JP5262514B2 - ポリエステル複合繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、鞘成分が酸化チタンを含有するポリトリメチレンテレフタレートと、芯成分がポリ乳酸からなる芯鞘複合繊維に関するものである。
ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維と比較して、低ヤング率のためにソフト性に優れ、弾性回復性が高いためにストレッチ性に優れる等の特徴を有するとともに、実用的な力学特性、耐摩耗性、耐湿熱老化性や耐薬品性をも兼ね備えていることから、衣料用繊維、産業資材用繊維として有望な繊維である。
その一方、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は非晶部の経時脆化が著しいことから、溶融紡糸段階でのポリマーの均一性にシビアであり、高度な製糸技術を要する。ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、酸化チタンを含有せしめて溶融紡糸した場合、ポリエチレンテレフタレート繊維の場合と比較して、酸化チタンが凝集しやすく、紡糸工程におけるポリマーの配向結晶化に影響を及ぼしたり、吐出ポリマーが口金吐出孔周りに析出した酸化チタンと干渉したりするなど、吐出ポリマーの均一性を低下させ、毛羽等や原糸の品質バラツキの悪因となっている。また、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、メチレン鎖が屈曲構造を有すため、布帛とした際、ポリエチレンテレフタレート繊維に比べて、寸法安定性に乏しく、上記品質バラツキ等との複合要素にて品位低下を助長させてしまう。特に編物にした場合は、原糸品質に起因した布帛の形態バラツキが生じやすく、製品合格率を低下させ、また淡染染めなどの品位要求レベルの高い用途での商品化は困難であった。
均一性を向上させる手段の一つとして、ポリマーを製造する工程で酸化チタンの凝集を抑制する手段がある。例えば、予め溶剤の中に酸化チタンを十分に分散させると同時に、副生した酸化チタン凝集体を除去した分散液を、特定の条件下でポリトリメチレンテレフタレートの重合段階で添加することによって酸化チタンが微分散したポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物を得て、該ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物を溶融紡糸することにより、酸化チタンが微分散したポリトリメチレンテレフタレート繊維を生産性良く得ることが提案されている(特許文献1)。このように、樹脂組成物製造段階において酸化チタンの分散性を高め、酸化チタンの凝集を抑えることにより、ポリトリメチレンテレフタレート繊維単体では一定の効果がなされていた。
我々は、以前からポリトリメチレンテレフタレートを含んでなる複合繊維について提案してきた(特許文献2)。とりわけ、ポリトリメチレンテレフタレートを複合繊維の1成分とし、該成分が少なくとも繊維表面の一部を形成している複合繊維を溶融紡糸にて製造することで寸法安定性に優れたポリトリメチレンテレフタレート複合繊維を開発した。しかしながら、該複合繊維のポリトリメチレンテレフタレート成分中に酸化チタンを含有した場合、ポリトリメチレンテレフタレートを単一で溶融紡糸する場合と比較して、口金孔周りの酸化チタンの析出が極めて速く、原糸の品質バラツキや毛羽などの欠点を誘発しやすいことが判明した。さらにその傾向は、ポリ乳酸と組み合わせて溶融紡糸した場合に、増大し、鞘成分がポリトリメチレンテレフタレートからなり、芯成分がポリ乳酸からなる芯鞘複合とした場合に、さらにその傾向は増大することが分かった。
このように、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、複数の優れた特性を有す一方、品位、操業面で大きな課題を有しており、これら課題の克服が強く望まれていた。
WO00/26301号公報(特許請求の範囲、0004) 特開2005−187950号公報(特許請求の範囲)
本発明の課題は、鞘成分が酸化チタンを含有するポリトリメチレンテレフタレートと、芯成分がポリ乳酸からなる複合繊維において、ポリトリメチレンテレフタレート成分の経時変化、酸化チタンの凝集を同時に解決することで原糸の品質バラツキを抑制し、形態バラツキの小さい高品位な布帛を提供することにある。
鞘成分が酸化チタン0.01〜5重量%と、帯電防止剤0.01〜5重量%を含有するポリトリメチレンテレフタレートからなり、芯成分がポリ乳酸からなる芯鞘複合繊維で構成され、かつ芯成分の重量比率が10〜40重量%であり、マルチ3%モジュラスCV%と単糸3%モジュラスCV%が3%以下であることを特徴とする複合繊維によって達成することができる。
本発明によれば、鞘成分が酸化チタンを含有するポリトリメチレンテレフタレートと、芯成分がポリ乳酸からなる芯鞘複合繊維において、ポリトリメチレンテレフタレート成分の経時変化による脆化とポリ乳酸成分の延伸斑を抑制し、更にはポリトリメチレンテレフタレート成分中に帯電防止剤に含有することで、口金吐出孔周りの静電作用による酸化チタンの凝集を抑制し、原糸品質バラツキが小さく、形態バラツキの小さい高品位な布帛を得ることが出来る。
本発明は、鞘成分がポリトリメチレンテレフタレートからなり、芯成分がポリ乳酸からなる芯鞘複合繊維に関する。本発明の芯鞘複合繊維とは、芯成分の一部が繊維横断面の重心位置に配置していれば良く、例えば、丸形、楕円形、扁平形、ダルマ形、多角形、歯車形、花びら形、多葉形、星形、C形、Y形、T形、田形、中空形といった形状が挙げられる。このため、芯成分が偏心していても良く、芯成分の一部が繊維表面に露出していても良い。更には、丸形、楕円形、扁平形が好ましく、これらの形状は品質バラツキに大きな改善効果が得られる。
本発明の繊維とは細く長い形状を指し、長繊維(フィラメント)でも短繊維(ステープル、パイル)でもよく、未延伸糸、部分配向糸、延伸糸等の未捲縮糸、仮撚加工糸、BCF、機械捲縮糸等の捲縮糸、等を含むものである。
本発明のポリトリメチレンテレフタレートは、分子量の指標である固有粘度が0.8〜2dl/gであることが好ましい。ポリトリメチレンテレフタレートの分子量が高いほど、溶融紡糸における繊維の細化挙動が安定化し、糸切れが起こりにくくなるため好ましい。一方で分子量を適度な範囲に抑えることで、溶融した時の急激な分子量低下が抑えられ、紡糸パック、紡糸口金装置内での溶融流動が安定化し、複合形態の精度が向上するため好ましい。固有粘度は1〜1.8dl/gであることがより好ましく、1.2〜1.6dl/gであることがさらに好ましい。
本発明のポリトリメチレンテレフタレートは共重合体であっても良い。共重合成分を以下に例示する。
ジカルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、といった芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸およびそれらのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体を挙げることができ、これらジカルボン酸化合物のうち1種を単独で用いても良いし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシビフェニル、ナフタレンジオール、アントラセンジオール、フェナントレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールS、といった芳香族、脂肪族、脂環族ジオール化合物およびそれらのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体を挙げることができ、これらジオール化合物のうち1種を単独で用いてもよいし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、1つの化合物に水酸基とカルボン酸とを有するヒドロキシカルボン酸も挙げられ、例えば乳酸、3−ヒドロキシプロピオネート、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシブチレートバリレート、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシアントラセンカルボン酸、ヒドロキシフェナントレンカルボン酸、(ヒドロキシフェニル)ビニルカルボン酸といった芳香族、脂肪族、脂環族ジオール化合物およびそれらのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体を挙げることができ、これらヒドロキシカルボン酸のうち1種を単独で用いてもよいし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明は、鞘成分の酸化チタン0.01〜5重量%を含有するポリトリメチレンテレフタレート成分中に帯電防止剤0.01〜5重量%を含有する必要がある。詳細は後述にて説明するが、本発明は、上述の範囲の酸化チタンを含有するポリトリメチレンテレフタレートに、さらに帯電防止剤を含むことにより、酸化チタンの凝集を抑制することができ、バラツキの小さい原糸を得ることが出来る。
酸化チタンを0.01重量%以上含有することで、繊維の防透性、艶消し感(マット調)、弾発感を高められる。より好ましくは0.05重量%以上であり、更に好ましくは0.1重量%以上である。一方で帯電防止剤の添加量を適度な範囲に抑えられる点、また得られる繊維中に酸化チタン粗大粒子が形成され難く、得られる繊維の物性も良好となる点で、酸化チタンは5重量%以下であることが必要であり、好ましくは4重量%以下であり、さらに好ましくは3重量%以下である。
酸化チタンとしては従来公知の酸化チタンを用いることができ、例えば、アナターゼ型、ルチル型、およびブルカイト型の結晶形態の酸化チタンを単独もしくは、複数種併用して用いることができる。酸化チタンは結晶形態によって密度、屈折率、光反射および吸収特性等の特性が異なるため、目的および用途によって適宜使い分ければよい。またポリマー中での分散性や、光反射能等の性能制御のために、表面処理が施された酸化チタンを用いてもよい。
ポリトリメチレンテレフタレートに含有する酸化チタンは、紡糸性の面でより粒径の小さい酸化チタンを選択することが好ましく、平均1次粒径が0.01〜1μmであることが好ましく、0.05〜0.7μmであることがより好ましい。また5μmを越える粗大粒子を含まない酸化チタンを添加することが必要であり、さらには最大粒径が4μm以下であることが好ましく、最大粒径が3μm以下であることがより好ましく、最大粒径が2μm以下であることがさらに好ましい。
本発明者らが検討した結果、粒径の小さい酸化チタンを用いる方法によって繊維の原料となるポリトリメチレンテレフタレート中に微分散せしめたとしても、本発明の帯電防止剤を含まない酸化チタン含有ポリトリメチレンテレフタレートを鞘成分として溶融紡糸を行った場合、ポリトリメチレンテレフタレート単独で溶融紡糸を行う場合と比較して2〜10倍も口金孔周りが汚れる速度が速く、数時間で汚れが成長して経時的に糸切れの頻度が高くなることがわかった。そして口金孔周りの汚れをサンプリングし、汚れ物質の同定を試みた結果、該汚れ物質は酸化チタンが凝集して高濃度化された物質であることが判明した。また、得られた複合繊維中の酸化チタンを分析した結果、凝集した粗大酸化チタンが散見されることもわかった。
そこで本発明者らは、酸化チタンが凝集する原理を追求した。そしてポリトリメチレンテレフタレートの溶融流動によって生じるポリエステルと酸化チタンとの摩擦によって、それぞれが帯電すること、およびポリトリメチレンテレフタレートの酸化チタン分散能が低いことの複合要因によることを掴んだ。
すなわち溶融流動、特に口金吐出孔内のような高剪断がかかる流動場において酸化チタンを含有するポリトリメチレンテレフタレートが流動すると、ポリトリメチレンテレフタレートと、酸化チタンとの摩擦帯電により、酸化チタンがプラスに帯電し、ポリトリメチレンテレフタレートがマイナスに帯電する。ポリトリメチレンテレフタレートのマイナス電荷は口金孔壁を伝わって除電されるが、プラスに帯電した酸化チタンはそのままポリマー中に分散しているため、電気的に安定化すべく、口金孔壁へ引き寄せられて凝集することが分かった。このような現象は、ポリエチレンテレフタレートでも若干生じるが、ポリトリメチレンテレフタレートは特に進行が速い。これは、ポリトリメチレンテレフタレートは酸化チタン分散能が低いポリマーであることや、口金孔壁面との摩擦により帯電しやすいため、上述の原理により帯電した酸化チタンが凝集し易いものと推定している。
本発明の製造方法においては、ポリトリメチレンテレフタレート100重量%に対して、帯電防止剤を0.01〜5重量%含むことが必要である。帯電防止剤を0.01重量%以上含むことにより、酸化チタンの分散能がポリトリメチレンテレフタレート単独の繊維並、もしくはそれ以上となり、品質バラツキの小さい複合繊維を得ることができる。好ましくは0.02重量%以上であり、更に好ましくは0.03重量%以上である。一方で帯電防止剤が5重量%以下であることで曵糸性、配向結晶化を阻害することなく、得られる繊維物性が良好なものとなる。好ましくは4重量%以下であり、さらに好ましくは3重量%以下である。
本発明の帯電防止剤とは、酸化チタンを含有するポリトリメチレンテレフタレートにおいて、下記の(A)〜(G)の特性を有するもので、(A)〜(G)の特性に優れる点で、界面活性剤および/または親水性高分子が好ましい。界面活性剤および/または親水性高分子である。帯電防止剤の総重量が、ポリトリメチレンテレフタレート100重量%に対して0.01〜5重量%となる範囲で、1種または複数種を併用することができる。
(A)酸化チタンに接触または接近し、酸化チタンに働く摩擦力を低減して摩擦帯電を抑える。
(B)酸化チタンに接触または接近し、酸化チタンの帯電電荷を除電する。
(C)芯鞘複合界面に接触または接近し、界面に働く摩擦力を低減して摩擦帯電を抑える。
(D)芯鞘複合界面に接触または接近し、界面近傍の酸化チタン、またはポリマーの帯電電荷を除電する。
(E)口金孔壁面に接触または接近し、口金孔壁面近傍の酸化チタン、またはポリマーに働く摩擦力を低減して摩擦帯電を抑える。
(F)口金孔壁面に接触または接近し、口金孔壁面近傍の酸化チタン、またはポリマーの帯電電荷を除電する。
(G)酸化チタンの表面に凝集する、あるいは自身の中に酸化チタンを取り込み、ポリトリメチレンテレフタレート中での酸化チタンの分散性を高める。
界面活性剤とは、一つ分子の中に親水基(水との親和性が高い原子団)と疎水基(水との親和性が低い原子団)とを併せ持つものであり、親水基が電離してイオン(電荷をもつ原子団)となるイオン性界面活性剤と、イオン化しない非イオン(ノニオン)界面活性剤が挙げられる。またイオン性界面活性剤には、電離したときにマイナスイオンとなるアニオン界面活性剤、プラスイオンとなるカチオン界面活性剤、そして系のpHによってマイナスにもプラスにも電離する両性界面活性剤が挙げられ、本発明の界面活性剤にはこれら全てが該当し、これらの界面活性剤を1種単独で用いてもよいし、複数種併用してもよい。
本発明のアニオン界面活性剤としては、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型が挙げられる。
カルボン酸型としては、脂肪族カルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、等を挙げることができ、1分子中のカルボン酸基の数については限定されない。
またスルホン酸型としては、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリン、等を挙げることができる。1分子中のスルホン酸基の数については限定されない。ホルムアルデヒド縮合物の縮合度は1〜50であり、2〜20が好ましい。
また硫酸エステル型としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩、等を挙げることができる。1分子中の硫酸エステル基の数については限定されない。
またリン酸エステル型としては、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、等を挙げることができる。1分子中のリン酸基の数については限定されない。
アニオン界面活性剤の対イオンとしてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノ−ルアミンなど)を挙げることができる。
本発明の両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、イミダゾリン誘導型、グリシン型、アミンオキシド型が挙げられ、カルボキシベタイン型としては、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、等を挙げることができる。イミダゾリン誘導型としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチル・イミダゾリウムベタイン、等を挙げることができる。グリシン型としては、アルキル(またはジアルキル)ジエチレントリアミノ酢酸、等を挙げることができる。アミンオキシド型としては、アルキルアミンオキサイド、等を挙げることができる。
本発明のノニオン界面活性剤としては、エステル型、エーテル型、エステル・エーテル型、アルカノールアミド型が挙げられる。エステル型としては、グリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、等を挙げることができる。エーテル型としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、等を挙げることができる。エステル・エーテル型としては、脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、等を挙げることができる。アルカノールアミド型としては、脂肪酸アルカノールアミド、等を挙げることができる。
本発明のカチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩型、第4級アンモニウム塩型を挙げることができ、アルキルアミン塩型としては、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、等を挙げることができる。また第4級アンモニウム塩型としては、塩化(または臭化、よう化)トリメチルアンモニウム、塩化(または臭化、よう化)ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、等を挙げることができる。
これら界面活性剤は、低分子量化合物であっても高分子量化合物であってもよく、重量平均分子量100〜100,000の範囲で選択すればよい。
そして上述の(A)〜(G)に総合的に優れる点で、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤が好ましい。より好ましくはアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤が好ましい。アニオン界面活性剤は(B)、(D)、(F)の効果が高く、耐熱性が高く溶融紡糸の熱履歴によっても熱分解し難いため好ましい。またノニオン界面活性剤は(A)〜(G)の効果に加え、ポリトリメチレンテレフタレート中で均一分散し易いメリットがあるため好ましい。
アニオン界面活性剤の中では、スルホン酸型が好ましく、中でも直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましい。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、デシルベンゼンスルホン酸塩、ウンデシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、トリデシルベンゼンスルホン酸塩、テトラデシルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤の中では、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、脂肪酸ポリエチレングリコール、が好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては例えば三洋化成工業株式会社製、‘エマルミン’シリーズ、‘サンノニック’シリーズが挙げられる。またポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、三洋化成工業株式会社製、‘ニューボール’シリーズが挙げられる。脂肪酸ポリエチレングリコールとしては、三洋化成工業株式会社製、‘イオネット’シリーズ、エマルミン862が挙げられる。
本発明の親水性高分子としては、本発明のポリトリメチレンテレフタレートと比べて親水性の高い重合体であればよく、具体的には繰り返し単位として、アクリレート単位、メタクリレート単位、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール単位や、ポリアミド単位(ポリアミド6等のアミノカルボン酸から誘導されるポリアミド単位や、ポリアミド66等のポリアミンおよびポリカルボン酸から誘導されるポリアミド単位や、ポリアミド6−ポリアミド66共重合体等のアミノ酸、ポリアミン、およびポリカルボン酸から誘導されるポリアミド単位)を含む重合体であり、上記の繰り返し単位から選ばれる単一の繰り返し単位からなる重合体であっても、上記の繰り返し単位に加えて、他の繰り返し単位を含む共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体を含む)であってもよいが、共重合体である場合は、口金汚れ防止効果がより高く、ポリトリメチレンテレフタレート中での分散性も高い点で、ブロック共重合体、またはグラフト共重合体であることが好ましい。これらの親水性高分子は1種単独で用いてもよいし、複数種併用してもよい。
例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール、ポリアミドや、ポリ(エチレン−メチルアクリレート)共重合体、ポリ(エチレン−エチルアクリレート)共重合体、ポリ(エチレン−ブチルアクリレート)共重合体、ポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体、ポリ(ビニルアルコール−プロピレン)共重合体、ポリ(ビニルアルコール−スチレン)共重合体、ポリ(酢酸ビニル−エチレン)共重合体、ポリ(酢酸ビニル−プロピレン)共重合体、ポリ(酢酸ビニル−スチレン)共重合体、ポリ(アルキレンオキシド−エチレン)共重合体、ポリ(アルキレンオキシド−プロピレン)共重合体、ポリ(エチレンオキシド)グリコールとポリ(プロピレンオキシド)グリコールの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールとポリ(ブチレンオキシド)グリコールの共重合体、ポリ(エチレンオキシド)グリコールとポリ(ブチレンオキシド)グリコールの共重合体、アルキレンテレフタレートとポリ(アルキレンオキシド)グリコールとの共重合体、ポリアミドとポリ(アルキレンオキシド)グリコールの共重合体であるポリエーテルアミド共重合体、ポリアミドとポリエーテルエステルとの共重合体であるポリエーテルエステルアミド共重合体、ポリエーテルエステル、ポリ(エチレンオキシド−エピクロロヒドリン)共重合体、エチレンビニルアルコールとエチレンオキサイドのグラフト共重合体、等が挙げられる。
特に上述した(G)の効果、すなわち酸化チタンの表面に凝集する、あるいは自身の中に酸化チタンを取り込み、ポリトリメチレンテレフタレートポリマー中での酸化チタンの分散性を高める効果に優れる点で、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール、ポリアミド、アルキレンテレフタレートとポリ(アルキレンオキシド)グリコールの共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリエーテルエステルアミド共重合体が好ましい。中でもポリエーテルアミド共重合体が最も好ましい。
ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとは、例えば下記一般式(1)で表されるようなアルキレンオキシドを繰り返し単位としたグリコールである。
−[(CH−O]− ・・・(1)
(1)式を満足するものとしては、例えば、ポリエチレングリコール(a=2)、ポリプロピレングリコール(a=3)、ポリブチレングリコールグリコール(a=4)、が挙げられるが、親水性が高く口金汚れ防止効果が高い点で、ポリエチレングリコールが好ましい。繰り返し数のbは分子量が100〜50,000の範囲で選択すればよく、1,000〜6,000が好ましい範囲である。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールは1種で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
ポリアミドとしては、脂肪族ポリアミドが好ましく用いられる。例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド56、ポリアミド66、ポリアミド510、ポリアミド610、ポリアミド612等を挙げることができ、親水性が高く口金汚れ防止効果が高い点で、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド56がより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド56がさらに好ましい。ポリアミドは1種で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。本発明の目的をそこなわない範囲で他の成分が共重合されていてもよい。
アルキレンテレフタレートとポリ(アルキレンオキシド)グリコールの共重合体とは、アルキレンテレフタレートとポリ(アルキレンオキシド)グリコールの共重合体である。ランダム、ブロック、グラフト共重合体が挙げられるが、口金汚れ防止効果が高い点で、ブロック共重合体であることが好ましい。また本発明の目的をそこなわない範囲で他の成分が共重合されていてもよい。
アルキレンテレフタレート成分としては、例えばエチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、ペンタメチレンテレフタレート、ヘキサメチレンテレフタレートが挙げられ、これらから1種または複数種を選択して使用できる。中でも、ポリトリメチレンテレフタレート中での分散性に優れる点で、アルキレンテレフタレート単位の90モル%以上がトリメチレンテレフタレートからなることが好ましく、95モル%以上がトリメチレンテレフタレート単位からなることが好ましい。
ポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分としては、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールが挙げられ、これらから1種または複数種を選択して用いることができる。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしてはポリエチレングリコールが好ましく、分子量は300〜10,000、より好ましくは重量平均分子量1,000〜6,000の範囲で選択すればよい。
アルキレンテレフタレート成分とポリ(アルキレンオキシド)グリコール単位の共重合比率は(重量比)は5/95〜95/5であることが好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
ポリエーテルアミドとはポリアミドとポリ(アルキレンオキシド)グリコールの共重合体であり、ランダム、ブロック、グラフト共重合体が挙げられるが、口金汚れ防止効果が高い点で、ブロック共重合体であることが好ましい。また本発明の目的をそこなわない範囲で他の成分が共重合されていてもよい。
ポリ(アルキレンオキシド)グリコール単位としては、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールが挙げられ、これらから1種または複数種を選択して用いることができる。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしてはポリエチレングリコールが好ましく、重量平均分子量は300〜10,000、より好ましくは重量平均分子量1,000〜6,000の範囲で選択すればよい。
ポリアミド成分としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド56、ポリアミド66、ポリアミド510、ポリアミド610、ポリアミド612が挙げられ、親水性が高く口金汚れ防止効果が高い点で、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド56がより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド56がさらに好ましい。これらから1種または複数種を選択して用いることができる。
本発明およびポリエーテルアミド中のポリ(アルキレンオキシド)グリコール単位とポリアミド単位との共重合比率(重量比)は、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
ポリエーテルアミドブロック共重合体の製造法としては、例えば、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの両末端をシアノエチル化した後、水素添加してポリアルキレンエーテルジアミンとし、これをアジピン酸やセバシン酸などのジカルボン酸と反応させてポリアミド塩を合成し、この塩と前記ポリアミドを形成するモノマーとを重縮合する方法、あるいはポリ(アルキレンオキシド)グリコールの両末端をアミノ化してポリアルキレンエーテルジアミンとした後、前記の方法と同じ方法で重縮合する方法などが採用できる。また重縮合方法としては公知のポリアミドの重縮合法を採用でき、例えば、ポリアミド6などで採用される常圧重合法、またはポリアミド66などで採用される加圧重合法など、バッチ式や連続式を問わず採用することができる。
ポリエーテルエステルアミドとは同一分子鎖内にエーテル結合、エステル結合およびアミド結合を持つ共重合体であり、具体的にはポリアミド成分(ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミンとジカルボン酸の塩から選ばれた1種もしくは2種以上からなる成分)と、ポリエーテルエステル成分(およびジカルボン酸とポリ(アルキレンオキシド)グリコールからなる成分)とを重縮合反応させて得られる共重合体である。ランダム、ブロック、グラフト共重合体が挙げられるが、口金汚れ防止効果が高い点で、ブロック共重合体であることが好ましい。また本発明の目的をそこなわない範囲で他の成分が共重合されていてもよい。
ポリエーテルエステルアミドのポリアミド成分としては、カプロラクタム、エナントラクタム、ドデカノラクタム、ウンデカノラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸,11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのω−アミノカルボン酸、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612等の前駆体であるジアミン−ジカルボン酸の塩類があり、これらを1種または2種以上混合して用いることができる。好ましいポリアミド成分は、ポリアミド6の形成成分であるε−カプロラクタム、ポリアミド66の形成成分であるヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩である。
一方、ポリエーテルエステルアミドのポリエーテルエステル成分としては、ジカルボン酸とポリ(アルキレンオキシド)グリコールとからなる。ジカルボン酸としては、炭素数4〜20のジカルボン酸で、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸をあげることができ、1種または2種以上混合して用いることができる。好ましいジカルボン酸はアジピン酸、セバシン酸、ドデカジ酸、テレフタル酸、イソフタル酸である。
また、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドまたはテトラヒドロフランとのランダムまたはブロック共重合等が挙げられ、特にポリエチレングリコールが好ましい。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量は300〜10,000、好ましくは1,000〜6,000の範囲で用いうる。
ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体は、上記したポリアミド成分と、ポリエーテルエステル成分とを重縮合することによって得られる。工業的に好ましい方法としてはポリアミド成分と、ポリエーテルエステル成分とを減圧下で加熱重縮合する方法があげられる。その際、高重合度で着色の少ないポリマーを得るためには例えば酸化アンチモン、チタン酸エステル等を重縮合触媒として、またリン酸、リン酸エステル等を着色防止剤として添加することが好ましい。ポリエーテルエステルアミド共重合体中のポリアミド成分と、ポリエーテルエステル成分の重量比は99/1〜5/95、好ましくは80/20〜10/90の範囲で有効に利用することができる。本発明のポリエーテルエステルアミドブロック共重合体としては、三洋化成工業株式会社製、商品名ペレスタット、商品名ジェイスタット、富士化成工業株式会社製、商品名TPAE、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名IRGASTAT P18等が好ましく用いられる。
その他、これらとは別に、分子中に4級アンモニウム塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩等のイオン基を含有するポリマー、アイオノマーが好ましく用いられる。例えば、第一工業製薬株式会社製、商品名レオレックスAS170、三井・デュポン・ポリケミカルズ株式会社製、商品名エンティラAS、商品名ハイミラン等が挙げられる。
本発明の製造方法で得られる複合繊維は、帯電防止剤の効果によって、ポリトリメチレンテレフタレート中で酸化チタン2次凝集径が小さく、高度に微分散した繊維である。酸化チタンの分散能は、繊維中の酸化チタンの粗大粒子の個数により評価することができる。そして本発明の好ましい帯電防止剤を選定することにより、複合繊維1mg中における5μm以上の酸化チタン粗大粒子の個数を5個/mg以下まで少なくすることが可能である。より好ましくは5μm以上の酸化チタン粗大粒子の個数を3個/mg以下、さらに好ましくは0〜1個/mgである。なお、繊維中の5μm以上の酸化チタン粗大粒子の個数は実施例の方法にて測定し、酸化チタン粒子の最大幅が5μm以上であるものを粗大粒子と判断した。5μm以上の酸化チタンの粗大粒子が少ない複合繊維であるほど、紡糸、延伸、熱処理、捲縮加工工程、製編織工程において、糸切れ、毛羽の発生が抑えられ、高品位な繊維を工程通過性良く得ることができるため好ましい。また強度、ウースター斑(U%)等の糸物性も、パッケージ間、繊維の長手方向で均質な繊維となり好ましい。
また、繊維中の酸化チタンの粗大粒子の個数は、繊維の製造に用いるポリトリメチレンテレフタレートポリマー中に存在する粗大粒子の個数よりも少なくなるといった現象も確認されることである。これは恐らく本発明の帯電防止剤が、上述した(G)の効果等により、酸化チタンの分散性を高める作用を示し、凝集していた酸化チタンが紡糸機内での剪断流動によって、分散されるためと推定される。
なお本発明の帯電防止剤は、酸化チタンを含有するポリトリメチレンテレフタレートを単独の繊維として製造する場合に用いても、酸化チタンの凝集抑制に効果があるが、本発明のごとく複合繊維を製造する工程において、より大きな改善効果がみられる。これは本発明の帯電防止剤が、上述の(C)、(D)の如く成分Aと成分Bとの界面に作用する効果が高いためと考えられる。
また、目的に応じて、ポリトリメチレンテレフタレートに対して、10重量%未満の範囲で、他のポリマー、粒子、難燃剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、老防剤、末端封鎖剤、導電剤、染料、顔料等の添加物を含有していてもよい。
本発明の複合繊維は、芯成分がポリ乳酸からなる芯鞘複合繊維で構成され、かつ芯成分の重量比率が10〜40重量%であることが必要である。芯成分の重量比率が10重量%以上であることで、鞘成分であるポリトリメチレンテレフタレートの欠点である寸法安定性を補うことが可能である上、繊維長手方向の複合状態の安定性に優れた複合繊維を得ることができる。好ましくは芯成分の重量比率は20重量%以上である。一方、芯成分の重量比率が40重量%以下であることで、芯成分の単位体積当たりの芯鞘界面の面積が大きくなるため、原糸に屈曲や伸長を加えた場合や、染色工程で湿熱処理を加えた場合などにおいても芯鞘界面の剥離が起こらず、外力に対する耐久性が極めて優れたものとなる。好ましくは芯成分の重量比率は35重量%以下である。
また、目的に応じて、ポリ乳酸に対して、10重量%未満の範囲で、他のポリマー、粒子、艶消し剤、難燃剤、帯電防止剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、老防剤、末端封鎖剤、導電剤、染料、顔料等の添加物を含有していてもよい。
本発明のポリ乳酸とは、−(O−CHCH−CO)−を繰り返し単位とするポリマーであり、乳酸やラクチド等の乳酸のオリゴマーを重合したものをいう。乳酸にはD−乳酸とL−乳酸の2種類の光学異性体が存在するため、その重合体もD体(D−乳酸)のみからなるポリD乳酸と、L体(L−乳酸)のみからなるポリL乳酸、およびD−乳酸とL−乳酸の両者を含んでなるポリ乳酸がある。本発明におけるポリD乳酸とはD−乳酸を80重量%以上含んでなるポリ乳酸であると定義し、ポリL乳酸とはL−乳酸を80重量%以上含んでなるポリ乳酸であると定義する。
ポリL乳酸に含まれるD−乳酸の重量分率(以下、単にD体分率と記載することがある)、ポリD乳酸に含まれるL−乳酸の重量分率(以下、単にL体分率と記載することがある)が高いと、ポリL乳酸、ポリD乳酸の結晶性が低くなり、融点が低下する傾向にある。上述したように融点が130℃以上であることが好ましいことから、ポリL乳酸中のD体分率は10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることが好ましい。同様の理由により、ポリD乳酸中のL体分率は10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることが好ましい。
また、L−乳酸単位からなるポリL乳酸と、D−乳酸単位からなるポリD乳酸とをブレンドして繊維化した後に、140℃以上の高温熱処理を施すことで、L−乳酸単位とD−乳酸単位が共晶化したステレオコンプレックス結晶が形成され、ポリマーの融点を220〜230℃まで高めることができ、好ましい。この場合、成分Bを構成するポリ乳酸は、ポリL乳酸とポリD乳酸の混合物を指し、そのブレンド比は40/60〜60/40であると、ステレオコンプレックス結晶の比率を高めることができ、好ましい。
そしてポリ乳酸の性質を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合したものであってもよい。共重合する成分としては、ポリエチレングリコールなどのポリ(アルキレンオキシド)グリコール、ポリブチレンサクシネートやポリグリコール酸などの脂肪族ポリエステル、ポリエチレンイソフタレートなどの芳香族ポリエステル、およびヒドロキシカルボン酸、ラクトン、ジカルボン酸、ジオールなどのエステル結合形成性の単量体が挙げられる。ポリ乳酸中には低分子量残留物としてラクチド(環状2量体)や環状3〜6量体、直鎖状の3〜10量体が存在し、特にラクチドの残存量が特異的に多い。これら低分子量残留物は、紡糸糸切れを誘発する原因となる。また、繊維や繊維成型品の加水分解を促進し、耐久性を低下させる。このため、ポリ乳酸中の残存ラクチド量は好ましくは0.3重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.03重量%以下である。
ここで成分Bがポリ乳酸である場合、特に注意すべきことは、ポリ乳酸の耐熱性はあまり高いとは言えず、溶融貯留時に熱分解が起こって分子量低下し易い点である。溶融紡糸における分子量低下を抑えることで紡糸性が高まり、かつ得られる繊維の力学特性にも優れることから、高分子量であるポリ乳酸を用いることが好ましい。
具体的には、重量平均分子量は13万以上であることが好ましく、15万以上であることがより好ましく、17万以上であることがさらに好ましい。一方で、ポリトリメチレンテレフタレートの適正な溶融温度範囲での溶融流動性が高い点で、重量平均分子量は、30万以下であることが好ましく、27万以下であることがより好ましく、25万以下であることがさらに好ましい。
本発明の複合繊維の溶融紡糸の方法は、従来公知の方法を採用すればよいが、より具体的に好ましい方法を以下に例示する。
本発明に使用するポリトリメチレンテレフタレートポリマーの製造方法は公知方法を用いることができる。例えば、テレフタル酸を主とするジカルボン酸またはテレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸の低級アルコールエステル誘導体と、1,3−プロパンジオールを反応させて、テレフタル酸と1,3−プロパンジオールのエステルおよび/またはそのオリゴマーを生成させた後、溶融状態で重縮合反応させる方法(溶融重合)等を採用することができる。また溶融重合のみで所望の固有粘度に相当する重合度とする1工程法や、一定の固有粘度までは溶融重合で重合度を上げ、引き続いて固相重合によって所望の固有粘度に相当する重合度まで上げる2工程法が挙げられるが、ポリトリメチレンテレフタレートである場合、溶融重合と固相重合を組み合わせる2工程法であることが、環状ダイマーの含有量が少ないポリトリメチレンテレフタレートポリマーとなる点で好ましい。1工程法で得たポリトリメチレンテレフタレートポリマーを用いる場合には、紡糸に供する前のいずれかの工程において、抽出処理などにより環状ダイマーを3重量%以下まで減少させておくことが好ましい。
ポリトリメチレンテレフタレートポリマーのカルボキシル末端基濃度の低いポリトリメチレンテレフタレートポリマーほど、溶融貯留時の耐熱性が高まるため好ましく、30当量/ton以下であるポリマーを用いることが好ましく、20当量/ton以下であることがより好ましく、10当量/ton以下であることがさらに好ましい。
そして酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)などを任意の段階で少量添加し、ポリマーの耐熱性を高めることも好ましい。
図1は本発明で好ましく用いられる紡糸装置の概略図である。まずホッパー1にポリ乳酸チップを投入し、エクストルーダー2で溶融・押し出してギヤポンプブロック5にて計量し溶融ポリマーをスピンブロック7に内蔵された紡糸パック8へ移送する。同様に、ホッパー3にポリトリメチレンテレフタレートチップを投入し、エクストルーダー4で溶融・押し出して、ギヤポンプブロック6で計量し、溶融ポリマーをスピンブロック7に内蔵された紡糸パック8に移送する。パック内でポリマーを濾過した後、紡糸口金9で所望の複合繊維が得られるように2成分ポリマーを貼り合わせた後、吐出して紡出糸12を得る。紡出糸は冷却装置11によって一旦冷却・固化された後、給油ガイド装置13で油剤を付与され、交絡装置ノズル14で適度に交絡を与えられた後、第1ロール15及び第2ロール16で引き取られ、巻取機17で巻き取り、チーズパッケージ18を得る。なお、繊維から昇華した低融点物を取り除くため、口金直下に吸引装置を設けている。また、紡糸でのモノマー、オリゴマー析出を抑制し、紡糸性を向上させるために、必要に応じて口金下に2〜20cmの加熱筒を設けてもよく、ポリマーの酸化劣化を抑えるためにスチーム、Nなどの不活性ガス発生装置を設置してもよい。
次いで得られた未延伸糸をそのまま用いてもよいし、従来公知の方法により、延伸機により延伸、熱処理して延伸糸として用いてもよいし、未延伸糸または延伸糸を捲縮加工(仮撚加工、BCF加工、機械捲縮加工)して捲縮糸として用いてもよいし、目的に応じた繊維を製造すればよい。またこれらの延伸、熱処理、捲縮加工、については溶融紡糸とは別の工程として行ってもよいし、同一の工程、すなわち紡出糸を巻き取らずに連続的におこなってもよい。例えば、紡出糸に連続的に、延伸、熱処理を施した後に巻き取る装置としては、図2に例示され、紡出糸に連続的に熱処理を施したのち巻き取る装置としては、図3が例示される。
製造する複合繊維の総繊度は、マルチフィラメントであれば10〜200dtexの範囲で選択すればよく、1本の繊維の繊度である、単糸繊度は1〜10dtexであることが好ましい。単糸繊度が太いと布帛にした際にハリ感が得られるが、合繊ライクになりがちであるため、10dtex以下ある方が良い。一方、単糸繊度が1dtex以上であると、原糸の均一性が得られやすい。このような傾向は、ポリトリメチレンテレフタレートやポリ乳酸のそれぞれ単独でも生じるが、複合した際に特異に顕著となる。更に好ましい単糸繊度は2〜8dtexである。1糸条当たりの繊維の本数については任意である。
また本発明の製造方法で得られる複合繊維が短繊維である場合、紡出糸を総繊度が1〜50万dtexとなるように合糸してサブトウを形成し、該サブトウをキャンに堆積させた後、キャンから該サブトウを引き出し、1〜50本のサブトウを合わせ、温水バスあるいはスチーム、加熱ロールから選ばれる熱源を用いて延伸したのち、必要に応じてスチーム等で予熱した後、機械捲縮を施し、所望の繊維長にカットする、製造方法を採用することができる。
本発明の複合繊維は、マルチ3%モジュラスCV%と単糸3%モジュラスCV%が3%以下でなければならない。これらは織編立て時の張力変動を左右し、これらのバラツキが増大すると、布帛の形態バラツキが増大する。マルチ3%モジュラスCV%は繊維長手方向のバラツキであり、単糸3%モジュラスCV%とは繊維横断面における単糸間のバラツキである。より好ましいマルチ3%モジュラスCV%と単糸3%モジュラスCV%は2%以下である。
本発明における酸化チタンは、溶融紡糸において口金孔から吐出されるまでのいずれかの段階においてポリトリメチレンテレフタレートに添加されれば良い。例えば、溶融重合完了前の段階で所望量添加せしめる方法、あるいは溶融重合完了後のポリトリメチレンテレフタレートに2軸エクストルーダー等の混練機によって添加せしめる方法、溶融紡糸においてホッパーにポリトリメチレンテレフタレートとドライブレンドして投入する方法、を挙げることができる。ポリトリメチレンテレフタレート中での酸化チタン分散性を高める点で、溶融重合完了前の段階で所望量添加せしめる方法、あるいは溶融重合完了後のポリトリメチレンテレフタレートに2軸エクストルーダー等の混練機によって添加せしめる方法を採用することが好ましい。添加形態としては、酸化チタン粉体を添加する方法や、酸化チタンを水や有機溶媒に分散させた分散液として添加する方法が挙げられるが、酸化チタンが微分散されやすい点で、分散液として添加することが好ましい。分散液として添加する場合には、調整段階で形成された酸化チタンの凝集体を、遠心分離等の手段により除いておくことも好ましい手法である。またポリトリメチレンテレフタレート中で酸化チタンが微分散し易い点で、前記した範囲の酸化チタンを用いることが好ましい。これら酸化チタンは、予め高濃度で酸化チタンが添加されたポリトリメチレンテレフタレートポリマーを調整し、繊維のポリトリメチレンテレフタレート成分中に酸化チタンが所望量となるように、溶融紡糸段階でポリトリメチレンテレフタレートを稀釈する等の手段も好適に採用される。
本発明の帯電防止剤は、溶融紡糸において口金孔から吐出されるまでのいずれかの段階においてポリトリメチレンテレフタレート成分に添加されればよく、ポリトリメチレンテレフタレートポリマー溶融重合完了前の段階で所望量添加せしめる方法、あるいは溶融重合完了後のポリトリメチレンテレフタレートに2軸エクストルーダー等の混練機によって添加せしめる方法、溶融紡糸においてポリトリメチレンテレフタレートとドライブレンドして投入する方法、等を挙げることができるが、重合工程や、乾燥工程における熱履歴によって、帯電防止剤の分解を抑制できる観点から、溶融紡糸においてドライブレンドして投入する方法が最も好ましい。そしてポリトリメチレンテレフタレート成分中に帯電防止剤を均一に分散させるため、押出機は1軸または2軸エクストルーダーであることが好ましく、2軸エクストルーダーであることが最も好ましい。
押出機、ポリマー配管など、成分ごとに別々の温度設定ができる部位の温度は、それぞれが溶融するポリマーの融点、および熱分解性によって適宜選択すればよく、具体的にはポリマーの融点+5℃以上、融点+70℃以下の範囲において選択すればよいが、ポリトリメチレンテレフタレートやポリ乳酸は熱分解しやすいポリマーであるため、ポリマーの融点+5℃以上、融点+50℃以下であることがより好ましい。
スピンブロックは、ポリマー配管や、紡糸パックの温度制御を行うため、それぞれの成分の溶融流動性が確保され、かつそれぞれの成分が熱分解を起こしにくい温度設定とすることが肝要である。本発明において紡糸パックの温度はスピンブロック(電熱ヒーターや、熱媒によって紡糸パックおよび/またはポリマー配管を加熱するブロック)の温度と同一であると見なす。
例えば、ポリ乳酸の熱分解性、ならびにポリトリメチレンテレフタレートの溶融流動性を考慮すると、スピンブロック温度は235〜265℃が好ましく、240〜260℃がより好ましい。
特にポリ乳酸は熱分解しやすいポリマーであるため、ポリ乳酸の滞留時間はできるだけ短くすることが好ましく、滞留時間30分以下が好ましく、20分以下がより好ましく、15分以下がさらに好ましい。なお、滞留時間とは、ポリマーの溶融から紡出までの滞留時間を指し、これは混練機のバレルとスクリューとの間隙やスクリューのスペック、混練機と紡糸パックとの間の配管サイズ、紡糸パック内の寸法等から見積もることができる。また上述にて示したように、ポリ乳酸の熱分解を考慮して、高分子量ポリ乳酸を用いることが好ましい。またポリ乳酸の耐熱性を高めるために、酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)などを任意の段階で少量添加することも好ましい。
また、ポリ乳酸ほどではないがポリトリメチレンテレフタレートも熱分解し易いポリマーであるため、成分Aの滞留時間は35分以下とすることが好ましく、25分以下がより好ましく、15分以下がさらに好ましい。
口金面温度は、高いほど、ポリトリメチレンテレフタレートの剪断粘度が下がり、口金孔壁との摩擦力が低減されることで口金孔周りの汚れや酸化チタンの凝集が抑えられるため好ましい。一方で、口金面温度を適度な範囲に抑えることで、口金孔内でのポリトリメチレンテレフタレートやポリ乳酸等の耐熱性が低いポリマーの熱分解を抑えられ、口金孔内での複合流が安定化し、断面の均一な繊維が得られるため好ましい。よって口金面温度は240〜280℃であることが好ましく、245〜275℃がより好ましく、250〜270℃がさらに好ましい。口金面が雰囲気や冷却風などによって影響を受けやすい場合は、口金面の周囲に接触型、非接触型のヒーターを配置し、口金面を積極的に加熱する手法も好ましい。例えば図1、図2、図3の口金ヒーター10がこれに該当する。
本発明で用いる紡糸口金としては、従来公知のものを任意に採用することができる。従来口金孔周りの汚れが生じ易い繊維を溶融紡糸により製造する場合は、汚れを抑制する為に、例えば口金孔径を大きくして、ポリマーの吐出線速度(吐出孔の最終絞り部のポリマー流速)を低下せしめることが効果的であるが、その一方で吐出が不安定となるため糸切れが発生しやすい。そこで本発明では、帯電防止剤による酸化チタン凝集抑制との相乗効果により、より安定的に製糸することができる。この際、吐出線速度は5〜15m/分の範囲で紡糸することが好ましい。
口金孔内での複合流を安定化せしめる意味で、紡糸口金の最終プレートにおける吐出孔径Dと吐出孔長Lの比であるL/Dを1以上とすることが好ましく、1.3以上であることがより好ましい。また、吐出孔径Dと吐出孔長は前記L/Dを満たす範囲で自由に選択でき、吐出孔径Dは0.1〜3mmの範囲で選択すればよい。なお口金孔形状が丸断面でない場合は、吐出孔の最終絞り部の断面積を算出し、その断面積になるように丸断面換算して直径を求め、その直径を吐出孔径Dとして算出する。
紡糸油剤は従来公知の油剤を採用することができ、例えば、分子内に1個以上のヒドロキシル基を有するアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを共重合した化合物およびそれらから誘導された化合物が好ましく用いられる。
アルコールとしては、炭素数1〜30の天然および合成の任意の一価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソアミルアルコール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコールなど)、二価アルコール(エチレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコールなど)および三価以上のアルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトールなど)が挙げられる。
炭素数2〜4のアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。エチレンオキサイドと他のアルキレンオキサイドとを共重合する場合、エチレンオキサイドの比率は50〜80重量%であることが必要である。エチレンオキサイド比率が50重量%未満では粘度が高くなりすぎ、80重量%を越えると耐熱性が乏しくなる。また、付加様式はランダム付加、ブロック付加のいずれでもよい。前記平滑剤の数平均分子量は、平滑性および耐熱性の点で500〜20,000の範囲が好ましく、1,000〜10,000の範囲がより好ましい。
これら平滑剤の含有量は、油剤全体に対し55重量%以上に調整し、その他の成分としてイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、集束剤、防錆剤、防腐剤、酸化防止剤、糊特性向上剤、制電剤、pH低下防止剤、耐水剤を適宜添加すればよい。
また、紡糸油剤は繊維全体に対して0.1〜3.0重量%付着されていることが好ましい。油剤の付着量を0.1重量%にすることで、上記特性が効果的に発揮される。一方、油剤の付着量が3重量%を越えると仮撚ヒーターやロール、施撚体の汚れがひどくなる。より好ましくは0.2〜2.0重量%であり、さらに好ましくは0.3〜1.0重量%である。
本発明で好ましく用いられる油剤は、そのまま薄めずに糸条に付着させるよりも、均一に油剤を付着させるために水エマルジョン油剤として繊維に付着させることが好ましい。このときの油剤の濃度は加水粘性による増粘を抑制するために5〜30重量%であることが好ましく、5〜20重量%とすることがより好ましい。
交絡ノズル14は図1に示すように紡糸線上に設置してもよいし、ゴデットロール間または巻取機前に設置してもよい。交絡度を高くしたい場合は糸条張力の低いゴデットロール間や巻取機前に設置することが好ましく、交絡度を低くしたい場合は紡糸線上に設置することが好ましい。
また、紡糸速度(図1では第1ロール15の周速度)は800〜2000m/分の範囲であることが好ましい。紡糸速度が2000m/分以下であることで、糸切れも少なく、複合繊維の配向状態が均一となりやすく、品質バラツキを低減できる。生産効率を考慮すると、紡糸速度800m/分以上が好ましい。未延伸糸は巻き取る前の段階において、ポリトリメチレンテレフタレートの遅延回復による巻締まりを防止すること等を目的として、図3の如く加熱ロールを用いて熱処理してから巻き取ることも好ましい。このときの熱処理温度は60〜120℃の範囲内で行えばよいが、過度に繊維を結晶化させないために、60〜100℃の範囲が好ましく、60〜80℃の範囲がより好ましい。また下記の式で表されるリラックス率は0.5〜10%の範囲で、巻取張力が0.05〜0.15cN/dtexの範囲で選択すればよい。
リラックス率(%)=(第2ロール速度16,22−巻取速度)/巻取速度×100
延伸糸を製造する場合には、延伸倍率は1.1〜3.0倍(図2の直接紡糸延伸装置においては、ロール21と22の速度比)の範囲で、得られる延伸糸の残留伸度が目的の範囲となるように調整すればよい。延伸温度は30〜90℃、熱処理温度は80〜200℃の範囲で選択すればよい。また繊維の遅延回復を抑え、巻締まりを防止するためにリラックス処理することが好ましく、糸揺れの程度を見ながらリラックス率は3〜18%の範囲で設定し、巻取張力は0.05〜0.15cN/dtexの範囲で選択すればよい。紡糸と延伸を連続的に行う場合も、延伸条件、巻取条件は上記の範囲で選択すればよい。
また巻取機のローラーベイルもしくはドライブロールがパッケージに接触している線長に対する荷重(パッケージに対する圧力に相当。以下、面圧と称する)は、6〜30kg/mの範囲にすることが好ましい。面圧を6kg/m以上にすることで、パッケージに適度な硬度を与え、パッケージ崩れやサドルを抑制することができる。また、面圧を30kg/m以下にすることで、パッケージの潰れや、バルジを抑制することができる。より好ましい範囲は7〜22kg/m、さらに好ましくは8〜16kg/mである。また、綾角は5〜10°の範囲にすることで、パッケージ端面の糸落ちを抑制しつつ、高速解舒においても安定した解舒張力が得られるとともに、端面部への糸崩れを抑えることができる。より好ましくは5.5〜8°であり、さらに好ましくは5.8〜7°である。
巻取時の駆動方式は、巻取速度が4000m/分以下であればドライブローラーによる従動駆動でもよいが、好ましくはスピンドル駆動方式であり、さらに巻取機のローラーベイルを強制駆動してローラーベイルとの摩擦を低減して発熱を抑制することが好ましい。このとき、ローラーベイルを強制駆動する場合のパッケージ表面速度に対するローラーベイル速度を0.05〜1%オーバーフィードするとパッケージフォームを良好にすることができ好ましい。
また本発明の複合繊維は、従来公知の方法により仮撚加工糸を製造することができる。
本発明の製造方法により、低ヤング率で柔らかく、高弾性回復性で弾発性に優れた複合繊維を、生産性良く得ることができる。また得られる複合繊維は、毛羽が少なく、糸斑も小さいなど高品位な繊維であるため、仮撚加工や混繊等の糸加工や、整経、製織での工程通過性に優れている。また、該複合繊維、および該複合繊維を含んでなる繊維構造体は、多種多様な用途に使用することができる。たとえば、衣料用途(アウトドアウェアやゴルフウェア、アスレチックウェア、スキーウェア、スノーボードウェアおよびそれらのパンツ等のスポーツウェア、ブルゾン等のカジュアルウェア、コート、防寒服およびレインウェア等の婦人・紳士用アウター、ユニフォームなど)、寝装資材用途(掛布団や敷布団、肌掛け布団、こたつ布団、座布団、ベビー布団、毛布等の布団類や枕、クッション等の表皮やカバー、マットレスやベッドパッド、病院用、医療用、ホテル用およびベビー用のシーツ等、さらには寝袋、揺りかごおよびベビーカー等のカバー等)、自動車、電車、飛行機の内装資材(シート、天井、ドアトリム用の表皮等)、医療資材(貼付剤基布)等に好適に用いることができる。中でも布帛の形態バラツキが生じやすいトリコット用途では、本発明の効果を顕著に確認することができる。
A.酸化チタンの平均粒径
繊維に添加する酸化チタンの平均粒径は、酸化チタンをヘキサメタリン酸ナトリウム1g/リットル水溶液に分散させ、堀場製作所製レーザー回折式/散乱式粒度分布測定装置(LA−920)を用いて測定した。
B.繊維中の酸化チタン粗大粒子の数
繊維1mgを試料とし、該試料を2枚の15mm×15mmのカバーガラスに挟み込み、ホットプレート上で260℃の温度で溶融させた。溶融後、カバーガラス上に100gの荷重を掛け、溶融物がカバーガラスからはみ出さないように、2枚のカバーガラス間に密着させ広げ、それを冷水に投入して急冷した。光学顕微鏡を用い、観察倍率200倍にて、カバーガラス間に広がった酸化チタン含有ポリマー全域について観察を行い、酸化チタンの最大幅が5μm以上のものを酸化チタンの凝集による粗大粒子と判断して、該粗大粒子の数を求めた。試料とした繊維の重量で除することにより、単位重量当たりの酸化チタン粗大粒子の個数に換算した。測定は5回行い平均値を取った。
C.繊維中の酸化チタンの平均粒径
B項にて作成した試料について同様にして顕微鏡観察を行い、ランダムに選択した300個の酸化チタン粒子を選択して最大幅を測定して数平均を求めた。
D.製糸性(糸切れ回数)
1tonの複合繊維を溶融紡糸するに際し、糸切れが起こった回数の合計により製糸性の評価を行った。本発明の目標レベルは糸切れ回数5回/ton以下であり、少ないほど好ましい。
E.複合形態の均一性評価(バラツキ、界面剥離)
繊維をエポキシ樹脂中に包埋したブロックに必要に応じて金属染色を施し、ウルトラミクロトームにて繊維軸と垂直方向に切削して単繊維横断面の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)、観察装置(日立製作所製 H−7100FA型)にて、加速電圧75kVで、倍率5,000〜1,000,000倍の任意の倍率で横断面観察を行い、得られた写真から複合繊維の複合形態を確認した。
F.固有粘度
試料0.8gに、o−クロロフェノール(以下OCPと略記する)10mlを添加する。そして160℃、30分間で溶解した後、徐冷し測定溶液を得た。該測定溶液について、25℃にてオストワルド粘度計を用いて、相対粘度ηrを下式により求め、固有粘度を算出した。
ηr=η/η=(t×d)/(t×d
固有粘度=0.0242ηr+0.2634
ここで、η:ポリマ溶液の粘度、η:OCPの粘度、t:溶液の落下時間(秒)、d:溶液の密度(g/cm)、t:OCPの落下時間(秒)、d:OCPの密度(g/cm)。
G.ポリ乳酸の重量平均分子量
試料(ポリ乳酸)のクロロホルム溶液にテトラヒドロフランを混合し測定溶液とした。これをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。測定条件は下記の通りである。
GPC装置:Waters2690
カラム:Shodex GPC K−805L (8mmID*300mmL)
2本連結して使用
溶媒:クロロホルム(和光、HPLC用)
温度:40℃
流速:1ml/分
試料濃度:10mg/4ml
濾過:マイショリディスク0.5μ−TOSOH
注入量:200μl
検出器:示差屈折計RI(Waters 2410)
スタンダード:ポリスチレン(濃度:サンプル0.15mg/溶媒1ml)
測定時間:40分。
H.融点
Perkin elmer社製DSC−7を用いて2nd runで融点を測定した。この時、試料重量を約10mg、昇温速度を16℃/分とした。
I.カルボキシル末端濃度
精秤した試料をo−クレゾール(水分5%)に溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加した後、0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより求めた。この時、例えばポリ乳酸の場合、乳酸の環状2量体であるラクチド等のオリゴマーが加水分解し、カルボキシル基末端を生じるため、ポリマーのカルボキシル基末端およびモノマー由来のカルボキシル基末端、オリゴマー由来のカルボキシル基末端の全てを合計したカルボキシル基末端濃度が求まる。
J.繊度と単糸繊度
検尺機にて100mの複合繊維をかせ状に測長し、該かせの重量を測定して100倍することにより繊度(dtex)を算出した。測定は3回行い、平均値をもって繊度(dtex)とした。また、その繊度を単糸数で割り返したものを単糸繊度(dtex)とした。
K.マルチ3%モジュラスCV%、単糸3%モジュラスCV%
JIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、1999年)に示される定速伸長条件に準じ、オリエンテック(株)社製テンシロン(TENSILON)UCT−100を用いて、試料長200mm、引張速度200mm/分として、延伸糸のS−S曲線(応力−歪み曲線)を得て、試料長3%伸長時の応力を60回測定し、そのバラツキをCV%として算出した。なお、マルチ3%モジュラスCV%は総繊維で測定し、単糸3%モジュラスCV%は総繊維をバラして1本ずつ測定した。
L.毛羽数
東レエンジニアリング(株)製毛羽 テスター(DT−104型)を使用し、1万m当たりの毛羽数を測定した。F形検出部を用い、測定糸速1000m/分、張力0.088cN/dtex、測定時間50分間の条件で測定し、得られた毛羽数を測定長(5万m)で除することにより1万m当たりの毛羽数を求めた。測定は5回行い、平均値をとった。本発明の目標レベルは1万m当たりの毛羽数が5個以下であり、3個以下がより好ましく、1個以下がさらに好ましく、0個以下が最良である。
M.布帛の品位
質感(防透性、艶消し感(マット調)、弾発感)、表面品位の均一性および染色斑の総合評価を、熟練者5名にて3段階判定法で評価した。
○:良
△:可
×:不可。
N.総合評価
本発明を満足するものは○。判定が一つでも充たないものは×判定とした。
[製造例1](ポリ乳酸(PLA)の製造)
光学純度99.5%のL乳酸から製造したラクチドを、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ触媒(ラクチド対触媒モル比=10000:1)を存在させてチッソ雰囲気下180℃で220分間重合を行い、ポリ乳酸(PLA)を得た。得られたPLAの重量平均分子量は21万であった。また、残留しているラクチド量は0.13重量%であった。PLA1のTgは58℃、融点は170℃であった。
[製造例2](ポリエーテルアミド(PEA)の製造)
ポリエチレングリコールにアルカリ触媒の存在下でアクリロニトリルを反応させ、さらに水素添加反応を行うことにより両末端の97%以上がアミノ基であるポリエチレングリコールジアミン(数平均分子量4,000)を合成し、これとアジピン酸を常法で塩反応させることによりポリエチレングリコールジアンモニウムアジペートの45%の水溶液を得た。次に、容量2mの濃縮缶に上記45%のポリエチレングリコールジアンモニウムアジペート水溶液を200kg、85%カプロラクタム水溶液を120kg、40%のヘキサメチレンジアンモニウムイソフタレート水溶液16kgを投入し、常圧で内温が110℃になるまで約2時間加熱し80%濃度に濃縮した。続いて容量800リットルの重合缶に上記濃縮液を移行し、重合缶内に2.5リットル/分で窒素を流入しながら加熱を開始した。内温が120℃になった時点でドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)を5.2kgと1,3,5トリメチル−2,4,6−トリ(3,5ジ−Tert−ブチル4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(TTB)5.2kgを添加し、攪拌を開始して内温が245℃になるまで、18時間加熱し重合を完結させた。重合終了後缶内に窒素で7kg/cmの圧力をかけ溶融ポリマーを幅約15cm、厚さ1.5mmのベルト状として回転無端ベルト(長さ6m、ベルト材質:ステンレス、裏面を水スプレーで冷却)上に押し出し、冷却後、通常の方法でペレタイズした。得られたペレットの固有粘度は2.2であった。
(実施例1)
固有粘度1.5g/dl、Tg48℃、融点230℃、カルボキシル末端基濃度12当量/tonであり、平均粒径が0.4μmのアナターゼ型酸化チタンが1重量%添加されたポリトリメチレンテレフタレートに対して、帯電防止剤として製造例2で製造したPEA1重量%をドライブレンドしたものを成分A(鞘成分)として用いた。そして製造例1で製造したPLAを成分B(芯成分)として用いた。これらは全て真空乾燥によって予め水分率50ppm以下としたものを用いた。
図2に示す直接紡糸延伸機を用い、熱処理を施したのち巻き取ることにより延伸糸を得た。まずホッパー1に成分Aを投入し、エクストルーダー2にて加熱溶融し、ギヤポンプ5により計量し、紡糸パック8に導いた。またホッパー3に成分Bを投入し、エクストルーダー4にて加熱溶融し、ギヤポンプ6により計量し、紡糸パック8に導いた。そして口金にて成分Aと成分Bとを合流させて紡出糸を得た。紡出糸に冷却装置11によって、冷却風を吹きつけて冷却、固化し、口金下2mの位置で給油装置13によって紡出糸を集束させながら油剤を付与し、交絡ノズル14にて作動圧空0.2MPaにて交絡を施し、第1ロール21(タンデム型)で引き取り、第1ロール21にて紡出糸を予熱し、第1ロール21と第2ロール22(タンデム型)との速度比によって延伸を施し、第2ロール22にて熱処理を施し、第3ロール23、第4ロール24を介して、巻取機17にて巻取り、84dtex36フィラメントの芯鞘複合繊維からなるパッケージ18を得た。このとき巻張力が0.1cN/dtexとなるように巻取速度を調整した。5kg巻ごとにドラムを交換し、5kg巻パッケージを200本(合計1ton)作製した。
実施例1において、紡糸、延伸において糸切れは発生せず、製糸性は極めて優れていた。また48時間経過時においても口金孔周りの汚れは皆無であり、得られた複合繊維中には酸化チタン粗大粒子は確認されなかった。また繊維中の酸化チタンの平均粒径は0.4μmであり、凝集することなく均一に分散していた。得られた延伸糸をフロントに、バックには44dtexのポリウレタン弾性糸を用い、トリコットを編成した。次いで90℃×30秒でリラックスセット後、190℃×40秒で熱セットした。その後、マラカイトグリーン(関東化学(株)社製)5%owf、酢酸0.5g/L、浴比1:100、125℃×30分で染色を施し、160℃×40秒の熱セットを行った。得られた編物は高品位なものであり、高級感のあるものであった。実施例1の製造条件を下記に示す。
実施例1の評価結果を表1に示す。
<実施例1の製造条件>
・成分Aのエクストルーダー温度:260℃
・成分Bのエクストルーダー温度:200℃
・スピンブロック温度:245℃
・総吐出量:28.68g/分(1パック1糸条、48フィラメント)
・成分A(鞘成分)の吐出量:22.94g/分
・成分B(芯成分)の吐出量:5.74g/分
・濾層:成分A、成分Bともに、#30モランダムサンド、100gを充填
・フィルター:成分A、成分Bともに、10μm不織布フィルターを使用
・口金:吐出孔径0.38mm、吐出孔長0.6mm、孔数36
・冷却風:冷却長1mのユニフロー使用。冷却風温度20℃、風速0.5m/秒
・口金面深度:0.08m
・口金ヒーター温度:280℃
・口金面温度:253℃
・油剤:紡糸油剤には平滑剤として重量平均分子量2000のポリエーテルを70重量%、重量平均分子量6000のポリエーテルを8重量%、エーテルエステルを12重量%、その他添加剤(制電剤、抗酸化剤、防錆剤)を10重量%として調整し、さらにこの油剤を濃度10重量%になるように水エマルジョンとして調整し、純油分として繊維に約0.8重量%付着させた。
・第1ロール(タンデム型)温度:50℃
・第2ロール(タンデム型)温度:150℃
・第3ロール温度:25℃
・第4ロール温度:25℃
・第1ロール(タンデム型)速度:1500m/分
・第2ロール(タンデム型)速度:3500m/分
・第3ロール速度:3460m/分
・第4ロール速度:3460m/分
・巻取速度:3415m/分。
(実施例2〜7、比較例1,2)
実施例1において、成分A(鞘成分)における酸化チタンの重量%(ポリトリメチレンテレフタレート100重量%に対する)を変更した以外は、実施例1と同様にして複合繊維を作成した。実施例2〜7、比較例1,2の評価結果を表1に示す。
実施例1〜7ではいずれも本発明の目的としていた高品位な布帛を得ることを達成しており、工程通過性も問題なかった。
比較例1では酸化チタンを含まないため、工程通過性や品位面では問題なかったが、ギラツキ感が強く、安っぽい風合いであり、本発明の目的としていたものではなかった。
比較例2では成分A(鞘成分)中に酸化チタンを5.5重量%含有したものであるが、ポリマー内の酸化チタン密度が大きくなるため、酸化チタンが凝集し易く、繊維中に粗大粒子を多数観察した。また、その影響から不均一延伸となり、経時にてポリトリメチレンテレフタレートが脆化したため、得られた布帛の品位が悪かった。
Figure 0005262514
(実施例8〜10、比較例3,4)
総吐出量はそのままに成分A(鞘成分)と成分B(芯成分)の吐出量をそれぞれ変更し、芯鞘重量比率を変更した以外は、実施例1と同様にして実施例8〜10、比較例3,4の芯鞘複合繊維を得た。評価結果を表2に示す。
実施例8〜10の結果は成分B(芯成分)の重量比率がそれぞれ異なるものの、全てに良好であった。
成分B(芯成分)の重量比率が5%まで少なくすると、マルチ3%モジュラス、単糸3%モジュラスのバラツキも大きくなり、これが編立時の張力バラツキを誘発して、布帛の形態バラツキが悪化させた。繊維横断面を観察すると複合形態バラツキが大きいことが判明し、複合安定性に乏しいことが一因であることが分かった(比較例3)。
一方、成分B(芯成分)の重量比率を50%まで多くする(比較例4)と、単位体積当たりの芯鞘界面が大きくなったため、随所に界面剥離が発生し、布帛の品位が悪かった。
Figure 0005262514
(実施例11〜16、比較例5,6)
実施例1において、PEAの含有量を変更した以外は、実施例1と同様にして複合繊維を得た。実施例11〜16、比較例5,6の評価結果を表3に示す。
本実験にて成分A(鞘成分)中のPEAの含有量を増加させることで酸化チタンの凝集を抑制することが明らかとなった(実施例11〜16,比較例5)。その一方、PEAの含有量が増加するに従い、3%モジュラスのバラツキは漸増し、PEAを6.0重量%まで増加させると布帛の形態バラツキが酷いものであった(比較例6)。
Figure 0005262514
(実施例17〜20)
実施例17〜20では実施例1をベースとして、口金孔径を変更することで吐出線速度を変更したが、いずれも問題なく、高品位な布帛を得た。評価結果を表4に示す。
Figure 0005262514
(実施例21、比較例7,8)
実施例1をベースにして、紡糸速度を変更して実施例21、比較例7,8を行った。その結果、実施例21は実施例1に比べるとやや見劣りするものの、全てに問題ないものであった。一方、紡糸速度(第1ロール速度)を大きく変更した比較例7,8では、第1ロール引き取り段階での糸状の配向均一性が低下し、マルチ3%モジュラスのバラツキが大きくなった。このため布帛の品位(形態バラツキ)が悪く、実施例1と比べると大きく見劣りするものであった。特に比較例8は、布帛の形態バラツキが大きいものであった。評価結果を表5に示す。
Figure 0005262514
(実施例22〜実施例27)
実施例1をベースにして、口金スペックを変更することで単糸繊度を変更した。
実施例22の斑感、実施例27の合繊感等、若干の優劣差はあるものの、いずれも品位の良い布帛を得た。評価結果を表6に示す。
・実施例22:吐出孔径0.24mm、吐出孔長0.6mm、孔数90
・実施例23:吐出孔径0.27mm、吐出孔長0.6mm、孔数72
・実施例24:吐出孔径0.47mm、吐出孔長0.9mm、孔数24
・実施例25:吐出孔径0.66mm、吐出孔長0.9mm、孔数12
・実施例26:吐出孔径0.72mm、吐出孔長1.0mm、孔数10
・実施例27:吐出孔径0.81mm、吐出孔長1.1mm、孔数 8
Figure 0005262514
本発明の紡糸装置の一態様を示す概略図である。 本発明のスピンドローを施す装置の一態様を示す概略図である。 本発明の紡糸、熱処理装置の一態様を示す概略図である。
符号の説明
1:成分Aのホッパー
2:成分Aのエクストルーダー
3:成分Bのホッパー
4:成分Bのエクストルーダー
5:成分Aのギヤポンプ
6:成分Bのギヤポンプ
7:スピンブロック
8:紡糸パック
9:口金
10:口金ヒーター
11:ユニフロー冷却装置
12:紡出糸
13:給油装置
14:交絡ノズル
15:第1ロール
16:第2ロール
17:巻取機
18:チーズパッケージ
21:第1ロール(タンデム型)
22:第2ロール(タンデム型)
23:第3ロール
24:第4ロール
40:セパレートロール

Claims (1)

  1. 鞘成分が酸化チタン0.01〜5重量%と、帯電防止剤0.01〜5重量%を含有するポリトリメチレンテレフタレートからなり、芯成分がポリ乳酸からなる芯鞘複合繊維で構成され、かつ芯成分の重量比率が10〜40重量%であり、マルチ3%モジュラスCV%が3%以下、単糸3%モジュラスCV%が3%以下であることを特徴とする複合繊維。
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