JP2011161566A - 長穴加工方法、穴明装置並びにプログラム - Google Patents

長穴加工方法、穴明装置並びにプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】加工効率の良い長穴の加工方法、穴明装置並びにプログラムを提供する。
【解決手段】まず、ワークに少なくとも2つ以上の穴31を穿設し(第1の工程、図2(a))、次に、隣接する穿設された穴31,32に一部が重なるような穴を穿設して行く(第2の工程、図2(b)〜(d))。この時、穿設する穴32,35と隣接する穴とのピッチPが所定距離よりも大きい場合、第1の工程よりも遅い長穴標準切削速度で穴32を穿設し(図2(b)(c))、ピッチPが所定距離よりも小さくなったならば、長穴標準切削速度よりも速い高速切削速度で穴35を穿設し(図2(d))、長穴30の面精度を仕上げる。
【選択図】図2

Description

本発明は、プリント基板などのワークに長穴を加工する長穴加工方法、穴明装置並びにプログラムに係り、詳しくはドリルによるワークの長穴加工方法、穴明装置並びにプログラムに関する。
一般に、プリント基板などに長穴を加工する方法として、ドリルによって複数の穴を連続的に穿設し、これらの複数の穴により1つの長穴を形成する方法が知られている。長穴をこのような方法で加工する理由は、ルータマシンにプリント基板を付け替える手間を省くことはもちろんのことであるが、近年小径ドリル用に実用化された100krpm以上の高速回転スピンドルの場合、一般に横方向の負荷に対して弱く、ドリルをルータビットに持ち替えて加工することが難しいためである。
しかしながら、このように複数の穴を穿設して長穴を形成する場合、既に穿設した穴と一部が重なる形で次の穴を穿設する必要があり、ドリルに生じる切削抵抗に偏りが生じ、ドリルが曲がって折損したり、曲がり穴の原因になったりしていた。
そこで従来、ドリル径以上のピッチで順次穴明けし、ついで、これら穿設された穴間の中間点を基準として同一ピッチで穴を穿設して行くことによって、穿設済みの穴の影響を極力少なくしようとした長穴の加工方法が案出されている(特許文献1参照)。
このように、ドリル径以上のピッチで穴を穿設すると、既に穿設された穴と一部が重なる穴を穿設する数が少なくなると共に、その一部が既に穿設された穴と重なる穴を加工する場合においても、ドリルに掛かる切削抵抗の偏りを少なくすることができる。
特開平2−232108号公報
一方、本来、他の穴と重ならない穴と、穿設された穴と一部が重なってドリルが大きく曲がる可能性のある穴と、長穴の面精度を仕上げるための穴と、では上記ドリルに掛かる切削抵抗が相異し、最適な加工条件もそれぞれの穴によって異なるが、特許文献1に記載のような長穴加工方法では、全ての穴を同一の加工条件で加工していた。
そうすると、ドリルの折損率や、曲がり穴の発生数は、穴の切削速度(ドリルのZ軸方向の送り速度)に対して線形性を有しているため、その切削速度を、ドリルが曲がる可能性の高い穴に合わせて、通常のスルーホールを穿設する際よりも低速側に設定する必要があり、多数の穴を穿設する長穴加工において、必ずしも低い切削速度で穿設する必要のない穴についても低い切削速度で穿設してしまうため、加工効率が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、穿設する穴に応じて切削速度を変更することによって、長穴の品質を保持しつつ、加工効率を向上させることを可能とした長穴加工方法、穴明装置並びにプログラムを提供することを目的とする。
本発明は、ワーク(W)にドリル(15)によって複数の穴(31,32,35)を穿設し、これら複数の穴(31,32,35)により該ドリル(15)の直径(D)よりも長い長穴(30)を形成する長穴加工方法において、
前記ワーク(W)に少なくとも2つ以上の穴(31)を穿設する第1の工程(例えば、図2(a)の工程)と、
隣接する穿設された穴(例えば、穴31aと穴31cや、穴31aと穴32)の間の2等分点に、これら隣接する穿設された穴と一部が重なるように穴(32,35)を穿設し、前記第1の工程で穿設された穴の間を加工する第2の工程(例えば、図2の(b)〜(d)の工程)と、を備え、
前記第2の工程は、新たに穿設される穴(例えば、穴32や穴35)と、前記隣接する穿設された穴(例えば、穴31aと穴31cや、穴31aと穴32)との中心点間の距離(P)が所定距離(基準ピッチ)よりも大きければ、他の穴と重ならない穴を穿設する際の切削速度よりも遅い長穴標準切削速度で穿設し、前記新たに穿設される穴と、前記隣接する穿設された穴との中心点間の距離が前記所定距離以下であれば、前記長穴標準切削速度よりも速い切削速度で穿設する、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記所定距離は、長穴(30)の長さ(L)によって変更される、ことを特徴とする。
具体的には、前記長穴(30)の長さ(L)が前記ドリル(15)の直径(D)の2倍以上である場合、前記第1の工程は、前記他の穴と重ならない穴を穿設する際の切削速度で、前記ワーク(W)に互いに重ならないように複数の穴を穿設する。
具体的には、前記長穴(30)の長さ(L)が前記ドリル(15)の直径(D)の2倍未満の場合、前記第1の工程は、前記長穴(30)の始端部に始端穴(31a)を、前記他の穴と重ならない穴を穿設する際の切削速度で穿設した後、前記始端部とは反対側の端部に終端穴(31b)を、前記長穴標準切削速度で穿設する。
具体的には、前記長穴(30)の長さ(L)が前記ドリル(15)の直径(D)の2倍以上である場合、前記所定距離は、前記ドリル(15)の直径をDとして0.4Dである。
具体的には、前記長穴(30)の長さ(L)が前記ドリル(15)の直径の2倍未満の場合、前記所定距離は、前記ドリルの直径をDとして0.25Dである。
また、本発明は、上述した長穴加工方法を実行する制御部(21)を有する、ことを特徴とする穴明装置(100)にある。
更に、本発明は、穴明装置(100)の制御部(21)に上述した長穴加工方法を実行させる、ことを特徴とするプログラムにある。
また、本発明は、ワーク(W)にドリル(15)によって複数の穴(31,32,35)を穿設し、これら複数の穴(31,32,35)により該ドリル(15)の直径(D)の2倍よりも長い長穴を形成する長穴加工方法において、
前記ワーク(W)に互いに重ならないように複数の穴を穿設する第1高速穿設工程と、
隣接する穿設された穴(例えば、穴31aと穴31cや、穴31aと穴32)に一部が重なるように、前記第1の工程の切削速度よりも遅い長穴標準切削速度で、穴(32,35)を穿設する長穴標準穿設工程と、
隣接する穿設された穴(例えば、穴31aと穴31cや、穴31aと穴32)に一部が重なるように、前記長穴標準穿設工程の長穴標準切削速度より速い高速切削速度で、穴(32,35)を穿設する第2高速穿設工程と、を備え、
前記長穴標準穿設工程は、該長穴標準穿設工程により穿設する穴(32)と、該穴に隣接する穿設された穴(例えば、穴31aと穴31c)との中心点間の距離が、所定距離よりも大きい場合に作動し、
前記第2高速穿設工程は、該第2高速穿設工程により穿設する穴(35)と、該穴に隣接する穿設された穴との距離(例えば、穴31aと穴32)が、前記所定距離よりも小さい場合に作動してなる、ことを特徴とする。
また、本発明は、ワーク(W)にドリル(15)によって複数の穴(31,32,35)を穿設し、これら複数の穴(31,32,35)により該ドリル(15)の直径(D)の2倍以下の長さの長穴を形成する長穴加工方法において、
前記長穴(30)の始端部に始端穴(31a)を穿設する始端穴工程と、
前記始端部とは反対側の端部に終端穴(31b)を、前記始端穴工程よりも遅い長穴標準切削速度で穿設する終端穴工程と、
前記始端穴(31a)及び終端穴(31b)に一部が重なる中間穴(32,35)を穿設する中間穴工程と、を備え、
前記中間穴工程は、該中間穴工程により穿設される穴(32,35)と、該穴(32,35)に隣接する穴(例えば穴31aや穴32)と、の中心点間の距離が所定距離よりも大きい場合、前記長穴標準切削速度で穿設し、前記中間穴工程により穿設される穴(32,35)と、該穴に隣接する穴(例えば穴31aや穴32)と、の中心点間の距離が前記所定距離よりも小さい場合、前記長穴標準切削速度よりも速い高速切削速度で穿設する、ことを特徴とする。
なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る発明によると、多数の穴を穿設する長穴加工の第2の工程において、穴を穿設する際に、新たに穿設される穴と、この新たに穿設される穴に隣接する穴との中心点間の距離が所定距離以下か否かにより、ドリルが大きく曲がる可能性のある穴か、ドリルが大きく曲がる可能性の低い穴かを判別し、圧倒的に多数であるドリルが大きく曲がる可能性の低い穴に対しては、長穴標準切削速度よりも速い切削速度で穿設することにより、長穴の加工品質を維持しつつ、その加工効率を向上させることができる。
請求項2に係る発明によると、長穴の長さに基づいて穴の切削速度を切換える基準となる所定距離の値を変更することによって、長穴の長さに合わせた最適な加工条件で長穴を穿設することができる。
請求項3に係る発明によると、長穴の長さが前記ドリルの径の2倍以上である場合、第1の工程を、ワークに互いに重ならないように穴を穿設する工程とすることによって、長穴標準切削速度よりも速い切削速度で穿設することの出来る、他の穴と重ならない穴の穿設数を増やすことができ、加工効率を向上させることができる。
請求項4に係る発明によると、長穴の長さが前記ドリルの径の2倍未満の場合、第1の工程において、始端穴と重なる終端穴は、切削速度の遅い長穴標準切削速度で穿設することによって、ドリルが折損したり、曲がり穴が発生したりすることを防止することができる。
請求項5に係る発明によると、長穴の長さがドリル径の2倍以上である場合、穴の切削速度を切換える基準基準である所定距離を、ドリル径の0.4倍としたことにより、長穴の長さに合わせて最適な加工条件で長穴を穿設することができる。
請求項6に係る発明によると、長穴の長さがドリル径の2倍未満である場合、穴の切削速度を切換える基準基準である所定距離を、ドリル径の0.25倍としたことにより、長穴の長さに合わせて最適な加工条件で長穴を穿設することができる。
本発明の実施形態に係る穴明装置の斜視図。 (a)〜(d)長穴の長さがその幅の2倍以上の場合の長穴加工方法を示す工程図。 (a)〜(c)長穴の長さがその幅の1.5倍よりも大きく2倍未満の場合の長穴加工方法を示す工程図。 (a)〜(b)長穴の長さがその幅の1.5倍以下の場合の長穴加工方法を示す工程図。
以下、図面に沿って本発明に係るワークの長穴加工方法及び穴明装置について説明をする。
[穴明装置の構成]
図1に示すように、穴明装置100は、床面に載置された固定部材としてのベッド4を有しており、該ベッド4上には、モータ3によりその長手方向(Y軸方向)とは直交する方向(X軸方向)に移動自在に構成された加工テーブル1が設けられており、この加工テーブル1上にプリント基板(ワーク)Wが載置される。
また、ベッド4には、上記加工テーブル1を跨ぐようにしてクロスレール5が固定されており、該クロスレール5の前面にはガイド6が設けられている。ガイド6には、クロススライド7が取付けられており、クロススライド7はモータ8により上記ガイド6に沿ってY軸方向に移動自在に構成されている。
上記クロススライド7の前面には、ガイド10が上下方向(Z軸方向)に設けられており、このガイド10にはベース11が支持されている。ベース11はモータ12によってZ軸方向に移動自在に構成され、ベース11にはドリル15を回転自在に保持するスピンドル14が取付けられている。
また、これら、加工テーブル1をX軸方向に移動させるモータ3、クロススライド7をY軸方向に移動させるモータ8、ベース11をZ軸方向に移動させるモータ12及びドリル15を回転させるスピンドル14は、それぞれ制御部21に接続しており、該制御部21によって格納された加工プログラムに沿って制御されている。
上記制御部21は、スルーホールを穿設する際には、まずモータ3を駆動して加工テーブル1を移動させてプリント基板WのX軸方向位置を決め、そして、クロススライド7をY軸方向に移動させてドリル15の軸線を加工しようとする穴の中心に位置決めする。ついで、制御部21は、スピンドル14によりドリル15を所定の回転速度で回転させると共に、モータ12によってドリル15を所定の切削速度でZ軸方向に移動させ、加工テーブル1の載置面に保持されたプリント基板Wに穴を穿設する。
[長穴加工方法]
次に、ワークにドリルによって複数の穴を穿設し、これら複数の穴により長穴30を形成する方法について説明をする。なお、長穴30とは、その幅Dよりも全長(長さ)Lの長い穴のことである。また、長穴30は、その幅Dと同径のドリル15によって穿設されるため、以下の説明中において、ドリル15の直径と、長穴30の幅とは同じ意味で使用すると共に、隣接する穴(隣接する穿設された穴)とは、長穴30の長手方向の各側において、中心点間の距離が最も近い穴のことをいう(例えば、図2(a)を参照すると、穴31cに対しては、穴31a,31bがそれぞれ隣接する穴となる)。
長穴30を穿設するにあたって穴明装置100は多数の穴を穿設する必要があるが、穿設される穴は、
状態1:既に穿設された穴と全く重ならずに穿設可能な穴31であり、高速切削速度(通常のスルーホールと同じ切削速度程度のもの)で穴を穿設することができる状態、
状態2:穿設された穴と穴の間に穿設される穴32であり、その一部がこれら既に穿設された穴と重なるため、条件によりドリル15が大きく曲がる可能性のある状態、
状態3:状態2と同様に穿設された穴と穴の間に穿設される穴35ではあるが、穿設するべき面積が小さく、単にさらえるだけの仕上げ加工であり、ドリル15に掛かる負荷が小さいため高速切削速度で穴を穿設することができる状態、
の3つの状態に大別することができる。
ここで、重なるように穿設された隣接する穴の間に残る突起部(山部)33の高さhと、これら隣接する穴の中心点間(OとOの間)の距離Q及びドリル径Dとの関係は、以下の式(1)によって表される。
Figure 2011161566
本発明は、長穴の長さLが2D以上の場合(図2参照)について、穿設する穴が穿設済みの他の穴と重ならない場合は上述の状態1であり(例えば穴31)、隣接する穿設された穴間に穿設される穴であって、これら隣接する穿設された穴間の突起部33の高さhがD/5を超える場合は状態2であり(例えば穴32)、これら隣接する穿設された穴間の突起部33の高さhがD/5以下になった場合は状態3(例えば穴35)と判定して良いとの知見が得られたことによるものである。
これを穿設された穴の中心点間の距離Qで表現すると、2D≦Qの場合は状態1、0.8D<Q<2Dの場合は状態2、Q≦0.8Dの場合は状態3ということである。
ここで、隣接する穿設された穴間に新たに穴を穿設する場合(例えば穴32や穴35)は、これら穿設された穴の間の2等分点に穴が穿設されるため、新たに穿設される穴と、上記隣接する穿設された穴との中心点間の距離であるピッチPは、隣接する穿設された穴間の距離Qの2分の1となる。すると、上記の判定条件は、D≦Pの場合は状態1、0.4D<P<Dの場合は状態2、P≦0.4Dの場合は状態3ということになる。このように、ピッチPを用いると片側にしか穿設済みの穴がない場合や穴が重ならない場合をも含めた判定条件を表現することができる。また、判定は上記2つのパラメータ(h,Q)と組み合わせて行っても良い。(例えば、新たに穿設される穴と隣接する穿設された穴とが重なるまでは(D≦P)高速切削速度、重なった後は穴間の突起部33の高さhで判定する、等。)
また本発明は、長穴の長さLが2D未満の場合(図3及び図4参照)について、始端穴31aを穿設する場合は状態1、終端穴31bは状態2であり、第3穴目以降の穴については、隣接する穿設された穴間の突起部33の高さhが0.67Dを超える場合は状態2(例えば図3の穴32)、突起部33の高さhが0.67D以下の場合は状態3(例えば図3及び図4の穴35)と判定して良いとの知見が得られたことによるものである。なお、この場合、第4穴目以降の穴は常に状態3となる。
これを隣接する穿設された穴間の距離Qで表現すると、第3穴目以降については、0.5D<Q(<D)の場合は状態2、Q≦0.5Dの場合は状態3ということである。
ここで、新たに穿設される穴(例えば穴32や穴35)と、上記隣接する穿設された穴との中心点間の距離であるピッチPで上記判定手条件を表現すると、第3穴目以降については、0.25D<P
(<0.5D)の場合は状態2、P≦0.25Dの場合は状態3ということになる。
このように長穴の長さLが2D未満の場合については、長穴の長さLが2D以上の場合より突起部33の高さの判定基準を厳しく設定したが、これは長穴の長さLが2D未満の場合は始端穴と終端穴の位置ずれ等により長穴の形状が崩れ易いため、ドリルの曲がりも発生し易いことによる。
尚、長穴30の面精度は、穴と穴との間に残る突起部33の最終的な高さhもしくは、最終的に穿設された穴の中心点間の距離Qによって決定される。
本実施形態に係る長穴30の加工方法は、上記知見を踏まえて、穿設する穴をこれら状態1〜3に振分けて切削速度を変更するものであり、制御部21は、長穴30の加工指令を受けると、まず上記切削速度の設定を、作業者の設定操作、ドリル径(ドリルの直径)Dのデータ、もしくは入力されたプリント基板のデータ(材質、枚数)に基づいて決定する。即ち、状態1及び状態3の穴31,35を穿設する高速切削速度と、高速切削速度よりも遅く設定された状態2の穴を穿設するための長穴標準切削速度との間の増減率を決定する。
ついで、制御部21は、長穴30の形状(幅D及び全長L)と、作業者によって予め設定された長穴30の面精度と、に基づいて穴加工の順序及びその数を決定し、穴の加工順序が決定されると、長穴30の全長Lに応じて穴の加工条件の場合分けを行う。この場合分けは、大きくは、長穴30の全長Lがその幅(ドリル径)Dの2倍以上か(L≧2D)、それ未満か(L<2D)によって大別され、状態2から状態3への切削速度の切り替えのための所定距離(以下、ピッチPに関して「基準ピッチ」という。)が決定される。そして、この基準ピッチに基づいて、制御部21は穿設する各穴の切削速度を決定し、この加工条件に沿って長穴30の実際の加工を開始する。
具体的には、制御部21は、まず、長穴標準切削速度を0.5m/min〜0.7m/minとし、高速切削速度を、ドリル径によらず長穴標準切削速度の2倍(1.0m/min〜1.4m/min)とする第1モードと、ドリル径がφ1.0〜2.0mmの場合は長穴標準切削速度の3倍(1.5m/min〜2.1m/min)、ドリル径がφ3.0mm〜4.0mmの場合は長穴標準切削速度の2倍(1.0m/min〜1.4m/min)と、ドリル径により変更する第2モードと、の中から選択する。
ついで、制御部21は穴の加工順序を、例えば、まず長穴30の両端部に穴31a(始端穴),31b(終端穴)を穿設し、次に、これら長穴30の両端部に穿設された穴の中心点間(OとOの間)の距離Qがドリル15の径Dの2倍以上の場合(Q≧2D)には、これら両端部に穿設された穴31a,31bの間に重ならないように穴31cを穿設して行き(第1の工程)、そして、隣接する穴の中心点間の距離Qがドリルの径Dの2倍未満になると(Q<2D)、隣接する穴に穿設する穴の一部が重なり始めるため、予め作業者により設定された面精度になるまで、順次、隣接する穴の中心点間の2等分点に穴32・・・,35・・・を穿設する(第2の工程)ように設定し、長穴30を穿設する際に穿設する穴数を算出する。
[長穴の加工工程]
次に、長穴30の実際の加工工程について、長穴30の全長Lに応じて場合分けをして説明をする。
[L≧2Dの場合]
図2(a)〜(d)はL≧2Dの場合、より具体的にはL/D=4.75の場合を示す。
図2(a)に示すように、長穴30の全長Lがドリル径(長穴の幅)Dの2倍以上の場合(L≧2D)、まず、長穴30の両端部に穴31a,31bが高速切削速度で穿設されると共に、これら両端部に穿設された穴31a,31bの中心点O,O間の2等分点Oに穴31cが高速切削速度で穿設される。穿設された穴間の距離(例えば中心点Oと、中心点Oとの間)Qがドリル径Dの2倍以上ある場合には、さらに隣接する穴間の2等分点に穿設する穴は前述の状態1の穴であるので、高速切削速度で穿設する(第1の工程)。ここで、穿設する穴と隣接する穿設済みの穴で最も近い穴との中心点間の距離であるピッチPを用いると、この判定条件はP≧Dである。
この第1の工程において、長穴30の全長Lが4Dを超えるか、又は隣接する穴の中心点間距離Qが3Dを超える場合、2等分点ではなく3等分点に対して加工を行っても良い。
また、この場合において、穴の加工順は31a、31b、31cではなく、31a、31c、31bであっても良い。
そして、穿設された穴間の距離(例えば中心点Oと、中心点Oとの間)Qがドリル径Dの2倍未満、になって、他の穴と重ならずに穴を穿設できなくなると、図2(b)及び(c)に示すように、これら穿設された穴の中心点間の2等分点(例えば、穴31aの中心点Oと穴31cの中心点Oとの間の2等分点Oや、穴31cの中心点Oと穴31bの中心点Oとの間の2等分点O)に、これら隣接する穴31a,31b,31cと円周の一部が重なる形で穴32を穿設する(第2の工程)。
ここで、穴あけ位置を隣接する穴の中心点間の2等分点にしない場合は、ドリル15の曲がりが発生し易くなるために好ましくない。
この時、穴32は、穿設された穴の中心点間の距離(隣接する穴31a,31b,31cとの中心点間の距離)Qが、ドリル径Dの0.8倍より大きく2倍未満であり(0.8D<Q<2D)、制御部21にドリル20が曲がる可能性の高い穴(状態2の穴)であると判別されているため、長穴標準切削速度によって穿設される。ここで、穿設する穴と隣接する穿設済みの穴の中心点間の距離であるピッチPを用いると、PはQの2分の1であるため、0.4D<P<Dの場合ということになる。この場合、基準ピッチは0.4Dに設定されている。
図2(b)の場合P=0.94、(c)の場合P=0.47であり、どちらも0.4D<P<Dであるから、第4穴目から第9穴目までを長穴標準切削速度で加工することになる。
ついで、図2(d)に示すように、穿設する穴35のピッチP(例えば、中心点OとOとの間の距離や、中心点OとOとの間の距離など)がドリル径Dの0.4倍以下になると(P≦0.4D)、制御部21に、長穴30を所定の面精度にする仕上げ加工のための穴(状態3の穴)であるとみなされるため、その切削速度が長穴標準切削速度から高速切削速度に切換わり、この高速切削速度で長穴30が所定の面精度になるまで穿設された穴31,32,35の2等分点(例えばOなど)に穴が穿設されて行く(第2の工程)。
ここで、穴あけ位置を隣接する穴の中心点間の2等分点にすることにより穴壁面の面精度が向上する。
このように、長穴30の全長Lがドリル径(長穴の幅)Dの2倍以上の場合(L≧2D)、長穴加工方法は、高速切削速度でワークWに穴31を重ならないように穿設する第1高速切削工程(図2(a)参照)と、隣接する穿設された穴に一部が重なるように、長穴標準切削速度で状態2の穴32を穿設する長穴標準切削工程(図2(b)、図2(c)参照)と、隣接する穿設された穴に一部が重なるように、高速切削速度で状態3の穴35を穿設し、長穴30の面精度を仕上げる第2高速切削工程(図2(d)参照)と、から構成されており、上記長穴標準切削工程は、基準ピッチがドリル径Dの0.4倍よりも大きく1倍より小さい場合(0.4D<P<D)に作動し、第2高速切削工程は、基準ピッチがドリル径Dの0.4倍以下の場合(0.4≦D)に作動する。
[1.5D<L<2Dの場合]
穴30の全長Lがドリル径(長穴の幅)Dの2倍未満の場合(L<2D)については、基準ピッチは0.25Dに設定されるが、この場合基準ピッチを用いずとも、長穴の長さLを用いて下記のように場合分けすることができる。
図3(a)〜(c)に示すように、長穴30の全長Lがドリル径(長穴の幅)Dの2倍未満で、かつ1.5倍より大きい場合(1.5D<L<2D)については、まず、長穴30の両端部に穴31a,31bが穿設される。しかしながら、長穴30の長さがドリル径Dの2倍未満であるため、これら長穴30の端部に穿設される穴31a,31bの内、長穴30の始端部に最初に穿設される始端穴31aについてはどの穴とも重なっていないため、状態1の穴として高速切削速度で穿設される(始端穴工程)が、該始端部とは反対側の端部に穿設される終端穴31bについては始端穴31aと円周の一部が重なってしまうため、ドリル15が曲がる可能性の高い穴(状態2の穴)であるとして長穴標準切削速度で穿設される(終端穴工程)(以上、第1の工程)。
ついで、これら長穴30の端部に穿設された穴31a,31bの2等分点に第3の穴を穿設するが、穿設する穴と隣接する穿設された穴との中心点間距離Pがドリル径Dの0.5倍未満でかつ0.25倍より大きい(0.25D<P<0.5D)ため、ドリル15が曲がる可能性のある穴(状態2の穴)と判別され、長穴標準切削速度で穿設される(第1中間穴工程)。
そして、始端穴31aと第3の穴との中心点間の2等分点に穿設される第4の穴以降の穴(中間穴)は必ずP≦0.25D(状態3)になるので、仕上げ加工であるとして、所定の面精度になるまで穿設された穴の間の2等分点に高速切削速度で穿設されて行く(第2中間穴工程)(以上、第2の工程)。
[L≦1.5Dの場合]
図4(a)〜(b)に示すように、長穴30の全長Lがドリル径(長穴の幅)Dの1.5倍以下の場合(L≦1.5D)、終端穴工程後は穿設された穴31a,31bのピッチPは常に設定された基準ピッチ0.25D以下(P≦0.25D)であるので、仕上げ加工であると判断され(状態3の穴)、高速切削速度で第3の穴を穿設できる(第1中間穴工程)。その後、高速切削速度で長穴30が所定の面精度になるまで穿設された穴間の2等分点に、上記始端穴31a及び終端穴31bに一部が重なる中間穴が穿設されて行く(第2中間穴工程)(以上、第2の工程)。即ち、この場合には長穴標準切削速度を用いる加工を1回のみ(終端穴31b穿設時のみ)にできる。
上述したように、長穴30を穿設するにあたって、多数を占める状態3の穴を判別しながら加工することによって、多くの穴を高速切削速度により穿設することができるため、長穴30の加工効率を向上させることができる。即ち、本実施形態に係る長穴30の加工方法では、少なくとも2つ以上の穴を、L≧2Dの場合には上記第1高速切削工程にて、L<2Dの場合には、始端穴工程及び終端穴工程により、ワークWに穿設し(第1の工程)、この第1の工程で穿設された穴の間を、長穴30を穿設するにあたって、圧倒的に多数であった状態2の穴と状態3の穴とを判別しながら加工している。
また、状態2の穴(ドリルの大きく曲がる可能性の高い穴)については長穴標準切削速度で穿設することと、状態2の穴及び状態3の穴を隣接している穴の中心点間の2等分点に穿設することとが相俟って、ドリル15の左右による切削抵抗の差を少なくして既に穿設された穴の影響を小さくし、ドリルが大きく曲がることを防止することができる。そして、ドリルが折損することを防ぐことができると共に、曲がり穴の発生も抑えることができるため、長穴30の品質をも維持することができる。
更に、長穴30の全長Lに合わせて基準ピッチを変更することと、長穴30の全長Lがドリル径Dの2倍以下の場合、終端穴31bを状態2の穴として長穴標準切削速度で穴を穿設することとが相俟って、長穴30の形状に合わせて加工条件を最適化することが出来る。
また、このように基準ピッチを基準として穴の状態を判断するようにすると、穴を穿設する順序さえ決定してしまえば各穴の穿設速度を決定できるため、簡単なプログラムの変更により、長穴30の加工効率を向上させることができる。
また、状態1の穴を穿設する工程(少なくとも2つ以上の穴を穿設する工程)では、穴のピッチPがドリル径Dよりも大きければ良いため、長穴30の両端部に穿設された穴31a,31bの中心点間の距離Qが大きい場合、2等分点ではなく、3等分点に穴を穿設しても良いと共に、これら2分点と3等分点を織り交ぜて最適なピッチにしても良い。更に、長穴30の一方の端部から他方の端部に向かってドリル15の径Dよりも大きな所定ピッチで長穴30に穴を明けて行っても良い。
また、例えば長穴30の長さが長い場合など、必ずしも長穴30の全長に亘って、一度に加工する必要はなく、長穴30の中途部まで所定の面精度になるように穴明けをし、ついで、残りの部分について加工をして良い。
更に、状態1及び3の穴を穿設する切削速度は、状態2の穴を切削する長穴標準速度よりも速ければ良いため、状態1の穴を穿設する切削速度と、状態3の穴を穿設する切削速度と、は必ずしも同じ切削速度に設定する必要はなく、異ならせても良い。
なお、突起部33の高さhを基準として使用する場合、0.4D<P<Dは1/5D<h<1/2Dに換算されると共に、P≦0.4Dはh≦1/5Dに換算される。また、P≦0.25Dは、約h≦0.067Dに換算される。
[実施例]
次に、本発明に係る長穴加工方法を実際に適用した加工例について説明をする。
[実施例1]
なお、プリント基板Wの加工に際し、ドリル15は、直径(ドリル径)φ1.0mmのドリルを使用すると共に、プリント基板Wは、1.6mm厚のFR−4基板を3枚重ねにして使用した。また、上板に0.15mm厚のアルミニウム板を使用すると共に、長穴(D=1.0mm,L=5.0mm)数80を形成した。更に、加工条件は、長穴標準切削速度を0.7m/min、高速切削速度及び通常のスルーホールの切削速度を長穴標準切削速度の3倍である2.1m/minとした。使用した装置のスピンドル14は160krpm用のものであり、本加工は60krpmで行った。用いた加工装置は、図1を用いて説明したような従来の加工装置に、上述した本発明による加工方法を制御するためのプログラムを搭載したものである。
このような長穴を穴壁面の面精度(h/Q)を0.4%以下にしようとすると、従来長穴1つ当たり33穴必要になる。本発明を適用した長穴30の加工方法でも長穴1つ当たり33穴であり、第1穴(始端穴)目から第5穴目まではP≧1mm≧Dであるので状態1の穴として高速切削速度を使用し、第6穴目から第9穴目までは0.4D<P=0.5mm<Dであるので状態2の穴として長穴標準切削速度を使用し、第10穴目から最後の第33穴目まではP≦0.25mm≦0.4Dであるので状態3の穴として高速切削速度を使用する。従って、80の長穴を加工するのに長穴標準切削速度で穿設された穴が320穴(4穴/長穴)、高速切削速度で穿設された穴が2320穴(29穴/長穴)となり、加工時間は13分であった。尚、本実施例における面精度(h/Q)は0.4%である。
[比較例1]
一方、全ての長穴30を長穴標準切削速度で穿設した場合(従来条件)、長穴標準切削速度で穿設された穴が2640穴(33穴/長穴)であり、加工時間は28分であった。
このように、1つの長穴30を穿設するのに必要な33の穴数の内、本発明を適用した方法では、たった4穴のみ長穴標準速度で加工する必要がないことが分かると共に、その加工効率(生産効率)も、115パーセント(=28分/13分−1)、向上させることができた。このことから、穴明け順序と穴間隔を解析し、高速加工が可能な穴明けと、低速加工が必要な穴明けに分け、それぞれに対して予め設定された切削速度で加工を行うことによって、穴品質を損なわずに長穴30の加工効率を向上させることできることが分かる。
[実施例2]
実施例1記載の長穴30を、第1穴(始端穴)目から第9穴目までの全てに長穴標準切削速度を使用し、残りの第10穴目から最後の第33穴目までを高速切削速度を使用して加工した。従って、80の長穴を加工するのに長穴標準切削速度で穿設された穴が720穴(9穴/長穴)、高速切削速度で穿設された穴が1920穴(24穴/長穴)となり、加工時間は16分であった。このように、この場合にも加工効率が75パーセント向上する。
[実施例3]
ドリル15は、直径(ドリル径)φ1.0mmのドリルを使用すると共に、プリント基板Wは、1.6mm厚のFR−4基板を3枚重ねにして使用した。また、上板に0.15mm厚のアルミニウム板を使用すると共に、長穴(D=1.0mm,L=1.75mm)数80を形成した。更に、加工条件は、長穴標準切削速度を0.7m/min、高速切削速度及び通常のスルーホールの切削速度を長穴標準切削速度の3倍である2.1m/minとした。
このような長穴を穴壁面の面精度(h/Q)を0.4%以下にしようとすると、従来長穴1つ当たり7穴必要になる。本発明を適用した長穴30の加工方法では9穴の穴あけが必要になるが、第1穴(始端穴)目は状態1の穴として高速切削速度を使用し、第2穴目及び0.25D<P=0.375mmである第3穴目は状態2の穴として長穴標準切削速度を使用し、第4穴目から最後の第9穴目まではP≦0.1875mm≦0.25Dであるので状態3の穴として高速切削速度を使用する。従って、80の長穴を加工するのに長穴標準切削速度で穿設された穴が160穴(2穴/長穴)、高速切削速度で穿設された穴が560穴(7穴/長穴)となり、加工時間は4分であった。尚、本実施例における面精度(h/Q)は0.3%である。
[比較例2]
一方、従来必要とされる長穴1つ当たり7穴全てを長穴標準切削速度で穿設した場合(従来条件)、長穴標準切削速度で穿設された穴が560穴(7穴/長穴)であり、加工時間は8分であった。即ち、実施例3の加工方法では加工効率が100パーセント向上する。
[実施例4]
実施例3記載の長穴30を、第1穴(始端穴)目から第3穴目までの全てに長穴標準切削速度を使用し、残りの第4穴目から最後の第9穴目までを高速切削速度を使用して加工した。従って、80の長穴を加工するのに長穴標準切削速度で穿設された穴が240穴(3穴/長穴)、高速切削速度で穿設された穴が480穴(6穴/長穴)となり、加工時間は5分であった。このような場合にも加工効率が60パーセント向上し、十分な加工効率の向上が得られたことが分かる。
[実施例5]
ドリル15は、直径(ドリル径)φ1.0mmのドリルを使用すると共に、プリント基板Wは、1.6mm厚のFR−4基板を3枚重ねにして使用した。また、上板に0.15mm厚のアルミニウム板を使用すると共に、長穴(D=1.0mm,L=1.45mm)数80を形成した。更に、加工条件は、長穴標準切削速度を0.7m/min、高速切削速度及び通常のスルーホールの切削速度を長穴標準切削速度の3倍である2.1m/minとした。
このような長穴を穴壁面の面精度(h/Q)を0.4%以下にしようとすると、従来長穴1つ当たり5穴必要になる。本発明を適用した長穴30の加工方法でも長穴1つ当たり5穴であり、第1穴(始端穴)目は状態1の穴として高速切削速度を使用し、第2穴目は状態2の穴として長穴標準切削速度を使用し、第3穴目から最後の第5穴目まではP≦0.225mm≦0.25Dであるので状態3の穴として高速切削速度を使用する。従って、80の長穴を加工するのに長穴標準切削速度で穿設された穴が80穴(1穴/長穴)、高速切削速度で穿設された穴が320穴(4穴/長穴)となり、加工時間は3分であった。尚、本実施例における面精度(h/Q)は0.4%である。
[比較例3]
一方、全ての長穴30を長穴標準切削速度で穿設した場合(従来条件)、長穴標準切削速度で穿設された穴が400穴(5穴/長穴)であり、加工時間は5分であった。即ち、実施例5の加工方法では加工効率が67パーセント向上する。
[実施例6]
実施例5記載の長穴30を、第1穴(始端穴)目から第2穴目までの全てに長穴標準切削速度を使用し、残りの第3穴目から最後の第5穴目までを高速切削速度を使用して加工した。従って、80の長穴を加工するのに長穴標準切削速度で穿設された穴が160穴(2穴/長穴)、高速切削速度で穿設された穴が240穴(3穴/長穴)となり、加工時間は3分であった。このように、この場合にも加工効率が67パーセント向上する。
[実施例7]
実施例1の条件において、第1の工程における穴あけ位置として3等分点を用いた。このような長穴を穴壁面の面精度(h/Q)を従来0.4%以下にしようとすると、本実施例では長穴1つあたり49穴必要となるが、第1穴(始端穴)目から第4穴目まではP≧1mm≧Dであるので状態1の穴として高速切削速度を使用し、第5穴目から第7穴目までは0.4D<P=0.667mm<Dであるので状態2の穴として長穴標準切削速度を使用し、第8穴目から最後の第49穴目まではP≦0.333mm≦0.4Dであるので状態3の穴として高速切削速度を使用する。従って、80の長穴を加工するのに長穴標準切削速度で穿設された穴が240穴(3穴/長穴)、高速切削速度で穿設された穴が3680穴(46穴/長穴)となり、加工時間は16分であり、本実施例においても従来の条件比較例1での加工条件での加工時間28分に比べて加工効率が75パーセント向上する。尚、本実施例における面精度(h/Q)は0.2%である。長穴の長さによっては本実施例の場合の方が実施例1より加工効率が向上する場合があるので、事前にシミュレーション等によって確認し、使い分けると良い。
[実施例8]
実施例7記載の加工方法において、第1穴(始端穴)目から第7穴目までの全てに長穴標準切削速度を使用し、残りの第8穴目から最後の第49穴目までを高速切削速度を使用して加工した。従って、80の長穴を加工するのに長穴標準切削速度で穿設された穴が560穴(7穴/長穴)、高速切削速度で穿設された穴が3360穴(42穴/長穴)となり、加工時間は20分であった。このように、この場合にも加工効率が40パーセント向上する。
W ワーク
1 加工テーブル
15 ドリル
21 制御部
31 穴(状態1の穴)
31a 始端穴
31b 終端穴
32 穴(状態2の穴)
35 穴(状態3の穴)
D ドリルの直径(ドリル径)
P 穿設する穴と穿設済みの穴の中心点間距離(ピッチ)
Q 穿設する穴の両隣りにある穿設済みの穴の中心点間距離

Claims (8)

  1. ワークにドリルによって複数の穴を穿設し、これら複数の穴により該ドリルの径よりも長い長穴を形成する長穴加工方法において、
    前記ワークに少なくとも2つ以上の穴を穿設する第1の工程と、
    隣接する穿設された穴の間の2等分点に、これら隣接する穿設された穴と一部が重なるように穴を穿設し、前記第1の工程で穿設された穴の間を加工する第2の工程と、を備え、
    前記第2の工程は、新たに穿設される穴と、前記隣接する穿設された穴との中心点間の距離が所定距離よりも大きければ、他の穴と重ならない穴を穿設する際の切削速度よりも遅い長穴標準切削速度で穿設し、前記新たに穿設される穴と、前記隣接する穿設された穴との中心点間の距離が前記所定距離以下であれば、前記長穴標準切削速度よりも速い切削速度で穿設する、
    ことを特徴とする長穴加工方法。
  2. 前記所定距離は、長穴の長さによって変更される、
    請求項1記載の長穴加工方法。
  3. 前記長穴の長さが前記ドリルの直径の2倍以上の場合、前記第1の工程は、前記他の穴と重ならない穴を穿設する際の切削速度で、前記ワークに互いに重ならないように複数の穴を穿設する、
    請求項1又は2記載の長穴加工方法。
  4. 前記長穴の長さが前記ドリルの直径の2倍未満の場合、前記第1の工程は、前記長穴の始端部に始端穴を、前記他の穴と重ならない穴を穿設する際の切削速度で穿設した後、前記始端部とは反対側の端部に終端穴を、前記長穴標準切削速度で穿設する、
    請求項1又は2記載の長穴加工方法。
  5. 前記所定距離は、前記ドリルの直径をDとして0.4Dである、
    請求項3記載の長穴加工方法。
  6. 前記所定距離は、前記ドリルの直径をDとして0.25Dである、
    請求項4記載の長穴加工方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項記載の長穴加工方法を実行する制御部を有する、
    ことを特徴とする穴明装置。
  8. 穴明装置の制御部に請求項1乃至6のいずれか1項記載の長穴加工方法を実行させる、
    ことを特徴とするプログラム。
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