本発明の実施の一形態について、図1ないし図6に基づいて説明する。
図1は、ラベルプリンタ101の外観斜視図である。ラベルプリンタ101は、略直方体形状のハウジング102を有する。ハウジング102の上面には、操作パネル103と、表示部としての液晶ディスプレイ104とが設けられている。ハウジング102の正面側には開口部が形成されており、その内部には、右側に位置する印字部としての第1メカユニット105と、左側に位置する印字部としての第2メカユニット105aとが横並びに収納される。第1メカユニット105及び第2メカユニット105aのどちらにも、その正面側にはフロントパネル106が取り付けられている。フロントパネル106は、上方にラベル発行口107が形成されており、下方に把手108を有する。ハウジング102の内側下方には、開口部から奥側に向けて水平に延びるレール125(図2参照)が一対設けられており、第1メカユニット105及び第2メカユニット105aをスライド自在に支持している。このため、作業者は、フロントパネル106の把手108を把持して、第1メカユニット105及び第2メカユニット105aをハウジング102から引き出したり収納したりすることができる。
図1中、ラベルプリンタ101の正面に隣接配置された機器は、計量装置109である。計量装置109は、扁平形状の本体装置110と、この本体装置110の上面に取り付けられた計量皿111とにより構成される。本体装置110は、計量皿111に載置された品物の重量を計量し、その計量データを出力する機能を有する。ラベルプリンタ101と計量装置109とは電気的に接続されている。計量装置109から出力された計量データは、ラベルプリンタ101に入力される。
図1では、印字済ラベル116が、右側に位置する第1メカユニット105においてはラベル発行口107でラベルプリンタ101の正面側に迫り出した状態で待機しており、左側に位置する第2メカユニット105aにおいてはラベル発行口107から取り除かれた状態を示している。作業者は、ラベル発行口107から迫り出した状態で待機している印字済ラベル116を取り出し、商品や棚札に貼り付けることができる。このラベルプリンタ101は二つのラベル発行口107を有しているため、作業者はいずれのラベル発行口107からも印字済ラベル116を取り出すことができる。
印字済ラベル116が取り除かれると、第1メカユニット105や第2メカユニット105aでは、
(1)搬送機構127(図2参照)が駆動されることでラベル用紙112(図2参照)が案内経路121(図2参照)に沿ってバックフィードし、その結果、未印字のラベル113(図2参照)が所定の印字位置PP(図2参照)に位置付けられ、
(2)未印字のラベル113が印字位置PPに位置付けられた状態でサーマルヘッド126からこのラベル113に対し印字が行われ、
(3)印字が行われて生成された新たな印字済ラベル116が搬送機構127の駆動によってラベル発行口107に向けて搬送され、搬送途中で剥離機構122(図2参照)によって剥離された上で、ラベル発行口107から迫り出される
という動作が行われ、印字済ラベル116が剥離発行される。未印字のラベル113に対し印字を行う前にラベル用紙112をバックフィードするのは、印字済ラベル116をラベル発行口107まで搬送することにより、この印字済ラベル116に隣り合っていて次に印字が行われる未印字のラベル113が、この印字位置PPに対し案内経路121の下流側の印字位置PPとは異なる位置に位置付けられてしまうためである。
図2は、第1メカユニット105の概略的な縦断側面図である。ラベルプリンタ101に使用するラベル用紙112は、複数枚のラベル113を長尺状の台紙114に列状に仮着し、これを紙管115に巻き付けてロール状に巻回したものである。ラベル113には、加熱によって発色する感熱ラベルが用いられている。当然のことながら、ラベル用紙112が有する複数枚のラベル113はすべて未印字のものである。
第1メカユニット105は、ラベル用紙112を保持する用紙保持部としての用紙保持軸117と、プラテン118と、ラベル用紙112が有する台紙114を巻き取る台紙巻取軸119と、剥離機構122とを備えている。そして、第1メカユニット105がハウジング102から引き出された場合、これらの各部は外部に露出する。これら各部のうち、用紙保持軸117、プラテン118及び台紙巻取軸119は、第1メカユニット105が有する側壁120に片持ち状態で取り付けられている。そして、用紙保持軸117、プラテン118及び台紙巻取軸119は、用紙保持軸117からプラテン118を経由して台紙巻取軸119に至るラベル用紙112の案内経路121を第1メカユニット105内に形成する。ここで、剥離機構122は、案内経路121におけるプラテン118の下流側近傍に配置されており、案内経路121を搬送されるラベル用紙112の台紙114のみをラベル113から離反させる方向に鋭角に屈曲させる。この剥離機構122により、サーマルヘッド126(後述)によって印字が行われた印字済ラベル116は、台紙114から剥離されて、このサーマルヘッド126に対し案内経路121の下流側に位置するラベル発行口107に位置付けられ、このラベル発行口107からラベルプリンタ101の正面方向に迫り出す。図2では、印字済ラベル116が台紙114から剥離されて、ラベル発行口107からラベルプリンタ101の正面側に迫り出した状態を示している。一方、台紙114は、剥離機構122により屈曲された後に台紙巻取軸119まで導かれ、台紙巻取軸119に巻き取られる。そのため、剥離機構122及び台紙巻取軸119は、この台紙巻取軸119が台紙114を巻き取って剥離機構122の部分で台紙114を鋭角に屈曲させる位置にそれぞれ位置付けられる。
用紙保持軸117は、パイプ状の部材であり、側壁120に片持ち状態で水平に支持されていて、紙管115を差し込ませた状態でラベル用紙112を保持することができる。このようにして保持されたラベル用紙112の側壁120側(図2における紙面奥側)ではなくその反対側(図2における紙面手前側)を向いている端面123は、用紙押え機構124に押圧されている。用紙押え機構124は、ラベル用紙112の端面123を押圧することで、ラベル用紙112の幅方向(用紙保持軸117の軸心方向)の移動を規制し、案内経路121に沿って引き出される際のラベル用紙112の斜行を防止している。
プラテン118は、案内経路121に対し下側に配置されている。このプラテン118は、正逆両方に回転するPMモータ130(図3参照)からギア列(図示せず)を介して駆動力を受けて回転し、案内経路121上のラベル用紙112に搬送力を付与し、用紙保持軸117に保持されたラベル用紙112を案内経路121に沿って引き出す。このように、プラテン118とギア列とは、ラベル用紙112を案内経路121に沿って搬送する搬送機構127として機能する。
台紙巻取軸119は、DCモータ131(図3参照)から側壁120の裏面側に配列されているギア列(図示せず)を介して駆動力を受けて回転し、剥離機構122を通過したラベル用紙112のうち台紙114のみを巻き取る。これらの台紙巻取軸119やギア列も、前述した搬送機構127として機能する。
ハウジング102の内部上方には、印字ヘッドとしてのサーマルヘッド126と、センサ128とが配置されている。サーマルヘッド126は、ライン型のサーマルプリントヘッドで、第1メカユニット105がハウジング102に収納された状態においてプラテン118と対向する位置に取り付けられている。サーマルヘッド126は、サーマルヘッド制御回路207(図3参照)から出力される制御信号に応じて、このサーマルヘッド126に列状に設けられた発熱体(図示せず)を発熱駆動し、案内経路121を案内搬送されるラベル用紙112の未印字のラベル113に対し印字を行う。このサーマルヘッド126が配置される位置によって、案内経路121には印字位置PPが定められる。
センサ128は、ラベル発行口107に位置付けられた印字済ラベル116の有無をセンシングする。このセンサ128が出力する電気信号は、センシング結果として機能し、センサ入力回路を介して主制御部としてのマイクロコンピュータ201(図3参照)に入力される。このセンサ128は、一例として、サーマルヘッド126よりもラベルプリンタ101の正面側に配置された投光素子と受光素子とを備えて構成される反射型の光センサである。この場合、投光素子は、案内経路121に沿って搬送されてラベル発行口107に位置付けられラベル発行口107から突出した状態にある印字済ラベル116に向けて検出光を発し、受光素子はこの印字済ラベル116で反射した検出光の受光状態に応じた電気信号を出力する。
以上、図2に基づいて、ラベルプリンタ101の正面側から見て右側に位置する一方の第1メカユニット105について説明した。この第1メカユニット105とは同じ構造を、他方の第2メカユニット105aは有している。以下、説明の便宜上、第1メカユニット105に備わる各部について、「第1」という接頭辞を付す。また、第2メカユニット105aに備わるサーマルヘッドやプラテン等の各部について、「第2」という接頭辞を付し、さらに符号の末尾に「a」を付す。
図3は、ラベルプリンタ101の電気的構成を示すブロック図である。ラベルプリンタ101は、CPU202、ROM203、RAM204及びASIC205で構成される主制御部としてのマイクロコンピュータ201を備える。CPU202は、演算処理を実行する。ROM203は、固定データを格納している。RAM204は、可変データを書換自在に格納し、マイクロコンピュータ201で行われる各種処理のワークエリアとして利用される。ASIC205は、ラベル発行処理(図4及び図5参照)を含む各種の処理をCPU202が実行できるように設計された集積回路である。このように構成される本実施の形態のマイクロコンピュータ201は、複数の処理を切り替えながら並行して実行することが可能なものである。このため、マイクロコンピュータ201は、第1メカユニット105に対して行うラベル発行処理(図4参照)と、第2メカユニット105aに対して行うラベル発行処理(図5参照)とを並行して行うことができる。
マイクロコンピュータ201は、サーマルヘッド電源回路206、ヘッド制御回路としてのサーマルヘッド制御回路207、スイッチ回路208、第1PMモータドライバ210、第1DCモータドライバ211、第2PMモータドライバ210a、第2DCモータドライバ211a、第1センサ入力回路215及び第2センサ入力回路215aのそれぞれと接続している。
サーマルヘッド電源回路206は、第1サーマルヘッド126や第2サーマルヘッド126aに給電を行う回路である。サーマルヘッド制御回路207は、第1サーマルヘッド126や第2サーマルヘッド126aのどちらも制御できる構成の回路である。スイッチ回路208は、マイクロコンピュータ201からイネーブル信号などのコントロール信号が入力されることにより、サーマルヘッド電源回路206の給電先やサーマルヘッド制御回路207の制御対象を第1サーマルヘッド126及び第2サーマルヘッド126aのいずれかに択一的に選択する回路である。スイッチ回路208としては、コントロール信号としてCMOSレベルの信号を用いる場合にはCOMS用又はTTL用のゲートICを採用することができ、また、コントロール信号としてアナログ信号を用いる場合にはアナログスイッチを採用することができる。つまり、スイッチ回路208としては、マイクロコンピュータ201が出力するコントロール信号のレベルに応じたものを採用する。
第1PMモータドライバ210は、第1メカユニット105に備わる第1PMモータ130を制御する回路である。第1DCモータドライバ211は、第1メカユニット105に備わる第1DCモータ131を制御する回路である。すなわち、第1PMモータドライバ210と第1DCモータドライバ211とは、第1モータドライバ214を構成し、第1メカユニット105に備わる第1搬送機構127の駆動源である第1PMモータ130及び第1DCモータ131を制御する。
第2PMモータドライバ210aは、第2メカユニット105aに備わる第2PMモータ130aを制御する回路である。第2DCモータドライバ211aは、第2メカユニット105aに備わる第2DCモータ131aを制御する回路である。すなわち、第2PMモータドライバ210aと第2DCモータドライバ211aとは、第2モータドライバ214aを構成し、第2メカユニット105aに備わる第2搬送機構127aの駆動源である第2PMモータ130a及び第2DCモータ131aを制御する。
第1センサ入力回路215は、第1メカユニット105に備わる第1センサ128から出力される電気信号に応じたデジタル信号をマイクロコンピュータ201に向けて出力する。マイクロコンピュータ201は、このデジタル信号に基づいて、第1ラベル発行口107から印字済ラベル116が取り除かれたか否かの判定を行う。また、第2センサ入力回路215aは、第2メカユニット105aに備わる第2センサ128aから出力される電気信号に応じたデジタル信号をマイクロコンピュータ201に向けて出力する。マイクロコンピュータ201は、このデジタル信号に基づいて、第2ラベル発行口107aから印字済ラベル116が取り除かれたか否かの判定を行う。
マイクロコンピュータ201は、画像メモリ217及び通信インタフェイス218にも接続している。通信インタフェイス218は、ラベルプリンタ101と、これに接続されている計量装置109(図1参照)等の情報処理装置との間のデータ通信を実現する。そして、マイクロコンピュータ201は、計量装置109等の情報処理装置から送信された印字データを画像データに変換して画像メモリ217に展開して記憶する処理を行う。この印字データの一例は、計量装置109の本体装置110が出力する計量皿111に載置された品物の計量データである。
ところで、本実施の形態のラベルプリンタ101は、二つのサーマルヘッド126(第1サーマルヘッド126、第2サーマルヘッド126a)を備えているのに対し、これらを駆動するサーマルヘッド制御回路207は一つのみ備えている。そこで、本実施の形態のラベルプリンタ101では、マイクロコンピュータ201が、スイッチ回路208を制御してサーマルヘッド制御回路207が出力する制御信号の出力先を切り替えることにより、各サーマルヘッド126(第1サーマルヘッド126、第2サーマルヘッド126a)が択一的に駆動され、各メカユニット(第1メカユニット105、第2メカユニット105a)のいずれからも印字済ラベル116を印字発行することができる。ここで重要なのは、各メカユニット(第1メカユニット105、第2メカユニット105a)における未印字のラベル113に対する印字動作のタイミングである。すなわち、本実施の形態のラベルプリンタ101では、前述したように、印字済ラベル116が剥離されラベル発行口107に位置付けられると、この印字済ラベル116に隣り合って次に印字が行われる未印字のラベル113が印字位置PPとは異なる位置に位置付けられてしまう。このため、各メカユニット(第1メカユニット105、第2メカユニット105a)において、印字済ラベル116を印字発行するためには、サーマルヘッド126(第1サーマルヘッド126、第2サーマルヘッド126a)の駆動による未印字のラベル113に対する印字処理に先立って、未印字のラベル113を印字位置PPに位置付けるための処理が実行されなくてはならない。この点、本実施の形態のラベルプリンタ101では、次に述べるラベル発行処理(図4及び図5)が行われるために、印字済ラベル116が効率良く印字発行される。
図4は、第1メカユニット105について行われるラベル発行処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すラベル発行処理は、ラベル位置付け処理(ステップS101〜S102)と印字発行処理(ステップS103〜ステップ105)とが連続して行われることで構成される。マイクロコンピュータ201は、画像メモリ217に画像データが記憶されている状態で、第1センサ128のセンシング結果に基づき第1ラベル発行口107に位置付けられた印字済ラベル116が取り除かれたか否かを判定している(ステップS101)。印字済ラベル116が取り除かれたと判定した場合(ステップS101のY)、マイクロコンピュータ201は、第1モータドライバ214を制御して第1PMモータ130と第1DCモータ131とを駆動し、第1ラベル用紙112の最下流側の未印字のラベル113を第1案内経路121上の印字位置PPに位置付ける処理を行う(ステップS102)。より詳細には、マイクロコンピュータ201は、ステップS102として、第1モータドライバ214を制御し、第1ラベル用紙112を第1案内経路121の上流方向にバックフィードしてこの未印字のラベル113を印字位置PPに位置付けるよう第1PMモータ130と第1DCモータ131とを駆動する処理を行う。
続く処理として、マイクロコンピュータ201は、サーマルヘッド制御回路207を制御して第2サーマルヘッド126aを駆動させている間は処理を待機しその制御の終了を待った後に(ステップS103のY)、サーマルヘッド制御回路207を制御しておらず第2サーマルヘッド126aを駆動させていない場合には直ちに(ステップS103のN)、サーマルヘッド制御回路207の制御信号が第1サーマルヘッド126に入力されるよう、スイッチ回路208を制御してサーマルヘッド制御回路207の制御信号の出力先を切り替える(ステップS104)。このステップS104において、マイクロコンピュータ201は、スイッチ回路208に対しイネーブル信号などのコントロール信号を入力することで、制御信号の出力先を切り替える。
続く処理として、マイクロコンピュータ201は、第1サーマルヘッド126に対し制御信号を出力するようサーマルヘッド制御回路207を制御する(ステップS105)。このステップS105では、マイクロコンピュータ201は、画像メモリ217に記憶されている画像データから1ラインずつデータをサーマルヘッド制御回路207に出力し、各ラインのドットパターンに対応するサーマルヘッドの発熱体(図示せず)を発熱駆動させる制御信号を出力するようサーマルヘッド制御回路207を制御する。また、マイクロコンピュータ201は、サーマルヘッド制御回路207に対する制御を行いながら、その印字を行っているラベル113を第1案内経路121の下流側に搬送するよう第1モータドライバ214を制御する。マイクロコンピュータ201は、一ラベル分の印字を行うようサーマルヘッド制御回路207を制御し、引き続き第1モータドライバ214を制御して、PMモータ130とDCモータ131とを駆動し印字済ラベル116を剥離機構122によって剥離させて第1ラベル発行口107からラベルプリンタ101の正面側に迫り出す位置に位置付けることで、ステップS105の処理を完了し、一連のラベル発行処理を終了する。
図5は、第2メカユニット105aについて行われるラベル発行処理の流れを示すフローチャートである。図5に示すラベル発行処理も、ラベル位置付け処理(ステップS201〜S202)と印字発行処理(ステップS203〜ステップ205)とが連続して行われることで構成される。マイクロコンピュータ201は、画像メモリ217に画像データが記憶されている状態で、第2センサ128aのセンシング結果に基づき第2ラベル発行口107aに位置付けられた印字済ラベル116が取り除かれたか否かを判定している(ステップS201)。印字済ラベル116が取り除かれたと判定した場合(ステップS201のY)、マイクロコンピュータ201は、第2モータドライバ214aを制御して第2PMモータ130aと第2DCモータ131aとを駆動し、第2ラベル用紙112aの最下流側の未印字のラベル113を第2案内経路121a上の印字位置PPに位置付ける処理を行う(ステップS202)。より詳細には、マイクロコンピュータ201は、ステップS202として、第2モータドライバ214aを制御し、第2ラベル用紙112aを第2案内経路121aの上流方向にバックフィードしてこの未印字のラベル113を印字位置PPに位置付けるよう第2PMモータ130aと第2DCモータ131aとを駆動する処理を行う。
続く処理として、マイクロコンピュータ201は、サーマルヘッド制御回路207を制御して第1サーマルヘッド126を駆動させている間は処理を待機しその制御の終了を待った後に(ステップS203のY)、サーマルヘッド制御回路207を制御しておらず第1サーマルヘッド126を駆動させていない場合には直ちに(ステップS203のN)、サーマルヘッド制御回路207の制御信号が第2サーマルヘッド126aに入力されるよう、スイッチ回路208を制御してサーマルヘッド制御回路207の制御信号の出力先を切り替える(ステップS204)。このステップS204において、マイクロコンピュータ201は、スイッチ回路208に対しイネーブル信号などのコントロール信号を入力することで制御信号の出力先を切り替える。
続く処理として、マイクロコンピュータ201は、第2サーマルヘッド126aに対し制御信号を出力するようサーマルヘッド制御回路207を制御する(ステップS205)。このステップS205の処理では、マイクロコンピュータ201は、図4のステップS105と同様に、サーマルヘッド制御回路207に対する制御を行いながら第2モータドライバ214aを制御してラベル113を第2案内経路121aの下流側に搬送させ、一ラベル分の印字の終了後に剥離機構122によって印字済ラベル116を剥離させ、第2ラベル発行口107aからラベルプリンタ101の正面側に迫り出す位置に位置付けることでステップS205の処理を完了し、一連のラベル発行処理を終了する。
本実施の形態のラベルプリンタ101では、図4及び図5に示すラベル発行処理が行われることによってスイッチ回路208が切り替えられることにより、サーマルヘッド制御回路207から出力される制御信号は第1サーマルヘッド126と第2サーマルヘッド126aとの両方に同時に伝達されることはなく、第1サーマルヘッド126及び第2サーマルヘッド126aのいずれか一方にしか伝達されない。このため、本実施の形態のラベルプリンタ101では、第1サーマルヘッド126と第2サーマルヘッド126aとの両方が同時に駆動されることはなく、従って、消費電力が抑えられることになる。
また、本実施の形態のラベルプリンタ101では、図4及び図5に示すラベル発行処理が行われることによって、一方のメカユニットで行われる未印字のラベル113に対する印字動作に先立ち、ラベル用紙112(第1ラベル用紙112、第2ラベル用紙112a)の搬送動作が、他方のメカユニットのサーマルヘッドの駆動状態にかかわらず行われる。これは、本実施の形態のラベルプリンタ101には、第1メカユニット105に備わる第1PMモータ130及び第1DCモータ131を駆動する第1モータドライバ214と、第2メカユニット105aに備わる第2PMモータ130a及び第2DCモータ131aを駆動する第2モータドライバ214aとが、いずれもスイッチ回路208を介さずにサーマルヘッド制御回路207とは別個に設けられていて、マイクロコンピュータ201は、スイッチ回路208の状態にかかわらず、第1PMモータ130及び第1DCモータ131を制御することができるためである。
そして、本実施の形態のラベルプリンタ101では、図4及び図5に示すラベル発行処理が行われて、一方のメカユニットにおいて印字済ラベル116が取り除かれて未印字のラベル113がそのメカユニット内の案内経路121上の印字位置PPに位置付けられた後(ステップS102、ステップS202)、他方のサーマルヘッドの駆動状態が判定される(ステップS103、ステップS203)。他方のメカユニットにおいて印字動作が終了しており他方のサーマルヘッドが駆動されていなければ、ラベルプリンタ101では、直ちに印字位置PPに位置付けられた未印字のラベル113に対し印字が行われる(ステップS103のN、ステップS203のN)。また、メカユニットにおいて印字動作が行われており他方のサーマルヘッドが駆動されていればその駆動の終了後に直ちに印字位置PPに位置付けられた未印字のラベル113に対し印字が行われる(ステップS103のY、ステップS203のY)。この点について、次に示すタイムチャート(図6)に基づいて説明する。
図6は、ラベルプリンタ101において印字済ラベル116が印字発行される際のサーマルヘッド126(第1サーマルヘッド126、第2サーマルヘッド126a)と搬送機構127(第1搬送機構127、第2搬送機構127a)との動作を示すタイミングチャートである。図6では、ラベル発行口107(ラベル発行口107、第2ラベル発行口107a)から印字済ラベル116の取り出しがセンシングされた状態を符号Sで、このセンシングに続いて未印字のラベル113を印字位置PPに位置付けるよう搬送機構127(第1搬送機構127、第2搬送機構127a)がバックフィード駆動されている状態を符号BFで、サーマルヘッド126(第1サーマルヘッド126、第2サーマルヘッド126a)が駆動されている状態を符号Pで、それぞれ示している。
図6に示すタイミングで、作業者が、第1メカユニット105の第1ラベル発行口107や第2メカユニット105aの第2ラベル発行口107aから迫り出してくる印字済ラベル116を取り出したとする。まず、第2メカユニット105aの第2ラベル発行口107aから印字済ラベル116が取り出され(時点T1)、第2メカユニット105a内で未印字のラベル113が印字位置PPに位置付けられた時点(時点T2)では、第1サーマルヘッド126はまだ駆動中である。そして、第2メカユニット105aでは、第1サーマルヘッド126の駆動が終了する時点T3まで動作が停止している。そして、第1サーマルヘッド126の駆動が終了し第1ラベル発行口107に印字済ラベル116が迫り出し、第1メカユニット105において印字動作が終了した時点(時点T3)で、第2メカユニット105aでは第2サーマルヘッド126aは直ちに駆動されて未印字のラベル113に対する印字動作が行われる。ここで、作業者が、第1ラベル発行口107から印字済ラベル116が迫り出した直後にその印字済ラベル116を取り出すと(時点T4)、第1メカユニット105では、第1ラベル発行口107での印字済ラベル116の取り出しのセンシングS、未印字のラベル113を印字位置PPに位置付けるための搬送機構127のバックフィード駆動BFが続けて行われ、第2サーマルヘッド126aでの印字動作Pの終了直後、第1メカユニット105では未印字のラベル113に対する印字動作Pが開始される(時点T5)。このように、図6において符号Z1で示すように、作業者がラベルプリンタ101から印字発行される印字済ラベル116を次々と取り出した場合、第1ラベル発行口107及び第2ラベル発行口107aからは、交互に印字済ラベル116が迫り出してくる。このような手順で印字済ラベル116を取り出せば、作業者は非常に効率良く印字済ラベル116を商品や棚札に次々と貼り付けることができる。
これに対し、図6において符号Z2で示すように、作業者が一方のラベル発行口107からのみ立て続けに印字済ラベル116を取り出したとする。この場合、他方のメカユニットでは何も動作が行われていない状態になる。このため、例えば図6に示すように、第2ラベル発行口107aから印字済ラベル116を取り出し(時点T6)、その後に未印字のラベル113が印字位置PPに位置付けられた時点(時点T7)で直ちに、第2メカユニット105aでは未印字のラベル113に対する印字が行われる。この印字が行われている途中で他方の第1メカユニット105の第1ラベル発行口107から印字済ラベル116が取り除かれた場合(時点T9)、第1メカユニット105では、第2サーマルヘッド126aの駆動が終了したタイミングで第1サーマルヘッド126の駆動が行われる(時点T10)。
以上に述べたように、本実施の形態のラベルプリンタ101では、スイッチ回路208を設けてサーマルヘッド制御回路207の制御信号の出力先を択一的に切り替えるので第1サーマルヘッド126と第2サーマルヘッド126aとが同時に駆動されることはなくなり、ラベルプリンタ101で消費される電力の最大値が小さくなって、ラベルプリンタ101に搭載する電源を大きくする必要は無く、新たに電源を確保する必要もない。
また、本実施の形態のラベルプリンタ101では、サーマルヘッド制御回路207とは別に各メカユニット(第1メカユニット105、第2メカユニット105a)のPMモータ130やDCモータ131を駆動するモータドライバ(第1モータドライバ214、第2モータドライバ214a)を設けることで、一方のメカユニットのサーマルヘッドの駆動状態にかかわらず未印字のラベル113を印字位置PPに位置付けることができ、ラベルの発行動作に要する時間を短縮化して、印字済ラベル116を効率良く印字発行することができる。
さらに、本実施の形態のラベルプリンタ101では、先に印字済ラベル116が取り除かれた方のメカユニットにおいて未印字のラベル113の印字位置PPへの位置付け動作と印字動作とが行われ、この印字動作は他方のメカユニットでの未印字のラベル113に対する印字動作の終了をもって行われるので、作業者が二つのラベル発行口107(第1ラベル発行口107、第2ラベル発行口107a)から発行される印字済ラベル116を交互に取り出すことによって、第1メカユニット105と第2メカユニット105aとを絶え間なく交互に駆動させ、印字済ラベル116の発行効率を上げて、ラベル貼り作業を効率化することができる。