2〕に各々示した。 評価方法 (1)ゲル強度 実施例1と同様の評価を行った。 (2)ジメチルスルホキシド(DMSO)への溶解性 β−1,3−グルカンを0.5%(w/w)濃度になるよ
うにDMSOに加え、30分間撹拌した後、遠心分離を
行い、上澄液を得、該上澄液の施光度を測定した。DM
SO上澄液の施光度を、DMSOに対する溶解性の指標
とした。(施光度の値が高い程、β−1,3−グルカン
の溶解性は高い。)
【表4】
【0019】実施例5 実施例1で用いた培養液500mlに水750mlを加え希
釈を行った。これに対し、エタノール(以下、〔表5〕
等において、溶解前のエタノールと略記)を〔表5〕に
示す分量、0.1倍量v/v(即ち125ml),0.2倍
量v/v(即ち250ml),0.3倍量v/v(即ち37
5ml),0.4倍量v/v(即ち500ml),0.5倍量
v/v(即ち625ml),0.6倍量v/v(即ち750m
l),0.7倍量v/v(即ち875ml)および0.75倍
量v/v(即ち938ml)ずつ添加した。均一に撹拌し
た後に〔表5〕に示す量の10N水酸化ナトリウムを各
々加え、β−1,3−グルカンを含む水・親水性有機溶
媒混合溶媒の水酸化ナトリウム濃度を0.4Nとした。
60℃で2時間加熱溶解した後、本溶解液を冷却したと
ころ、20〜30℃で微細結晶が発生し、15℃に冷却
した状態で、エタノールを〔表5〕に示す分量ずつ加
え、12N塩酸を用いて中和した。本中和液は実施例1
と全く同様の操作で遠心脱水し、真空乾燥を行い、β−
1,3−グルカンの粉末を得た。本粉末について、実施
例4と同様にゲル強度およびジメチルスルホキシド(D
MSO)への溶解性を測定し、その結果を〔図3〕およ
び〔図4〕に各々示した。
【表5】
【0020】
【発明の効果】本発明は、β−1,3−グルカンの精製
プロセスにおいて、粘度が上がりにくいため、取り扱い
が良く、かつ遠心脱水し易い工業的に優れた精製法であ
る。かつ、本発明で精製されたβ−1,3−グルカン
は、各種物質に優れた増粘性、保水性あるいは膨潤性や
可塑性を付与し、化学工業および食品工業等の分野で有
利に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4において、次式で示すメタノール仕込
【化4】 と得られたβ−1,3−グルカン粉末のゲル強度の関係
を示す。〔図1〕から、メタノール仕込比が0.8以下
では、β−1,3−グルカン粉末のゲル強度は強いこと
がわかる。
【図2】実施例4において、メタノール仕込比と得られ
たβ−1,3−グルカン粉末のDMSO上澄液について
の旋光度との関係を示す。〔図2〕から、メタノール仕
込比が0.6以下では、β−1,3−グルカン粉末のDM
SOへの溶解は非常によいことがわかる。
【図3】実施例5において、次式で示すエタノール仕込
【化5】 と得られたβ−1,3−グルカン粉末のゲル強度の関係
を示す。〔図3〕から、エタノール仕込比が0.4以下
では、β−1,3−グルカン粉末のゲル強度は強いこと
がわかる。
【図4】実施例5において、エタノール仕込比と得られ
たβ−1,3−グルカン粉末のDMSO上澄液について
の旋光度との関係を示す。〔図4〕から、エタノール仕
込比が0.4以下ではβ−1,3−グルカン粉末のDM
SOへの溶解は非常によいことがわかる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微生物が生産したβ−1,3−グルカンを
    含むアルカリ性の水・親水性有機溶媒混合溶媒の熱溶解
    液を冷却し、必要に応じさらに親水性有機溶媒を加え、
    析出したグルカンを含む混合液を中和することを特徴と
    するβ−1,3−グルカンの精製法。
  2. 【請求項2】β−1,3−グルカン水分散液にアルカリ
    および親水性有機溶媒を加え加熱に付し、β−1,3−
    グルカンを含むアルカリ性の水・親水性有機溶媒の熱溶
    解液を調製する請求項1記載の精製法。
  3. 【請求項3】β−1,3−グルカンがカードランである
    請求項1記載の精製法。
  4. 【請求項4】親水性有機溶媒がアルコール類である請求
    項1記載の精製法。
  5. 【請求項5】アルコール類がメタノールである請求項4
    記載の精製法。
  6. 【請求項6】熱溶解液中のメタノールの水に対する混合
    比が約0.2〜2.5(容量/容量)である請求項5記載
    の精製法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0770207A (ja) * 1992-12-14 1995-03-14 Takeda Chem Ind Ltd β−1,3−グルカンの新規製造法
JP2009185168A (ja) * 2008-02-06 2009-08-20 Asahi Kasei Chemicals Corp 低反応性β−グルカンの製造方法
JP2011184592A (ja) * 2010-03-09 2011-09-22 Euglena Co Ltd アモルファスパラミロン
WO2017222054A1 (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 オルガノフードテック株式会社 カードラン含有組成物、カードラン含有組成物を含む製品、およびカードラン含有組成物を含む製品の製造方法

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