JP2011168425A - 炭化珪素原料の製造方法及びそれを用いた炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、原料を製造するコスト及び時間を抑えつつ、より純度の高い炭化珪素原料を製造する。
【解決手段】炭化珪素原料を含む原料物質の表面を形成する、不純物を含む不純物層を除去する表面除去工程を有し、表面除去工程では、原料物質は、炭化珪素を溶解する液体に浸漬される。又は、表面除去工程では、原料物質は、炭化珪素を腐食する気体に曝される。
【選択図】図1
【解決手段】炭化珪素原料を含む原料物質の表面を形成する、不純物を含む不純物層を除去する表面除去工程を有し、表面除去工程では、原料物質は、炭化珪素を溶解する液体に浸漬される。又は、表面除去工程では、原料物質は、炭化珪素を腐食する気体に曝される。
【選択図】図1
Description
本発明は、高純度の炭化珪素原料の製造方法及びそれを用いた昇華再結晶法による炭化珪素単結晶の製造方法に関する。
従来、炭化珪素単結晶(以下、単結晶と適宜省略する)を製造する方法として、炭化珪素によって形成された種結晶と、昇華用原料としての炭化珪素とを用いた昇華再結晶法による単結晶製造方法が知られている。
この単結晶製造方法において、昇華用原料として用いられる炭化珪素に不純物が含まれていた場合、良好な結晶成長が阻害され、品質の良好な単結晶を得ることができない。そのため、昇華用原料として用いられる炭化珪素は、不純物ができるだけ含まれない高純度の炭化珪素が求められてきた。
高純度の炭化珪素の製造方法としては、化学気相成長法(CVD法)が、従来から広く知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の方法によれば、基板及び珪素源となる固体の珪素を加熱し、炭素源となるガスを放電等により分解することで、純度の高い炭化珪素を基板上に成長させる。
高純度の炭化珪素を得る方法として、他には、昇華再結晶法を複数回繰り返して炭化珪素の純度を上げる方法が知られている(特許文献2)。
特許文献2の発明によれば、通常であれば製品として用いられる、昇華再結晶法によって製造された炭化珪素単結晶を粉砕する。粉砕して得られた炭化珪素を昇華用原料として、再び昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造する。得られた炭化珪素単結晶を再び粉砕して、昇華用原料として用いるという工程を繰り返すことで、純度の高い炭化珪素単結晶が得られる。
しかしながら、特許文献1の発明において、CVD法に用いられる製造装置の内部を構成する部材に由来する不純物によって、製造された炭化珪素に不純物が含まれる。さらに、基板として用いられる珪素に不純物に由来して製造された炭化珪素に不純物が含まれることもある。従って、特許文献1の方法により製造される炭化珪素は、一般的な製法の炭化珪素よりも高純度ではあるものの、やはり不純物が含まれていた。さらに品質の良い単結晶を製造するために、より高純度の炭化珪素が求められてきた。
特許文献2の発明では、特許文献1によって得られた炭化珪素よりも高純度のものを得ることができる。しかしながら、昇華再結晶法では、原料を昇華・再結晶させ、単結晶を成長させるために、原料を入れた坩堝を2000℃以上の高温にする必要がある。従って、この坩堝加熱・原料昇華工程及び単結晶成長工程を複数繰り返して製造する特許文献2の発明は、製造コストがかかる。さらに、2000℃以上の高温条件を数十時間保持する必要があるため、上記工程を複数繰り返す特許文献2の発明では製造コストだけでなく、製造時間も大幅にかかってしまう。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、原料を製造するコスト及び時間を抑えつつ、より純度の高い炭化珪素原料を製造する方法、及び、それを用いた高純度の炭化珪素単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。本発明の第1の特徴は、炭化珪素単結晶(炭化珪素単結晶70)の成長に用いられる炭化珪素原料(炭化珪素原料20)の製造方法であって、炭化珪素原料を含む原料物質(原料物質20a)の表面に形成される、不純物(不純物24)を含む不純物層(不純物層22)を除去する表面除去工程(表面除去工程S12)を有し、表面除去工程では、原料物質は、炭化珪素を溶解する液体に浸漬されることを要旨とする。
本発明者らは、炭化珪素原料の純度を高めるために、原料物質に含まれる不純物について、研究を進めた結果、原料物質に含まれる不純物は、原料物質の内部と比べて、原料物質の表面付近に多く存在していることを見出し、上記特徴を持つ発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の特徴によれば、原料物質の表面を形成する、不純物を含む不純物層が除去される。不純物は、原料物質の表面付近に多く存在しているため、原料物質の表面付近は、原料物質の内部に比べて、不純物の割合が高い。そのため、原料物質の表面を形成する不純物層を除去することで、除去される炭化珪素原料を最小限に抑えつつ、より多くの不純物を除去できる。従って、効率よく炭化珪素原料の純度を高められる。
原料物質の表面の除去は、炭化珪素を溶解する液体に原料物質を浸漬させて行う。このため、2000℃以上の高温条件を数十時間かける必要がない上に、坩堝加熱・原料昇華工程及び単結晶成長工程を繰り返す必要もない。従って、製造コスト及び製造時間を抑えることができ、経済的に優れた方法で炭化珪素原料の純度を高められる。
本発明の第2の特徴は、炭化珪素単結晶の成長に用いられる炭化珪素原料の製造方法であって、炭化珪素原料を含む原料物質の表面を形成する、不純物を含む不純物層を除去する表面除去工程を有し、表面除去工程では、原料物質は、炭化珪素を腐食する気体に曝されることを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、液体は、熱混合酸であることを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、炭化珪素原料を用いて炭化珪素単結晶を製造する炭化珪素単結晶の製造方法であって、炭化珪素原料を含む原料物質の表面を形成する、不純物を含む不純物層を除去する表面除去工程を有し、不純物層が除去された炭化珪素原料を昇華する工程を有することを要旨とする。
本発明は、原料を製造するコスト及び時間を抑えつつ、より純度の高い炭化珪素原料を製造する方法、及び、それを用いた高純度の炭化珪素単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本実施の形態に係る炭化珪素原料及び炭化珪素単結晶の製造方法の一例について、図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(1)炭化珪素原料の製造方法
本実施形態に係る炭化珪素原料20の製造方法について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る炭化珪素原料20及び炭化珪素単結晶70の製造方法を説明する図である。図2は、表面除去工程S12前の原料物質20aを示す図である。
本実施形態に係る炭化珪素原料20の製造方法について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る炭化珪素原料20及び炭化珪素単結晶70の製造方法を説明する図である。図2は、表面除去工程S12前の原料物質20aを示す図である。
本実施形態に係る炭化珪素原料20の製造方法は、図1で示されている原料準備工程S1に相当する。すなわち、本実施形態に係る炭化珪素原料20の製造方法は、炭化珪素準備工程S11と、表面除去工程S12とを有する。
(1−1)炭化珪素準備工程
炭化珪素準備工程S11では、例えば、図2に示すような原料物質20aが準備される。準備される原料物質20aは、どのような製造方法で製造されていても構わない。例えば、上述した化学気相成長法(CVD法)で製造された原料物質20aであってもよいし、珪素含有原料と炭素含有原料とから炭化珪素前駆体を生成し、生成された炭化珪素前駆体を焼成することで得られた原料物質20aであってもよい。
炭化珪素準備工程S11では、例えば、図2に示すような原料物質20aが準備される。準備される原料物質20aは、どのような製造方法で製造されていても構わない。例えば、上述した化学気相成長法(CVD法)で製造された原料物質20aであってもよいし、珪素含有原料と炭素含有原料とから炭化珪素前駆体を生成し、生成された炭化珪素前駆体を焼成することで得られた原料物質20aであってもよい。
準備される原料物質20aは、炭化珪素原料20と不純物層22とによって構成される。炭化珪素原料20に比べて不純物24が多く存在する不純物層22は、原料物質20aの表面を形成している。炭化珪素前駆体を焼成した原料物質20aの場合、不純物24は、製造装置の内部を構成する部材に由来するものが多い。CVD法で製造された原料物質20aの場合、製造装置内部の部材に由来する不純物の他に、基板に由来する不純物が不純物24となる。この不純物層22を除去することで、炭化珪素原料20が得られる。不純物24は、原料物質20aの最表面26から内側に向かって10μm以内に特に存在していることが多い。不純物24とは、炭素及び珪素以外の元素で構成される物質をいう。
(1−2)表面除去工程
表面除去工程S12では、炭化珪素準備工程S11で準備された原料物質20aの不純物層22を除去する工程である。不純物層22を除去する方法として、炭化珪素を溶解する液体を用いる方法と、炭化珪素を腐食する気体を用いる方法とがある。
表面除去工程S12では、炭化珪素準備工程S11で準備された原料物質20aの不純物層22を除去する工程である。不純物層22を除去する方法として、炭化珪素を溶解する液体を用いる方法と、炭化珪素を腐食する気体を用いる方法とがある。
炭化珪素を溶解する液体を用いる方法では、炭化珪素を溶解する液体に原料物質20aを浸漬させることで、不純物層22を除去する。不純物層22は、炭化珪素と不純物24とで構成されているため、炭化珪素の溶解と共に不純物24も原料物質20aから除去される。これによって、炭化珪素原料20が得られる。原料物質20aは、液体に浸漬させられるため、原料物質20aの表面を均一に除去できる。不純物層22の除去される厚さは、用いる液体の温度、濃度、処理時間によって適宜調整する。原料物質20a及び液体を入れる容器には、耐圧容器に入れることが好ましい。耐圧容器は、例えば、液体と接する内側が樹脂で構成され、外側が金属で構成される。
炭化珪素を溶解する液体としては、例えば、熱混合酸、熱水酸化カリウム水溶液、熱濃硫酸が挙げられる。入手のしやすさ、処理時間、危険性等を考慮すると、熱混合酸を用いるのが好ましい。熱混合酸とは、濃度38%の弗酸、濃度60%の硝酸、及び濃度90%の硫酸を、それぞれ5対2対3の混合比で混合させたものをいう。
炭化珪素を腐食する気体を用いる方法では、炭化珪素を腐食する気体に原料物質20aを曝させることで、不純物層22を除去する。液体を用いた場合と同様に、炭化珪素が腐食されると共に不純物24も原料物質20aから除去される。これによって、炭化珪素原料20が得られる。
炭化珪素を腐食する気体としては、例えば、熱ハロゲンガス、フッ素系プラズマが挙げられる。扱いやすさの観点から、液体を用いた方がより好ましい。
(2)炭化珪素単結晶の製造方法
本実施形態に係る炭化珪素単結晶70の製造方法について、図1及び図3を参照しながら説明する。上述の通り、図1は、本実施形態に係る炭化珪素原料20及び炭化珪素単結晶70の製造方法を説明する図である。図3は、本実施形態に係る単結晶製造装置1の概略断面図である。
本実施形態に係る炭化珪素単結晶70の製造方法について、図1及び図3を参照しながら説明する。上述の通り、図1は、本実施形態に係る炭化珪素原料20及び炭化珪素単結晶70の製造方法を説明する図である。図3は、本実施形態に係る単結晶製造装置1の概略断面図である。
(2−1)製造装置の概略構成
図3に示すように、単結晶製造装置1は、坩堝10と、坩堝10の少なくとも側面を覆う石英管60とを有している。石英管60の外周には、坩堝10を加熱する加熱コイル(不図示)が設けられている。坩堝10は、断熱材(不図示)で覆われている。坩堝10は、支持棒50を介して石英管60の内部に固定されている。
図3に示すように、単結晶製造装置1は、坩堝10と、坩堝10の少なくとも側面を覆う石英管60とを有している。石英管60の外周には、坩堝10を加熱する加熱コイル(不図示)が設けられている。坩堝10は、断熱材(不図示)で覆われている。坩堝10は、支持棒50を介して石英管60の内部に固定されている。
坩堝10は、坩堝本体10aと坩堝蓋体(種結晶台座)10bとを有する。坩堝本体10aには、昇華用原料である炭化珪素原料20が収容されている。坩堝蓋体(種結晶台座)10bには、種結晶30が固定されている。種結晶30は、炭化珪素原料20と略対向する位置に固定されている。種結晶30は、接着層40によって、坩堝蓋体(種結晶台座)10bと固定されている。種結晶30の炭化珪素原料20と略対向する面から、炭化珪素単結晶70は、成長する。
(2−2)炭化珪素単結晶の製造方法
図1に示すように、本実施形態に係る炭化珪素単結晶70の製造方法は、第1の工程から第4の工程を有する。
図1に示すように、本実施形態に係る炭化珪素単結晶70の製造方法は、第1の工程から第4の工程を有する。
第1の工程は、原料準備工程S1である。原料準備工程S1では、炭化珪素原料20が準備される。上述の(1)炭化珪素原料の製造方法で説明した通り、炭化珪素準備工程S11と、表面除去工程S12とを経て、炭化珪素原料20が得られる。
第2の工程は、配置工程S2である。原料準備工程S1で得られた炭化珪素原料20を坩堝本体10aに配置する。また、種結晶30を種結晶台座10bへ配置する。種結晶30は、接着剤を用いて、種結晶台座10bに接着される。接着剤には、例えば、フェノール樹脂が挙げられる。
第3の工程は、坩堝加熱・原料昇華工程S3である。坩堝加熱・原料昇華工程S3では、坩堝10を加熱し、炭化珪素原料20を昇華させる工程である。加熱コイルに電流を通電させて、炭化珪素原料20を加熱する。一般的に、加熱温度は、2000℃から2400℃である。炭化珪素原料20に比べて、種結晶30の温度がやや低温となるように加熱するのが好ましい。このようにして加熱された炭化珪素原料20は、昇華する。
第4の工程は、単結晶成長工程S4である。単結晶成長工程S4では、種結晶30を基に炭化珪素単結晶を成長させる。昇華した炭化珪素原料20は、種結晶台座10bに配置された種結晶30上に再結晶する。これによって、炭化珪素単結晶70(単結晶インゴットという)が時間とともに成長していく。
(3)実施例
(3.1)炭化珪素原料の不純物濃度測定
本実施形態に係る炭化珪素原料20に含まれる不純物24の濃度を調べるために、以下の測定を行った。
(3.1)炭化珪素原料の不純物濃度測定
本実施形態に係る炭化珪素原料20に含まれる不純物24の濃度を調べるために、以下の測定を行った。
まず、炭化珪素を基板とするCVD法によって、原料物質20aを作成した。この原料物質20aを10×10×1mmの板状の形状とした。この板状の原料物質20aを熱混合酸に浸漬させて、不純物層22を除去した。
実施例1では、温度100℃、熱混合酸に原料物質20aを5時間浸漬させた。実施例2では、温度200℃、熱混合酸に原料物質20aを5時間浸漬させた。
不純物層22の除去前後の重量変化から、除去された不純物層22の厚さを算出した。除去された不純物層22の厚さは、実施例1では、3.0μmであり、実施例2では、9.8μmであった。
実施例1及び実施例2の不純物層22を除去する前と後との不純物24の濃度を、2次イオン質量分析法(SIMS)によって、試料の深さ1μmにおける不純物濃度の値を測定した。測定した元素は、窒素(N)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)である。測定結果を表1に示す。なお、試料を弗硝酸で洗浄し、その後超純水で洗浄し、乾燥させてから、測定した。
表1に示すように、実施例1及び実施例2のいずれの場合でも、不純物24の濃度は、浸漬前に比べてほとんど減少している。このことから、不純物22は、原料物質20aの内部よりも表面付近に多く存在していることがわかる。
(3.2)炭化珪素単結晶の製造及び評価
次に、実施例1及び実施例2の条件で得られた炭化珪素原料20を用いて、それぞれ昇華再結晶法によって炭化珪素単結晶70を製造した。また、熱混合酸に浸漬させていない原料物質20aを用いて、同様に炭化珪素単結晶70を製造した。得られた単結晶70について、上述の(3.1)炭化珪素原料20の不純物濃度測定と同様にして、不純物測定を行った。測定結果を表2に示す。
次に、実施例1及び実施例2の条件で得られた炭化珪素原料20を用いて、それぞれ昇華再結晶法によって炭化珪素単結晶70を製造した。また、熱混合酸に浸漬させていない原料物質20aを用いて、同様に炭化珪素単結晶70を製造した。得られた単結晶70について、上述の(3.1)炭化珪素原料20の不純物濃度測定と同様にして、不純物測定を行った。測定結果を表2に示す。
表2に示すように、熱混合酸に浸漬させていない原料物質20aを用いた単結晶70と比較して、熱混合酸に浸漬させて得られた炭化珪素原料20を用いた単結晶70の方が、不純物24の濃度が高い。従って、表面除去工程S12を経て得られた単結晶70は、表面除去工程S12を経ることなく得られた単結晶70と比較して、純度が高いことが確認できた。
また、得られた単結晶70を円板形状にスライス加工した。円板形状の単結晶70の表面を、表面粗さRaが1mm未満になるまで、研磨加工した。研磨加工された単結晶70の中心部分について、電気抵抗率を測定した。実施例1及び実施例2の電気抵抗率は、いずれも1.0×1012[Ω・cm]より大きかった。比較例の電気抵抗率は、2.3×10-1[Ω・cm]であった。従って、表面除去工程S12を経て得られた単結晶70(実施例1及び実施例2)は、表面除去工程S12を経ることなく得られた単結晶70(比較例)と比較して、品質が良いことが確認できた。
(4)作用・効果
以上説明した本実施形態に係る炭化珪素原料20の製造方法によれば、原料物質20aの表面を形成する、不純物24を含む不純物層22が除去される。不純物24は、原料物質20aの表面付近に多く存在しているため、原料物質20aの表面付近は、原料物質20aの内部に比べて、不純物24の割合が高い。そのため、原料物質20aの表面を形成する不純物層22を除去することで、除去される炭化珪素原料20を最小限に抑えつつ、より多くの不純物24を除去できる。さらに、液体に浸漬させるため、表面を均一に除去することができる。従って、効率よく炭化珪素原料20の純度を高められる。
以上説明した本実施形態に係る炭化珪素原料20の製造方法によれば、原料物質20aの表面を形成する、不純物24を含む不純物層22が除去される。不純物24は、原料物質20aの表面付近に多く存在しているため、原料物質20aの表面付近は、原料物質20aの内部に比べて、不純物24の割合が高い。そのため、原料物質20aの表面を形成する不純物層22を除去することで、除去される炭化珪素原料20を最小限に抑えつつ、より多くの不純物24を除去できる。さらに、液体に浸漬させるため、表面を均一に除去することができる。従って、効率よく炭化珪素原料20の純度を高められる。
原料物質20aの表面の除去は、炭化珪素を溶解する液体に原料物質20aを浸漬させて行う。このため、2000℃以上の高温条件を数十時間かける必要がない上に、坩堝加熱・原料昇華工程S3及び単結晶成長工程S4を繰り返す必要もない。従って、製造コスト及び製造時間を抑えることができ、経済的に優れた方法で炭化珪素原料20の純度を高められる。原料物質20aの表面の除去に、炭化珪素を腐食する気体に原料物質20aが曝される場合についても、同じことがいえる。
炭化珪素を溶解する液体としては、熱混合酸が用いられる。熱混合酸は、炭化珪素を溶解する液体の中でも入手しやすく、危険性が低い。熱混合酸を用いた場合、炭化珪素を溶解する処理時間も短時間ですむ。従って、原料を製造するコスト及び時間を抑えられる。
炭化珪素単結晶70は、炭化珪素原料20を含む原料物質20aの表面に形成される、不純物24を含む不純物層22を除去する表面除去工程S12と、不純物層22が除去された炭化珪素原料20を昇華する工程S3とを経ることで、製造される。表面除去工程S12とを経ているため、炭化珪素原料20は、不純物24が減少している。昇華用原料として用いられる炭化珪素原料20に不純物24が少ないため、不純物24による結晶成長の阻害が減少し、良好な品質の単結晶70を得ることができる。
1…単結晶製造装置、10…坩堝、10a…坩堝本体、10b…坩堝蓋体(種結晶台座)、20…炭化珪素原料、20a…原料物質、22…不純物層、24…不純物、26…最表面、30…種結晶、40…接着層、50…支持棒、60…石英管、70…炭化珪素単結晶(単結晶)、S1…原料準備工程、S2…配置工程、S3…坩堝加熱・原料昇華工程、S4…単結晶成長工程、S11…炭化珪素準備工程、S12…表面除去工程
Claims (4)
- 炭化珪素単結晶の成長に用いられる炭化珪素原料の製造方法であって、
前記炭化珪素原料を含む原料物質の表面を形成する、不純物を含む不純物層を除去する表面除去工程を有し、
前記表面除去工程では、前記原料物質は、炭化珪素を溶解する液体に浸漬される炭化珪素原料の製造方法。 - 炭化珪素単結晶の成長に用いられる炭化珪素原料の製造方法であって、
前記炭化珪素原料を含む原料物質の表面を形成する、不純物を含む不純物層を除去する表面除去工程を有し、
前記表面除去工程では、前記原料物質は、炭化珪素を腐食する気体に曝される炭化珪素原料の製造方法。 - 前記液体は、熱混合酸である請求項1に記載の炭化珪素原料の製造方法。
- 炭化珪素原料を用いて炭化珪素単結晶を製造する炭化珪素単結晶の製造方法であって、
前記炭化珪素原料を含む原料物質の表面を形成する、不純物を含む不純物層を除去する表面除去工程を有し、
前記不純物層が除去された前記炭化珪素原料を昇華する工程を有する炭化珪素単結晶の製造方法。
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