JP2011153312A - 塗料組成物としての水性結合剤分散液 - Google Patents

塗料組成物としての水性結合剤分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】 向上した塗膜硬度および光学的特性を有する塗膜を形成でき、先行技術の欠点を有さない水性結合剤分散液を提供する。
【解決手段】 カルボン酸基および/またはカルボキシレート基を有する少なくとも1種のコポリマーを含む水性結合剤分散液であって、該コポリマーが、脂環式構造を持つカルボキシル無含有(メタ)アクリル酸エステルの構造単位を有し、分散液中におけるコポリマーのカルボン酸基の少なくとも25モル%が、トリエタノールアミンで中和された形態で存在し、かつ、500〜30,000の数平均分子量を有し、100%の形態におけるコポリマーのOH含有量は3.5〜7.5質量%であり、100%形態のコポリマー(P)の酸価は15〜40mg KOH/gである水性結合剤分散液。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規水性結合剤分散液、その製造方法、および高品位塗膜用の塗料組成物としてのその使用に関する。
先行技術から、水希釈性ペイントおよび塗料物質中において、コポリマーをベースとする分散液を使用することは知られている。その目的が、例えば溶剤または化学品に対する塗膜の耐性に関する高品質レベルである場合、該分散液は、架橋性官能基を備え付けられ、適用前に、架橋剤、例えば多官能性イソシアネートと混合される。イソシアネートと架橋することができる基を有するコポリマーをベースとする分散液および多官能性ポリイソシアネートを含む、水性二成分ポリウレタン塗料は、その高品質レベルを基礎とするそのような要求プロフィルのために、ますます使用されている。
欧州特許出願公開第557 844号明細書(EP-A 557 844)は、親水性ポリイソシアネートと、実際上カルボキシレート基を有さず、外部乳化剤により安定化されているヒドロキシ官能性エマルションコポリマーとをベースとする水性二成分ポリウレタン塗料を記載している。或る適用に対してそのような塗料系は、該ポリマーの高分子量、および外部乳化剤を使用した場合における永続する親水性の故に、耐水性、顔料のぬれ、特に塗膜の光学的特性において不都合を有する。
欧州特許出願公開第358 979号明細書、独国特許出願公開第42 262 70号明細書(DE-A 42 262 70)および欧州特許出願公開第1 024 184号明細書は、ビニルポリマー第2分散液とポリイソシアネート架橋剤とをベースとする水性二成分ポリウレタン反応系を記載し、これは、既に良好なレベルの性質を有する。該系におけるビニルポリマーは、ポリイソシアネートのための乳化剤として機能し、そうして、NCOおよび水の間の望ましくない反応を防止する。しかしながら或る適用に対して、固形分、耐性、特に耐水性、塗膜硬度、および塗膜の光学的特性に関する向上が望まれる。
独国特許出願公開第44 35 950号明細書、同第44 07 415号明細書および同第44 39 669号明細書は、溶剤性だけでなく、水性塗料物質も記載し、その中では乾燥、およびまた塗膜の耐薬品性および/または耐水性を、さらに脂環式モノマーを使用することにより向上させ得る。しかしながら多くの適用のために、水性塗料物質の場合での塗膜硬度、特に塗膜の光学的特性(光沢、曇り)におけるさらなる向上が望まれる。
塗膜の光学的特性における欠点(例えば、低い光沢、認識できる曇り、レベリングの問題)は、特に、「硬化モノマー」と称されるもの、即ち、ホモポリマーの形態で0℃を超えるガラス転移点を有するモノマーを増やして使用する場合に観察される。「硬化」モノマーの例は、スチレン、メチルメタクリレート、n-、イソ-またはt-ブチルメタクリレートおよび脂環式(メタ)アクリル酸エステルである。塗膜の光学的特性におけるこれらの欠如の原因は、ポリイソシアネート架橋剤のポリオール分散液中への組込みまたは分散性が困難または不良であることであり、これは、架橋剤の結合在中へのより不均一な分布につながる。
欧州特許出願公開第557 844号明細書 欧州特許出願公開第358 979号明細書 欧州特許出願公開第1 024 184号明細書 独国特許出願公開第42 262 70号明細書 独国特許出願公開第44 35 950号明細書 独国特許出願公開第44 07 415号明細書 独国特許出願公開第44 39 669号明細書
本発明の目的は、向上した塗膜硬度および光学的特性を特徴にし、先行技術の欠点を有さない、水性結合剤分散液およびそれから得られる塗料を提供することである。
本発明は、カルボン酸基および/またはカルボキシレート基を有する少なくとも1種のコポリマー(P)を含む水性結合剤分散液に関し、該コポリマー(P)は、脂環式構造を持つカルボキシル無含有(メタ)アクリル酸エステルの構造単位を有し、分散液中におけるコポリマー(P)のカルボン酸基の少なくとも25モル%は、トリエタノールアミンで中和された形態で存在し、該コポリマー(P)が、500〜30,000の数平均分子量を有し、100%の形態におけるコポリマー(P)のOH含有量は、3.5〜7.5質量%であり、100%形態のコポリマー(P)の酸価は、15〜40mg KOH/gである。
本発明は、さらに、本発明の水性結合剤分散液の製造方法に関する。本発明は、さらに、本発明の水性結合剤分散液を含む水性塗料物質、および該水性塗料物質によりその少なくとも一部が塗装されている基材に関する。
実施例または他に指摘されている場合を除いて、明細書および特許請求の範囲で使用されている成分量、反応条件などを示す全ての数または表現は、全ての場合で用語「約」により修正されているとして理解されるべきである。
本発明において使用する場合、用語「(メタ)アクリル」および「(メタ)アクリレート」は、アクリル酸およびメタクリル酸誘導体の両方、およびそれらの混合物、例えば対応するアルキルエステルを包含することを意味し、これらは、アクリレートおよびメタクリレートとして言及されることがあり、用語(メタ)アクリレートは、これらを包含することを意味する。
驚くべきことに、組み込まれた脂環式モノマー構造単位を有し、中和アミンとしてトリエタノールアミンを少なくとも部分的に含む酸官能性コポリマー(P)をベースとする水性結合剤分散液は、上記したような先行技術の欠点をもはや有さないことを見出した。それから得られる塗膜は、非常に良好な塗膜の光学的特性と共に、非常に良好な硬度および耐性、特に耐水性を示す。
従って本発明は、カルボン酸基および/またはカルボキシレート基を有する少なくとも1種のコポリマー(P)を含む水性結合剤分散液を提供し、該コポリマー(P)は、脂環式構造を持つカルボキシル無含有アクリル酸および/またはメタクリル酸エステルの構造単位を有し、分散液中におけるコポリマー(P)のカルボン酸基の少なくとも25モル%、ある場合には少なくとも40モル%は、トリエタノールアミンで中和された形態で存在する。
本発明の水性結合剤分散液がベースとするコポリマー(P)は、ラジカル開始剤を使用して一段階または多段階法におけるオレフィン性不飽和モノマー(M1)〜(M5)のラジカル重合により製造される。本発明の1つの実施態様においてコポリマー(P)は:
(M1)(メタ)アクリル酸の脂環式エステルまたはこれらの混合物10〜50質量%、ある場合には15〜40質量%、
(M2)ヒドロキシル官能性ラジカル重合性モノマー20〜60質量%、ある場合には25〜50質量%、
(M3)カルボキシル官能性ラジカル重合性モノマー1〜5質量%、ある場合には1.5〜4質量%、
(M4)ホスフェート/ホスホネート基またはスルホン酸/スルホネート基を有するラジカル重合性モノマー0〜10質量%、並びに
(M5)アルコール部分中にC1〜C18炭化水素基を有するヒドロキシルおよびカルボキシル無含有(メタ)アクリル酸エステル、および/またはビニル芳香族化合物および/またはビニルエステル10〜60質量%、ある場合には20〜50質量%
を含むモノマー(M)の群から製造されており、該成分の合計は100質量%である。
適当なモノマー(M1)の例は、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、環中でアルキル基により置換されているシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレートおよび/またはイソボルニルメタクリレートを含むが、これらに限定されない。本発明の1つの実施態様においてモノマー(M1)は、イソボルニルメタクリレートを含む。イソボルニルアクリレートおよび/またはイソボルニルメタクリレートおよび他のモノマー(M1)を含む混合物も使用することができる。イソボルニルアクリレートおよび/またはイソボルニルメタクリレート以外のモノマーを、適切な場合、(M1)〜(M5)の合計を基準に10質量%未満の量で使用し得る。
適当なヒドロキシ官能性モノマー(M2)の例は、アルコール部分中にC1〜C18炭化水素基を有するOH官能性(メタ)アクリル酸エステル、例えばヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレートまたはヒドロキシブチルメタクリレートである。同様に適当なものは、アルキレンオキシド単位を有するヒドロキシモノマー、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドと(メタ)アクリル酸との付加物である。本発明の1つの実施態様において(M2)は、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレートから選ばれる。
カルボキシ官能性ラジカル重合性モノマー(M3)は、カルボン酸またはカルボン酸無水物の基を有するオレフィン性不飽和モノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸(無水物)、イタコン酸または二塩基酸または無水物のモノアルキルエステル、例えばモノアルキルマレエートを意味する。本発明の1つの実施態様において(M3)は、アクリル酸およびメタクリル酸から選ばれる。
所望により、モノマー(M4)を使用することができる。その適当な例は、例えば国際公開第00/39181号パンフレット(第8頁第13行〜第9頁第19行)に記載されているような、ホスフェートおよび/またはホスホネート基またはスルホン酸および/またはスルホネート基を有する不飽和ラジカル重合性化合物を含む。本発明の1つの実施態様において(M4)は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含む。
適当なモノマー(M5)は、例えば、アルコール部分中にC1〜C18炭化水素基を有するヒドロキシ-およびカルボキシ無含有(メタ)アクリル酸エステルであり、その例は、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2-エチルへキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートまたは2-エチルへキシルメタクリレートである。同様に適当なものは、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、ビニルエステル、アルキレンオキシド単位を有するビニルモノマー、例えば(メタ)アクリル酸とオリゴアルキレンオキシドモノアルキルエーテルとの縮合生成物、およびさらなる官能基、例えばエポキシ基、アルコキシシリル基、尿素基、ウレタン基、アミド基またはニトリル基を有するモノマーである。さらに、官能価2またはそれ以上を有するビニルモノマーおよび/または(メタ)アクリレートモノマー、例えばヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートを、モノマー(M1)〜(M5)の合計を基準に0〜2質量%の量で使用することができる。本発明の1つの実施態様において(M5)は、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレートおよび2-エチルへキシルアクリレートから選ばれる。
本発明はまた、本発明の水性結合剤の製造方法を提供し、該方法は、成分(M1)、(M2)、(M3)および(M5)、並びに所望により(M4)を反応させてコポリマー(P)を生じさせ、合成された酸性基含有コポリマー(P)を分散により水相に移すこと、並びに該カルボキシル基の少なくとも25モル%を、分散の前またはその間に、トリエタノールアミンで中和することを特徴とする。
コポリマー(P)を、基本的に、通常のラジカル重合技術により有機相または水相中で製造することができる。本発明の1つの実施態様においてコポリマーは、有機相中での重合、次いで樹脂の水相中への分散により製造され、酸性基は、少なくとも部分的に、樹脂の分散操作の前またはその間に中和される。コポリマー(P)の製造のために、例えば欧州特許出願公開第0 947 557号明細書(第3頁第2行〜第4頁第15行)または同第1 024 184号明細書(第2頁第53行〜第4頁第9行)に記載されているような、多段階重合技術を使用することが望ましい。この実施態様では、ほとんどまたは全く酸性基を有さない比較的に疎水性のモノマー混合物が製造され、重合中の後の時点で、酸性基を有するより親水性のモノマー混合物が供給される。
多段階重合技術の代りに、連続的に操作を行うこと(勾配重合)も同様に可能である。言いかえれば、変化する組成を有するモノマー混合物を添加し、親水性(酸官能性)モノマー画分は、最初よりも供給の終わりにより高くなる。
重合を、最初から反応容器に装填されている溶剤または溶剤/水混合物の存在下で行うこともできる。適当な有機溶剤は、ペイント技術で典型的に使用されている既知のあらゆる溶剤を含み、その非限定例は、水性分散液中で補助溶剤として通常使用されるもの、例えばアルコール、エーテル、エーテル官能性アルコール、エステル、ケトン、N-メチルピロリドン若しくは非極性炭化水素、またはこれら溶剤の混合物である。溶剤は、完成分散液中の溶剤含有量が、0〜12質量%、ある場合には2〜10質量%であるよな量で使用される。必要な場合、特に低有機溶剤含有量が要求される場合、使用溶剤を、幾分、蒸留により元の状態に除去することもできる。
さらに重合を、例えば欧州特許出願公開第543 228号明細書第4欄第9〜18行および第5欄第38行〜第8欄第13行に記載されているような、溶剤または溶剤/水混合物で希釈されていても良い疎水性コポリマーの存在下またはポリエステルの存在下で行うこともできる。
ラジカル重合に関して反応性が低いモノマーもまた、それらの組込みの程度を上昇させるために、反応容器への初期充填中に含めることができる。
共重合は、一般に40〜180℃、ある場合には80〜160℃で行われる。
重合反応のための適当な開始剤は、有機パーオキシドを含み、その非限定例は、ジ-t-ブチルパーオキシドまたはt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートおよびアゾ化合物を含む。開始剤の使用量は、所望の分子量に依存する。操作上の安全性およびより容易な取扱いの理由でパーオキシド開始剤を、適当な有機溶剤中の溶液として使用することもでき、該溶剤の例は、上記のものを含む。
コポリマー(P)の数平均分子量(Mn)を、操作パラメーター、例えばモノマー/開始剤のモル比、反応時間または温度を慎重に選択することにより制御することができる。コポリマー(P)のMnは、一般に500〜30,000の間、ある場合には1,000〜15,000の間、他の場合で1,500〜10,000の間である。100%形態のコポリマー(P)のOH含有量は、一般に3.5〜7.5質量%、ある場合には3.8〜6質量%であり、使用するヒドロキシ官能性モノマーの相対量、およびまた、適切な場合に、初期装填に含まれる疎水性コポリマーまたはポリエステルの相対量により定められる。カルボキシル/カルボキシレート、ホスフェート/ホスホネートおよびスルホン酸/スルホネート基の合計を形成する、100%形態のコポリマーの酸性基量は、5〜100meq/100g、ある場合には10〜80meq/100gであり、これらは、使用する酸官能性モノマー(M3)および(M4)の相対量により、およびまた適切な場合に、初期装填に含められる疎水性コポリマーまたはポリエステル中の少量の酸性基により定められる。100%形態のコポリマーの酸価は、15〜40mg KOH/g、ある場合には18〜30mg KOH/gであり得る。所望により、親水化の目的のためにコポリマー(P)は、酸性基に加えて、アルキレンオキシド単位を有するモノマーを組込んだ形態で部分的に有することができ、または外部乳化剤を含有することができる。しかしながら本発明の1つの実施態様においてコポリマー(P)は、酸性基だけにより、ある場合にはカルボン酸基(またはそのアニオン)だけにより親水化されている。
本発明に従い、少なくとも25%、ある場合には少なくとも40%のカルボキシル基の中和度に対応する量のトリエタノールアミンが使用される。所望により、コポリマー(P)のさらなる酸性基を、異なる塩基で中和し得る。この目的のために適当なものは、有機アミンまたは水溶性無機塩基、例えば溶解性金属水酸化物である。適当なアミンの非限定例は、N-メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ブタノールアミン、モルホリン、2-アミノメチル-2-メチルプロパノールまたはイソホロンジアミンである。混合物中で、部分的にアンモニアを使用することもできる。中和アミンは、全体で、存在する中和度、即ち中和剤対酸のモル比が、40〜150%、ある場合には60〜120%であるような量で添加される。本発明の水性結合剤分散液のpHは、6.0〜10.0、ある場合には6.5〜9.0である。
本発明の水性結合剤分散液は、固形分25〜65質量%、ある場合には35〜60質量%、および有機溶剤含有量0〜12質量%、ある場合には2〜12質量%を有する。
コポリマー(P)の他に本発明の結合剤分散液は、適切な場合に、他の結合剤または分散液を含むこともでき、これらの他の結合剤または分散液は、非限定例としてポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエポキシドまたはポリアクリレート、および所望により、ペイント産業において既知の顔料並びに他の助剤および添加剤をベースとする。
本発明の結合剤分散液は、水性塗料物質に加工することができる。
本発明は、本発明の結合剤分散液と、少なくとも1種の架橋剤、ある場合にはポリイソシアネート架橋剤、他の場合で遊離NCO基を有するポリイソシアネート架橋剤とを含む水性塗料物質も提供する。
架橋剤との組合せを通じて、この場合、反応性または適切な場合に架橋剤のブロック化に応じて、一成分塗料物質および二成分塗料物質の両方を製造することができる。本発明の目的のための一成分塗料物質は、結合成分および架橋成分を、著しい程度またはその後の適用に対して有害な程度に架橋反応を生じさせないで、一緒に貯蔵することができる塗料組成物である。架橋剤が活性化された後の適用の際までは、架橋反応は生じない。この活性化を、例えば温度を上昇させることにより生じさせることができる。本発明の目的のための二成分塗料物質は、その高い反応性の故に結合成分および架橋成分を、別の容器に貯蔵する必要がある塗料組成物である。二成分が一般に追加の活性化無しに反応する場合、二成分は適用直前まで混合されない。しかしながら架橋反応を促進するために、触媒を使用すること、またはより高い温度を用いることもできる。
適当な架橋剤の例は、"Lackkunstharze", H. Wagner, H.F. Sarx, Carl Hanser Verlag ミュンヘン, 1971年に記載されているような、ポリイソシアネート架橋剤、アミド-およびアミン-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、アルデヒド樹脂およびケトン樹脂、例えばフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、レゾール、フラン樹脂、尿素樹脂、カルバミン酸エステル樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シアナミド樹脂、アニリン樹脂を含むが、これらに限定されない。
本発明の1つの実施態様において使用する架橋剤は、遊離および/またはブロックトNCO基を有するポリイソシアネートである。適当なブロックトポリイソシアネートの例は、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、ビス(4-イソシアナトシクロヘキサン)メタンまたは1,3-ジイソシアナトベンゼンをベースとするもの、あるいはペイント用ポリイソシアネート、例えば1,6-ジイソシアナトヘキサン、イソホロンジイソシアネートまたはビス(4-イソシアナトシクロヘキサン)メタンのビウレット-またはイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートをベースとするもの、あるいは一方で2,4-および/または2,6-ジイソシアナトトルエンまたはイソホロンジイソシアネートと、他方で低分子量ポリヒドロキシル化合物、例えばトリメチロールプロパン、異性体のプロパンジオール若しくはブタンジオール、またはそのようなポリヒドロキシル化合物のあらゆる所望混合物とをベースとするウレタン基含有ペイント用ポリイソシアネートをベースとするものを含むが、これらに限定されない。
ポリイソシアネートのための適当なブロック化剤の例は、一価アルコール、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、オキシム、例えばアセトオキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、ラクタム、例えばε-カプロラクタム、フェノール、アミン、例えばジイソプロピルアミンまたはジブチルアミン、ジメチルピラゾールまたはトリアゾール、およびまたジメチルマロネート、ジエチルマロネートまたはジブチルマロネートを含むが、これらに限定されない。
本発明の特定の実施態様は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族イソシアネートをベースとする遊離イソシアネート基を有する低粘度の疎水性または親水化ポリイソシアネートの使用に関する。本発明のさらなる実施態様は、脂肪族または脂環式イソシアネートに関する。このようにして、塗膜において特に高いレベルの耐性を達成することができるからである。これらのポリイソシアネートは、一般に23℃で10〜5,000mPasの粘度を有する。必要な場合にポリイソシアネートを、特定の範囲内のレベルに粘度を低下させるために、少量の不活性溶剤とのブレンドとして使用することができる。トリイソシアナトノナンも、単独または混合物で、架橋成分として使用し得る。
コポリマー(P)は、一般に、充分に親水性であり、そうして疎水性架橋剤樹脂も分散させることができる。
水溶性または水分散性ポリイソシアネートは、例えばカルボキシレート、スルホネートおよび/またはポリエチレンオキシド基および/またはポリエチレンオキシド/プロピレンオキシド基での変性により得ることができる。ポリイソシアネートを、それらと、例えば不足当量の一価親水性ポリエーテルアルコールとを反応させることにより、親水性にすることができる。そのような親水化ポリイソシアネートの製造は、例えば欧州特許出願公開第0 540 985号明細書(第3頁第55行〜第4頁第5行)に記載されている。非常に適切なものはまた、欧州特許出願公開第959 087号明細書(第3頁第39〜51行)に記載されているアロファネート基含有ポリイソシアネートであり、低モノマー含有量ポリイソシアネートと、ポリエチレンオキシドポリエーテルアルコールとを、アロファネート化条件下において反応させることにより製造される。また適当なものは、独国特許出願公開第100 078 21号明細書(第2頁第66行〜第3頁第5行)に記載されている水希釈性トリイソシアナトノナンベースポリイソシアネート混合物、およびまた、例えば独国特許出願公開第100 24 624号明細書(第3頁第13〜33行)に記載されているようなイオン性基(スルホネート、ホスホネート基)で親水化されているポリイソシアネートである。親水化は、通常の市販乳化剤を添加することによっても同様に可能である。
当然、異なる架橋剤樹脂の混合物の使用は、基本的に可能である。
本発明の水性結合剤分散液の製造前、その間またはその後に、ペイント技術の通常の助剤および添加剤、例えば脱泡剤、増粘剤、顔料、分散助剤、触媒、皮張り防止剤、沈降防止剤または乳化剤を添加することができる。
これらの助剤および添加剤を、本発明の水性結合剤分散液を含む塗料物質にも添加し得る。
塗膜の安定性に対して厳格な要件を持つ水性ペイントおよび塗料系が、例えば無機建築材料表面の塗装、木材および木材物質のワニス塗および封止、金属表面(金属被膜)の塗装、アスファルトまたはビチューメンカバーの塗装および彩色、様々なプラスチック表面(プラスチック塗膜)および高光沢ペイントの彩色および封止のための使用を見出す、あらゆる使用分野のために、本発明の結合剤分散液を含む水性塗料物質は適している。
本発明は、基材を塗装するために、金属表面およびプラスチックを塗装するために有用な本発明の水性塗料物質の使用も提供し、そうして塗装された基材も提供する。そうして本発明の水性塗料物質は、該水性塗料物質を基材の少なくとも一部に適用することにより基材を塗装するために使用される。
本発明の結合剤分散液を含む水性塗料物質は、プライマー、サーフェ−サー、着色または透明トップコート物質、クリアコート物質、高光沢塗料物質およびまたシングルコート塗料物質を製造するために使用され、これらを、個々の適用および連続適用で、工業的塗装分野、例えば自動車OEM仕上げおよび自動車再仕上げにおいて使用することができる。
本発明の1つの実施態様において、本発明の結合剤分散液を含む水性塗料物質は、室温から140℃で金属表面およびプラスチックを塗装または彩色するために使用される。この実施態様において架橋剤は、脂肪族ポリイソシアネートであり得る。本発明におけるこの実施態様の塗膜は、非常に良好な塗膜の光学的特性と、高レベルの耐溶剤性および耐薬品性、良好な天候安定性、高硬度および急速な乾燥とを併せ持つ。
塗膜を、様々なあらゆる吹付技術、例えば空気圧、無気または静電吹付技術により、一成分、または適切な場合に二成分吹付単位を使用して製造することができる。しかしながら、他の方法、例えばはけ塗、ローリングまたはナイフ塗布を使用して、本発明の結合剤分散液を含むペイントおよび塗料を適用することもできる。
本発明は、さらに少なくとも1種の本発明の結合剤分散液を含む塗料物質で塗装されている基材を提供する。
本発明をさらに以下の実施例により説明するが、本発明を限定する意図ではない。実施例中における全ての部数および割合(%)は、他の明記が無い限り、質量による。
%の数字は、他の記載が無い限り、全て質量%である。粘度測定を、コーン・プレート粘度計で DIN 53019 に従い剪断速度40秒-1で行った。
実施例1(本発明)
攪拌、冷却および加熱手段を備えた15Lの反応容器に、Solvent Naphtha(商標) 100(Exxon-Chemie、Esso Deutschland GmbH、ドイツ)中の60%濃度の溶液として、OH含有量(100%形態)2.6%、酸価(100%形態)5mg KOH/gおよび平均分子量Mn4800を有する疎水性ポリアクリレート樹脂(Desmophen(商標) A 160、Bayer AG、レーフエルクーゼン、ドイツ)2100gを、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル735gと一緒に装填し、この初期装填を138℃に加熱する。この温度でプロピレングリコール-n-ブチルエーテル33g中ジ-t-ブチルパーオキシド33gの溶液を、20分間で添加する。その後、メチルメタクリレート594g、ブチルメタクリレート724g、ブチルアクリレート171g、イソボルニルメタクリレート892gおよびヒドロキシエチルメタクリレート1035gのモノマー混合物、および同時にプロピレングリコール-n-ブチルエーテル53g中ジ-t-ブチルパーオキシド53gの溶液を、この温度で一貫した速度で3時間かけて供給する。この温度を10分間保持し、次いでプロピレングリコール-n-ブチルエーテル80g中ジ-t-ブチルパーオキシド80gの溶液を、1時間50分で供給し、このパーオキシド供給開始後20分で、メチルメタクリレート594g、ブチルメタクリレート724g、ブチルアクリレート171g、イソボルニルメタクリレート892gおよびヒドロキシエチルメタクリレート1035gのモノマー混合物を、パーオキシド供給およびモノマー供給が同時に終了するように、一貫した速度で同時に、この温度で1時間30分かけて供給する。混合物を138℃で30分間保持し、次いでメチルメタクリレート520g、ブチルアクリレート408g、ヒドロキシエチルメタクリレート734gおよびアクリル酸245gの混合物、および同時に Solvent Naphtha(商標) 100 60g中のジ-t-ブチルパーオキシド33gの溶液を、90分間で供給する。138℃でさらに1時間攪拌した後、ポリマー溶液を冷却する。
次いで分散容器内で、上記ポリマー溶液1551gを90℃から100℃で加熱し、トリエタノールアミン68.8gを添加し、混合物を、水1350gで均一化および分散させる。こうして、水中の分散液で存在し、以下のデータを有するコポリマー(P)を生ずる:
OH含有量(100%形態)=3.9%、
酸価(100%形態)=22mg KOH/g、
固形分=46.5%、
粘度=約1700mPas(23℃、剪断速度40秒-1)、
pH(水中10%濃度)=7.5、
中和度=105%。
分散液は、約150nmの平均粒度を有する。
実施例2(比較例)
この実施例の場合にポリマー溶液2893gを、90℃から100℃でジメチルエタノールアミン76.6gを用いて中和し、均一化すること以外は、実施例1の手順を繰り返す。分散および粘度設定に必要な水の量は、この場合、約2740gである。こうして、水中の分散液で存在し、以下のデータを有するコポリマー(P)を生ずる:
OH含有量(100%形態)=3.9%、
酸価(100%形態)=22mg KOH/g、
固形分=43.2%、
粘度=約1450mPas(23℃、剪断速度40秒-1)、
pH(水中10%濃度)=8.1、
中和度=105%。
分散液は、約130nmの平均粒度を有する。
適用例
使用製品:
Surfynol(商標) 104 E: 脱泡湿潤剤、Air Products、W. Biesterfeld & Co.、ハンブルグ、ドイツにより代理
Tronox(商標) R-KB-4: 二酸化チタン顔料、Kerr McGee Pigments GmbH & Co. KG、ドイツ
Acrysol(商標) RM 8: エタノール中20%濃度、増粘剤、Rohm & Haas Deutschland GmbH、フランクフルト アム マイン、ドイツ
Byk(商標) 346: レベリング添加剤/基材湿潤、Byk Chemie、ヴェーゼル、ドイツ
Byk(商標) 380: レベリング添加剤/クレーター防止剤、Byk Chemie、ヴェーゼル、ドイツ
Bayhydur(商標) VP LS 2319: 親水化脂肪族ポリイソシアネート、メトキシプロピルアセテート中80濃度、Bayer AG、レーフエルクーゼン、ドイツ
Surfynol(商標) 104 BC: 脱泡湿潤剤、Air Products、W. Biesterfeld & Co.、ハンブルグ、ドイツにより代理
Bayhydur(商標) 3100: 親水化脂肪族ポリイソシアネート、Bayer AG、レーフエルクーゼン
Desmodur(商標) N 3600: 脂肪族ポリイソシアネート、Bayer AG、レーフエルクーゼン
実施例3:着色トップコート物質の製造(表1)
実施例1からの結合剤分散液220g、Surfynol(商標) 104 5.4g、蒸留水36g、二酸化チタン(Tronox(商標) R-KB-4)200.1gを、シェーカー内で分散させる。得られた練り顔料150gを、ディソルバー内で、実施例1からの分散液32.6g、Byk(商標) 346 0.45g、Byk(商標) 380 0.68g、Acrysol(商標) RM 8 1.2g、Desmodur(商標) N 3600 18.1gおよび Bayhydur(商標) 3100 24.7gと混合し、蒸留水約53gを用いて、DIN 4 フローカップにおける23℃での粘度約30秒に調節する。pHは7.6である。NCO-OH比は1.5:1である。
同様に、実施例2からの結合剤分散液220g、Surfynol(商標) 104 5.1g、蒸留水32.4g、二酸化チタン(Tronox(商標) R-KB-4)191.3gを、シェーカー内で分散させる。得られた練り顔料150gを、ディソルバー内で、実施例1からの分散液33.5g、Byk(商標) 346 0.45g、Byk(商標) 380 0.68g、Acrysol(商標) RM 8 1.2g、Desmodur(商標) N 3600 17.9gおよび Bayhydur 3100 24.3gと混合し、蒸留水約49gを用いて、DIN 4 フローカップにおける23℃での粘度約30秒に調節する。pHは8.3である。NCO-OH比は1.5:1である。
2つの塗料物質を、脱脂スチールパネルに適用した後、塗膜を室温で乾燥させる。塗膜の特性評価および試験結果について、表1を参照。
Figure 2011153312
*:TEAOH=トリエタノールアミン、DMEA=ジメチルエタノールアミン
**:第1発見(膨れ、光沢の喪失、x日後)
***:暴露5分、0=損傷無し、5=ペイントが分離
実施例1からの本発明の分散液をベースとするペイントは、非常に良好な硬度および耐溶剤性と共に、本発明ではない比較ペイントよりも耐水性および塗膜の光学的特性に関して著しく優れていることが、表1の数字から明らかである。
実施例4(本発明)
攪拌、冷却および加熱手段を備えた6Lの反応容器に、Cardura(商標) E 10(バーサティック酸(Versatic acid)グリシジルエステル、Resolution Deutschland GmbH、エッシュボルン)250g(1.1モル)を、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル180gおよび Solvent Naphtha(商標)(Exxon Chemie、Esso Deutschland GmbH、ドイツ)200gと一緒に装填し、この初期装填を138℃に加熱する。この温度でプロピレングリコール-n-ブチルエーテル8g中ジ-t-ブチルパーオキシド8gの溶液を、20分間で添加する。その後、メチルメタクリレート145.5g、ブチルメタクリレート204.8g、ブチルアクリレート42g、イソボルニルメタクリレート218.7g、ヒドロキシエチルメタクリレート220gおよびアクリル酸72g(1.0モル)のモノマー混合物、および同時にプロピレングリコール-n-ブチルエーテル13g中ジ-t-ブチルパーオキシド13gの溶液を、この温度で一貫した速度で3時間かけて供給する。この温度を、3未満の酸価に達するまで、約3時間保持する。ここで使用するアクリル酸は、親水化に寄与しないが、代りに Cardura(商標) E 10 と完全に反応し、ヒドロキシエステルを生ずる。次いでプロピレングリコール-n-ブチルエーテル19.5g中ジ-t-ブチルパーオキシド19.5gの溶液を、1時間50分で供給し、このパーオキシド供給開始後20分で、メチルメタクリレート145.5g、ブチルメタクリレート204.7g、ブチルアクリレート42g、イソボルニルメタクリレート218.8gおよびヒドロキシエチルメタクリレート220gのモノマー混合物を、パーオキシド供給およびモノマー供給が同時に終了するように、一貫した速度で同時に、この温度で1時間30分かけて供給する。混合物を138℃で30分間保持し、次いでメチルメタクリレート127.5g、ブチルアクリレート100g、ヒドロキシエチルメタクリレート180gおよびアクリル酸53.7gの混合物、および同時に Solvent Naphtha(商標) 100 20.6g中のジ-t-ブチルパーオキシド8gの溶液を、90分間で供給する。138℃でさらに1時間攪拌した後、ポリマー溶液を、90〜100℃に冷却する。トリエタノールアミン130.4gを添加し、混合物を、水2700gで均一化および分散させる。こうして、水中の分散液で存在し、以下のデータを有するコポリマー(P)を生ずる:
OH含有量(100%形態)=3.9%、
酸価(100%形態)=21mg KOH/g、
固形分=46.0%、
粘度=約1500mPas(23℃、剪断速度40秒-1)、
pH(水中10%濃度)=7.3、
中和度=105%。
分散液は、約130nmの平均粒度を有する。
実施例5(本発明)
攪拌、冷却および加熱手段を備えた15Lの反応容器に、Solvent Naphtha(商標) 100(Exxon Chemie、Esso Deutschland GmbH、ドイツ)中の60%濃度の溶液として、OH含有量(100%形態)2.6%、酸価(100%形態)5mg KOH/gおよび平均分子量Mn4800を有する疎水性ポリアクリレート樹脂(Desmophen(商標) A 160、Bayer AG、レーフエルクーゼン、ドイツ)2100gを、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル735gと一緒に装填し、この初期装填を142℃に加熱する。この温度でプロピレングリコール-n-ブチルエーテル33g中ジ-t-ブチルパーオキシド33gの溶液を、20分間で添加する。その後、メチルメタクリレート594g、ブチルメタクリレート724g、ブチルアクリレート171g、イソボルニルメタクリレート892gおよびヒドロキシエチルメタクリレート1035gのモノマー混合物、および同時にプロピレングリコール-n-ブチルエーテル53g中ジ-t-ブチルパーオキシド53gの溶液を、この温度で一貫した速度で3時間かけて供給する。この温度を10分間保持し、次いでプロピレングリコール-n-ブチルエーテル80g中ジ-t-ブチルパーオキシド80gの溶液を、1時間50分で供給し、このパーオキシド供給開始後20分で、メチルメタクリレート594g、ブチルメタクリレート724g、ブチルアクリレート172g、イソボルニルメタクリレート892gおよびヒドロキシエチルメタクリレート1035gのモノマー混合物を、パーオキシド供給およびモノマー供給が同時に終了するように、一貫した速度で同時に、この温度で1時間30分かけて供給する。混合物を142℃で30分間保持し、次いでメチルメタクリレート459g、ブチルアクリレート408g、ヒドロキシエチルメタクリレート734gおよびアクリル酸306gの混合物、および同時に Solvent Naphtha(商標) 100 60g中のジ-t-ブチルパーオキシド33gの溶液を、90分間で供給する。142℃でさらに1時間攪拌した後、ポリマー溶液を冷却する。
次いで分散容器内で、上記ポリマー溶液3037gを90℃から100℃で加熱し、トリエタノールアミン84.1gおよびジメチルエタノールアミン50.3gの混合物(1:1モル)を添加し、混合物を、水2675gで均一化および分散させる。こうして、水中の分散液で存在し、以下のデータを有するコポリマー(P)を生ずる:
OH含有量(100%形態)=3.9%、
酸価(100%形態)=24mg KOH/g、
固形分=44.7%、
粘度=約2300mPas(23℃、剪断速度40秒-1)、
pH(水中10%濃度)=7.7、
中和度=105%。
分散液は、約130nmの平均粒度を有する。
実施例6(本発明)
攪拌、冷却および加熱手段を備えた15Lの反応容器に、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル1550gを装填し、この初期装填を142℃に加熱する。この温度でプロピレングリコール-n-ブチルエーテル33g中ジ-t-ブチルパーオキシド33gの溶液を、20分間で添加する。その後、メチルメタクリレート608g、ブチルメタクリレート724g、ブチルアクリレート361g、イソボルニルメタクリレート892g、スチレン287gおよびヒドロキシエチルメタクリレート1158gのモノマー混合物、および同時にプロピレングリコール-n-ブチルエーテル63g中ジ-t-ブチルパーオキシド63gの溶液を、この温度で一貫した速度で3時間かけて供給する。この温度を10分間保持し、次いでプロピレングリコール-n-ブチルエーテル94g中ジ-t-ブチルパーオキシド94gの溶液を、1時間50分で供給し、このパーオキシド供給開始後20分で、メチルメタクリレート608g、ブチルメタクリレート724g、ブチルアクリレート361g、イソボルニルメタクリレート892g、スチレン287gおよびヒドロキシエチルメタクリレート1158gのモノマー混合物を、パーオキシド供給およびモノマー供給が同時に終了するように、一貫した速度で同時に、この温度で1時間30分かけて供給する。混合物を142℃で30分間保持し、次いでメチルメタクリレート459g、ブチルアクリレート408g、ヒドロキシエチルメタクリレート734gおよびアクリル酸316gの混合物、および同時に Solvent Naphtha(商標) 100(Exxon Chemie、Esso Deutschland GmbH、ドイツ)60g中のジ-t-ブチルパーオキシド33gの溶液を、90分間で供給する。142℃でさらに1時間攪拌した後、ポリマー溶液を冷却する。
次いで分散容器内で、上記ポリマー溶液3071gを90℃から100℃で加熱し、トリエタノールアミン87.9gおよびジメチルエタノールアミン52.5gの混合物(1:1モル)を添加し、混合物を、水2750gで均一化および分散させる。こうして、水中の分散液で存在し、以下のデータを有するコポリマー(P)を生ずる:
OH含有量(100%形態)=3.9%、
酸価(100%形態)=23mg KOH/g、
固形分=45.4%、
粘度=約1700mPas(23℃、剪断速度40秒-1)、
pH(水中10%濃度)=7.7、
中和度=105%。
分散液は、約125nmの平均粒度を有する。
実施例7(比較例)
攪拌、冷却および加熱手段を備えた6Lの反応容器に、Solvent Naphtha(商標) 100(Exxon-Chemie、Esso Deutschland GmbH、ドイツ)中の60%濃度の溶液として、OH含有量(100%形態)2.6%および酸価(100%形態)5mg KOH/gを有する疎水性ポリアクリレート樹脂(Desmophen(商標) A 160、Bayer AG、レーフエルクーゼン、ドイツ)515gを、ブチルグリコール172gと一緒に装填し、この初期装填を138℃に加熱する。この温度でブチルグリコール8g中ジ-t-ブチルパーオキシド8gの溶液を、20分間で添加する。その後、メチルメタクリレート784g、ブチルアクリレート503gおよびヒドロキシエチルメタクリレート390gの混合物、および同時にブチルグリコール35g中ジ-t-ブチルパーオキシド32.5gの溶液を、この温度で4時間で供給する。混合物を138℃で30分間保持し、次いでメチルメタクリレート128g、ブチルアクリレート100g、ヒドロキシエチルメタクリレート180gおよびアクリル酸28gの混合物、および同時にブチルグリコール20g中のジ-t-ブチルパーオキシド8gの溶液を、90分間で供給する。138℃でさらに1時間攪拌した後、ポリマー溶液を90℃に冷却し、ジメチルエタノールアミン78gを添加し、混合物を、水2300gで均一化および分散させる。こうして、水中の分散液で存在し、以下のデータを有するコポリマー(P)を生ずる:
OH含有量(100%形態)=3.3%、
酸価(100%形態)=20mg KOH/g、
固形分=47%、
粘度=約1500mPas(23℃、剪断速度40秒-1)、
pH(水中10%濃度)=8.5、
中和度=105%。
分散液は、約120nmの平均粒度を有する。
適用例
実施例8 着色トップコート物質の製造(表2)
実施例3の手順に従い、着色トップコート物質を、実施例5、6および7の結合剤分散液を用いて配合し、適用する。表2は、初期質量および得られた試験結果を示す。
Figure 2011153312
*:TEAOH=トリエタノールアミン、DMEA=ジメチルエタノールアミン
**:第1発見(膨れ、光沢の喪失、x日後)
***:暴露5分、0=損傷無し、5=ペイントが分離
実施例5および6からの本発明の分散液をベースとするペイントは、非常に良好な塗膜の光学的特性および乾燥性と共に、実施例7からの本発明ではない比較ペイントよりも、硬度、耐溶剤性、特に耐水性に関して著しく優れていることが、表2の数字から明らかである。
実施例9(本発明)
攪拌、冷却および加熱手段を備えた15Lの反応容器に、ジプロピレングリコールジメチルエーテル600gおよびプロピレングリコール-n-ブチルエーテル878gを装填し、この初期装填を138℃に加熱する。この温度でプロピレングリコール-n-ブチルエーテル45g中ジ-t-ブチルパーオキシド45gの溶液を、20分間で添加する。その後、メチルメタクリレート348g、ブチルメタクリレート724g、ブチルアクリレート361g、イソボルニルメタクリレート913g、スチレン255gおよびヒドロキシエチルメタクリレート1392gのモノマー混合物、および同時にプロピレングリコール-n-ブチルエーテル87g中ジ-t-ブチルパーオキシド87gの溶液を、この温度で一貫した速度で3時間かけて供給する。この温度を10分間保持し、次いでプロピレングリコール-n-ブチルエーテル130g中ジ-t-ブチルパーオキシド130gの溶液を、1時間50分で供給し、このパーオキシド供給開始後20分で、メチルメタクリレート348g、ブチルメタクリレート724g、ブチルアクリレート361g、イソボルニルメタクリレート913g、スチレン255gおよびヒドロキシエチルメタクリレート1392gのモノマー混合物を、パーオキシド供給およびモノマー供給が同時に終了するように、一貫した速度で同時に、この温度で1時間30分かけて供給する。混合物を138℃で30分間保持し、次いでメチルメタクリレート439g、ブチルアクリレート408g、ヒドロキシエチルメタクリレート734gおよびアクリル酸326gの混合物、および同時にプロピレングリコール-n-ブチルエーテル60g中のジ-t-ブチルパーオキシド45gの溶液を、90分間で供給する。138℃でさらに1時間攪拌した後、ポリマー溶液を冷却する。
次いで分散容器内で、上記ポリマー溶液2600gを90℃から100℃で加熱し、トリエタノールアミン153.6gを添加し、混合物を、水2500gで均一化および分散させる。こうして、水中の分散液で存在し、以下のデータを有するコポリマー(P)を生ずる:
OH含有量(100%形態)=4.5%、
酸価(100%形態)=23mg KOH/g、
固形分=44.2%、
粘度=約2500mPas(23℃、剪断速度40秒-1)、
pH(水中10%濃度)=7.4、
中和度=105%。
分散液は、約125nmの平均粒度を有する。
この結合剤分散液を、黒色顔料スラリーおよび Bayhydur(商標) VP LS 2319 を用いて架橋比NCO:OH=1.5:1で分散させることにより得ることができる黒色ペイントは、優れた塗膜の光学的特性(角度20°でのグロス=87、ヘーズ<20)、振子硬度199秒および非常に良好な耐水性、耐溶剤性および耐薬品性を示す。
実施例10(比較例)
攪拌、冷却および加熱手段を備えた6Lの反応容器に、Solvent Naphtha(商標) 100(Exxon Chemie、Esso Deutschland GmbH、ドイツ)中の60%濃度の溶液として、OH含有量(100%形態)2.6%および酸価(100%形態)5mg KOH/gを有する疎水性ポリアクリレート樹脂(Desmophen(商標) A 160、Bayer AG、レーフエルクーゼン、ドイツ)515gを、ブチルグリコール172gと一緒に装填し、この初期装填を138℃に加熱する。この温度でブチルグリコール8g中ジ-t-ブチルパーオキシド8gの溶液を、20分間で添加する。その後、メチルメタクリレート392g、ブチルアクリレート251.7gおよびヒドロキシエチルメタクリレート195gの混合物、および同時にブチルグリコール15g中ジ-t-ブチルパーオキシド13gの溶液を、この温度で3時間で供給する。この温度を10分間保持し、次いでブチルグリコール19.5g中ジ-t-ブチルパーオキシド19.5gの溶液を、1時間50分で供給し、このパーオキシド供給開始後20分で、メチルメタクリレート392g、ブチルアクリレート251.8gおよびヒドロキシエチルメタクリレート195gのモノマー混合物を、パーオキシド供給およびモノマー供給が同時に終了するように、一貫した速度で同時に、この温度で1時間30分かけて供給する。混合物を138℃で30分間保持し、次いでメチルメタクリレート128g、ブチルアクリレート100g、ヒドロキシエチルメタクリレート180gおよびアクリル酸58gの混合物、および同時にブチルグリコール20g中のジ-t-ブチルパーオキシド8gの溶液を、90分間で供給する。138℃でさらに1時間攪拌した後、ポリマー溶液を90℃に冷却し、ジメチルエタノールアミン130.5gを添加し、混合物を、水2380gで均一化および分散させる。こうして、水中の分散液で存在し、以下のデータを有するコポリマー(P)を生ずる:
OH含有量(100%形態)=3.3%、
酸価(100%形態)=20mg KOH/g、
固形分=49.5%、
粘度=約1700mPas(23℃、剪断速度40秒-1)、
pH(水中10%濃度)=7.5、
中和度=105%。
分散液は、約155nmの平均粒度を有する。
この結合剤分散液を用いて実施例3により配合した着色トップコート物質は、非常に良好な塗膜の光学的特性を示すが、指触乾燥(tack-free drying)および粘着乾燥(dust-free drying)で、はっきりとした欠点を有する。
実施例11(比較例)
攪拌、冷却および加熱手段を備えた6Lの反応容器に、Solvent Naphtha(商標) 100(Exxon Chemie、Esso Deutschland GmbH、ドイツ)中の60%濃度の溶液として、OH含有量(100%形態)2.6%、酸価(100%形態)5mg KOH/gおよび平均分子量Mn4800を有する疎水性ポリアクリレート樹脂(Desmophen(商標) A 160、Bayer AG、レーフエルクーゼン、ドイツ)515gを、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル180gと一緒に装填し、この初期装填を138℃に加熱する。この温度でプロピレングリコール-n-ブチルエーテル8g中ジ-t-ブチルパーオキシド8gの溶液を、20分間で添加する。その後、メチルメタクリレート67.5g、ブチルメタクリレート262.7g、イソボルニルメタクリレート312.5gおよびヒドロキシエチルメタクリレート195gのモノマー混合物、および同時にプロピレングリコール-n-ブチルエーテル13g中ジ-t-ブチルパーオキシド13gの溶液を、この温度で一貫した速度で3時間かけて供給する。この温度を10分間保持し、次いでプロピレングリコール-n-ブチルエーテル19.5g中ジ-t-ブチルパーオキシド19.5gの溶液を、1時間50分で供給し、このパーオキシド供給開始後20分で、メチルメタクリレート67.5g、ブチルメタクリレート262.8g、イソボルニルメタクリレート312.5gおよびヒドロキシエチルメタクリレート195gのモノマー混合物を、パーオキシド供給およびモノマー供給が同時に終了するように、一貫した速度で同時に、この温度で1時間30分かけて供給する。混合物を138℃で30分間保持し、次いでメチルメタクリレート127.5g、ブチルアクリレート100g、ヒドロキシエチルメタクリレート180gおよびアクリル酸60gの混合物、および同時に Solvent Naphtha(商標) 100 15g中のジ-t-ブチルパーオキシド8gの溶液を、90分間で供給する。138℃でさらに1時間攪拌した後、ポリマー溶液を90〜100℃に冷却し、ジメチルエタノールアミン77.9gを添加し、混合物を、水2900gで均一化および分散させる。こうして、水中の分散液で存在し、以下のデータを有するコポリマー(P)を生ずる:
OH含有量(100%形態)=3.3%、
酸価(100%形態)=21mg KOH/g、
固形分=42.6%、
粘度=約1400mPas(23℃、剪断速度40秒-1)、
pH(水中10%濃度)=8.3、
中和度=105%。
分散液は、約160nmの平均粒度を有する。
この結合剤分散液を用いて実施例3により配合した着色トップコート物質は、急速な指触乾燥および粘着乾燥並びに高い硬度を示すが、角度20°でのグロス42および許容できない塗膜の光学的特性と共に、不良な耐水性(発見無しが1日のみ)も示す。
本発明を、説明の目的のために上で詳細に記載したが、そのような詳細は、説明の目的のためだけであり、特許請求の範囲により制限され得る場合を除いて、本発明の意図および範囲から外れることなく、当業者により本発明における変法がなされ得ることは理解されるべきである。

Claims (3)

  1. カルボン酸基および/またはカルボキシレート基を有する少なくとも1種のコポリマー(P)を含む水性結合剤分散液であって、該コポリマー(P)が、脂環式構造を持つカルボキシル無含有(メタ)アクリル酸エステルの構造単位を有し、分散液中におけるコポリマー(P)のカルボン酸基の少なくとも25モル%が、トリエタノールアミンで中和された形態で存在し、該コポリマー(P)が、500〜30,000の数平均分子量を有し、100%の形態におけるコポリマー(P)のOH含有量は、3.5〜7.5質量%であり、100%形態のコポリマー(P)の酸価は、15〜40mg KOH/gである、水性結合剤分散液。
  2. (M1)(メタ)アクリル酸の脂環式エステルまたはこれらの混合物、(M2)ヒドロキシル官能性ラジカル重合性モノマー、(M3)カルボキシル官能性ラジカル重合性モノマーおよび(M5)アルコール部分中にC1〜C18炭化水素基を有するヒドロキシルおよびカルボキシル無含有(メタ)アクリル酸エステル、および/またはビニル芳香族化合物および/またはビニルエステル、並びに任意に(M4)ホスフェート/ホスホネート基またはスルホン酸/スルホネート基を有するラジカル重合性モノマーを反応させてコポリマー(P)を生じさせ、合成されたコポリマー(P)を分散により水相に移すことを含んでなり、コポリマー(P)は、カルボン酸基を有し、該カルボン酸基の少なくとも25モル%を、分散の前またはその間に、トリエタノールアミンで中和する、請求項1に記載の水性結合剤分散液の製造方法。
  3. 請求項1に記載の結合剤分散液および少なくとも1種の架橋剤を含む、水性塗料物質。
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