JP2011168920A - チョップドファイバー - Google Patents

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Abstract

【課題】高い親水性と力学特性を有し、さらに耐熱性や柔軟性、伸縮性にも優れたポリアミド56チョップドファイバーの提供。
【解決手段】硫酸相対粘度が2.0〜5.0であるポリアミド56からなるチョップドファイバーであって、温度25℃、相対湿度90%での含水率が7重量%以上であることを特徴とするチョップドファイバー。
【選択図】なし

Description

本発明はポリアミド56からなるチョップドファイバーであって、親水性に優れ、かつ柔軟で力学特性にも優れたチョップドファイバーに関するものである。さらに詳しくは、該チョップドファイバーをコンクリートやモルタル、プラスチック等に配合することで、耐摩耗性や力学特性に優れた構造材を得ることが可能になるものである。
ポリアミド繊維は強度に代表される高い力学特性に加え、耐摩耗性や柔軟性、耐熱性に優れることから、短くカットした繊維(チョップドファイバー)としてコンクリートやモルタル等に配合することで、該構造材の亀裂等の発生を防止し、強度を高めることが知られている。補強用繊維としては、ポリアミドの他、ガラス繊維、炭素繊維、合成高分子繊維などが用いられ、いずれも形態としてはチョップドファイバーとして用いられることが多い。
これらチョップドファイバーの中でも、ポリアミド66からなるチョップドファイバーはコストパフォーマンスに優れることから、補強繊維として好ましく用いられている。一方で、ポリアミド66は繊維製造時にゲルや球晶を生成しやすく欠陥となりやすいことや、親水性が低いために、ポリアミド66の表面を親水性の高い材料でコーティングしないと、コンクリート等に均一に分散しにくいといった欠点を有する(特許文献1)。
ところで、最近は地球的規模での環境に対する意識向上に伴い、非石油由来の繊維素材が切望されている。ポリアミド66に代表される汎用のポリアミド繊維は、石油を主原料としていることや、製造時に大量の水や熱エネルギーを用いており、二酸化炭素排出量が多い。よって、環境負荷が大きい素材といえる。また、既にピークオイル論(非特許文献1)で指摘されている様に、石油資源の減少に伴い石油価格が高騰しており、石油資源の大量消費により生じる地球温暖化が大きな問題として採り上げられている。
そこで、非石油系由来のプラスチック(バイオマスプラ)にスポットライトが当てられ、欧米や日本、中国において研究開発が活発に行われている。例えば、天然資源として産生されているセルロースは、二酸化炭素を大気中から取り込み成長する植物資源から大量に取り出すことが可能であり、二酸化炭素の循環(カーボンニュートラル)により地球温暖化の抑制に寄与することが期待されている。バイオマスプラの代表的なものとしては、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルが挙げられるが、強度、耐熱性、耐摩耗性、耐加水分解性などの諸特性が汎用プラスチックに比較すると低く、汎用素材として用いるためにはこれら諸特性の大幅改善が必要になる。
そこで我々は、汎用素材として十分な力学特性や耐久性、その他の諸特性を満足するものとして、バイオマスベースのモノマーを用いて重合したバイオナイロンに注目して研究を進めている。バイオナイロンとしては、既にポリアミド11やポリアミド12、ポリアミド610が工業化されているものの、いずれのポリアミドも親水性が低いため、コンクリートやモルタルへの均一分散が難しく、さらには製造コストが高いために該用途には用いられていない。そこで我々は、新規なバイオナイロンとして、バイオマスベースのモノマーである1,5ペンタメチレンジアミンと、アジピン酸とを加熱重合して得られるポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)に着目した。ポリアミド56はまだ工業化されたことがない新規な材料であるが、製造方法についてはいくつかの特許出願が公開されている(特許文献2、特許文献3)。
また、加熱重合で製造されたポリアミド56(非特許文献2)が従来から知られているが、加熱重合で得られたポリアミド56は、界面重合法で製造されたポリアミド56(非特許文献3、非特許文献4)と比較して融点が低く、耐熱性に劣るものしか報告されていない。一方で、界面重合法は工程が複雑であり、高コストな製造プロセスであることから工業的には向かない。そこで特許文献2の如く、リジン脱炭酸酵素を用いた酵素反応等で得られた高純度の1,5ペンタメチレンジアミンを用いることや、特許文献3の如く特定の重合方法を採用するなどの工夫により、加熱重合法によっても高融点でかつ実用的な重合度を有するポリアミド56を製造することに成功している。該ポリアミド56は、優れた溶融貯留安定性に加え、紡糸、延伸により高い力学特性を付与することが可能であり、繊維材料として高いポテンシャルを有している。
繊維材料としては、例えば透明性に優れ、高強度であるポリアミド56からなるフィラメントが開示されている(特許文献4)。該特許文献には、具体例として釣り糸等に好適なモノフィラメントが開示されているが、親水性の良さに着目した補強材料としての提示はなく、チョップドファイバーについても記載されていない。
また、同様にポリアミド56からなる捲縮フィラメントとしてBCF(Bulked・Continuous・Filament)が開示されている(特許文献5、特許文献6)。しかしながら、該特許文献もチョップドファイバーについての記載はない。
特開2004−217486号公報(特許請求の範囲、[0023]) 特開2003−292612号公報(特許請求の範囲、[0045]) 特開2004−075932号公報(特許請求の範囲、[0034]) 特開2006−144163号公報(特許請求の範囲) 特開2007−84936号公報(特許請求の範囲、[0031]) 特開2009−179899号公報(特許請求の範囲)
ASPO(The Assosiation for the Study of Peak Oil) J.Polym.Sci.2,306(1947) J.Polym.Sci.50,87(1961) Macromolecules,30,8540(1998)
本発明の課題は、親水性、柔軟性に優れ、かつ高い力学特性を有するチョップドファイバーを提供することである。さらに詳しくは、該チョップドファイバーをコンクリートやモルタル、プラスチック等に均一に分散・配合させることで、耐摩耗性や力学特性に優れた構造材を提供することである。
本発明者らが親水性や柔軟性に優れ、かつ高い力学特性を有するチョップドファイバーを得るために鋭意検討した結果、硫酸相対粘度が特定の範囲にあり、かつ温度25℃、相対湿度90%での含水率が高いポリアミド56のチョップドファイバーを形成し、更に該ファイバーをコンクリートやモルタルの補強材として配合させることで該ファイバーが容易に均一分散するため、これら構造材の性能を大幅に改善することに成功したのである。
すなわち本発明は、硫酸相対粘度が2.0〜5.0であるポリアミド56からなるチョップドファイバーであって、温度25℃、相対湿度90%での含水率が7重量%以上であることを特徴とするチョップドファイバーによって達成されるものである。
本発明のチョップドファイバーは、特には非石油系由来のモノマーを用いて合成されたポリアミド56からなる。すなわち、炭酸ガス排出量の少ない環境配慮型の素材である。また、親水性、柔軟性に優れ、かつ強度に代表される力学特性にも優れたチョップドファイバーであることから、主としてコンクリートやモルタル等の補強材に好適に用いることができる。さらにはポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル等の汎用プラスチックに配合させることによっても、耐摩耗性や力学特性を大幅に改善させることができ、産業資材用途に広く利用可能な構造材を提供することができる。
本発明のチョップドファイバーは、繰り返し単位の90モル%以上がペンタメチレンアジパミド単位で構成されたポリアミド56を含有することが必要である。ここで、ペンタメチレンアジパミド単位とは、1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸とから構成される構造単位である。本発明の効果を損なわない範囲において、10モル%未満の他の共重合成分を含んでもよいが、ペンタメチレンアジパミド単位が高いほど分子鎖の規則性が高まり、製糸工程で配向結晶化し易くなり、強度や耐摩耗性、耐熱性に優れた繊維となるので、好ましい。
また、本発明のチョップドファイバーを含有する構造材は、ポリアミド6やポリアミド66からなるチョップドファイバーを配合した場合に比較して、コンクリートやモルタルとの馴染みが極めてよい。ここで、親水性を高くするためにペンタメチレンアジパミド単位は高い方が好ましく、95モル%以上であることが好ましく、97モル%以上であることがさらに好ましく、99モル%以上であることが一層好ましい。
本発明のチョップドファイバーは、分子量の指標である硫酸相対粘度が2.0〜5.0であることが必要である。分子量を示す硫酸相対粘度を、2.0以上にすることで紡糸時の分子配向性が良好になり、補強材に適用可能な強度や耐摩耗性を示す。また硫酸相対粘度を5.0以下にすることによって、極めて高い強度とその用途における操業性とを両立させることが可能になる。なお、硫酸相対粘度を5.0を越えるレベルまで高くしても、強度や耐摩耗性等の特性は頭打ち傾向になり、コストパフォーマンスが低下する。よって、紡糸操業性や糸の均質性、強度、耐摩耗性とのバランスから、硫酸相対粘度は2.5〜4.5が好ましく、3.0〜4.0がさらに好ましい。
さらに、本発明のチョップドファイバーは分子量分布が狭いことが好ましい。分子量分布は簡易的には重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比である分散度(Mw/Mn)によって表すことができる。この値が小さいほど、分子量分布が狭いことを指す。この分子量分布は重合時に使用するモノマーの純度、特定の不純物の有無、重合時の仕込量、重合温度や時間等、厳密な重合を行うことで達成することが可能になる。重合方法の詳細については後述する。また、紡糸工程においても分子量分布は拡大する方向に変動することから、紡糸条件の適正化も必要となる。本発明のチョップドファイバーは、分散度(Mw/Mn)が1.5〜4.0であることが好ましい。分散度(Mw/Mn)は低い方が強度に優れ、かつ糸長手方向の線経斑が小さく繊維内部構造(結晶、非晶の量や配向の程度)の斑が小さくなり、極めて均質性の高いチョップドファイバーとなる。このような均質性の高い繊維が得られる理由として、分散度が小さい、すなわち分子鎖長の分布を小さくすることで、それぞれの分子鎖における相互作用を及ぼしあう分子鎖の本数や相互作用力(物理的絡み合い力、水素結合力、ファンデルワールス力など)の斑が小さくなり、製糸工程においてそれぞれの分子鎖に均等に張力が掛かるため、非晶相の分子鎖が均一に配向されて結晶生成も安定するためと考えられる。特にポリアミド56は比較的非晶相がルーズになりやすく、かつアミド結合の単位重量当たりの数が多いために吸湿して水の影響を受けやすいため、製糸工程で均一に分子鎖を配向させることが難しい。そのため分散度の低い分子量分布であることが好ましいのである。Mw/Mnは3.0以下がより好ましく、2.5以下がさらに好ましい。また、我々の検討では1.5が製造上の限界に近いレベルである。
また、本発明のチョップドファイバーは、温度25℃、相対湿度90%での含水率が7重量%以上であることが必要である。含水率を高くすることで、コンクリートやモルタル中でのチョップドファイバーの分散性を高めることができ、コンクリート構造材等の亀裂を抑制し、強度を高めることができるのである。さらに高い含水率を示すポリアミド56は、極めて低い弾性率を示すため、コンクリート構造材の強度や耐摩耗性に異方性を生じることがなく、均一性が高い耐久性を与えることが容易である。
この様に、親水性に優れたチョップドファイバーを含有させることで、極めて耐久性に優れた構造材を得ることが可能になるのである。温度25℃、相対湿度90%での含水率は7.5重量%以上が好ましく、8.0重量%以上がより好ましい。なお、含水率7.0重量%は、後述する様にポリアミド56からなる繊維であり、かつ紡糸、延伸工程での分子配向(非晶部の構造)を制御することで達成できる。
また、本発明のチョップドファイバーは沸騰水収縮率が1〜10%であることが好ましい。沸騰水収縮率は、環境温度に対する寸法変化との相関性が高く、沸騰水収縮率が低いほど、寸法安定性に優れている。コンクリートやモルタル材等は、使用環境として−50℃〜50℃と広範囲な温度変化に耐えねばならず、中東の砂漠地帯では放射光により80℃を越える環境にもなりうる。この様に、コンクリート構造材等の補強材としては温度に対する寸法変化が小さいことが必要とされ、この値を10%以下にすることで、良好な寸法安定性を得ることができる。より好ましくは1〜7%、さらに好ましくは1〜4%である。
また、本発明のチョップドファイバーは後述する10%伸長回復率が80%以上であることが好ましい。伸長回復率は、繊維に0.18cN/dtexの荷重をかけた状態で糸を固定(原長)し、この状態から10%伸長・回復させたときの回復率を示すものであり、この値が高いほどコンクリートの繰り返し変形に対する追随性が高く、優れた長期耐久性を示す。よって、10%伸長回復率は82%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
また、本発明のチョップドファイバーはアミノ末端基濃度が25〜100eq/tonであることが好ましい。アミノ末端基濃度は高い方が親水性に優れるが、一方でアミノ末端基濃度が高いと製造時の耐熱性が低下してしまう。また、ポリアミド56の黄変により製品の品位が低下するという問題も生じる。よって、より好ましいアミノ末端基濃度は30〜90eq/ton、さらに好ましくは35〜80eq/tonである。
本発明のチョップドファイバーは、繊度が0.5〜30dtexであることが好ましい。繊度によりその繊維の比表面積と、曲げに対する剛性を制御するが、繊度を30dtex以下にすることで比表面積が大きくなり、コンクリートとの良好な界面接着性を与えて補強材としての機能を最大限発揮する。一方で、繊度が小さいと繊維剛性が小さくなり、チョップドファイバーを均一分散させることが困難になる。よって、チョップドファイバーを構造材中に均一に分散させ、補強材の効果を発揮させるためのより好ましい繊度は1〜20dtex、さらに好ましい繊度は2〜15dtexである。
また、チョップドファイバーの繊維長は補強材としての効果を発揮する上で0.3〜30mmであることが好ましい。繊維長が長いと繊維を構造材に均一に分散させることが難しい。そのため繊維を均一に分散させ、補強材としての効果を十分に発揮するためのより好ましい繊維長は0.3〜20mm、さらに好ましくは0.3〜10mmである。また、繊維長は全て揃っている必要はなく、バリアブルカッター等により繊維長の中央値から±50%程度の範囲でカットすることも好ましい。例えば、繊維長の中央値が5mmの場合には2.5〜7.5mmの範囲でカットすればよい。また、チョップドファイバーには必要に応じて捲縮をかけてもよい。
また、本発明のチョップドファイバーは強度が4cN/dtexであることが好ましい。強度が4cN/dtex以上であれば補強材としての効果を有する。より好ましい強度は5cN/dtex以上、さらに好ましくは6cN/dtex以上である。強度は高いほど好ましいが、極限的に高倍率で延伸しても12cN/dtexが限界である。また、高倍率延伸に伴い操業性が低下する傾向にあることから、伸度を10〜70%にすることが好ましい。より好ましい伸度は20〜60%であり、さらに好ましい伸度は30〜50%である。
本発明のチョップドファイバーは耐熱性の指標となる融点が高いことが好ましい。融点は240℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。また繊維の溶融に要する熱量の指標である融解熱量も高いことが好ましく、50J/g以上であることが好ましく、60J/g以上であることがより好ましい。融点および融解熱量が高いことで、プラスチック材料に本発明のチョップドファイバーを含有させた場合により高い補強効果を発揮する。なお、前記の融点とは、後述するDSCでの結晶融解のピーク温度を指す。
本発明のチョップドファイバーは単繊維の横断面形状が、丸型、Y型、多葉型、多角形型、扁平型、中空型、田型などの多種多様の断面形状を取ることができるが、より強度が高く、構造材に含有させた際の繊維の分散性に優れた形態として、丸型または扁平型が好ましく、丸型が最も好ましい。またそれぞれの単繊維の断面形状は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
本発明のチョップドファイバーは、本発明の目的効果を損なわない範囲で他のポリマーとアロイ化したアロイ繊維であってもよいが、より強度を高くするためにはポリアミド56単独成分を含有するチョップドファイバーであることが好ましい。以下にアロイ化することができる他のポリマーを例示する。
例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸など)、ポリアミド(ポリアミド6等のポリアミドmであり繰返単位の炭素数mが4〜12のもの、ポリアミド66等のポリアミドmnであり繰返単位の炭素数mが4〜12、炭素数nが4〜12のものなど)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレングリコールなどを挙げることができ、ホモポリマーや共重合ポリマー(下記に共重合成分として例示した成分を含む上記ポリマー)など適宜選択できる。
また本発明のチョップドファイバーは、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキノン系化合物、チアゾール系化合物や、フェニルホスホン酸などのリン系化合物、2−メルカプトベンズイミダゾールなどのイミダゾール系化合物、およびこれらの置換体、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物、等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、光沢改善剤(酸化チタン、炭酸カルシウム等)、染料(ニグロシン、アニリンブラック等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)を少量含んでもよい。
また本発明のポリアミド56は、1,5−ペンタメチレンジアミンや、アジピン酸以外に、本発明の目的を損なわない範囲で他の化合物が共重合されたものであってもよく、例えば下記の成分から誘導される構造単位を含んでいてもよい。
例えば脂肪族カルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸など)、脂環式ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸、など)から誘導される構造単位を含むことができる。
またエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)メタンのような脂環式ジアミン、キシリレンジアミンのような芳香族ジアミンなどにから誘導される構造単位を含むことができる。
ジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシビフェニル、ナフタレンジオール、アントラセンジオール、フェナントレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールS、といった芳香族、脂肪族、脂環族ジオール化合物から誘導される構造単位を含むことができる。
また、1つの化合物に水酸基とカルボン酸とを有するヒドロキシカルボン酸も挙げられ、例えば乳酸、3−ヒドロキシプロピオネート、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシブチレートバリレート、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシアントラセンカルボン酸、ヒドロキシフェナントレンカルボン酸、(ヒドロキシフェニル)ビニルカルボン酸といった芳香族、脂肪族、脂環族のヒドロキシカルボン酸から誘導される構造単位を含むことができる。
また6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタムから誘導される構造単位を含むことができる。
本発明のチョップドファイバーは、優れた親水性と力学特性、耐熱性、耐摩耗性と柔軟性、伸縮性を有するため、多種多様な構造材の補強材として用いることができる。例えばコンクリートやモルタル等の補強材、さらにはポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリカーボネート、ポリアセタール等の汎用プラスチックやゴムに配合させることによっても、耐摩耗性や力学特性を大幅に改善させることができ、産業資材用途に広く利用可能である。
本発明のチョップドファイバーは、その製造工程において第1にモノマー合成工程、第2に重合工程、第3に製糸工程(紡糸工程、延伸工程)、第4にカット工程に分類され、それぞれの工程で特定の製造方法を採用することが好ましい。本発明のチョップドファイバーの構成要件である硫酸相対粘度や、好ましい構成要件であるアミノ末端基濃度25〜100eq/tonを達成するには、特に重合工程での製造方法が重要である。以下にモノマー合成工程から順に、好ましい態様について説明する。
ここで、モノマー合成工程において、1,5−ペンタメチレンジアミンは、グルコースやリジンなどのバイオマス由来の化合物から、酵素反応や、酵母反応、発酵反応などによって合成されることが好ましい。上記の方法によれば、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンやピペリジンといった化合物の含有量が少なく、高純度の1,5−ペンタメチレンジアミンを調整できるため、溶融貯留安定性の高いポリアミド56樹脂となるため、溶融紡糸工程での分子量低下が抑制され、Mw/Mnの変化が小さいため好ましい。また、バイオマス由来の材料であるから、環境適応性にも優れるというメリットもある。具体的には、特開2002−223771号公報、特開2004−000114号公報、特開2004−208646号公報、特開2004−290091号公報や、特開2004−298034号公報、特開2002−223770号公報、特開2004−222569号公報、等に開示された1,5−ペンタメチレンジアミン、あるいは1,5−ペンタンジアミン・塩酸塩、1,5−ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩を用いて重合されたポリアミド56であることが好ましく、より純度の高い原料を得やすいことから、1,5−ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩を用いて重合されることが好ましい。また、アジピン酸や他のジアミン成分、ジカルボン酸成分については従来公知の方法で製造されたものを用いればよい。
なお、本発明のチョップドファイバー及びそれを含有する構造材がバイオマス由来の化合物から合成されたものか否かを判定する方法として、C14(放射性炭素)年代測定の原理に基づいたASTM D6866がある。具体的には、試料(ポリマー)を乾燥して水分を除去した後、秤量し、該試料を燃焼させて発生したCOを化学操作を経て吸着剤に吸着させ、液体シンチレーションカウンターにて測定する方法、燃焼させて発生したCOをカーボングラファイトにした後、加速器質量分析計で測定する方法、燃焼させて発生したCOからベンゼンを合成し、液体シンチレーションカウンターにて測定する方法、等によって試料中のバイオマス比率の濃度を特定することができる。
次に本発明のチョップドファイバーに用いられるポリアミド56樹脂の重合方法について説明する。ポリアミドの重合方法としては、加熱重合法や界面重合法が知られているが、加熱重合法によって製造することが好ましい。界面重合法等の方法では工程が複雑となり、工業的な製造プロセスを実現することは極めて困難である。本発明の加熱重合法とは、原料となるジアミンとアジピン酸とを含む水溶液を加熱して脱水縮合せしめることで、ポリアミド56樹脂を得る重合方法である。
そして本発明の加熱重合法の好ましい例として、原料調整工程(原料を含む水溶液を調整して重合缶内に投入する)、濃縮工程(重合系内を微加圧状態に維持しながら加熱し、水溶液中の水を揮発させて原料を濃縮する)、昇圧工程(重合系内を密閉系とし、原料を含む水溶液を加熱して水蒸気を発生させることで、制圧工程での所望圧力へ昇圧する)と、制圧工程(重合系内を一定の加圧状態に維持しながら加熱し、プレポリマーを生成させる)と、放圧工程(放圧して常圧に戻す、重合系内の温度をプレポリマーの融点以上に上昇させる)と、減圧工程(生成ポリマーの融点以上に加熱し、減圧下に保持して重縮合を進行させる)と、吐出工程(不活性ガスを重合缶内に注入して生成ポリマーを吐出させる)を含む。
本発明者らが検討を進めた結果、従来公知の加熱重合法ではアミノ末端基濃度の高いポリアミド56樹脂を得ることは難しいことがわかった。この原因の一つとして、ポリアミド56樹脂の原料である1,5−ペンタメチレンジアミン(沸点:180℃)が、従来のポリアミド66の原料である1,6−ヘキサメチレンジアミン(沸点200℃)と比べて沸点が低く、加熱重合の温度で揮発し易いため、これにより重合後期において重合缶内のアミノ末端基とカルボキシル末端基のモルバランスが崩れ易く、アミノ末端基の高いポリアミド56樹脂を得るのが難しい。
そこで重合開始時にアジピン酸に対して、1,5−ペンタメチレンジアミンを過剰に仕込んで加熱重合で揮発する1,5−ペンタメチレンジアミンを補うことや、加熱重合の到達温度、重合時間等を特定の範囲として、加熱重合における1,5−ペンタメチレンジアミンの揮発を抑えることを検討したが、これらの処方のみではアミノ末端基濃度を調整する事は困難であることがわかった。
そこで1,5−ペンタメチレンジアミンの揮発を抑制する方法について鋭意検討した結果、揮発の原因は1,5−ペンタメチレンジアミンが低沸点である他、1,5−ペンタメチレンジアミンの親水性が高いため、水の蒸発とともに1,5−ペンタメチレンジアミンも揮発しやすいことがわかった。そのため、重合反応が殆ど進行していない重合初期段階から水溶液を高温にすると、水の蒸発と共に1,5−ペンタメチレンジアミンが揮発しやすくなることがわかった。具体的には、重合初期段階から液温が150℃を超える状態になると、1,5−ペンタメチレンジアミンの揮発が促進する傾向にある。
そこで、原料調整工程における水溶液の濃度を55〜85重量%に調整し、濃縮工程における水溶液の温度を100〜150℃とし、水溶液の濃度を80〜95重量%まで濃縮した後、昇圧工程に移行させ、ポリアミド56樹脂を製造することで、重合工程における1,5−ペンタメチレンジアミンの揮発を抑えることが可能となり、アミノ末端基濃度を制御することが可能となった。
原料調整工程における水溶液の濃度を55重量%以上にすることで、後の濃縮工程で蒸発する水が少なくなり、1,5−ペンタメチレンジアミンの揮発量を低減できるため好ましい。ここで水溶液の濃度とは、原料モノマーの総重量を水溶液の重量で除して100倍した値である。一方で85重量%以下にすることで、水溶液が流れる配管の温度を適度な範囲に抑えることができ、配管の耐熱性、エネルギー消費の観点から好ましい。より好ましい水溶液の濃度は60〜82重量%、さらに好ましくは65〜80重量%である。
なお、ポリアミド66の原料である1,6−ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸からなる塩は、水への溶解度があまり高くないため、高濃度にすると塩が再結晶化して析出することが知られている。そのため、水溶液中の塩の濃度は50重量%程度に調整する必要があった。さらには、50重量%以下であっても水溶液の温度が低いと再結晶化し易いため、配管ラインを積極性に加熱・保温するなどの対策が必要であった。このため原料調整工程において塩の水溶液濃度を高めることは技術的に困難である。それに対し、ポリアミド56の原料である1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸との塩は、水に対する溶解度が極めて高い塩であるため、ポリアミド66樹脂の原料である1,6−ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩の50重量%水溶液は、液温が40℃を下ると再結晶化が開始するのに対し、1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩の50重量%水溶液は、液温5℃でも再結晶化は起こらず、均一な溶解状態が保たれることがわかった。そのため、予め高濃度な原料水溶液を調整することができ、1,5−ペンタメチレンジアミンを殆ど揮発させずに高濃度化できることを見出したのである。
次に、原料調整工程での水溶液温度が10〜50℃の範囲であると、1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸との塩の水への溶解度が高まり、かつ配管ラインの保温に要するエネルギー消費量が抑えられるため好ましい。より好ましくは20〜40℃である。

本発明の好ましい加熱重合法は、原料調整工程後に水溶液を濃縮する工程(濃縮工程)を経るが、該濃縮工程において水溶液の濃度を80〜95重量%に濃縮してから、昇圧工程へ供することが肝要である。水溶液の濃度を80重量%以上とすることで、重合工程における1,5−ペンタメチレンジアミンの揮発量が抑えられるため好ましい。一方で水溶液の濃度が95重量%以下にすることで、制圧工程においてプレポリマーが生成され易くなるため好ましい。よって、濃縮工程終了時の水溶液の濃度は83〜93重量%であることがより好ましく、85〜90重量%であることがさらに好ましい。このとき水溶液の温度を150℃以下に保つことが好ましく、該温度範囲で濃縮することで、1,5−ペンタメチレンジアミンの揮発を抑えながら、水を積極的に蒸発させることが可能となる。より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは130℃以下、特に好ましくは100〜120℃である。また同様の理由により、重合缶内の圧力(ゲージ圧)を0.05〜0.5MPaに保持するように重合缶のバルブを調整することが好ましく、0.1〜0.4MPaに保つことがより好ましい。濃縮時間は水溶液の濃度が上記範囲になるように適宜選択すればよいが、概ね0.5〜時間であることが好ましい。
上述した好ましい加熱重合方法においては、重合缶に仕込む塩の水溶液濃度が高いため、揮発する水の絶対量が少なく、かつ濃縮工程において比較的低温、かつ微加圧で水溶液を濃縮しているため、重合工程で揮発する1,5−ペンタメチレンジアミンの量を大幅に低減することができる。これにより得られるポリアミド56樹脂中のアミノ末端基濃度、ならびにアミノ末端基とカルボキシル末端基の濃度比を制御することが可能となる。上記の要件を満たす加熱重合法において、原料調整工程で水溶液中に存在する1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸とのモル比は0.95〜1.05の範囲で調整せしめることが好ましく、さらに制圧工程、放圧工程、減圧工程における缶内の温度、圧力、処理時間を調整することでもポリマー中のアミノ末端基濃度を制御することができる。また、必要に応じて他のアミン化合物やカルボン酸化合物を末端封鎖剤として用いる方法や、共重合成分として末端基を調整する方法も採用できる。そして加熱重合が完了するまでのいずれかの段階で酸化防止剤や耐熱安定剤を添加することで、重合缶内での重合反応が進行し易くなり、アミノ末端基とカルボキシル末端基の濃度バランスがとれた耐熱性に優れるポリアミド56樹脂が得られる。
重合工程における上記以外の工程については、例えば特開2003−292612号公報、特開2004−075932号公報等に記載の公知の方法を採用することができるが、より具体的に好ましい製造方法を以下に説明する。
昇圧工程では重合系内を密閉系とし、水溶液を加熱して水蒸気を発生させ、後工程の制圧工程で所望圧力へ昇圧することが好ましい。昇圧に要する時間は0.1〜2時間の範囲が好ましい。これにより重合缶内の温度を均一に高められ、1,5−ペンタメチレンジアミンの環化反応も抑制でき好ましい。
制圧工程では重合系内を加熱して加圧状態を維持しながらプレポリマーを生成させることが好ましい。このときの缶内圧力(ゲージ圧)は1〜2MPaとすることで、1,5−ペンタメチレンジアミンの揮発が抑えられると共に、プレポリマーが形成され易くなるため好ましい。缶内圧力は外界と繋がるバルブの開閉度合いを調整する等の手法によって調整すればよい。また缶内温度は180〜280℃とすることが好ましく、200〜270℃とすることがより好ましい。
放圧工程では重合缶内を常圧に戻し、缶内温度をプレポリマーの融点以上にすることが好ましい。放圧に要する時間は0.1〜3時間の範囲に調整し、未反応で残存する1,5−ペンタメチレンジジアミンが揮発し難くすることが好ましい。より好ましくは0.2〜2時間であり、さらに好ましくは0.3〜1時間である。そして前記時間で重合缶内の温度をプレポリマーの融点以上まで上昇させることが好ましく、具体的には220〜270℃とすることが好ましい。より好ましくは230〜260℃である。
減圧工程では、重合缶内の温度を生成ポリマーの融点以上に加熱することで重縮合が進行する。一方で適度な温度に抑制することでポリマーの熱分解が抑えられるため、重合缶内の温度は240〜300℃とすることが好ましい。
また、重合缶内の圧力を低くすることで重縮合で発生した水を系外へ除去でき、反応を進行させ易くなることから、重合缶内の圧力(ゲージ圧)は−5〜−50kPaの範囲で調整することが好ましい。
吐出工程においては、窒素等の不活性ガスを重合缶内に注入して重合缶内の圧力(ゲージ圧)を0.1〜2MPaに加圧し、ポリマーを吐出させればよい。吐出されたポリマーを水冷し、カットすることでペレット状のポリアミド56樹脂を得ることができる。
得られたポリアミド56樹脂は必要に応じて固相重合を施し、所望の重合度にする。固相重合する場合はペレット化されたポリアミド56樹脂を真空下、または窒素雰囲気下にて130〜220℃の温度範囲で1〜48時間処理することで、目標とする重合度の樹脂ペレットとすることができる。
次に、本発明の製糸およびカット方法について説明する。
上記の如く加熱重合法によって製造したポリアミド56樹脂を用い、特定の紡糸方法で未延伸糸を得、次に延伸を施した後にカットを施すことで本発明のチョップドファイバーを得ることができる。前述したように、ポリアミド56樹脂はその分子構造から、多くのアミノ末端基を含んでも溶融紡糸でゲル化が生じにくく、良好な紡糸性を示す。ポリアミド56がポリアミド66よりも溶融耐熱性が高い、すなわち溶融時にゲル化しにくい理由は、アミノ末端基が結合するメチレン鎖の炭素数が短いことが原因と考えられる。つまりポリアミド66においてはアミノ末端基が炭素数6のメチレン鎖に結合しているため、アミノ末端碁近傍の分子鎖が還化し易く、熱分解により還化物が遊離してゲル化を誘発するのに対し、ポリアミド56はメチレン鎖の炭素数が5であるため、立体障害によって還化しにくいと推定している。
ポリアミド56樹脂は、未乾燥の状態では水分を多く含むために加水分解しやすく、そのままでは溶融紡糸に供することができない。そこで、何らかの熱媒、若しくは真空下で加熱乾燥を行い、水分率を100〜1500ppm程度まで下げる必要がある。ポリアミド56は空気下で乾燥を行うと黄身を帯びやすいので、好ましくは窒素、若しくは真空下またはその組み合わせにて乾燥を行う事が好ましい。乾燥温度は前記水分率になるように適宜変更すればよい。乾燥後の水分率は200〜1300ppmが好ましく、300〜1100ppmにすることがより好ましい。ここで水分率とは、カールフィッシャー電量滴定法水分計を用い、180℃にて測定した値である。
次に、乾燥したペレットを紡糸工程にて繊維化する。繊維化に供するポリアミド56は前記した方法にて製造した硫酸相対粘度が2.0〜5.5のポリアミド56を用いる。ここで、硫酸相対粘度が3.5を越える高重合度のポリアミド56は、溶融紡糸によって加水分解が生じて重合度が0.5程度低下するため、チョップドファイバーとして所望の重合度よりもやや高めの重合度のペレットを用いる。なお、硫酸相対粘度が高いと溶融伸長時の応力が高くなって紡糸性が低下する傾向にある。また、繊維強度の点からは硫酸相対粘度が適度に高いことが好ましいため、紡糸に用いるポリアミド56の硫酸相対粘度は2.2〜5.0が好ましく、2.4〜4.5がより好ましい。次に、該ポリアミド56を、例えば図1に示す直接紡糸延伸装置(概略図)にて繊維化する。
まず、ホッパー1に投入されたポリアミド56ペレットをエクストルーダー2で溶融して押し出し紡糸ブロック4内に内蔵されたギヤポンプブロック3に溶融ポリマーを移送する。さらに紡糸ブロック4に内蔵された紡糸パック5に送り、パック内でポリマーを濾過した後、紡糸口金6から吐出して糸条8を得る。紡出された糸条8は環状の冷却チムニー7によって一旦冷却・固化された後、給油装置9で油剤を付与され、1対のストレッチロール11、11’にて引き取られた後、第1ホットロール12と第2ホットロール13の間で1段目の延伸を行い、引き続き、第2ホットロール13と第3ホットロール14の間で2段目の延伸を行う。なお、1段目及び2段目の延伸ゾーンには交絡ノズル10、および10’を各々設置することが操業性を向上させる上で好ましい。そして、2段目の延伸後にゴデットロール15を経て巻取機16で巻き取られ、繊維パッケージ17を得る。なお、繊維から昇華した低融点物を取り除くため、口金直下に吸引装置を設けてもよい。溶融紡糸を行うに際しての紡糸温度は、口金での吐出を安定させ、曳糸性を高めるためにポリアミド56の融点よりも20〜60℃高い温度で行うことが好ましく、25〜55℃高い温度で行うことがより好ましい。また、紡糸でのモノマー、オリゴマー析出を抑制し、紡糸性を向上させるために、必要に応じて口金下に2〜20cmの加熱筒やポリマ酸化劣化あるいは口金孔汚れ防止用の空気、スチーム、窒素などの不活性ガス発生装置を設置してもよい。
紡糸油剤はストレートで糸条に付着させてもよいが、より均一に付着させるために水に1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%分散させて水エマルジョン油剤として繊維に付着させることが好ましい。また、このときの糸条温度はポリアミド56のガラス転移点よりも低い温度であることが肝要である。この範囲内で紡糸油剤を付着させることで、給油装置との擦過抵抗を抑制できるため、曳糸性が飛躍的に向上する。紡糸油剤を付着させる位置での好ましい糸条温度は5〜40℃である。また、紡糸油剤は2段階で付着させてもよい。例えば、口金直下0.5〜2mの位置で一旦糸条を収束させるために濃度1〜20重量%の比較的低濃度の水エマルジョン油剤を付着させた後、交絡処理を行い、巻き取る前の任意の位置で濃度10〜50重量%の比較的中・高濃度の水エマルジョン油剤を付着させるのも好ましい。
紡糸油剤には、紡糸、延伸工程での擦過による毛羽の防止や、合糸での糸条の収束性の向上(タルミ等の発生の抑制)、カット工程での安定したカッティングを行うために、糸摩擦係数が低くマイグレーション効果に優れ、制電性能や油剤の膜強度が高いといった特性が要求される。例えば鉱物油、動植物油(例えばヤシ油、ナタネ油、オリーブ油など)、シリコーン油(例えばポリジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ポリエポキシシロキサン、アミノ変性シロキサンなど)、1価アルコールと1価カルボン酸とのエステル(例えばメチルオレート、ブチルステアレート、イソオクチルステアレート、イソオクチルオレート、ラウリルオレート、イソトリデシルステアレート、ヘキサデシルステアレート、イソステアリルオレート、オレイルラウレート、オレイルオレートなど)、多価アルコールと1価カルボン酸とのエステル(例えばジエチレングリコールジオレート、ヘキサメチレングリコールジオレート、ネオペンチルグリコールジラウレート、トリメチロールプロパントリカプリレート、グリセリントリオレート、ペンタエリスリトールテトラオレート、ビスフェノールAジラウレート、チオジプロパノールジラウレートなど)、多価カルボン酸と1価アルコールとのエステル(例えばジオレイルマレート、ジイソトリデシルアジペート、ジオレイルアジペート、ジオクチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルフタレート、トリオクチルトリメリテートなど)、アルキレンオキサイドを付加したアルコールとカルボン酸とのエステル(例えばエチレンオキサイドを2モル付加したドバノール23(三菱化学株式会社製の合成アルコール)とラウリン酸とのエステル、プロピレンオキサイドを2モル付加したイソトリデシルアルコールとラウリン酸とのエステル、エチレンオキサイドを2モル付加したドバノール23とアジピン酸とのジエステルなど)、アルキレンオキサイド共重合体およびその誘導体(例えばエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックもしくはランダム共重合体、該共重合体の両末端もしくは一方の末端がアルコールもしくはカルボン酸で封鎖された重合体など)、およびチオビスフェノール誘導体あるいは長鎖炭化水素類のチオエーテル類などが挙げられる。また、その他の成分としてイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、集束剤、防錆剤、防腐剤、酸化防止剤、糊特性向上剤、制電剤、pH低下防止剤、耐水剤を適宜添加すればよい。
また、紡糸油剤は繊維全体に対して純油分(水を除く)として0.2〜2.0重量%付着されていることが好ましい。油剤の付着量を0.2重量%にすることで、上記特性が効果的に発揮される。一方、油剤の付着量が2.0重量%を越えるとホットロールやカッター等の装置の汚れがひどくなる。より好ましくは0.3〜1.5重量%であり、さらに好ましくは0.4〜1.0重量%である。
交絡ノズルは図1に示す延伸ゾーンに設置してもよいし、紡糸線上や巻取機16前に設置してもよい。糸の集束性を高くしたい場合は糸条張力の低い弛緩ゾーン(例えば第3ホットロール14〜ゴデットロール15間)や巻取機16前に設置することが好ましい。
また、ストレッチロール11、11’の引取速度は、後工程である延伸性の向上および繊維の力学特性の向上のために300〜2000m/分であることが好ましい。より好ましくは400〜1500m/分、さらに好ましくは500〜1000m/分である。
延伸工程では、前記ストレッチロールと第1ホットロールとの間で0.3〜5%のストレッチをすることで延伸工程での糸揺れを防ぎ、操業性を安定させることが可能になる。第1ホットロール12〜第3ホットロール14間での総合延伸倍率は引取速度(ストレッチロール周速度)により異なるが、概ね2.5〜7倍程度である。また、第1ホットロール温度は40〜80℃、第2ホットロールは90〜150℃、第3ホットロールは150〜240℃の範囲で行うことで、所望のポリアミド56延伸糸を得ることができる。
また、本発明のチョップドファイバーにおいて、高い親水性(含水率)と柔軟性、伸縮特性を与えるために第3ホットロール14とゴデットロール15の間で弛緩熱処理をすることが好ましい。ポリアミド56繊維は、汎用のポリアミド6やポリアミド66よりも弾性率が低く柔軟性に優れるが、さらに非晶部の構造を制御することで親水性(含水率)と柔軟性を高くすることが可能になる。紡糸および延伸工程での非晶部の制御は、引取速度、延伸倍率、ホットロール温度(図1中では第2ホットロール、第3ホットロール)によってもある程度制御することが可能であるが、効果的には第3ホットロール14での熱処理温度と弛緩率によって非晶部の分子配向を制御し、親水性(含水率)と柔軟性を高めるものである。すなわち、第3ホットロール14の温度は前記した様に150〜240℃であることが好ましいが、該温度を150℃以上にすることで配向された非晶部の分子運動性を高め、効果的に分子配向の再構築を行うことで親水性(含水率)を向上させることができる。また、該温度を240℃以下にすることで、過度な分子運動性を抑制し、繊維の糸長手方向の分子配向斑を抑制することができる。また、第3ホットロール14の温度は必ず第2ホットロール13の温度よりも低いことが好ましい。第3ホットロール14の温度は、より好ましくは160〜220℃、さらに好ましくは170〜200℃である。また、前記した第3ホットロール14と、ゴデットロール15の間の弛緩率は、3〜12%の範囲であれば糸条の走行安定性を保持しつつ良好なチョップドファイバー用の延伸糸とすることが可能であり、5〜10%であることがより好ましい。
また、本発明のチョップドファイバーに供するポリアミド56繊維は、パッケージに巻かれた後、繊維内部歪が緩和(収縮)するためサドル(耳立ち)が発生しやすい。これはポリアミド56の分子構造に由来するものと考えられる。ポリアミド56繊維の結晶構造はまだ明確になっていないものの、前記したとおり、紡糸線上、およびパッケージング後に吸湿して配向結晶化が生じる。そのため、紡糸後、容易に緩和収縮してサドルを形成するのである。
サドルを解消するためには、溶融紡糸し、巻き取るまでの間に繊維内部歪みを取り除く必要があるが、その方法としては弛緩状態で巻き取ることが有効である。弛緩状態、すなわちゴデットロール15よりも巻取速度を遅くして巻き取る。そのときの巻取張力(最終ゴデットロール15と巻取機16との間の張力)は、ゴデットロール15での逆巻きを防止するため、0.05cN/dtex以上にすることが好ましく、繊維内部構造の歪みを解放するため0.25cN/dtex以下にすることが好ましい。より好ましい巻取張力は0.07〜0.22cN/dtex、さらに好ましくは0.09〜0.2cN/dtexである。
また、ローラーベイルもしくはドライブロールがパッケージに接触している線長に対する荷重(パッケージに対する圧力に相当。以下、面圧と称する)は、6〜20kg/mの範囲にすることが好ましい。面圧を6kg/m以上にすることで、繊維パッケージに適度な硬度を与え、繊維パッケージ崩れやサドルを抑制することができる。また、面圧を20kg/m以下にすることで、繊維パッケージの潰れや、バルジを抑制することができる。より好ましい範囲は8〜16kg/mである。また、綾角は5〜10°の範囲にすることで、繊維パッケージ端面の糸落ちを抑制しつつ、高速解舒においても安定した解舒張力が得られるとともに、端面部への糸崩れを抑制できる。より好ましくは5.5〜8°であり、さらに好ましくは5.8〜7°である。また、リボンを抑制するために綾角を変化させることが重要である。その手段として、綾角をある範囲(中心値±1.5°以内)で揺動させたり、ワインド比(スピンドル回転数とトラバース周期の比)一定で巻くことが好ましい。また、リボン発生帯領域で急激に綾角を変化させる方法も好ましく用いられ、これらの方法を組み合わせて行ってもよい。また、ポリアミド56は極めて曲げ剛性が低く、弾性体としての挙動が強いため、トラバース時における折り返しで、糸条を十分に追従させる工夫が必要となる。そのため、高速追従性の高い1軸〜3軸の羽根トラバース方式や、糸把持性の良好なマイクロカムトラバース、フリーレングスを短尺化できるスピンドルトラバースが好ましく用いられる。
巻取時の駆動方式は、ドライブローラーによる従動駆動が一般的であるが、スピンドル駆動方式や、さらに巻取機のローラーベイルを強制駆動する方法が好ましく用いられる。ローラーベイルを強制駆動する場合のパッケージ表面速度に対するローラーベイル速度は、常に0.05〜1%オーバーフィードする様に制御して弛緩巻取することにより、さらにパッケージフォームを良好にすることができる。
このようにして得られたポリアミド56繊維からなるマルチフィラメントを、単独又は合糸してトウ状にし、カットすればよい。トウ状にする場合にはその総繊度が10万〜1000万dtexに調整する。設備の規模により適宜トウの繊度を調整すればよいが、カットの安定性を考えると好ましくは50万dtex以上である。この様にして、本発明のチョップドファイバーが製造される。
得られた本発明のチョップドファイバーは、構造材の主原料(コンクリート、モルタル、プラスチック)と調合する際、その用途に応じて適宜含有量を調整すればよい。例えばコンクリートにおいてはセメント、砂、砂利および水の配合量はセメント100重量部に対して砂100〜200重量部、砂利200〜400重量部、水30〜100重量部で使用されるが、このときのチョップドファイバーの量はコンクリート成分(水を除くセメント、砂、砂利)100重量部に対して0.3〜5重量部で添加することが好ましく、0.5〜3重量部がより好ましい。
以下、本発明を、実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
A.硫酸相対粘度(ηr)
試料(樹脂、繊維)0.25gを濃度98重量%の硫酸100mlに対して1gになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98重量%の硫酸のみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
B.Mw/Mn
試料(樹脂、繊維)を90℃の熱水で30分間洗浄した後、90℃で真空乾燥して水分率を1000ppmとし、ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解して測定溶液とした。これをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、PMMA換算で重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め、Mw/Mnを求めた。測定条件は下記の通りである。
・GPC装置:Waters510
・カラム:Shodex GPC HFIP−806Mを2本連結して使用
・溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール
・温度:30℃
・流速:0.5ml/分
・試料濃度:2mg/4ml
・濾過:0.45μm−DISMIC 13HP(東洋濾紙)
・注入量:100μl
・検出器:示差屈折計RI(Waters 410)
・スタンダード:PMMA(濃度:サンプル0.25mg/溶媒1ml)
・ 測定時間:62分
C.アミノ末端基濃度
試料(樹脂、繊維)1gを50mLのフェノール/エタノール混合溶液(フェノール/エタノール=80/20)に、30℃で振とう溶解させて溶液とし、この溶液を0.02Nの塩酸で中和滴定し、要した0.02N塩酸量を求めた。また、上記フェノール/エタノール混合溶媒(上記と同量)のみを0.02N塩酸で中和滴定し、要した0.02N塩酸の量を求めた。そしてその差から試料1tonあたりのアミノ末端基量を求めた。
D.融点および融解熱量
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、試料(樹脂、繊維)10mgを昇温速度16℃/分にて測定して得た示差熱量曲線において、吸熱側に極値を示すピークを融解ピークと判断し、極値を与える温度を融点(℃)とした。なお複数の極値が存在する場合は高温側の極値を融点とした。また融解ピークの面積から求められる熱容量の積算し(複数の融解ピークを有する場合には合算し)、融解熱量とした。
E.含水率
試料(チョップドファイバー)を約1g用意し、該試料を25℃で相対湿度90%の雰囲気下、恒温恒湿器(タバイ製エスペックPL−4SPH)にて24時間処理後の重量と、真空下にて180℃×24時間処理後(絶乾)での重量を測定し、その重量変化から次式で求めた。
含水率(%)=[(吸湿後の重量−絶乾時の重量)/絶乾時の重量]×100
F.繊度
カットする前のマルチフィラメントを検尺機を用いて全長5mの糸束を作り、重量を測定して2000倍することで総繊度を求めた。そして該総繊度を構成フィラメント数で割って繊度を求めた。
G.繊維長
チョップドファイバー中の任意の100本を取り出し、拡大鏡にて繊維長を測定し、その平均値を繊維長とした。また、繊維長が1mm未満の場合は顕微鏡を用いて繊維長を測定した。
H.強度、伸度
カットする前のマルチフィラメントを準備し、JIS L1013の化学繊維フィラメント糸試験方法(1995)に準じて測定した。なお、つかみ間隔は10mm、引張速度は10mm/分として荷重−伸長曲線を求めた。次に最大点を示す荷重値を繊度で除してそれを強度とし、最大点荷重時の伸びを初期試料長で除して伸度として、強度および伸度を求めた。なお、測定環境は温度20℃、相対湿度65%で実施した。
I.沸騰水収縮率
カットする前のマルチフィラメントを準備し、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気中に繊維パッケージを24時間以上保管した後、該雰囲気中下にて検尺機を用いてカセを作成して原長L0を測定し、次いで沸騰した水にて無荷重で15分間処理し、該カセを1昼夜風乾後、L1を測定して次式にて求めた。
沸騰水収縮率(%)=[(L0−L1)/L0)]×100(%)
L0:試料をカセ取りし、初荷重0.09cN/dtex下で測定した原長
L1:L0を測定したカセを荷重フリーの状態で沸騰水中で15分間処理し、 1昼夜風乾後、初荷重0.09cN/dtex下でのカセ長
J.10%伸長回復率
カットする前のマルチフィラメントをオリエンテック(株)社製TENSILON UCT−100を用い、つかみ間隔10mm、引張速度10mm/分でつかみ間隔の10%まで伸長させ、直ちに同速度で除重し、記録したヒステリシスカーブから伸長回復率を求めた。
伸長回復率(%)=(β/α)×100
α:10%伸長時の伸び
β:応力が初荷重と等しくなった点までの回復伸び
K.水分散性
チョップドファイバー20gを純水10リットルに投入し、ジェットアジターにて毎分2000回転で15分間攪拌した。この水分散液を巾0.8mm、長さ30mmのスリットが50本入ったろ過装置に投入、通水した。通水後のスリットを観察し、スリットに残っている繊維(繊維塊状)の数をカウントし、分散性を評価した。
[調整例1](リジン脱炭酸酵素の調整)
まずE.coli JM109株の培養を以下のように行った。まず、この菌株をLB培地5mlに1白金耳植菌し、30℃で24時間振とうして前培養を行った。次に、LB培地50mlを500mlの三角フラスコに入れ、予め115℃、10分間蒸気滅菌した。この培地に前培養した上記菌株を植え継ぎ、振幅30cmで、180rpmの条件下で、1N塩酸水溶液でpHを6.0に調整しながら、24時間培養した。こうして得られた菌体を集め、超音波破砕および遠心分離により無細胞抽出液を調製した。これらのリジン脱炭酸酵素活性の測定を定法にて行った(参考;左右田健次、味園春雄、生化学実験講座、vol.11上、P.179〜191(1976))。
リジンを基質とした場合、本来の主経路と考えられるリジンモノオキシゲナーゼ、リジンオキシダーゼおよびリジンムターゼによる転換が起こり得るので、この反応系を遮断する目的で75℃で5分間、E.coli JM109株の無細胞抽出液を加熱した。さらにこの無細胞抽出液を40%飽和および55%飽和硫酸アンモニウムにより分画した。この粗精製リジン脱炭酸酵素溶液を用い、リジンから1,5−ペンタメチレンジアミンの生成を行った。
[調整例2](1,5−ペンタメチレンジアミンの調整)
50mM リジン塩酸塩(和光純薬工業製)、0.1mM ピリドキサルリン酸(和光純薬工業製)、40mg/L−粗精製リジン脱炭酸酵素(参考例1で調製)となるように調製した水溶液を、0.1N塩酸水溶液でpH5.5〜6.5に維持しながら、48℃で36時間反応させ、1,5−ペンタメチレンジアミン塩酸塩を得た。この水溶液に水酸化ナトリウムを添加することによって1,5−ペンタメチレンジアミン塩酸塩を1,5−ペンタメチレンジアミンに変換し、クロロホルムで抽出して、減圧蒸留(1.33kPa、60℃)することにより、1,5−ペンタメチレンジアミンを得た。
[調整例3](1,5−ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩の60重量%水溶液の調製)
製造例2で製造した1,5−ペンタメチレンジアミン510gを水827g中に溶解した水溶液を、41℃のウォーターバスに浸して撹拌しているところに、アジピン酸(カーク製)を約5gずつ、中和点付近では約1gずつ添加していき、アジピン酸添加量に対する水溶液のpH変化を調べ、中和点を求めると、pH8.32であった。中和点でのアジピン酸添加量は730gであった。pHが8.32になるように1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩の60重量%水溶液(2067g)を調整した。
実施例1
調整例3で得た1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩の60重量%水溶液に、1,5−ペンタメチレンジアミンおよび水を加え、水溶液中に存在する1,5−ペンタメチレンジアミンのモル数と、アジピン酸とのモル数の比を1.004、水溶液中の原料の濃度を60重量%に調整し、予め窒素置換された熱媒加熱式の重合缶に仕込んだ。次いで缶内を窒素パージしながらジャケットを加熱して水溶液を濃縮した。このとき缶内温度を120℃、缶内圧力(ゲージ圧)を0.2MPaに制圧しながら、水溶液中の原料の濃度が88重量%になるまで濃縮した。缶内の水溶液の濃度は留出水量から判断した。引き続き、重合釜を密閉して270℃まで上昇させ、缶内圧力が1.7MPaに到達するまで昇圧した。さらに缶内圧力を1.7MPaで制圧し、缶内温度が250℃となるように調整した。その後、285℃まで上げ、60分間かけて徐々に大気圧まで放圧した。缶内圧力を−12kPaまで減圧し、所定の攪拌動力となったところで重合反応を停止した。最後に重合缶内を窒素で微加圧し、ポリマーを吐出せしめ、吐出ガットを水冷した後にカットしてポリアミド56樹脂のチップを得た。該ポリアミド56樹脂の硫酸相対粘度ηr:2.95であった。さらに該ポリアミド樹脂を回転式の乾燥機にて缶内温度が140℃になるように昇温速度30℃/時間で昇温後、次いで缶内温度170℃になるように昇温速度10℃/時間で昇温した。また、缶内温度100℃到達後から減圧を開始し、缶内圧力0.1kPaまで減圧した。170℃到達後、約3時間固相重合を行い、その後徐々に窒素を流して常圧に戻し、缶内温度80℃までチップを冷却した後、抜き出した。得られたポリアミド56樹脂の硫酸相対粘度ηr:3.8、Mw/Mn:2.35、アミノ末端基濃度:38eq/ton、 融点:254℃であった。次に、図1に示す直接紡糸延伸装置を用い、紡糸温度285℃、冷却風速35m/分(冷却風温度:21℃)、紡糸油剤付着量1.0重量%(15%水エマルジョンとし、繊維に対し6.7重量%付着)、ストレッチロール11、11’周速度700m/分、第1ホットロール12周速度707m/分、第2ホットロール13周速度2100m/分、第3ホットロール14周速度3850m/分、第1ホットロール温度80℃、第2ホットロール温度110℃、第3ホットロール温度200℃、ゴデットロール15周速度3600m/分(弛緩率6.5%)、巻取張力0.13cN/dtexにて巻き取り、2000デシテックス、300フィラメントの延伸糸パッケージを得た。また、交絡ノズル10、10’はそれぞれ圧空圧0.3MPa、0.4MPaとした。使用した紡糸口金は孔径0.30mm、孔深度0.90mm(L/D:3)、全面配列300孔、濾層フィルターは10μmカット不織布フィルターである。
該延伸糸パッケージは繊維巻量6kgでサドル、バルジ共に無く、強度:7.8cN/dtex、伸度:24%、沸騰水収縮率2.9%、10%伸長回復率88%であった。さらに該延伸糸を合計25本巻き取り、それぞれの延伸糸パッケージを10分割して合計250本の延伸糸パッケージを用意した。この延伸糸パッケージを同時に解除して250本を合糸し、得られた50万デシテックスのトウをカッターに通し、繊度6.7デシテックス、繊維長5mmのチョップドファイバーを得た。
得られたチョップドファイバーは表1に示すとおり、硫酸相対粘度ηr:3.7、Mw/Mn:2.38、アミノ末端基濃度:39eq/ton、 融点:254℃、融解熱量85J/g、温度25℃、相対湿度90%での含水率8.1重量%であった。該チョップドファイバーは水分散性に極めて優れており、濾過試験でのスリット上の繊維塊状物はゼロであった。また、該チョップドファイバーをポルトランドセメント2kg、6号珪砂2kg、水1kgに対して約40g含有させ、コンクリートミキサーにて10分間ブレンドした後、チョップドファイバーの分散性を目視で観察した結果、繊維ダマ(塊状物)は全く見られなかった。
比較例1
1,6−ヘキサメチレンジアミンのモル数とアジピン酸のモル数の比が1.004であり、水溶液中の原料の濃度が50重量%である水溶液を重合缶に仕込み、ジャケット温度280℃にて加熱を開始した。重合缶内の圧力(ゲージ圧)を1.47MPaに調整して缶内を270℃まで昇温し、次に缶内圧力を除々に放圧し、更に減圧した後に所定の攪拌動力に到達したところで重合反応を停止した。引き続き吐出したストランドを水冷し、カットしてポリアミド66樹脂を得た。
得られたポリアミド66樹脂を実施例1と同様にして固相重合し、硫酸相対粘度ηr:3.7、Mw/Mn:2.35、アミノ末端基濃度:37eq/ton、融点:265℃のポリアミド66樹脂を得た。該ポリアミド樹脂を用い、実施例1と同様にして繊度6.7デシテックス、繊維長5mmのチョップドファイバーを得た。評価結果を表1に示す。比較例1は実施例1と比較して水分散性に劣り、さらにセメント中においても繊維ダマ(塊状物)が多く散見され、分散性に劣るものであった。
比較例2
120リットルのステンレス製オートクレーブにε−カプロラクタム水溶液(15%含水)を40kg仕込み、缶内を窒素置換した後密閉し、缶内温度が255℃になるまで加熱した。このとき、内圧(ゲージ圧)が1.5MPaを超えないよう缶内圧力を調整し、撹拌しながら重合反応を進行させた。缶内温度が250℃に到達後に缶内圧力を徐々に大気圧まで放圧し、所定の攪拌動力に到達した時点で重合反応を停止した。重合缶内を窒素で微加圧してポリマーを吐出させてストランドとし、水冷後にカットしてポリアミド6樹脂を得た。さらに得られたポリアミド6樹脂を98℃の熱水により煮沸して10時間処理を行い、残留モノマーを除去した。
得られたポリアミド6樹脂を実施例1と同様にして固相重合し、硫酸相対粘度ηr:3.8、Mw/Mn:2.28、アミノ末端基濃度:41eq/ton、 融点:225℃であるポリアミド6樹脂を得た。該ポリアミド樹脂を用い、実施例1と同様にしてチョップドファイバーを得た。評価結果を表1に示す。比較例2は比較例1よりは水分散性は良いものの、セメント中で繊維ダマが散見され、分散性が悪いものであった。
Figure 2011168920
実施例2
ポリアミド56樹脂の重合工程において、攪拌動力の到達値を調整して重合反応を停止した以外は実施例1と同様にしてポリアミド56樹脂を得た。実施例2の硫酸相対粘度は2.15、Mw/Mn:1.8、アミノ末端基濃度:47eq/ton、融点:253℃であった。該ポリアミド樹脂を用い、実施例1と同様にしてチョップドファイバーを得た。評価結果を表1に示す。実施例2は実施例1よりも強度が劣るものであったが、それ以外の特性は実施例1と同様に良好であった。
実施例3
ポリアミド56樹脂の固相重合工程において、170℃到達後の処理時間を12時間とした以外は実施例1と同様にしてポリアミド56樹脂を得た。実施例3の硫酸相対粘度ηr:5.5、Mw/Mn:3.3、アミノ末端基濃度:26eq/ton、融点:254℃であった。該ポリアミド樹脂を用い、実施例1と同様にしてチョップドファイバーを得た。評価結果を表1に示す。実施例3は紡糸での糸切れがやや多かった。また、実施例1よりもやや水分散性が劣るものであったが、従来のポリアミド系(比較例1、比較例2)よりは優れた特性を示した。
比較例3
ポリアミド56樹脂の重合工程において、攪拌動力の到達値を調整して重合反応を停止した以外は実施例1と同様にしてポリアミド56樹脂を得た。比較例3の硫酸相対粘度ηr:1.95、Mw/Mn:1.8、アミノ末端基濃度:48eq/ton、融点:253℃であった。該ポリアミド樹脂を用いて直接紡糸延伸を行ったところ、得られた延伸糸の強度は3.6cN/dexと実施例1よりもかなり低いものであった。該延伸糸を用いてチョップドファイバーとした結果、水分散性は優れるものであった。
比較例4
ポリアミド56樹脂の固相重合工程において、170℃到達後の処理時間を15時間とした以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。比較例4の硫酸相対粘度ηr:6.0、Mw/Mn:3.5、アミノ末端基濃度:23eq/ton、融点:254℃であった。該ポリアミド樹脂を用い、実施例1と同様にして紡糸を行った結果、実施例3よりもさらに糸切れが多かった。また、実施例3よりもさらに水分散性が劣るものであった。
Figure 2011168920
実施例4
ゴデットロール周速度を3500m/分(弛緩率9.1%)とした以外は実施例3と同様にしてチョップドファイバーを得た。評価結果を表1に示す。実施例4は若干強度が低いものであったが、水分散性は良好であり、実用上の問題はないレベルであった。
比較例5
ゴデットロール周速度を3750m/分(弛緩率2.6%)とし、第3ホットロール温度を230℃とした以外は実施例3と同様にしてチョップドファイバーを得た。評価結果を表1に示す。比較例5は紡糸での糸切れが散発して紡糸性が極めて悪かった。また、得られたチョップドファイバーは含水率が6.8重量%と低いために水分散性が悪く、セメント中でも繊維ダマが多く、品位が悪いものであった。なお、含水率が低くなったのは非晶部の分子配向が過度に高くなり過ぎたためと考えられる。
実施例5
1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩の60重量%水溶液に、1,5−ペンタメチレンジアミンと水を加えて水溶液中に存在する1,5−ペンタメチレンジアミンのモル数と、アジピン酸のモル数との比を1.01に調整した以外は実施例1と同様にして重合および直接紡糸延伸、カットを行った。該ポリアミド56樹脂の硫酸相対粘度ηr:2.9、Mw/Mn:1.9、アミノ末端基濃度:95eq/ton、融点:254℃であった。実施例5の水準は、実施例1と比較してやや低強度であったが、水分散性は実施例1と同様に極めて優れたものであった。
Figure 2011168920
実施例6
紡糸口金を孔径0.18mm、孔深度0.72mm(L/D:4)、全面配列600孔とし、さらに吐出量、第3ホットロール速度、ゴデットロール速度を変更した以外は実施例1と同様にして500デシテックス、600フィラメントの延伸糸パッケージを得、引き続き実施例1と同様にしてチョップドファイバーを得た。実施例6の水準は実施例1対比で繊維剛性が低く、やや水分散性に劣るものであったが十分実用性のある特性を示した。
実施例7
紡糸口金を孔径0.50mm、孔深度1.0mm(L/D:2)、全面配列80孔とし、さらに吐出量、第3ホットロール速度、ゴデットロール速度を変更した以外は実施例1と同様にして2000デシテックス、80フィラメントの延伸糸パッケージを得、引き続き実施例1と同様にしてチョップドファイバーを得た。実施例6の水準は実施例1対比でコンクリート分散時の分散性が悪く、やや品位が低下するものの実用性は問題ないレベルであった。
比較例6
吐出量を変更した以外は実施例6と同様にして280デシテックス、600フィラメントの延伸糸パッケージを得、引き続き実施例1と同様にしてチョップドファイバーを得た。比較例6の水準はカッティング不良により未切断の繊維が発生したため、それを取り除いて評価を実施した。その結果、実施例6よりも水分散性が悪いものであった。
比較例7
紡糸口金を全面配列60孔とし、さらに吐出量を変更した以外は実施例7と同様にして2000デシテックス、60フィラメントの延伸糸パッケージを得、引き続き実施例7と同様にしてチョップドファイバーを得た。比較例7の水準は実施例7よりもさらにコンクリート分散時の分散性が悪いものであった。
Figure 2011168920
実施例8、実施例9
繊維長を各々15mm、25mmとした以外は実施例1と同様にしてチョップドファイバーを得た。繊維長15mmの実施例8は、実施例1と同様に優れた水分散性を示した。また、繊維長25mmの実施例9は実施例1対比でやや水分散性に劣るものであったが、十分な実用特性を示した。
比較例8
繊維長を40mmとした以外は実施例1と同様にしてチョップドファイバーを得た。比較例8は水分散性が悪く、コンクリート分散時の表面品位も悪いものであった。
Figure 2011168920
本発明で好ましく用いられる直接紡糸延伸機の概略図である。
1:ホッパー
2:エクストルーダー
3:ギヤポンプブロック
4:紡糸ブロック
5:紡糸パック
6:紡糸口金
7:冷却チムニー
8:糸条
9:給油装置
10、10’:交絡ノズル
11、11’:ストレッチロール
12:第1ホットロール
13:第2ホットロール
14:第3ホットロール
15:ゴデットロール
16:巻取機
17:繊維パッケージ(チーズ状パッケージ)

Claims (6)

  1. 硫酸相対粘度が2.0〜5.0であるポリアミド56からなるチョップドファイバーであって、温度25℃、相対湿度90%での含水率が7重量%以上であることを特徴とするチョップドファイバー。
  2. アミノ末端基濃度が25〜100eq/tonであることを特徴とする請求項1記載のチョップドファイバー。
  3. 繊度が0.5〜30dtex、繊維長が0.3〜30mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチョップドファイバー。
  4. 請求項1〜3に記載のポリアミド56がバイオ由来の化合物を用いて合成されたものであることを特徴とするチョップドファイバー。
  5. 請求項4に記載のバイオ由来の化合物がグルコースおよび/またはリジンであって、該化合物を酵素反応、酵母反応および発酵反応から選ばれる1つ以上の反応によって合成された1,5ペンタメチレンジアミンをジアミン成分として重合したポリアミド56を用いていることを特徴とするチョップドファイバー。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のチョップドファイバーを補強材として含有した構造材。
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